JP3864922B2 - 自火報受信機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、火災報知を行う地区音響装置の鳴動音を可変制御する自火報受信機の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の自火報受信機は、従来よりビルやマンション等の管理室等に備え付けられており、火災の発生時には火災感知器もしくは火災発信機からの発報信号を受信し、地区音響装置を連続鳴動させて、住人等に火災発生を報知し避難を促すものである。
【0003】
図4に、従来の自火報受信機の回路構成の一例を示す。この自火報受信機100は、少なくとも監視回線Ls1…Lsn及びL0を介して火災感知器S1…Sn及び火災発信機H0が接続され、また地区音響制御回線Lb1…Lbnを介して地区音響装置B1…Bnが接続されている。この自火報受信機100は、少なくとも各回路を制御する火災受信制御部110と、火災感知器S1…Sn及び火災発信機H0からの発報信号を受信する火災受信回路112と、地区音響装置B1…Bnを鳴動させる地区音響駆動回路111とを備えている。火災感知器S1…Snは、熱や煙等を感知すると発報信号を発報し、火災発信機H0は、人が火災を発見した時に、火災発信機H0の押釦を押圧操作すると発報信号を発報する。この発報信号を火災受信回路112が受信し、火災受信制御部110が制御して地区音響駆動回路111を駆動させ、地区音響装置B1…Bnが鳴動する構成となっている。ここでの鳴動は一様な連続鳴動であるため、住人等は「どこかで火災が起きたらしい。」という情報しか地区音響装置B1…Bnの鳴動からは知りえなかった。
【0004】
従来の自火報受信機の中には、上述のように全区域一斉に地区音響装置を連続鳴動させたのでは、住人等の心理的動揺を誘うため、その動揺を少なくすることや電力消費を削減させるねらいから、地区音響装置の鳴動を制御するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭64−35693号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成では、地区鳴動装置の断続鳴動を同じ鳴動パターンで順次行わせているというだけであって、住人等の動揺を多少やわらげることはあったとしても、依然として住人等は地区音響装置の鳴動から「どこかで火災が起きたらしい。」という情報しか知りえないという状況に変わりはなかった。すなわち、従来の地区音響装置の鳴動からは、火災発生場所や火災の進展状況についての情報までを報知できないため、住人等はそのような情報を知らないまま避難しなければならず、安全面心理面ともに最善の形とはいえなかった。また、管理者等も火災が起こったかもしれない現場まで、確認しにいく間にも事態は刻々と変わっていくこともあるため、火災の進展状況を知らず現場確認にいくという危険をはらんでいた。
【0007】
そこで本発明は、このような問題を解決しようとするもので、火災感知器、火災発信機からの発報信号に応じて地区音響装置は予め設定された鳴動パターンを行い、操作内容、時間経過に応じてその鳴動パターンを変化させ、火災発生場所や火災の進展状況の情報を含ませた鳴動を行うことにより、火災発生対処の遅れを防止し、安全に避難することを促すことができる自火報受信機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の自火報受信機は、火災感知器からの1度目の火災発報を受けたときに計時を開始する第1のタイマと、火災感知器からの2度目の火災発報、1度目の火災発報をした火災感知器とは別の火災感知器からの火災発報、火災発信機の発報のいずれかを受けたときに計時を開始する第2のタイマと、監視回線に対応させて、地区音響装置に出力すべき鳴動制御信号に応じた地区音響鳴動パターンを予め記憶した地区音響パターン設定部と、監視回線からの火災発報を判別処理して、予め対応付けた地区音響制御回線に鳴動制御信号を出力するとともに、火災感知器からの1度目の火災発報を受けたときには、第1の地区音響鳴動パターンを出力し、第1のタイマが所定時間を計測すると第2の地区音響パターンを出力し、その後、第2のタイマが所定時間を計測すると第3の地区音響パターンを出力する火災受信制御部とを備えたことを特徴とする。
これによれば、地区音響鳴動パターンを変化させることにより、鳴動パターンを識別して火災発生場所や火災の進展状況を認識できる。
【0009】
