JP3862892B2 - 氷蓄熱槽内に蓄氷する方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、氷蓄熱槽内に蓄氷する方法及び装置に関するものである。とくに、この発明は夜間の安価な余剰電力を使用し、製氷機によって冷媒を冷却して氷粒子を生成し、蓄熱槽内の冷媒中に氷粒子と冷媒が混在するシャーベット状態の塊として蓄えておき、蓄熱槽内の冷媒が保有する冷熱を必要に応じて昼間のみならず夜間にも冷房や食品冷却用等に使用できるようにした、氷蓄熱槽内に蓄氷する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
氷蓄熱槽内に蓄氷してこの冷熱を利用することは既に知られている。氷蓄熱槽内に冷熱を蓄えるには、上述のように蓄熱槽に製氷機を接続し、夜間の安価な電力を利用して製氷機を稼動させ、製氷機により冷媒を冷却して氷粒子を生成させ、これを蓄熱槽へ戻し、蓄熱槽内の冷媒中に氷粒子と冷媒が混在するシャーベット状態の塊として蓄えておく方法が用いられている。そして、昼間など冷熱を必要とするとき、蓄熱槽内の冷媒を負荷装置へ送り、負荷装置内で冷媒の冷熱を放出させて、これを冷却用等に使用するのである。すなわち、冷媒が保有している冷熱とくに氷の潜熱を利用して冷却用等に使用するようになされている。
【0003】
冷媒としては、食塩などの無機塩類を溶解した水溶液のほか、エチレングリコールのような有機物を溶解した水溶液も用いられる。そして、このような冷媒の中の水分が、製氷機によって冷却されて氷の粒子となる。冷媒は蓄熱槽から製氷機に入るときは氷の粒子を含んでいないが、製氷機で冷却されることにより約8重量%の氷粒子を含んだ冷たい冷媒となって蓄熱槽へ戻される。また、蓄熱槽内に戻された氷粒子は浮力によって冷媒中を浮上し、蓄熱槽内の冷媒の上層部に氷粒子と冷媒とが混在したシャーベット状態となって滞留する。従って、製氷機の稼動により冷却が進むに従って、蓄熱槽内の冷媒は大量の氷粒子を含むようになり、冷媒が保有する冷熱は次第に大きなものとなる。
【0004】
冷却が進み、蓄熱槽内の氷粒子の量が多くなると、氷粒子の密度が高くなって団塊化の傾向が強くなる。そして、往々にして、シャーベット状の氷粒子の団塊は部分的に異なった厚みを持ったものとなる。また、氷粒子の団塊の比重の方が冷媒の比重よりも小さいので、大きな厚みを持った部分の上端は、冷媒の液面から大きく突出する(図1(a)参照)。こうして、冷媒の液面から突出した部分は、冷媒に浸っていないので、氷粒子のみとなる。すると、冷媒の液面から突出した部分の氷粒子は、互いにくっつきあい、固い氷状となる。また、大きな厚みを持った部分と、小さな厚みを持った部分とは、冷媒の液の中で微妙なバランスを保って存在するので、この厚さの差が大きくなるにつれて、氷粒子の団塊が冷媒中で回転を起こす。この際、大きな厚みを持った部分の上端の固い氷状部が、蓄熱槽の上部空間に配設されている機器を破壊したり、蓄熱槽の天井を突き破ったりする(図1(b)参照)。従って、できるだけ均等の厚みを持ったシャーベット状の塊として、冷媒中に存在させることが必要である。
【0005】
このように蓄熱槽に蓄氷する装置としては、蓄熱槽に循環通路を付設して、この途中に負荷装置を設置し、蓄熱槽内の冷媒が負荷装置内で冷熱を放出したのち、蓄熱槽へ戻るようにするとともに、蓄熱槽に冷却通路を付設して、この途中に製氷機を設置し、蓄熱槽内の冷媒が製氷機により冷却されたのち、蓄熱槽へ戻るようにされたものが用いられている。この場合、蓄熱槽としてはどのような形状であってもよいが、通常は直方体形とされ、その底は平坦とされる。
