JP3864641B2 - 紫外線照射装置及び液晶装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は紫外線照射装置及び液晶装置の製造方法に関し、さらに詳しくは、封止剤の硬化工程に用いるのに好適な紫外線の照射方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、従来の液晶装置の製造方法においては、図5に示すように、1枚の大型基板にシール材32を付着させ、もう1枚の大型基板をシール材32の上から貼り合わせることによりシール材32に取り囲まれた複数の液晶封入領域Cを備えたマザーパネル31を形成する場合がある。このマザーパネル31は短冊状に切断されて短冊状パネル30となる。その後、短冊状パネル30の各液晶封入領域C内に液晶を注入し、液晶注入口32aを封止する。そして、最終的に短冊状パネル30は各液晶封止領域C毎に切断され、液晶パネルが形成される。
【0003】
図6を参照して、上記製造方法のうちの液晶封止工程の一例を説明する。先ず、複数の短冊状パネル30を各液晶注入口32aが同一側に配置される姿勢で相互に積み重ねて積層体50を形成し、側面が開放されたパネル固定冶具60内に保持する。前記パネル固定冶具60の内部に保持された積層体50は、各短冊状パネル30の平面全体に均一な圧力が積層方向に加えられた状態に保持される。次に、紫外線硬化樹脂の封止剤38を液晶注入口32aに塗布する。この状態で上記パネル固定冶具60を図6に示すように紫外線照射装置内に搬入する。この紫外線照射装置は、パネル固定冶具60を搬送するベルトコンベア70と、このベルトコンベア70の側方に配置された紫外線ランプ40とを有し、直管状の紫外線ランプ40の軸線は、ベルトコンベア70による搬送方向Pに対し平行に配置されている。パネル固定冶具60がベルトコンベア70により紫外線ランプ40の側方を通過すると、紫外線ランプ40から照射される紫外線によって封止剤38が光硬化する。なお、紫外線ランプ40の背後には反射ミラー44が設置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように紫外線ランプ40の軸線をベルトコンベア70の搬送方向Pと平行に配置して、未硬化の紫外線硬化樹脂からなる封止剤38が塗布された複数の液晶注入口32aが配列した積層体50の側面部Aに紫外線を照射すると、図7に示すように、紫外線ランプ40と同じ高さにある積層体50の側面部A内の部位の紫外線照射量が一番多くなり、当該部位から上下方向に離れるに従って紫外線照射量が少なくなる。したがって、積層体50の側面部A内に配置されている複数の封止剤38の受ける紫外線照射量に大きなばらつきが生ずるという問題点がある。
【0005】
封止剤38に対する紫外線照射量が不足すると、封止剤38が十分に硬化しないので、封止不良が発生するとともに、封止剤38が液晶中に溶出し、製品化された液晶装置に悪影響を及ぼす可能性がある。一方、封止剤38に対する紫外線照射量が多すぎると、封止剤38が急激な紫外線硬化作用を引き起こして極端に収縮し、封止剤38近傍の基板間隔(セルギャップ)が狭くなることにより、セルギャップが不均一になるため、表示に色ムラが生じてしまう可能性がある。また、液晶自体も強い紫外線に照らされることにより変質し、表示のコントラストムラや駆動電圧の上昇を引き起こす可能性がある。
【0006】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、積層体の表面に塗布された各封止剤に、均一な紫外線を照射し、各封止剤を均一に光硬化することができる紫外線照射装置及び液晶封止工程を有する液晶装置の製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の液晶封止用紫外線照射装置は、紫外線を照射する直管状の紫外線ランプと、該紫外線ランプの傍らを通過する搬送路に沿って未硬化の紫外線硬化樹脂が塗布された液晶注入口を有する液晶充填後の液晶パネル積層体を搬送する搬送手段とを有し、液晶パネル積層体における各液晶パネルの液晶注入口は積層体の搬送方向左右あるいは上下方向の一方側に配置され、紫外線ランプは、液晶パネルの液晶注入口が配置された積層体の表面に対峙すると共に、その軸線が搬送手段の搬送方向に対して、該搬送方向に直交する紫外線の照射方向に