JP3864965B2 - 端子・コネクタ用銅合金の製造方法 - Google Patents

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本発明は、強度、耐力、ばね性、及び導電性に優れた端子・コネクタ用銅合金の製造方法、特に、その優れた強度、耐力及びばね性と良好な曲げ加工性とを両立し、尚且つ結晶組織の異方性を小さくする端子・コネクタ用銅合金の製造方法に関するものである。
近年、携帯電話やノートPCなどの電子機器において小型、薄型化および軽量化が進行し、使用される端子・コネクタ部品もより小型で電極間ピッチの狭いものが使用されるようになっている。こうした小型化によって、使用される材料もより薄肉になっているが、薄肉でも接続の信頼性を保つ必要性から、より高強度でより高いばね性を持った材料が要求されている。同時にコネクタ部品は複雑な曲げ加工が施されるため、曲げ加工時の割れを防ぐために伸びの高い良好な加工性を示すことも要求される。また、こうしたばね性や曲げ加工性において材料の圧延方向と圧延直交方向で特性差があることは好ましくなく、どの方向でも良好な特性を示すことが重要である。
一方、機器の高機能化に伴う電極数の増加や通電電流の増加によって、発生するジュール熱も多大なものになりつつあり、従来以上に導電率が高い材料への要求が強まっている。こうした高導電率材は、通電電流の増加が急速に進んでいる自動車向けの端子・コネクタ材で強く求められている。
従来、こうした端子・コネクタ用の材料としては黄銅や燐青銅が一般的に使用されている。
しかしながら、従来広く使用されている黄銅や燐青銅は、前記したコネクタ材に対する要求に十分応えられない問題が生じている。即ち、黄銅は強度、ばね性および導電性が不足し、そのためコネクタの小型化および通電電流の増加に対応できない。また、燐青銅はより高い強度とより高いばね性を有するが、導電率が20%IACS程度と低いため通電電流の増加に対応できない。更に、燐青銅は耐マイグレーション性に劣るという欠点もある。マイグレーションとは電極間に結露などが生じた際、陽極側のCuがイオン化して陰極側に析出し、最終的に電極間の短絡に至る現象であり、自動車のように高湿環境で使用されるコネクタで問題となるとともに、小型化により電極間ピッチが狭くなっているコネクタでも注意を要する問題である。
斯かる黄銅や燐青銅の持つ問題を改善する材料として、例えば、特許文献1や特許文献2に示されるようなCu‐Ni‐Siを主成分とする銅合金が提案されている。
特許第2572042号公報 特許第2977845号公報
しかし、従来のCu‐Ni‐Siを主成分とする銅合金の製造方法によれば、良好な強度とばね性を実現しようとすると、曲げ加工性の悪化や結晶組織の異方性が強くなるという問題がある。
従って、本発明の目的は、高い強度、耐力及びばね性と良好な曲げ加工性とを両立し、尚且つ結晶組織の異方性が小さく、端子・コネクタ用の材料に最適な高強度・高導電性の銅合金の製造方法を提供することにある。
本発明によると、1.0〜5.0質量%のNi、0.2〜1.0質量%のSi、1.0〜5.0質量%のZn、0.003〜0.3質量%のP、0.05〜1.0質量%のSn、及び残部のCuから成り、NiとSiの質量比がNi/Si=4.5〜5.5である合金素材を準備する工程、
前記合金素材に目的とする最終板厚の1.1〜1.2倍の厚さまで第1の冷間圧延を施す工程、
前記第1の冷間圧延後の前記合金素材を700〜850℃に昇温後、毎分25℃以上の降温速度で300℃以下まで冷却する第1の熱処理を施す工程、及び
前記第1の熱処理後の前記合金素材に目的とする最終板厚まで第2の冷間圧延を施した後、400〜500℃に加熱して30分〜3時間保持する第2の熱処理を施す工程を含むことを特徴とする端子・コネクタ用銅合金の製造方法を提供する。
また、本発明によると、1.0〜5.0質量%のNi、0.2〜1.0質量%のSi、1.0〜5.0質量%のZn、0.003〜0.3質量%のP、0.05〜1.0質量%のSn、及び残部のCuから成り、NiとSiの質量比がNi/Si=4.5〜5.5である合金素材を準備する工程、