【0006】
なお、冷却通路の吸込み口と戻し口とは、唯単に側壁あるいは底壁に開口を設けただけでよい、と考えられた。また、冷却通路の戻し口は蓄熱槽の上部から蓄熱槽内に蓄えられた冷媒の液面へ滴下又は流下させるだけで足りる、とも考えられた。さらにまた、冷媒中に蓄えられる氷粒子の分布をできるだけ均一にしようとして、蓄熱槽の底に沿って複数本のパイプを這わせ、このパイプに多数の小孔を設けてこの小孔を冷却通路の吸込み口及び/又は戻し口とし、こうして底近くに多数の吸込み口及び/又は戻し口を均等に分散して設けることが試みられた。
【0007】
しかし、上述のような従来の方法と装置では、蓄氷が不均等であったり、あるいは能率よく行い得ないという欠点があった。例えば図1に示したような装置では、直方体状の氷蓄熱槽Aにおいて、冷却通路Bの吸込み口Cを槽Aの平坦な底に設け、冷却通路Bの戻し口Dを側壁下部に設けて、製氷機で冷却された冷媒を戻し口Dから槽A内に蓄えられた冷媒中に放出するようになされており、また循環通路Eの吸込み口Fを槽Aの側壁下部に設け、循環通路Eの戻し口Gを槽A内の天井壁近傍に複数個設けて、負荷装置によって温められた冷媒を戻し口Gから槽A内に蓄えられたシャーベット状の氷塊の上面に散布するようになされている。この装置では、製氷機で生成された微小な多数の氷粒子が、冷却通路Bの戻し口Dから冷媒中に放出されて吸込み口Cに向かう途中、次々に浮力によって浮上してゆく。この際、戻し口Dの近傍で浮上する氷粒子の方が、戻し口Dから離れたところで浮上する氷粒子よりも多い。そこで、冷却が進むと、槽A内に蓄えられるシャーベット状の氷粒子が斜線で示すように不均一な肉厚の塊となって冷媒中に浮遊する。つまり、シャーベット状の氷粒子の塊は、製氷機で生成された氷粒子が冷媒中に放出される戻し口Dに近い側で肉厚となり、吸込み口Cに近い側で肉薄となる。そして、冷媒の液面から大きく突出した大きな厚みを持つ部分の上端は、冷媒に浸っていないので、氷粒子同士が互いにくっつきあって固い氷状となる。また、氷粒子の不均一な肉厚の塊は冷媒中で回転を起こし易い。この時、大きな肉厚を持った部分の上端の固い氷状部が、槽Aの上部空間に配設されている循環通路を破壊したり、槽Aの天井を突き破ったりするおそれがあった。
【0008】
また、図2の装置において、冷却通路Bの戻し口Dを槽A内に蓄えられた冷媒の液面より上方に位置させると、製氷機によって冷却された氷粒子を含む冷媒が槽A内に蓄えられたシャーベット状の氷粒子の塊の上に落下し、戻し口Dの下方に氷粒子の塊がうずたかく生成する。その結果、氷塊の上端が冷却通路Bの戻し口Dの開口部を塞ぐなどの弊害が生じる。
【0009】
また、特開平7−167464号公報が教えるように、すなわち図3に示すように、氷蓄熱槽Aの底近くに複数本の管Hを均等に分散して設け、各管Hに複数個の吸込み口Cを分散して設け、各管Hを冷却通路に接続し、また、氷蓄熱槽Aの底近くに複数本の管Jを均等に分散して設け、各管Jに複数個の戻し口Dを設けて、各管Jを冷却通路に接続すると、氷粒子が槽A内に均等に放出され、これが集まってできるシャーベット状の氷塊も均等の厚みを持ったものとなる。ところが、製氷機の稼動が継続すると、やがて、槽Aの底近くに配設された管H及び管Jの下方にもシャーベット状の氷塊が存在するようになり、次第にその氷粒子の密度は高くなる。このような状態のとき、負荷装置によって温められた冷媒が槽A内に蓄えられた氷粒子の団塊上に散布されると、氷粒子の団塊の上層部が溶かされる。すると、槽A内の氷粒子の団塊は、全体的に、浮力によって浮上する。この際、氷粒子の団塊の下層部が槽Aの底近くに配設された管Hや管Jを包み込んだまま浮上し、管Hや管Jを破壊する。