JP3864529B2 - 加熱調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に加湿と加熱を同時に行う加湿加熱調理を行う調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の調理の代表的な方法は、鍋に水を入れてヒータなどの加熱源で水を沸騰させたところに食品を入れて加熱するいわゆる茹でと呼ばれる方法であった。
【0003】
また、近年加湿と加熱を同時に行う調理器として特開平6−272866公報に記載されているようなものが提案されている。この加熱調理器はマイクロ波発生手段と噴霧手段を備えており、噴霧手段によって発生された霧状の水を、被加熱物の表面に達するまでに、マイクロ波によって加熱し蒸気とすることで、食品表面に水分を吸収させようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、鍋で茹でる上記従来の方法の場合、多量の水を必要とし、しかもこの多量の水を沸騰させるには時間と大量のエネルギーを必要とするうえ、調理終了後この水を排水する排水設備を必要とする等多くの課題があった。
【0005】
また霧状の水滴を加熱して一旦蒸気とする構成では、食品自体に加湿できる水分量に限界があり蒸し加熱のレベルでこれを越すことができないという課題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、食品の表面に水膜を形成するための水膜形成手段と、前記水膜を加熱する水膜加熱手段と、水膜加熱手段をヒータとしたものである。
【0007】
上記発明によれば、熱エネルギーが食品の表面のみから伝わる伝熱加熱であるから、表面の水膜がまず加熱され、順次その熱が食品内部に伝わってゆくことになる。水膜は当然のことながら100℃以上には昇温しないので、食品内部も100℃になれば熱平衡状態となり、それ以上熱エネルギーが伝わることはない。すなわちマイクロ波加熱の場合のように表面の水膜の加熱が不十分で、一方で食品内部が加熱され過ぎて沸騰状態になると言うことがない。従って、澱粉系食品を調理する場合でも、水膜加熱手段にマイクロ波加熱を用いた従来例のように、食品内部から水分が蒸発することなく、十分な吸水が実現できるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1にかかる加熱調理器は、食品自体を加熱する食品加熱手段としてマイクロ波加熱を用い、全加熱プロセスの前半にマイクロ波加熱のエネルギー配分が大きくなるようにし、食品の表面に水膜を形成するための水膜形成手段と、前記水膜を加熱する水膜加熱手段からなり、この水膜加熱手段はヒータとし、一定の速度を持って食品に衝突する水滴を発生する霧化手段を水膜形成手段とし、前記霧状の水滴の衝突する位置に加熱板を設け、この加熱板を前記水膜加熱手段であるヒータで加熱するものである。
【0009】
そして、ヒータ加熱は伝熱加熱であり、加熱は表面から伝わって行くから、表面の水膜がまず加熱され、その熱が順次食品内部に伝わってゆくことになる。水膜は当然のことながら100℃までしか昇温しないので、食品内部も100℃になればそれ以上の熱エネルギーの伝達は起こらない。従って、水膜加熱手段にマイクロ波加熱を用いた場合のように食品内部が沸騰状態になって食品自身から水分が蒸発してしまうと言うことがない。その結果、従来のマイクロ波加熱を用いた水膜加熱手段では食品内部が加熱され過ぎて、脱水を起こす澱粉系食品のような場合にも、十分な吸水を実現することができるものである。
【0010】
そして、水膜の加熱は水膜加熱手段であるヒータによって十分行われるので、マイクロ波加熱を用いた食品加熱手段はあくまでも食品自体の昇温、特にその芯温上昇を目的としたものである。ヒータ加熱を用いた水膜加熱手段で水膜そのものの加熱は十分行われるので、食品加熱手段であるマイクロ波加熱の電力は食品内部の温度上昇にあわせて低い目に抑えることができる。このため、食品内部からの水分の蒸発はわずかで、十分な吸水と芯温の上昇の両方がスピーディに行われることになる。
【0011】