前記合金素材に目的とする最終板厚の1.1〜1.2倍の厚さまで第1の冷間圧延を施す工程、
前記第1の冷間圧延後の前記合金素材を700〜850℃に昇温後、毎分25℃以上の降温速度で300℃以下まで冷却する第1の熱処理を施し、更に続けて400〜500℃に加熱して30分〜3時間保持する第2の熱処理を施す工程、及び
前記第2の熱処理後の前記合金素材に目的とする最終板厚まで第2の冷間圧延を施した後、300〜500℃に加熱する第3の熱処理を施す工程を含むことを特徴とする端子・コネクタ用銅合金の製造方法を提供する。
更にまた、本発明によると、1.0〜5.0質量%のNi、0.2〜1.0質量%のSi、1.0〜5.0質量%のZn、0.003〜0.3質量%のP、0.05〜1.0質量%のSn、1種あたり0.01〜1.0質量%で総量が0.01〜4.0質量%に設定されたMg、Ti、Cr、Zrの内から選択された少なくとも1種の添加成分、及び残部のCuから成り、NiとSiの質量比がNi/Si=4.5〜5.5である合金素材を準備する工程、
前記合金素材に目的とする最終板厚の1.1〜1.2倍の厚さまで第1の冷間圧延を施す工程、
前記第1の冷間圧延後の前記合金素材を700〜850℃に昇温後、毎分25℃以上の降温速度で300℃以下まで冷却する第1の熱処理を施す工程、及び
前記第1の熱処理後の前記合金素材に目的とする最終板厚まで第2の冷間圧延を施した後、400〜500℃に加熱して30分〜3時間保持する第2の熱処理を施す工程を含むことを特徴とする端子・コネクタ用銅合金の製造方法を提供する。
更にまた、本発明によると、1.0〜5.0質量%のNi、0.2〜1.0質量%のSi、1.0〜5.0質量%のZn、0.003〜0.3質量%のP、0.05〜1.0質量%のSn、1種あたり0.01〜1.0質量%で総量が0.01〜4.0質量%に設定されたMg、Ti、Cr、Zrの内から選択された少なくとも1種の添加成分、及び残部のCuから成り、NiとSiの質量比がNi/Si=4.5〜5.5である合金素材を準備する工程、
前記合金素材に目的とする最終板厚の1.1〜1.2倍の厚さまで第1の冷間圧延を施す工程、
前記第1の冷間圧延後の前記合金素材を700〜850℃に昇温後、毎分25℃以上の降温速度で300℃以下まで冷却する第1の熱処理を施し、更に続けて400〜500℃に加熱して30分〜3時間保持する第2の熱処理を施す工程、及び
前記第2の熱処理後の前記合金素材に目的とする最終板厚まで第2の冷間圧延を施した後、300〜500℃に加熱する第3の熱処理を施す工程を含むことを特徴とする端子・コネクタ用銅合金の製造方法を提供する。
前記第1の熱処理は前記合金素材を銅中に十分固溶させ冷却中に粗大な析出物が再形成されることを防ぎ、
前記第2の熱処理はNiとSiの化合物を生成し銅中に微細な形状で析出させることを含むことが好ましい。
本発明の製造方法による銅合金材は、高導電率で高い強度、耐力及びばね性と優れた曲げ加工性とを両立し、結晶組織の異方性が小さい特徴も有するため、本発明は端子・コネクタ部品についてその製造技術の向上を安価で高特性の材料を供給するという面から支え、その発展に大きく寄与することができる。
図1は、本発明の端子・コネクタ用銅合金の製造プロセスの一例を示すフローチャートである。
(ステップ1)
本発明による端子・コネクタ用銅合金の製造方法は、1.0〜5.0質量%のNi、0.2〜1.0質量%のSi、1.0〜5.0質量%のZn、0.003〜0.3質量%のP、0.05〜1.0質量%のSn、及び残部のCuから成り、前記NiとSiの質量比がNi/Si=4.5〜5.5である銅合金を素材として用いる。さらに、1種あたり0.01〜1.0質量%で総量が0.01〜4.0質量%に設定されたMg、Ti、Cr、Zrの内から選択した1種以上の成分を含むと、より良好な特性が期待できる。
