JP3865536B2 - ワイパ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車に搭載されたワイパ装置を作動させるためのワイパ制御装置に係わり、とくに高速作動時と低速作動時とでワイパモータの回転方向を逆にすると共に、ワイパアームに偏心メタル機構を用いたアーム長さの調整装置を取付けることによって、高速作動時のワイパアーム長さを低速作動時のワイパアーム長さよりも短くなるようにし、もってワイパブレードの慣性によって生じる高速作動時と低速作動時における払拭範囲の差を解消するようにしたワイパ装置を制御するためのワイパ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両のウインドシールドガラスに付着した雨滴を払拭して、ドライバーの視界を確保するためのワイパ装置としては、種々の構造や機能を備えたものが用いられているが、最近では降雨量に応じてワイパブレードの作動速度を高低2段の連続作動、および低速間欠作動に切り替えることができるようになったものが一般的である。
【0003】
このようなワイパ装置においては、ワイパブレードの運動エネルギが低速作動時よりも高速作動時の方が大きくなることから、慣性力の差によって高速作動時の払拭範囲の方が低速作動時の払拭範囲よりも広くなる現象があり、このために高速作動時におけるワイパブレードの作動範囲に基づいてウインドシールドガラスの払拭範囲を設定すると、低速作動時には拭き残しが生じて視野が狭くなる一方、低速作動時におけるワイパブレードの作動範囲に基づいてウインドシールドガラスの払拭範囲を設定した場合には、高速作動時にはワイパブレードがウインドシールドガラス飛び越してしまうという不具合があった。
【0004】
出願人は、このようなワイパブレードの作動速度の相違による払拭範囲の差を解消するために、高速作動時におけるワイパモータの回転方向を低速作動時とは逆方向とすると共に、モータアームにワイパモータの反転に際して180°回動する偏心メタルを用いたアーム長さの調整装置を取付けることによって、高速作動時のワイパアームの実質長さを低速作動時よりも短くなるようにして、高速作動時の構造的な払拭範囲を低速作動時のそれよりも狭くなるようにし、慣性力が加わることによって拡大される実際の払拭範囲の相違を解消するようにしたワイパリンク装置を先に提案している(特願平10−158026号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したようなワイパリンク装置においては、低速作動時と高速作動時とでワイパモータの回転方向が異なることにおいて従来のリンク装置と根本的に相違するため、モードの切り替え制御やワイパ停止時のオートストップ制御などにおいて従来のワイパ装置とは異なる種々の問題点がある。例えば、低速モードから高速モードへの、あるいは高速モードから低速モードへの切り替えに際して、ワイパモータに電流を供給するには方向と共にモータのブラシ端子を変更することが必要となり、ワイパブレードの位置に係わりなく切り替えを行った場合には、ワイパブレードがウインドシールドガラス上を逆行することになり、違和感を覚えるばかりでなく、ワイパブレードが反転して戻ってくるまで拭き残しができるなどの不具合が生じ、従来とは異なる特殊な制御が必要になるという問題点があり、低速作動時と高速作動時とでワイパモータの回転方向を変えることによって作動速度に基づく払拭範囲の相違を解消した上記のようなワイパリンク装置に適した制御装置の開発が課題となっていた。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、低速作動時と高速作動時とでワイパモータの回転方向が異なるワイパリンク装置における制御上の上記課題に着目してなされたものであって、回転速度と共に回転方向を円滑に切り替えることができ、作動速度の切り替え時や停止時の違和感や拭き残しを生じることのない制御を行うことができるワイパ制御装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係わるワイパ制御装置は、操作に応じて低速指令信号または高速指令信号を選択的に発生するワイパスイッチと、コモンブラシに接続された第1端子と、コモンブラシに対向する位置に配設されたローブラシに接続された第2端子と、コモンブラシとローブラシの間のローブラシ寄りの位置に配設されたハイブラシに接続された第3端子をそなえ、低速正回転および高速逆回転してワイパブレードを下反転位置と上反転位置の間で往復作動させるワイパモータと、電源側に接続された高電位プレートと、接地された低電位プレートと、ワイパブレードの位置に応じて前記高電位プレートおよび低電位プレートに離接して位置信号を発生する可動接点を備えた位置スイッチと、ワイパスイッチからの低速指令信号と位置スイッチからの位置信号に応じて低速駆動信号を出力すると共に、ワイパスイッチからの高速指令信号と位置スイッチからの位置信号に応じて高速駆動信号を出力するコントローラと、コントローラからの低速および高速駆動信号に応じてワイパモータを低速正回転あるいは高速逆回転駆動するモータ駆動回路を備え、前記モータ駆動回路は、4個のリレーと、エミッタ接地されると共にベースがコントローラの高速駆動信号出力ポートに接続された第1のトランジスタと、同じくエミッタ接地されると共にベースがコントローラの低速駆動信号出力ポートに接続された第2のトランジスタを備え、各リレーコイルの一端側がそれぞれ電源側に接続されると共に、第1ないし第3リレーのコイルの他端側が第1トランジスタのコレクタに、第4リレーのコイルの他端側が第2トランジスタのコレクタにそれぞれ接続され、第1リレーの可動接点が電源側に接続されると共に常閉接点がワイパモータの第2端子に接続され、第2リレーの可動接点が接地されると共に常開接点がワイパモータの第3端子に接続され、第3リレーの可動接点がワイパモータの第1端子に接続されると共に常開接点が電源側に、常閉接点が第4リレーの可動接点にそれぞれ接続され、第4リレーの常閉接点が位置スイッチの可動接点に接続されると共に常開接点が接地されている構成としたことを特徴としており、ワイパ制御装置におけるこのような構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0008】
また、本発明の実施の形態として請求項2に係わるワイパ制御装置においては、互いに直列に連結されて一端を電源側に接続され、位置スイッチの可動接点とコントローラの位置信号モニターポートとの間を結ぶ結線途中に他端を接続された2個の抵抗と、これら2個の抵抗の接続点と前記第1トランジスタのコレクタとの間に介装されて第1トランジスタ側に向かう電流を流すダイオードからなる隙間調整回路を備えている構成とし、同じく実施の形態として請求項3に係わるワイパ制御装置においては、2個のコンデンサと、第3および第4のトランジスタと、これら第3および第4のトランジスタの間に介装された第2のダイオードと、高速モードに操作することによって接地されるワイパスイッチの端子と第4トランジスタの間に介装されてワイパスイッチに向かう電流を流す第3のダイオードを有するバックアップ回路を備え、前記第3トランジスタはエミッタ接地されると共にコレクタが電源側に接続され、ベースが第1のコンデンサを介してコントローラのウオッチドッグ信号出力ポートに接続され、第4トランジスタのコレクタが前記モータ駆動回路における第4リレーのコイルの他端に接続されると共にベースが第2ダイオードのカソードに接続され、該第2ダイオードのアノードが第3トランジスタのコレクタに接続されると共に第2のコンデンサを介して接地されている構成としたことを特徴としている。
【0009】
【発明の作用】
本発明の請求項1に係わるワイパ制御装置は、ワイパスイッチと、ワイパモータと、位置スイッチと、コントローラと、モータ駆動回路を備え、モータ駆動回路は4個のリレーと第1および第2のトランジスタを備え、コントローラとワイパモータおよび位置スイッチとの間に上記のように電気的に接続されたものであるから、コントローラの低速駆動信号出力ポートからハイレベル信号(低速駆動信号)が出力されると、第2のトランジスタがオン状態となって第4リレーがオン作動してワイパモータの第2端子(ローブラシ端子)から第1端子(コモンブラシ端子)に向かう電流が供給され、ワイパモータが低速正回転する一方、コントローラの高速駆動信号出力ポートからハイレベル信号(高速駆動信号)が出力されると、第1のトランジスタがオン状態となって第1ないし第3リレーがオン作動してワイパモータの第1端子(コモンブラシ端子)から第3端子(ハイブラシ端子)に向かう電流が供給されて、ワイパモータが高速逆回転することになる。また、コントローラから低速駆動信号も高速駆動信号も出力されていない場合には、すべてのリレーがオフ状態となるが、位置スイッチの可動接点が低電位プレート上にあるうちは自走回路が形成されてワイパモータには低速正回転方向の電流が供給され、可動接点が低電位プレートから離れて高電位プレートに接触するとアーマチュアショート回路が形成されてワイパモータが停止することになる。
