JP2896357B2 - 加熱調理装置 - Google Patents

加熱調理装置

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JP2896357B2
JP2896357B2 JP8213997A JP8213997A JP2896357B2 JP 2896357 B2 JP2896357 B2 JP 2896357B2 JP 8213997 A JP8213997 A JP 8213997A JP 8213997 A JP8213997 A JP 8213997A JP 2896357 B2 JP2896357 B2 JP 2896357B2
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和文 牛嶋
一郎 稲見
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SHOKUHIN SANGYO DENSHI RYO GIJUTSU KENKYU KUMIAI
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱室に収容され
た食品等の被加熱物を加熱調理する加熱調理装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】加熱室に収容した食品を加熱調理するた
めの加熱調理装置としては、マグネトロン等による電磁
波を利用した誘電加熱によるもの、熱風等を利用した輻
射加熱によるもの、或いはこれらを組み合わせて用いた
もの等が開発されている。更には、加熱室内に水蒸気を
供給しつつ上述のような加熱を行なうものも知られてい
る(例えば、特公昭59−22132号公報、特開平8
−49854号公報、特開平9−4849号公報参
照)。
【0003】図9は、熱風を用いた従来の加熱調理装置
であるスチームオーブンの構成図である。加熱室41内
部には被加熱物を載置するためのトレー42が配設さ
れ、加熱室41内壁背面には加熱ユニットを収容する鉢
形状の凹部43が形成されている。凹部43の後方に設
置されたファンモータ44のモータ回転軸45は該凹部
43の後壁を貫通し、その先端にファン46が固定され
ている。ファン46の外周には該ファン46を周回して
シーズ線ヒータ47が設けられ、図示しない回路より電
力が供給されて加熱される。ファン46は内周側前方か
ら空気を吸い込んで外周側に送り出す構造となってお
り、送り出された空気はヒータ47に接触して加熱され
加熱室41内に戻る。
【0004】また、加熱室41には蒸気発生器48が付
設されており、ヒータ481に電力を供給し水槽482
内の水を加熱気化して得た水蒸気が加熱室41に供給さ
れる。水蒸気は、熱風による加熱時の食品表面の乾燥を
防止するのに有効であるのみならず、加熱効率を向上す
るためにも有用である。すなわち、水蒸気(特に過熱蒸
気)を加えつつ加熱を行なうと食品に接触した水蒸気か
らより多量の熱量を食品に与えることができるため、水
蒸気を加えない場合と比較して調理時間を短縮すること
ができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記構成の加熱調理装
置では、シーズ線ヒータ47は表面が耐熱性絶縁体で被
覆されており且つ表面積を構造上広くすることが困難で
あるため、空気との熱交換効率が比較的低い。このた
め、過大な電力を該ヒータに供給すると、その内部が一
時的に過度の高温になり発熱線の断線等の破損の恐れが
あり、迅速に昇温を実行したい場合であっても供給する
電力の最大値を制限せざるをえなかった。
【0006】また、食品の品質劣化を抑えて短時間で調
理するためには、加熱の立上りを速くすることが重要で
あるが、上述のような蒸気加熱の場合には水を沸騰させ
て蒸気を発生させるまでに時間を要するため、蒸気発生
の立上り速度が遅いという問題があった。
【0007】本発明は上記課題を解決するために成され
たものであり、その第1の目的は、加熱効率が良く特に
迅速な昇温が行なえる加熱調理装置を提供することにあ
る。また第2の目的は、立上りの迅速な蒸気発生を行な
うことにより効率的で且つ品質劣化の少ない調理を行な
うことのできる加熱調理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段、発明の実施の形態、及び