ここで、NiはSiと共に添加することによってSi化合物を形成して材料中に分散析出する。NiとSiの組成比を特定の範囲Ni/Si=4.5〜5.5に規定することにより、導電率を低下させる銅中の固溶元素量を抑えながら、析出物の分散強化による効果で強度とばね性を向上させることができる。更に、Siの添加量は0.2質量%未満では効果的なSi化合物が形成されず、1.0質量%を超えて添加すると導電性に対する悪影響が大きくなる。よって、Siの組成範囲は0.2〜1.0質量%に規定する。このSiの組成範囲に対して効果的に化合物を形成させ、高強度と高導電性を両立させるためには、Niの組成範囲を1.0〜5.0質量%にし、かつそのNiとSiの質量比がNi/Si=4.5〜5.5になるように規定する必要がある。Niの含有量が組成範囲の下限を下回る場合、化合物の形成量が不十分になり、強度とばね性が不足する。また、Niの含有量が組成範囲の上限を超える場合は、余剰のNiが銅中に固溶して導電率を低下させる。更に、Ni量がSi量の4.5倍未満になる場合は、化合物形成時にSiが過剰になり、5.5倍を超える場合は逆にNiが過剰になる。斯かる過剰成分は銅中に固溶状態で存在するため、導電率を害する結果となる。
また、Pの添加量を0.003質量%未満にすると十分な量のP化合物を形成することができず、満足できる強度が得られない。0.3質量%を超えて添加すると鋳造時にP化合物の偏析に起因する鋳塊割れが起こりやすくなる。よって、Pの組成範囲は0.003〜0.3質量%に規定する。
また、Snは強度とばね性の向上に大きな効果を持つとともに耐熱性を向上させて高温下での耐応力緩和性を改善する働きがある。また、Znは強度とばね性の向上効果を持つとともに耐マイグレーション性を大幅に向上させる働きを持つ。更に、Znは電子部品材料として必要なはんだ濡れ性やSnめっき密着性の改善にも大きな効果がある。また、Mg、Ti、Cr、Zrは強度、ばね性、耐マイグレーション性および耐熱性のそれぞれを更に改善する働きを持ち、かつ導電性に与える悪影響が少ない添加成分として有効である。但し、Sn、ZnおよびMg、Ti、Cr、Zrは、規定範囲より少ない含有量では添加の効果が小さく、規定範囲を超えて含有すると導電率の低下や鋳造性の低下などの悪影響が生じる。
(ステップ2)
次に、前記の銅合金素材を加工する工程において、熱処理に先立って先ず目的とする最終板厚の1.1〜1.2倍の厚さまで第1の冷間圧延を行なう。これによって次の第1の熱処理での再結晶を起こしやすくさせるとともに、再結晶後に大きさの揃った結晶粒組織を得ることができる。ここで、圧延後の板厚を最終板厚の1.1〜1.2倍に規定するのは、以降の熱処理後の冷間圧延で適度な量の格子欠陥を導入するためである。規定範囲より板厚が厚い場合は熱処理後の冷間圧延で伸びの低下が大きくなり、良好な曲げ加工性が確保できない。また、規定範囲より板厚が薄い場合は熱処理後の冷間圧延で導入される格子欠陥が少なくなるため、低い耐力しか得られなくなる。
(ステップ3)
次に、前記の第1の冷間圧延工程に引き続き700〜850℃に昇温後300℃以下まで25℃/分以上の速度で冷却する第1の熱処理を行なう。この第1の熱処理は、合金成分を均一微細に分散析出させるために不均一な析出物を一旦銅母相中に再固溶することを目的とする。また、強い冷間圧延で歪んだ状態にある結晶組織を再結晶させて異方性の小さい結晶組織に変えるとともに、伸びを向上させることによって良好な曲げ加工性を実現することも重要な目的である。溶体化を目的とした第1の熱処理では、先ず合金元素を銅中に十分固溶させる必要がある。そこで本発明では加熱温度を700℃以上に規定することで十分に固溶を進行させ、冷却速度を25℃/分以上に規定することで冷却中に粗大な析出物が再形成されることを防ぐ。また、第1の熱処理では、再結晶によって結晶組織を異方性の小さい結晶組織に変え、同時に伸びを向上させることで良好な曲げ加工性を確保することも必要である。ここで、加熱温度が850℃を超える場合、結晶粒の粗大化が起こり曲げ加工性が低下する危険があるため、加熱温度の上限を850℃に規定する。
(ステップ4)
次に、前記の第1の熱処理(溶体化処理)工程に引き続き目的とする最終板厚まで第2の冷間圧延を行なう。これによって材料中に格子欠陥が適度に導入され、良好な耐力を確保することができるとともに、次の第2の熱処理での微細析出物の形成を促進する効果も得られる。
(ステップ5)
