JP3923220B2 - 窓開閉制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、窓開閉制御装置に係り、特に車両のパワーウインドウやサンルーフ等、窓開口内における異物挟み込みを防止できる窓開閉制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の窓開閉制御装置(パワーウインドウ装置)には、窓開口を形成する窓枠と窓ガラスとの間に異物が挟み込まれたことを検出し、挟み込み検出信号に基づいてモータ(パワーウインドモータ)の回転を中断させる、所謂、挟み込み防止機能を備えるものが知られている。挟み込み防止の手段としては、例えば、車両の窓枠に沿って感圧センサを配設し、この感圧センサに加わる負荷に応じて変化する抵抗値が所定値よりも大きくなったときに挟み込みが発生したとみなす直接検出方式や、窓ガラスを開閉駆動させるパワーウインドウモータの駆動電流或いは回転数を検出し、モータ駆動電流が所定値よりも大きくなったとき或いはモータの回転数が所定値より小さくなったときに挟み込みが発生したとみなす間接検出方式が知られている。そして、上記直接検出方式、間接検出方式によって発生する挟み込み検出信号に基づきパワーウインドモータに対して窓ガラスの閉方向への移動を中断(反転或いは停止)させるよう制御している。
【0003】
また、モータにおける窓開閉作動は、車室内に設けられた窓開閉スイッチの操作により、既知のマニュアルアップ作動機構(スイッチをアップ側に操作するとモータが窓ガラスを閉移動させ、スイッチから手を離せばモータの回転は停止する)及びオートアップ作動機構(スイッチをアップ側に2段階或いは一定時間操作し続けるとモータが窓ガラスを閉移動させ、スイッチから手を離しても全閉位置までオートアップする)の何れかを選択可能とされたものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、従来から上記直接検出方式と間接検出方式とを組み合わせることによって、異物挟み込み防止を確実に行うようにした技術が多く知られている。これらを直接検出方式と間接検出方式とをAND条件で組み合わせた場合、すなわち、両者から挟み込み検出信号が出力されてはじめてモータが反転するようにした場合、いずれかの検出方式に故障等が生じるとモータの反転が不能となり挟み込み防止としての信頼性に欠けるといった問題がある。一方、直接検出方式と間接検出方式とをOR条件とした場合には上記AND条件における問題は解決される。ところが、車両乗員の安全確保のために挟み込み防止制御をキャンセルして強制的に窓ガラスを閉じ切りたいケース(例えば、暴漢に襲われそうになった場合等)があり、OR条件で組み合わせた場合には窓枠センサに触れただけでウインドが開作動してしまい不用意な窓ガラス開作動は避けられない。
【0005】
そこで、これら問題を解決するために本願発明は、挟み込みの防止を確実に行うと共に不用意な窓ガラスの開作動を防止できる窓開閉制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1は、車両の窓開口内を移動する窓体と、前記窓体を開閉駆動するモータと、前記モータに加わる駆動負荷を検出する負荷検出手段と、窓開口を構成する窓枠に沿って配設され、前記窓枠に作用する外力を感知する感知手段と、車室内に設けられたスイッチを有し、該スイッチを操作している間は前記モータを駆動し操作を止めると前記モータが停止するマニュアル閉作動、及び前記スイッチを操作すると前記モータが駆動し操作を止めても前記窓体が全閉位置まで移動し続けるよう前記モータを駆動するオート閉作動のいずれかに選択可能な選択手段と、前記選択手段によりオート閉作動が選択された場合であって、前記負荷検出手段により検出された駆動負荷が所定値を越えるか、或いは前記感知手段により感知された感知外力が所定値を越えるかのいずれか一方のときに前記窓体の閉方向への移動を中断するように前記モータを制御する第1制御手段と、前記選択手段によりマニュアル閉作動が選択された場合には、前記負荷検出手段により検出された駆動負荷或いは前記感知手段により感知された感知外力に拘わらず前記窓体の閉方向への移動を継続するように前記モータを制御する第2制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0010】
本発明の請求項1記載の窓開閉制御装置によれば、第1制御手段は、選択手段によりオート閉作動が選択された場合、負荷検出手段により検出された駆動負荷が所定値を越えるか、或いは感知手段により感知された感知外力が所定値を越えるかのいずれか一方のときに窓体の閉方向への移動を中断するようにモータを制御する。一方、第2制御手段は、選択手段によりマニュアル閉作動が選択された場合には、負荷検出手段により検出された駆動負荷或いは感知手段により感知された感知外力に拘わらず窓体の閉方向への移動を継続するようにモータを制御する。