発明の効果】上記課題を解決するために成された本発明
の加熱調理装置は、 a)被加熱物を収容する加熱室と、 b)該加熱室に連通して形成された凹部内に該加熱室に向
けて設けられた、中央前方より吸引した空気を外周側へ
送る送風手段と、 c)該送風手段の外周を取り囲んで配設した円筒形状の加
熱金属体と該加熱金属体の外周に巻回したコイルと該コ
イルに高周波電力を供給して前記加熱金属体を誘導加熱
する電力供給手段とから成る加熱手段と、 を備えることを特徴としている。
【0009】本発明の加熱調理装置では、電力供給手段
がコイルに高周波電力を供給すると該コイルには加熱金
属体の筒体の内側を通過する交番磁束が発生し、該磁束
により加熱金属体には周方向に交流電流が誘起され、該
金属加熱体が誘導加熱される。送風手段は、加熱室内の
空気を吸い込んで発熱した金属加熱体へ向けて送り出
す。該空気は金属加熱体と接触して熱交換を行なうこと
により加熱されて、加熱室内に戻る。これにより、加熱
室内部の温度は上昇し、収容されている被加熱物は加熱
調理される。
【0010】従って、本発明の加熱調理装置によれば、
従来の発熱線を用いた加熱調理装置のように発熱線が断
線する恐れがないので、高周波電源の能力に応じた大き
な加熱電力を加熱手段に加えることができる。このた
め、加熱室内部の昇温を迅速に行なうことができ、食品
の味覚を損なうことなく様々な種類の調理が行なえる。
【0011】また、本発明の加熱調理装置では、前記凹
部の側壁は略円筒形状の絶縁体とし、該絶縁体の内周壁
に略密着して前記加熱金属体を設けると共に該絶縁体の
外周壁に前記コイルを巻回した構成とすることができ
る。
【0012】この構成によれば、凹部の側壁によって加
熱金属体とコイルとを適当な間隙を保って安定して支持
することができるので、構造が簡単であって、取付が容
易であると共にコストも安価になる。
【0013】また、本発明の加熱調理装置は、前記送風
手段に向けて水を放出する送水手段を備えた構成とする
ことができる。送水手段としては、例えば、貯水槽より
水を吸引して吐出する小容量のポンプと該ポンプにより
吐出した水を送風手段の中央近傍に流下させる送水管と
から成るものとする。
【0014】この構成では、放出された水は回転してい
る送風手段に当たって微細水滴となって飛散する。該水
滴は送風手段による空気流に乗って外周側へ送られ、加
熱金属体又はその近傍の加熱空気に接触して気化し、水
蒸気となって加熱空気と共に加熱室へ送出される。
【0015】従って、加熱されている加熱金属体に直接
接触した水滴が気化するため、水蒸気の発生及び停止を
瞬時に行なうことができる。また、水蒸気発生のための
加熱源を別に設ける必要がないので、装置全体の小型化
とコスト削減を達成できる。更には、給水量を制御する
ことにより加熱室内の湿度の制御が容易になる。
【0016】また、本発明の加熱調理装置は、前記送風
手段の後方に蒸気発生手段を設けると共に該送風手段の
内周に後方と連通する開口を設け、該開口を通して前記
蒸気発生手段にて発生した水蒸気を吸引して外周側へ送
出し前記加熱金属体に接触させる構成とすることができ
る。
【0017】このような構成において、前記蒸気発生手
段は、前記送風手段と共に回転すべく取り付けた金属板
部材と、該金属板部材に固定した通水性を有する多孔質
金属体と、該多孔質金属体を誘導加熱するための第2の
コイルと、前記多孔質金属体に水を供給する送水手段と
から構成することが好ましい。また、前記第2のコイル
は、前記多孔質金属体の後方で送風手段の回転軸の周囲
に渦巻状に巻回した構成とすることができる。
【0018】上記構成の蒸気発生手段では、第2のコイ
ルに高周波電力を供給すると該第2のコイルに発生する
交番磁束が金属板部材を略垂直に貫通し、該金属板部材
に渦電流が誘起されてジュール熱が発生する。金属板部
材に発生した熱は多孔質金属体に伝わり加熱される。送
水手段により供給された水は多孔質金属体中を浸透する
間に気化して水蒸気となり、送風手段の開口を通って外
周側へと送られる。加熱金属体の近傍へ導かれた水蒸気
は加熱金属体により一層加熱されて乾いた過熱蒸気とな
る。なお、多孔質金属体としては、発泡金属等を用いる
ことができる。
【0019】従って、この構成によれば、一旦蒸気発生
手段により発生した水蒸気が更に加熱された後に加熱室