【0010】
したがって、位置スイッチの各プレートをワイパブレードの下反転位置および上反転位置への到達にタイミングを合わせて信号変化が生じるように配設すると共に、コントローラがワイパスイッチからの高速指令信号や低速指令信号、位置スイッチからの位置信号に応じて、ワイパブレードの下反転位置あるいは上反転位置への到達にタイミングを合わせて低速駆動信号および高速駆動信号の遮断や切り替えを行うように制御することにより、ワイパスイッチのオフ操作によりワイパブレードが正確に下反転位置(ホームポジション)で自動停止すると共に、ワイパスイッチがモード切り替え操作された場合には、ワイパブレードが上反転位置あるいは下反転位置に到達した時点、つまりワイパリンク機構がデッドポイントに到達した時点おいてワイパモータの回転方向が切り替わることから、ワイパモータの逆転に伴ってワイパブレードがウインドシールドガラス上を逆方向に移動するような不具合がなくなり、円滑な作動モードの切り替えが行われるようになる。
【0011】
本発明の請求項2に係わるワイパ制御装置においては、電源側に接続された2個の抵抗と、これら抵抗間の接続点と第1トランジスタのコレクタとの間に介装されたダイオードからなる隙間調整回路を備えているので、コントローラの高速駆動信号出力ポートからハイレベル信号(高速駆動信号)が出力されている時には、第1トランジスタがオン状態となって2個の抵抗間の接続点がダイオードおよび第1トランジスタを介して接地されることから、位置スイッチの可動接点が高電位プレートと低電位プレートの間の隙間上にあるときにも、コントローラの位置信号モニターポートに入力される位置信号をローレベルとする。一方、コントローラの高速駆動信号出力ポートから高速駆動信号が出力されていない時には、第1トランジスタがオフ状態となるので、位置スイッチの可動接点が前記隙間位置にあるときでも、2個の抵抗によって調整されたハイレベル信号がコントローラの位置信号モニターポートに入力されることになる。すなわち、コントローラは、高速駆動信号が出力されていない低速作動時にはプレート間の隙間を高電位プレートと認識し、高速作動時にはこの隙間を低電位プレートと認識することになるので、作動速度に係わりなく、つまりワイパモータの回転方向がいずれの場合であってもワイパブレードが反転位置よりも手前の所定位置に到達した時点で位置信号に信号変化が生じるように設定することができるようになり、ワイパブレードが慣性によって反転位置を行き過ぎるようなことがなくなり、反転位置で正確に反転し、下反転位置で正確に停止するようになる。
【0012】
また、本発明の請求項3に係わるワイパ制御装置においては、さらにそれぞれ2個のトランジスタ,コンデンサ,ダイオードを備えたバックアップ回路を有しているので、コントローラのウオッチドッグ信号出力ポートからのパルス信号が消滅した場合には、第3のトランジスタがオフ状態となることによって第4のトランジスタがオン状態となるので、このときワイパスイッチを高速モードに操作することにより、第3ダイオードおよびワイパスイッチを介してモータ駆動回路の第4リレーのコイルが励磁され、第4リレーがオン作動する。したがって、万一、コントローラが何らかの原因によって突然に故障したとしても、ワイパスイッチを高速モードに操作することによってワイパモータに低速正回転方向の電流が供給されてワイパブレードが低速作動し、ワイパ装置が操作不能に陥るようなことがなくなる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を図面に基づいてさらに具体的に説明する。
【0014】
図1ないし図13は、本発明の一実施例に係わるワイパ制御装置の構造および制御を説明するためのものであって、図1は当該ワイパ制御装置の回路図である。
【0015】
図に示すワイパ制御装置1は、ワイパスイッチ2,ワイパモータ3,位置スイッチ4,制御ユニット5,パルス発生器6およびウオッシャモータ7から主に構成されており、制御ユニット5には、電源回路8,リセット回路9,コントローラ10,モータ駆動回路11,隙間調整回路12,バックアップ回路13および発振回路14が含まれる。
【0016】
ワイパスイッチ2は、ワイパ装置の操作モードを停止(OFF),間欠作動(INT),低速作動(LOW),高速作動(HI)および洗浄(WASH)に選択できるようになっており、ワイパスイッチ2のH端子が制御ユニット5の7番端子を介して後述するコントローラ10の高速指令信号入力ポートP4に接続されると共に、ワイパスイッチ2のL端子,I端子,W端子がパルス発生器6および制御ユニット5の6番端子を介してコントローラ10の低速指令信号入力ポートP3に接続されており、ワイパスイッチ2が高速モード(HI)に操作されると、制御ユニット5の7番端子がワイパスイッチ2のH端子およびE端子を介して接地され、高速指令信号入力ポートP4にローレベル信号が入力されることによって高速モードの選択がコントローラ10に認識される。
【0017】
ワイパスイッチ2が低速モード(LOW)に操作されると、制御ユニット5の6番端子がパルス発生器6(非作動)およびワイパスイッチ2のL端子,E端子を介して接地されるので、低速高速指令信号入力ポートP3にローレベル信号が入力され、これによって低速モードの選択がコントローラ10に認識される。
【0018】
また、ワイパスイッチ2が間欠モード(INT)に操作されると、制御ユニット5の6番端子がパルス発生器6(作動)およびワイパスイッチ2のL端子,E端子を介して断続的に接地されるので、ワイパモータ3が間欠的に低速作動し、ワイパスイッチ2がウオッシャモード(WASH)に操作されると、ワイパスイッチ2のW端子がE端子を介して接地されるので、ウオッシャモータ7が回転を開始し、洗浄液がウインドシールドガラスに噴射されるようになっている。
【0019】
ワイパモータ3は、第1端子(コモンブラシ端子)3c,第2端子(ローブラシ端子)3aおよび第3端子(ハイブラシ端子)3bを備えた正逆転可能な減速機構付モータであって、第1端子3cは制御ユニット5の3番端子を介して後述するモータ駆動回路11の第3リレーL3の可動接点L3mに接続されており、第2端子3aは制御ユニット5の1番端子を介してモータ駆動回路11の第1リレーL1の常閉接点L1cに接続されると共に、第3端子3bは制御ユニット5の2番端子を介してモータ駆動回路11の第2リレーL2の常開接点L2oに接続されている。なお、ワイパモータ3は、その第2端子3aから第1端子3cに向かう電流によって低速で正回転する一方、第1端子3cから第3端子3bに向かう電流によって高速で逆回転するように設定されている。
【0020】
また、ワイパモータ3は、図2に示すように、ワイパブレード20を往復作動させるリンク装置に機械的に連結されており、ワイパモータ3の出力軸3sにモータアーム21の一端側が固定されている。
【0021】
このモータアーム21の他端側には、偏心メタル22が偏心軸22aを中心に180°の範囲で回動可能に取付けてあり、この偏心メタル22を介してコンロッド23が連結されている。また、コンロッド23の他端は、ピボットシャフト25に一端を固定されたピボットアーム24の他端に連結され、ピボットシャフト25の他端側には先端側にワイパブレード20を装着したワイパアーム26の基端側が固定されている。したがって、ワイパモータ3が回転作動すると、この回転がモータアーム21によってコンロッド23の往復運動として伝達され、コンロッド23の往復運動がピボットアーム24およびピボットシャフト25を介してワイパアーム26およびワイパブレード20の往復揺動に変換され、ワイパブレード20がウインドシールドガラス30上を払拭作動する。
【0022】
このとき、当該リンク装置においては、上記したようにモータアーム21に偏心メタル22が取付けてあり、モータアーム21の回転方向に応じてモータアーム21上を180°回転し、図2(a)に示すようにワイパモータ3が低速で正回転することによって、ワイパモータ3の出力軸3sに固定されたモータアーム21が図中の矢印A方向(時計回り方向)に回転しているときにはモータアーム21の実質長さLaが長くなり、図2(b)に示すようにワイパモータ3が高速で逆回転することによって、モータアーム21が図中の矢印B方向(反時計回り方向)に回転しているときには、モータアーム21の実質長さLbが低速正回転時の長さLaよりも短くなるようにしてあることから、図2(a)に示す低速作動時におけるリンクの構造的な払拭範囲(静的な払拭範囲)Saに較べて、図2(b)に示す高速作動時の構造的な払拭範囲Sbが狭いものとなり、これにワイパブレード20の慣性力が加わることによって拡大される作動時における実際の払拭範囲(動的な払拭範囲)を低速作動時と高速作動時とで差のないものとすることができるようにしてある。
