JP3863064B2 - プリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のプリンタにおいて、記録用紙を用紙送り方向に移動させながら、記録部で用紙幅方向に送って記録動作を行わせるものがある。特に封筒やカット紙等、手差しの単票上に記録動作を行う場合、記録用紙を用紙幅方向に傾斜することがないようにして用紙を送り方向に移動させることが、良好な記録を得るために必要である。そこで従来技術において、例えば、特開平1‐267075号公報には、ピンチローラを用紙幅方向に複数並べて配置し、記録用紙を送り方向に移動させる際に、各ピンチローラのキャプスタンローラに対する加圧力のそれぞれの補正量を得る手段を設け、この補正量に基づいて加圧力を制御する加圧補正制御装置を設けた例が開示されている。
【0003】
また、例えば、特開平5‐155086号公報には、給紙を行う際に、給紙ローラと分離ローラを正転させ、インサータ駆動ローラを逆転させる。用紙の先端がセンサ上に位置すると、制御回路はセンサの出力がオンになったことを検出し、センサとインサータ駆動ローラの間の距離+過送り量だけさらに用紙送りを行う。過送り量は用紙が厚いときは大きく、用紙が薄いときは小さく設定されている。その後で、インサータ駆動ローラを正転させ、給紙ローラと分離ローラをアイドル状態にする例が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来例の第1のものでは、ピンチローラのキャプスタンローラに対する加圧力のそれぞれの補正量を得る手段と、この補正量に基づいて加圧力を制御する加圧補正制御装置との特別な機構が必要であり、コストの上昇を招くという問題点があった。また上記従来例の第2のものでは、過送りによって用紙を撓ませる際に、用紙の厚みと撓み量とが対応しない場合があり、このような場合には傾斜状態を補正することができなくなるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、特別な機構を必要とすることなく、用紙が傾斜した状態で送られることのないように補正できる装置を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のプリンタは、印字ヘッドをプラテンに沿って用紙送り方向と直交する用紙幅方向へ移動するヘッド駆動手段と、前記印字ヘッドと前記プラテンとの間に用紙を給送する用紙送り手段と、前記用紙の給送時に前記用紙の先端位置を用紙幅方向複数位置で検出する用紙検出センサと、前記印字ヘッドを前記プラテンに対して接離する接離機構と、前記印字ヘッドが前記プラテンに接近する方向へ前記接離機構を駆動して前記印字ヘッドを前記用紙に押し付け、当該位置を基準として前記印字ヘッドを前記プラテンから所定量離反させて前記印字ヘッドと前記プラテンとの間隔を調整するギャップ調整手段と、前記用紙の給送時に前記用紙検出センサからの出力信号に基づいて前記用紙の傾斜方向及び傾斜量を検出し、当該傾斜量が所定の範囲を超えたときに前記印字ヘッドと前記プラテンとの間に前記用紙の幅方向端部を挟持するように前記ヘッド駆動手段および前記接離機構を駆動するとともに当該挟持部を中心として前記用紙が前記傾斜方向に応じて回転するように前記用紙送り手段を駆動して前記傾斜量を所定の範囲内に補正するスキュー補正手段とを有することを特徴としている。スキュー補正手段は、印字ヘッドをプラテンに沿って移動させるヘッド駆動機構と、印字ヘッドをプラテンに接離させる接離機構と、ギャップ調整手段とを用いて用紙を挟持し、用紙送り手段により用紙を回転させることにより行なっているので、プリンタとして具備しているものの他に何ら新しい特別な機構を必要とせずに用紙の傾斜状態を簡単に補正できる。
【0007】