従って、氷粒子が管Hや管Jの下方にまでも生成されないように注意する必要があり、その分氷粒子の蓄積量が少なくなる。つまり、この氷蓄熱槽Aは容量の割合には冷熱の蓄えが小さいという欠点がある、ということが判った。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、製氷機での冷媒の冷却が進んで氷蓄熱槽内のシャーベット状の氷粒子の量が多くなると、氷粒子の団塊は部分的に異なった厚みを持つようになる。そして、大きな厚みを持った部分の上端は、冷媒の液面から突出して固い氷状となり、ついには、氷蓄熱槽の上部に付設されている機器や天井を破壊するという欠点があった。また、この欠点を改良した氷蓄熱槽では、氷粒子を蓄積できる割合が少ないという欠点があった。そこで、この発明は、このような欠点のない氷蓄熱槽を提供しようとするものである。
【0011】
すなわち、この発明は、氷の粒子を均等に分散して蓄えることができ、従ってシャーベット状の氷粒子の塊をほぼ一様な厚さとして蓄熱槽内に蓄えることができ、しかも、蓄熱槽の容積の割には氷粒子を大量に蓄えることができるような、氷蓄熱槽を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明者は、上述の欠点が蓄熱槽における底の改良と、冷却通路の吸込み口と戻し口との改良によって解消できることを見出した。すなわち、蓄熱槽における底に部分的な窪みを複数個設け、窪みを蓄熱槽の底に実質的に均等に分散させておき、これらの窪み内に冷却通路への冷媒の吸込み口を設け、他方、製氷機で冷却された冷媒を蓄熱槽内に蓄えられた冷媒中に直接流し込むようにすると、蓄熱槽内に粒状の氷が均一に生成されることとなり、また蓄熱槽の底近くまで氷の粒子を蓄えておくことができるようになって、蓄熱量を増大させることができることを見出した。この発明はこのような知見に基づいて完成されたものである。
【0013】
この発明は、一面では氷蓄熱槽内に蓄氷する方法を提供するものであり、他面では氷蓄熱槽内に蓄氷する装置を提供するものである。
【0014】
そのうち、氷蓄熱槽内に蓄氷する方法の発明は、蓄熱槽内の冷媒を負荷装置へ導き、負荷装置内で冷熱を放出させて冷却用に使用する氷蓄熱槽において、蓄熱槽の底に複数個の部分的な窪みを設け、窪みを蓄熱槽の底に分散させ、窪み内の冷媒を吸い込んで製氷機へ導き、製氷機で冷却した冷媒を蓄熱槽に蓄えられた冷媒中に直接流し込むことを特徴とするものである。
【0015】
また、氷蓄熱槽内に蓄氷する装置の発明は、蓄熱槽に循環通路を設けその途中に負荷装置を付設し、蓄熱槽内の冷媒を負荷装置を経て蓄熱槽へ戻し、また蓄熱槽に冷却通路を設けその途中に製氷機を付設し、蓄熱槽内の冷媒を製氷機を経て蓄熱槽へ戻すようにした氷蓄熱槽において、蓄熱槽の底に複数個の部分的な窪みを設け、窪みを蓄熱槽の底に分散させ、冷却通路の吸込み口をこの窪み内に位置させ、冷却通路の戻し口を蓄熱槽内に蓄えられた冷媒中に埋没させることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明は、まず装置の具体例を示して説明すると理解し易いものと考えられるので、まず装置の具体例から説明することとする。
【0017】
添付図面のうち、図4−図7はこの発明に係る装置を示している。そのうち、図4はこの発明に係る装置の縦断面図であり、図5は図4に示した装置のA−A断面図である。図6はこの発明に係る他の装置の縦断面図であり、図7はこの発明に係るさらに別の装置の縦断面図である。
【0018】