伸びる軸線周りに25°〜65°の範囲内の傾斜角を有する姿勢で配置され、搬送手段により、積層体を紫外線ランプに対して相対的に移動させながら紫外線を積層体に照射することを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、紫外線ランプと、紫外線ランプの傍らを通過する搬送路に沿って未硬化の紫外線硬化樹脂が塗布された液晶注入口を有する液晶充填後の液晶パネル積層体(ワーク)を搬送する搬送手段とを有し、紫外線ランプは、その軸線が搬送手段の搬送方向に対して、該搬送方向に直交する紫外線の照射方向に伸びる軸線周りに25°〜65°の範囲内の傾斜角を有する姿勢で配置されることにより、紫外線ランプの発光領域は、搬送方向と照射方向の双方に直交する方向に上記傾斜角に応じた幅を持つため、ワークが紫外線ランプの傍らを通過していくときの紫外線照射量の多い範囲が全体として広がり、しかもなだらかになる。
さらに、積層体を紫外線ランプに対して相対的に移動させながら紫外線を照射することにより、積層体における各紫外線硬化樹脂に均一な紫外線が照射され、均一に光硬化させることができる。
【0009】
本発明において、請求項1において,前記搬送手段はワークを一定速度で一方向に搬送するように構成されていることが好ましい。
【0010】
この発明によれば、搬送手段によってワークは傾斜した紫外線ランプの傍らを一定速度で一方向に搬送されるため、搬送方向と、該搬送方向に直交する照射方向との双方に直交する方向に見て、ワークの紫外線ランプを横切る時間が一定になることから、ワークに対する紫外線照射量の分布がより均一化される。
【0011】
本発明において、前記紫外線ランプは任意の傾斜角で保持され得るように回転可能に配置されていることが好ましい。
【0012】
この発明によれば、紫外線ランプは、その軸線が任意の傾斜角で保持され得るように回転可能に配置されているため、紫外線ランプの傾斜角を適宜に変更することができるので、紫外線ランプから前記照射方向に照射されるワーク上のなだらかな照射量分布を有する照射範囲を、搬送方向と照射方向との双方に直交する方向に広げたり、狭めたりすることができる。したがって、ワークの形状や寸法等によって変わる紫外線の照射必要範囲に合わせて紫外線の照射分布を調整することができる。また、ランプ交換による輝度分布の変化を補償するために、傾斜角を調整することも可能である。
【0013】
本発明の液晶装置の製造方法は、未硬化の紫外線硬化樹脂が塗布された液晶注入口を有する液晶充填後の液晶パネルを積み重ねてなる積層体を直管状の紫外線ランプに対して相対的に移動させながら、前記液晶注入口の配置された前記積層体の表面に紫外線を照射して、前記紫外線硬化樹脂を硬化させ、前記液晶注入口を封止する液晶封止工程を有する液晶装置の製造方法であって、前記紫外線ランプと前記積層体の相対移動方向に対して、該相対移動方向に直交する紫外線の照射方向に伸びる軸線周りに所定の傾斜角を有する姿勢の前記紫外線ランプから、紫外線を前記積層体に照射することを特徴とする液晶封止工程を有するものである。
【0014】
この発明によれば、液晶パネルを積層してなる積層体の表面に、軸線が搬送方向に対して所定の傾斜角を有するように設置された紫外線ランプから紫外線を照射することにより、上記表面に配列された紫外線硬化樹脂を従来よりも均一に硬化することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明に係る紫外線照射装置及び液晶装置の製造方法の実施形態について詳細に説明する。本実施形態においては、先ず、図5に示す従来例と同様に、2枚の基板間においてシール材32で取り囲まれた複数の液晶封入領域Cを有するマザーパネル31を切断することにより短冊状パネル30を形成する。この短冊状パネル30においては、複数の液晶封止領域Cが前記2枚の基板間において横一列に配列されており、液晶封止領域Cの各液晶注入口32aは全て同一側のパネル端部に形成されている。短冊状パネル30の各液晶封止領域C内には公知の方法で液晶が充填される。
【0016】