【0011】
これにより、オート閉作動時には負荷検出手段或いは感知手段のいずれか一方の検出信号に基づいて窓体の移動が中断(停止又は反転)され、異物の挟み込みが防止される。また、負荷検出手段及び感知手段を無視して窓体の閉方向への移動を継続するため、オート閉作動に対して、乗員の半手動操作で行われるマニュアル閉作動時には、窓枠及び窓体に触れても不用意に窓体の移動が中断されることがない。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1は第1実施形態に係るパワーウインドウシステムの概略構成を示し、1は車両ドアであり、2は窓開口3を構成するウエザストリップを含む窓枠である。また、4は窓開口3内で移動して窓開口3を開閉する窓ガラス(窓体)であり、窓ガラス4は図示しないバッテリーから電力を得て回転するパワーウインドウモータ5(駆動手段)によって窓開口3内を開閉移動する。
【0013】
また、6はパワーウインドウモータ5(以下、モータ5と称す)の回転数を検出する回転センサであり、7は窓枠2のうち窓ガラス4の移動方向に対して傾斜した前辺部(Aピラー部)2a、窓ガラス4の移動方向に対して略直交する上辺部2b、上辺部2bから略垂直方向に延ばされた後辺部(Bピラー部)2cに渡って配設され窓枠2に作用する外力を感知する感圧センサ(感知手段)である。そして、回転センサ6の検出信号及び感圧センサ7の検出信号は、モータ5の作動を制御する制御回路10に入力される。
【0014】
ここで、図3に示すように、上記感圧センサ7は、ゴムや軟質の合成樹脂材料等、絶縁性を有する弾性材によって長尺状に形成されたセンサ本体を構成する外皮部72を備えている。この外皮部72の内部には断面十字形状の十字孔74が外皮部72の長手方向に沿って形成されている。この十字孔74は外皮部72の長手方向に沿って外皮部72の中心周りに漸次変位している。また、外皮部72の内部には銅線等の導電性細線を寄り合わせることにより可撓性を有し、外皮部72と共にセンサ本体を構成する電極76,78,80,82が設けられている。
【0015】
これら電極76,78,80,82は十字孔74に沿って螺旋状に配設され、十字孔74の内周部へ一体に固着されている。したがって、外皮部74が弾性変形することで電極76,78,80,82が撓み、特に、十字孔74が潰れる程度に外皮部72が弾性変形すれば、電極76,78,80,82のうちの任意の何れか、或いは全てが接触して導通する。また、外皮部64が復元すれば電極76,78,80,82もまた復元する。
【0016】
また、図4の回路図に示されるように、電極76と電極80は長手方向一端部で導通しており、電極78と電極82もまた長手方向一端部で導通している。また、電極70と電極78は長手方向他端部で抵抗84を介して導通している。さらに、電極76,82の各々の長手方向他端部はリード線を介して図示しないバッテリーへ接続されている。但し、電極82だけは、所定値以上の電流が流れると信号を出力する判定手段としての電流検出素子88が接続されている。
【0017】
すなわち、電極76から電極78,80を介して電極82へ流れる電流は、通常、抵抗を介して流れるが、仮に、外皮部72が押し潰されて電極76又は電極80が電極78又は電極82と接触して短絡すると、電流は抵抗84を介さずに流れるため、例えば一定の電圧でこの回路に電流を流していれば電流値が変化して回路中に流れる電流が増加する。このように、電流が増加して電流検出素子88から圧力検出信号7aが出力されることで外皮部72が押し潰されたか否か、つまり感圧センサ7に外力が作用したか否かを検知できる。
【0018】
一方、上記回転センサ6は、モータ5の減速ギヤの側面等に配設され、詳しくは、図5に示すように、絶縁性を有する円盤状のベース61と、ベース61上に固定され導電性のシート部材から成るパルスプレート62とを備えている。パルスプレート62には略円盤形状の円盤部64が形成されている。この円盤部64はモータ5の出力軸5aに同軸的に連結され出力軸5aと共に回転する。また、円盤部64にはコンタクトプレート102が摺接している。
【0019】
さらに、円盤部64の外周部からは所定角度毎に間隔をおいて複数の突起部68が放射状に突出形成されている。これら突起部68の回転軌跡上にはコンタクトプレート100の先端部が位置しており、パルスプレート62がモータ出力軸5aと共に回転して突起部68の何れか1つがコンタクトプレート100の先端部と対向すると、その突起部68とコンタクトプレート100が接触して導通し、これによりコンタクトプレート100がパルスプレート62を介してコンタクトプレート102と導通する。