次に、前記の第2の冷間圧延工程に引き続き400〜500℃に加熱して30分〜3時間保持する時効を目的とした第2の熱処理を行なう。これによってNiとSiが化合物をつくり銅中に微細な形状で析出し、高い強度と優れた導電率を両立させることができる。第2の熱処理条件が規定範囲の400〜500℃かつ30分〜3時間より高温で長時間保持された場合、析出物が粗大化して十分な強度が得られなくなり、また、規定範囲より低温で短時間保持された場合、析出が十分に進行せず、導電率、強度とも十分な値が得られない。
なお、図2に示すように、前記の第2の冷間圧延工程と第2の熱処理工程は順序を入れ替えて実施しても良好な特性を得ることができる。即ち、第1の熱処理(ステップ3)の後に続けて第2の熱処理(ステップ4)を行ない、その後、最終板厚までの第2の冷間圧延(ステップ5)を行なう。この場合、冷間圧延は伸びの低下を伴うため、圧延後に伸びを回復させる目的で300〜500℃に加熱する第3の熱処理(ステップ6)を行なう必要がある。ここで、加熱温度が低すぎると伸びは回復せず、高すぎると強度と耐力が低下する。
本発明の実施例を以下に説明する。
Ni:2.5wt%、Si:0.5wt%、Zn:1.7wt%、P:0.15wt%、Sn:0.1wt%の組成を持つ銅合金を無酸素銅を母材にして高周波溶解炉で溶製し、直径30mm、長さ250mmのインゴットに鋳造した。これを850℃に加熱して押出加工し、幅20mm、厚さ8mmの板状にした後、厚さ0.35mmまで冷間圧延した。これを770℃で10分間保持した後、水中に投入して約300℃/分の速度で室温(約20℃)まで冷却する第1の熱処理を行なった。冷却した材料を厚さ0.3mmまで冷間圧延した後、450℃で2時間保持する第2の熱処理を行なった。このようにして、材料(A)を製造した。
次に、実施例1と同じ組成の銅合金を実施例1と同様に鋳造、押出加工した後、厚さ0.35mmまで冷間圧延した。これを770℃で10分間保持した後、水中に投入して約300℃/分の速度で室温(約20℃)まで冷却する第1の熱処理を行ない、引き続いて450℃で2時間保持する第2の熱処理を行なった。これを厚さ0.3mmまで冷間圧延し、400℃で5分間保持する第3の熱処理を行なった。このようにして、材料(B)を製造した。
実施例1及び実施例2で製造した材料(A)及び材料(B)について引張強さ、0.2%耐力、伸び、導電率の各特性値を測定した。その結果、材料(A)は引張強さ688N/mm、0.2%耐力614N/mm、伸び15%、導電率42%IACS、また、材料(B)は引張強さ684N/mm、0.2%耐力620N/mm、伸び13%、導電率42%IACSという良好な特性を持つ材料が得られた。
Ni:2.5wt%、Si:0.5wt%、Zn:1.7wt%、P:0.15wt%、Sn:0.1wt%、Mg:0.1wt%の組成を持つ銅合金を無酸素銅を母材にして高周波溶解炉で溶製し、直径30mm、長さ250mmのインゴットに鋳造した。これを850℃に加熱して押出加工し、幅20mm、厚さ8mmの板状にした後、厚さ0.35mmまで冷間圧延した。これを770℃で10分間保持した後、水中に投入して約300℃/分の速度で室温(約20℃)まで冷却する第1の熱処理を行なった。冷却した材料を厚さ0.3mmまで冷間圧延した後、450℃で2時間保持する第2の熱処理を行なった。このようにして、材料(C)を製造した。
次に、実施例3と同じ組成の銅合金を実施例3と同様に鋳造、押出加工した後、厚さ0.35mmまで冷間圧延した。これを770℃で10分間保持した後、水中に投入して約300℃/分の速度で室温(約20℃)まで冷却する第1の熱処理を行ない、引き続いて450℃で2時間保持する第2の熱処理を行なった。これを厚さ0.3mmまで冷間圧延し、400℃で5分間保持する第3の熱処理を行なった。このようにして、材料(D)を製造した。
実施例3及び実施例4で製造した材料(C)及び材料(D)について引張強さ、0.2%耐力、伸び、導電率の各特性値を測定した。その結果、材料(C)は引張強さ696N/mm、0.2%耐力638N/mm、伸び15%、導電率42%IACS、また、材料(D)は引張強さ690N/mm、0.2%耐力642N/mm、伸び13%、導電率42%IACSという良好な特性を持つ材料が得られた。
次に、本発明の材料について、その製造条件の限定理由を比較例を挙げて説明する。表1は本発明の実施例1及び実施例2と比較例1〜6の製造条件を示す。