請求項2に記載の自火報受信機は、請求項1において、上記火災受信制御部は、予め準備された火災判別プログラムを実行することで火災の進展状況を判別し、その結果として上記地区音響鳴動パターンを異ならせて出力することを特徴とする。
これによれば、地区音響鳴動パターンの変動によって、火災の進展状況を把握できる。
【0010】
請求項3に記載の自火報受信機は、請求項1において、上記火災受信制御部は、上記監視回線が割り付けられて特定されている監視エリアについて、上記地区音響鳴動パターンを異ならせて出力することを特徴とする。
これによれば、監視回線毎ではなく、複数の監視回線をまとめた監視エリア単位で火災発報も識別できる。
【0011】
請求項4に記載の自火報受信機は、請求項1〜3のいずれかにおいて、上記地区音響パターン設定部は、異なる地区音響鳴動パターンを、上記監視回線が割り当てられている監視エリアを特定して設定することを特徴とする。
これによれば、上記監視エリアの特定をユーザ側で変更設定できる。
【0012】
請求項5に記載の自火報受信機は、請求項1〜3のいずれかにおいて、上記地区音響パターン設定部は、予め準備された複数の地区音響鳴動パターンを、火災の進展状況に応じて組み合わせて設定するための設定操作部を更に備えていることを特徴とする。
これによれば、地区音響鳴動パターンをユーザ側で変更設定できる。
【0013】
請求項6に記載の自火報受信機は、請求項1〜5のいずれかにおいて、上記地区音響パターン設定部に記憶させる地区音響鳴動パターンは、連続鳴動または、間欠鳴動、もしくはそれらの組み合わせであることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の自火報受信機1の回路構成の一例を示したブロック図である。この自火報受信機1には、少なくとも監視回線Ls1…Lsn及びL0を介して火災感知器S1…Sn及び火災発信機H0が接続され、また地区音響制御回線Lb1…Lbnを介して地区音響装置B1…Bnが接続されており、火災感知器S1…Sn及び火災発信機H0を接続した監視回線Ls1…Lsn及びL0が監視対象とされ、かつ地区音響装置B1…Bnを接続した地区音響制御回線Lb1…Lbnを制御対象として備えている。
また、この自火報受信機1は、火災感知器S1…Sn及び火災発信機H0からの火災発報を判別処理して、予め対応付けた地区音響制御回線Lb1…Lbnに鳴動制御信号を出力する火災受信制御部2と、上記監視回線Ls1…Lsn及びL0に対応させて、地区音響装置B1…Bnに出力すべき地区音響鳴動パターンを予め記憶した地区音響パターン設定部3と、火災感知器S1…Sn及び火災発信機H0の発報信号に応じて各タイマ(タイマA4a、タイマB4b)を制御するタイマ制御回路4とを備えている。
【0016】
ここに、火災受信制御部2は、CPUを備え、火災判別処理、地区音響装置B1…Bnの鳴動制御、地区音響鳴動パターンの制御等を行う。
火災判別処理では、火災感知器S1…Sn及び火災発信機H0の発報に基づいて火災判別を行い、地区音響装置B1…Bnの鳴動制御は、火災発報した監視回線Ls1…Lsn及びL0に応じて鳴動する。また、地区音響鳴動パターンの制御では、地区音響鳴動パターン設定部3の設定に基づき、監視回線Ls1…Lsn及びL0の発報状況やその発報状況に応じて連動されているタイマA4aやタイマB4bの状況に応じて鳴動制御信号を選択的に出力させる。
タイマ制御回路4は、少なくともタイマA4aとタイマB4bとを備えている。タイマA4aは、火災感知器S1…Snが熱や煙等によって発報すると起動し一定時間を計時する。一方タイマB4bは、火災感知器S1…Snが2度発報するか、別の火災感知器S1…Snが発報するか、または火災発信機H0が発報すると起動し一定時間を計時する構成となっている。また、図1でタイマ制御回路4は、火災受信制御部2と別に構成されているが、上記火災受信制御部2のCPUのソフト処理として代替されてもよい。
このような火災受信制御部2は、予め準備された火災判別プログラムを実行することで火災の進展状況を判別し、その結果として地区音響鳴動パターンを異ならせて出力することが出来る。
【0017】
図2は、火災判別プログラムの動作の一例をフローチャート(ステップ10〜25)を示しており、火災判別プログラムは、発報方式や鳴動時間に応じて制御動作する構成となっている。