【0023】
位置スイッチ4は、前記ワイパモータ3に内蔵されたものであって、図3に示すように、導電材料からなる扇形をなし電源Bに接続されて円周上の一方側(図中上方側)に位置する高電位プレート4bと、同じく導電材料からなる扇形をなし円周上の他方側(図中下方側)に位置して接地された低電位プレート4eと、ワイパモータ3の出力軸3sに取付けられて出力軸3sと一体回転する押圧部材4pと、高電位プレート4bおよび低電位プレート4eと同心に回転可能に取付けられ、押圧部材4pに当接して押圧方向のみに押圧部材4pと共回りするクラッチ部材4cと、クラッチ部材4cに取付けられて高電位プレート4bおよび低電位プレート4eに摺接する可動接点4mを備えており、可動接点4mは制御ユニット5の4番端子を介してコントローラ10の位置信号モニターポートP5およびモータ駆動回路11の第4リレーL4の常閉接点L4cにそれぞれ接続されている。したがって、可動接点4mが高電位プレート4b上にあるときにはハイレベル信号が、低電位プレート4e上にあるときにはローレベル信号がコントローラ10の位置信号モニターポートP5にそれぞれ供給されるようになっている。
【0024】
なお、クラッチ部材4cは押圧部材4pに押されて押圧方向にのみ共回りするようになっているので、ワイパモータ3の逆転時には、出力軸3sと共に押圧部材4pが逆方向にほぼ一周する間、可動接点4mが逆転開始時の位置に置き去りにされるようになっている。
【0025】
また、この実施例における位置スイッチ4の高電位プレート4bと低電位プレート4eの配置およびクラッチ部材4cの大きさについては、図3(a)および(b)に示すように、ワイパモータ3の出力軸と一体回転する押圧部材4pが図中の矢印A方向(時計回り方向)に低速正回転している場合には、押圧部材4pの中心部分がワイパブレード20の下反転位置に対応する位置P1よりもθa=18°だけ手前の位置に到達した時点で位置スイッチ4の可動接点4mが低電位プレート4eから離れるように、また、同様にワイパブレードの上反転位置に対応する位置P2よりもθa=18°だけ手前の位置に到達した時点で接点4mが低電位プレート4eに接触するように設定してある。また、図3(c)に示すように、押圧部材4pがワイパモータ3の出力軸3sと共に図中の矢印B方向(反時計回り方向)に高速逆回転している場合には、押圧部材4pの中心部分がワイパブレード20の下反転位置に対応する位置P1よりもθb=18°だけ手前の位置に到達した時点で可動接点4mが高電位プレート4eから離れるように設定してある。
【0026】
制御ユニット5内の電源回路8は、イグニッションスイッチ15を介して電源Bに接続された5番端子とコントローラ10の電源ポートP2の間に接続された定電圧回路であって、イグニッションスイッチ15のオン操作によって定電圧電位をコントローラ10に供給する機能を有する。
【0027】
リセット回路9は、前記電源回路8とコントローラ10のリセットポートP1の間に接続された遅延回路であって、イグニッションスイッチ15が投入されたのち、所定の時間リセットポートP1を接地することによってマイクロコンピュータであるコントローラ10を初期状態にリセットする機能を備えている。
【0028】
コントローラ10は、前述のようにマイクロコンピュータ(マイクロプロセッサ)であって、既述のリセットポートP1,電源ポートP2,低速指令信号入力ポートP3,高速指令信号入力ポートP4,位置信号モニターポートP5に加えて、低速指令信号入力ポートP3を経てワイパスイッチ2から入力された低速指令信号と位置信号モニターポートP5を経て位置スイッチ4から入力された位置信号に応じて低速駆動信号を出力する低速駆動信号出力ポートP6、ウオッチドッグ信号を出力するウオッチドッグ信号出力ポートP7、高速指令信号入力ポートP4を経てワイパスイッチ2から入力された高速指令信号と位置信号モニターポートP5からの前記位置信号に応じて高速駆動信号を出力する高速駆動信号出力ポートP8、さらに後述する発振回路14が接続される発振ポートP9,P10を備えている。
【0029】
モータ駆動回路11は、4個のリレーL1,L2,L3,L4とトランジスタTR1およびTR2から主に構成され、第1ないし第3リレーL1,L2,L3のリレーコイルL1s,L2s,L3sの一端側が電源側に接続されると共に、他端側においてエミッタが接地された第1トランジスタTR1のコレクタにそれぞれ接続され、当該第1トランジスタTR1のベースは、コントローラ10の高速駆動信号出力ポートP8に接続されている。
【0030】
そして、第1リレーL1の可動接点L1mは、第3リレーL3の常開接点L3oと共に電源側に接続されると共に、常閉接点L1cは前述のように制御ユニット5の1番端子を介してワイパモータ3の第2端子(ローブラシ)3aに接続されている。また、第2リレーL2の可動接点L2mは接地され、常開接点L2oは2番端子を介してワイパモータ3の第3端子(ハイブラシ)3bに接続されている。さらに第3リレーL3の可動接点L3mが3番端子を介してワイパモータ3の第1端子(コモンブラシ)3cに接続され、常閉接点L3cは第4リレーL4の可動接点L3mに接続されている。
【0031】
また、第4リレーL4のリレーコイルL4sの一端側が同様に電源側に接続されると共に、他端側はエミッタが接地された第2トランジスタTR2のコレクタに接続され、第2トランジスタTR2のベースは、コントローラ10の低速駆動信号出力ポートP6に接続されている。さらに、第4リレーL4の常開接点L4oは接地され、常閉接点L4cは、前述のように制御ユニット5の3番端子を介してワイパモータ3の第1端子3cに接続されると共に、可動接点L4mは第3リレーL3の常閉接点L3cに接続されている。
【0032】
隙間調整回路12は、2個の抵抗R1,R2とダイオードD1から構成され、電源電圧を抵抗R1,R2によって調圧してコントローラ10の位置信号モニターポートP5と位置スイッチ4の可動接点4mを接続する結線の途中に印加すると共に、これら抵抗R1とR2との接続点をダイオードD1を介してトランジスタTR1のコレクタに接続したものである。
【0033】
すなわち、コントローラ10の高速駆動信号出力ポートP8からの高速駆動信号が停止しているときにはトランジスタTR1がオフ状態となるので、位置スイッチ4の接点4mが高電位プレート4bから離れて両プレート4b,4e間の隙間にあるときでも、この隙間調整回路13によって、抵抗R1,R2により調整されたハイレベル信号がコントローラ10の位置信号モニターポートP5に入力される。一方、高速駆動信号出力ポートP8から高速駆動信号が出力されているときにはトランジスタTR1がオン状態となって、抵抗R1とR2の間の接続点がダイオードD3およびトランジスタTR1を介して接地されるので、位置スイッチ4の可動接点4mが高電位プレート4bから離れると同時に位置信号モニターポートP5に入力される位置信号がローレベルに変化することになる。
【0034】
したがって、位置スイッチ4の高電位プレート4bおよび低電位プレート4eを図3に示したような配置とすることにより、押圧部材4pがワイパモータ3の出力軸3sと共に図中の矢印A方向に低速正回転している場合(高速駆動信号は出力されていない)には、図3(a)に示すように押圧部材4pがワイパブレード20の下反転位置に対応する位置P1よりも、この実施例ではθa=18°だけ手前の位置に到達して、可動接点4mが低電位プレート4eから離れると同時に位置信号モニターポートP5に入力される位置信号がローレベルからハイレベルに変化し、コントローラ10が位置信号の信号変化(L→H)を検知することになり、この時点でワイパモータ3を停止させたり、反転させたりすることによって、ワイパブレード20が慣性によって下反転位置を通り過ぎることなく、下反転位置において正確に停止させたり、高速モードへの切り替えを行うことができる。
【0035】
また、同じく図中の矢印A方向に低速正回転している場合に、図3(b)に示すように、可動接点4mが高電位プレート4bから離れた時には、可動接点4mが高電位プレート4bから離れた時点では位置信号に変化はなく、押圧部材4pがワイパブレード20の上反転位置に対応する位置P2よりもθa=18°だけ手前の位置に到達して可動接点4mが低電位プレート4eに接触した時点で、位置信号モニターポートP5に入力される位置信号がハイレベルからローレベルに変化し、コントローラ10が位置信号変化(H→L)を検知することになる。したがって、この信号変化に応じてワイパモータ3を反転させることによって、慣性によるワイパブレード20の通過を防止して、上反転位置において正確に高速モードへの切り替えを行うことができる。