前記スキュー補正手段は、前記挟持部を前記傾斜方向にかかわらず常に前記用紙の幅方向一端部とするとともに、前記傾斜方向に応じて前記用紙の送り方向を切り換えるように前記ヘッド駆動手段および前記用紙送り手段を駆動制御することが好ましい。
【0008】
また、前記スキュー補正手段は、前記挟持部を前記傾斜方向に応じて前記用紙の幅方向一端部または他端部のいずれかに切り換えるとともに、前記用紙の送り方向を前記傾斜方向にかかわらず常に一定の方向とするように前記ヘッド駆動手段および前記用紙送り手段を駆動制御することが好ましい。
【0009】
また、前記用紙検出センサは、前記用紙の幅方向両端部と対向する位置に配設されることが好ましい。用紙の傾斜量が最大となり精度よく傾斜状態の補正ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0011】
本発明におけるプリンタは、特に記録用紙として、封筒やカット紙等の手差しの単票上に記録することに主眼が置かれているので、そのための機械部分の構成について図1乃至図3を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、プリンタの制御部には、キャリッジモータ(Cモータ)駆動回路10と、紙送りモータ(LFモータ)駆動回路20と、ギャップ調整回路30と、印字ヘッドピン駆動回路40と、スキュー検知回路50とが備わっている。キャリッジモータ駆動回路10に制御されてキャリッジモータ11が駆動されることにより、後述のキャリッジ上の印字ヘッドを用紙幅方向へ移動させるヘッド駆動手段Aを構成している。紙送りモータ駆動回路20に制御されて紙送りモータ21が駆動されることにより、用紙を印字部へ給送する用紙送り手段Bを構成している。ギャップ調整回路30に制御されてギャップ調整モータ31が駆動されることにより、印字ヘッドをプラテンに対して接離する接離機構C1と、この接離機構の駆動により印字ヘッドとプラテンとの間隔を調整するギャップ調整手段C2とを構成している。印字ヘッドピン駆動回路40に制御されて印字ヘッド41に印字信号が供給されることにより、用紙上に印字する印字手段Dを構成している。スキュー検知回路50は、用紙検出センサEを構成するエッジセンサ51とスキューセンサ52からの出力信号に基づいて、用紙の傾斜方向及び傾斜量を検出するスキュー検出手段Fを構成している。
【0013】
図2及び図3にプリンタの機械部分が図示してある。外装ケース1には、その前面(左側)に開閉自在の前カバー2が設けてあり、前カバー2の内部に開閉自在の仕切カバー3が設けてあり、上面には開閉自在の上カバー4が設けてある。前カバー2の揺動中心となる下端部の背後に、前トラクタ5が軸5aを中心に揺動自在に設けてある。前カバー2を開き、前トラクタ5を水平状態にした時に、プリンタの前面から用紙が手差しで供給されて印字部へ送り込まれる。用紙は紙送りモータ21の正転により印字部まで前進して印字され、印字後はそのまま紙送りモータ21の正転により前進して、プリンタの後方、または開放されているプリンタの上カバー4の開口から排紙される。または、印字後に紙送りモータ21を逆転させることにより用紙を後退させ、プリンタの前面から排紙することも可能である。
【0014】
外装ケース1内の印字部には、印字ヘッド41と対向的にプラテン42が設けられ、印字ヘッド41とプラテン42との間を不図示のインクリボンが一方向に送られるようになっている。印字ヘッド41は上下のガイド軸6,7にガイドされて移動可能なキャリッジ8に搭載されている。ガイド軸6,7は、外装ケース1の両側面に近接して対向的に設けてある両側板にその両端部が支持されており、下方のガイド軸7はキャリッジ8を貫通して印字ヘッド41を用紙幅方向へガイドし、上方のガイド軸6はキャリッジ8が上下方向に移動するのを許容しつつガイドするものである。したがって、印字ヘッド41は、ヘッド駆動手段Aにより用紙幅方向へ移動可能であり、接離機構C1によりプラテン42に接離する方向に移動可能である。
