JP3865965B2 - 窓開閉制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、窓開閉制御装置に係り、特に車両のパワーウインドウやサンルーフ等、窓開口内における異物挟み込みを防止できる窓開閉制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両の窓開閉制御装置(パワーウインドウ装置)には、窓開口を形成する窓枠と窓ガラスとの間に異物が挟み込まれたことを検出し、挟み込み検出信号に基づいてモータ(パワーウインドモータ)の回転を中断させる、所謂挟み込み防止機能を備えるものが知られている。挟み込み防止手段としては、車両の窓枠に沿って感圧センサを配設し、例えば、この感圧センサに加わる負荷に応じて変化する抵抗値が所定値よりも大きくなったときに挟み込みが発生したとみなす直接検出方式や、窓ガラスを開閉駆動させるパワーウインドウモータの駆動電流或いは回転数を検出し、モータ駆動電流が所定値よりも大きくなったとき或いはモータの回転数が所定値より小さくなったときに挟み込みが発生したとみなす間接検出方式が知られている。そして、上記直接検出方式、間接検出方式によって発生する挟み込み検出信号に基づきパワーウインドモータに対して窓ガラスの閉方向への移動を中断(反転或いは停止)させるよう制御している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、感圧センサを用いた直接検出方式においては、窓ガラスが閉方向に移動中、異物が窓ガラス上端(窓ガラスの閉方向側周縁)に接触しているにもかかわらず、窓ガラスが上昇移動し続けて異物が感圧センサを押圧するまでの間、挟み込みを検出することは不可能である。即ち、挟み込みを未然に防止することができないという欠点がある。
【0004】
一方、パワーウインドウモータの駆動電流或いは回転数から検出する間接検出方式においては、閉方向へ移動中の窓ガラスの摺動摩擦抵抗により安定した挟み込み検出ができない場合がある。詳しくは、車両においては窓枠と窓ガラスとの隙間をシールするためのウエザストリップ(窓枠の一部を構成)が配設されているため、窓ガラスが閉じる際、窓ガラスがウエザストリップに接触し始めてから完全に閉じ切るまでの間(窓ガラス全閉直前)に窓ガラスとウエザストリップとの間に摺動摩擦力が発生し、該摺動摩擦力によりモータ駆動電流が増大したり、モータ回転数が減少したりして異物が挟み込まれていないにもかかわらず挟み込みが発生したものと誤判断してしまうという欠点がある。
【0005】
そこで、従来から窓ガラス閉じ切り直前では異物挟み込みと判断しないようマスク処理を施し、窓ガラス全閉直前を不感帯領域としている。なお、車両のパワーウインドウ装置においては、窓ガラスとウエザストリップとの間に摺動摩擦力が発生する領域は、窓ガラス全閉位置から例えば約30mm手前からであり、この領域を不感帯領域としている。このため、薄手の異物や外形の小さな異物を挟み込んでもこの検出が困難である。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、窓開口内の全域において窓枠と窓ガラスとの間に存在する異物をいち早く検出しかつ小さな異物であっても確実に検出して挟み込みを防止できる窓開閉制御装置を得ることが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1は、車両の窓開口内を移動する窓体と、前記窓体を移動させて前記窓開口を開閉する駆動手段と、前記駆動手段に加わる駆動負荷を検出する負荷検出手段と、窓開口を構成する窓枠に沿って配設され、前記窓枠に作用する外力を感知する感知手段と、前記窓体の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出された前記窓体の検出位置が第1所定位置より前記窓開口を閉じる側に位置すると判断された場合であって、前記感知手段により感知された感知外力が所定値を越えたときに前記窓体の閉方向への移動を中断するように前記駆動手段を制御する第1制御手段と、前記位置検出手段により検出された前記窓体の検出位置が前記第1所定位置より前記窓開口を開く側に位置すると判断された場合であって、前記負荷検出手段により検出された駆動負荷が所定値を越えるか、或いは前記感知手段により感知された感知外力が所定値を越えるかのいずれか一方のときに前記窓体の閉方向への移動を中断するように前記駆動手段を制御する第2制御手段と、前記窓体の閉方向への移動をマニュアル閉作動及びオート閉作動のいずれかに選択可能な選択手段とを備え、前記選択手段によりオート閉作動が選択された場合には、前記第1制御手段或いは前記第2制御手段からの指令信号に基づいて前記駆動手段を制御し、前記選択手段によりマニュアル閉作動が選択された場合には、前記窓開口内全域において前記負荷検出手段からの駆動負荷検出信号及び前記感知手段からの感知信号を無視して前記窓体の閉方向への移動を行うように前記駆動手段を制御することを特徴とする窓開閉制御装置。
