JP3862799B2 - 複合部材の製造方法及び複合部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2以上の部材を一体化して複合部材を製造する方法及びこの方法によって製造された複合部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
2以上の部材を一体化して複合部材とする方法については、従来より数多く開発されている。その一つとして、切削、鍛造、鋳造などの加工によって個々の部材を作製し、これらを溶接、接着、ロー付け等によって接合して一体化する方法がある。
【0003】
又、特公平6−47198号公報には、金属粉、セラミック粉と、樹脂粉末との混合粉末によって一体化される部材の材料とし、この材料によって一つの部材を予め成形し、この成形された部材と、他の部材を成形するための混合粉末とを成形型内で組み合わせて成形して、2部材を一体化する方法が記載されている。
【0004】
さらに、特開平8−294868号公報には、研削、研磨用工具の製造方法として、研削、研磨層となる研磨粉体を金型内に設置した状態で、アルミニウム合金の溶湯を金型内に流し込み、高圧下で鋳造し、凝固させることが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
個々の部材を別個に作製した後、組み付けて一体化する方法においては、溶接、接着、ロー付けによって部材の接合が行われる。しかしながら、溶接は部材の融点以上に加熱して接合するものであり、加熱によって母材が劣化するため、接合部の強度が低下すると共に、冷却の際の凝固収縮によって歪みが発生するため、寸法精度が低下する問題がある。ロー付けも同様であり、加熱による母材の劣化と、接合部の強度が低下する問題を有している。接着は他の接合方法に比べて接合強度が小さく、しかも接着剤の軟化点が低いため、高温環境では使用することができない。
【0006】
これに対し、軽合金ダイカストにおいては、型内に組み立てる部材を設置し、鋳造と同時に鋳ぐるむことがなされているが、この鋳ぐるみ法は軽合金材料に限定されるため、高強度を必要とする部材に適用することができないと共に、軽合金の融点以上に加熱する必要があり、高温で成形する必要がある。
【0007】
特公平6−47198号公報の方法は、部材の一体化が樹脂の加熱溶融によって行われるため、接合強度が小さく、高強度を必要とする部材には適用することができない。又、成形型からの転写精度がサブミクロン程度のオーダであり、転写精度が要求される微細形状の部材には適用することができない。
【0008】
特開平8−294868号公報の方法は、組み立てられる部材が成形材料の融点以上に曝されるため、部材への熱ダメージがあり、部材の強度が低下するばかりでなく、成形される部材が凝固する際に、収縮変形するため、精密な形状精度が要求される部材に適用することができない問題を有している。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、結晶を含まないアモルファス合金の特性を利用することによって、強度が大きく、接合時の寸法変形が少ない複合部材の製造方法及び複合部材を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の複合部材の製造方法は、2以上の部材を成形により一体化する方法であって、他の部材と一体化される少なくとも一の部材又は2以上の他の部材を一体化させる少なくとも一の部材が過冷却液体域を有するアモルファス合金からなり、この一の部材と他の部材とを前記過冷却液体域の温度まで加熱し、前記アモルファス合金との接触面の表面粗さRmaxが1.2μm以下である成形型によって押圧成形して一の部材と他の部材とを一体化し、その後、冷却することを特徴とする。
【0011】
本発明に用いる過冷却液体域を有するアモルファス合金を、その過冷却液体域のガラス遷移温度(Tg)まで加熱すると、粘性流体となり、通常10MPa以下の低い圧力で所望の成形が可能となる。又、この過冷却液体域を有するアモルファス合金は、数十nmオーダの転写精度を有しており、アモルファス合金の成形を行う成形型を高精度に製造することにより、サブミクロンオーダより高い極めて高い形状精度で成形されて、他の部材と一体化される。
【0012】
アモルファス合金は高精度の転写特性を有しており、加熱され、他の部材と押圧成形されるときに、他の部材の表面のミクロな凹凸を充填しながら成形され、その後に、冷却固化したとき、他の部材の表面とミクロな無数の噛み合い状態となる。これにより、他の部材と強固に接合されて一体化する。このことは2以上の部材をアモルファス合金によって一体化する場合にも同様に作用し、2以上の部材を強固に一体化することができる。
【0013】
さらに、アモルファス合金は固化したとき、300〜500Hvの高い硬度を有しているため、高い接合強度、高い硬度が必要な用途の部材にも適用することができる。
【0014】
アモルファス合金のガラス遷移温度Tgは、その組成によって異なっているが、低温のものは約200℃であり、高温のものでも約650℃程度である。これの温度は、一般的な銀ロー付けのロー付け温度に比べて200〜700℃程度低い温度である。又、ダイカストに用いられるアルミニウム合金の融点と比較しても十分に低い温度である。さらには、部材の融点以上の加熱をする必要のある溶接の温度と比較しても、比較にならないような低い温度である。このように成形温度が低いところから、アモルファス合金を使用した一体化では、溶接やロー付けで発生する母材の熱劣化がなく、熱劣化に起因した接合部の強度低下を生じることがない。