【0020】
コンタクトプレート100,102の基端部は電源に電気的に接続されており、上述した導通状態の場合のみに電流が流れる。したがって、出力軸5aが回転すると断続的に電流が流れ、このときの電圧がパルス電圧となる。このパルス電圧のパルス数(導通回数)はコンタクトプレート100と電源との間に設けられたパルスカウンタ106によって計数される。図5に示されるように、パルスカウンタ106は速度変化率検出信号11(負荷検出手段)へ接続されている。
【0021】
ここで、本実施形態のパワーウインドシステムにおける駆動制御を論理回路を用いて説明する。
図2は、制御回路10の制御作動を示す論理回路図である。
回転センサ6から出力されたパルス信号6aは、このパルス信号6aに基づいてモータ5の回転速度の変化率を求める速度変化率検出回路11(負荷検出手段)に入力される。この速度変化率検出回路11は、モータ5の回転速度の変化率、即ち、窓ガラス4の移動速度の変化率が所定値を越えたときに、モータ5の駆動負荷が所定値を越えたものとみなしてORゲート16に向けて負荷検出信号11aを出力する。そして、ORゲート16から出力される結果は第1ANDゲート14に入力されるようになっている。
【0022】
一方、窓枠2に配設された感圧センサ7からの圧力検出信号7aは、上記ORゲート16に入力される。つまり、負荷検出信号11a及び圧力検出信号7aのいずれか一方の信号が上記ORゲート16から第1ANDゲート14へ向けて出力される。
【0023】
さらに、本実施形態に係るパワーウインドシステムは、車室内に設けられた窓開閉スイッチ29を備えている。窓開閉スイッチ29は、既知のマニュアルアップ作動機構(スイッチをアップ側に1段操作するとモータ5が窓ガラス4を閉移動させ、スイッチから手を離せばモータ5の回転は停止する)及びオートアップ作動機構(スイッチをアップ側に2段階操作するとモータ5が窓ガラス4を閉移動させ、スイッチから手を離しても全閉位置までオートアップする)の何れかを選択可能とされており、作動判定回路22はマニュアルアップ動作及びオートアップ動作の何れかが選択されたかを判定する。そして、動作判定回路22は、オートアップ動作が選択された場合、動作判定回路22から第1ANDゲート14に向けてオート動作信号22aを出力する。一方、マニュアルアップ動作が選択された場合、動作判定回路22から第2ANDゲート15に向けてマニュアル動作信号22bを出力する。
【0024】
以上、説明した論理回路に基づき第1ANDゲート14又は第2ANDゲート15からの各出力結果が、場合に応じてモータ反転指令回路17に入力される。モータ反転指令回路17はモータ駆動回路18に接続されている。
【0025】
次に、上記論理回路に基づいて本実施形態の作用をパワーウインドウのオートアップ動作時、マニュアルアップ動作時の各場合に分けて説明する。
【0026】
(オートアップ動作時)
窓開閉スイッチ20(選択手段)にてオートアップ動作が選択されると、モータ5が駆動し窓ガラス4が閉方向に移動する。そして、モータ5に取り付けられた回転センサ6からのパルス信号6aが速度変化率検出回路11に入力され、該速度変化率検出回路11から負荷検出信号11aが出力される。そして、負荷検出信号11aが出力されるか、或いは感圧センサ7から圧力検出信号7aが出力されるかのいずれか一方のときに、異物が挟み込まれたものと判断してモータ反転指令回路17に向けて第1ANDゲート14から挟み込み検出信号14aが出力される。さらに、モータ反転指令回路17から出力されたモータ反転信号17aに基づきモータ駆動回路18がモータ5の回転を反転或いは停止させ、窓ガラス4の閉方向への移動を中断させる(本願発明の第1制御手段)。
【0027】
これにより、窓枠2及び窓ガラス4のいずれかに加わる外力のうち、先に検出された検出結果(圧力検出信号7a及び負荷検出信号11aのいずれか一方)に基づいて窓ガラス4の移動が中断されるため、窓開口3内に存在する異物をいち早く検出することができる。
【0028】
(マニュアルアップ動作時)
窓開閉スイッチ20にてマニュアルアップ動作が選択されると、モータ5が駆動し窓ガラス4が閉方向に移動する。そして、窓開口3の全域において、回転センサ6からのパルス信号6aに基づき速度変化率検出回路11から負荷検出信号11aが出力されたときのみ、異物が挟み込まれたものと判断してモータ反転指令回路17に向けて第2ANDゲート15から挟み込み検出信号15aが出力される。そして、モータ反転指令回路17から出力されたモータ反転信号17aに基づきモータ駆動回路18がモータ5の回転を反転或いは停止させ、窓ガラス4の閉方向への移動を中断させる(本願発明の第2制御手段)。