【0008】
請求項1によれば、位置検出手段により検出された窓体の検出位置が第1所定位置より窓開口を閉じる側に位置すると判断された場合であって、感知手段により感知された感知外力が所定値を越えた時に窓体の閉方向への移動を中断する第1制御手段を有する。また、位置検出手段により検出された窓体の検出位置が第1所定位置より窓開口を開く側に位置すると判断された場合であって、負荷検出手段により検出された駆動負荷が所定値を越えるか、或いは感知手段により感知された感知外力が所定値を越えるかのいずれか一方のときに窓体の閉方向への移動を中断する第2制御手段を有する。
【0009】
これにより、第1所定位置を前述した窓体の閉じ切り直前、即ち、窓体が窓枠(ウエザストリップ)に接触し始める位置に設定することによって、第1所定位置から窓体全閉位置までの間に窓ガラスとウエザストリップとの間に摺動摩擦力が発生し、該摺動摩擦力によりモータ駆動電流が増大したり、モータ回転数が減少したりしても、感知手段が窓枠に加わる外力を感知するため、小さな異物であっても確実に検出して挟み込みを防止できる。
【0010】
一方、第1所定位置より開く側に窓体が位置している場合、負荷検出手段により検出された駆動負荷が所定値を越えるか、或いは感知手段により感知された感知外力が所定値を越えるかのいずれか一方で窓体の閉方向への移動が中断される。即ち、窓枠及び窓体のいずれかに加わる外力のうち、先に検出された検出結果に基づいて窓体の移動を中断するため、窓開口内に存在する異物をいち早く検出することができる。さらに、窓体の閉方向への移動をマニュアル閉作動及びオートオート閉作動のいずれかに選択可能な選択手段を有しており、オート閉作動が選択された場合には、第1制御手段或いは前記第2制御手段からの指令信号に基づいて駆動手段を制御し、マニュアル閉作動が選択された場合には、窓開口内全域において負荷検出手段からの駆動負荷検出信号及び感知手段からの感知信号を無視して窓体の閉方向への移動を行うように駆動手段を制御する。なお、本請求項1における窓体の移動の中断とは、窓体の移動を停止或いは開方向への移動に切り替わる反転移動を意味する。
【0011】
本発明の請求項2は、前記駆動手段は、前記第1制御手段又は前記第2制御手段に応じて前記窓体を開方向へ移動させ、前記位置検出手段により検出された前記窓体の検出位置が第2所定位置に達したと判断されたときに前記窓体の開方向への移動を停止するように前記駆動手段を制御する第3制御手段を備えることを特徴としている。
【0012】
請求項2によれば、挟み込みが検出され駆動手段により窓体が開方向へ移動(反転)される。そして、開方向に移動された窓体が第2所定位置に達すると窓体の移動が停止される。即ち、第2所定位置を窓開口の移動範囲内に設定することで、反転移動する窓体は全開位置まで移動することなく窓開口の途中位置で停止する。そのため、挟み込み検出後、窓体が反転しても車両外部への乗員の飛び出しを防止することができる。
【0013】
なお、上記第2所定位置は、請求項3に記載の発明の如く第1所定値よりも窓開口を開く側に位置するよう設定するのが好ましい。さらに、第2所定位置を予め固定された位置としてもよい。逆に、窓体の閉移動開始位置を記憶する開始位置記憶手段を設け、第2所定位置を前記閉移動開始位置に逐次変更できるようにしてもよい。
【0016】
なお、上記請求項1から請求項3に係る発明において、請求項4に記載の発明の如く駆動手段をモータとし、位置検出手段によってモータの回転数をカウントし、該回転数に応じた窓体の位置を検出するようにしてもよい。これにより、挟み込みの検出が容易となると共に、窓体の位置(上記第1所定位置及び第2所定位置)を容易に設定及び検出可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係るパワーウインドウシステムの概略構成を示し、1は車両ドアであり、2は窓開口3を構成するウエザストリップを含む窓枠である。また、4は窓開口3内で移動して窓開口3を開閉する窓ガラス(窓体)であり、窓ガラス4は図示しないバッテリーから電力を得て回転するパワーウインドウモータ5(駆動手段)によって窓開口3内を開閉移動する。
【0018】