【0015】
プリンタの前面から供給された手差しの用紙の用紙送り手段Bについて説明する。前トラクタ5の内端部の近傍から、印字ヘッド41とプラテン42とのギャップを通過して排紙部に至る間に紙ガイド9が設けてあり、水平に配置されている。紙ガイド9の前端部と後端部には、紙送りローラ22と23が配設されている。紙送りローラ22,23へは、紙送りモータ21の回転力が不図示の伝達輪列を介して伝達され、紙送りローラ22,23はそれぞれ連動回転駆動される。紙送りローラ22,23には、紙送りの経路を挾んで印字ヘッド41側に設けてある従動ローラ22a,23aが弾接し、紙送りローラ22,23と従動ローラ22a,23aとのそれぞれ1対で紙の送りを行なうようになっている。紙ガイド9の後端部からは、揺動自在の切換レバー24を介して後上方へ向かうように、紙の搬送路25を延伸形成してある。用紙は切換レバー24を水平状態に揺動させることにより後方へ排紙でき、切換レバー24を傾斜状態に揺動させて上カバー4を開くことにより、この開放された上カバー4の上に用紙を導いて排紙できる。
【0016】
手差しにより供給された用紙が傾斜状態で給紙されたかどうかを検出するスキュー検出手段Fについて説明する。図3に示すように、紙ガイド9の前端部には、ペーパーセンサ53が配設されている。ペーパーセンサ53の後方に、用紙検出センサEであるエッジセンサ51とスキューセンサ52とが紙ガイド9に内蔵させてある。エッジセンサ51とスキューセンサ52とは、用紙幅方向に間隔をおいて複数位置で配設してあるもので、エッジセンサ51を用紙の前進方向に対して左側に、またスキューセンサ52をエッジセンサ51の右側に配設してある。そしてこのエッジセンサ51とスキューセンサ52との出力信号が、スキュー検知回路50に供給されてスキュー検出手段Fを構成している。
【0017】
次に、スキュー検出手段Fにより検出された傾斜量が所定の範囲を超えたときには、スキュー補正手段Gによりその補正を行なう。
【0018】
図4及び図5のフロー図に示すように、プリンタに単票の用紙が挿入されたかどうかの判断を、ペーパーセンサ53により行なう(f1)。用紙がペーパーセンサ53に検知されない間はこの判断動作を繰り返し、用紙が検知されたら、用紙送り手段Bにより、紙送りモータ21のLFカウンタに0をセットすると共に、紙送りモータ21を正転させる(f2)。紙送りモータ21により用紙が送り込まれたら、用紙がエッジセンサ51の位置まで来たかを判断し(f3)、エッジセンサ51により用紙が検知されないときはスキューセンサ52により用紙が検知されたかを判断し(f4)、いずれかの用紙検出センサEで用紙が検知されるまでこの判断を継続する。もし、エッジセンサ51で先に用紙が検知されたと判断したら(f3)、このときの紙送りモータ21のLFカウンタ値をエッジセンサ51のエッジカウンタにセットする(f5)。紙送りモータ21の正転動作が継続し、次に用紙がスキューセンサ52の位置まで来たかを判断し(f6)、スキューセンサ52により用紙が検知されたら、このときの紙送りモータ21のLFカウンタ値をスキューセンサ52のスキューカウンタにセットすると共に、Sを「0」にセットする(f7)。ここでスキューセンサ52のスキューカウンタ値からエッジセンサ51のエッジカウンタ値を引いて値Xを算出する(f8)。そこでこの値Xを、所定の範囲であるスキュー許容最大値Aと比較して(f9)、値Xが所定の範囲Aよりも小さい(X<A)であれば、ここで用紙の頭出し処理(f10)を終了とし、その後は通常のプリント動作に入る。
【0019】