【0036】
一方、図3(c)に示すように、押圧部材4pが出力軸3sと共に図中の矢印B方向に高速逆回転している場合(高速駆動信号出力中)には、押圧部材4pがワイパブレード20の下反転位置に対応する位置P1よりもθb=18°だけ手前の位置に到達して、可動接点4mが高電位プレート4bから離れると同時に位置信号モニターポートP5に入力される位置信号がハイレベルからローレベルに変化し、コントローラ10が位置信号の変化(H→L)が検知され、この時点で高速駆動信号を低速駆動信号に切り替えることにより下反転位置で正確にワイパブレード20を反転させると共に、高速モードを低速モードに切り替えることができる。
【0037】
すなわち、隙間調整回路12は、ワイパモータ3の回転方向に係わりなく、言い換えると低速モード,高速モードのいずれの場合にも、ワイパブレード20が下反転位置の手前の所定位置に到達した時点で位置スイッチ4からの位置信号に変化が生じるようにする機能を有している。
【0038】
なお、位置スイッチ4のプレート配置について、この実施例ではθa,θbともに18°に設定した例を示したが、作動速度による慣性力の差を考慮してθbをθaよりも大きな角度に設定することも可能である。
【0039】
バックアップ回路13は、2個のトランジスタTR3,TR4、コンデンサC1,C2、およびダイオードD2,D3から主に構成され、トランジスタTR3のベースは、コンデンサC1を介してコントローラ10のウオッチドッグ信号出力ポートP7に接続され、エミッタが接地されると共に、コレクタが電源Bに接続され、抵抗およびダイオードD2を介してトランジスタTR4のベースに接続されている。また、トランジスタTR4のコレクタは、モータ駆動回路11の第4リレーL4のコイルL4sの他端側(下流側)に接続され、トランジスタTR4のエミッタはダイオードD3を介して制御ユニット5の7番端子に接続され、制御ユニット5の7番端子は先に述べたようにワイパスイッチ2のH端子に接続されている。
【0040】
バックアップ回路13においては、コントローラ10のウオッチドッグ信号出力ポートP7からウオッチドッグ信号が正常に出力されている間は、コンデンサC1が充電され、トランジスタTR3がオン状態となり、ベースが低電位となってトランジスタTR4がオフ状態となっているが、何らかの原因によってウオッチドッグ信号の出力が途絶えると、コンデンサC1が放電されてTR3がオフされ、コンデンサC1が充電されることによってトランジスタTR4がオンできる状態となる。このとき、ワイパスイッチ2を高速モード(HI)に操作すると、第4リレーL4のリレーコイルL4sがトランジスタTR4,ダイオードD3およびワイパスイッチ2のH端子およびE端子を介して接地されることから、第4リレーL4がオン状態となり、後述する図5(b)に示すように、ワイパモータ3に低速正回転方向の電流が供給され、ワイパブレードが低速作動する。
【0041】
すなわち、この実施例においては、コントローラ10のマイクロコンピュータが万一故障したとしても、ワイパスイッチ2を高速モード(HI)に操作することによって低速作動させることができ、ワイパ装置が操作不能に陥ることがないようになっている。
【0042】
発振回路14は、クロック信号発振器14aと2個のコンデンサからなり、コントローラ10の発振ポートP9,P10に接続されて、マイクロコンピュータであるコントローラ10に制御用のクロック信号を与える。
【0043】
次に、フローチャートやタイムチャートなどに基づいて、上記構造のワイパ制御装置1の制御について説明する。
【0044】
(1)制御開始
図4に示すフローチャートにおいて、当該制御装置1の電源が投入されて制御がスタートすると、まず、ステップ101において内部レジスタが初期設定される。
【0045】
そして、ステップ102においてタイマーがスタートし、プログラム周期を常に1msに保持するため、ステップ103において1ms経過するまで待機する。1msの時間経過ののち、ステップ104に進み、前記タイマーをクリヤしたのち、再スタートさせる。
【0046】
続いて、ステップ105および106において、ワイパスイッチからのスイッチ入力およびオートストップスイッチの状態を読み込んだ後、ステップ107において、入力信号のチャタリング回避処理、すなわちワイパスイッチおよびオートストップスイッチからの信号を複数回読み込み、これらの信号が変わることなく安定した状態であることを確認して、以下のステップに移行する。
【0047】
そして、ステップ108および109において、ワイパスイッチ2がオン操作されたかどうか、すなわち指令信号入力ポートP3あるいはP4への信号入力の有無が判定され、信号入力がない場合(NO)には、ステップ110および111において、高速作動フラッグFH および低速作動フラッグFL がセットされているかどうかが判定されるが、この場合には両フラッグFH およびFL は共に、ステップ101で初期設定(=0)されたまま(NO)なので、ステップ112および113において、これらフラッグFH およびFL が再度クリヤされたのち、ステップ114および115において、コントローラ10の高速作動信号出力ポートP8および低速作動信号出力ポートP6からの出力がオフされる。すなわちコントローラ10から何も信号出力がないので、各リレーL1ないしL4は、図5(a)に示すようにすべてオフ状態となり、ワイパモータ3は停止状態を維持する。こののち、制御はステップ103に戻り、同様の処理がワイパスイッチ2が操作されるまで繰り返される。
【0048】
(2)低速作動
図6(a)および(b)に示す時刻t0 において、ワイパスイッチ2がオフ状態から低速(LOW)側に操作されると、コントローラ10の低速指令信号入力ポートP3がワイパスイッチ2を介して接地されることから、図4に示すフローチャートのステップ109において低速スイッチがオン操作された(YES)と判定されてステップ116に移行し、ステップ116において低速作動フラッグFL をセット(=1)したのち、ステップ117に進み、高速作動フラッグFH のセット状態が判定される。このとき高速作動フラッグFH は、ステップ112においてクリヤされたまま(NO)なので、ステップ117からステップ118および119に進み、高速駆動信号出力ポートP8からは信号を出力することなく、ステップ119において低速駆動信号出力ポートP6から低速駆動信号が出力される。
【0049】
低速駆動信号出力ポートP6からの信号出力によって、リレー回路11のトランジスタTR2がオン状態となることによってリレ−L4のコイルL4sが励磁され、図5(b)に示すように当該リレ−L4のみがオンされることから、電源Bから第1リレーL1の常閉側接点L1c、ワイパモータ3の第2端子(ローブラシ)3a、ワイパモータ3の第1端子3c、第3リレーL3の常閉側接点L3c、および第4リレーL4の常開側接点L4oを経て接地される給電回路が形成され、ワイパモータ3が低速での正回転を開始し、ワイパブレード20が低速で払拭作動を始める。こののち、制御はステップ103に戻り、ワイパスイッチ2が次に操作されるまで同様の処理が繰り返され、ワイパブレード20による低速払拭作動が続けられる。
【0050】
(3)低速モードにおけるオフ操作
ワイパ装置が低速作動している状態(低速モード)で、ワイパスイッチ2がオフ操作されると、ワイパスイッチ2からの低速指令信号が消滅(低速指令信号入力ポートP3が接地されなくなる)し、図4に示すフローチャートのステップ109において低速スイッチがオン操作されていない(NO)と判定される。そして、ステップ110では高速作動フラッグFH がセットされていない(NO)と判定されて、ステップ111に進み、ステップ111において低速作動フラッグFL の状態が判定される。この場合には、ステップ116において低速作動フラッグFL がセットされているので、ステップ120に移行し、ステップ120においてコントローラ10の位置信号モニターポートP5からの入力信号、すなわちワイパブレード20の位置が参照される。
【0051】
図6(a)に示す時刻t1 、すなわち位置スイッチ4の可動接点4mが低電位プレート4e上にあるとき、言い換えるとワイパブレード20が上反転位置から下反転位置(ホームポジション)に向かっている時にワイパスイッチ2のオフ操作が行われた場合には、位置スイッチ4の接点4mが低電位プレート4eを介して接地されることから、ステップ120において位置信号モニターポートP5からの位置信号入力がローレベルである(YES)と判定され、ステップ121において低速作動フラッグFL をクリヤしたのち、ステップ114および115に移行し、ステップ115において低速駆動信号出力ポートP6からの低速駆動信号が停止される。
【0052】