【0029】
以上説明したように、オート閉作動時には速度変化率検出回路11(負荷検出手段)或いは感圧センサ7(感知手段)のいずれか一方の検出信号(負荷検出信号11a又は圧力検出信号7a)に基づいて窓ガラス4の移動が中断(停止又は反転)され異物の挟み込みが防止される。また、マニュアル閉作動には速度変化率検出回路11からの負荷検出信号11aのみに基づいて窓ガラス4の移動が停止又は反転される。
【0030】
すなわち、マニュアル閉作動時の挟み込み防止は、感圧センサ7が窓ガラス4の移動を中断させる条件から外され負荷検出信号11aのみに基づいて行われる。そのため、オート閉作動に対して、乗員の半手動操作で行われるマニュアル閉作動時には、窓枠2に触れても不用意に窓体の移動が中断されることがない。また、本第1実施形態においては、従来から不感帯領域としてマスク処理が行われていた窓枠2の後辺部2c(Bピラー部)にも感圧センサ7が配設されているため、窓枠2の全周に渡って異物挟み込みを防止できる。
【0031】
次に、本発明に係る第2実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、上記第1実施形態と同一の部材には同じ符号を付しその説明を省略する。
【0032】
〔第2実施形態〕
図6に示すように、本第2実施形態はマニュアルアップ動作時に、窓開口3全域において速度変化率検出回路11からの負荷検出信号11a及び感圧センサ7からの圧力検知信号7aの両者を無視して窓ガラス4の閉方向への移動を継続して行うようにモータ5を制御したことを特徴としている。つまり、オートアップ動作時には上記第1実施形態と同じ制御が行われるものの、マニュアルアップ動作時には、負荷検出信号11a及び圧力検知信号7aをキャンセルして(負荷検出信号11a及び圧力検知信号7aに拘わらず)マニュアルアップ動作を窓開口3全域に渡って優先操作させている。これにより暴漢対策に貢献できる。
【0033】
上記第1及び第2実施形態において、回転センサ6を摺動接点式のセンサとしたが、これに限らず、ホールICや光センサ等の非接触式センサによりモータ5の回転数を検出してもよい。さらに、上記実施形態において、パワーウインドウシステムを例にとって説明したが、これに限らず本発明の窓開閉制御装置は、車両のサンルーフシステム、スライドドア等、スライド移動する開閉体を備えるシステムに用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るパワーウインドウシステムの概略構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態に係る制御回路の論理回路図である。
【図3】感圧センサの構成を示す斜視図である。
【図4】感圧センサの回路図である。
【図5】負荷検出手段の構成を示す模式図である。
【図6】第2実施形態に係るパワーウインドウシステムの概略構成を示す模式図である。
【符号の説明】
2…窓枠、3…窓開口、4…窓ガラス(窓体)、5…モータ(駆動手段)、6…回転センサ(負荷検出手段)、7…感圧センサ(感知手段)、10…制御回路、11…速度変化率検出回路(負荷検出手段)、29…窓開閉スイッチ(選択手段)
Claims (1)
- 車両の窓開口内を移動する窓体と、
前記窓体を開閉駆動するモータと、
前記モータに加わる駆動負荷を検出する負荷検出手段と、
窓開口を構成する窓枠に沿って配設され、前記窓枠に作用する外力を感知する感知手段と、
車室内に設けられたスイッチを有し、該スイッチを操作している間は前記モータを駆動し操作を止めると前記モータが停止するマニュアル閉作動、及び前記スイッチを操作すると前記モータが駆動し操作を止めても前記窓体が全閉位置まで移動し続けるよう前記モータを駆動するオート閉作動のいずれかに選択可能な選択手段と、
前記選択手段によりオート閉作動が選択された場合であって、前記負荷検出手段により検出された駆動負荷が所定値を越えるか、或いは前記感知手段により感知された感知外力が所定値を越えるかのいずれか一方のときに前記窓体の閉方向への移動を中断するように前記モータを制御する第1制御手段と、
前記選択手段によりマニュアル閉作動が選択された場合には、前記負荷検出手段により検出された駆動負荷或いは前記感知手段により感知された感知外力に拘わらず前記窓体の閉方向への移動を継続するように前記モータを制御する第2制御手段と、を備えることを特徴とする窓開閉制御装置。
Priority Applications (2)
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