図4及び図5に示す蓄熱槽Xは、底に複数個の部分的な窪みPが形成され、窪みPが底に分散して設けられ、この窪みP内に冷却通路の吸込み口Qが設けられていることを大きな特徴としており、また、冷却通路の戻し口Rが、蓄熱槽X内に蓄えられた冷媒中に埋没せしめられていることも、特徴としている。
【0019】
図4及び図5の蓄熱槽Xにおける窪みPは、窪み面を持つ直角四辺形の単位板1を接続して底を組み立てることにより形成されている。その単位板1は、窪み面を持った直角四辺形の基板の四辺に窪み面の突出方向と同一方向へ突出するフランジが設けられ、全体が浅い箱状とされている。そこで、単位板1のフランジを下側に向け、隣接するフランジ同士を接続すると、各単位板1の中央部には角錐台状、円錐台状、角柱状、円柱状等の窪みPが形成されることになる。
【0020】
図4及び図5の蓄熱槽Xの底は、単位板1のみで作られておらず、単位板1と単位板2とを組み合わせて作られている。単位板2は、平板の中央部を突出させないで、平板のままとした構造のものであり、この点で単位板1と異なっている。
【0021】
図4及び図5に示した蓄熱槽Xの底は、横に5個の単位板を並べて1つの列を構成し、このような列を3列並べ、合計15個の単位板を接続して構成されている。そのうち、第1列は、3個の単位板1と2個の単位板2とを交互に配置して構成され、第2列は単位板2を5個配置しただけで構成され、第3列は2個の単位板1と3個の単位板2とを交互に配置して構成されている。このように、単位板1を底に分散して配置することにより、窪みPは底に分散して設けられる。
【0022】
図4及び図5の蓄熱槽Xには冷却通路が付設されている。冷却通路の途中には製氷機が設けられている。冷却通路の吸込み口Qは単位板1の窪みPの底に位置している。すなわち、第1列中の3個の単位板1と第3列中の2個の単位板1の各窪みPの底に、何れも冷却通路の吸込み口Qが開口している。第1列を形成する3個の吸込み口Qは1本の管3に接続され、第3列に設けられた2個の吸込み口Qは別の1本の管4に接続され、管3と管4とが合流して冷却通路を形成している。
【0023】
窪みPは、例えば、1m四方の正方形の単位板1の基板の中央に正四角錐台の形に形成されるとき、上底(底部)が30〜50cmの正方形、下底(上面の開放部)が60〜80cmの正方形、深さが4〜5cmの大きさとされる。
【0024】
図4及び図5に示されている冷却通路の管5は、一端が製氷機に接続され、他端が蓄熱槽Xの蓋の上方に導かれて2本の枝管6、6に分岐されている。各枝管6は蓄熱槽Xの蓋を貫通して垂下し、その先端の戻し口Rは蓄熱槽X内に蓄えられた冷媒中で開口している。戻し口Rの底からの高さは、蓄熱槽の高さの3分の2から3分の1までの範囲内とすることが好ましい。
【0025】
図4及び図5では、蓄熱槽Xに循環通路が付設され、循環通路の途中に負荷装置が設けられている。この循環通路と負荷装置の構造は、従来のものと変わりがない。すなわち、循環通路の一端の吸込み口Sは蓄熱槽Xの側壁下部に設けられ、循環通路の他端は蓄熱槽Xの側壁上部を貫通して蓄熱槽X内に入り、蓄熱槽X内に蓄えられた冷媒の上方で直角四辺形の環状管7に接続され、環状管7に付設された多数の円環状管8を経て、円環状管8に設けられた多数の戻し口9のスプリンクラーに連なっている。従って、負荷装置によって温められた冷媒は、多数の戻し口9から蓄熱槽X内に蓄えられたシャーベット状の氷粒子の塊の表面上に散布され、蓄熱槽X内に蓄えられた氷粒子および冷媒によって均等に冷却される。また一方、負荷装置によって温められた冷媒によってシャーベット状の氷粒子の団塊の表面層が溶かされるので、その分、氷粒子の団塊全体は浮力によって冷媒中を浮上する。なお、冷却通路の管5の枝管6が蓄熱槽Xの上部から蓄熱槽Xの底に向かってシャーベット状の氷粒子の団塊の中を垂下しており、垂下した枝管6の最下端に戻し口Rが開口しているので、氷粒子の団塊全体が浮力によって浮上する際の妨げにならない。従って、氷粒子の団塊全体が浮力によって浮上する際に、枝管6が破壊されることもない。
