JP3863290B2 - 光量検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、受光した光の光量を定量的に検出する光量検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光量検出装置として光電子増倍管を用いたものが従来より知られている。従来の光量検出装置では、光電子増倍管の光電陰極およびダイノードそれぞれに一定電圧が印加され、光電陰極への光の入射に応じて光電陰極がら光電子が放出され、その光電子がダイノードにより増倍されて2次電子が発生し、その2次電子の個数に応じた電流信号がアノード電極から出力される。そして、このアノード電極から出力される電流信号の大きさに基づいて、光電陰極へ入射した光の光量が定量的に検出される。
【0003】
しかし、この光量検出装置では、過大光が光電陰極に入射すると、光電子がダイノードにより増倍されて発生する2次電子の個数が過大となり、その結果、光電子増倍管や周辺回路が過大電流に因り破壊される危険がある。また、このことから、過大光が光電子増倍管に入射しないよう利用者は留意する必要があり取り扱いは容易でなく、また、光量検出のダイナミックレンジは狭い、等の問題点がある。
【0004】
特表昭59−500018号公報に開示された光量検出装置は、このような問題点を解決すべく提案されたものであって、光電子増倍管のアノード電極から出力される電流信号の大きさが一定になるよう、光電子増倍管の光電陰極およびダイノードそれぞれに印加する電圧をフィードバック制御し、その印加電圧の値に基づいて、光電陰極へ入射した光の光量を定量的に検出する。そして、このようにすることにより、光電子増倍管や周辺回路で過大電流が流れないようにして、光電子増倍管や周辺回路の破壊を回避して取り扱いを容易なものとし、また、光量検出のダイナミックレンジを拡大しようとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特表昭59−500018号公報に開示された光量検出装置では、過大電流が流れることはないものの、光電子増倍管に印加する電圧の値の調整幅が大きいことが必要であり、入射光が極めて微弱である場合には印加電圧は極めて高くなり、この超高電圧に因り周辺回路が破壊される危険がある。したがって、この光量検出装置でも、光量検出のダイナミックレンジは充分なものではない。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、光量検出のダイナミックレンジが広い光量検出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光量測定装置は、(1) 受光量に応じた個数の光電子を放出する光電陰極と、その光電子を増倍して2次電子を発生させるダイノードと、その2次電子の個数に応じた電流信号を出力するアノード電極とを有する光電子増倍管と、(2) アノード電極から出力された電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換部と、(3) 電流電圧変換部から出力された電圧信号を基準電圧と比較する比較部と、(4) 比較部により電圧信号が基準電圧より小さいと判断されたときには、一定電圧を光電子増倍管の光電陰極およびダイノードそれぞれに印加し、そうでないときには、電圧信号が基準電圧と一致するよう調整された印加電圧を光電子増倍管の光電陰極およびダイノードそれぞれに印加する電源部と、(5) 電圧信号が基準電圧より小さいときには電圧信号に基づいて受光量を算出し、そうでないときには印加電圧に基づいて受光量を算出する信号処理部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この光量測定装置によれば、光電子増倍管のアノード電極から出力された電流信号は電流電圧変換部により電圧信号に変換され、その電圧信号は比較部により基準信号と比較される。受光量が或る一定量以下のときには、比較部により電圧信号が基準電圧より小さいと判断され、一定電圧が電源部から光電子増倍管の光電陰極およびダイノードそれぞれに印加され、信号処理部により電圧信号に基づいて受光量が算出される。一方、受光量が或る一定量以上のときには、比較部により電圧信号が基準電圧より大きいと判断され、電圧信号が基準電圧と一致するよう調整された印加電圧が電源部から光電子増倍管の光電陰極およびダイノードそれぞれに印加され、信号処理部により印加信号に基づいて受光量が算出される。なお、印加電圧とは、光電子増倍管に実際に印加される印加電圧そのものの他、これと相関を有するものをも含む。
