JP3862857B2 - 保温機能付給湯器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、止水状態でバーナの燃焼を行い、器具内の水温を所定温度に維持する保温制御が可能な保温機能付給湯器に関する。
【0002】
【従来の技術】
給湯器は、器具内を通過する水を熱交換器においてバーナで加熱することで湯とするもので、給湯器を使わない止水状態では、水道管と同様に器具内の水管には水が貯留している。よって、給湯器の使用開始時には、この貯留していた水がまず送出されるため、加熱された湯が出るまでに時間がかかり、使い勝手が良くない。
そこで、給湯器を使わない止水状態でバーナを所定の加熱量で燃焼させて水温を所定温度に維持する保温制御を行い、給湯器を使用する際には迅速な立上りで設定温度の出湯が得られるようにした保温機能付給湯器が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記保温制御は、例えば凍結防止の水抜き等によって器具の内部に水がない場合でも働くため、この状態で加熱されると空焚きによって器具の内部が異常高温となり、内胴劣化等の器具の損傷を招く虞れがある。一方、給湯器には、出湯温制御のためにサーミスタ等の温度検出手段が備えられており、これにより異常高温を検知して燃焼停止等の対応は可能となっているが、この場合はサーミスタが検知するまでの間は水なし状態で加熱されるため、結局器具の損傷や耐久性の低下は回避できない。
【0004】
そこで、請求項1に記載の発明は、このような水なし状態での保温制御の実行による器具の損傷や耐久性の低下等を効果的に防止可能とした保温機能付給湯器を提供することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、器具内の水管に、熱源と、その近傍で前記水管の温度を検知する温度検出手段とを備える一方、前記水管に水がある場合における前記熱源の所定の加熱量による温度上昇勾配の閾値を予め記憶し、前記保温制御における前記バーナの燃焼前に、前記熱源によって前記所定の加熱量で前記水管を加熱させ、前記温度検出手段で検知される前記水管の温度上昇勾配を前記閾値と比較して、前記バーナを燃焼させることなく前記器具内の水の有無を判断することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、水なし状態での保温制御を確実に防止するために、器具内に水なしと判断した場合はバーナの燃焼を禁止する構成としたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の目的に加えて、保温制御やバーナの燃焼禁止の解除を使い勝手良く行うために、器具内に通水された場合は保温制御又はバーナの燃焼禁止を解除する構成としたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの目的に加えて、季節によって変動する初期水温に合わせて水の有無判断を適正に行うために、閾値を水管の初期水温に合わせて変更可能としたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、保温機能付給湯器(以下「給湯器」という)の概略図で、給湯器1は、燃焼室2内に、接続された給水管3からの水をバーナ4の燃焼熱で加熱する熱交換器5を備え、熱交換器5には加熱された湯を送り出す出湯管6が接続される。給水管3には、給水管3を通る水の温度を検出する入水温センサ7、水の流量を検出する水量センサ8とが設けられる一方、出湯管6には、出湯管6を通る湯の温度を検出する温度検出手段としての出湯温センサ9が設けられ、各センサの検出信号はコントローラ10に入力される。又、バーナ4へのガス流路には、上流側から、元電磁弁11、比例制御弁12、メイン電磁弁13が夫々設けられ、これらの弁もコントローラ10によって開閉制御される。更に、コントローラ10には、運転スイッチや設定温度の調整ボタン、後述する保温スイッチ15等を備えたリモコン14の他、バーナ4点火用の点火電極16、炎検知用のフレームロッド17が夫々接続されている。
よって、この給湯器1においては、出湯管6に接続された図示しない蛇口を開栓し、器具内を通水して水量センサ8がこれを検知すると、コントローラ10は、元電磁弁11とメイン電磁弁13とを夫々開弁させると共に、比例制御弁12を所定の開度で開弁させて点火電極16を連続スパークさせ、バーナ4へ点火する。その後、コントローラ10は、リモコン14の調整ボタンで設定された設定温度で出湯されるように、比例制御弁12の開度を調整すると共に、出湯温センサ9から得られる検出温度を基に、出湯温度が設定温度と一致するように比例制御弁12の開度を補正制御する。