【0015】
又、アモルファス合金は溶接等で発生する凝固収縮による変形がなく、このため高精度の寸法精度の複合部材とすることができる。さらに、アモルファス合金のガラス遷移温度Tgは接着剤の耐熱温度に比べて、十分に高いため、高温環境で使用される部材に適用することができる。
【0016】
本発明では、以上の加熱、押圧成形の後、冷却を行う。部材の一体化後も高温状態のままでは、アモルファス合金が結晶化して脆弱化するため、強度が低下する。このため冷却を行うものであり、結晶化を防止する冷却速度で、且つ、結晶化を防止する温度域となるように冷却がなされる。
【0017】
本発明においては、一体化される2以上の部材の内、少なくとも一の部材がアモルファス合金からなり、一回の成形で複合部材を製造できるため、個々の部材を製造し、その後に接合して一体化する必要がなく、製造工程を大幅に短縮することができ、迅速な製造が可能となる。
【0018】
以上の製造方法を前提とすることにより、本発明は下記の具体的な製造手段を適宜、採用することができる。
【0019】
(a) 2以上の部材を成形によって一体化する方法であって、他の部材と一体化される少なくとも一の部材又は2以上の他の部材を一体化させる少なくとも一の部材が過冷却液体域を有するアモルファス合金からなり、前記他の部材がワイヤー状部材からなり、一の部材と他の部材とを前記過冷却液体域の温度まで加熱し、成形型によって押圧成形して一の部材と他の部材とを一体化し、その後、冷却する。
【0020】
この手段では、上述した方法によって基本的になされるが、過冷却液体域を有するアモルファス合金によって一体化される他の部材が、ワイヤー状部材となっている。このワイヤー状部材は長尺であり、その位置決めが難しいが、手段(a)では、成形型を使用し、この成形型によって押圧しながら成形し、一体化する。このため長尺なワイヤー部材の位置決めを簡単に、且つ、確実に行うことができ、高精度で一体化することができる。
【0021】
(b) 作業部材と、この作業部材を保持する保持部材とからなる2以上の部材とを成形によって一体化する方法であって、前記作業部材又は保持部材のいずれか一方又は双方の部材が過冷却液体域を有するアモルファス合金からなり、作業部材及び保持部材を前記過冷却液体域の温度まで加熱し、成形型によって押圧成形して一体化し、その後、冷却する。
【0022】
この手段(b)において、作業部材及び保持部材のいずれか一方又は双方の部材がアモルファス合金からなり、このアモルファス合金が上述と同様な作用によって他方の部材と一体化する。このため、作業部材及び保持部材が強固に一体化される。又、作業部材が複雑な外形であっても、アモルファス合金の高い転写特性によって、良好な形状を成形でき、且つ、一回の成形で終了する。
【0023】
(c) 一のリング状部材と、この一のリング状部材の内周又は外周に接合される他のリング状部材とからなる2以上の部材を成形によって一体化する方法であって、一のリング状部材及び他のリング状部材のいずれか一方又は双方の部材が過冷却液体域を有するアモルファス合金からなり、これらのリング状部材を前記過冷却液体域の温度まで加熱し、成形型によって押圧成形して一体化し、その後、冷却する。
【0024】
この手段(c)により、アモルファス合金の特性を利用して、2以上のリング状部材が一体化した複合部材を作製できる。この複合部材はアモルファス合金の耐薬品性を有し、耐薬品性を有した部材となる。
【0025】
(d) 上記手段(a)〜(c)のいずれかにおいて、前記成形型における前記アモルファス合金との接触面の表面粗さを、Rmax=1.2μm以下とする。
【0026】
アモルファス合金は優れた転写性を有しているため、成形後に、成形型に強固に接合して成形型からの離型が困難となることがある。この手段(d)は、成形型の面粗度を上記のように高精度とすることで、アモルファス合金の成形型への接合度を小さくし、成形型からの離型を容易とするものである。
【0027】
(e) 上記手段(a)〜(c)のいずれかにおいて、前記アモルファス合金と接触する面の粗さが、Rmax=10μm以上となっている部材を、アモルファス合金からなる部材と一体化する。
【0028】
アモルファス合金は、ガラス遷移温度まで加熱されることにより、他の部材のミクロな凹凸内に充填され、この充填状態で固化することにより、他の部材と強固に接合する。このアモルファス合金の充填を充分に行うため、他の部材の面粗度を上記の範囲とするものである。これにより、強固に一体化した複合部材を作製できる。
【0029】
本発明の複合部材は、他の部材と一体化される少なくとも一の部材又は2以上の他の部材を一体化させる少なくとも一の部材が過冷却液体域を有するアモルファス合金からなり、一の部材と他の部材とが前記過冷却液体域の温度に加熱され、前記アモルファス合金との接触面の表面粗さRmaxが1.2μm以下である成形型で押圧成形されて一体化され、その後、冷却されることによって成形されていることを特徴とする。
【0030】
より具体的には、複合部材は上記(a)〜(e)の手段によって製造されるものである。この複合部材は、少なくとも一の部材がアモルファス合金からなり、アモルファス合金の高い強度、硬度による耐久性を備えると共に、高度な形状精度となっている。