【0009】
また、信号処理部は、電圧信号が基準電圧より小さいときには電圧信号の値を線形変換して受光量を算出し、そうでないときには印加電圧の値を逆対数変換して受光量を算出することを特徴とする。この場合には、信号処理部により算出される受光量は、光電子増倍管の光電陰極の受光量に対して線形性を有する。
【0010】
また、信号処理部は、印加電圧の値を逆対数変換した後に線形補正して受光量を算出することを特徴とする。この場合には、信号処理部により算出される受光量は、光電子増倍管の光電陰極の受光量に対して更に優れた線形性を有する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る光量検出装置の構成図である。この光量検出装置は、光電子増倍管10、分圧部20、電流電圧変換部30、基準電圧発生部40、比較部50、電源部60、バッファ部70および信号処理部80を備える。
【0013】
光電子増倍管10は、入射した光の光量に応じた個数の光電子を放出する光電陰極11と、光電陰極11から放出された光電子を増倍して2次電子を発生するダイノードDy1 〜Dy9 と、ダイノードDy1 〜Dy9 で発生し到達した2次電子の個数に応じて電流信号を出力するアノード電極12とを、真空容器13内に備える。光電子増倍管10は、光電陰極11、ダイノードDy1 〜Dy9 およびアノード12それぞれに所定の電圧が印加されているときに、光電陰極11に入射した光の光量に応じて光電陰極11から光電子を放出し、その光電子をダイノードDy1 〜Dy9 により増倍して2次電子を発生させ、アノード電極12に到達した2次電子に応じて電流信号を出力する。このアノード電極12から出力される電流信号は、受光した光の光量に応じたものであり、また、ダイノードDy1 〜Dy9 による増倍率すなわち印加電圧にも応じたものである。
【0014】
分圧部20は、光電子増倍管10に所定の電圧を印加するものであり、抵抗器R210 〜R219 および抵抗器R220 〜R223 を備える。抵抗器R210 〜R219 は縦続接続されて抵抗器列を構成している。この抵抗器列の抵抗器R219 側の第1端は接地され、この抵抗器列の抵抗器R210 側の第2端は、抵抗器R220 を介して光電陰極11と接続されるとともに、電源部60により電圧が印加されている。抵抗器R21i-1 および抵抗器R21i の接続点は、ダイノードDyi と抵抗器R22i を介して接続されている(i=1〜3)。また、抵抗器R21i-1 および抵抗器R21i の接続点は、ダイノードDyi と直接に接続されている(i=4〜9)。分圧部20は、縦続接続された抵抗器R210 〜R219 により分圧されて生じた各電位を、抵抗器R220 〜R223 を介して又は直接に、光電子増倍管10の光電陰極11およびダイノードDy1 〜Dy9 それぞれに印加する。
【0015】
電流電圧変換部30は、光電子増倍管10のアノード電極12から出力された電流信号を入力し、この電流信号を積分して電圧信号に変換し、その電圧信号を出力するものである。電流電圧変換部30は、差動増幅器A31、抵抗器R31〜R34およびコンデンサC31を備える。縦続接続された抵抗器R33および抵抗器R34は、差動増幅器A31の出力端子と接地端子との間に設けられている。縦続接続された抵抗器R31および抵抗器R32は、差動増幅器A31の第1の入力端子と抵抗器R33および抵抗器R34の接続点との間に設けられている。抵抗器R31と抵抗器R32との接続点は、光電子増倍管10のアノード電極12と接続されている。コンデンサC31は、差動増幅器A31の第1の入力端子と出力端子との間に設けられている。差動増幅器A31の第2の入力端子は接地されている。電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 は、差動増幅器A31の出力端子の電位である。なお、光電陰極11に入射する光が極微弱である場合にはアノード電極12から出力される電流信号はパルス的になり、また、光電子増倍管10に印加される電圧が変動する場合にはこの電流信号も変動するが、これらの場合であっても、コンデンサC31の容量値を適切に決定することで、電流信号から電圧信号への変換に際しての積分時間を充分なものとし、電流信号の変動等の影響を排除することができる。
【0016】
