JP2813180B2 - 画像形成装置の用紙走査機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は画像形成装置の用紙走査機構に係り、特に、
駆動用キャプスタンローラーに圧接されるピンチローラ
ーとの間に記録用紙をニップしながら上記記録用紙を副
走査方向に移動させるようにした画像形成装置の用紙走
査機構に関する。

（従来技術） プリンターなどの各種画像形成装置においては、記録
用紙を副走査方向に移動させながら、記録部で主走査方
向に記録動作を行なわせるようにした用紙走査機構がし
ばしば採用されている。この場合、記録を正確に実行す
るためには、記録用紙がスキューなどを生じることなく
副走査方向に正確に位置合わせされながら移動される必
要がある。例えば転写型カラーサーマルプリンターなど
のようなカラー画像形成装置においては、記録用紙を記
録部に対して複数回往復移動させて面順次に色重が行な
われることとなっているため、記録用紙を厳密に位置合
わせさせながら記録動作を行なわせることが要求され
る。

このような記録用紙の位置合わせを行なわせるため従
来から、記録用紙を駆動用のキャプスタンローラーがわ
にピンチローラーの加圧力により圧接させることによっ
て記録用紙を副走査方向に移動させるようにした用紙走
査機構が開発されている。この用紙走査機構において
は、ピンチローラーの加圧力を高めることによって記録
用紙の位置精度がある程度は向上されている。

しかしながら上記用紙走査機構によれば、記録画像が
主走査方向に比較的均一に存在されている場合には特に
問題はないが、例えば記録用紙の右側領域に印字が密集
していると同時に左がわ領域には印字が存在しない場合
などのように記録画像が主走査方向に偏りを有する場合
には、第６図に示されるように、記録用紙１の印字によ
る偏った負荷抵抗がキャプスタンローラー２およびピン
チローラー３に発生してしまい、これにより記録用紙１
がスキュー状態になってしまうという問題がある。これ
は、印字形成部においてインクの溶着が発生し、これが
記録用紙の移動負荷となって印字密集領域に微少量なが
らローラーのスリップが生じることが原因と考えられ
る。特に上述した転写型カラーサーマルプリンターでは
その傾向が大きくなるとともに、印字領域が大きい大サ
イズの記録用紙を用いる場合には上記のようなスキュー
量が大きくなってしまい問題となっている。

（目的） そこで本発明は、記録用紙を厳密に位置合わせしてス
キューの発生を回避し、記録用紙を複数回往復移動させ
て記録を行なうようにしたカラー画像形成装置において
も色ずれのない良好な画像を得ることがことができるよ
うにした画像形成装置の用紙走査機構を提供することを
目的とする。

（構成） 上記目的を達成するため本発明は、キャプスタンロー
ラーに記録用紙を介してピンチローラーを圧接したまま
で、この記録用紙を上記キャプスタンローラーの駆動に
より副走査方向に移動させ、プラテンとサーマルヘッド
からなる記録部でインクシートに重ねられた上記記録紙
に、上記サーマルヘッドの主走査方向の走査により記録
を行なう画像形成装置の用紙走査機構において、主走査
方向に複数、並べて配置した上記ピンチローラーと、上
記記録用紙の副走査方向の移動に伴う、上記記録部にお
ける主走査方向での画像印字率の偏りの変化に応じた、
上記各ピンチローラーの上記キャプスタンローラーに対
する加圧力のそれぞれの補正量を得る手段と、上記手段
による補正量に基づき上記加圧力を制御する加圧補正制
御装置とを有することとした。

このような構成を有する用紙走査機構においては、駆
動用キャプスタンローラーがわに圧接される複数のピン
チローラーの各加圧力が、加圧補正制御装置により記録
情報が有する主走査方向の偏り程度に対応して記録用紙
の移動に応じて変動制御され、その結果印字密集領域に
おけるローラー加圧力が高められて上述したローラーに
おける駆動スリップの発生が低減されるようになってい
る。

以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。

第２図には、本発明を適用してなる転写型カラーサー
マルプリンターの概要が示されている。本図に示される
ように、供給ロール11に巻き付けられ該供給ロール11か
ら引き出されたインクシート12は、該インクシート12の
幅方向である主走査方向（紙面垂直方向）に延在される
サーマルヘッド13の記録部に圧接された後、巻取ロール
14に巻き取られるようにして移動される。上記サーマル
ヘッド13の記録部には、プラテン15が対向配置されてお
り、このプラテン15とサーマルヘッド13からなる記録部
で上記インクシート12を介して記録用紙16が介挿される
ようになっている。

