JP3864527B2

JP3864527B2 - 車両用空調装置

Info

Publication number: JP3864527B2
Application number: JP00304198A
Authority: JP
Inventors: 義信鈴木; 康弘佐藤; 誠一長屋
Original assignee: Denso Corp
Current assignee: Denso Corp
Priority date: 1998-01-09
Filing date: 1998-01-09
Publication date: 2007-01-10
Anticipated expiration: 2018-01-09
Also published as: JPH11198641A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置に関し、特に、エバポレータ未装着車を購入後にデーラーで後から車両用空調装置（冷房機能の付加）を付けるのに好適な構造の車両用空調装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
車両用空調装置は、エバポレータの後付けが可能な構造になっているものが多い。エバポレータが未装着の車両（冷房装置が付いていない車両）の場合には、暖房機能や内外気の取り入れのため、ヒータコア、各吹出口のドア、およびエバポレータ取付用の板状プレート等、最低限、必要なものは空調ケース（ユニットケース）内に組み付けられている。
【０００３】
板状プレートは、一般に、断面が略Ｕ字状であるとともにプラスチックで形成され、エバポレータのドレン水を排水するための排水口が設けられている。このような車両にデーラーが冷房装置を取り付ける場合は、空調ダクトの装着口からプレート側面のＵ字口にエバポレータを押し込んで空調ダクト内に組み付け、装入用開口を蓋で塞ぐ方法で行なっている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
板状プレートは、押し込み組み付けと排水上の理由から硬質のプラスチック（振動吸収性が低い）を採用していた。このため、自動車が走行するとエバポレータが揺れ、ガタつき音が頻繁に発生していた。
【０００５】
本発明の目的は、空調ケース内へエバポレータを後から押し込んで配設が可能な車両用空調装置において、走行中のガタつき音の発生を防止することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
〔請求項１について〕
エバポレータを空調ケース内に取り付けるための取付部材は、装入用開口から押し込んだエバポレータをスライドさせるためのＵ字状面を上側に有する撥水性樹脂からなる断面略Ｕ字状の支持部材と、支持部材をＵ字断面内に嵌め込んだ振動吸収性に優れる断面略Ｕ字状の振動吸収部材とを積層してなる。
【０００７】
このため、エバポレータから発生したドレン水を容易に排水することができる（撥水性樹脂製の支持部材による）とともに、車両の走行によりエバポレータが揺れてもその振動を吸収する（振動吸収部材による）ので、ガタつき音の発生を防止することができる。
冷房装置が付いていない車両に冷房装置を取り付ける場合には、空調ケース側面の装入用開口から空調ケース内にエバポレータを押し込めば、下部が支持部材のＵ字状面をスライドして容易に空調ケース内にエバポレータを組み付けることができる。なお、装入用開口からエバポレータを空調ケース内に押し込む際に、支持部材が位置ずれしない。
また、取付部材がエバポレータの下部を支持し、保持プレートがエバポレータの上部を支持する。なお、装入用開口は蓋で塞ぐ。
【０００８】
〔請求項２について〕
支持部材と振動吸収部材とを一体成形している。
このため、部品点数が削減でき、組付工数の低減が図れる。
また、取付部材を取り付けたエバポレータを空調ケースに組み付ける際や使用時に、振動吸収部材と支持部材との位置ずれや外れが起きない。
【０００９】
〔請求項３について〕
支持部材と振動吸収部材との一体成形が困難な場合には、両者を接着剤等の接合手段により接合する。
これにより、取付部材を取り付けたエバポレータを空調ケースに組み付ける際や使用時に、振動吸収部材と支持部材との位置ずれや外れが起きない。
【００１０】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例（請求項１〜３に対応）を図１〜図４に基づいて説明する。図１に示す車両用空調装置Ａは空調ユニット１（空調ケース）を有し、該空調ユニット１には、空気導入口１１と、空調空気の吹出口である、フェイス吹出口１２、フット吹出口１３、およびデフロスタ吹出口１４が設けられている。
【００１１】
空気導入口１１に近い空調ユニット１の内底面１５（平坦部１５０）には、排水孔２０付の断面略Ｕ字状の板状プレート２（取付部材）が固定されている（図１、図４参照）。この板状プレート２は、図２に示すように、エバポレータ３の下部３１を支持する揆水性樹脂材層２１（支持部材）と、振動吸収性に優れた振動吸収材層２２（振動吸収部材）とを接着剤で一体化した積層材である。そして、図３に示すように、エバポレータ３が板状プレート２のＵ字状面２１１（揆水性樹脂材層２１の上面）に下部３１を掛止して空調ユニット１内に配設されている。
【００１２】