に供給されるので、水滴を含まない過熱蒸気を確実に供
給することができる。これにより、湿った、水滴の多い
蒸気では適切に調理できないものも、見栄えよく且つ味
覚を損なわずに調理することができる。
【0020】また、送水手段を備えた上記加熱調理装置
では、該送水手段は前記送風手段の回転軸内を縦貫する
水路を通して水を搬送する構成とすることができる。
【0021】すなわち、回転軸は後方に配置されたモー
タより延伸しているから、該回転軸内を縦貫する水路を
通して水を供給する構成とすれば、水路を送風手段の前
方に配設する必要がないので、修理・交換等の作業が容
易になると共に加熱室内が広く使用できる。
【0022】また、水蒸気を発生する構成においては、
前記加熱室との連通開口を開閉自在な遮蔽手段を備える
ように構成し、該遮蔽手段を閉鎖した状態で充分に蒸気
を加熱した後に該遮蔽手段を開放して加熱室に該蒸気を
導入するとよい。
【0023】この構成によれば、微細水滴を含まない乾
いた過熱蒸気をより一層確実に加熱室に導入することが
できると共に、加熱室内の温度を比較的低く保った状態
でも過熱蒸気を導入することができるので、調理メニュ
ーに応じた適切な調理が一層容易になる。
【0024】更に、本発明の加熱調理装置では、前記加
熱金属体は周方向に凹凸を設けた形状とする、或いは、
多数の小開口を設けた形状とするとよい。
【0025】すなわち、本発明の加熱調理装置では、加
熱金属体を周方向に流れる電流の損失により発熱するの
で、加熱金属体を上述の如き形状とすると周方向の距離
が長くなって抵抗が増加し、より小さな高周波電流によ
って大きな加熱電力を得ることができる。また、実効的
な表面積が増加するので、周囲の空気との熱交換率が向
上し、空気や水の加熱効率も良くなる。
【0026】
【実施例】以下、本発明に係る加熱調理装置の一実施例
を図面を参照して説明する。図1は本実施例の加熱調理
装置の要部の構成図、図2は図1中の発熱体の外観を示
す側面図(a)及び正面図(b)である。加熱室1の内
壁後面には加熱ユニット2が取り付けられている。加熱
ユニット2はファン17から成る送風手段と、電磁誘導
加熱による加熱手段と、必要に応じて送風手段近傍に水
を送出する送水手段とから成る。
【0027】加熱手段は、加熱室1後面に固定された鉢
形状の絶縁体から成る支持部材11と、該支持部材11
の内周壁面にほぼ密着して嵌挿された図2に示すような
略円筒形状の発熱体12と、上記支持部材11の外周に
巻回されたコイル13と、該コイル13に高周波電力を
供給するインバータ制御回路を備えた高周波電源14と
から構成される。送風手段は、上記支持部材11の後方
に配置されたファンモータ15と、支持部材11の後壁
を貫通したモータ回転軸16の先端に取り付けたファン
17とから構成される。ファン17は前記従来の加熱調
理装置と同様に中央前方から吸い込んだ空気を翼体の外
周側へ送り出す構造を有している。また、送水手段は、
ファン17の中央付近に放水口18を有する注水管19
と、該注水管19に貯水槽21から吸引した水を送出す
る送水ポンプ20とから構成される。なお、加熱室1の
下面には結露して滴下した水を排出するためのドレイン
3が設けられている。また、水蒸気により内部圧力が異
常に高まることを防止するために、加熱室1には図示せ
ぬ排気口も設けられている。
【0028】上記構成において、ファンモータ15によ
りファン17が回転されると(回転速度は例えば270
0rpm程度)、加熱室1内から吸い込まれた空気が外
周側へ送られる。高周波電源14からコイル13に高周
波電流が供給されると、発熱体12の両端面の開口を通
過する磁束が生じ、該磁束によって発熱体12の周方向
に誘導電流が流れる。この誘導電流が発熱体12中を流
れる際にジュール熱が発生し、発熱体12自体が加熱さ
れる。勿論、磁束の一部は発熱体12を垂直又は斜めに
貫通しこれにより局所的に渦電流も発生するが、発熱量
全体としては発熱体12を周回する電流によるものが支
配的である。ファン17によりその外周側へ送出された
空気は発熱体12の内周面に接触して加熱され、加熱室
1内に戻る。このように加熱室1と加熱ユニット2内と
を空気が循環することにより、加熱室1内部の温度は上
昇する。
【0029】加熱室1に水蒸気を供給する場合には、送
水ポンプ20により注水管19へ水を送出し放水口18
から水を滴下する。滴下した水は高速回転しているファ