低速駆動信号出力ポートP6からの低速駆動信号出力の停止により、トランジスタTR2がオフ状態となり、リレ−L4のコイルL4sが消磁され、すべてのリレーがオフ状態となるが、図5(c)に示すように位置スイッチ4の可動接点4mが低電位プレート4eに接触している間は、電源Bから第1リレーL1の常閉側接点L1c、ワイパモータ3の第2端子3a、ワイパモータ3の第1端子3c、第3リレーL3の常閉側接点L3c、第4リレーL4の常閉側接点L4c、および位置スイッチ4の低電位プレート4eを経て接地される自走回路が形成されるため、ワイパモータ3は低速での正回転を続ける。そして、時刻t2 においてワイパブレード20が下反転位置直前の所定位置に達すると、位置スイッチ4の可動接点4mが低電位プレート4eから離れて自走回路が遮断されるが、こののちも惰性によってさらに回転し、ワイパブレード20が下反転位置に到達して位置スイッチ4の可動接点4mが高電位プレート4bに接触した時点で、図5(a)に示すようにアーマチュアショート回路が形成され、これによってワイパモータ3が停止し、ワイパブレード20は下反転位置(ホームポジション)で停止する。
【0053】
また、図6(b)に示す時刻t3 、すなわち位置スイッチ4の可動接点4mが高電位プレート4b上にあるとき、言い換えるとワイパブレード20が下反転位置から上反転位置に向かっている時にワイパスイッチ2が低速モード(LOW)からオフ操作された場合には、位置スイッチ4の可動接点4mが高電位プレート4bを介して電源Bに接続されることから、位置信号モニタポートP5がハイレベルとなることによって、ステップ120において位置信号モニターポートP5からの入力信号がローレベルではない(NO)と判定され、ステップ118および119に移行して、低速駆動信号出力ポートP6からの低速駆動信号出力が保持され、ワイパモータ3の低速正回転が継続される。
【0054】
そして、時刻t4 において、位置スイッチ4の可動接点4mが低電位プレート4eを介して接地され、ステップ120において位置信号モニタポートP5がローレベル(YES)であると判定されると、ステップ121を経てステップ114および115に移行し、ステップ115において低速駆動信号出力ポートP6からの低速駆動信号が停止されるが、以後同様に自走回路による低速正回転回転を続け、位置スイッチ4の可動接点4mが低電位プレート4eから離れて自走回路が遮断された(時刻t5 )のち、高電位プレート4bに接触することでアーマチュアショート回路が形成され、ワイパブレード20が下反転位置(ホームポジション)に停止する。このときのワイパブレード20およびワイパリンクと位置スイッチ4の可動接点4mとの位置関係について図9に基づいて説明する。
【0055】
図9(a)において、位置スイッチ4の可動接点4mが高電位プレート4b上にあるとき(図6(b)に示した時刻t3 )、すなわちワイパブレード20が下反転位置TL( ホームポジション)から上反転位置TU に向かっている時にワイパスイッチ2がオフ操作されると、可動接点4mが高電位プレート4bから離れたのちも隙間調整回路12により位置信号がハイレベルに保持されるので、可動接点4mが低電位プレート4eに接触するまでワイパモータ3の低速正回転が維持される。
【0056】
時刻t4 においてワイパブレード20が上反転位置TU よりもやや手前の所定位置に達すると、図9(b)に示すように位置スイッチ4の接点4mが低電位プレート4eに接触し、低速駆動信号の出力が停止されるが、図5(c)に示したように自走回路が形成されるためワイパモータ3は低速での正回転を続け、ワイパブレード20は、上反転位置TU に達したのち、下反転位置TL に向けて移動を始める。
【0057】
そして、時刻t5 においてワイパブレード20が下反転位置TL よりも手前に設定された所定位置に達すると、図9(c)に示すように位置スイッチ4の可動接点4mが低電位プレート4eから離れて自走回路が遮断されるが、ワイパモータ3は惰性によってさらに回転を続け、位置スイッチ4の可動接点4mが高電位プレート4bに接触した時点で、図5(a)に示したようなアーマチュアショート回路が形成されてワイパモータ3が停止し、ワイパブレード20は、図9(d)に示すように下反転位置TL で停止する。
【0058】
(4)低速モードから高速モードへの切り替え操作
ワイパ装置が低速作動しているときに、ワイパスイッチ2が低速モード(LOW)から高速モード(HI)に切り替え操作されると、ワイパスイッチ2からの低速指令信号が消滅すると同時に、ワイパスイッチ2から高速指令信号が入力、すなわちコントローラ10の高速指令信号入力ポートP4がワイパスイッチ2を介して接地されることから、図4に示すフローチャートのステップ108において高速スイッチがオン操作された(YES)と判定されてステップ122に移行し、ステップ122において高速作動フラッグFH がセットされているかどうかが判定される。
【0059】
この場合、高速作動フラッグFH は、まだセットされていない(NO)ので、ステップ123に移行し、ステップ123において低速作動フラッグFL の状態が判定される。低速作動フラッグFL は、今までの低速作動時にステップ116においてセットされている(YES)ので、ステップ124に移行し、ステップ124においてコントローラ10の位置信号モニタポートP5に入力される位置信号に立下がり(H→L)あるいは立上がり(L→H)の変化があったかどうか、言い換えると、ワイパブレード20が上反転位置、あるいは下反転位置の手前の所定位置に到達したかどうかが判定され、信号変化のない場合(NO)には、ステップ118および119に移行して低速駆動信号出力ポートP6からの低速駆動信号出力を保持し、位置スイッチからの位置信号が変化するまで、ワイパモータ3の低速正回転が継続される。
【0060】
ワイパブレード20が上反転位置あるいは下反転位置直前の所定位置に到達して、位置スイッチ4からの位置信号に変化が認められると、ステップ124(YES)からステップ125および126に進み、高速作動フラッグFH がセットされると共に、低速作動フラッグFL がクリヤされたのち、ステップ127において高速駆動信号出力ポートP8から高速駆動信号が出力されると共に、ステップ128において低速駆動信号出力ポートP6からの信号出力が停止される。
【0061】
低速駆動信号出力ポートP6からの信号出力の停止により、トランジスタTR2がオフ状態となって第4リレ−L4のコイルL4sが消磁(OFF)されると共に、高速駆動信号出力ポートP8からの信号出力によってトランジスタTR1がオン状態となり、これによってリレーL1,L2およびL3のコイルL1s,L2sおよびL3sがそれぞれ励磁(ON)されることから、図5(d)に示すように電源Bから第3リレーL3の常開側接点L3o、ワイパモータ3の第1端子3c、ワイパモータ3の第3端子3b、および第2リレーL2の常開側接点L2oを経て接地される給電回路が形成され、ワイパモータ3の低速正回転が高速逆回転に切り替わる。
【0062】
例えば、図6(c)に示す時刻t1 、すなわち位置スイッチ4の可動接点4mが高電位プレート4b上にあるとき、言い換えると図10(a)に示すように、ワイパブレード20が下反転位置TL から上反転位置TU に向かう途上でワイパスイッチ2が低速モードから高速モードに切り替えられた場合には、図10(b)に示すように位置スイッチ4の可動接点4mが低電位プレート4eに接触して、コントローラ10の位置信号モニタポートP5に入力される位置信号が立下がった(H→L)時刻t2 (前述のように、可動接点4mが高電位プレート4bから離れたのちも低電位プレート4eに接触するまでは、隙間調整回路12によって位置信号がハイレベルに保持される)、すなわちワイパブレード20が上反転位置直前の所定位置に到達したときに低速駆動信号が高速駆動信号に切り替わるが、ワイパモータ3はなおも惰性による正回転(矢印A方向)を続け、図10(c)に示すようにワイパブレード20が上反転位置TU に到達して、位置スイッチ4の押圧部材4pが位置P2に到達した時点でワイパモータ3が高速逆回転を開始する。
【0063】
このとき、可動接点4mは、図10(d)に示すようにワイパモータ3の逆転によって、押圧部材4pが反対方向からクラッチ部材4cに当接するまで低電位プレート4e上に置き去りにされる。また、ワイパモータ3の逆転が開始されると、モータ3の出力軸3sに固定されたモータアーム21の逆回転(矢印B方向回転)に伴って、モータアーム21に取り付けられた偏心メタル22がモータアーム21上を180°反転することによってモータアーム21の実質長さがLaからLbに短くなる(図2参照)ことから、前述のように高速モードにおける実際の払拭範囲を低速モード時と同じにすることができる。
【0064】
