JP3863084B2 - 半導体光増幅器の特性選別方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体光増幅器の特性選別方法およびその装置に関し、特に、光通信、光交換、光情報処理等の光伝送システムなどに用いられる半導体光増幅器の特性選別方法に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信、光交換、光情報処理などの光を利用した光伝送処理システムでは、各種の光デバイスが使用されている。このため、このような光伝送処理システムでは、光損失が大きな問題となり、減衰した光信号を光増幅器によって補償することが必要不可欠になる。
【0003】
光増幅器の中でも、半導体光増幅器(SOA)は小型で高効率であり、石英系光導波路で構成された光回路(PLC)とのハイブリッド集積化が可能であるために非常に有望である。
ここで、半導体光増幅器を光伝送処理システムに用いるためには、ハイブリッド実装あるいはモジュール実装工程前に、半導体光増幅器のチップ評価を行い、かつ選別する必要がある。
【0004】
図9は、従来の半導体光増幅器の特性選別装置の概略構成を示す図である。
図9において、従来の半導体光増幅器の特性選別装置には、多波長光を出射する多波長光源101、多波長光源101より出射された多波長光から特定波長を選択する波長選択スイッチ105、光強度を調節する光アッテネータ106、種々の偏波状態を生成する偏波制御器102、半導体光増幅器115からの出力光(自然放出光、ASE)をモニタする光パワーメータ104、108、光サーキュレータ103、カップラ107、波長の選別を行なう波長フィルタ109および光強度を測定する光パワーメータ110が設けられ、これらは光ファイバを用いて結線されている。
【0005】
半導体光増幅器の特性選別を行なう場合、まず、半導体光増幅器115からの出力光(自然放出光、ASE)を光パワーメータ104、108でモニタしながら、光ファイバ113、114を半導体光増幅器115の両端に調芯する。
そして、光ファイバ113、114の調芯が終わると、多波長光源101より出射された多波長光から波長選択スイッチI05で特定波長を選択し、光アッテネータ106で光強度を調節し、さらに、偏波制御器102で偏波状態を制御して、光ファイバ113を介して半導体光増幅器115の端面に光を導くことにより、半導体光増幅器115に外部光を入射させる。
【0006】
一方、半導体光増幅器115からの出射光は、光ファイバ114を介して波長フィルタ109に導かれ、波長フィルタ109で波長の選別が行なわれた後、光パワーメータ110に入射され、光強度が測定される。
そして、偏波制御器102によって種々の偏波状態を作り出し、この時の光パワーメータ110での測定値から利得の絶対値を算出することができる。
【0007】
また、光パワーメータ110で光強度の最大値または最小値を側定することにより、利得の偏波依存性を測定することができる。
ここで、半導体光増幅器と似た構造を持つ半導体レーザでは、熱の影響を除去するため、バルス駆動による電流−光出力特性(I−L特性)によって素子選別が行われている。
【0008】
これに対し、半導体光増幅器115には、光ファイバ113を介して光が入力されるため、半導体光増幅器115の両端でのファイバ結合損失により、外部注入光の増幅光強度が低下する。このため、半導体光増幅器115では、十分な測定感度を確保するために、CW電流駆動が行われる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、半導体光増幅器115のチップをCW電流駆動すると、半導体光増幅器115のチップを凹型へッダなどの放熱性に優れたマウントに実装する必要があり、評価チップのボンディングが必要となることから、評価チップを製品に実装することができなくなるという問題があった。
【0010】
また、半導体光増幅器115の利得特性評価を行うには、半導体光増幅器115の両端を高精度にファイバ結合させる必要がある。
このため、半導体光増幅器115の両端でのファイバ調芯用に高性能な微動台が必要になるとともに、精密な位置合わせが必要となり、特性選別装置が高価になるとともに、測定に時間がかかるという問題があった。
【0011】
従って、チップ評価は抜き取り検査になり、製品に使用されるチップ自体の特性は不明であった。
さらに、半導体光増幅器115は広帯域の増幅幅を有していることから、半導体光増幅器115の特性選別を正確に行なうには、利得の波長依存性を測定する必要もあった。
【0012】
また、半導体光増幅器115では、入射光の偏波状態によって利得特性がどれだけ変化するか(利得の偏波依存性)の評価も必要であるなど、半導体レーザに比べて評価項目も多く、検査に時間がかかるという問題もあった。
そこで、本発明の目的は、ファイバ結合を用いることなく、製品に使用される素子自体の特性選別を行なうことが可能な半導体光増幅器の特性選別方法およびその装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明に係る半導体光増幅器の特性選別装置によれば、半導体光増幅器に電流を印加する電流印加手段と、前記半導体光増幅器からの光出力を受光する受光器と、波長の選別を行なう波長フィルタと、前記半導体光増幅器と前記受光器との間に前記波長フィルタを挿抜する波長フィルタ挿抜手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
これにより、波長フィルタの挿抜時における半導体光増幅器からの出力光強度を比較することが可能となり、この比較結果から半導体光増幅器のスペクトル形状の波長域が適正かどうかを判別することが可能となる。
このため、半導体光増幅器に外部光を入射させることなく、半導体光増幅器の特性選別を行なうことが可能となり、半導体光増幅器の両端でのファイバ結合を不要として、ファイバ結合損失をなくすことが可能となることから、パルス駆動を行なった場合においても、十分な測定感度を確保することが可能となる。