そして、まだ水をあまり吸収していない加熱プロセスの前半に、マイクロ波による加熱を集中することにより、マイクロ波は食品内部まで浸透する。これは、マイクロ波の食品内部へ浸透する深さが誘電損失の小さいほど大きくなることを利用したものである。澱粉系食品の場合であれば、その誘電損失は水分率により変化し、水分率の小さい加水前において誘電損失が小さい。又冷凍食品であればよく知られているように加熱前のと凍結状態
の方が誘電損失が小さい。その結果、加水の進んでいない加熱前半、又凍結状態にある加熱前半にマイクロ波加熱を集中することで、食品内部までマイクロ波が浸透し食品全体をバランス良くスピーディに昇温できるものである。
【0012】
そして、霧化手段である圧力噴霧ノズルから噴霧され食品表面の水膜にならなかった水滴が加熱板に接触し、加熱板の熱で気化する。加熱板の熱はその大部分が蒸気の潜熱として食品を加熱する一方で、その表面からの輻射熱や対流などにより直接(蒸気潜熱という形を取らずに)食品を加熱する。すなわち、蒸気発生装置として機能する加熱板は蒸気を発生するだけではなく、輻射,対流,伝導の伝熱加熱により直接水膜加熱に寄与するので、独立した蒸気発生装置としてボイラーなどを用いるより簡単な構成で、しかも効率的に加熱することができる。
【0013】
本発明の請求項2にかかる加熱調理器は、接触した水滴が膜沸騰状態を呈する温度まで加熱板を昇温するものである。
【0014】
そして、加熱板上に滴下した水滴は膜沸騰状態を呈するため、圧力噴霧ノズルから、加熱板上に達した水滴は、加熱板上を激しく飛びまわる。勢い良く噴霧され、加熱板上に吹き付けられた霧状の水滴はもともと巻き上がる気流を生じる。この巻き上がる気流の流れと膜沸騰状態による前記水滴の動きの相乗効果により、より多くの水滴が勢い良く舞い上がり、噴霧により直接には付着し難い食品表面の裏側などに付着し、食品表面により均一な水膜を形成するものである。
【0015】
本発明の請求項3にかかる加熱調理器は、水膜形成手段により水膜形成を開始する前に加熱板を膜沸騰温度以上に予熱するものである。
【0016】
そして、水噴霧を開始した直後から加熱板に滴下した水滴は膜沸騰状態となる。一旦低温の核沸騰状態からスタートすると膜沸騰状態に移行するためには多量の熱エネルギーを必要とすることになる。これに対し、膜沸騰温度以上に予熱することによりこうしたプロセスを経ずに一気に膜沸騰状態にすることができる。
【0017】
本発明の請求項4にかかる加熱調理器は、加熱板の表面を撥水処理したものである。
【0018】
そして、撥水処理により膜沸騰温度が下がり、より低い温度で膜沸騰状態となり、短時間の予熱で膜沸騰状態を実現できる。
【0019】
本発明の請求項5にかかる加熱調理器は、食品を加熱板上に直接載置するものである。
【0020】
そして、水膜形成とその加熱による加水加熱の後に、水噴霧を止めて加熱板を継続加熱する、と言う簡単な操作と必要最小限の水と加熱エネルギーで茹でから焦げ目付けまでのプロセスが実現できるものである。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0022】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の要部概略断面図である。図1において、加熱室3の底部には盆状の皿7が配置され、食品1はこの盆状の皿7の上方に設けられた棚板8に載置されている。この棚板8は網状もしくは多数のパンチング孔を設けた構成になっている。加熱室3の上部天井面の一部には水膜形成手段であるポンプ6と接続した噴霧ノズル5が配置されており、その噴霧した水滴2は食品1の方向に向いている。そして、水膜加熱手段であ
るヒータ9が加熱室3の壁面に配置されている。
【0023】
次に動作,作用について説明する。噴霧ノズル5からは粒径がほぼ60μm〜100μmの霧状の水滴2が初速度を持って食品1に向かって勢い良く噴出される。霧状の水滴は食品1に速度を持って衝突し、多量の水滴が食品表面に付着する。一方食品1に衝突しなかった水滴は、食品1下方に配置されている盆状の皿7に勢い良く吹き付けられ、巻きあがる気流を生ずる。その結果、噴霧ノズル5から噴霧された水滴が直接当たり難い食品1の裏側にも、むらなく水滴が付着する。
【0024】