基準電圧発生部40は、比較部50に与える基準電圧V0 を発生するものであり、ツェーナダイオードD41を備える。ツェーナダイオードD41のカソード端子は抵抗器R2を介して電源電圧Vccと接続され、アノード端子は接地されている。基準電圧発生部40から出力される基準電圧V0 は、ツェーナダイオードD41のカソード端子の電位である。
【0017】
比較部50は、電流電圧変換部30から出力された電圧信号V1 (差動増幅器A31の出力端子の電位)を抵抗器R1を介して入力し、また、基準電圧発生部40から出力された基準電圧V0 (ツェーナダイオードD41のカソード端子の電位)を入力し、これらの電圧値の差を増幅して、その結果を出力するものである。比較部50は、差動増幅器A51、抵抗器R51およびトランジスタTr51を備える。差動増幅器A51の第1の入力端子は、ツェーナダイオードD41のカソード端子と接続され、第2の入力端子は、電流電圧変換部30の差動増幅器A31の出力端子と抵抗器R1を介して接続されている。トランジスタTr51のベース端子は、抵抗器R51を介して差動増幅器A51の出力端子と接続されており、コレクタ端子は、縦続接続された抵抗器R2、可変抵抗器R3および抵抗器R4を介して電源電圧Vccと接続されており、エミッタ端子は接地されている。比較部50から出力される出力信号は、トランジスタTr51のコレクタ端子の電位であり、電圧信号V1 と基準信号V0 との差に応じたものである。すなわち、電圧信号V1 が基準電圧V0 より大きくなると、差動増幅器A51よりトランジスタTr51のベース端子に電圧が印加され、トランジスタTr51のコレクタ端子とエミッタ端子との間が低抵抗となり、比較部50から出力される出力信号は小さくなる。
【0018】
電源部60は、比較部50から出力された出力信号(トランジスタTr51のコレクタ端子の電位)を入力し、この出力信号に基づいて、分圧部20の抵抗器列の両端に与える電圧を発生する。電源部60は、抵抗器R61〜R65、差動増幅器A61、コンデンサC61〜C67、トランジスタTr61〜Tr63、コイルL61、ダイオードD61〜D64および変圧器T61を備える。この電源部60は、発振周波数が高いので発振が起こり難く、インピーダンスが高いので過大電流が流れず、消費電力も小さい。
【0019】
抵抗器R61と抵抗器R62とは、比較部50のトランジスタTr51のコレクタ端子と分圧部20の抵抗器列の第1端との間に縦続接続されている。差動増幅器A61の第1の入力端子は抵抗器R61および抵抗器R62の接続点と接続され、第2の入力端子は接地されている。トランジスタTr61のコレクタ端子は、電源電圧Vccと接続されるとともにコンデンサC61を介して接地されており、ベース端子は、抵抗器R63を介して差動増幅器A61の出力端子と接続され、エミッタ端子は、コンデンサC62を介して接地されている。
【0020】
変圧器T61の1次側は2つのコイルからなる。1次側の第1コイルは、第1端がトランジスタTr62のコレクタ端子と接続され、第2端がトランジスタTr63のコレクタ端子と接続されている。1次側の第2コイルは、第1端がトランジスタTr62のベース端子と接続され、第2端がトランジスタTr63のベース端子と接続されている。第1コイルの第1端と第2コイルの第1端とは抵抗器R64を介して接続されている。1次側の第1コイルの途中の地点は、コイルL61を介してトランジスタTr61のエミッタ端子と接続されている。トランジスタTr62およびTr63それぞれのエミッタ端子は接地されている。
【0021】
変圧器T61の2次側コイルの第1端は、コンデンサC63およびコンデンサC64と縦続接続され、第2端は、接地されるとともにコンデンサC65およびコンデンサC66と縦続接続されている。ダイオードD61のアノード端子はコンデンサC63およびコンデンサC64の接続点と接続され、カソード端子は変圧器T61の2次側コイルの第2端と接続されている。ダイオードD62のアノード端子はコンデンサC65およびコンデンサC66の接続点と接続され、カソード端子はコンデンサC63およびコンデンサC64の接続点と接続されている。ダイオードD63のアノード端子はコンデンサC64と接続され、カソード端子はコンデンサC65およびコンデンサC66の接続点と接続されている。ダイオードD64のアノード端子はコンデンサC66と接続され、カソード端子はコンデンサC64と接続されている。また、変圧器T61の2次側コイルの第2端は、コンデンサC67および抵抗器R65を順に介してコンデンサC66と接続されている。さらに、コンデンサC67および抵抗器R65の接続点は、分圧器20の抵抗器列の第1端と接続されている。
【0022】