【0031】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の複合部材であり、ワイヤー状部材1a, 1bが連結部材2によって連結されることにより、一体化している。図2はこの複合部材を製造する装置を示す。
【0032】
可動型5及び固定型6によって成形型3が形成され、可動型5を固定型6に密着させて型締めすることにより、これらの間にキャビティ4が形成される。
この場合、連結部材2としては、後述するように、酸化され易いZr系のアモルファス合金が使用されるため、その酸化を防止するため成形型3の全体が真空チャンバー(図示省略)内に配置されるものである。
【0033】
キャビティ4は図1に示す連結部材2の外形と略同一の形状となっている。このキャビティ4には、ワイヤー状部材1a,1bの端部が挿入されることにより、これらの端部を覆っている。又、ワイヤー状部材1a,1bを同軸上に対向して固定するため、キャビティ4にはワイヤー案内溝4a,4bが連通している。
【0034】
可動型5は、可動型5を取り付けた型板5aを介して移動機構(図示省略)に連結されており、型板6aに取り付けた固定型6方向に往復移動し、固定型6に密着することにより、型締めを行う。この可動型5にはシリンダ7が前後方向に貫通し、その貫通端がキャビティ4に開口している。シリンダ7内には加圧プランジャ8が往復動可能に挿入されている。加圧プランジャ8は加圧手段8bのロッドに連結して往復動する。この加圧プランジャ8よりも固定型4側のシリンダ7内には、連結部材2の構成材料である過冷却液体域を有するアモルファス合金材料9がセットされる。
【0035】
成形型3にはヒーター10及び温度検出器(図示省略)が設けられる。ヒーター10は可動型5におけるシリンダ7の周囲及び固定型6におけるキャビティ4近辺に配置されており、シリンダ7,加圧プランジャ8及びキャビティ4表面近傍を加熱する。このヒーター10は、温度検出器からの検出温度が入力される温度制御器(図示省略)により、印加電圧が制御されており、上述した部位の温度を正確に制御することができる。さらに成形型3の内部には、冷却管路(図示省略)が配置されて、成形型3全体の冷却が行われるようになっている。なお、キャビティ4の表面及び加圧プランジャ8の押圧部8aは面粗さRmaxが0.8μmとなるように鏡面仕上げされている。
【0036】
ワイヤー状部材1a,1bは可動型5及び固定型6の対向部位に設けられたクランプ11a、11bにより保持され、その一端1a’,1b’はキャビティ4に連通したワイヤー案内溝4a、4bによって、同軸状に対向して位置決めされ、且つキャビティ4内に突出した状態で設置される。
ワイヤー状部材1a,1bは素線径20μmのSUS304からなるステンレス素線を20本撚ったものであり、その外径は0.3mmである。キャビティ4の内径は0.34mmであり、ワイヤー状部材1a,1bの端部1a’,1b’に成形されるアモルファス合金の肉厚は0.02mmとなる。なお、ワイヤー状部材1a,1bは0.5mmで離隔されている。
【0037】
アモルファス合金材料9としては、Zr55Cu30Al10Ni5 ( 添字は原子%を示す。)合金を用いている。この材料は、ガラス遷移温度Tg=420℃、結晶化開始温度Tx=500℃であり、これらの間の過冷却液体域△T(=Tx−Tg)80℃において、粘性109 P a・s程度の粘性流体となり、数10MPa程度の低圧力で容易に成形可能となる特性を有している。成形型3の全体を収容する真空チヤンバーは真空ポンプ(図示省略)及び不活性ガスボンベ(図示省略)と連結されており、真空雰囲気もしくは、不活性ガス雰囲気にすることが可能となっている。また、成形型3におけるアモルファス合金材料9と接触する部分は、面粗さがRmax=1.2μm以下の鏡面となっている。面粗さが1.2μmを越えて粗くなると、成形された連結部材2と成形型3との離型が困難となるためである。
【0038】
次に、この実施の形態による製造手順を説明する。予め製作したワイヤー状部材1a、1bを、クランプ11a、11bにより保持して、端部1a’,1b’をキャビティ4内に突出させ、且つ同軸状に対向する位置に設置し、可動型5を移動させて型締めを行う。一方で、アモルファス合金材料9をシリンダ7内に設置する。そして、真空チヤンバー(図示省略)内を不活性ガスで置換し、成形型3の全体を不活性雰囲気とする。本実施の形態においては、不活性ガスとして、アルゴンガスを用いた。
【0039】
以上のようにして配置した後、ヒーター10により成形型3をアモルファス合金材料9の過冷却液体域である420℃以上500℃以下に加熱する。本実施の形態では、加熱温度を460℃±5℃とした。成形型3からの熱伝導によりアモルファス合金材料9が加熱され、過冷却液体域に達すると粘性流体となり、この状態で加圧プランジャ8によりアモルファス合金材料9を押圧し、シリンダ7を通じてキャビティ4内に注入する。注入圧力は10MPa程度で行った。このとき、加圧プランジャ8及び成形型3を過冷却液体域に加熱しておくことにより、アモルファス合金材料9は固化することなく、容易にキャビティ4内に注入することができる。
【0040】