一方、電気ヒータ9の熱は、輻射熱として直接、あるいは加熱室3内部の空気を加熱することで間接的に食品1表面に形成された水膜を加熱する。これらの加熱は表面からの伝熱加熱であるから、表面の水膜がまず加熱され、順次その熱が食品内部に伝わってゆくことになる。水膜は当然のことながら100℃までしか昇温せず、食品内部も100℃になればそれ以上熱エネルギーは伝達されない。その結果、澱粉系食品でも、噴霧量と加熱量を増やすことで、十分な吸水,昇温を実現することができる。
【0025】
(実施例2)
図2は本発明の実施例2の要部概略断面図を示す。本実施例2において、実施例1と異なる点は、ヒータ加熱により伝熱加熱を行う水膜加熱手段に加えてマイクロ波加熱手段10からなる食品加熱手段を合わせて具備した点である。図2において、本発明の調理器は水膜加熱手段として伝熱加熱を行う電気ヒータ9に加え、食品加熱手段として機能するマイクロ波発生手段10を具備している。なお、実施例1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0026】
次に動作,作用を説明する。水膜加熱手段であるヒータ9は食品1を加熱室3に収納するまえから通電され、電気ヒータ9自身と加熱室3壁面と加熱室3内部の空気を予熱している。食品1を加熱室3内に収納し、その後食品加熱手段であるマイクロ波発生手段10で発生したマイクロ波は噴霧ノズル5から噴霧される水滴2とほぼ同時に加熱室3内に導入される。マイクロ波は表面の水膜を含め食品内部を加熱することは従来例の場合と同等である。ただし、本発明の場合、水膜の加熱は伝熱加熱手段である電気ヒータ加熱によって十分行われるので、マイクロ波はあくまでも食品の芯温上昇を目的としており、そのマイクロ波電力を低く抑えられており、食品内部からの蒸発は基本的に発生しない。以上、それぞれの熱源のエネルギーの伝達メカニズムの特徴を生かした加熱により、短時間に十分な吸水と芯温の上昇の両方が実現されるものである。
【0027】
ヒータ加熱そして水噴霧とマイクロ波の導入のシーケンス例は図3に示す。マイクロ波による加熱は一旦水噴霧と同時にスタートするが、加熱の後半に入るとマイクロ波のみ途中で停止もしくはその電力を絞り込むシーケンスとなっている。図3の例では、マイクロ波を断続することで電力を絞り込んでいる。
【0028】
澱粉系食材は吸水して含水率が上昇すると、マイクロ波の吸収率が増大し、食品の中心部までマイクロ波は到達しないで表面近傍で吸収されてしまう。図4は澱粉の水分率と誘電損失の関係の一例を示したグラフである。誘電損失とは誘電体がマイクロ波等の高周波電界中に暴露されたときにどれだけその電界エネルギーを吸収するかを示すもので、誘電損失が大きいほどマイクロ波による吸収発熱が大きくなる。一般に調理前の食材は誘電損失の山の左側にあり、吸水が進むほど誘電損失を大きくなり、従ってマイクロ波の吸収が食品表面に集中するのが一般的である。これに対し本発明の加熱シーケンスによれば、吸水の進んだ加熱の後半部分では、マイクロ波の導入を中止もしくは絞っている。吸水の進んだ加熱の後半にマイクロ波電力を絞り込むことにより、表面近傍のマイクロ波による過加熱とそれに伴う脱水現象を最小限に抑えることができる。
【0029】
また、食品が冷凍食品の場合、同じ食材であっても冷凍状態では誘電損失は小さく、解凍されると一気に大きくなるのが一般的である。従って、上記澱粉系食材も含め冷凍食品を調理する場合、解凍の進んだ加熱後半にマイクロ波電力を絞り込むことで表面近傍のマイクロ波による過加熱とそれに伴う脱水現象を最小限に抑えることができるのは上記澱粉系食品の場合と全く同様である。
【0030】
以上本発明の場合、伝熱加熱により食品表面の水膜を加熱するとともに、電力を低めに抑えたマイクロ波による加熱を同時に行っている。これにより、伝熱加熱であるヒータ加熱により食品表面の水膜から加熱することで吸水,昇温を十分促進し、マイクロ波加熱により、食品の中心部の昇温を促進するものである。
【0031】
さらにマイクロ波加熱を加熱調理の前半に大きくすることにより、特に澱粉系の冷凍食品の場合にマイクロ波の食品表面部への集中を緩和し、食品内部からの蒸発を抑えて、十分な吸水を確保しながら芯温の昇温スピードを大幅にアップすることが出来るものである。