また、6はパワーウインドウモータ5(以下、モータ5と称す)の回転数を検出する回転センサであり、7は窓枠2のうち窓ガラス4の移動方向に対して傾斜した前辺部(Aピラー部)2a、窓ガラス4の移動方向に対して略直交する上辺部2b、上辺部2bから略垂直方向に延ばされた後辺部(Bピラー部)2cに渡って配設され窓枠2に作用する外力を感知する感圧センサ(感知手段)である。そして、回転センサ6の検出信号及び感圧センサ7の検出信号は、モータ5の作動を制御する制御回路10に入力される。
【0019】
ここで、図3に示すように、上記感圧センサ7は、ゴムや軟質の合成樹脂材料等、絶縁性を有する弾性材によって長尺状に形成されたセンサ本体を構成する外皮部72を備えている。この外皮部72の内部には断面十字形状の十字孔74が外皮部72の長手方向に沿って形成されている。この十字孔74は外皮部72の長手方向に沿って外皮部72の中心周りに漸次変位している。また、外皮部72の内部には銅線等の導電性細線を寄り合わせることにより可撓性を有し、外皮部72と共にセンサ本体を構成する電極76,78,80,82が設けられている。
【0020】
これら電極76,78,80,82は十字孔74に沿って螺旋状に配設され、十字孔74の内周部へ一体に固着されている。したがって、外皮部74が弾性変形することで電極76,78,80,82が撓み、特に、十字孔74が潰れる程度に外皮部72が弾性変形すれば、電極76,78,80,82のうちの任意の何れか、或いは全てが接触して導通する。また、外皮部64が復元すれば電極76,78,80,82もまた復元する。
【0021】
また、図4の回路図に示されるように、電極76と電極80は長手方向一端部で導通しており、電極78と電極82もまた長手方向一端部で導通している。また、電極70と電極78は長手方向他端部で抵抗84を介して導通している。さらに、電極76,82の各々の長手方向他端部はリード線を介して図示しないバッテリーへ接続されている。但し、電極82だけは、所定値以上の電流が流れると信号を出力する判定手段としての電流検出素子88が接続されている。
【0022】
すなわち、電極76から電極78,80を介して電極82へ流れる電流は、通常、抵抗を介して流れるが、仮に、外皮部72が押し潰されて電極76又は電極80が電極78又は電極82と接触して短絡すると、電流は抵抗84を介さずに流れるため、例えば一定の電圧でこの回路に電流を流していれば電流値が変化して回路中に流れる電流が増加する。このように、電流が増加して電流検出素子88から圧力検出信号7aが出力されることで外皮部72が押し潰されたか否か、つまり感圧センサ7に外力が作用したか否かを検知できる。
【0023】
一方、上記回転センサ6は位置検出手段を構成する。回転センサは、例えばモータ5の減速ギヤの側面等に配設され、詳しくは、図5に示すように、絶縁性を有する円盤状のベース61と、ベース61上に固定され導電性のシート部材から成るパルスプレート62とを備えている。パルスプレート62には略円盤形状の円盤部64が形成されている。この円盤部64はモータ5の出力軸5aに同軸的に連結され出力軸5aと共に回転する。また、円盤部64にはコンタクトプレート102が摺接している。
【0024】
さらに、円盤部64の外周部からは所定角度毎に間隔をおいて複数の突起部68が放射状に突出形成されている。これら突起部68の回転軌跡上にはコンタクトプレート100の先端部が位置しており、パルスプレート62がモータ出力軸5aと共に回転して突起部68の何れか1つがコンタクトプレート100の先端部と対向すると、その突起部68とコンタクトプレート100が接触して導通し、これによりコンタクトプレート100がパルスプレート62を介してコンタクトプレート102と導通する。
【0025】
コンタクトプレート100,102の基端部は電源に電気的に接続されており、上述した導通状態の場合のみに電流が流れる。したがって、出力軸5aが回転すると断続的に電流が流れ、このときの電圧がパルス電圧となる。このパルス電圧のパルス数(導通回数)はコンタクトプレート100と電源との間に設けられたパルスカウンタ106によって計数される。図5に示されるように、パルスカウンタ106は位置検出回路12(位置検出手段)へ接続されている。位置検出回路12ではパルスカウンタ106で計数されたパルス数に相当するパルス信号6aを基に窓ガラス4の位置を算出する。即ち、窓ガラス4の移動量は、モータ5の回転数に比例する。この回転数を知ることで窓ガラス4の位置を知ることができる。
【0026】
ここで、本実施形態のパワーウインドシステムにおける駆動制御を論理回路を用いて説明する。
【0027】
図2は、制御回路10の制御作動を示す論理回路図である。