基本動作を説明すると、火災感知器S1…Snが熱や煙等によって発報した(ステップ11)場合はまずタイマAを起動させ(ステップ13)、地区鳴動パターンaを鳴動させる(ステップ14)。この鳴動中にリセット操作があれば(ステップ15)、タイマAがリセットされ(ステップ22)、地区鳴動パターンaも停止される(ステップ23)。一方、地区鳴動パターンaがリセットされずに(ステップ15)、タイマAがタイムアップすると地区音響鳴動パターンbが鳴動する(ステップ18)。次に火災感知器S1…Snが2度発報するか(ステップ12)、別の火災感知器S1…Snが発報するか(ステップ12)、または火災発信機H0が発報した(ステップ10)場合は、タイマBを起動させ(ステップ17)、地区鳴動パターンbを鳴動させる(ステップ18)。このときも、もちろん鳴動途中でリセット操作があれば、タイマBがリセットされ(ステップ24)、地区鳴動パターンbは停止される(ステップ25)。しかし、地区音響鳴動パターンbがリセットされずに(ステップ19)タイマBがタイムアップする(ステップ20)と、地区音響パターンcが鳴動する(ステップ21)。
このように発報方式や鳴動時間に応じて地区音響鳴動パターンを異ならせて出力させることで、火災の進展状況やおおまかな火災の発生場所を鳴動パターンから把握することができる。
【0018】
火災受信制御部2では、上述のように火災の進展状況を判別する火災判別プログラムを実行するほかに、監視回線Ls1…Lsn及びL0が割り付けられて特定されている監視エリアについて、地区音響鳴動パターンを異ならせて出力させることができる。
したがって、このような方法では、監視回線Ls1…Lsn及びL0毎ではなく、複数の監視回線Ls1…Lsn及びL0をまとめて監視エリア毎に火災発報も識別できるので、ビルやマンション等であれば、各階ごとに鳴動パターンを識別して設定することができる。
【0019】
本発明の地区音響パターン設定部3は、異なる地区音響鳴動パターンを監視回線Ls1…Lsn及びL0が割り当てられている監視エリアを特定して設定することができる。つまり、監視エリアの特定をユーザ側で変更設定することができる。
【0020】
また、この地区音響パターン設定部3は、予め準備された複数の地区音響鳴動パターンを、火災の進展状況に応じて組み合わせて設定するための鳴動パターン設定操作部3bを更に備えている。従って、地区音響鳴動パターンをユーザ側で変更設定できる。ここに地区音響パターン設定部3に記憶させる地区音響鳴動パターンは、連続鳴動または、間欠鳴動、もしくはそれらの組み合わせが採用され、鳴動パターン記憶部3aに記憶させる。この鳴動パターンはこのように鳴動パターンを異ならせる構成に限定されず、火災の進展状況に応じてだんだんと音量を上げていくといったような音量に強弱をもたせる構成としてもよい。
【0021】
図3は、地区音響鳴動パターンの具体例をタイムチャートで示している。ここに示す鳴動パターンの一例はビルやマンション等の2階で火災が発生したことを想定した例である。
【0022】
図3(a)は、鳴動パターンaとして、火災感知器S1…Snが熱や煙等によって発報した場合に鳴動するパターンを示す。これは、図2でいうとステップ10から14に相当する。鳴動パターンaの段階では、火災感知器S1…Snのノイズ等による誤動作である可能性もある。そこで図3の(a)では等間隔で鳴動を休止させる間欠鳴動のパターンを図示している。したがって、鳴動パターンaが鳴動した場合は、誤動作の可能性もあるが、どこかで火災が発生したかもしれないという認識をもつことができる。なお、鳴動パターンaは、タイマA4aと連動して制御されるものである。
【0023】
図3(b)は、鳴動パターンbとして、火災感知器S1…Snが2度発報するか、別の火災感知器S1…Snが発報するか、または火災発信機H0が発報した場合に、鳴動するパターンを示す。鳴動パターンbの段階になると、火災発生が確定し、避難を要する。そこで、図3の(b)では連続鳴動と間欠鳴動の組み合わせた鳴動パターンを図示している。これは、図2でいうとステップ10、12、17、18の相当する。本具体例においては、ビルやマンション等の2階から発生した場合であるので、一定時間の連続鳴動し休止した後、2回の間欠鳴動で2階で火災が発生したことを知らせ、その後また一定時間連続鳴動する・・・というパターンを繰り返す。従って、鳴動パターンbが鳴動した場合は、火災が2階で発生したという認識をもって避難、もしくは管理者等であれば現場確認することができる。なお、鳴動パターンbは、タイマB4bと連動して制御されるものである。
【0024】