【0032】
(実施例3)
図5は本発明の実施例3の要部概略断面図を示す。本実施例3において、実施例2と異なる点は、圧力噴霧ノズル5で発生した霧状の水滴2の衝突する位置に加熱板11を設け、この加熱板11を水膜加熱手段であるヒータ12で加熱する構成とした点である。すなわち、図5において加熱室3の底部には表面を撥水処理した加熱板11とこの加熱板11を加熱するヒータ12、加熱室3の天井部には水膜形成手段である圧力噴霧ノズル5を具備している。食品1は加熱板11の上方に設けられた網状の載置台8上に載置され、加熱板11に直接に接する事のないようになっている。
【0033】
なお、実施例2と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0034】
次に動作,作用を説明する。加熱室3内に食品1を入れて加熱を開始する前に、加熱板11をその下方に配置されたヒータ12により予熱(加熱)し、水が膜沸騰を起こすおおよそ200℃以上まで昇温する。次いで食品1を加熱板11の上方に設けられた網状の載置台8上に載置し、水噴霧とマイクロ波加熱をスタートする。圧力噴霧ノズル5から食品1に向かって噴霧された水滴2で食品1表面に付着して水膜を形成しなかった水は加熱板11上に落下し、加熱板11で加熱されて気化蒸発する。加熱板11は予め膜沸騰温度以上に予熱されているので噴霧が始まると同時に水滴2は加熱板11上で直ちに膜沸騰を開始し蒸発する。
【0035】
図6に大気圧下の水に対し、伝熱面の温度を次第に高めていった場合の熱流速の変化を示す沸騰曲線を示す。図6で横軸は加熱度ΔTsat(伝熱面温度Tw−飽和温度Tsat)で膜沸騰状態へと核沸騰状態から移行するためには通常バーンアウト点と呼ばれる熱流速の極大点を通過する必要のあることを示している。
【0036】
図6に示す沸騰曲線から理解できるように、膜沸騰状態が始まる200℃前後は熱伝導が極小となっているので、一旦膜沸騰状態になれば比較的少ない加熱量で加熱板11上に水滴がある状態で膜沸騰温度を維持することになる。食品1表面に形成された水膜は、加熱板13で気化した水蒸気と加熱板11の熱そのものによる輻射、また空気を介した対流や伝導により加熱される。
【0037】
その結果、加熱板11の熱はその大部分が蒸気の潜熱として食品1を加熱するが、その表面からの輻射や空気を介した対流などにより直接(蒸気潜熱という形を取らずに)食品
を加熱する。すなわち、水膜形成手段である噴霧ノズル5から噴霧された水滴で水膜にならなかった水滴が蒸気として活用されるのを始め、蒸気発生装置として機能する加熱板11は蒸気を発生するだけでなく、直接輻射,対流,あるいは伝導加熱により水膜加熱に寄与する。
【0038】
しかも、本発明の場合、加熱板11は膜沸騰を生ずる温度、例えば200℃以上に加熱されており、滴下した水滴は膜沸騰状態を呈するため、加熱板11上で激しく飛びまわる。もともと水膜形成手段として圧力噴霧ノズル5を用い、勢い良く霧状の水滴を噴霧しているので、霧状の水滴は食品1に衝突して多量の水滴が表面に付着する一方、食品1下方に位置する加熱板11に勢い良く吹き付けられ、巻き上がる気流を生じる構成となっている。吹き付けられた水滴は、この巻き上がる気流の流れと膜沸騰状態による水滴の動きの相乗効果により、より多くの水滴が勢い良く舞い上がり、直接には付着し難い食品表面の裏側などに付着する。
【0039】
膜沸騰の発生は加熱板11の温度だけではなく、加熱板11の材料,表面状態により変化する。加熱板11表面は撥水処理してあるので膜沸騰温度が下がり、より低い温度で膜沸騰状態となり、短時間の予熱で膜沸騰状態を実現できる。
【0040】
(実施例4)
図7は本発明の実施例4の要部概略断面図を示す。本実施例4において、実施例3と異なる点は、食品1が加熱板11に直接載置される点である。
【0041】
なお、実施例3と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0042】
