JP3865414B2 - ベーンポンプ - Google Patents

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    • F04C2/00Rotary-piston machines or pumps
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、半径方向に可動な翼を有しているロータを備え、翼が、ポンプケーシング内に配置されるストロークリングの内側輪郭に沿って可動であり、ストロークリングが、直径方向に対称な二重のストローク輪郭を有し、且つ直径方向に対向している二つのポンプ室を形成しているベーンポンプであって、ポンプ室の領域において内側輪郭が三つの同じ 大きさの部分に分割されており、それぞれ1つの吸い込み領域と、圧力領域と、それぞれのポンプ室の吸い込み領域と圧力領域との間にある仕切り領域とが形成されるようにした前記ベーンポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のベーンポンプは知られている。ロータが回転すると、翼は、発生する遠心力と、付加的に被搬送媒体により翼の下に伝えられる圧力とにより、ストロークリングに沿って案内される。公知のダブルストローク型のベーンポンプでは、ストロークリングの内側輪郭は、直径方向に対向している二つのポンプ室のそれぞれにたいし吸い込み領域と圧力領域とを有している。吸い込み領域と圧力領域は仕切り領域によって互いに仕切られている。一つのポンプ室の吸い込み領域と他のポンプ室の圧力領域との間には、他の仕切り領域が形成されている。この他の仕切り領域はいわゆる小円によって形成され、一方一つのポンプ室の吸い込み領域と圧力領域の間の仕切り領域はいわゆる大円によって形成される。ベーンポンプの翼がストロークリングの内側輪郭に沿って移動可能であるので、ベーンポンプはそのストロークに依存して、半径方向において特定の速度特性または加速度特性を有する。この公知のベーンポンプの欠点は、翼が仕切り領域を通過するときに半径方向の加速度が飛躍し、翼の運動に半径方向の飛躍が生じることである。これによって漏れが増大するばかりでなく、翼がストロークリングの輪郭にたいして浮揚したり衝突したりするので、かなりの騒音を発生させる。
【0003】
欧州特許第0151983号公報から知られているベーンポンプでは、直径方向に対向するポンプ室を備えたストロークリングと、8個の翼を備えたロータとが設けられている。ポンプ室はそれぞれ侵入曲線領域を有している。この侵入曲線領域は、定速曲線領域と、加速度曲線領域と、減速曲線領域とに分割されている。一つのポンプ室の圧力領域と他のポンプ室の吸い込み領域の間の仕切り領域に接続している侵入曲線領域を上記の如く構成するのは、漏れの発生を少なくさせるためである。しかし、ストロークリングの選定された内側輪郭は45°の翼ピッチを必要とし、よって全部で8個の翼をロータに設けねばならないのが欠点である。従って多数の部品により組立が面倒であるばかりでなく、一つのポンプ室の圧力領域と他のポンプ室の吸い込み領域の間に仕切り領域を形成させねばならない。この欧州特許第0151983号公報から知られているベーンポンプでは、侵入曲線領域が形成されているために、翼が侵入曲線領域を通過している間に翼の半径方向の速度が飛躍することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、構成が簡潔で、少数の部品から組み立てることができ、個々のポンプ室の間での漏れが最小になるようなベーンポンプを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、第1のポンプ小室を形成する吸い込み領域と、第2のポンプ小室を形成する圧力領域と、第3のポンプ小室を形成する仕切り領域とが同じ大きさであること、翼が、仕切り領域において、半径方向へ最大に走出した位置を持続することを特徴とするものである。
【0006】
【実施例】
次に、本発明の実施例を添付の図面を用いて説明する。