以上の用紙の状態をまとめると、用紙が図3の下方から上方へ向かって挿入され、先にエッジセンサ51により用紙が検知されたことから、用紙は左先端を先にして挿入された。そして、その後でスキューセンサ52により用紙が検知されるまでの遅れの状態、即ち用紙の傾斜量が値Xで示されたものである。即ち、S=0の場合は、用紙が左先端を先にして挿入されている傾斜方向を示している。また、X<Aということで、用紙の傾斜量が所定の範囲内であり、許容できる傾斜量であることを意味し、したがってこの状態のままで正常なプリント動作が可能であると判断されたものである。
【0020】
更に、エッジセンサ51により用紙が検知されるよりも先に、スキューセンサ52により用紙が検知された(f4)場合には、このときの紙送りモータ21のLFカウンタ値をスキューセンサ52のスキューカウンタにセットする(f11)。紙送りモータ21の正転動作が継続し、用紙がエッジセンサ51の位置まで来たかを判断し(f12)、エッジセンサ51により用紙が検知されたら、このときの紙送りモータ21のLFカウンタ値をエッジセンサ51のカウンタにセットすると共に、Sを「1」にセットする(f13)。ここでエッジセンサ51のエッジカウンタ値からスキューセンサ52のスキューカウンタ値を引いて値Xを算出する(f14)。そこでこの値Xを、スキュー許容最大値Aと比較して(f9)、値Xがスキュー許容最大値Aよりも小さい(X<A)であれば、ここで用紙の頭出し処理(f10)を終了し、その後は通常のプリント動作に入る。
【0021】
以上の用紙の状態をまとめると、用紙の先端が先にスキューセンサ52により検知されたことから、用紙は右先端を先にして挿入された。そして、その後でエッジセンサ51により用紙が検知されるまでの遅れの状態、即ち用紙の傾斜量が値Xで示されたものである。即ち、S=1の場合は、用紙が右先端を先にして挿入されている傾斜方向を示している。また、X<Aということで、用紙の傾斜量が所定の範囲内であり、許容できる傾斜量であることを意味し、したがってこの状態のままで正常なプリント動作が可能であると判断されたものである。
【0022】
上記の例では、X<Aであったのでそのままプリント動作に進んだのであったが、X>Aの場合には、傾斜量が所定の範囲、即ち、許容最大値Aより大きいので、そのままでは正常なプリント動作ができない。そこでこの場合には用紙のスキューを補正しなければならない。
【0023】
このスキュー補正手段Gについて図5のフロー図により説明する。この例では、用紙の傾斜方向にかかわらず、常に用紙の幅方向一端部を挟持部とし、傾斜方向に応じて用紙の送り方向を切り換えるようにしている。そこで、先ず、ヘッド駆動手段Aにより印字ヘッド41を用紙の左端の位置に移動させる(f21)。即ち、キャリッジモータ11を駆動して印字ヘッド41を左端まで移動させ、ギャップ調整モータ31を正転駆動し(f22)、接離機構C1により印字ヘッド41を下降させて印字ヘッド41が用紙を検知したかどうかを判断する(f23)。印字ヘッド41が下降して用紙に所定の圧力で接触すると、マイクロスイッチ等のHAセンサ32(図1図示)に出力を生じ、その出力信号がギャップ調整回路30に供給される。これにより印字ヘッド41がプラテン42に押圧され、印字ヘッド41とプラテン42との間で用紙をきつく挟持したことが検知できる。ここでギャップ調整モータ31を停止する(f24)。次いでギャップ調整手段C2によりこの位置を基準としてギャップ調整モータ31をBパルス逆転する(f25)。ギャップ調整モータ31の逆転によって印字ヘッド41は上昇されるものであるが、設定されているBパルスは、印字ヘッド41を極僅かだけ上昇させるパルス数に相当する。即ち、印字ヘッド41を下降させてプラテン42との間で用紙をきつく挟持した状態となっていたものを、印字ヘッド41を極僅かだけ上昇させて、挟持した状態のまま用紙が回転可能であるように、僅かなギャップにより緩やかな挟持の状態にするものである。Bパルスは学習値であり、テストを繰り返すことによって予め設定された値である。ここまでの動作により、用紙はその左先端部が印字ヘッド41とプラテン42とにより回転可能に挟持された。