バッファ部70は、比較部50から出力された出力信号(トランジスタTr51のコレクタ端子の電位)を入力し、これを増幅して電圧信号V2 を出力する。この電圧信号V2 は、電源部60から光電子増倍管10に印加される印加電圧と相関を有するものである。信号処理部80は、電流電圧変換部30から出力された電圧信号V1 とバッファ部70から出力された電圧信号V2 とを入力し、これらに基づいて所定の演算を行い、光電子増倍管10が受光した光の光量を求め、この受光量を表す信号V3 を出力する。信号処理部80は、アナログ値である電圧信号V1 およびV2 それぞれをA/D変換した後にデジタル的に処理してもよいし、或いは、電圧信号V1 およびV2 それぞれをアナログ的に処理してもよい。
【0023】
次に、本実施形態に係る光量検出装置の作用について説明する。図2は、本実施形態に係る光量検出装置の作用の説明図である。図2(a)は、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 と、光電子増倍管10が受光した光の光量との関係を示すグラフである。図2(b)は、バッファ部70から出力される電圧信号V2 と、光電子増倍管10が受光した光の光量との関係を示すグラフである。また、図2(c)は、信号処理部80から出力される信号V3 と、光電子増倍管10が受光した光の光量との関係を示すグラフである。
【0024】
光電子増倍管10の受光量が小さく或る受光量P0 以下であるときには、電源部60から分圧部20を介して光電子増倍管10に印加される電圧は一定である。光電子増倍管10の受光量が大きいほど、アノード電極12から出力される電流信号は大きく、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 も大きい。しかし、受光量P0 以下の範囲では、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 は、基準電圧発生部40から出力される基準電圧V0 より小さい。そして、その旨が比較部50により検出されて、電源部60が分圧部20を介して光電子増倍管10に印加する電圧は一定に維持される。すなわち、受光量P0 以下の範囲では、受光量が大きいほど、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 も大きくなるが、バッファ部70から出力される電圧信号V2 は一定である。
【0025】
もし、電源部60が光電子増倍管10に印加する電圧が常に一定であれば、光電子増倍管10の受光量が大きくなると、アノード電極12から出力される電流信号も大きくなり、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 も大きくなる。そして、受光量がP0 以上では、電圧信号V1 は基準電圧V0 より大きい。しかし、その旨が比較部50により検出されて、電源部60が分圧部20を介して光電子増倍管10に印加する電圧は低下し、アノード電極12から出力される電流信号も小さくなり、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 も基準電圧V0 まで小さくなる。結局、アノード電極12から出力される電流信号は一定値より大きくなることはなく、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 も基準電圧V0 より大きくなることはない。
【0026】
逆に、光電子増倍管10の受光量がP0 以上の範囲で小さくなっていくと、アノード電極12から出力される電流信号は小さくなり、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 は基準電圧V0 以下になる。そして、その旨が比較部50により検出されて、電源部60が分圧部20を介して光電子増倍管10に印加する電圧は上昇し、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 は上昇する。しかし、電源部60が光電子増倍管10に印加する電圧の上昇は、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 が基準電圧V0 に達するまでである。結局、アノード電極12から出力される電流信号は一定値より小さくなることはなく、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 も基準電圧V0 より小さくなることはない。
【0027】