図1にはベーンポンプ10が図示されている。ベーンポンプ10はポンプケーシング12を有している。ポンプケーシング12内には、凹部14の中にストロークリング16が配置されている。ストロークリング16の内側には、駆動軸18に固定されたロータ20が配置されている。ロータ20は、凹部14またはストロークリング16に同心に配置されている。ロータ20は、半径方向に延びているスリット22を有している。スリット 内では、半径方向に可動な翼24が案内されている。ロータ20は全部で6個のスリット22を有しており、これらのスリット22は60°のピッチでロータ20の外周に沿って配置されている。
【0007】
ストロークリング16は、対角線方向に対向している二つのポンプ室28’と28’’を形成している内側輪郭26を有している。ポンプ室28’と28’’はそれぞれ、吸い込み穴に連通している吸い込み領域30’,30’’と、排出穴に連通している圧力領域32’,32’’とを有している。第1のポンプ室28’の吸い込み領域30’は、内側輪郭26に形成された仕切り領域34によって第2のポンプ室28’’の圧力領域32’’から仕切られている。この仕切り領域34に対向して、第1のポンプ室28’の圧力領域32’と第2のポンプ室28’’の吸い込み領域30’’の間にも仕切り領域34が形成されている。内側輪郭26は、ポンプ室28’,28’’の領域にそれぞれ、各ポンプ室28’,28’’の吸い込み領域30’,30’’と圧力領域32’,32’’の間の仕切り領域36を有している。
【0008】
吸い込み領域30’,30’’と圧力領域32’,32’’と仕切り領域36の形成により、ポンプ室28’と28’’はそれぞれ三つの部分40,42,44に分割されている。各部分は60°の角度範囲を占めている。従って各部分は等しい大きさで形成されている。部分40には吸い込み領域30’,30’’が形成され、部分42には仕切り領域36が、部分44には圧力領域32’,32’’が形成されている。
【0009】
内側輪郭26は仕切り領域34に固有の輪郭領域、特に円形領域を有しておらず、その結果内側輪郭は圧力領域32’,32’’の領域から吸い込み領域30’,30’’の領域の内側輪郭へスムーズに移行している。従って、角度が0°または対向して180°であるときの仕切り領域34の範囲は、、ロータ20の回転方向における翼24の厚さに対応している。図1には、角度位置0°または180°を通る半径方向の線38が図示されている。点Aは0°を示し、点Bは180°を示している。この場合ロータ20は反時計方向に移動可能である。
【0010】
図1に図示したベーンポンプ10は次のように作動する。
ベーンポンプ10が作動している間、ロータ20は駆動軸18を介して回転せしめられ、その結果翼24は遠心力により、且つ付加的にスリット22内の翼24の背面圧で外側へ押され、よって内側輪郭26に沿って運動する。内側輪郭26の構成により翼24は吸い込み領域30及び圧力領域32において出入する。なお以下では、便宜的に吸い込み領域30’,30’’を吸い込み領域30、圧力領域32’,32’’を圧力領域30、ポンプ室28’,28’’をポンプ室28と記す場合もある。翼24が吸い込み領域30及び圧力領域32において出入する場合、翼24は、ロータ20が回転している間、半径方向の一定のストロークと、半径方向の一定の速度と、半径方向の一定の加速度に曝される(図2ないし図4を参照)。
【0011】
ポンプ室28の領域において翼24が走出することにより、ポンプ室28は翼24の間にポンプ小室を形成する。全部で6個の翼24が設けられているので、それぞれのポンプ室28には最大で3個のポンプ小室が形成される。それぞれ1個の翼24が位置A、即ち0°を占め、1個の翼24が位置B、即ち180°を占めるような位置にロータ20があるとすると、第1のポンプ小室は吸い込み領域30を形成し、第2のポンプ小室は圧力領域32を、第1及び第2のポンプ小室の間にある第3のポンプ小室は各ポンプ室28の吸い込み領域30と圧力領域32の間の仕切り領域36を形成する。この時点でポンプ小室は前記部分40,42または44と一致する。
【0012】
対向する二つのポンプ室28の圧力領域32と吸い込み領域30との分離は、それぞれ少なくも1つの翼24によって行われる。内側輪郭26は、翼24が吸い込み領域30および圧力領域32とは異なる運動を仕切り領域34において実施するように構成され、即ち仕切り領域34において翼24の半径方向の速度がゼロであるように構成されている。
【0013】