【0024】
次いでスキュー補正手段Gに入る前に、S=1かS=0かを判断する(f26)。S=1の状態とは、先に述べたように用紙が右先端を先にした傾斜方向で挿入されている状態であるので、紙送りモータ21をYパルス逆転する(f27)。Y=C・X+Dであり、紙送りモータ21の逆転は用紙を後退させるものであるが、用紙の左先端が緩やかに挟持されているので、用紙は左先端を回転中心として時計方向に回転し、右先端が後退して傾斜状態が緩和される。値C及び値Dは学習値であり、テストを繰り返すことによって予め設定されたものである。また、S=0の状態とは、先に述べたように用紙が左先端を先にした傾斜方向で挿入されている状態であるので、紙送りモータ21をYパルス正転する(f28)。Y=C´・X+D´であり、紙送りモータ21の正転は用紙を前進させるものであるが、用紙の左先端が緩やかに挟持されているので、用紙は左先端を回転中心として反時計方向に回転し、右先端が前進して傾斜状態が緩和される。値C´及び値D´は学習値であり、テストを繰り返すことによって予め設定されたものである。この動作により傾斜状態が一旦補正されたので、ギャップ調整モータ31を逆転して接離機構C1により印字ヘッド41を上昇移動させ、ホーム位置に戻す(f29)。
【0025】
次いで用紙送り手段Bにより紙送りモータ21を逆転し(f30)、用紙を後退させる。エッジセンサ51に紙無しと判断され(f31)、スキューセンサ52にも紙無しと判断されたら(f32)、紙送りモータ21を停止する(f33)。ここで再度図4のフローに戻り、同じ動作によって用紙の傾斜状態を調べ、X<Aと判断されたとき(f9)用紙の頭出し処理を終了し、後は通常の手順に従って用紙の上にプリントが為されることになる。
【0026】
このスキュー補正手段は、図5に限られるものでなく、図6のフロー図に示すスキュー補正手段G2によって行うことができる。次にその動作について説明する。この例では、用紙の傾斜方向に応じて用紙を挟持する位置を変え、用紙の送り方向を傾斜方向にかかわらず常に一定にしたものである。即ち、先ずS=1かS=0かを判断する(f41)。S=1の状態とは、先に述べたように用紙が右先端を先にした傾斜方向で挿入されている状態であるので、ヘッド駆動手段Aにより、この際にはキャリッジモータ11を駆動して印字ヘッド41を用紙の左端の位置に移動させる(f42)。また、S=0の状態とは、先に述べたように用紙が左先端を先にした傾斜方向で挿入されている状態であるので、この際にはキャリッジモータ11を駆動して印字ヘッド41を用紙の右端の位置に移動させる(f43)。その上で接離機構C1により、ギャップ調整モータ31を正転駆動して(f44)印字ヘッド41を下降させて用紙に接近させる。センサ32により印字ヘッド41が用紙を検知したかどうかを判断し(f45)、検知したらギャップ調整モータ31を停止して(f46)この位置を基準とする。この状態は、前記と同様に印字ヘッド41とプラテン42との間で用紙をきつく挟持した状態である。次いでギャップ調整手段C2により、ギャップ調整モータ31をBパルス逆転し(f47)、前記と同様に印字ヘッド41を極僅かだけ上昇させて、挟持した状態のまま用紙が回転可能であるように、緩やかな挟持の状態にする。
【0027】
次いでスキュー補正手段G2により、紙送りモータ21をYパルス逆転する。(f48)前記と同様に紙送りモータ21の逆転により用紙を後退させるが、用紙の左先端または右先端は緩やかに挟持されているので、用紙は左先端または右先端を回転中心として時計方向または反時計方向に回転し、右先端または左先端が後退して傾斜状態が緩和される。この動作により斜めに挿入された傾斜状態が一旦補正されたので、前記と同様にギャップ調整モータ31を逆転して(f49)、接離機構C1により印字ヘッド41を上昇移動させ、ホーム位置に戻す。
【0028】