空調ユニット１（プラスチック製）は、前部ハウジング１６と後部ハウジング１７とからなる。前部ハウジング１６は、前端の空気導入口１１が内外気切替箱（図示せず）に接続され、後端の開口１６１が後部ハウジング１７に連通している。また、前部ハウジング１６の上面にはエバポレータ３の上部３２を保持するための保持プレート２３が配設されている。さらに、ドレン水が排水口１５１へ流れるように、平坦部１５０より後方の内底面１５に傾斜が付けられている。
【００１３】
後部ハウジング１７内には、ヒータコア１７１とエアミックスダンパ１７２が配設されている。また、フェイス吹出口１２、フット吹出口１３、およびデフロスタ吹出口１４には、フェイスドア１２１、フットドア１３１、およびデフロスタドア１４１が配設されている。
【００１４】
揆水性樹脂材層２１は、本実施例では、揆水性に優れたポリプロピレン樹脂（厚さ０．８ｍｍ）で形成されている。また、振動吸収材層２２は、本実施例では、発泡体であり振動吸収性に優れたポリエチレン樹脂（厚さ４．０ｍｍ）で形成されている。
【００１５】
エバポレータ３の空調ユニット１への装着は、以下のように行なう。
冷房装置が付いていない車両の場合には、図４に示すように、エバポレータ３が空調ユニット１内に組み付けられていない。
デーラーが冷房装置が付いていない車両に冷房装置を取り付ける場合には、以下のようにしてエバポレータ３を空調ユニット１内に配設している。
空調ユニット１側面の装入用開口（図示せず）からエバポレータ３を板状プレート２のＵ字口２００から入れ、下部３１がＵ字状面２１１上をスライドするように押し込み、装入用開口を蓋で塞ぐ。
【００１６】
つぎに、車両用空調装置Ａの利点を述べる。
〔ア〕板状プレート２は、積層材であり、組み付け後、揆水性樹脂材層２１（厚さ０．８ｍｍのポリプロピレン樹脂）がエバポレータ３の下部３１を支持する構成である。このため、プレート側面のＵ字口２００からエバポレータ３を空調ユニット１内に押し込めば、下部３１がＵ字状面２１１上をスライドして容易に空調ユニット１内に組み付けることができるとともに、エバポレータ３から発生したドレン水を容易に排水することができる。
【００１７】
これに加え、板状プレート２の振動吸収材層２２（厚さ４．０ｍｍのポリエチレン樹脂）は振動吸収性に優れるので、組み付けたエバポレータ３が自動車の走行により揺れても、その振動を吸収するので、ガタつき音の発生を防止することができる。
【００１８】
〔イ〕揆水性樹脂材層２１（厚さ０．８ｍｍのポリプロピレン樹脂）と、振動吸収材層２２（厚さ４．０ｍｍのポリエチレン樹脂）とを接着剤を用いて接合している。このため、板状プレート２を簡単な作業で製造することができ、従来の板状プレートと比べて製造コストが著しく高くならない。
【００１９】
また、自動車の走行によりエバポレータ３が揺れると、揆水性樹脂材層２１が位置ずれしたり、振動吸収材層２２が磨耗したりしない。さらに、エバポレータ３をＵ字口２００に押し込む際に、揆水性樹脂材層２１が位置ずれしない。
【００２０】
〔ウ〕振動吸収材層２２は、発泡性のポリエチレン樹脂（厚さ４．０ｍｍ）を使用しているので、振動吸収性および機械的強度に優れる。
【００２１】
本発明は、上記実施例以外に、つぎの実施態様を含む。
ａ．揆水性樹脂材層２１は、揆水性に優れた樹脂であれば、ポリプロピレン樹脂以外の樹脂を使用しても良い。例えば、ＡＢＳ樹脂や塩化ビニル樹脂。
振動吸収材層２２は、振動吸収性に優れたものであれば、ゴム等の他のものを使用しても良い。
【００２２】
ｂ．揆水性樹脂材層２１の厚みは、強度の観点から０．３ｍｍ以上必要であり、製造コストの観点から１．５ｍｍ以下が好ましい。
振動吸収材層２２の厚みは、振動吸収の観点から３ｍｍ以上必要であり、製造コストの観点から９ｍｍ以下が好ましい。
【００２３】
ｃ．板状プレート２を、揆水性樹脂材層２１と振動吸収材層２２とを一体成形して製造しても良い（請求項２に対応）。
こうすると、部品点数が削減でき、組付工数の低減が図れる。
【００２４】
ｄ．揆水性樹脂材層２１と振動吸収材層２２との間や、振動吸収材層２２と空調ユニット１の平坦部１５０との間に、接合用の第３層を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【図１】エバポレータを空調ユニット内に配設した状態を示す車両用空調装置の構造説明図である。
【図２】その車両用空調装置に使用する板状プレートの斜視図である。
【図３】エバポレータの下部を板状プレートのＵ字口から押し込んだ状態を示す説明図である。
【図４】エバポレータを空調ユニット内に配設していない状態を示す車両用空調装置の構造説明図である。
【符号の説明】
Ａ車両用空調装置
１空調ユニット（空調ケース）
２板状プレート（取付部材）
３エバポレータ
２１揆水性樹脂材層（支持部材）
２２振動吸収材層（振動吸収部材）
３１下部

Claims

蓋付の装入用開口を側面に有し、内部に空気通路が形成される空調ケースと、
空調ケース内に取り付けられるエバポレータと、
前記空調ケースの内底面に固定され、前記エバポレータの下部を支持する取付部材と、前記空調ケース内の上面に固定され、前記エバポレータの上部を支持する保持プレートとを有する車両用空調装置において、
前記取付部材は、
前記装入用開口から押し込んだ前記エバポレータをスライドさせるためのＵ字状面を上側に有する撥水性樹脂からなる断面略Ｕ字状の支持部材と、
該支持部材をＵ字断面内に嵌め込んだ振動吸収性に優れる断面略Ｕ字状の振動吸収部材とを積層してなることを特徴とする車両用空調装置。
前記支持部材と前記振動吸収部材とが一体成形されていることを特徴とする請求項１記載の車両用空調装置。
前記支持部材と前記振動吸収部材とは接合手段により接合されていることを特徴とする請求項１記載の車両用空調装置。