注入されたアモルファス合金材料9は、キャビティ4の形状に倣って成形されるとともに、ワイヤー状部材1a、1bの素線間の空隙に入り込む。この後、成形型3を冷却することにより、連結部材2とワイヤー状部材1a、1bとが一体化される。冷却は過冷却液体域からガラス遷移温度以下となるように行い、その冷却速度は、脆化を防ぐために急冷することが望ましい。本実施の形態では、加熱を停止し、冷却管路に冷却水を循環させることにより、50℃/minの冷却速度で冷却した。なお、冷却速度は、これよりも速くても良い。アモルファス合金材科9は、過冷却液体域においても長時間保持すると結晶化し、脆化するので、過冷却液体域に加熱した後は、速やかに成形、冷却することが望ましい。本実施の形態においては、過冷却液体域での成形時間は3min以内で行った。この場合、成形型3のアモルファス合金材料9と接触する部分は、Rmax=1.2μm以下に鏡面仕上げされているため、アモルファス合金材料9とは接合はされない。このような方法によりワイヤー状部材1a、1bと連結部材2からなる複合部材を得ることができる。
【0041】
以上のような本実施の形態では、以下のような効果がある。即ち、従来の鋳ぐるみ法では、成形材科が軽合金材料に限定されているため、高強度が要求される部材へは適用できなかったが、この実施の形態では、連結部材を構成しているアモルファス合金材料の機械的強度が高く、且つ成形温度が軽合金材料の融点より低く、母材の熱影響による劣化が少ないため、高強度の複合部材とすることができる。
【0042】
また、溶接では、溶接歪みによる寸法精度の悪化があるが、母材を溶融させることなく一体化することができるので、凝固収縮による歪みがなく、このため高い寸法精度が得られる。さらに、アモルファス合金材料がワイヤー状部材の素線間の空隙に入り込んで、隙間を充填することにより、ワイヤー状部材1a,1bと連結部材2の接合面積が大きくなり、ワイヤー状部材を強固に連結すると共に、応力集中を緩和する作用が生じ、接合部の疲労強度が向上する。なお、ワイヤー状部材1a,1bとして、SUS304を用いたが、ワイヤー状部材として、過冷却液体域を有するアモルファス合金を用いても良い。ワイヤー状部材及び連結部材の双方に、過冷却液体域を有するアモルファス合金を用いる場合には、ワイヤー状部材のアモルファス合金として、その過冷却液体域が連結部材のアモルファス合金の過冷却液体域よりも高温側のものを使用する。そして、連結部材を成形する温度を、連結部材のアモルファス合金のガラス遷移温度以上で、且つ、ワイヤー状部材のアモルファス合金のガラス遷移温度以下とすることにより、複合部材とすることができる。
【0043】
以上のような構造によれば、例えば、内視鏡用生検鉗子における手元操作ワイヤと先端操作ワイヤ及び両ワイヤの連結部材からなる操作ワイヤや、同生検鉗子における先端操作ワイヤとワイヤつなぎの接合部や、内視鏡用把持鉗子のバスケット型の先端連結部や、同生検鉗子の先端コイルシースと手元コイルシースの接合部や、同鉗子の先端コイルシースとSカバーとの接合部や、同鉗子の手元シースと析れ止め部材の接合部や、内視鏡用処置具の高周波処置具及びワイヤナイフの先端ワイヤの接続部や、同処置具の3脚型把持鉗子の脚部の接続や、同処置具の高周波処置具の接続などに適用できる。
【0044】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態では、図1に示したワイヤー状部材と連結部材からなる複合部材の製造を、実施の形態1とは異なる方法で実施しており、その装置を図3に示す。図3は、紙面に垂直方向にワイヤー状部材が延在している状態での縦断面図である。
【0045】
図3において、架台15上には、紙面に垂直な方向に長尺な胴型12が載置され、この胴型12に上型13、下型14が設けられている。下型14は、胴型12と臨んだ架台15の凹部に取り付けられ、上型13は胴型12の上部に挿入されて、下型14と対向している。又、下型14には、図4に示すようなU字形に成形された予成形体16を設置するための下型溝14aが形成されている。
【0046】
上型13にもこれと対をなす上型溝13aが設けられていて、下型14に上型13を当接させたときに形成される空洞が連結部材2の形状となる。予成形体16に接する下型溝14aと上型溝13aの表面は、Rmax=0.85μm程度に鏡面仕上げされている。
【0047】
図4は、予成形体16及びワイヤー状部材1a、1bの配置を示し、U字形に成形された予成形体16の底部上でワイヤー状部材1a、1bが突き合わせられるように、同軸状で対向している。このワイヤー状部材1a、1bは、クランプ(図示省略)によって保持されて固定されるものである。又、予成形体16の幅Wはワイヤー状部材1a、1bの直径と等しくなっており、その肉厚は0.5mmである。これらの材質は、実施の形態1と同様であり、ワイヤー状部材1a、1bはSUS304からなる素線の撚り線である。一方、予成形体16は、Zr55Cu30Al10Ni5 ( 添え字は原子%)のZr系アモルファス合金材料からなり、実施の形態1と同一のガラス遷移温度Tg、結晶化開始温度Tx及び過冷却液体域△Tを有している。
【0048】
図3に示すように、上型13は加圧機構(図示省略)に連結された加圧プランジャ17に取り付けられており、胴型12の内面に沿って、上下方向に移動できるようになっている。胴型12には、高温気体発生器(図示省略)からの高温気体を胴型内に導入するための高温気体導入口12a、及び同気体を排気するための排気口12bが設けられている。胴型12、上型13及び下型14には、それぞれヒーター10a、10b、10cと温度検出器(図示省略)が配設され、ヒーター10a、10b、10cは、温度制御器により制御され、これにより上下の型13、14及び胴型12内の温度を正確に制御できるように構成されている。