ン17の翼体に当たって微細な水滴となって飛散し、空
気流に乗ってファン17の外周側へ送られる。該空気中
の微細水滴は発熱体12自体又はその近傍の熱い空気に
接触して気化し、水蒸気となって加熱室1内へ送り込ま
れる。
【0030】本実施例の装置では、発熱体12の抵抗率
が低いと同じ加熱電力を発生するためにより大きな高周
波電流を供給しなければならず、高周波電源14が大規
模なものとなり実用的でない。このため、発熱体12を
構成する金属材料の抵抗率が適度に高いことが好まし
い。また、耐熱性は勿論のこと、水が接触するので耐腐
食性も必要である。このようなことを勘案すると、発熱
体12としてはステンレススチール、ニッケルを多く含
有する鉄系金属(例えば大同インクアロイ社市販のイン
コネル等)等が適当である。
【0031】発熱体12の周方向の抵抗を大きくするた
めには、発熱体12の板厚を薄くすることも有効であ
る。例えば図2のような平坦な板材による発熱体12で
は、0.1mm程度まで薄くすると実用的な発熱を行な
うことができる。しかしながら、機械的に弱くなって、
熱膨張により湾曲したり、高周波電流に商用電源周波数
の脈動成分を含む場合には振動を発生したりすることも
ある。このため、ステンレススチールでは0.5mm程
度の板厚を確保することが望ましいが、単純な平板形状
では抵抗が小さいため後述のような形状にするとよい。
【0032】一方、インコネルはステンレススチールよ
りも抵抗率が高いため、0.5mm程度の板厚で図2の
ような形状でも加熱に適当な抵抗が得られる。しかしな
がら、比較的熱膨張率が大きいので、膨張時に支持部材
11に不所望の応力を加えないように、支持部材11の
内壁面と予め適当な間隙を保つようにしておくことが望
ましい。
【0033】発熱体12の抵抗を増加すると共に周囲の
空気(又は水滴)との接触面積を広くして熱交換効率を
向上させるには、発熱体12の形状を変えることが有効
である。図3〜図5は発熱体12の他の実施例の外観を
示す図である。図3は断面を波形形状に加工した板材を
用いて発熱体12を形成したものであり、周方向の距離
が長くなるので抵抗が増加する。また、表面積も図2に
示した平板状板材を用いた場合の2倍以上に広くするこ
とができるので熱交換効率も良くなる。更に、このよう
な形状によれば、加熱時に板材が熱膨張した場合でも隣
接する波の間隔が狭くなって膨張を吸収するため、外周
側へ無理な力が加わることを防止できる。このため、発
熱体12として熱膨張率の大きな材料を使用する場合
に、支持部材11により該発熱体12を適切に保持しつ
つも熱膨張により支持部材11に強い力が加わらないと
いう利点がある。
【0034】また、図4はエキスパンドメタルの板材を
用いて発熱体12を形成したもの、図5はパンチングメ
タルの板材を用いて発熱体12を形成したものである。
いずれも、板材に多数の小孔が開口しているので周方向
の抵抗が増加する。
【0035】図1に示した構成の装置において水蒸気を
発生させる場合、一度に多量の水を注水管19から滴下
させると水が完全には気化せずに、微細水滴を含む空気
が加熱室1に供給されてしまう。例えば、ロールパン等
を焼き上げる調理を行なう場合、適度な水蒸気を与えつ
つ加熱を行なうと良好な調理ができるが、水蒸気中に水
滴を含むとパンの表面に斑点を生じる恐れがある。そこ
で、水滴を含まない過熱蒸気を得るためには、加熱手段
の加熱性能に応じて送水流量を制限することが好まし
い。例えば、約5kWの加熱電力を供給した場合、該全
熱量を用いて20℃の水を100℃の飽和蒸気にするこ
とが可能な最大流量は約1.93cc/秒となる。従っ
て、空気も同時に加熱することを考慮すると、送水流量
を1cc/秒以下に制限することが好ましい。
【0036】なお、上記構成の加熱調理装置では注水管
19をファン17の前方に配設しなければならないの
で、例えば注水管19が破損した場合に交換作業等が面
倒である。そこで、図6に示すような送水手段を設けた
構成としてもよい。すなわち、モータ回転軸16内部に
通水路162を形成し、支持部材11とファンモータ1
5との間に設けた注水口161を通して該通水路162
に水を流す。注水口161はモータ回転軸16に対しベ
アリングにより保持されており、その位置が固定した状
態でモータ回転軸16はすべり回転する。通水路162
に注入された水はモータ回転軸16の先端の出口から滴