一方、図7(d)に示す時刻t3 、すなわち位置スイッチ4の可動接点4mが低電位プレート4e上にあるとき、言い換えると図11(a)に示すように、ワイパブレード20が上反転位置TU から下反転位置TL に向かっている時にワイパスイッチ2が低速モードから高速モードに切り替えられた場合には、図11(b)に示すように位置スイッチ4の可動接点4mが低電位プレート4eから離れ、隙間調整回路12によって位置信号モニタポートP5に入力される位置信号に立上がり(L→H)が生じた時刻t4 、すなわちワイパブレード20が下反転位置直前の所定位置に到達したときに低速駆動信号が高速駆動信号に切り替わるが、ワイパモータ3は同様に惰性による正回転(矢印A方向)を続け、図11(c)に示すようにワイパブレード20が下反転位置TL に到達して、位置スイッチ4の押圧部材4pが位置P1に到達した時点でワイパモータ3が高速逆回転を始める。このとき、可動接点4mは、図11(d)に示すように、押圧部材4pがほぼ1回転する間、高電位プレート4b上に置き去りにされる。また、同様に、ワイパモータ3の逆転によって偏心メタル22が180°回転し、モータアーム21の実質長さがLaからLbに短くなる。
【0065】
このように、ワイパブレード20が下反転位置TL あるいは上反転位置TU にあるときにワイパモータ3の低速正回転が高速逆回転に切り替わるようになっているので、ワイパブレード20がウインドガラス30上で逆行するようなことがなくなり、違和感のない払拭作動となる。また、ワイパスイッチ2を低速から高速に切り替えたのち、最初に到達した反転位置で高速逆回転に切り替わるので、低速モードから高速モードへの切り替えが速やかなものとなる。
【0066】
(5)高速作動
ワイパスイッチ2のオフ状態において、図7(e)に示す時刻t0 でワイパスイッチ2を高速(HI)側にオン操作すると、ワイパスイッチ2を介してコントローラ10の高速指令信号入力ポートP4が接地されることにより、図4に示すフローチャートのステップ108において高速スイッチがオン操作された(YES)と判定されてステップ122に移行し、ステップ122において高速作動フラッグFH の状態が判定される。このとき、高速作動フラッグFH は、ワイパスイッチ2が操作される前に、ステップ112でクリヤされたまま(NO)なので、ステップ123に移行して低速作動フラッグFL がセットされているかどうかが判定される。低速作動フラッグFL もステップ113でクリヤされたまま(NO)なので、ステップ129に進み、ステップ129において低速作動フラッグFL をセットしたのち、ステップ118および119に移行し、ステップ119において低速駆動信号出力ポートP6から低速駆動信号のみが出力される。そして、制御はステップ103に戻る。
【0067】
低速駆動信号出力ポートP6からの低速駆動信号の出力により、トランジスタTR2がオン状態となることによってリレ−L4のコイルL4sが励磁され、第4のリレ−L4のみがオンされることから、図5(b)に示すようにワイパモータ3への低速正回転方向の給電回路が形成されるので、ワイパモータ3が低速での正回転を開始し、ワイパブレード20が低速で払拭作動を始める。
【0068】
ステップ103に戻ったのち、同様にステップ108(YES)およびステップ122(NO)を経てステップ123に進み、ステップ129において低速作動フラッグFL がセットされているので、ステップ123(YES)からステップ124に移行し、位置スイッチ4からの位置信号の変化の有無が判定され、信号変化がない場合にはステップ118および119においてワイパモータ3の低速正回転が維持され、位置スイッチ4から位置信号モニタポートP5に入力される位置信号に信号変化が生じるまでこのような処理が繰り返される。
【0069】
時刻t1 において、ワイパブレード20が上反転位置直前の所定位置に到達し、位置スイッチ4の可動接点4mが低電位プレート4eに接触することによって位置信号モニタポートP5に入力される位置信号に立下がり(H→L)が生じると、ステップ124(YES)からステップ125および126に進み、高速作動フラッグFH がセットされると共に、低速作動フラッグFL がクリヤされたのち、ステップ127において高速駆動信号出力ポートP8から高速駆動信号が出力されると共に、ステップ128において低速駆動信号出力ポートP6からの低速駆動信号の出力が停止される。
【0070】
低速駆動信号出力ポートP6からの信号出力がなくなり、高速駆動信号出力ポートP8から高速駆動信号が出力されることにより、トランジスタTR2がオフ状態、トランジスタTR3がオン状態となって、第4リレ−L4がオフ状態、第1ないし第3リレーL1,L2,L3がそれぞれオン状態となることから、図5(d)に示すようにワイパモータ3への高速逆回転方向の給電回路が形成され、ワイパモータ3の低速正回転が高速逆回転に切り替わり、ワイパブレード20が高速での払拭作動を開始する。このときのワイパブレード20と位置スイッチ4の接点位置との関係については、図10と同様である。また、ワイパモータ3の低速正回転から高速逆回転への切り替わりに伴って、モータアーム21に取付けた偏心メタル22の180°旋回によりモータアーム21の実質長さがLaからLbに短くなる(図2参照)ことも同様である。
【0071】
(6)高速モードにおけるオフ操作
ワイパ装置が高速作動し、図12(a)に示すようにワイパモータ3の出力軸3sがモータアーム21および位置スイッチ4の押圧部材4pと共に、図中の矢印B方向に高速逆回転している状態において、図8(f)に示す時刻t2 でワイパスイッチ2がオフ操作されると、ワイパスイッチ2からの高速指令信号が消滅し(高速指令信号入力ポートP4が接地されなくなる)、図4に示すフローチャートのステップ108において高速スイッチがオン操作されていない(NO)と判定されたのち、ステップ109においても低速スイッチがオン操作されていない(NO)と判定され、高速作動フラッグFH はステップ125においてセットされているので、ステップ110(YES)からステップ130に移行し、ステップ130において、位置信号モニタポートP5への位置信号に立下がり(H→L)があるかどうかが判定される。このような信号変化がない場合(NO)には、ステップ127および128に進み、位置信号に立下がり変化が生じるまでワイパモータ3の高速逆回転が維持される。
【0072】
時刻t3 において、位置スイッチ4の可動接点4mが、図12(b)に示すように、高電位プレート4bに接触すると、位置信号に立上がり(L→H)変化が生じる(可動接点4mが低電位プレート4eから離れても高電位プレート4bに接触するまでは隙間調整回路12により位置信号がローレベルに保持される)が、立下がりではないので無視され、その後、時刻t4 において、図12(c)に示すように、ワイパブレード20が下反転位置直前の所定位置に到達して位置スイッチ4の可動接点4mが高電位プレート4bから離れると、位置信号モニタポートP5が隙間調整回路12の抵抗R2,ダイオードD1およびトランジスタTR1を介して接地されることから、位置信号に立下がり(H→L)が生じたことが検知され、ステップ130(YES)からステップ131に移行して、高速作動フラッグFH をリセットしたのち、ステップ114および115に進み、高速駆動信号出力ポートP8からの出力が停止される。
【0073】
高速駆動信号出力ポートP8からの高速駆動信号が停止すると、トランジスタTR1がオフ状態となり、リレ−L1,L2およびL3のコイルL1s,L2sおよびL3sが消磁され、すべてのリレーがオフ状態となってワイパモータ3への給電回路が遮断されるが、ワイパモータ3は惰性によってなおも回転を続け、、図13(d)に示すように、ワイパブレード20が下反転位置TL に到達し、位置スイッチ4の可動接点4mが低電位プレート4eに接触した状態で停止する。そして、可動接点4mが低電位プレート4eに接触している間は、図5(c)に示すようにワイパモータ3の自走回路が形成されるため、図13(e)に示すように、ワイパモータ3は低速での正回転を始める。このとき、可動接点4mは、押圧部材4pが正回転方向(矢印A)にほぼ1回転してクラッチ部材4cに反対側から当接するまでの間、低電位プレート4e上に置き去りにされ、ワイパブレード20がほぼ1往復する間、ワイパモータ3の自走回路を保持する。
【0074】
そして、ワイパモータ3が低速正回転に切り替わることによって、モータアーム21に取付けられた偏心メタル22が180°旋回し、これによってモータアーム21の実質長さがLbからLaの長さに戻り、ワイパブレード20の構造的な払拭範囲(静的な払拭範囲)がSaに復帰する(図2参照)。なお、時刻t4 において、位置スイッチ4の可動接点4mが高電位プレート4bから離れる(図12(c)参照)ことによって位置信号の立ち下がりが検知されたのち、高速駆動信号の停止によってトランジスタTR1がオフ状態になることから、位置調整回路12によって一時的に位置信号がハイレベルとなるが制御には関係なく、可動接点4mが低電位プレート4e上に移行することによってその直後にローレベルとなる。