次いで用紙送り手段Bにより紙送りモータ21を逆転し(f50)、用紙を後退させる。エッジセンサ51に紙無しと判断され(f51)、スキューセンサ52にも紙無しと判断されたら(f52)、紙送りモータ21を停止する(f53)。ここで再度図4のフローに戻り、同じ動作によって用紙の傾斜状態を調べ、X<Aと判断されたとき(f9)用紙の頭出し処理を終了し、後は通常の手順に従って用紙の上にプリントが為されることになる。
【0029】
なお上記の例では、エッジセンサ51とスキューセンサ52とが紙ガイド9に配設された例を述べたが、エッジセンサ51,スキューセンサ52をリボンガイド43に配設しても同様の効果を得られる。
【0030】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明に係るプリンタでは、スキューの補正を、印字ヘッドをプラテンに沿って移動させるヘッド駆動機構と、印字ヘッドをプラテンに接離させる接離機構と、ギャップ調整手段とを用いて用紙を挟持し、用紙送り手段により用紙を回転させることにより行なうので、プリンタとして具備しているものの他に何ら新しい特別な機構を必要とせず、簡単な構成によって用紙の傾斜状態を補正でき、用紙が傾斜した状態で送られることを無くして良好な印字が得られる装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図3】同、要部の拡大斜視図である。
【図4】用紙の傾斜状態を検知する動作を説明するフロー図である。
【図5】用紙の傾斜状態を補正する動作を説明するフロー図である。
【図6】用紙の傾斜状態を補正する他の動作を説明するフロー図である。
【符号の説明】
A ヘッド駆動手段
B 用紙送り手段
C1 接離機構
C2 ギャップ調整手段
E 用紙検出センサ
G,G2 スキュー補正手段
41 印字ヘッド
42 プラテン
Claims (4)
- 印字ヘッドをプラテンに沿って用紙送り方向と直交する用紙幅方向へ移動するヘッド駆動手段と、
前記印字ヘッドと前記プラテンとの間に用紙を給送する用紙送り手段と、
前記用紙の給送時に前記用紙の先端位置を用紙幅方向複数位置で検出する用紙検出センサと、
前記印字ヘッドを前記プラテンに対して接離する接離機構と、
前記印字ヘッドが前記プラテンに接近する方向へ前記接離機構を駆動して前記印字ヘッドを前記用紙に押し付け、当該位置を基準として前記印字ヘッドを前記プラテンから所定量離反させて前記印字ヘッドと前記プラテンとの間隔を調整するギャップ調整手段と、
前記用紙の給送時に前記用紙検出センサからの出力信号に基づいて前記用紙の傾斜方向及び傾斜量を検出し、当該傾斜量が所定の範囲を超えたときに前記印字ヘッドと前記プラテンとの間に前記用紙の幅方向端部を挟持するように前記ヘッド駆動手段および前記接離機構を駆動するとともに当該挟持部を中心として前記用紙が前記傾斜方向に応じて回転するように前記用紙送り手段を駆動して前記傾斜量を所定の範囲内に補正するスキュー補正手段と
を有することを特徴とするプリンタ。 - 請求項1において、前記スキュー補正手段は、前記挟持部を前記傾斜方向にかかわらず常に前記用紙の幅方向一端部とするとともに、前記傾斜方向に応じて前記用紙の送り方向を切り換えるように前記ヘッド駆動手段および前記用紙送り手段を駆動制御することを特徴とするプリンタ。
- 請求項1において、前記スキュー補正手段は、前記挟持部を前記傾斜方向に応じて前記用紙の幅方向一端部または他端部のいずれかに切り換えるとともに、前記用紙の送り方向を前記傾斜方向にかかわらず常に一定の方向とするように前記ヘッド駆動手段および前記用紙送り手段を駆動制御することを特徴とするプリンタ。
- 請求項1において、前記用紙検出センサは、前記用紙の幅方向両端部と対向する位置に配設されることを特徴とするプリンタ。
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