図2ないし図4には、ロータ20の回転数が一定である場合の翼24の動力学が図示されている。図2には、1個の翼24のストロークと角度の関係が図示されている。このグラフからわかるように、翼24の半径方向のストロークは0°及び180°において、即ち図1でAとBで示した位置に対応する角度で最小値を有する。ストロークは、急激な変化をせずに、圧力領域32での下降カーブから、吸い込み領域30での上昇カーブへ移行している。ストロークの最小値が数度の角度範囲にわたって持続することはなく、その結果ストロークはもっぱら0°または180°の角度位置で最小値を有する。これにより、第1ポンプ室28’の圧力領域32’は第2のポンプ室28’’の吸い込み領域30’’へ連続的に移行し、そして第2のポンプ室28’’の圧力領域32’’は第1ポンプ室28’の吸い込み領域30’へ連続的に移行している。翼24が0°または180°の位置にあるときの、ロータ20の回転方向における仕切り領域34の範囲は、もっぱら翼24のロータ回転方向における厚さだけで決定される。仕切り領域36においては、即ち角度位置が60°ないし120°のとき、または240°ないし300°のとき、ストロークは最大値を持続する。
【0014】
図3には、1個の翼24の速度と角度の関係が図示されている。このグラフからわかるように、翼24は、圧力領域32と吸い込み領域30の間の仕切り領域で、一定に変化する半径方向の速度を有している。この速度はちょうど位置AまたはBにおいて、即ち0°または180°においてゼロになる。仕切り領域34において翼24の速度が一定レベルに持続することは、選定された内側輪郭26によって避けられる。半径方向の速度は、圧力領域32での負の最大値(翼24がロータ20の中へ半径方向に進入する)から、吸い込み領域30での正の最大値(翼24がロータ20から半径方向へ走出する)へ連続的に移行する。このように、仕切り領域34において半径方向の速度が連続的に変化することにより、図4に示すように、この領域では加速度の飛躍的な変化が回避される。仕切り領域36でストロークが一定であるので、この領域では翼24の半径方向の速度はゼロである。
【0015】
図4は、翼24の半径方向の加速度と角度の関係を示している。加速度は、仕切り領域34と36において、大体においてほぼ一定の変化を示す。というのも、加速度は時間による速度の導関数から得られるからである。仕切り領域36において半径方向の加速度は一定の値、即ちゼロを有する。このように仕切り領域34及び36において加速度の飛躍がないので、これらの領域での翼24の飛躍が回避され、その結果圧力領域32と吸い込み領域30の間の漏れは仕切り領域34または36において最小になる。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、ポンプ室の領域において内側輪郭が三つの同じ大きさの部分に分割されており、第1の部分が吸い込み領域を形成し、第2の部分が圧力領域を形成し、第3の部分が吸い込み領域と圧力領域の間にある仕切り領域を形成し、この場合それぞれの部分は60°の角度範囲を有し、しかもロータの周方向に60°の間隔で配置されている6個の翼がロータに設けられているので、ベーンポンプを少数の部品で組み立てることができ、しかも二つの翼の間に形成される小室を最大で6個に限定することができる。これによりベーンポンプの搬送流脈動特性を改善することができ、よって圧力脈動の改善と、騒音発生の減少を達成することができる。
【0017】
また、本発明の有利な構成によれば、内側輪郭によって制御される翼の半径方向における速度が飛躍的に変化しないようにポンプ室が互いに移行し、且つ第1のポンプ室の圧力領域と第2のポンプ室の吸い込み領域の間の仕切り領域、及び第2のポンプ室の圧力領域と第1のポンプ室の吸い込み領域の間の仕切り領域において、内側輪郭は固有の円形領域を有していない。この構成により、翼にたいしては半径方向の独自な動力学的特性がこれらの領域にたいしてのみ適用されず、従って翼はこれらの領域においては半径方向の速度が飛躍的に変化せず、しかもストロークが小さな角度範囲にわたって連続的に変化するので、半径方向の速度は連続的に変化する。加速度は時間に関する速度の1次導関数を形成するので、仕切り領域における半径方向の加速度の飛躍的な変化が回避される。これにより翼が内側輪郭から離れるのを阻止することができ、その結果個々のポンプ室の間での漏れは最小になる。同時に、翼が内側輪郭から離れないことにより翼が内側輪郭に衝突して騒音を発生しないので、騒音の発生も回避される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるベーンポンプの断面図である。