Figure 0003864965
本発明の実施例1及び実施例2と同じ組成の銅合金について、実施例1の材料(A)と同様の工程で加工する際、その第1の熱処理前の板厚、第1及び第2の熱処理の各加熱条件を表1に示す条件で実施して材料(E)〜(J)を製造した。得られた各材料について引張強さ、0.2%耐力、伸び、導電率の各特性値を測定した。測定した結果を表2に示す。
Figure 0003864965
表2より、本発明の実施例1及び実施例2による材料(A)及び材料(B)が680N/mmを超える引張強さと600N/mmを超える0.2%耐力と13%以上の良好な伸びを兼備し、尚且つ42%IACSに達する良好な導電率を達成しているのに対して、比較例1〜6の材料(E)〜(J)はいずれも特性が劣っていることが分かる。材料(E)及び材料(F)は第1の熱処理前の板厚が規定範囲から外れた例である。材料(E)のように熱処理前の板厚が薄すぎると特に耐力が低い値にとどまり、引張強さも低くなる。材料(F)のように熱処理前の板厚が厚すぎると熱処理後の冷間圧延で伸びの低下が大きく、曲げ加工性が悪化する。また、材料(G)及び材料(H)は第1の熱処理の加熱温度が規定範囲から外れた例であり、この場合、引張強さや耐力が低くなる。また、材料(I)及び材料(J)は第2の熱処理の加熱温度が規定範囲から外れた例である。材料(I)のように加熱温度が低すぎる場合は導電率が低く、引張強さや耐力も不十分な値になる。材料(J)のように加熱温度が高すぎる場合、導電率は高いが、引張強さや耐力は不十分な値である。
次に、表3は本発明の実施例3及び実施例4と比較例7〜12の製造条件を示す。
Figure 0003864965
本発明の実施例3及び実施例4と同じ組成の銅合金について、実施例3の材料(C)と同様の工程で加工する際、その第1の熱処理前の板厚、第1及び第2の熱処理の各加熱条件を表3に示す条件で実施して材料(K)〜(P)を製造した。得られた各材料について引張強さ、0.2%耐力、伸び、導電率の各特性値を測定した。測定した結果を表4に示す。
Figure 0003864965
表4より、本発明の実施例3及び実施例4による材料(C)及び材料(D)が690N/mmを超える引張強さと630N/mmを超える0.2%耐力と13%以上の良好な伸びを兼備し、尚且つ42%IACSに達する良好な導電率を達成しているのに対して、比較例7〜12の材料(K)〜(P)はいずれも特性が劣っていることが分かる。材料(K)及び材料(L)は第1の熱処理前の板厚が規定範囲から外れた例である。材料(K)のように熱処理前の板厚が薄すぎると特に耐力が低い値にとどまり、引張強さも低くなる。材料(L)のように熱処理前の板厚が厚すぎると熱処理後の冷間圧延で伸びの低下が大きく、曲げ加工性が悪化する。また、材料(M)及び材料(N)は第1の熱処理の加熱温度が規定範囲から外れた例であり、この場合、引張強さや耐力が低くなる。また、材料(O)及び材料(P)は第2の熱処理の加熱温度が規定範囲から外れた例である。材料(O)のように加熱温度が低すぎる場合は導電率が低く、引張強さや耐力も不十分な値になる。材料(P)のように加熱温度が高すぎる場合、導電率は高いが、引張強さや耐力は不十分な値である。
本発明の製造方法によるCu‐Ni‐Si合金材は、端子・コネクタ用材料として用いられている従来の黄銅や燐青銅に比べて高い導電率を持ち、尚且つ燐青銅並みの高い強度と耐力を持つ。さらに、従来のCu‐Ni‐Si合金材に比べて優れた曲げ加工性を兼備しており、結晶組織の異方性が小さい特徴も有する。こうした特性は、通電量の増加が進む自動車向けの小型コネクタなどに有効に活用できるものであり、コネクタの設計自由度を大幅に広げることができる。また、製造コストの面でも、本発明による銅合金材は、従来材と同等のコストで製造することが可能であり実用上の問題とはならない。
本発明の端子・コネクタ用銅合金の製造プロセスの一例を示すフローチャートである。 本発明の端子・コネクタ用銅合金の製造プロセスの他の例を示すフローチャートである。

Claims (5)