【0075】
そして、ワイパモータ3の低速正回転により、位置スイッチ4の押圧部材4pがクラッチ部材4cに反対方向から当接し、時刻t5 において、図13(f)に示すように、ワイパブレード20が下反転位置直前の所定位置に到達して可動接点4mが低電位プレート4eから離れると、自走回路が遮断されるが、ワイパモータ3は惰性によってさらに回転を続け、可動接点4mが高電位プレート4bに接触すると、図5(a)に示すようなアーマチュアショート回路が形成されてワイパモータ3が停止し、図13(g)に示すように、ワイパブレード20は下反転位置TL (ホームポジション)に停止する。
【0076】
すなわち、高速モードにおいてワイパスイッチ2がオフ操作された場合に、ワイパブレード20が下反転位置に到達するまでは高速モードのままとし、下反転位置に到達した時点で自走回路による自動停止に移行するようになっているので、制御が単純化されると共に、ワイパスイッチ2をオフ操作したのち、実際にワイパブレード20が下反転位置に停止するまでの時間を短くすることができる。
【0077】
(7)高速モードにおける低速モードへの切り替え操作
ワイパ装置が高速作動しているときに、図8(g)に示す時刻t1 においてワイパスイッチ2が高速モード(HI)から低速モード(LOW)に切り替え操作されると、ワイパスイッチ2からの高速指令信号が消滅すると同時に、コントローラ10の低速信号入力ポートP3がワイパスイッチ2を介して接地され、図4に示すフローチャートのステップ108において高速スイッチがオン操作されていない(NO)と判定された後、ステップ109において低速スイッチがオン操作されている(YES)と判定されて、制御はステップ116に移行する。ステップ116において低速作動フラッグFL がセットされたのち、ステップ117において高速作動フラッグFH の状態が判定される。
【0078】
高速作動フラッグFH は、ワイパスイッチ2が低速モードに切り替え操作される前の高速作動時にステップ125においてセットされているので、ステップ117からステップ132に移行し、ステップ132において遅延フラッグFD がセットされているかどうかが判定される。遅延フラッグFD は、制御開始時の初期設定においてステップ101でリセット(=0)されたままなのでステップ132(NO)からステップ133に進み、ステップ133において位置スイッチ2からの位置信号に立下がり変化(H→L)があるかどうかが判定される。
【0079】
このような信号の変化が検出されない場合(NO)には、ステップ127および128に進み、高速駆動信号出力ポートP8からの高速駆動信号が維持されるので、ワイパモータ3は高速逆回転を持続する。すなわちワイパブレード20が下反転位置直前の所定に到達して、位置スイッチ4からの位置信号に立下がり変化が生じるまでは、上反転位置TU に到達してもそのまま高速作動を続ける。
【0080】
そして時刻t2 において、ワイパブレード20が下反転位置直前の所定位置に到達して位置スイッチ4の可動接点4mが高電位プレート4b離れて(図12(c)参照)、位置信号モニタポートP5に入力される位置スイッチ4からの位置信号に立下がり変化(H→L)が生じると、ステップ133(YES)からステップ134に移行し、ステップ134で遅延フラッグFD をセットしたのち、ステップ114および115に進み、高速駆動信号出力ポートP8からの高速駆動信号が遮断される。
【0081】
高速駆動信号出力ポートP8からの高速駆動信号の消滅により、トランジスタTR1がオフ状態となり、リレーL1,L2,L3がそれぞれオフされ、すべてのリレーがオフ状態となるが、ワイパモータ3は惰性でさらに回転(逆回転)を続ける。
【0082】
この間に、制御はステップ103に戻り、ステップ104〜ステップ109(YES)、ステップ116およびステップ117(YES)を経て、ステップ132に進み、遅延フラッグFD の状態が判定される。遅延フラッグFD はステップ134においてセットされているので、ステップ132(YES)からステップ135に移行し、遅延カウンタDのカウント値が所定の時間Tに達したかどうかが判定される。なお、この時間Tは位置スイッチの可動接点がBプレートとEプレートの間の隙間を通過するのに要する時間Toよりも十分長い時間に設定されている。
【0083】
遅延カウンタDのカウント値がTに達するまでは、ステップ135(NO)からステップ136に進んで遅延カウンタDをインクリメントしたのち、ステップ114および115において高速駆動信号および低速駆動信号の停止状態を継続し、各リレーのオフ状態を維持する。
【0084】
一方、ワイパモータ3の惰性回転によって、時刻t3 において位置スイッチ4の可動接点4mが低電位プレート4eに接触すると、図5(c)に示すように自走回路が形成されワイパモータ3に低速正回転方向の電流が供給されるが、惰性によってなお逆転方向の回転を続け、ワイパブレード20が下反転位置に到達したのち、ワイパモータ3が自走回路による低速正回転を始める。そして低速正回転を開始したのち、時刻t4 において遅延カウンタDのカウント値がTに達すると、制御はステップ135(YES)からステップ137および138に移行し、遅延カウンタDおよび高速作動フラッグFH をクリヤしたのち、ステップ118および119に進み、コントローラ10の低速駆動信号出力ポートP6から低速駆動信号を発生する。低速駆動信号によって、トランジスタTR2がオン状態となることからリレーRL4がオンされ、図5(b)に示すようなワイパモータ3に対する低速正回転方向の給電回路が形成されるので、ワイパブレード20は低速による払拭作動を続ける。
【0085】
このとき、ワイパモータ3の低速正回転への切り替わりに伴ってモータアーム21に取付けた偏心メタル22の旋回が生じ、これによってモータアーム21の実質長さが図2(a)に示すようにLaに復帰し、ワイパブレード20による構造的な払拭範囲がSaとなることは言うまでもない。
【0086】
このように、高速モードから低速モードへの切り替えに際して、切り替え操作後ワイパブレード20が下反転位置直前の所定位置に達した時点でワイパモータ3への高速逆転方向の給電を遮断したのち、自走回路による低速正回転に切り替え、しかるのちモータ駆動回路11による低速正回転方向の給電回路を形成して低速作動させるようにしているので、ワイパモータ3の逆転に伴う大きな電流をリレーによって遮断することがないので、リレーの負荷を低減して故障を防止することができ、リレーの小型化および信頼性の向上が可能になる。
【0087】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係わるワイパ制御装置は、ワイパスイッチと、ワイパモータと、位置スイッチと、コントローラと、モータ駆動回路を備え、モータ駆動回路は4個のリレーと第1および第2のトランジスタを有し、コントローラとワイパモータおよび位置スイッチとの間に電気的に接続されたものであるから、コントローラからの低速駆動信号出力に基づいて第2のトランジスタがオン状態となって第4リレーがオン作動することによってワイパモータのローブラシ端子からコモンブラシ端子に向かう電流が供給されると共に、高速駆動信号出力に基づいて第1のトランジスタがオン状態となって第1ないし第3リレーがそれぞれオン作動することによってワイパモータのコモンブラシ端子からハイブラシ端子に向かう電流が供給される。また、コントローラから低速駆動信号も高速駆動信号も出力されていない場合には、すべてのリレーがオフ状態となるが、位置スイッチの可動接点が低電位プレート上にあるうちは自走回路が形成されると共に、可動接点が低電位プレートから離れて高電位プレートに接触するとアーマチュアショート回路が形成されるようになっているので、位置スイッチの各プレートをワイパブレードの下反転位置および上反転位置への到達にタイミングを合わせて信号変化が生じるように配設し、ワイパスイッチからの指令信号および位置スイッチからの位置信号に応じて、ワイパブレードの下反転位置あるいは上反転位置への到達にタイミングを合わせて低速駆動信号および高速駆動信号の遮断や切り替えを行うように制御することにより、高速モードと低速モードでワイパモータの回転方向が異なるワイパリンク装置においても、作動モードの切り替えに伴うワイパブレードの逆行やこれに伴う拭き残しが防止できると共に、下反転位置(ホームポジション)における円滑な自動停止が可能になるという極めて優れた効果をもたらすものである。
【0088】