【0026】
図4及び図5では、蓄熱槽Xが設置される所に複数列のコンクリート基礎を設け、このコンクリート基礎上に井桁状に形成された形鋼(もしくは複数列の形鋼)を水平に置き、その上に蓄熱槽Xを設置している。この例の場合、蓄熱槽Xの側壁は、底の一部を構成している単位板1が採用されている。もっとも、側壁が単位板1で作られることは必ずしも必要でない。蓋は、単位板1と僅かに異なり、平板の突出方向がフランジの向きと逆方向になっている。そして、このような多数の単位板の隣接するフランジ同士が、ボルトによって締結されている。すなわち、蓄熱槽Xは多数の単位板の組み合わせによって構成されている。
【0027】
図4及び図5に示された蓄熱槽Xでは、蓄熱槽Xの底に複数個の部分的な窪みPが分散して設けられ、この窪みP内に冷却通路の吸込み口Qが設けられているので、蓄熱槽X内の冷媒は一様に冷却通路に吸い込まれることになる。こうして吸い込まれた冷媒は、製氷機で冷却されたのち、冷却通路の管5及び枝管6を通って約8重量%の氷粒子を含んだ冷媒として蓄熱槽Xへ戻される。この際、戻し口Rが冷媒中に埋没しているので、戻された冷媒は直ちに蓄熱槽X内に蓄えられた冷媒中に流し込まれて分散する。従って戻された冷媒中の氷の粒子は、シャーベット状の氷粒子の団塊の上に堆積することがない。なお、蓄熱槽X内のシャーベット状の氷粒子の団塊は、戻し口Rの近傍で厚く、遠く隔たるほど薄くなる傾向があるので、戻し口Rをできるだけ多数設けて均一な厚さとして蓄えるようにすることが好ましい。
【0028】
また、図4及び図5に示された蓄熱槽Xでは、シャーベット状の氷粒子の団塊の表面層が負荷装置によって温められた冷媒により溶かされ、氷粒子の団塊全体が浮力によって浮上する際に壊されるような配管等が底付近に全く配設されていないので、底近くにまでもシャーベット状の氷粒子の団塊を安全に蓄えることができる。しかも、冷却通路の吸込み口Qは窪みPの中に位置し、周りの部分より低いところにあるので、シャーベット状の氷粒子の団塊が底近傍に達したとしても、その下方の窪みの中の冷媒までも吸い込んで冷却することができる。このため、蓄熱槽Xは容量の割には氷粒子を大量に蓄えることができ、冷却能力の大きなものとなる。
【0029】
図6に示した蓄熱槽Yは、図4及び図5に示した蓄熱槽とほぼ同じである。異なっているのは、循環通路の吸込み口Sが底に設けられ、しかも底の窪んだ部分に設けられている点と、蓄熱槽Yの側壁が単位板2で構成されている点とである。また、冷却通路の吸込み口Qの先端を窪みPの底から僅か上方に位置させ、蓄熱槽Yの窪みP内に溜まったゴミを吸い込まないようにしている点でも異なっている。なお、図6は、窪みPの底に、ゴミを排出するためのドレン口を設けてもよいことを示している。
【0030】