回転センサ6から出力されたパルス信号6aは、このパルス信号6aに基づいてモータ5の回転速度の変化率を求める速度変化率検出回路11(負荷検出手段)及びパルス信号6aに基づいて窓ガラス4の位置(窓ガラス4の閉方向側先端の位置)を求める位置検出回路12に入力される。また、位置検出回路82で求められた窓ガラス4の位置に相当する位置検出信号12aは、窓ガラス4が所定位置に達しているか否かを判定する位置判定回路13に入力される。
【0028】
位置判定回路13は、窓ガラス4の位置が、予め設定された第1所定位置P1より窓開口3を閉じる側、つまり上領域に位置すると判定した場合には、第1ANDゲート14に向けて上領域信号13aを出力する。一方、窓ガラス4の位置が、上記第1所定位置P1より窓開口3を開く側、つまり下領域に位置すると判断した場合には第2ANDゲート15に向けて下領域信号13bを出力する。
【0029】
上記速度変化率検出回路11は、モータ5の回転速度の変化率、即ち、窓ガラス4の移動速度の変化率が所定値を越えたときに、モータ5の駆動負荷が所定値を越えたものとみなしてORゲート16に向けて負荷検出信号11aを出力する。そして、ORゲート16から出力される結果は第2ANDゲート15に入力されるようになっている。
【0030】
また、窓枠2に配設された感圧センサ7からの圧力検出信号7aは、上記第1ANDゲート14及び上記ORゲート16に入力される。つまり、負荷検出信号11a及び圧力検出信号7aのいずれか一方の信号が上記ORゲート16から第2ANDゲート15へ向けて出力される。
【0031】
さらに、本実施形態に係るパワーウインドシステムは、車室内に設けられた窓開閉スイッチ20を備えている。窓開閉スイッチ20は、既知のマニュアルアップ作動機構(スイッチをアップ側に1段操作するとモータ5が窓ガラス4を閉移動させ、スイッチから手を離せばモータ5の回転は停止する)及びオートアップ作動機構(スイッチをアップ側に2段階操作するとモータ5が窓ガラス4を閉移動させ、スイッチから手を離しても全閉位置までオートアップする)の何れかを選択可能とされており、作動判定回路22はマニュアルアップ動作及びオートアップ動作の何れかが選択されたかを判定する。そして、動作判定回路22は、オートアップ動作が選択された場合、第1ANDゲート14と第2ANDゲート15に向けてオート動作信号22aを出力する。一方、マニュアルアップ動作が選択された場合、第3ANDゲート24に向けてマニュアル動作信号22bを出力する。また、第3ANDゲート24には速度変化率検出回路11から負荷検出信号11aが入力される。
【0032】
以上、説明した論理回路に基づき第1ANDゲート14、第2ANDゲート15及び第3ANDゲート24からの各出力結果が、場合に応じてモータ反転指令回路17に入力される。モータ反転指令回路17はモータ駆動回路18に接続されている。
【0033】
次に、上記論理回路に基づいて本実施形態の作用をパワーウインドウのオートアップ動作時、マニュアルアップ動作時の各場合に分けて説明する。
【0034】
(オートアップ動作時)
回転センサ6からのパルス信号6aに基づき位置検出回路12により窓ガラス4の位置が検出される。そして、位置判定回路13により窓ガラス4の位置が第1所定位置P1より窓開口3を閉じる側(上領域)に位置すると判断された場合であって、かつ感圧センサ7から圧力検出信号7aが出力されたときには、異物が挟み込まれたものと判断してモータ反転指令回路17に向けて第1ANDゲート14から挟み込み検出信号14aが出力される。そして、モータ反転指令回路17から出力されるモータ反転信号17aに基づきモータ駆動回路18がモータ5の回転を反転或いは停止させ、窓ガラス4の閉方向への移動を中断させる。
【0035】
これにより、第1所定位置P1を窓ガラス4の閉じ切り直前、即ち、窓ガラス4が窓枠2を構成するウエザストリップに接触し始める位置に設定しておくことによって、第1所定位置P1から窓ガラス全閉位置までの間に窓ガラス4とウエザストリップとの間に摺動摩擦力が発生し、該摺動摩擦力によりモータ5の駆動電流が増大したり、モータ5の回転数が減少したりしても、感知センサ7が窓枠2に加わる外力を感知するため、小さな異物であっても確実に検出して挟み込みを防止できる。ここで、車両のパワーウインドシステムの場合、第1所定位置P1を窓ガラス全閉位置から約20〜30mm手前(開方向側)に設定するのが好ましい。
【0036】