次に、図3に示すように、従来例と同様のパネル固定冶具60の内部に、液晶を充填した複数の短冊状パネル30をセットする。パネル固定冶具60の内部には、複数の短冊状パネル30が、その液晶注入口32aの位置を同一側に揃えた姿勢で紙や樹脂材等からなる緩衝材39と一枚ずつ交互にパネル固定冶具60内に積み重ねられることにより、積層体50が構成される。このとき、パネル固定冶具60の開放された側面には、複数の液晶注入口32aが配列された積層体50の側面部Aが露出した状態となる。また、この状態で積層体50は、セルギャップが一定になるように、各短冊状パネル30の平面全体に均一な力で加圧保持されている。次に、上記積層体50の側面部Aに配列された各液晶注入口32aに、ディスペンサ等を用いて紫外線硬化樹脂からなる封止剤38を隙間なく塗布する。
【0017】
図2には本実施形態の紫外線照射装置10の概略構造を示す。当該紫外線照射装置10は従来例と同様に、パネル固定冶具60を搬送するベルトコンベア70と、このベルトコンベア70の側方に配置された紫外線ランプ20とを有し、また、ベルトコンベア70はハウジング12を貫通するように設置され、紫外線ランプ20はハウジング12の内部に配置されている。しかし、本実施形態においては、紫外線ランプ20は、その軸線がベルトコンベア70の搬送方向Pに対して上下方向に傾斜角θを有する姿勢で設置されている。
【0018】
図3は本実施形態の紫外線照射装置10の使用状態を模式的に示す斜視図である。紫外線ランプ20は、ベルトコンベア70により搬送されるパネル固定冶具60に対して、上記搬送方向Pに直交する照射方向Qをもって紫外線を照射する。そして、紫外線ランプ20は照射方向Qと平行な軸線周りに上記傾斜角θを有する姿勢で固定されている。この傾斜角θは通常0°<θ<90°の範囲内で適宜に設定されるが、一般に25°<θ<65°の範囲内であることが好ましい。
【0019】
本実施形態では紫外線ランプ20の傾斜角θを適宜に変更できるように、紫外線ランプ20を背後に設置された反射ミラー24とともにハウジング12の内壁面に対して回転可能に取付けてある。紫外線ランプ20の取付構造としては、例えば、ランプ軸線方向の中央部を回転可能に取付ける軸支部と、この軸支部を中心として円弧状に伸びる内壁面の案内溝に対し係合する係合部とを設け、この係合部に、紫外線ランプ20を任意の傾斜姿勢で姿勢保持するためのねじ等の固定手段を設けたものが考えられる。
【0020】
次に、上記紫外線照射装置10を用いて上記積層体50に紫外線を照射した場合の作用効果を説明する。まず、上記の積層体50を収容したパネル固定冶具60をハウジング12の外側においてベルトコンベア70上に載置し、ベルトコンベア70を稼動させてパネル固定冶具60をハウジング12内に向けて一定速度で搬送する。ベルトコンベア70上に載置されたパネル固定冶具60は搬送方向Pに移動してハウジング12内に導入され、紫外線ランプ20の側方を通過してハウジング12の外に搬送される。この場合、ハウジング12内において、積層体50の側面部Aは紫外線ランプ20と向い合い、紫外線の照射を受ける。このとき、図1に示すように、紫外線ランプ20の軸線は水平な搬送方向Pに対して上下方向に傾斜角θを有するので、紫外線ランプ20から照射される紫外線照度を搬送方向に積算した紫外線照射量の上下方向の分布は、紫外線ランプ20を水平に設置した従来例に較べて図4に示すように全体的にゆるやかになり、その比較的なだらかな分布範囲Sは上下方向に広がる。したがって、積層体50が搬送方向Pに移動しながら紫外線ランプ20の側方を通過すると、積層体50の側面部Aにおいて上下方向に配列された複数の封止剤38が受ける紫外線照射量は、従来よりもばらつきの少ないものとなる。
【0021】
上記実施形態においては、上記分布範囲Sが側面部Aにおける封止剤38の配列範囲を全てカバーするように構成されることが好ましい。また、ベルトコンベア60の搬送方向を一方向とし(すなわち直線的に搬送し)、且つ、搬送速度を一定にすることにより、積層体50の側面部Aにおける分布範囲S内にある部位において、紫外線ランプの側方を横切る時間が一定になるため、紫外線照射量のばらつきが低減される。
【0022】
なお、上記の紫外線照射装置10においては、紫外線ランプ20の軸線を垂直に立てる場合も考えられる。しかし、この場合には分布範囲Sが上下方向に広がる一方で、搬送方向Pに見た紫外線の照射範囲の広がりが小さくなるので、封止剤38を十分に硬化させるに充分な紫外線照射量を確保するには、ベルトコンベア70の搬送速度を遅くするか、或いは紫外線ランプ20の輝度を高めなければならない。また、紫外線照射装置の内部に紫外線ランプ20を垂直に立てて配置すると、ハウジング12の高さが増大し、必要以上に紫外線照射装置の大型化を招いてしまう場合がある。