記録部の出口がわ領域には、用紙駆動用のキャプスタ
ンローラー17とこのキャプスタンローラー17がわに圧接
されるピンチローラー18とが配置されている。そして前
記記録用紙16は、これら両ローラー17,18の間に挟み込
まれ、両ローラー17,18のニップ部に生じる摩擦力によ
って副走査方向（第２図左右方向）に往復移動されるよ
うになっている。

第１図に示されるように、上記キャプスタンローラー
17は、記録用紙16の主走査方向幅よりやや長いローラー
幅を備えるように形成されており、その支軸17aには、
従動プーリー17bが固定されているとともに、この従動
プーリー17bに掛けられた動力伝達ベルト19が、駆動モ
ーター21の出力軸21aに固定された駆動プーリー21bに掛
けられている。このような駆動力伝達機構によりキャプ
スタンローラー17には積極的な回転駆動力が与えられる
ようになっている。これに対して上記ピンチローラー18
は、ハウジング18aにより回転自在に支承されるのみで
あって従動状態にあり、積極的な回転駆動力は与えられ
ていない。またサーマルヘッド13の記録部の入口がわ領
域には、紙端検出センサー22が配置されており、この紙
端検出センサー22により記録用紙16が元の位置に戻され
る場合の位置決めが行なわれるようになっている。

さらに上記ピンチローラー18は、主走査方向にずらし
て２個配置されており、これらの各ピンチローラー18
が、記録用紙16の主走査方向の両側領域（第１図左右領
域）にそれぞれ１体づつ左右対称的に配置されている。
これらの各ピンチローラー18のハウジング18aは、ピン
チローラー18の支承部分から記録用紙16の送り出し方向
（第２図左がわ方向）に向かって延出されている。そし
てこのハウジング18aの延出部分のほぼ中央部分は、該
ハウジング18aが揺動自在となるように軸支されている
とともに、このハウジング18aの延出端部部分に対して
コイルばね23の一端部が掛けられている。したがって上
記コイルばね23の下方付勢力によりピンチローラー18が
記録用紙16がわに向かう揺動付勢力を受けて記録用紙16
の表面上に圧接されるようになっている。また上記左右
の各ピンチローラー18には、加圧補正制御装置24がそれ
ぞれ付設されている。これら左右の各加圧補正制御装置
24には、上記ハウジング18aを吸着・離間させる電磁石2
4aがそれぞれ備えられている。これらの各電磁石24a
は、第３図に示される制御回路によりその吸引力が調整
されるようになっており、その結果上記ピンチローラー
18の記録用紙16に対する加圧力が、記録情報に対応して
変動制御されるようになっている。

すなわち第３図に示されるように、外部ソフト25から
得られる画像情報は、インターフェイス26を介してCPU
（中央処理装置）27に送られ、このCPU27から印字ライ
ン情報が印字情報ラインバッファー28に送られる。上記
CPU27には、各種機構センサー29から記録位置やインク
シート位置などの各検知信号が入力されているととも
に、上記CPU27から各種モーターやプランジャーなどを
駆動する機構ドライバー31に対して制御信号が出力され
るようになっている。また上記印字情報ラインバッファ
ー28に１ライン分の記録情報が蓄えられると、その印字
ライン情報が前記サーマルヘッド13を駆動するサーマル
ヘッドドライバー32に送られるとともに、印字率判定回
路33に対して上記印字ライン情報が送給される。この印
字率判定回路33は、１ライン情報における情報の主走査
方向の偏り程度すなわち１ライン情報の左右の各領域に
どの程度の画像印字率がそれぞれ備えられているかを検
知する機能を有するとともに、１ライン情報における左
右の両領域が備える各画像印字率を圧力参照テーブル34
に予め記憶された画像印字率に対応する電流値と対比す
る機能を備えている。そして上記印字率判定回路33で決
定された各ピンチローラーのキャプスタンローラーに対
する加圧力のそれぞれの補正量を加味した各電流値が、
左右の各ドライブ回路33aから前記左右の各電磁石24aに
それぞれ出力され、これにより各ピンチローラー18のハ
ウジング18aに対する吸引力が記録情報の主走査方向の
偏り程度に対応して変動制御されるようになっている。