本発明の請求項2に係わるワイパ制御装置においては、さらに電源側に接続された2個の抵抗と、これら抵抗間の接続点と第1トランジスタのコレクタとの間に介装されたダイオードからなる隙間調整回路を備えているので、コントローラから高速駆動信号が出力されている間は、第1トランジスタがオン状態となってコントローラの位置信号モニターポートが抵抗,ダイオードおよび第1トランジスタを介して接地されることから、位置スイッチの可動接点が低電位プレートから離れて高電位プレートとの間の位置にあるときにも、ローレベルの位置信号をコントローラの位置信号モニターポートに供給することができ、高速駆動信号が出力されていない時には、第1トランジスタがオフ状態となるので、位置スイッチの可動接点が高電位プレートから離れて上記隙間位置にあるときでも、2個の抵抗によって調整されたハイレベル信号を位置信号として位置信号モニターポートに供給することができる。したがって作動速度、つまりワイパモータの回転方向に係わりなくワイパブレードが反転位置よりも手前の所定位置に到達した時点で位置信号に信号変化が生じるように設定することができ、この信号変化に応じて駆動信号を遮断したり切り替えたりすることにより、慣性によるワイパブレードのオーバランを防止して、ワイパブレードの停止や作動速度の切り替えを所定の反転位置で正確に行うことが可能になる。
【0089】
また、本発明の請求項3に係わるワイパ制御装置においては、それぞれ2個のトランジスタ,コンデンサ,ダイオードを備えたバックアップ回路を有しており、コントローラのウオッチドッグ信号出力ポートからのパルス信号が消滅した場合には、第3のトランジスタがオフ状態となることによって第4のトランジスタがオン状態となる。したがって、この状態でワイパスイッチを高速モードに操作することによって、第3ダイオードおよびワイパスイッチを介してモータ駆動回路の第4リレーのコイルを励磁させてオン作動させることができ、これによってワイパモータが低速正回転を始めるので、コントローラが何らかの原因によって万一故障したとしても操作不能となるようなことがなく、運転者の視界を確保することができるという優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係わるワイパ制御装置の回路構成図である。
【図2】(a) 本発明に係わるワイパ制御装置により制御されるワイパリンク装置の原理を示す概略図であって、低速モードにおけるモータアームの回転方向とモータアーム長さおよび構造的な払拭範囲の関係を示す説明図である。
(b) 図2(a)に示したワイパリンク装置の高速モードにおけるモータアームの回転方向とモータアーム長さおよびワイパブレードによる構造的な払拭範囲の説明図である。
【図3】(a)ないし(b)は図1に示したワイパ制御装置の位置スイッチの構造と作動を示す概略図であって、低速モードおよび高速モードにおいてワイパブレードが反転位置に接近したときの接点位置を示すそれぞれ説明図である。
【図4】図1に示したワイパ制御装置における制御を示すフローチャートである。
【図5】図1に示したワイパ制御装置のモータ駆動回路の動作を示す説明図であって、(a)ないし(d)はそれぞれワイパモータの停止時、低速作動時、自走回路による低速正回転時、および高速作動時における給電経路を示す図である。
【図6】(a) 低速モードにおけるオフ操作時の制御を示すタイムチャートである。
(b) 同じく低速モードにおけるオフ操作時の制御を示すタイムチャートである。
(c) 低速モードから高速モードへの切り替え操作時の制御を示すタイムチャートである。
【図7】(d) 同じく低速モードから高速モードへの切り替え操作時の制御を示すタイムチャートである。
(e) オフ状態における高速モードへのオン操作時の制御を示すタイムチャートである。
【図8】(f) 高速モードにおけるオフ操作時の制御を示すタイムチャートである。
(g) 高速モードから低速モードへの切り替え操作時の制御を示すタイムチャートである。
【図9】(a)ないし(d)は低速モードにおいてオフ操作がなされた場合のワイパブレードと位置スイッチ接点との位置関係を順次示す説明図である。
【図10】(a)ないし(d)はワイパブレードが下反転位置から上反転位置に向けて移動している時に低速モードから高速モードへの切り替え操作がなされた場合のワイパブレードと位置スイッチ接点との位置関係を順次示す説明図である。
【図11】(a)ないし(d)はワイパブレードが上反転位置から下反転位置に向けて移動している時に低速モードから高速モードへの切り替え操作がなされた場合のワイパブレードと位置スイッチ接点との位置関係を順次示す説明図である。
【図12】(a)ないし(c)は高速モードにおいてオフ操作がなされた場合のワイパブレードと位置スイッチ接点との位置関係を順次示す説明図である。
【図13】(d)ないし(g)は高速モードにおいてオフ操作がなされた場合の図12(c)に続くワイパブレードと位置スイッチ接点との位置関係を順次示す説明図である。
【符号の説明】
1 ワイパ制御装置
2 ワイパスイッチ
3 ワイパモータ
4 位置スイッチ
4b 高電位プレート
4e 低電位プレート
4m 可動接点
10 コントローラ
11 モータ駆動回路
12 隙間調整回路
13 バックアップ回路
20 ワイパブレード
L4,L2,L3,L4 リレー
TR1,TR2,TR3,TR4 トランジスタ
D1,D2,D3 ダイオード
C1,C2 コンデンサ
P5 位置信号モニターポート
P6 低速駆動信号出力ポート
P7 ウオッチドッグ信号出力ポート
P8 高速駆動信号出力ポート

Claims (3)

  1. 操作に応じて低速指令信号または高速指令信号を選択的に発生するワイパスイッチと、
    コモンブラシに接続された第1端子と、コモンブラシに対向する位置に配設されたローブラシに接続された第2端子と、コモンブラシとローブラシの間のローブラシ寄りの位置に配設されたハイブラシに接続された第3端子をそなえ、低速正回転および高速逆回転してワイパブレードを下反転位置と上反転位置の間で往復作動させるワイパモータと、
    電源側に接続された高電位プレートと、接地された低電位プレートと、ワイパブレードの位置に応じて前記高電位プレートおよび低電位プレートに離接して位置信号を発生する可動接点を備えた位置スイッチと、
    ワイパスイッチからの低速指令信号と位置スイッチからの位置信号に応じて低速駆動信号を出力すると共に、ワイパスイッチからの高速指令信号と位置スイッチからの位置信号に応じて高速駆動信号を出力するコントローラと、
    コントローラからの低速および高速駆動信号に応じてワイパモータを低速正回転あるいは高速逆回転駆動するモータ駆動回路を備え、
    前記モータ駆動回路は、4個のリレーと、エミッタ接地されると共にベースがコントローラの高速駆動信号出力ポートに接続された第1のトランジスタと、同じくエミッタ接地されると共にベースがコントローラの低速駆動信号出力ポートに接続された第2のトランジスタを備え、各リレーコイルの一端側がそれぞれ電源側に接続されると共に、第1ないし第3リレーのコイルの他端側が第1トランジスタのコレクタに、第4リレーのコイルの他端側が第2トランジスタのコレクタにそれぞれ接続され、第1リレーの可動接点が電源側に接続されると共に常閉接点がワイパモータの第2端子に接続され、第2リレーの可動接点が接地されると共に常開接点がワイパモータの第3端子に接続され、第3リレーの可動接点がワイパモータの第1端子に接続されると共に常開接点が電源側に、常閉接点が第4リレーの可動接点にそれぞれ接続され、第4リレーの常閉接点が位置スイッチの可動接点に接続されると共に常開接点が接地されていることを特徴とするワイパ制御装置。
  2. 互いに直列に連結されて一端を電源側に接続され、位置スイッチの可動接点とコントローラの位置信号モニターポートとの間を結ぶ結線途中に他端を接続された2個の抵抗と、これら2個の抵抗の接続点と前記第1トランジスタのコレクタとの間に介装されて第1トランジスタ側に向かう電流を流すダイオードからなる隙間調整回路を備えていることを特徴とする請求項1記載のワイパ制御装置。
  3. 2個のコンデンサと、第3および第4のトランジスタと、これら第3および第4のトランジスタの間に介装された第2のダイオードと、高速モードに操作することによって接地されるワイパスイッチの端子と第4トランジスタの間に介装されてワイパスイッチに向かう電流を流す第3のダイオードを有するバックアップ回路を備え、前記第3トランジスタはエミッタ接地されると共にコレクタが電源側に接続され、ベースが第1のコンデンサを介してコントローラのウオッチドッグ信号出力ポートに接続され、第4トランジスタのコレクタが前記モータ駆動回路における第4リレーのコイルの他端に接続されると共にベースが第2ダイオードのカソードに接続され、該第2ダイオードのアノードが第3トランジスタのコレクタに接続されると共に第2のコンデンサを介して接地されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のワイパ制御装置。
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