一方、位置判定回路13により窓ガラス4の位置が第1所定位置P1より窓開口3を開く側(下領域)に位置すると判断された場合であって、かつ速度変化率検出回路11から負荷検出信号11aが出力されるか、或いは感圧センサ7から圧力検出信号7aが出力されるかのいずれか一方のときに、異物が挟み込まれたものと判断してモータ反転指令回路17に向けて第2ANDゲート15から挟み込み検出信号15aが出力される。そして、モータ反転指令回路17から出力されたモータ反転信号17aに基づきモータ駆動回路18がモータ5の回転を反転或いは停止させ、窓ガラス4の閉方向への移動を中断させる。
【0037】
これにより、窓枠2及び窓ガラス4のいずれかに加わる外力のうち、先に検出された検出結果(圧力検出信号7a及び負荷検出信号11aのいずれか一方)に基づいて窓ガラス4の移動が中断されるため、窓開口3内に存在する異物をいち早く検出することができる。
【0038】
(マニュアルアップ動作時)
窓開口3の全域において、回転センサ6からのパルス信号6aに基づき速度変化率検出回路11から負荷検出信号11aが出力されたときのみ、異物が挟み込まれたものと判断してモータ反転指令回路17に向けて第3ANDゲート24から挟み込み検出信号24aが出力される。そして、モータ反転指令回路17から出力されたモータ反転信号17aに基づきモータ駆動回路18がモータ5の回転を反転或いは停止させ、窓ガラス4の閉方向への移動を中断させる。
【0039】
以上説明したように、本発明の第1実施形態は、窓開口3の全域において窓枠2と窓ガラス4との間に存在する異物をいち早く検出しかつ小さな異物であっても確実に検出して挟み込みを防止できる。しかも、オートアップ動作時は勿論のことマニュアルアップ動作時にも確実に異物挟み込みを防止できるといった優れた効果を有する。また、従来から不感帯領域としてマスク処理が行われていた窓枠2の後辺部2c(Bピラー部)にも感圧センサ7が配設されているため、窓枠2の全周に渡って異物挟み込みを防止できる。
【0040】
次に、本発明に係る第2実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、上記第1実施形態と同一の部材には同じ符号を付しその説明を省略する。
〔第2実施形態〕
図6に示すように、本第2実施形態は、マニュアルアップ動作時に、窓開口3全域において速度変化率検出回路11からの負荷検出信号11a及び感圧センサ7からの圧力検知信号7aの両者を無視して窓体4の閉方向への移動を継続して行うようにモータ5を制御したことを特徴としている。つまり、オートアップ動作時には上記第1実施形態と同じ制御が行われるものの、マニュアルアップ動作時には、負荷検出信号11a及び圧力検知信号7aをキャンセルしてマニュアルアップ動作を窓開口3全域に渡って優先操作させている。これにより暴漢対策に貢献できる。
【0041】
次に、本発明に係る第3実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、上記実施形態と同一の部材には同じ符号を付しその説明を省略する。
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態は、異物挟み込みを検出してモータ5が反転移動した後の窓ガラス4の駆動制御に関する。詳しくは、図7に示すように、窓開口3内の上記第1所定位置P1より窓開方向側に、第2所定位置P2が予め設定されている。そして、上記第1実施形態及び第2実施形態に記載の如く、異物挟み込みが検出され、モータ5が窓ガラス4を開方向側に移動(反転)し、窓ガラス4(窓ガラス4の閉方向側周縁)が第2所定位置P2に達したと判断されたときに、窓ガラス4の開方向への移動を停止するように制御するものである。
【0042】
図8に示すように、異物挟み込みが検出されると第4ANDゲート26にモータ反転信号17bが入力される。一方、反転移動する窓ガラス4が所定位置P2に達すると位置検出信号13cが第4ANDゲート26に入力される。そして、第4ANDゲート26からの出力信号はモータ停止回路28に入力され、該モータ停止回路28からの出力信号に応じてモータ駆動回路18はモータ5を停止させる。よって、反転した窓ガラス4は所定位置P2に停止する。ここで、所定位置P2は、例えば全閉位置から約15〜20cm開方向側(人の首や頭よりも大きいとされる間隔)に設定され、上述した所定位置P1よりも十分に開方向側に位置するよう設定するのが好ましい。これにより、異物挟み込みを検出し窓ガラス4が反転しても、窓ガラス4は窓開口3の途中位置にて停止するため、反転後、車両外部への乗員の飛び出しを防止できる。
【0043】
また、本第3実施形態の他の例として、窓ガラス4の閉移動開始位置を記憶しておく記憶手段を設け、異物挟み込みにより反転移動する窓ガラス4が、上記閉移動開始位置に達すると自動的にモータ5を停止するようにしてもよい。