【図2】 図1のベーンポンプの翼の半径方向における距離の変化を示すグラフである。
【図3】 図1のベーンポンプの翼の半径方向における速度の変化を示すグラフである。
【図4】 図1のベーンポンプの翼の半径方向における加速度の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10 ベーンポンプ
16 ストロークリング
20 ロータ
26 内側輪郭
28’,28’’ ポンプ室
30,30’,30’’ 吸い込み領域
32,32’,32’’ 圧力領域
34,36 仕切り領域
40,42,44 内側輪郭の三つの部分

Claims (9)

  1. 半径方向に可動な翼(24)を有しているロータ(20)を備え、翼(24)が、ポンプケーシング(12)内に配置されるストロークリング(16)の内側輪郭(26)に沿って可動であり、ストロークリング(16)が、直径方向に対称な二重のストローク輪郭を有し、且つ直径方向に対向している二つのポンプ室(28’,28’’)を形成しているベーンポンプであって、ポンプ室(28’,28’’)の領域において内側輪郭(26)が三つの同じ大きさの部分(40,42,44)に分割されており、それぞれ1つの吸い込み領域と、圧力領域と、それぞれのポンプ室(28’,28’’)の吸い込み領域と圧力領域との間にある仕切り領域とが形成されるようにした前記ベーンポンプにおいて、
    第1のポンプ小室を形成する吸い込み領域(30)と、第2のポンプ小室を形成する圧力領域(32)と、第3のポンプ小室を形成する仕切り領域(36)とが同じ大きさであること、
    翼(24)が、仕切り領域(36)において、半径方向へ最大に走出した位置を持続すること、
    を特徴とするベーンポンプ。
  2. 前記部分(40,42,44)がそれぞれ60°の角度範囲を占めていることを特徴とする、請求項1に記載のベーンポンプ。
  3. 内側輪郭(26)によって制御される翼(24)の運動の半径方向における速度が飛躍的に変化しないように、ポンプ室(28’,28’’)が互いに移行していることを特徴とする、請求項1または2に記載のベーンポンプ。
  4. 第1のポンプ室(28’)の圧力領域(32)と第2のポンプ室(28’’)の吸い込み領域(30)の間の仕切り領域(34)、及び第2のポンプ室(28’’)の圧力領域(32)と第1のポンプ室(28’)の吸い込み領域(30)の間の仕切り領域(34)において、内側輪郭(26)が固有の円形領域を有していないことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1つに記載のベーンポンプ。
  5. 仕切り領域(34)における翼(24)の半径方向の速度が負の最大値から正の最大値へ連続的に上昇していることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1つに記載のベーンポンプ。
  6. 仕切り領域(34)における半径方向の速度が、0°または180°においてのみゼロの値を有していることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1つに記載のベーンポンプ。
  7. 翼(24)が、仕切り領域(34)において一定の半径方向の加速度を有していることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1つに記載のベーンポンプ。
  8. 仕切り領域(34)における翼(24)のストロークが、もっぱら0°または180°の角度位置で最小値を有することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1つに記載のベーンポンプ。
  9. 内側輪郭(26)が、仕切り領域(36)において、半径方向の加速度がゼロの値を有するように円形に形成されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1つに記載のベーンポンプ。
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