また、光電子増倍管10の受光量がP0 以上からP0 以下に変化すると、アノード電極12から出力される電流信号は小さくなり、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 は基準電圧V0 以下になる。その旨が比較部50により検出されて、電源部60が分圧部20を介して光電子増倍管10に印加する電圧は上昇する。しかし、その印加電圧は一定電圧を超えることはない。印加電圧が当該一定電圧に達したとき、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 は基準電圧V0 以下である。
【0028】
以上のように、光電子増倍管10の受光量がP0 以下の範囲では、電源部60が光電子増倍管10へ印加する電圧は一定であり、受光量が大きいほど、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 は大きい。しかし、バッファ部70から出力される電圧信号V2 は一定である。一方、光電子増倍管10の受光量がP0 以上の範囲では、本実施形態に係る光量検出装置はフィードバック回路を構成しており、受光量が変化しても、電流電圧変換部30から出力される電圧信号V1 は基準電圧V0 と同一値に維持される。しかし、受光量が大きいほど、バッファ部70から出力される電圧信号V2 は小さい。
【0029】
なお、電源部60が光電子増倍管10へ印加する電圧の設定は、受光量変化に対して高速に追従することが望まれる。しかし、受光量が急激に増加した場合には、光電子増倍管10に流れる電流が増加する。その場合であっても、分圧部20の抵抗器R220 〜R223 それぞれを高い抵抗値のものとしておくことにより、光電子増倍管10に過大な電流が流れるのを防ぐことできる。
【0030】
次に、本実施形態に係る光量検出装置の信号処理部80の作用について説明する。図3は、本実施形態に係る光量検出装置の信号処理部80の作用を説明するフローチャートである。信号処理部80は、電圧信号V1 およびV2 を入力し、これらに基づいて以下に説明する演算を行って、光電子増倍管10が受光した光の光量を算出し、その受光量を表す信号V3 を出力する。
【0031】
はじめにステップS1で、信号処理部80は、入力した電圧信号V1 および記憶している基準電圧V0それぞれの値を大小比較し、もし電圧信号V1 が基準信号V0以下であればステップS2に進み、そうでなければステップS3に進む。このとき、ノイズ等の影響を考慮すれば、電圧信号V1 と基準信号V0との差が或る値以下であれば両者は等しいと判断してもよい。また、電圧信号V1 と基準信号V0との比較に替えて、電圧信号V2 に基づいてステップS2およびS3の何れかに進むようにしてもよい。また、受光量の変化に伴い電圧信号V1 またはV2 の値が安定していないときには、電圧信号V1 またはV2 の値が安定するまで待機してもよい。
【0032】
ステップS2では、信号処理部80は、電圧信号V1 の値に基づいて、受光量を表す信号V3 の値を算出する。一方、ステップS3では、信号処理部80は、電圧信号V2 の値に基づいて、受光量を表す信号V3 の値を算出する。なお、受光量と線形関係にある信号V3 を出力するには、以下のようにする。すなわち、光電子増倍管10の受光量がP0 以下の範囲では、電圧信号V1 は受光量に対して略線形関係にあるので、ステップS2では、電圧信号V1 を線形変換して信号V3 の値を算出する。一方、光電子増倍管10の受光量がP0 以上の範囲では、電圧信号V2 は受光量の対数値に対して略線形関係にあるので、ステップS3では、電圧信号V2 を逆対数変換して信号V3 の値を算出する。
【0033】
また、光電子増倍管10の受光量がP0 のとき、ステップS2およびS3それぞれにより算出される信号V3 は互いに略等しいことが要求される。また、受光量に対する信号V3 の微係数は、広い受光量範囲に亘って略一定であることも要求される。そこで、ステップS2およびS3の双方または何れか一方において、これらの要求を満たすべく所定の線形変換を行う。
【0034】
ステップS3に続くステップS4では、ステップS3で算出された信号V3 の値を線形補正する。光電子増倍管10における実際の受光量がP0 以上の範囲では、電源部60が分圧部20を介して光電子増倍管10に印加する電圧は小さくなり、それ故、ステップS3で逆対数変換を行っただけでは、信号V3 と実際の受光量との線形性は悪い場合がある。そこで、信号V3 の値を線形補正して、信号V3 と実際の受光量との線形性を改善する。
【0035】