【0015】
この結果、半導体光増幅器を放熱性に優れたマウントに実装する必要がなくなり、評価チップをそのまま製品に実装することが可能となるとともに、特性選別装置を簡易化して、低価格化を図ることが可能となるとともに、測定時間の短縮も実現することが可能となる。
また、本発明に係る半導体光増幅器の特性選別装置によれば、前記波長フィルタの透過波長域を可変させる可変手段をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
これにより、波長フィルタの透過波長域を可変させた時の半導体光増幅器からの出力光強度を比較することが可能となり、この比較結果から半導体光増幅器のスペクトル形状の複数の波長域が適正かどうかを判別することが可能となる。
このため、波長フィルタの挿抜を繰り返すだけで、半導体光増幅器の特性選別の精度を容易に向上させることが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る半導体光増幅器の特性選別装置によれば、直交した2つの偏波状態を別々に透過させる偏光板と、前記半導体光増幅器と前記受光器との間に前記偏光板を挿抜する偏光板挿抜手段とをさらに備えることを特徴とする。
これにより、偏光板を2回挿抜するだけで、増幅利得の偏波依存性を判別することが可能となるとともに、半導体光増幅器の波長依存性および偏波依存性を組み合わせながら、半導体光増幅器の特性選別を行なうことが可能となり、半導体光増幅器の評価項目が増加した場合においても、特性選別を簡易に行なうことが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る半導体光増幅器の特性選別装置によれば、前記波長フィルタの挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力の測光結果に基づいて、前記半導体光増幅器の波長特性を判別する波長特性判別手段と、前記偏光板の挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力の測光結果に基づいて、前記半導体光増幅器の偏波特性を判別する偏波特性判別手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0019】
これにより、波長フィルタまたは偏光板の挿抜と連動させて、前記半導体光増幅器の光出力を測光させることが可能となり、特性選別装置に半導体光増幅器をセットするだけで、半導体光増幅器の特性選別を自動的に行なわせることが可能となる。
また、本発明に係る半導体光増幅器の特性選別装置によれば、透過波長の異なる少なくとも3つの波長フィルタと、前記各波長フィルタごとに当該波長フィルタの挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力を測光し、それら測光結果に基づいて、前記半導体光増幅器の利得の波長特性を推定する波長特性推定手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0020】
これにより、多数の波長について測定を行わなくても半導体光増幅器の利得の波長特性を把握することができる。また、推定結果を利用すれば、作製時の意図の有無に関わらずピーク波長のシフト量を見積もることもできる。従って、判別用に用いた設定値を、このシフト量を考慮した上で設定値変更を行い、判別し直すことも可能である。
【0021】
また、本発明に係る半導体光増幅器の特性選別装置によれば、透過波長の異なる少なくとも3つの波長フィルタと、前記各波長フィルタごとに当該波長フィルタを挿入した状態で前記偏光板の挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力を測光し、それら測光結果に基づいて、前記半導体光増幅器の利得の偏光成分についての波長特性を推定する波長特性推定手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0022】
これにより、多数の波長について測定を行わなくても半導体光増幅器の利得の偏光成分についての波長特性を把握することができる。また、推定結果を利用すれば、作製時の意図の有無に関わらずピーク波長のシフト量を見積もることもできる。従って、判別用に用いた設定値を、このシフト量を考慮した上で設定値変更を行い、判別し直すことも可能である。
【0023】
また、本発明に係る半導体光増幅器の特性選別方法によれば、半導体光増幅器に電流を印加するステップと、波長フィルタの挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力を測光するステップと、前記波長フィルタの挿抜時における測光結果を規定値と照合することにより、前記半導体光増幅器の選別を行なうステップとを備えることを特徴とする。
【0024】
これにより、波長フィルタの挿抜時における半導体光増幅器からの出力光強度を規定値と比較するだけで、半導体光増幅器のフィルタ波長域での利得が適正かどうかを判別することが可能となり、半導体光増幅器に外部光を入射させることなく、半導体光増幅器の特性選別を行なうことが可能となる。
このため、半導体光増幅器の両端のファイバ結合を不要として、ファイバ結合損失をなくすことが可能となり、パルス駆動を行なった場合においても、十分な測定感度を確保することが可能となることから、半導体光増幅器を放熱性に優れたマウントに実装してCW電流駆動する必要がなくなり、評価チップをそのまま製品に実装することが可能となる。
【0025】
また、特性選別装置を簡易化して、特性選別装置の低価格化を図ることが可能となるとともに、測定時間の短縮も実現することが可能となり、評価項目の増大にも容易に対応することが可能となる。
また、本発明に係る半導体光増幅器の特性選別方法によれば、波長フィルタの透過波長域を可変させつつ、前記半導体光増幅器からの光出力を前記波長フィルタを介して測光するステップと、前記波長フィルタの透過波長域を可変させた時の測光結果を規定値と照合することにより、前記半導体光増幅器の選別を行なうステップとをさらに備えることを特徴とする。