【0007】
又、給水管3において、入水温センサ7の上流側近傍には、ヒータ18が配置され、コントローラ10の制御によって給水管3の加熱を可能としている。
そして、コントローラ10には、周知のCPU、記憶回路、タイマー回路等により、リモコン14に設けた保温スイッチ15をONすると、止水状態でバーナ4を点火させ、器具内に水を貯留させたまま加熱を行い、出湯温センサ9から得られる検出温度を監視して、器具内の水を一定の温度に保持させる保温制御が可能となっているが、併せて、保温制御を行う前に器具内の水の有無を検知して、器具内に水がない場合は保温制御を行わせない水の有無検知制御を実行している。以下、これらの制御を図2のフローチャートに従って説明する。
まず、S1で保温スイッチ15がONされると、S2で保温タイマ(ここでは1時間)がスタートし、続くS3でヒータ18がONされて、所定時間(例えば7秒間)給水管3が加熱される(以下この最初にヒータ18による所定時間の加熱制御を「テスト加熱」という)。次に、S4では、このテスト加熱によって検出温度が所定温度幅(例えば10℃)上昇するまでの所要時間tが、予め記憶されていた基準時間tO より長いか否かを判別する。基準時間tO 以下であれば、器具内に水なしとして、S5でバーナ4の燃焼は禁止されて保温制御は行われず、S6で発信音やランプ等による報知を行う。即ち、図3に示すように、水ありの場合aと水なしの場合bとでは上昇勾配が異なり、検出温度x1 がx2 まで上昇するのに、所要時間t1 ,t2 の相違として現われる(水なしの場合bが短時間で上昇する)ことから、この所要時間の相違を、水ありの場合の閾値となる基準勾配cによる基準時間tO と比較することで、水の有無を検知可能としたのである。
【0008】
一方、S4の判別でNO、即ち所要時間tが基準時間tO より長ければ、器具内に水ありとして、続けてS7以下の保温制御を行う。S7では、比例制御弁12の最小インプットによるバーナ4の7秒間の燃焼を10分間隔で行う断続燃焼が実行されるが、この断続燃焼の間も水抜きされる虞れがあるため、S8では、S4と同様に、断続燃焼時の検出温度が所定温度幅上昇する所要時間tを基準時間tO と比較する水の有無検知を行い、ここの判別で水なしと検知されれば、S5で燃焼を禁止するものとしている。一方、水ありの場合は、S9において、この保温制御により上昇した検出温度Xが所定の保温温度XO に達したか否かを判別し、保温温度XO への到達を確認すれば、S10で断続燃焼を停止する。
そして、S11で保温タイマがタイムアップすれば、S1へ戻って保温スイッチ15がONされるまでこれらの制御は行われないが、タイムアップ前に、S12において出湯管6の蛇口が開栓されて水量センサ8により通水が確認されると、これらの制御(S5での燃焼禁止も含む)は解除されて通常の出湯制御が行われる。このように通水確認即ち給湯器1の使用によって自動的に燃焼禁止や保温制御を解除させることで、解除操作を不要として使い勝手を良くしたのである。尚、出湯制御が終了すると、S13で保温タイマはリスタートされ、保温制御時間が延長される格好となる。
その後、S10での燃焼停止等により、保温タイマのカウント中(出湯制御後のリスタートによるカウント中も含む)に、S14の判別で検出温度Xが保温温度XO を下回れば(例えば−3℃)、再びS7から断続燃焼が実行される。
【0009】
尚、S7以下の保温制御はこの形態に限定するものでなく、断続燃焼の時間とその間隔等は適宜変更できる。又、S9における検出温度Xの監視は、出湯温センサ9による応答の遅れがあるため、ここで温度上昇を確認してから燃焼を停止すると、内胴温度が上昇し過ぎる虞れがあるため、実際には保温温度XO より低めの温度到達を確認するのが望ましい。但し本形態では、最小インプットにより一定の加熱量で保温加熱しているため、ここでの監視はなくても良い。
更に、S7からの保温制御自体を所定のインターバルをおいて断続的に実行しても良く、この場合、給湯器不使用の時間経過に従って間隔を段階的に長くなるようにすれば、夜間等給湯器の使用頻度が低い場合に無駄の少ない保温制御が行える。
【0010】
このように上記形態によれば、保温制御を行う前に、ヒータ18によるテスト加熱によって器具内の水の有無を確認し、水なしを検知できる。よって、保温制御を行わない等の事前の対処が可能となり、水なし状態で加熱されることによる内胴劣化等の損傷の発生や耐久性の低下等を効果的に防止することができる。
特にここでは、バーナ4を用いず熱交換器5から離れた給水管3をヒータ18で加熱させて水の有無検知を行う構成であるから、水がない場合にヒータ18がONしても、熱交換器5には何等影響を与えず、バーナ4を用いた場合の空焚きによる内胴劣化等の影響は生じないため、安心して使用できる。又、保温制御の実行によって水管の凍結防止にもなる。