【0023】
なお、本実施形態においては紫外線ランプ20の側方を搬送路が通過するように構成されているが、紫外線ランプ20から搬送路へと向かう紫外線の照射方向Qと平行な軸線(照射軸)周りに傾斜角θが存在するように紫外線ランプ20が設置されてさえいれば、紫外線ランプ20の上下左右のいずれをワークが通過するように構成されていても構わないことは明らかである。
【0024】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、直管状の紫外線ランプの軸線をワークの搬送方向に対して傾斜させることにより、ワークに対する紫外線照射量のばらつきを低減することができる。また、液晶封止工程を有する液晶装置の製造方法において、複数の液晶パネルを積み重ねて積層体を形成し、積層体の表面に配列された液晶注入口に塗布された紫外線硬化樹脂を硬化させる場合に、各紫外線硬化樹脂が受ける紫外線照射量のばらつきを低減することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の紫外線照射装置のハウジング内部における紫外線ランプと複数の短冊状パネルを積み重ねた積層体とを紫外線の照射方向に見た様子を模式的に示す説明図である。
【図2】同実施形態の構造を示す概略縦断面図である。
【図3】同実施形態のハウジング内部における紫外線ランプと積層体を保持したパネル固定冶具とを模式的に示す概略斜視図である。
【図4】同実施形態における複数の短冊状パネルを積み重ねた積層体側面部Aに対する紫外線照射量の分布を示すグラフである。
【図5】液晶封止領域を内部に複数有したマザーパネルから短冊状に切断した短冊状パネルの製造方法を示すための概略平面図である。
【図6】従来の紫外線照射装置のハウジング内部における紫外線ランプと積層体を保持したパネル固定冶具とを模式的に示す概略斜視図である。
【図7】従来の複数の短冊状パネルを積み重ねた積層体の側面部Aに対する積層方向の紫外線照射量の分布を示すグラフである。
【符号の説明】
10 紫外線照射装置
12 ハウジング
20、40 紫外線ランプ
24、44 反射ミラー
31 マザーパネル
30 短冊状パネル
32 シール材
32a 液晶注入口
38 封止剤
39 緩衝材
50 積層体
60 パネル固定冶具
70 ベルトコンベア
Claims (4)
- 紫外線を照射する直管状の紫外線ランプと、
該紫外線ランプの傍らを通過する搬送路に沿って未硬化の紫外線硬化樹脂が塗布された液晶注入口を有する液晶充填後の液晶パネル積層体を搬送する搬送手段とを有し、
前記液晶パネル積層体における各液晶パネルの液晶注入口は前記積層体の搬送方向左右あるいは上下方向の一方側に配置され、
前記紫外線ランプは、前記液晶パネルの液晶注入口が配置された積層体の表面に対峙すると共に、その軸線が前記搬送手段の搬送方向に対して、該搬送方向に直交する紫外線の照射方向に伸びる軸線周りに25°〜65°の範囲内の傾斜角を有する姿勢で配置され、
前記搬送手段により、前記積層体を前記紫外線ランプに対して相対的に移動させながら紫外線を前記積層体に照射することを特徴とする液晶封止用紫外線照射装置。 - 請求項1において,前記搬送手段は前記液晶パネル積層体を一定速度で一方向に搬送するように構成されていることを特徴とする液晶封止用紫外線照射装置。
- 請求項1又は請求項2において、前記紫外線ランプは任意の傾斜角で保持され得るように回転可能に配置されていることを特徴とする液晶封止用紫外線照射装置。
- 未硬化の紫外線硬化樹脂が塗布された液晶注入口を有する液晶充填後の液晶パネルを積み重ねてなる積層体を直管状の紫外線ランプに対して相対的に移動させながら、前記液晶注入口の配置された前記積層体の表面に紫外線を照射して、前記紫外線硬化樹脂を硬化させ、前記液晶注入口を封止する液晶封止工程を有する液晶装置の製造方法であって、
前記紫外線ランプと前記積層体の相対移動方向に対して、該相対移動方向に直交する紫外線の照射方向に伸びる軸線周りに25°〜65°の範囲内の傾斜角を有する姿勢の前記紫外線ランプから、紫外線を前記積層体に照射することを特徴とする液晶装置の製造方法。
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