【0026】
これにより、波長フィルタの挿抜を繰り返しながら光出力強度を測定するだけで、半導体光増幅器のスペクトル形状の複数の波長域が適正かどうかを判別することが可能となり、半導体光増幅器が広帯域の増幅幅を有している場合においても、半導体光増幅器の特性選別を精度よく行なうことが可能となる。
また、本発明に係る半導体光増幅器の特性選別方法によれば、偏光板の挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力を測光するステップと、前記偏光板の挿抜時における測光結果を規定値と照合することにより、前記半導体光増幅器の選別を行なうステップとをさらに備えることを特徴とする。
【0027】
これにより、偏光板を2回挿抜して光出力強度を測定するだけで、増幅利得の偏波依存性を判別することが可能となるとともに、波長依存性の特性選別工程と組み合わせることが可能となり、半導体光増幅器の特性選別の精度を容易に向上させることが可能となる。
また、本発明に係る半導体光増幅器の特性選別方法によれば、透過波長の異なる少なくとも3つの波長フィルタを用い、前記各波長フィルタごとに当該波長フィルタの挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力を測光する測光ステップと、前記測光ステップでの各測光結果に基づいて、前記半導体光増幅器の利得の波長特性を推定する波長特性推定ステップとをさらに備えることを特徴とする。
【0028】
これにより、多数の波長について測定を行わなくても半導体光増幅器の利得の波長特性を把握することができる。また、推定結果を利用すれば、作製時の意図の有無に関わらずピーク波長のシフト量を見積もることもできる。従って、判別用に用いた設定値を、このシフト量を考慮した上で設定値変更を行い、判別し直すことも可能である。
【0029】
また、本発明に係る半導体光増幅器の特性選別方法によれば、透過波長の異なる少なくとも3つの波長フィルタを用い、前記各波長フィルタごとに当該波長フィルタを挿入した状態で前記偏光板の挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力を測光する測光ステップと、前記測光ステップでの各測光結果に基づいて、前記半導体光増幅器の利得の偏光成分についての波長特性を推定する波長特性推定ステップとをさらに備えることを特徴とする。
【0030】
これにより、多数の波長について測定を行わなくても半導体光増幅器の利得の偏光成分についての波長特性を把握することができる。また、推定結果を利用すれば、作製時の意図の有無に関わらずピーク波長のシフト量を見積もることもできる。従って、判別用に用いた設定値を、このシフト量を考慮した上で設定値変更を行い、判別し直すことも可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る半導体光増幅器の特性選別方法およびその装置について図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る半導体光増幅器の特性選別装置の概略構成を示す上面図、図1(b)は、半導体光増幅器のASEスペクトルを示す図、図1(c)は、波長フィルタの有無における半導体光増幅器のI−L(ASE強度)特性を示す図である。
【0032】
図1において、バー状の半導体光増幅器1の光入射端および光出射端には、受光器2、3が設けられ、バー状の半導体光増幅器1の電極上には、バー状の半導体光増幅器1の1つの素子に電流を印加するための針状のブローブ4が設けられている。
ここで、バー状の半導体光増幅器1は、複数の半導体光増幅器1が光入射端面と直交する方向に一列に連なった状態のまま、ウェハから切り出すことにより形成することができる。
【0033】
また、バー状の半導体光増幅器1の光入射端および光出射端と、各受光器2、3との間には、波長フィルタ5、6が挿抜可能な状態で設けられている。
半導体光増幅器1の特性選別を行なう場合、バー状の半導体光増幅器1の1つの素子にブローブ4を接触させ、その半導体光増幅器1にブローブ4を介して電流I=I0を印加する。
【0034】
そして、波長フィルタ5、6を抜いた状態で、電流I=I0が印加された時の半導体光増幅器1からの光出力を受光器2、3で検出し、半導体光増幅器1からの光出力強度を測定する。
次に、波長フィルタ5、6を挿入した状態で、電流I=I0が印加された時の半導体光増幅器1からの光出力を受光器2、3で検出し、半導体光増幅器1からの光出力強度を測定する。
【0035】
ここで、電流I=I0が印加された時の半導体光増幅器1の光出力強度は、図1(b)に示すように、広帯域のスペクトルを有している。
このため、波長フィルタ5、6が抜かれている状態では、図1(b)の波長帯域を全て積分した強度が、半導体光増幅器1の光出力強度となる。
一方、波長フィルタ5、6が挿入されている状態では、図1(b)の波長λ1のハッチングされた波長帯域だけが、波長フィルタ5、6で透過されて受光器2、3で受光される。このため、この時の受光強度は、波長フィルタ5、6が抜かれている時の半導体光増幅器1の光出力強度に比べて減少する。
【0036】
ここで、波長フィルタ5、6の挿抜時の光出力強度は、図1(c)に示すように、電流の増加に伴って増大し、電流I=I0の印加時における光出力強度は一意に定まる。このため、この受光強度が、半導体光増幅器1の光出力強度のどの程度に当るか(図1(c)の2つのデータの比)を調べることにより、半導体光増幅器1のピーク波長が適正であるかどうかを判別することができる。
【0037】
すなわち、波長フィルタ5、6がない時の電流I=I0の印加時における光出力強度を規定値K0、波長フィルタ5、6がある時の電流I=I0の印加時における光出力強度を規定値K1とすることができる。