【0044】
上記第1〜第3実施形態において、回転センサ6からのパルス信号6aに応じた窓ガラス4の位置を検出するようにしているため、挟み込みの検出が容易となると共に、窓ガラス4の位置(上記第1所定位置乃び第2所定位置)を容易に設定及び検出できる。また、窓ガラス4の位置検出手段、モータ5の負荷検出手段として摺動接点式の回転センサ6を用いたが、これに限らず、ホールICや光センサ等によりモータ5の回転数を検出してもよい。さらに、第1〜第3実施形態において、パワーウインドウシステムを例にとって説明したが、これに限らず本発明の窓開閉制御装置は、車両のサンルーフシステム等、スライド移動する開閉体を備えるシステムに用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るパワーウインドウシステムの模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る制御回路の制御作動を示す論理回路図である。
【図3】感圧センサの構成を示す斜視図である。
【図4】感圧センサの構成を示す回路図である。
【図5】位置検出手段の構成を示す模式図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る制御回路の制御作動を示す論理回路図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るパワーウインドウシステムの模式図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る制御回路の制御作動を示す論理回路図である。
【符号の説明】
2…窓枠、3…窓開口、4…窓ガラス(窓体)、5…モータ(駆動手段)
6…回転センサ(位置検出手段、負荷検出手段)、7…感圧センサ(感知手段)、
10…制御回路、11…速度変化率検出回路(負荷検出手段)、
12…位置検出回路(位置検出手段)、20…窓開閉スイッチ(選択手段)
P1…第1所定位置、P2…第2所定位置。
Claims (4)
- 車両の窓開口内を移動する窓体と、前記窓体を移動させて前記窓開口を開閉する駆動手段と、前記駆動手段に加わる駆動負荷を検出する負荷検出手段と、窓開口を構成する窓枠に沿って配設され、前記窓枠に作用する外力を感知する感知手段と、前記窓体の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出された前記窓体の検出位置が第1所定位置より前記窓開口を閉じる側に位置すると判断された場合であって、前記感知手段により感知された感知外力が所定値を越えたときに前記窓体の閉方向への移動を中断するように前記駆動手段を制御する第1制御手段と、前記位置検出手段により検出された前記窓体の検出位置が前記第1所定位置より前記窓開口を開く側に位置すると判断された場合であって、前記負荷検出手段により検出された駆動負荷が所定値を越えるか、或いは前記感知手段により感知された感知外力が所定値を越えるかのいずれか一方のときに前記窓体の閉方向への移動を中断するように前記駆動手段を制御する第2制御手段と、前記窓体の閉方向への移動をマニュアル閉作動及びオート閉作動のいずれかに選択可能な選択手段とを備え、
前記選択手段によりオート閉作動が選択された場合には、前記第1制御手段或いは前記第2制御手段からの指令信号に基づいて前記駆動手段を制御し、
前記選択手段によりマニュアル閉作動が選択された場合には、前記窓開口内全域において前記負荷検出手段からの駆動負荷検出信号及び前記感知手段からの感知信号を無視して前記窓体の閉方向への移動を行うように前記駆動手段を制御することを特徴とする窓開閉制御装置。 - 前記駆動手段は、前記第1制御手段又は前記第2制御手段に応じて前記窓体を開方向へ移動させ、前記位置検出手段により検出された前記窓体の検出位置が第2所定位置に達したと判断されたときに前記窓体の開方向への移動を停止するように前記駆動手段を制御する第3制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の窓開閉制御装置。
- 前記第2所定位置は、前記第1所定位置よりも前記窓開口を開く側に位置することを特徴とする請求項2に記載の窓開閉制御装置。
- 前記駆動手段はモータを成し、前記位置検出手段は前記モータの回転数をカウントし、該回転数に応じた前記窓体の位置を検出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の窓開閉制御装置。
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