下し、上述の例と同様にファン17の翼体に当たって微
細水滴となる。
【0037】次に、本発明に係る加熱調理装置の他の実
施例を図7を参照して説明する。図7は他の実施例によ
る加熱ユニットの詳細構成を示す断面図(a)、多孔質
金属体の正面図(b)及びファンの正面図(c)であ
る。この実施例では、ファン17の後方に同軸上に略円
板形状の金属支持板22が固定され、該金属支持板22
の前面に図7(b)に示すような多孔質金属体23が取
り付けられている。支持部材11の後壁背面にはモータ
回転軸16を中心に第2のコイル24が渦巻状に巻回さ
れ、該第2のコイル24には図示しない第2の高周波電
源より高周波電流が供給される。ファン17の内周部に
は、図7(c)に示すように吸引口171が開口されて
いる。また、モータ回転軸16内部には図6と同様の注
水口161に連なる通水路162が形成されており、通
水路162出口の放水口163は多孔質金属体23の内
周に向けて設けられている。多孔質金属体23は内部に
通水可能な多数の微小空隙を有する金属から成り、例え
ばニッケル発泡金属等が利用できる。
【0038】本実施例による加熱ユニットでは、図1の
実施例の加熱ユニットに比較して、水滴を含まない過熱
蒸気を確実に発生することができる。すなわち、第2の
コイル24に高周波電流が供給されると金属支持板22
を略垂直に貫通する交番磁束が生じ、該交番磁束により
発生するジュール熱によって金属支持板22が発熱す
る。この熱は多孔質金属体23に伝導され、該多孔質金
属体23自体が熱くなる。注水口161に水が供給され
ると、通水路162を通った水は遠心力により放水口1
63から勢い良く噴出して多孔質金属体23中に浸透す
る。そして、遠心力により多孔質金属体23中を外周方
向へ移動する間に、該多孔質金属体23中で蒸発して前
方へ流出する。その前方はファン17の翼体の裏面に覆
われ且つ該ファン17の内周側は負圧になっているた
め、発生した水蒸気はファン17の内周側へ吸引されて
吸引口171を通ってファン17前面へ出て、その外周
側へ送られる。そして、発熱体12と熱交換することに
より過熱蒸気となって、加熱室1内へ供給される。
【0039】また、更に確実に過熱蒸気を得るためには
図8に示す構成としてもよい。すなわち、ファン17前
面の加熱室の壁面10を格子状に開口し、その前面に上
下方向にスライド移動自在の格子状開口251を有する
シャッタ25を設ける。該シャッタ25により、加熱室
1と加熱ユニット2内とを連通させたり加熱ユニット2
内を略密閉したりすることができる。
【0040】通常の動作としては、まず、シャッタ25
を開放した状態で水蒸気の発生を伴わない加熱を行な
い、加熱室1内部の空気を適当な温度まで加熱してお
く。この予熱により、後述の如く水蒸気を加熱室1に導
入した際の結露を防止することができる。予熱の後、シ
ャッタ25を閉鎖して注水口161に水を供給し上述の
ように水蒸気を発生させる。発生した水蒸気はシャッタ
25により密閉された加熱ユニット2内部で循環し過熱
蒸気となる。この過程で微細水滴は完全に気化する。そ
して、所定時間が経過した後にシャッタ25を開放して
過熱蒸気を加熱室1内に導入する。
【0041】なお、加熱ユニット2内にて水が気化する
際に膨張して体積が急増するため、シャッタ25を完全
に閉鎖しておくと機械的な破損等の恐れがある。そこ
で、シャッタ25の閉鎖時にも、加熱ユニット2内から
少しずつ蒸気を逃がすために僅かにシャッタ25が開放
される構造としておくとよい。また、シャッタ25の閉
鎖時でも水蒸気を加熱室1側へ逃がす適宜の小孔を設け
るようにしてもよい。
【0042】図1に示した例では、発熱体12で水を気
化させるために発熱体12をかなり高温に加熱しておく
必要がある。このため、加熱室1の内部温度もかなり高
温になり、比較的低温(例えば100℃以下)で蒸気を
用いた調理を行なうことは難しい。しかしながら、図8
に示した例では、加熱室1内部の温度を上昇させずに過
熱蒸気を加熱室1内へ導入することができるので、例え
ば40℃程度の低温の条件で蒸気を用いた調理も容易に
行なうことができる。
【0043】なお、上記実施例は一例であって、本発明
の趣旨の範囲で適宜変更や修正を行なえることは明かで
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の加熱調理装置の実施例の構成図。