そして、波長フィルタ5、6を抜いた時の受光強度を良品の規定値K0と比較するとともに、波長フィルタ5、6を挿入した時の受光強度を良品の規定値K1と比較することにより、半導体光増幅器1の光出力強度だけでなく、図1(b)のスペクトル形状の波長域λ1の光出力強度が適正であるかを判断することが可能となり、半導体光増幅器1の波長特性の選別を行うことができる。
【0038】
次に、バー状の半導体光増幅器1の1つの素子の特性選別が終了すると、ブローブ4を持ち上げた状態で、バー状の半導体光増幅器1を1つの素子分だけ移動させ、同様の工程を実行する。
このように、上述した第1実施形態によれば、波長フィルタ5、6の挿抜時における受光強度を測定するだけで、半導体光増幅器1の特性選別を行うことが可能となる。
【0039】
このため、半導体光増幅器1への外部光の注入を不要として、半導体光増幅器1両端での高精度ファイバ結合を不要とすることができ、ファイバ結合損失等をなくして、十分な測定感度を得ることが可能となる。
この結果、半導体光増幅器1への電流印加をパルス駆動とすることができ、放熱性のよいマウントへの実装を不要として、抜き取り検査でなく、製品に実装される素子の特性をそのまま評価することが可能となるとともに、高精度な位置合わせを不要として、測定時間を短縮することが可能となる。
【0040】
また、半導体光増幅器1をバー状のまま評価することにより、特性選別時における半導体光増幅器1の取り扱いを容易にすることができ、半導体光増幅器1の全数検査を行なった場合においても、測定時間の増大を抑制することができる。
なお、半導体光増幅器1の全数検査を行なう場合、バー状の半導体光増幅器1を1素子分ずつ移動させてもよいが、プローブ4および受光器2、3を1素子分ずつ移動させるようにしてもよい。
【0041】
図2(a)は、本発明の第2実施形態に係る半導体光増幅器の特性選別装置の概略構成を示す上面図、図2(b)は、半導体光増幅器のASEスペクトルを示す図、図3(a)は、電流を変化させた場合における半導体光増幅器のI‐L(ASE強度)特性を示す図、図3(b)は、波長フィルタの透過波長を変化させた場合における半導体光増幅器のASEスペクトルを示す図である。
【0042】
図2において、この特性選別装置では、図1の波長フィルタ5、6に代えて、波長フィルタ7、8が設けられている。
ここで、図1の波長フィルタ5、6の透過域がλ1であるのに対し、図1の波長フィルタ7、8の透過域はλ2に変更されている。
半導体光増幅器1の特性選別を行なう場合、バー状の半導体光増幅器1の1つの素子にブローブ4を接触させ、その半導体光増幅器1にブローブ4を介して電流I=I0を印加する。
【0043】
そして、波長フィルタ5、6を挿入した状態で、電流I=I0が印加された時の半導体光増幅器1からの光出力を受光器2、3で検出し、半導体光増幅器1からの光出力強度を測定する。
次に、波長フィルタ5、6の代わりに波長フィルタ7、8を挿入した状態で、電流I=I0が印加された時の半導体光増幅器1からの光出力を受光器2、3で検出し、半導体光増幅器1からの光出力強度を測定する。
【0044】
ここで、電流I=I0が印加された時の半導体光増幅器1の光出力強度は、図2(b)に示すように、広帯域のスペクトルを有している。
また、波長フィルタ7、8が挿入されている状態では、図2(b)の波長λ2のハッチングされた波長帯域だけが、波長フィルタ7、8で透過されて受光器2、3で受光される。
【0045】
ここで、図3(a)に示すように、通過帯域が異なる波長フィルタ7、8を使用した時の光出力強度は、波長フィルタ7、8の通過帯域ごとに異なっており、波長フィルタ5、6を使用した時の電流I=I0の印加時における光出力強度を規定値K1、波長フィルタ7、8を使用した時の電流I=I0の印加時における光出力強度を規定値K2とすることができる。
【0046】
そして、波長フィルタ5、6を挿入した時の受光強度を規定値K1と比較するとともに、波長フィルタ7、8を挿入した時の受光強度を規定値K2と比較することにより、波長域λ1の光出力強度が適正であるかを判断することが可能となるだけでなく、波長域λ2の光出力強度が適正であるかを判断することが可能となり、半導体光増幅器1の特性選別の精度を向上させることができる。
【0047】
さらに、図3(a)に示すように、通過帯域λ3、λ4に通過帯域を有する波長フィルタを用いることにより、特定波長域の光出力強度の測定点を増やすことが可能となる。
また、図3(a)のデータから電流値I0、I1、I2、I3を選定し、各電流値I0、I1、I2、I3について、各波長λ1、λ2、λ3、λ4ごとにデータの抽出を行なうことにより、図3(b)のスペクトルの電流依存性を再現することができる。これにより、複数の光出力強度のスペクトル値と規定値とを比較することが可能となり、半導体光増幅器1の特性選別の精度をさらに向上させることができる。
【0048】
次に、バー状の半導体光増幅器1の1つの素子の特性選別が終了すると、ブローブ4を持ち上げた状態で、バー状の半導体光増幅器1を1つの素子分だけ移動させ、同様の工程を実行する。
図4(a)は、本発明の第3実施形態に係る半導体光増幅器の特性選別装置の概略構成を示す上面図、図4(b)は、偏光板で偏光分離された半導体光増幅器のASEスペクトルを示す図、図4(c)は、偏光板で偏光分離された半導体光増幅器のI−L(ASE強度)特性を示す図である。
【0049】
図4において、この特性選別装置では、図1の波長フィルタ5、6に代えて、偏光板9、10が設けられている。
半導体光増幅器1の特性選別を行なう場合、バー状の半導体光増幅器1の1つの素子にブローブ4を接触させ、その半導体光増幅器1にブローブ4を介して電流I=I0を印加する。
【0050】
そして、偏光板9、10を挿入した状態で、電流I=I0が印加された時の半導体光増幅器1からの光出力を受光器2、3で検出し、半導体光増幅器1からの光出力強度を測定する。
なお、この光出力強度の測定は、偏光板9、10として、TEモード透過板およびTMモード透過板をそれぞれ使用した場合について2回だけ行なう。
【0051】
ここで、半導体光増幅器1のTEモード透過光およびTMモード透過光の光出力強度は、図4(b)に示すように、広帯域のスペクトルを有する。そして、偏光板9、10を使用した時の受光強度は、偏光板9、10を使用しない時の受光強度に比べて、図4(c)に示すように、半分近くに低減する。