サーマルヘッドドライバー32に対する画像情報電流の
出力動作は、上記電磁石24aに対する制御電流の出力動
作が行なわれた直後に行なわれるようになっているとと
もに、前記サーマルヘッド13による記録・転写動作が完
了されてつぎのラインへ改行されるまで上記電磁石24a
に対する出力電流値がそのまま維持されて記録用紙16の
移動動作が行なわれるようになっている。

このような実施例においては、主走査方向にずらして
左右に配置された各ピンチローラー18の記録用紙16に対
する加圧力が、加圧補正制御装置24により記録情報の主
走査方向の偏り程度に対応して変動制御される。例え
ば、記録用紙16の中心位置から右がわ領域に印字される
情報量が多い場合には、その情報量の多さに対応して右
がわの電磁石24aに対する供給電流値が大きくなされ
る。そしてこれにより右がわのピンチローラー18の加圧
力が強められ、右がわの用紙移動力が上記記録情報の主
走査方向の偏り程度に対応して強められることとなる。
その結果、情報量の多い部位におけるローラーのスリッ
プ状態が回避され、記録用紙16の搬送時におけるスキュ
ーが自動的に矯正される。したがってこのようなローラ
ー加圧制御動作に基づいて記録用紙16を移動させれば、
非常に正確な位置合わせが行なわれることとなる。

第４図および第５図には、本発明の他の実施例におけ
る加圧補正制御装置が示されている。まず第４図に示さ
れる加圧補正制御装置44においては、圧電素子44aがピ
ンチローラー18のハウジング18aに対して接触するよう
に付設されている。そしてこの圧電素子44aに供給され
る駆動電流により該圧電素子44aの変位量を制御するこ
とによってピンチローラー18の加圧力が調整されるよう
になっている。

また第５図に示される加圧補正制御装置54において
は、オイルあるいはエアを作動流体とするピストン装置
54aが、ピンチローラー18のハウジング18aに付設されて
いるとともに、上記ピストン装置54aのピストン部が、
パルスモーター51の出力軸に設けられたカム体52により
作動されるようになっている。そして上記パルスモータ
ー51に供給される駆動電流のステップ数に基づいて前記
ピストン装置54aの作動量が制御され、これによってピ
ンチローラー18の加圧力が調整されるようになってい
る。

このような各実施例においても上述した第１実施例と
同様な作用・効果を得ることができるものである。

（効果） 以上述べたように本発明は、記録量が多い部分におけ
る記録用紙の移送駆動力を高めるように、記録用紙に圧
接されるピンチローラーを主走査方向にずらして複数配
置するとともに、それら各ピンチローラーの加圧力を加
圧補正制御装置により制御するようにしたから、記録用
紙に負荷される移動搬送力を均一になすことができ、そ
の結果記録用紙を厳密に位置合わせしてスキューの発生
を回避することができる。したがって、記録用紙を複数
回往復移動させて記録を行なうようにしたカラー画像形
成装置においても色ずれのない良好な画像を得ることが
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明の一実施例における加圧力
制御装置を表わした正面説明図および側面説明図、第３
図は加圧補正制御装置の制御回路を表わしたブロック線
図、第４図および第５図は本発明の他の実施例における
加圧力制御装置をそれぞれ表わした正面説明図、第６図
は一般の記録用紙搬送装置における記録用紙のスキュー
発生状態を表わした平面説明図である。 13……サーマルヘッド、16……記録用紙、17……キャプ
スタンローラー、18……ピンチローラー、18a……ハウ
ジング、24……加圧補正制御装置、24a……電磁石、33
……印字率判定回路、34……圧力参照ケーブル。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】キャプスタンローラーに記録用紙を介して
   ピンチローラーを圧接したままで、この記録用紙を上記
   キャプスタンローラーの駆動により副走査方向に移動さ
   せ、プラテンとサーマルヘッドからなる記録部でインク
   シートに重ねられた上記記録紙に、上記サーマルヘッド
   の主走査方向の走査により記録を行なう画像形成装置の
   用紙走査機構において、 主走査方向に複数、並べて配置した上記ピンチローラー
   と、 上記記録用紙の副走査方向の移動に伴う、上記記録部に
   おける主走査方向での画像印字率の偏りの変化に応じ
   た、上記各ピンチローラーの上記キャプスタンローラー
   に対する加圧力のそれぞれの補正量を得る手段と、 上記手段による補正量に基づき上記加圧力を制御する加
   圧補正制御装置とを有することを特徴とする画像形成装
   置の用紙走査機構。