図7に示した蓄熱槽Zは図6に示した蓄熱槽Yと主要点では同じである。ただ蓄熱槽Zは、単位板の接続によらないで初めから一体に構成されている点、及び冷却通路の戻し口Rが底近くまで延ばされている点で、図6に示したものと異なっている。冷却通路の戻し口Rが底近くまで延びているので、戻し口Rから戻される冷媒が短絡して吸込み口Qに吸い込まれるのを防ぐために、戻し口Rには流れ方向規制板Tが付設され、戻された冷媒が上方へ流れるようになされている。なお、ここに示されている流れ方向規制板Tは椀状をしており、椀状物の開口部が上向き、底部が下向きとされている。従って、負荷装置によって温められた冷媒によりシャーベット状の氷粒子の団塊の表面層が溶かされ、氷粒子の団塊全体が浮力によって浮上する際に椀状の流れ方向規制板Tが壊されることはない。また、循環通路の吸込み口Sには、微細な氷の粒子を吸い込まないようにするためのストレーナーが付設されている。
【0031】
図8は、冷却通路の戻し口Rとして採ることができる色々な態様を示している。戻し口Rは、それが蓄熱槽の底にある冷媒の吸込み口Qから遠く隔たっているときは、図8の(a)に示すように管を切断したままでもよい。しかし、戻し口Rが冷媒の吸込み口Qに近いときは、(b)に示すように、先端を塞いで管の側面に孔をあけたものとするか、又は(c)及び(d)に示すように、管の先端の離れたところに流れ方向規制板Tを設け、管の先端と流れ方向規制板Tとの間から冷媒を流出させるようにして、戻し口Rから蓄熱槽内の冷媒中に放出された氷粒子が直ちに吸込み口Qへと吸い込まれないようにすることが好ましい。
【0032】
【発明の効果】
この発明方法によれば、蓄熱槽内の冷媒を負荷装置へ導き、負荷装置内で冷熱を放出させて冷却用に使用する氷蓄熱槽において、蓄熱槽の底に複数個の部分的な窪みを設け、窪みを蓄熱槽の底に分散させ、窪み内の冷媒を吸い込んで製氷機へ導き、製氷機で冷却した冷媒を蓄熱槽に蓄えられた冷媒中に直接流し込むようにしたので、底全面に分散して配設された窪みから蓄熱槽内の冷媒をほぼ均等に吸い込んで製氷機へ導くことができ、蓄熱槽内の冷媒の温度を均質に保つことができる。また、負荷装置によって温められた冷媒により蓄熱槽内に蓄えられたシャーベット状の氷粒子の団塊の表面層が溶かされ、氷粒子の団塊全体が浮力によって浮上する際に壊されるような配管等が蓄熱槽内の底近傍に全く配設されていないので、安心して、底近くにまでもシャーベット状の氷粒子の塊を蓄えることができる。しかも、吸込み口は窪みの中に位置し、周りの部分より低いところにあるので、シャーベット状の氷粒子の団塊が底に達するまで蓄えられたとしても、その下方の窪みの中の冷媒までも吸い込んで冷却することができる。このため、蓄熱槽の容積の割には氷粒子を大量に蓄えることができ、冷却能力の大きいものとなる。また、製氷機で冷却されて生成された氷粒子を含む冷媒が蓄熱槽内に蓄えられた冷媒中に直接流し込まれ、蓄熱槽内に蓄えられた冷媒が底全面に分散して配設された窪みからほぼ均等に吸い込まれるので、冷媒中に直接放出された氷粒子は底全面に分散して配設された窪みの各方向に向かって均等に広がりながら、次第に浮力によって浮上する。従って、シャーベット状の氷団塊の一方が厚く、他方が薄くなるといったことがなく、氷粒子の不均一な団塊が冷媒中で回転を起こして蓄熱槽の上部空間に配設されている機器を破壊したり、蓄熱槽の天井を突き破ったりすることがない。また、製氷機で冷却された氷粒子を含む冷媒が蓄熱槽内に蓄えられた冷媒中に直接流し込まれるので、氷粒子が蓄熱槽内に蓄えられたシャーベット状の氷粒子の団塊の表面上に堆積することもない。
【0033】
とくに、製氷機で冷却した冷媒を、蓄熱槽の上部から蓄熱槽の底へ向かって垂下する管により、蓄熱槽に蓄えられた冷媒中に流し込むようにすると、負荷装置によって温められた冷媒によりシャーベット状の氷粒子の団塊の表面層が溶かされ、その分、氷粒子の団塊全体が浮力によって浮上する際の妨げにならない。従って、シャーベット状の氷粒子の団塊の浮上によって、蓄熱槽の上部から蓄熱槽の底へ向かって垂下する冷却通路の管が破損するのを防ぐことができる。