  1. 1.0〜5.0質量%のNi、0.2〜1.0質量%のSi、1.0〜5.0質量%のZn、0.003〜0.3質量%のP、0.05〜1.0質量%のSn、及び残部のCuから成り、NiとSiの重量比がNi/Si=4.5〜5.5である合金素材を準備する工程、
    前記合金素材に目的とする最終板厚の1.1〜1.2倍の厚さまで第1の冷間圧延を施す工程、
    前記第1の冷間圧延後の前記合金素材を700〜850℃に昇温後、毎分25℃以上の降温速度で300℃以下まで冷却する第1の熱処理を施す工程、及び
    前記第1の熱処理後の前記合金素材に目的とする最終板厚まで第2の冷間圧延を施した後、400〜500℃に加熱して30分〜3時間保持する第2の熱処理を施す工程を含むことを特徴とする端子・コネクタ用銅合金の製造方法。
  2. 1.0〜5.0質量%のNi、0.2〜1.0質量%のSi、1.0〜5.0質量%のZn、0.003〜0.3質量%のP、0.05〜1.0質量%のSn、及び残部のCuから成り、NiとSiの質量比がNi/Si=4.5〜5.5である合金素材を準備する工程、
    前記合金素材に目的とする最終板厚の1.1〜1.2倍の厚さまで第1の冷間圧延を施す工程、
    前記第1の冷間圧延後の前記合金素材を700〜850℃に昇温後、毎分25℃以上の降温速度で300℃以下まで冷却する第1の熱処理を施し、更に続けて400〜500℃に加熱して30分〜3時間保持する第2の熱処理を施す工程、及び
    前記第2の熱処理後の前記合金素材に目的とする最終板厚まで第2の冷間圧延を施した後、300〜500℃に加熱する第3の熱処理を施す工程を含むことを特徴とする端子・コネクタ用銅合金の製造方法。
  3. 1.0〜5.0質量%のNi、0.2〜1.0質量%のSi、1.0〜5.0質量%のZn、0.003〜0.3質量%のP、0.05〜1.0質量%のSn、1種あたり0.01〜1.0質量%で総量が0.01〜4.0質量%に設定されたMg、Ti、Cr、Zrの内から選択された少なくとも1種の添加成分、及び残部のCuから成り、NiとSiの質量比がNi/Si=4.5〜5.5である合金素材を準備する工程、
    前記合金素材に目的とする最終板厚の1.1〜1.2倍の厚さまで第1の冷間圧延を施す工程、
    前記第1の冷間圧延後の前記合金素材を700〜850℃に昇温後、毎分25℃以上の降温速度で300℃以下まで冷却する第1の熱処理を施す工程、及び
    前記第1の熱処理後の前記合金素材に目的とする最終板厚まで第2の冷間圧延を施した後、400〜500℃に加熱して30分〜3時間保持する第2の熱処理を施す工程を含むことを特徴とする端子・コネクタ用銅合金の製造方法。
  4. 1.0〜5.0質量%のNi、0.2〜1.0質量%のSi、1.0〜5.0質量%のZn、0.003〜0.3質量%のP、0.05〜1.0質量%のSn、1種あたり0.01〜1.0質量%で総量が0.01〜4.0質量%に設定されたMg、Ti、Cr、Zrの内から選択された少なくとも1種の添加成分、及び残部のCuから成り、NiとSiの質量比がNi/Si=4.5〜5.5である合金素材を準備する工程、
    前記合金素材に目的とする最終板厚の1.1〜1.2倍の厚さまで第1の冷間圧延を施す工程、
    前記第1の冷間圧延後の前記合金素材を700〜850℃に昇温後、毎分25℃以上の降温速度で300℃以下まで冷却する第1の熱処理を施し、更に続けて400〜500℃に加熱して30分〜3時間保持する第2の熱処理を施す工程、及び
    前記第2の熱処理後の前記合金素材に目的とする最終板厚まで第2の冷間圧延を施した後、300〜500℃に加熱する第3の熱処理を施す工程を含むことを特徴とする端子・コネクタ用銅合金の製造方法。
  5. 前記第1の熱処理は前記合金素材を銅中に十分固溶させ冷却中に粗大な析出物が再形成されることを防ぎ、
    前記第2の熱処理はNiとSiの化合物を生成し銅中に微細な形状で析出させることを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の端子・コネクタ用銅合金の製造方法。
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