また、TEモード透過光およびTMモード透過光の光出力強度は、各モードごとに異なっており、TEモード透過光とTMモード透過光の強度差は、図4(b)のスペクトルの差を反映し、TEモード透過板を使用した時の電流I=I0の印加時における光出力強度を規定値K5、TMモード透過板を使用した時の電流I=I0の印加時における光出力強度を規定値K6とすることができる。
【0052】
そして、TEモード透過板を挿入した時の受光強度を規定値K5と比較するとともに、TMモード透過板を挿入した時の受光強度を規定値K6と比較することにより、半導体光増幅器1による増幅利得の(K5−K6)を規定している偏波依存性を判別することが可能となり、半導体光増幅器1の特性選別の精度を向上させることができる。
【0053】
すなわち、半導体光増幅器1による増幅利得は、入射偏波に依存しないことが好ましいが、半導体光増幅器1の加工精度等を考えると、偏波依存性が残存する可能性が高い。
このため、偏光板9、10の挿抜時における受光強度の測定工程を追加し、半導体光増幅器1の偏波依存性を求めることにより、特性選別工程を複雑化することなく、半導体光増幅器1の特性選別の精度を向上させることができる。
【0054】
次に、バー状の半導体光増幅器1の1つの素子の特性選別が終了すると、ブローブ4を持ち上げた状態で、バー状の半導体光増幅器1を1つの素子分だけ移動させ、同様の工程を実行する。
図5(a)は、本発明の第4実施形態に係る半導体光増幅器の特性選別装置の概略構成を示す上面図、図5(b)は、偏光板で偏光分離された半導体光増幅器のI−L(ASE強度)特性を示す図である。
【0055】
図5において、この特性選別装置では、図1の波長フィルタ5、6に加え、偏光板9、10が設けられている。なお、図1の波長フィルタ5、6の代わりに、図2の波長フィルタ7、8を用いるようにしてもよい。
半導体光増幅器1の特性選別を行なう場合、バー状の半導体光増幅器1の1つの素子にブローブ4を接触させ、その半導体光増幅器1にブローブ4を介して電流I=I0を印加する。
【0056】
そして、波長フィルタ5、6を挿入した状態で、電流I=I0が印加された時の半導体光増幅器1からの光出力を受光器2、3で検出し、半導体光増幅器1からの光出力強度を測定する。
次に、波長フィルタ5、6を挿入したまま、TEモード透過板をさらに挿入し、電流I=I0が印加された時の半導体光増幅器1からの光出力を受光器2、3で検出し、半導体光増幅器1からの光出力強度を測定する。
【0057】
次に、波長フィルタ5、6を挿入したまま、TEモード透過板の代わりにTMモード透過板を挿入し、電流I=I0が印加された時の半導体光増幅器1からの光出力を受光器2、3で検出し、半導体光増幅器1からの光出力強度を測定する。
ここで、半導体光増幅器1のTEモード透過光およびTMモード透過光の光出力強度は、図4(b)に示すように、広帯域のスペクトルを有し、波長フィルタ5、6が挿入されている状態では、図4(b)の波長λ1のハッチングされた波長帯域だけが、波長フィルタ5、6で透過されて受光器2、3で受光される。
【0058】
ここで、図5(b)に示すように、TEモード透過光およびTMモード透過光の光出力強度は、波長フィルタ5、6の通過帯域ごとに異なっており、波長フィルタ5、6のみを使用した時の電流I=I0の印加時における光出力強度を規定値K7、波長フィルタ5、6およびTEモード透過板を使用した時の電流I=I0の印加時における光出力強度を規定値K8、波長フィルタ5、6およびTMモード透過板を使用した時の電流I=I0の印加時における光出力強度を規定値K9とすることができる。
【0059】
そして、波長フィルタ5、6のみを挿入した時の受光強度を規定値K7と比較するとともに、波長フィルタ5、6およびTEモード透過板を挿入した時の受光強度を規定値K8と比較し、さらに、波長フィルタ5、6およびTMモード透過板を挿入した時の受光強度を規定値K9と比較することにより、半導体光増幅器1のスペクトル特性だけでなく、偏波依存性も適正であるかを判断することが可能となり、波長フィルタ5、6および偏光板9、10の挿抜工程を追加するだけで、半導体光増幅器1の特性選別の精度を向上させることができる。
【0060】
次に、バー状の半導体光増幅器1の1つの素子の特性選別が終了すると、ブローブ4を持ち上げた状態で、バー状の半導体光増幅器1を1つの素子分だけ移動させ、同様の工程を実行する。
このように、上述した第3実施形態によれば、波長フィルタ5、6および偏光板9、10を組み合わせて挿抜することにより、半導体光増幅器1の波長依存性や偏波依存性を一括して測定することが可能となり、多肢な測定評価項目に容易に対応することが可能となる。
【0061】
図6は、本発明の第5実施形態に係る半導体光増幅器の特性選別方法を示すフローチャートである。
図6において、半導体光増幅器1を特性選別装置にセットし、波長フィルタのない状態で、半導体光増幅器1のI−L測定を行なう(ステップS1)。そして、一定の電流を印加した時の半導体光増幅器1の光出力強度を規定値と比較することにより、素子選別Aを行なう(ステップS2)。
【0062】
次に、半導体光増幅器1の端面と受光器2、3との間に波長フィルタ5、6を挿入し、半導体光増幅器1のI−L測定を行なう(ステップS3)。
そして、各波長フィルタ5、6を挿入した時の半導体光増幅器1の光出力強度をそれぞれの規定値と比較することにより、素子選別Bを行なう(ステップS4)。
【0063】
次に、半導体光増幅器1の端面と受光器2、3との間に偏光板9、10を挿入し、半導体光増幅器1のI−L測定を行なう(ステップS5)。ここで、ステップS5の半導体光増幅器1のI−L測定は、偏光板9、10として、TEモード透過板およびTMモード透過板をそれぞれ使用した場合について2回だけ行なう。
【0064】
その後、偏光板9,10を抜いた後に、波長フィルタ5,6の入替(例えば、透過波長域の異なる波長フィルタ7,8等に入替)を行い測定を行う。同様に、用意した波長フィルタのなかから適宜使用する枚数分について入替を行い測定を繰り返す。