尚、テスト加熱の判定に使用する閾値(図3の基準勾配c)は、例えば、冬場では初期水温5℃として15℃まででの上昇勾配を採用し、夏場では初期水温25℃として35℃まででの上昇勾配を採用し、そこから夫々基準時間tO を得るというように、初期水温によって変更すれば、季節によって変動する初期水温に合わせてテスト加熱の判定が適正に行え、好ましい形態となる。勿論テスト加熱の時間等も適宜増減可能で、ここでは器具への影響がないことから複数回実行することもできる。
又、上記形態では、上昇温度勾配の比較を、検出温度が所定温度上昇する所要時間を比較することで行っているが、逆に一定の時間内での検出温度の上昇の相違を比較することで実現しても良い。
【0011】
尚、上記形態では、給水管3における入水温センサ7の近傍にヒータ18を配置したが、出湯管6における出湯温センサ9の近傍にヒータ18を配置しても良いし、両者に配置することもできる。又、ここでは、給湯器1の出湯制御に用いられる温度センサ7,9を利用して構成の合理化を図っているが、別の温度センサをヒータと組み合わせてユニット化し、任意の水管位置に着脱可能に設ける等の設計変更も可能である。
更に、熱源としては、上記ヒータ18に限らず、例えば温度センサとして用いられるサーミスタに、水の有無検知の際に一定電圧を印加して発熱させ、サーミスタ自体を定温発熱体として水管の加熱を行うようにすれば、サーミスタを熱源と温度検出手段とに兼用でき、部品点数が省略される合理的な構成となり、コスト面で有利となる。
【0012】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、保温制御の開始時に器具内の水の有無を判断することができるため、報知や保温制御を行わない等の事前の対処が可能となり、水なし状態で加熱されることによる内胴劣化等の損傷の発生や耐久性の低下等を効果的に防止することができる。特にここでは、熱交換器から離れた水管を加熱する熱源によって水の有無判断を行う構成であるから、水がない場合に熱源で加熱しても熱交換器には何等影響を生じさせず、安心して使用できる
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、器具内に水なしと判断した場合はバーナの燃焼を禁止することで、水なし状態での保温制御を確実に防止することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、器具内に通水された場合は保温制御又はバーナの燃焼禁止を解除することで、給湯器を使用すればこれらの解除操作が不要となり、使い勝手が良くなる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかの目的に加えて、閾値を水管の初期水温に合わせて変更可能としたことで、季節によって変動する初期水温に合わせて水の有無判断を適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】給湯器の概略図である。
【図2】水の有無検知を含む保温制御のフローチャートである。
【図3】水の有無による温度上昇勾配の相違を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・保温機能付給湯器、2・・燃焼室、3・・給水管、4・・バーナ、5・・熱交換器、6・・出湯管、8・・水量センサ、9・・出湯温センサ、10・・コントローラ、14・・リモコン、15・・保温スイッチ、18・・ヒータ。
Claims (4)
- 止水状態でバーナの燃焼を行い、前記器具内の水温を所定温度に維持する保温制御が可能な保温機能付給湯器であって、
前記器具内の水管に、熱源と、その近傍で前記水管の温度を検知する温度検出手段とを備える一方、前記水管に水がある場合における前記熱源の所定の加熱量による温度上昇勾配の閾値を予め記憶し、前記保温制御における前記バーナの燃焼前に、前記熱源によって前記所定の加熱量で前記水管を加熱させ、前記温度検出手段で検知される前記水管の温度上昇勾配を前記閾値と比較して、前記バーナを燃焼させることなく前記器具内の水の有無を判断することを特徴とする保温機能付給湯器。 - 器具内に水なしと判断した場合はバーナの燃焼を禁止する請求項1に記載の保温機能付給湯器。
- 器具内に通水された場合は保温制御又はバーナの燃焼禁止を解除する請求項1又は2に記載の保温機能付給湯器。
- 閾値を水管の初期水温に合わせて変更可能とした請求項1乃至3の何れかに記載の保温機能付給湯器。
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