【0034】
また、この発明の装置によれば、蓄熱槽に循環通路を設けその途中に負荷装置を付設し、蓄熱槽内の冷媒を負荷装置を経て蓄熱槽へ戻し、また蓄熱槽に冷却通路を設けその途中に製氷機を付設し、蓄熱槽内の冷媒を製氷機を経て蓄熱槽へ戻すようにした氷蓄熱槽において、蓄熱槽の底に複数個の部分的な窪みを設け、窪みを蓄熱槽の底に分散させ、冷却通路の吸込み口をこの窪み内に位置させ、冷却通路の戻し口を蓄熱槽内に蓄えられた冷媒中に埋没させるようにしたので、上述の発明方法を容易に実施できる。従って、上述の発明方法による効果を容易にもたらすことができる。
【0035】
さらに、冷却通路末端の戻し口近傍を蓄熱槽の上部から蓄熱槽の底へ向かって垂下する管とすれば、負荷装置によって温められた冷媒によりシャーベット状の氷粒子の団塊の表面層が溶かされ、その分、氷粒子の団塊全体が浮力によって浮上する際の妨げにならない。従って、上述の発明方法による効果を一層容易にもたらすことができる。この発明は、このような利益を与えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の氷蓄熱装置によって、夜間に製氷機を稼動させている状態を示す模型的な縦断面図である。
【図2】従来の氷蓄熱装置によって、夜間に製氷機を稼動させている状態を示す模型的な縦断面図である。
【図3】従来の他の氷蓄熱装置の模型的な縦断面図である。
【図4】この発明に係る氷蓄熱装置の縦断面図である。
【図5】図4に示した氷蓄熱装置におけるA−A断面図である。
【図6】この発明に係る他の氷蓄熱装置の縦断面図である。
【図7】この発明に係るさらに別の氷蓄熱装置の縦断面図である。
【図8】この発明で使用できる冷却通路の戻し口の一部切欠縦断面図である。
【符号の説明】
X、Y、Z 何れもこの発明における氷蓄熱槽(蓄熱槽)
P 窪み
Q 冷却通路の吸込み口
R 冷却通路の戻し口
S 循環通路の吸込み口
T 流れ方向規制板
1、2 単位板
3、4、5、6 冷却通路を構成する管
7、8 循環通路を構成する管
9 循環通路の戻し口
Claims (4)
- 蓄熱槽内の冷媒を負荷装置へ導き、負荷装置内で冷熱を放出させて冷却用に使用する氷蓄熱槽において、冷媒として水溶液のみを用い、蓄熱槽の底に複数個の部分的な窪みを設け、窪みを蓄熱槽の底に分散させ、窪み内の水溶液からなる冷媒を吸い込んで製氷機へ導き、製氷機で冷却した水溶液からなる冷媒を蓄熱槽に蓄えられた水溶液からなる冷媒中に直接流し込むことを特徴とする、氷蓄熱槽内に蓄氷する方法。
- 製氷機で冷却した水溶液からなる冷媒を、蓄熱槽の上部から蓄熱槽の底へ向かって垂下する管により、蓄熱槽に蓄えられた水溶液からなる冷媒中に直接流し込むことを特徴とする、請求項1に記載の氷蓄熱槽内に蓄氷する方法。
- 蓄熱槽に循環通路を設けその途中に負荷装置を付設し、蓄熱槽内の冷媒を負荷装置を経て蓄熱槽へ戻し、また蓄熱槽に冷却通路を設けその途中に製氷機を付設し、蓄熱槽内の冷媒を製氷機を経て蓄熱槽へ戻すようにした氷蓄熱槽において、蓄熱槽内には冷媒として水溶液のみを入れて、冷却通路に水溶液を流し、蓄熱槽の底に複数個の部分的な窪みを設け、窪みを蓄熱槽の底に分散させ、窪み内に冷却通路の水溶液吸込み口を設け、冷却通路の水溶液戻し口を蓄熱槽内に蓄えられた水溶液中に埋没させることを特徴とする、氷蓄熱槽内に蓄氷する装置。
- 冷却通路末端の戻し口を蓄熱槽の上部から蓄熱槽の底へ向かって垂下する管としたことを特徴とする、請求項3に記載の氷蓄熱槽内に蓄氷する装置。
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