以上説明した本実施形態に係る光量検出装置では、光量検出のダイナミックレンジは、受光量P0 以下の範囲では2桁〜4桁程度であり、また、受光量P0 以上の範囲では4桁〜6桁程度である。したがって、全体として8桁程度のダイナミックレンジが得られる。また、光電子増倍管10のアノード電極12から出力される電流信号は或る一定値以下であるので、消費電力は小さく、過大電流のために光電子増倍管10や周辺回路が破壊される危険は小さく、取り扱いは容易である。
【0036】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、信号処理部80は、比較部50からバッファ部70を経て出力される電圧信号V2 に替えて、電源部60から分圧部20を経て光電子増倍管10へ印加される印加電圧を入力し、この印加電圧に基づいて受光量を算出するようにしてもよい。また、信号処理部80は、受光量と線形関係にある値を表す信号V3 ではなく、受光量の対数値を表す信号を出力するようにしてもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、光電子増倍管のアノード電極から出力された電流信号は電流電圧変換部により電圧信号に変換され、その電圧信号は比較部により基準信号と比較される。受光量が或る一定量以下のときには、比較部により電圧信号が基準電圧より小さいと判断され、一定電圧が電源部から光電子増倍管の光電陰極およびダイノードそれぞれに印加され、信号処理部により電圧信号に基づいて受光量が算出される。一方、受光量が或る一定量以上のときには、比較部により電圧信号が基準電圧より大きいと判断され、電圧信号が基準電圧と一致するよう調整された印加電圧が電源部から光電子増倍管の光電陰極およびダイノードそれぞれに印加され、信号処理部により印加信号に基づいて受光量が算出される。したがって、全体として8桁程度のダイナミックレンジが得られる。
【0038】
また、信号処理部が、電圧信号が基準電圧より小さいときには電圧信号の値を線形変換して受光量を算出し、そうでないときには印加電圧の値を逆対数変換して受光量を算出する場合には、信号処理部により算出される受光量は、光電子増倍管の光電陰極の受光量に対して線形性を有する。
【0039】
また、信号処理部が印加電圧の値を逆対数変換した後に線形補正して受光量を算出する場合には、信号処理部により算出される受光量は、光電子増倍管の光電陰極の受光量に対して更に優れた線形性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光量検出装置の構成図である。
【図2】本実施形態に係る光量検出装置の作用の説明図である。
【図3】本実施形態に係る光量検出装置の信号処理部の作用を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10…光電子増倍管、20…分圧部、30…電流電圧変換部、40…基準電圧発生部、50…比較部、60…電源部、70…バッファ部、80…信号処理部。
Claims (3)
- 受光量に応じた個数の光電子を放出する光電陰極と、その光電子を増倍して2次電子を発生させるダイノードと、その2次電子の個数に応じた電流信号を出力するアノード電極とを有する光電子増倍管と、
前記アノード電極から出力された前記電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換部と、
前記電流電圧変換部から出力された前記電圧信号を基準電圧と比較する比較部と、
前記比較部により前記電圧信号が前記基準電圧より小さいと判断されたときには、一定電圧を前記光電子増倍管の前記光電陰極および前記ダイノードそれぞれに印加し、そうでないときには、前記電圧信号が前記基準電圧と一致するよう調整された印加電圧を前記光電子増倍管の前記光電陰極および前記ダイノードそれぞれに印加する電源部と、
前記電圧信号が前記基準電圧より小さいときには前記電圧信号に基づいて受光量を算出し、そうでないときには前記印加電圧に基づいて受光量を算出する信号処理部と、
を備えることを特徴とする光量検出装置。 - 前記信号処理部は、前記電圧信号が前記基準電圧より小さいときには前記電圧信号の値を線形変換して受光量を算出し、そうでないときには前記印加電圧の値を逆対数変換して受光量を算出する、ことを特徴とする請求項1記載の光量検出装置。
- 前記信号処理部は、前記印加電圧の値を逆対数変換した後に線形補正して受光量を算出する、ことを特徴とする請求項2記載の光量検出装置。
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