そして、偏光板9、10を挿入した時の半導体光増幅器1の光出力強度をそれぞれの規定値と比較することにより、素子選別Cを行なう(ステップS6)。
【0065】
このように、上述した実施形態によれば、抜き取り検査でなく、製品に実装される素子の特性をそのまま評価することが可能となるだけでなく、両端の高精度ファイバ結合が不要になり、外部からの注入光が不要となるため、測定装置が簡易になるとともに、波長フィルタ5〜8または偏光板9、10などの光学部品の挿抜するだけで、利得の波長特性のみならず、利得の偏波依存性を評価することができ、測定時間の短縮を図りつつ、測定項目の増大に容易に対応することが可能となる。
【0066】
なお、波長フィルタ5〜8または偏光板9、10の挿抜方法としては、これらの光学部品をロボットアームによって出し入れ制御する方法、これらの光学部品を光学部品のない空洞部分を含めて1本の直線レール上に並べて配置し、必要な光学部品を受光器2、3の直前に配置制御する方法、これらの光学部品を光学部品のない空洞部分を含めてリング状のレール上に並べて配置し、必要な光学部品が受光器2、3の直前に配置制御する方法等が考えられる。
【0067】
また、波長フィルタ5〜8または偏光板9、10などの部品配置に使用するレールは、水平面に平行に配してもよく、垂直に配してもよい。
また、上述した実施形態では、光出力光強度測定を半導体光増幅器1の両端で行う方法について説明したが、半導体光増幅器1の片側のみで測定を行なってもよい。
【0068】
また、特性選別装置としては、半導体光増幅器1の片側だけに受光器2を配置し、半導体光増幅器1を左右に反転させるようにして、半導体光増幅器1の両端の光出力光強度測定を行うようにしてもよい。
また、スポットサイズ変換部を設けられている半導体光増幅器1に適用してもよいし、スポットサイズ変換部の設けられていない半導体光増幅器1に対して適用してもよい。
【0069】
さらに、半導体光増幅器1以外の入出力端を有した半導体発光素子を含んだ光素子の特性評価に適用してもよい。
次に、本発明の第6実施形態を図7及び図8を参照しながら説明する。
図7は、本発明の第6実施形態に係る特性評価選別手法の概念図を表している。図7(a)には、3つの波長フイルタにおいて測定された光強度がプロットで示してある。3つの波長フイルタは、透過中心波長がそれぞれλ1、λ2、λ3であり、図7(a)では各透過帯域がハッチングで示されている。図7(b)には、下式(8)に基づくパラメータフィッティングを行い近似した結果を示している。測定結果と良く一致した結果が得られており、本実施形態に係る測定方法の有効性を確認した。
【0070】
この理論的背景を詳細に説明する。
まず、フィルタを通過する光出力強度PASE(λ)は、下式(1)として表すことができる。下式(1)の導出については、公知文献(N.A.Olsson,IEEE J.Lightwave Technol.,vol.7,pp.1071-1082,1989.)に詳しい。
【0071】
【数1】
【0072】
ここで、Glin(λ)は利得、nspは自然放出光係数、E=h・νは光子のエネルギー(h:プランク定数、ν:周波数)、Δνは考慮すべき増幅帯域である。本実施形態に係る測定方法により得られるフィルタを通過する光出力強度Pfiltering ASE(λ0)は、上式(1)を中心波長λ0でフィルタ帯域Δλfにわたって積分した値に相当する。EおよびGlin(λ)が周波数ν(すなわち波長λ)の関数であることに注意すると、波長フィルタ帯域を利得の帯域に比べて十分に小さいという仮定の下で、近似的に下式(2)に示すようになる。
【0073】
【数2】
【0074】
ここで、cは光速であり、c=λ0νの関係にある。
そこで、利得の十分大きな領域では、下式(3)に示すようになる。
【0075】
【数3】
【0076】
すなわち、下式(4)に示す物理量を定義すると、この値を仮想入力光としてみなすことにより、フィルタを通過する光出力強度を測定できれば、利得Glin(λ0)を求めることができる。
【0077】
【数4】
【0078】
従ってこのとき、上式(3)をdB表示すると、下式(5)として表すことができる。
【0079】
【数5】
【0080】
ここで、下式(6)を定義すると、上式(5)は、下式(7)として表すことができる。
【0081】
【数6】
【0082】
なお、
GdB(λ0)=10・log(Glin(λ0))
である。
【0083】
【数7】
【0084】
上式(7)は、PdB-filtering ASE(λ0)を測定によって求め、仮想入力光であるPdB ASE-input(λ0)の値を上式(6)に基づいて算出しておけば、その差として利得特性GdB(λ0)が得られることを意味する。従って、波長フィルタの透過光出力PdB-filtering ASE(λ0)を測定することは、利得特性を測定することと等価である。なお、上式(6)で、PdB-filtering ASE(λ0)は、λ0の関数として表されているが、通常の光伝送波長帯域内でλ0の依存性は非常に小さく、ほぼ定数として扱うことができる。
【0085】
上記第1乃至第5実施形態では、上式(6)に基づいてPdB ASE-inputの値を設定しておき、測定されたPdB-filtering ASEの値または上式(7)より算出されるGdB(λ0)の値のどちらか一方を用いて、この値が設定されたデータの範囲内にあるがどうかを比較し選別を行っていた。
しかし、上記第1乃至第5実施形態に係る測定方法では、波長依存性の形状について既定せずに取り扱ってきたため、波長フィルタが用意されていない波長に対しては利得を予想することができず、利得スペクトルとして特性予測するには非常に狭い波長間隔で多数枚の波長フィルタを用意する必要があった。また、素子構造等や結晶組成が変化した場合等に利得ピーク波長が用意している波長フィルタの中心波長から大きくずれる場合に対して評価選別精度が著しく落ちてしまう。
【0086】