【0049】
さらに、上型13と下型14には、冷却管路(図示省略)が設けてあり、上型13と下型14を適宜冷却できるようになっている。以上の装置は、真空チヤンバー(図示省略)内に設置されており、真空ポンプ(図示省略)及び不活性ガスボンベ(図示省略)と連結されることにより、真空雰囲気もしくは、不活性ガス雰囲気にすることが可能となっている。
【0050】
この実施の形態では、図3及び図4のように、予成形体16及びワイヤー状部材1a, 1bを配置した後、高温気体導入口12aより、約430℃に加熱されたアルゴンガスを胴型12内へ導入するとともに、ヒーター10a、10b、10cにより胴型12、上型13及び下型14を約430℃に加熱する。これにより、予成形体16を下型14及びアルゴンガスからの熱伝導により過冷却液体域まで加熱する。予成形体16の温度が、ガラス遷移温度を越えると粘性流動状態となり、低圧力で容易に成形可能となる。
【0051】
この状態において、加圧プランジャ17を作動させて図5に示すように上型13を下型14に当接するまで降下させる。これにより予成形体16は上型溝13aに倣って変形し、連結部材2の形状に成形されると共に、ワイヤー状部材1a,1bと密着し、ワイヤー状部材1a,1bが接合される。成形の際の上型13の移動速度は100mm/secである。
【0052】
この後、加熱を停止し、冷却管路に循環させた冷却水により上型13及び下型14をガラス遷移温度以下に冷却し、予成形体16を固化し、連結部材2を成形するとともに、連結部材2とワイヤー状部材1a, 1bを一体化する。ここで上型溝13a及び下型溝14aの表面は、鏡面仕上げされているため、これらと予成形体16とが接合されることはない。以上により、図1に示すワイヤー状部材1a,1bと連結部材2とが一体化した複合部材を得ることができた。
【0053】
予成形体16の構成材料であるアモルファス合金Zr55C u30Al10Ni5 を含め過冷却液体域を有するアモルファス合金は、過冷却液体域での保持時間、温度に比例して結晶化率が増大するため、ガラス遷移温度以下においての昇温速度は、特に限定されないが、ガラス遷移温度以上においては、速やかに目的の温度に到達させることが望ましい。加熱温度についても同様で、結晶化率を低減するためには、極力低い温度で成形することが望ましい。
【0054】
また、アモルファス合金は、過冷却液体域からガラス遷移温度以下へ冷却する際の冷却速度が遅いと脆化する性質があるため、冷却速度に十分配慮する必要がある。このように、過冷却液体域を有するアモルファス合金材料は、加熱、冷却速度及び過冷却液体域での保持時間によって、機械的特質が左右されるが、本実施の形態においては、加熱速度50℃/min、加熱温度430℃、過冷却液体域での保持時間200sec、冷却速度50℃/minで実施した結果、十分な機械的強度を得ることができた。
【0055】
このような実施の形態では、実施の形態1の効果を有し、さらに、ワイヤー状部材1a,1b及び予成形体16を下型溝14aに沿って配置し、且つ連結部材2の成形を上型13と下型14とによって押圧して成形するため、成形中にワイヤー状部材1a,1bがずれることがなく、寸法を高精度に確保できると共に、予成形体16の成形速度を速くしても寸法精度が確保されるため、工程時間の短縮が可能となる。
【0056】
この実施の形態では、型12,13,14を変更することにより、内視鏡用処置具の注射針の接合部や、同処置具の針状高周波ナイフの先端針の接合部にも適用できる。
【0057】
(実施の形態3)
図6は、実施の形態3で製造される内視鏡用超音波処置具20を示し、術者が保持する保持部材19の先端に、作業部材である工具部材18が一体的に設けられており、工具部材18には櫛歯状の作業部18aが形成されている。この処置具20は、内視鏡を用いた外科処置に用いられるものであり、体内の細胞組織に工具部材18の作業部18aを接触させ、これに超音波振動を印加することにより、組織細胞の破壊、除去をするものである。
【0058】
本実施の形態では、工具部材18の構成材料としてアモルファス合金を用いた。このアモルファス合金の組成は、Zr60C u30Al10( 数字は原子%)であり、ガラス遷移温度Tg=370℃、結晶化開始温度Tx=470℃、過冷却液体域△T=100℃である。又、過冷却液体域において、109 Pa・sの粘性を示す性質を有している。保持部材19の構成材料はTi−6A1−4V(数字は質量%)からなる合金である。
【0059】
図7及び図8は本実施の形態に使用される製造装置を示し、架台21上に胴型22が設置され、この胴型22内に下型24及び上型23が対向して挿入されると共に、上型23の上方部位に加圧プランジャ26を下側に連結した加圧機構26a(下端側のみを図示)が挿入されることによって基本的に構成されている。又、上型23、下型24の間には、キャビティ25が形成されている。下型24におけるキャビティ25の作業部18aに対応する櫛歯状部分は、図7及び図8では、明確な図示のため放射状に表示しているが、この櫛歯状部分で成形される作業部18aは、図6で示すように、上型23及び下型24の分割面に対して垂直方向に型抜き可能に形成されており、以下の図の表示も同様である。
【0060】