次に動作,作用を説明する。食品は加熱板11上に直接載置されており、調理の前半には水膜形成手段と水膜加熱手段及び食品加熱手段により加湿加熱をまず行う。十分な吸湿昇温ができた段階で水膜形成手段である噴霧ノズル5からの噴霧を停止し、加熱板11の加熱を継続することにより食品1底部に香ばしい焦げ目を付けることができる。食品1が例えば餃子の場合、この一連の調理プロセスによりカリット香ばしく焼き餃子を仕上げることができるものである。この時、食品加熱手段であるマイクロ波加熱を行う時間と電力は食品の芯温の温度上昇と調理時間との関係を勘案して最適化される。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る加熱調理器は、水膜形成手段を一定の速度を持って食品に衝突する霧状の水滴を発生する霧化手段とし、前記霧状の水滴の衝突する位置に加熱板を設け、この加熱板を水膜加熱手段であるヒータで加熱する構成としている。噴霧されて食品に付着して水膜を形成しなかった水滴は加熱板で加熱されて気化し、水蒸気となって食品表面の水膜を加熱する。蒸気による加熱は食品表面を均一に加熱できるだけでなく、表面の水膜が減少すれば加湿してこれを補う効果もある。又、加熱板及びこれを加熱するヒータは輻射や空気による伝熱で蒸気を介さずに直接食品表面の水膜を加熱するからボイラーのような独立した蒸気発生装置よりも簡便かつ効率的に加熱することができる。
【0044】
また、接触した水滴が膜沸騰状態を呈する温度まで加熱板を昇温しているので、加熱板上に滴下した水滴は膜沸騰状態を呈して加熱板上を激しく飛びまわる。勢い良く吹き付けられた霧状の水滴はもともと巻き上がる気流を生じており、この巻き上がる気流の流れと膜沸騰状態による前記水滴の動きの相乗効果により、より多くの水滴が勢い良く舞い上がり、噴霧では直接付着し難い食品表面の裏側などに付着し、より均一な水膜を形成するという効果がある。
【0045】
また、水噴霧を開始する前に加熱板を膜沸騰温度以上に予熱しているので、多量の熱エ
ネルギーを必要とするバーンアウト点と呼ばれる熱流速の極大点を通過せずに一気に膜沸騰状態にすることができるという効果がある。
【0046】
また、加熱板の表面を撥水処理しているので、膜沸騰温度が下がり、短時間の予熱で膜沸騰状態を実現できるという効果がある。
【0047】
また、食品を加熱板上に直接載置する構成としているので、水噴霧による水膜形成とその加熱による食品の加水加熱の後に水噴霧を止めて加熱板を継続加熱すると言う簡単な操作で、茹でから焦げ目付けまでのプロセスを実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における加熱調理器の要部概略断面図
【図2】 本発明の実施例2における加熱調理器の要部概略断面図
【図3】 本発明の実施例2における水噴霧と蒸気及びマイクロ波電力の導入のシーケンス図
【図4】 澱粉の水分率と誘電損失の関係を示すグラフ
【図5】 本発明の実施例3における加熱調理器の要部概略断面図
【図6】 大気圧下の水に対する伝熱面の温度と熱流束の関係を示すグラフ
【図7】 本発明の実施例4における加熱調理器の要部概略断面図
【符号の説明】
1 食品
5 噴霧ノズル(水膜形成手段)
9,12 ヒータ(水膜加熱手段)
10 マイクロ波加熱手段(食品加熱手段)
11 加熱板
Claims (5)
- 食品自体を加熱する食品加熱手段としてマイクロ波加熱を用い、全加熱プロセスの前半にマイクロ波加熱のエネルギー配分が大きくなるようにし、食品の表面に水膜を形成するための水膜形成手段と、前記水膜を加熱する水膜加熱手段と、水膜加熱手段は電気ヒータとした加熱調理器において、一定の速度を持って食品に衝突する水滴を発生する霧化手段を水膜形成手段とし、前記霧状の水滴の衝突する位置に加熱板を設け、この加熱板を前記水膜加熱手段であるヒータで加熱する加熱調理器。
- 接触した水滴が膜沸騰状態を呈する温度まで加熱板を昇温する請求項1記載の加熱調理器。
- 水膜形成手段により水膜形成を開始する前に加熱板を膜沸騰温度以上に予熱する請求項1または2記載の加熱調理器。
- 加熱板の表面を撥水処理した請求項2または3記載の加熱調理器。
- 食品を加熱板上に直接載置する構成とした請求項1ないし4のいずれか1項記載の加熱調理器。
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