本実施形態に係る測定方法では、この波長ずれに対する補正効果を含めている。利得の大きな領域における波長λでの利得GdB(λ)(dB表示)は、下式(8)として近似することができる。
【0087】
【数8】
【0088】
ここで、GdB peakはピーク利得、そのときのピーク波長がλpであり、半値幅をΔλとした。すなわち、GdB peak、λp、Δλの3つのパラメータが決まれば、利得スペクトルを規定することができる。すなわち、3つの波長でPdB ASE-inputの値が求まっていれば、上式(7),(8)から広範囲な領域にわたって利得スペクトルを求めることができる。
【0089】
図8は、本発明の第6実施形態に係る特性評価選別方法のフローチャートである。図5を参照して説明すると、半導体光増幅器1を特性選別装置にセットし、ブローバ4から電流を印加する。半導体光増幅器1の端面からの出力光強度を受光器2,3を用いて電流−光出力(I‐L)特性を測定する(ステップS11)。ここで、半導体光増幅器1の光出力強度をそれぞれの規定値と比較することにより、素子選別Aを行う(ステップS12)。
【0090】
次に、半導体光増幅器1の端面と受光器2,3との間にそれぞれ波長フィルタ5と6を挿入し、半導体光増幅器1の電流−光出力(I‐L)特性を測定する(ステップS13)。
次に、半導体光増幅器1の端面と受光器2,3との間に偏光板9,10を挿入し、半導体光増幅器1の偏波別I‐L特性を測定する(ステップS14)。ここで、ステップS14の測定は偏光板9,10としてTEモードおよびTMモードを透過する場合の2回を測定する。
【0091】
その後、偏光板9,10を抜いた後に、波長フィルタ5,6の入替(例えば、透過波長域の異なる波長フィルタ7,8等に入替)を行い測定を行う。同様に、用意した波長フィルタのなかから適宜使用する枚数分について入替を行い測定を繰り返す。そして、各波長フィルタを挿入したときの半導体光増幅器1の光出力強度をそれぞれの規定値と比較することにより、素子選別Bを行う(ステップS15)。
【0092】
次に、偏光板9,10を挿入したときの半導体光増幅器1の光出力強度をそれぞれの偏波での規定値と比較することにより、素子選別Cを行う(ステップS16)。この測定手法に対して上式(7),(8)により3つ以上の波長フィルタにおいて測定された光強度を用いてパラメータフィッティングを行い全体の利得特性を推定する(ステップT1)。さらには、それぞれの偏波成分に対して利得特性を推定する(ステップT2)ステップが追加されていることを特徴としている。
【0093】
ここで、選別工程としては、I−L特性による工程S12、波長フィルタ付きI−L特性による工程S15、および偏光板9,10による工程S16の3段階を用意しているが、適宜に取捨選択して必要なステップだけを用いて関連する評価を行い選別することが可能なことは言うまでもない。また、ステップT1およびT2も取捨選択してどちらか一方の必要なステップだけを用いて評価選別することが可能なことは言うまでもない。さらに、FFP測定を行う機能を外部につけることも可能である。
【0094】
また、本実施形態の説明では、挿抜する波長フィルタの枚数および偏光板9,10の種類や枚数に関しては、何ら制限する要因はない。
このようにして、本実施形態では、透過波長の異なる少なくとも3つの波長フィルタを用い、各波長フィルタごとにその波長フィルタの挿抜時における半導体光増幅器1からの光出力を測光し、それら測光結果に基づいて、半導体光増幅器1の利得の波長特性を推定するようになっている。
【0095】
これにより、多数の波長について測定を行わなくても半導体光増幅器1の利得の波長特性を把握することができる。また、推定結果を利用すれば、利得ピーク波長が波長フィルタの中心波長から大きくずれるという原因がある程度特定可能となるので、不良が発生しても評価選別精度が落ちるのを抑制することができる。
【0096】
さらに、本実施の形態では、透過波長の異なる少なくとも3つの波長フィルタを用い、各波長フィルタごとにその波長フィルタを挿入した状態で偏光板9,10の挿抜時における半導体光増幅器1からの光出力を測光し、それら測光結果に基づいて、半導体光増幅器1の利得の偏光成分についての波長特性を推定するようになっている。
【0097】
これにより、多数の波長について測定を行わなくても半導体光増幅器1の利得の偏光成分についての波長特性を把握することができる。また、推定結果を利用すれば、利得ピーク波長が波長フィルタの中心波長から大きくずれるという原因がある程度特定可能となるので、不良が発生しても評価選別精度が落ちるのを抑制することができる。
【0098】
また、上述した実施形態では、パルス駆動を行なう方法について説明したが、CW駆動を行なうようにしてもよい。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、波長フィルタの挿抜時における半導体光増幅器からの出力光強度に基づいて、半導体光増幅器の特定波長での利得並びに利得スペクトルが適正かどうかを選別することが可能となり、半導体光増幅器の両端のファイバ結合を不要とすることが可能となるとともに、評価チップをそのまま製品に使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る半導体光増幅器の特性選別装置の概略構成を示す上面図、図1(b)は、半導体光増幅器のASEスペクトルを示す図、図1(c)は、波長フィルタの有無における半導体光増幅器のI−L(ASE強度)特性を示す図である。
【図2】図2(a)は、本発明の第2実施形態に係る半導体光増幅器の特性選別装置の概略構成を示す上面図、図2(b)は、半導体光増幅器のASEスペクトルを示す図である。
【図3】図3(a)は、電流を変化させた場合における半導体光増幅器のI‐L(ASE強度)特性を示す図、図3(b)は、波長フィルタの透過波長を変化させた場合における半導体光増幅器のASEスペクトルを示す図である。
【図4】図4(a)は、本発明の第3実施形態に係る半導体光増幅器の特性選別装置の概略構成を示す上面図、図4(b)は、偏光板で偏光分離された半導体光増幅器のASEスペクトルを示す図、図4(c)は、偏光板で偏光分離された半導体光増幅器のI−L(ASE強度)特性を示す図である。