図3(c)は、鳴動パターンcとして、地区音響鳴動パターンbがリセットされずにタイマBがタイムアップした場合の鳴動パターンを示す。鳴動パターンcの段階になると、火災が拡大し、緊急避難を要する。図3の(c)では、連続鳴動する鳴動パターンを図示している。これは、図2でいうとステップ20、21に相当する。従って、鳴動パターンcが鳴動した場合は、2階で発生した火災が拡大しているので、緊急避難を要するというを認識をもって避難することができる。
【0025】
【発明の効果】
請求項1、2に記載の自火報受信機によれば、地区音響鳴動パターンを制御することにより、その鳴動パターンから火災発生場所や火災の進展状況を認識することができる。従って、これらの情報を認識して住人等は避難することができ、また管理者等は現場確認や避難誘導等することができる。
【0026】
請求項3に記載の自火報受信機によれば、監視回線毎ではなく、複数の監視回線をまとめた監視エリアの火災発報も識別ができる。
【0027】
請求項4に記載の自火報受信機によれば、監視エリアの特定をユーザ側で変更設定ができる。
【0028】
請求項5に記載の自火報受信機によれば、地区音響鳴動パターンをユーザ側で変更設定ができる。
【0029】
請求項6に記載の自火報受信機によれば、地区音響鳴動パターンは、種々のパターンで構成されているため、鳴動パターンのそれぞれに情報をもたせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における自火報受信機の回路構成のブロック図の一例
【図2】本発明における地区音響鳴動パターンを変動させるプログラムのフローチャートの一例
【図3】本発明における地区鳴動パターンのタイムチャートの一例
【図4】従来の自火報受信機の回路構成の一例
【符号の説明】
1 自火報受信機
2 火災受信制御部
3 地区音響鳴動パターン設定部
3a 鳴動パターン記憶部
3b 鳴動パターン設定操作部
4 タイマ制御回路
4a タイマA
4b タイマB
B1…Bn 地区音響装置
Lb1…Lbn 地区音響制御回線
S1…Sn 火災感知器
H0 火災発信機
Ls1…Lsn、L0 監視回線
Claims (6)
- 火災発信機、火災感知器を接続した監視回線を監視対象として、かつ地区音響装置を接続した地区音響制御回線を制御対象として、少なくともこれらを備えた自火報受信機において、
上記火災感知器からの1度目の火災発報を受けたときに計時を開始する第1のタイマと、
上記火災感知器からの2度目の火災発報、1度目の火災発報をした火災感知器とは別の火災感知器からの火災発報、火災発信機の発報のいずれかを受けたときに計時を開始する第2のタイマと、
上記監視回線に対応させて、地区音響装置に出力すべき鳴動制御信号に応じた地区音響鳴動パターンを予め記憶した地区音響パターン設定部と、
監視回線からの火災発報を判別処理して、予め対応付けた地区音響制御回線に鳴動制御信号を出力するとともに、
上記火災感知器からの1度目の火災発報を受けたときには、第1の地区音響鳴動パターンを出力し、上記第1のタイマが所定時間を計測すると第2の地区音響パターンを出力し、その後、上記第2のタイマが所定時間を計測すると第3の地区音響パターンを出力する火災受信制御部とを備えたことを特徴とする自火報受信機。 - 請求項1において、
上記火災受信制御部は、予め準備された火災判別プログラムを実行することで火災の進展状況を判別し、その結果として上記地区音響鳴動パターンを異ならせて出力することを特徴とする自火報受信機。 - 請求項1において、
上記火災受信制御部は、上記監視回線が割り付けられて特定されている監視エリアについて、上記地区音響鳴動パターンを異ならせて出力することを特徴とする自火報受信機。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
上記地区音響パターン設定部は、異なる地区音響鳴動パターンを、上記監視回線が割り当てられている監視エリアを特定して設定することを特徴とする自火報受信機。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
上記地区音響パターン設定部は、予め準備された複数の地区音響鳴動パターンを、火災の進展状況に応じて組み合わせて設定するための設定操作部を更に備えていることを特徴とする自火報受信機。 - 請求項1〜5のいずれかにおいて、
上記地区音響パターン設定部に記憶させる地区音響鳴動パターンは、連続鳴動または、間欠鳴動、もしくはそれらの組み合わせであることを特徴とする自火報受信機。
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