キャビティ25は、工具部材18と同一形状、寸法の空洞であり、下型23と上型24を型締めしたときに形成される。下型23には、あらかじめ製作された保持部材19を設置するようになっている。上型23には、シリンダ部23aが上部に形成されると共に、このシリンダ部23aとキャビティ25とを連通する湯道23bが形成されている。加圧プランジャ26は、前記加圧機構26a(全体の図示省略)に連結されており、上型23のシリンダ23a内を移動可能となっている。
【0061】
上型23、下型24及び加圧ブランジヤ26にはそれぞれ、ヒーター27a、27b、27c及び温度検出器(図示省略)が設置されており、上型23、下型24及び加圧プランジャ26の温度を正確に制御するようになっている。保持部材19の工具部材18との接合部19aを除き、キャビティ25の表面はRmax=0.8μm程度に鏡面加工してある。これに対し、保持部材19の接合部19aは、Rmax=25μm程度の粗さの表面となっている。
【0062】
また、上型23及び下型24には、冷却管路(図示省略)が設けてあり、適宜冷却できるようになっている。これらの装置全体は、真空チヤンバー(図示省略)内に設置されており、真空ポンプ(図示省略)及び不活性ガス発生装置(図示省略)と連結されることにより、真空雰囲気もしくは不活性ガス雰囲気にすることが可能となっている。
【0063】
この実施の形態では、図7に示すように、予め別途製作した保持部材19を下型24の所定の位置に設置し、型締めを行い、保持部材19を固定すると共に、上型23、下型24及び保持部材19の工具部材18との接合部19aによりキヤビティ25を形成する。なお、接合部19aの表面はアモルファス合金より構成される工具部材18との接合を強固にするため、上述のように粗面としてある。工具部材18の構成材料であるアモルファス合金材料40をシリンダ23a内に設置する。
【0064】
このような状態で、工具部材18と保持部材19の酸化を防止するため、装置全体をアルゴンガス雰囲気とした後、ヒーター27a、27bにより上型23、下型24を加熱し、その熱伝導によりアモルファス合金材料40を過冷却液体域まで加熱する。又、ヒータ27cにより加圧プランジャ26を各型と同様に加熱する。本実施の形態では、加熱速度50℃/min、加熱温度410℃で行った。この加熱でガラス遷移温度Tg=370℃に達すると粘性が急激に低下し、粘性流体となる。
【0065】
アモルファス合金材料40の中心部まで完全に過冷却液体域に達した状態で、図8に示すように加圧プランジャ26により粘性流体となったアモルファス合金材料40を加圧し、湯道23bを通してキャビティ25に注入する。注入されたアモルファス合金材料40は、キャビティ25表面の微細な凹凸を埋めながら充填される。
【0066】
その後、型全体をガラス遷移温度Tg以下に冷却することにより、アモルファス合金材料を固化させる。このとき、保持部材19の接合部19aの表面はキャビティの他表面より表面粗さが粗いため、ミクロ的に接合部19aとアモルファス合金材料が噛み合い状態となり、これにより両者は強固に接合される。冷却速度に関しては、実施の形態1、2と同様に50℃/minで行った。このような手段及び作用により、工具部材18を成形すると供に工具部材18と保持部材19の接合部19aとが接合されて、処置具20を製作できる。製作された処置具20の工具部材18と保持部材19の接合強度は、約500MPaであり、超音波処置具としての要求される強度を十分上回っていることが確認された。
【0067】
この実施の形態では、保持部材19の接合部19aを平面としたが、図9に示すように、キャビティ25側に開口する孔部19bを接合部19aに形成しても良い。又、図10に示すように、凸部19cをキャビティ25側に突出させても良く、図11に示すように、大径部分を先端に有した凸部19dを突出させても良い。これらの孔部19b、凸部19c、19dによって、アモルファス合金材料40との接合強度が増大するため、工具部材18と保持部材19とを強固に一体化することができる。
【0068】
なお、図7〜図11において、下型24における作業部18aの櫛歯状部分を放射状に成形する場合には、下型24を紙面に垂直方向で2分割した対の構成とし、この対の構成の下型24に対して上型23を対向させてキャビティ25を形成し、工具部材18の成形後に下型24の対の構成を分割することにより、作業部18aの放射状の櫛歯状部分を取り出すことにより成形できる。
【0069】
本実施の形態においては、工具部材18の材質として、過冷却液体域を有するアモルファス合金を使用し、保持部材19を他の材質としたが、成形型を変更することにより、保持部材19の材質を過冷却液体域を有するアモルファス合金とし、工具部材18を他の材質とすることも可能である。又、工具部材18,保持部材19の双方を、過冷却液体域の温度が異なる過冷却液体域を有する2種類のアモルファス合金としても良い。
【0070】
従来の製造方法では、保持部材と工具部材を別個に製作し、これらを溶接や銀ろう付けなどの接合手段により一体化していた。溶接においては、母材の凝固収縮による歪みによる寸法精度の悪化や、熱影響部の劣化による強度の低下という間題があった。また、ろう付けにおいても、加熱温度が750℃以上であり、加熱による熱影響の劣化による強度の低下が問題であった。さらに、これらの問題は、接合面積が減少するのに伴い、その影響が大きくなるため、複合部材の微細化には限界があった。これに対し、この実施の形態では、成形温度が410℃と低く、溶融凝固がないため、熱影響による母材の劣化が少なく、また、凝固収縮による歪みがないため、高強度かつ高精度に2つの部材を一体化することが可能となる。このような実施の形態は、型を変更することにより、内視鏡用生検鉗子における針付き鉗子の針と、この針を位置決めするための針回り止めピンの一体化製造に適用することができる。