【図5】図5(a)は、本発明の第4実施形態に係る半導体光増幅器の特性選別装置の概略構成を示す上面図、図5(b)は、偏光板で偏光分離された半導体光増幅器のI−L(ASE強度)特性を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る半導体光増幅器の特性選別方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第6実施形態に係る特性評価選別手法の概念図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係る特性評価選別方法のフローチャートである。
【図9】従来の半導体光増幅器の特性選別装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 バー状半導体光増幅器
2、3 受光器
4 ブローバ
5、6、7、8 波長フィルタ
9、10 偏光板
Claims (11)
- 半導体光増幅器に電流を印加する電流印加手段と、
前記半導体光増幅器からの光出力を受光する受光器と、
波長の選別を行なう波長フィルタと、
前記半導体光増幅器と前記受光器との間に前記波長フィルタを挿抜する波長フィルタ挿抜手段とを備え、
前記波長フィルタの挿抜時において、前記電流印加手段で印加した電流により前記半導体光増幅器自身が発光する光のみからなる光出力を測定することを特徴とする半導体光増幅器の特性選別装置。 - 前記波長フィルタの透過波長域を可変させる可変手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の半導体光増幅器の特性選別装置。
- 直交した2つの偏波状態を別々に透過させる偏光板と、
前記半導体光増幅器と前記受光器との間に前記偏光板を挿抜する偏光板挿抜手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の半導体光増幅器の特性選別装置。 - 前記波長フィルタの挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力の測光結果に基づいて、前記半導体光増幅器の波長特性を判別する波長特性判別手段と、
前記偏光板の挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力の測光結果に基づいて、前記半導体光増幅器の偏波特性を判別する偏波特性判別手段とをさらに備えることを特徴とする請求項3記載の半導体光増幅器の特性選別装置。 - 透過波長の異なる少なくとも3つの波長フィルタと、
前記各波長フィルタごとに当該波長フィルタの挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力を測光し、それら測光結果に基づいて、前記半導体光増幅器の利得の波長特性を推定する波長特性推定手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体光増幅器の特性選別装置。 - 透過波長の異なる少なくとも3つの波長フィルタと、
前記各波長フィルタごとに当該波長フィルタを挿入した状態で前記偏光板の挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力を測光し、それら測光結果に基づいて、前記半導体光増幅器の利得の偏光成分についての波長特性を推定する波長特性推定手段とをさらに備えることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の半導体光増幅器の特性選別装置。 - 半導体光増幅器に電流を印加するステップと、
波長フィルタの挿抜時において、前記印加した電流により前記半導体光増幅器自身が発光する光のみからなる光出力を測定するステップと、
前記波長フィルタの挿抜時における測光結果を規定値と照合することにより、前記半導体光増幅器の選別を行なうステップとを備えることを特徴とする半導体光増幅器の特性選別方法。 - 波長フィルタの透過波長域を可変させつつ、前記半導体光増幅器からの光出力を前記波長フィルタを介して測光するステップと、
前記波長フィルタの透過波長域を可変させた時の測光結果を規定値と照合することにより、前記半導体光増幅器の選別を行なうステップとをさらに備えることを特徴とする請求項7記載の半導体光増幅器の特性選別方法。 - 偏光板の挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力を測光するステップと、
前記偏光板の挿抜時における測光結果を規定値と照合することにより、前記半導体光増幅器の選別を行なうステップとをさらに備えることを特徴とする請求項7または8記載の半導体光増幅器の特性選別方法。 - 透過波長の異なる少なくとも3つの波長フィルタを用い、前記各波長フィルタごとに当該波長フィルタの挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力を測光する測光ステップと、
前記測光ステップでの各測光結果に基づいて、前記半導体光増幅器の利得の波長特性を推定する波長特性推定ステップとをさらに備えることを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の半導体光増幅器の特性選別方法。 - 透過波長の異なる少なくとも3つの波長フィルタを用い、前記各波長フィルタごとに当該波長フィルタを挿入した状態で前記偏光板の挿抜時における前記半導体光増幅器からの光出力を測光する測光ステップと、
前記測光ステップでの各測光結果に基づいて、前記半導体光増幅器の利得の偏光成分についての波長特性を推定する波長特性推定ステップとをさらに備えることを特徴とする請求項9および10のいずれかに記載の半導体光増幅器の特性選別方法。
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