【図2】 本実施例の発熱体の外観図。
【図3】 他の実施例による発熱体の外観図。
【図4】 他の実施例による発熱体の外観図。
【図5】 他の実施例による発熱体の外観図。
【図6】 本発明の他の実施例による加熱調理装置の構
成図。
【図7】 他の実施例による加熱ユニットの構成図。
【図8】 他の実施例による加熱ユニットの構成図。
【図9】 従来の加熱調理装置の構成図。
【符号の説明】
1…加熱室 2…加熱ユニット 11…支持部材 12…発熱体 13、24…コイル 14…高周波電源 15…ファンモータ 16…モータ回転
軸 161…注水口 162…通水路 17…ファン 171…吸引口 19…注水管 20…送水ポンプ 22…金属支持板 23…多孔質金属
体 25…シャッタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−293901(JP,A) 特開 平2−213615(JP,A) 特開 昭63−236290(JP,A) 特開 平10−116682(JP,A) 特開 平9−269126(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05B 6/12 F24C 1/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)被加熱物を収容する加熱室と、 b)該加熱室に連通して形成された凹部内に該加熱室に向
    けて設けられた、中央前方より吸引した空気を外周側へ
    送る送風手段と、 c)該送風手段の外周を取り囲んで配設した円筒形状の加
    熱金属体と該加熱金属体の外周に巻回したコイルと該コ
    イルに高周波電力を供給して前記加熱金属体を誘導加熱
    する電力供給手段とから成る加熱手段と、 を備えることを特徴とする加熱調理装置。
  2. 【請求項2】 前記凹部の側壁は略円筒形状の絶縁体と
    し、該絶縁体の内周壁に略密着して前記加熱金属体を設
    けると共に該絶縁体の外周壁に前記コイルを巻回したこ
    とを特徴とする請求項1に記載の加熱調理装置。
  3. 【請求項3】 前記送風手段の中央付近に水を放出する
    送水手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記
    載の加熱調理装置。
  4. 【請求項4】 前記送風手段の後方に蒸気発生手段を設
    けると共に該送風手段の内周に後方と連通する開口を設
    け、該開口を通して前記蒸気発生手段にて発生した水蒸
    気を吸引して外周側へ送出し前記加熱金属体に接触させ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理装
    置。
  5. 【請求項5】 前記蒸気発生手段は、前記送風手段と共
    に回転すべく取り付けた金属板部材と、該金属板部材に
    固定した通水性を有する多孔質金属体と、該多孔質金属
    体を誘導加熱するための第2のコイルと、前記多孔質金
    属体に水を供給する送水手段とから構成したことを特徴
    とする請求項4に記載の加熱調理装置。
  6. 【請求項6】 前記第2のコイルは前記金属板部材の後
    方で前記送風手段の回転軸の周囲に渦巻状に巻回したこ
    とを特徴とする請求項5に記載の加熱調理装置。
  7. 【請求項7】 前記送水手段は前記送風手段の回転軸内
    部を縦貫する水路を通して水を送ることを特徴とする請
    求項3又は5に記載の加熱調理装置。
  8. 【請求項8】 前記加熱室との連通開口を開閉自在な遮
    蔽手段を備えることを特徴とする請求項3乃至7のいず
    れかに記載の加熱調理装置。
  9. 【請求項9】 前記加熱金属体は周方向に凹凸を設けた
    形状としたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか
    に記載の加熱調理装置。
  10. 【請求項10】 前記加熱金属体は多数の小開口を設け
    た形状としたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれ
    かに記載の加熱調理装置。
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