【0071】
(実施の形態4)図12は実施の形態4によって製造される内視鏡用湾曲管の節輪28の略図を示す。この節輪28は、内視鏡の湾曲部の構成部品の一つであり、操作用ワイヤーを挿通するためのガイドリング30と、ガイドリング30の外周面がその内周面に固着される節輪本体29とからなっている。なお、節輪本体29の内周面には、ガイドリング30が一般的には、対称位置に2個又は4個固着されるが、この実施の形態では、1個ずつを順次に固着する前提となっているため、1個のみを示している。ガイドリング30は、外径φ1mm、内径φ0.9mmのリング状の部材であり、操作用ワイヤーを挿通する挿通口30aを有する。節輪本体29は、SUS304の材質からなり、外径φ11.8mm、肉厚0.4mmのパイプ状部材である。
【0072】
図13〜図16は、本実施の形態に使用される製造装置を示し、下型31及び上型32が型締めされることにより、キャビティ37が形成される。このキャビティ37に臨む下型31及び上型32には、下ポンチ35及び上ポンチ33がそれぞれ挿入されている。又、下ポンチ35及び上ポンチ33内には、中ポンチ36、34がそれぞれ挿入されている。以上の下型31、上型32、下ポンチ35、上ポンチ33及びそれぞれの中ポンチ36、34は別個の駆動系(図示省略)に連結されており、各部材が独立して駆動されるようになっている。
【0073】
下型31は、図13に示すように、節輪本体29が収納可能な凹部31aを有すると共に、下ポンチ35が摺動可能なスペースを有する。中ポンチ34及び36の外径はガイドリング30の内径と同じ径となっている。
【0074】
以上の型31,32、ポンチ33,34,35,36には、ヒーター(図示省略)及び冷却水管路(図示省略)及び温度検出器(図示省略)が設けてあり、これらを加熱、冷却できるようになっている。
【0075】
キャビティ37の表面は、Rmax=0.8μm程度の表面粗さに仕上げ加工されている。ポンチ33、34、35、36の各端面である成形面及びその近傍の表面もRmax=0.8μm程度に加工されている。節輪本体29のガイドリング接合部29aは、表面粗さがRmax=25μm程度となっている。図13においては、38はガイドリング30の前成形体であり、Pd400Ni10Cu30P20( 添字は、原子%を示す)の過冷却液体域を有するアモルファス合金からなり、ガラス遷移温度Tg=302℃、結晶化開始温度Tx=397℃で、過冷却液体域△T=302℃〜397℃において、粘性が109 P a・sとなり、粘性流体となる性質を有している。また、この材料は耐酸化性材料であり、大気中で加熱しても酸化されない。
【0076】
この実施の形態では、予め別途製作した節輪本体29と、予め製作したアモルファス合金材料からなる前成形体38を図13のように下型31のキヤビティ37内に設置し、下型31と上型32の型締めを行う。ヒーターにより下型31、上型32及び上ポンチ33等の全てのポンチを350℃に加熱し、型及びポンチからの熱伝導により前成形体38が加熱され、ガラス遷移温度Tg=302℃に達すると、粘性流体となる。
【0077】
前成形体38の全体が過冷却液体域に達した状態で、図14のように上ポンチ33、中ポンチ34及び下ポンチ35及び中ポンチ36により、前成形体38を2MPaで押圧し、ガイドリング30の外形を成形する。この際、前成形体38は節輪本体の接合部29aの表面のミクロな凹凸を充填しつつ成形される。その後、図15に示すように、中ポンチ34及び中ポンチ36を連動して下降させ、前成形体を打ち抜くことにより、ワイヤ挿通口30aを形成する。打ち抜き速度は、200mm/secで行う。打ち抜きは、中ポンチ34と下ポンチ35との間の剪断力により行われるが、前成形体38は粘性流体であるため、剪断中に亀裂が発生することがなく、良好な剪断面が得られる。ワイヤ挿通口30aを打ち抜いた後、各型及び各ポンチをガラス遷移温度以下に冷却し、アモルファス合金材料を固化し、ガイドリング30を成形しつつ、ガイドリング30と節輪本体29を接合する。この後、図16のように、上型32、上ポンチ33及び中ポンチ34を上昇させ、節輪28を取り出す。
【0078】
なお、ガイドリング30を過冷却液体域を有するアモルファス合金で構成し、これを成形して節輪本体29と一体化したが、成形装置を変更することにより、節輪本体29を過冷却液体域を有するアモルファス合金で構成し、これを成形してガイドリング30と一体化することも可能である。
【0079】
従来は、節輪本体とガイドリングを別個に製作し、これらをろう付けや溶接により接合して、節輪を製造していたが、凝固収縮に伴う歪みや、熱影響による母材の劣化等の問題があった。また、軽合金や樹脂による鋳ぐるみ法では、材料の強度が不十分であり適用できなかった。実施の形態では、加熱温度が、350℃と溶接やろう付けに比べ低く、母材の溶融を伴わないため凝固収縮による歪みがなく、熱影響による母材の劣化が低減できる。さらに、リング挿通口を成形中に打ち抜きによって製作するため、前成形体は単純な形でよく、前成形体の製作工程が簡略化できる。
【0080】
以上の説明から本発明は、以下の発明を包含するものである。
(1) 2以上の部材を成形によって一体化する方法であって、他の部材と一体化される少なくとも一の部材又は2以上の他の部材を一体化させる少なくとも一の部材が過冷却液体域を有するアモルファス合金からなり、前記他の部材がワイヤー状部材からなり、一の部材と他の部材とを前記過冷却液体域の温度まで加熱し、成形型によって押圧成形して一の部材と他の部材とを一体化し、その後、冷却することを特徴とする複合部材の製造方法。
【0081】
(2)
作業部材と、この作業部材を保持する保持部材とからなる2以上の部材とを成形によって一体化する方法であって、前記作業部材又は保持部材のいずれか一方又は双方の部材が過冷却液体域を有するアモルファス合金からなり、作業部材及び保持部材を前記過冷却液体域の温度まで加熱し、成形型によって押圧成形して一体化し、その後、冷却することを特徴とする複合部材の製造方法。
【0082】
(3)
一のリング状部材と、この一のリング状部材の内周又は外周に接合される他のリング状部材とからなる2以上の部材を成形によって一体化する方法であって、一のリング状部材及び他のリング状部材のいずれか一方又は双方の部材が過冷却液体域を有するアモルファス合金からなり、これらのリング状部材を前記過冷却液体域の温度まで加熱し、成形型によって押圧成形して一体化し、その後、冷却することを特徴とする複合部材の製造方法。
【0083】
(4) 前記成形型における前記アモルファス合金との接触面の表面粗さが、Rmax=1.2μm以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)項のいずれかに記載の複合部材の製造方法。
【0084】
(5) 前記アモルファス合金と接触する面の粗さが、Rmax=10μm以上となっている部材を、アモルファス合金からなる部材と一体化することを特徴とする上記(1)〜(3)項のいずれかに記載の複合部材の製造方法。
【0085】
(6) 上記(1)〜(5)項のいずれかに記載の方法によって製造されたことを特徴とする複合部材。
【0086】
【発明の効果】
請求項1の製造方法によれば、一体化する部材の内、少なくとも一方の部材を過冷却液体域を有するアモルファス合金を使用するため、転写精度に優れた高精度の形状の複合部材とすることができる。又、一体化するための加熱温度が低く、熱影響による劣化がないため、高強度とすることができると共に、他の部材との噛み合いによって強固に一体化した複合部材とすることができる。
【0087】
請求項3の複合部材によれば、少なくとも一の部材がアモルファス合金からなるため、アモルファス合金の高い強度、硬度による耐久性を備えると共に、高度な形状精度となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1及び2によって製造される複合部材の斜視図である。
【図2】実施の形態1に使用される製造装置の断面図である。
【図3】実施の形態2に使用される製造装置の断面図である。
【図4】実施の形態2の製造途中の部材の斜視図である。
【図5】実施の形態2における製造を示す断面図である。
【図6】実施の形態3によって製造される複合部材の斜視図である。
【図7】実施の形態3に使用される製造装置の断面図である。
【図8】実施の形態3の製造を示す断面図である。
【図9】実施の形態3の第1の変形例を示す断面図である。
【図10】実施の形態3の第2の変形例を示す断面図である。
【図11】実施の形態3の第3の変形例を示す断面図である。
【図12】実施の形態4によって製造される複合部材の斜視図である。
【図13】実施の形態4に使用される製造装置の断面図である。
【図14】実施の形態4のリング状部材を接合する段階の断面図である。
【図15】実施の形態4のリング状部材を作製する段階の断面図である。
【図16】実施の形態4の接合後の段階を示す断面図である。
【符号の説明】
1a 1b ワイヤー状部材
2 連結部材
3 成形型
4 キャビティ
5 可動型
6 固定型
7 シリンダ
8 加圧プランジャ
9 アモルファス合金材料
Claims (3)
- 2以上の部材を成形により一体化する方法であって、
他の部材と一体化される少なくとも一の部材又は2以上の他の部材を一体化させる少なくとも一の部材が過冷却液体域を有するアモルファス合金からなり、この一の部材と他の部材とを前記過冷却液体域の温度まで加熱し、前記アモルファス合金との接触面の表面粗さRmaxが1.2μm以下である成形型によって押圧成形して一の部材と他の部材とを一体化し、その後、冷却することを特徴とする複合部材の製造方法。 - 前記他の部材の、前記アモルファス合金と接触する面の粗さRmaxが10μm以上となっていることを特徴とする請求項1記載の複合部材の製造方法。
- 他の部材と一体化される少なくとも一の部材又は2以上の他の部材を一体化させる少なくとも一の部材が過冷却液体域を有するアモルファス合金からなり、一の部材と他の部材とが前記過冷却液体器の温度に加熱され、前記アモルファス合金との接触面の表面粗さRmaxが1.2μm以下である成形型で押圧成形されて一体化され、その後、冷却されることによって成形されていることを特徴とする複合部材。
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