JP3862447B2 - 撮影装置、撮影システム、撮影方法、及び記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、X線等の放射線撮影に用いられる撮影装置、撮影システム、撮影方法、及びそれを実施するための処理ステップをコンピュータが読出可能に格納した記憶媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、医用分野でのX線撮影は、未露出フイルムをカセッテに挿入し、該カセッテ上に被写体を設置して、該被写体に対してX線管球からX線を曝射して撮影することを指す。このようなX線撮影を行う装置では、被写体へのX線の曝射量の低減を図る為に、手元の指示部、もしくはカセッテサイズに合わせて、自動的にX線管球に付随するX線絞りの絞り量を制御する機能(オートコリメーション)が備わっている。これは、被写体(被験者)に過剰なX線が当たることになり、健康上の被害が心配されるためである。
【0003】
また、近年では、固体撮像素子等を用いたX線撮影装置が開発されてきており、X線画像においても、コンピュータを用いたX線ディジタル撮影装置が徐々に広まってきている。このX線ディジタル撮影装置では、センサのサイズが固定であるため、撮影して得られたディジタル画像には、照射野の部分(X線が照射された部分、以下、「照射野領域」と言う)のみに、必要な情報が存在することになる。このようなディジタル画像は、通常後段の手段としての、レーザイメーシャヘ送られてフイルム化されたり、画像サーバ装置へ送られることになるが、いずれの場合にせよ、送信する情報量を減少させる為に、照射野領域のみを、撮影直後に得られたディジタル画像より切り出して、より小さい画像を構築して送信することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようなX線ディジタル撮影装置では、照射野領域は、カセッテサイズから来る制限よりも、撮影の目的に応じた必要十分な領域にX線を照射する領域となるが、あまりに照射野領域が広がりすぎると、被写体(被験者)に過剰なX線が当たることになり、健康上の被害が心配される。
したがって、最小限且つ十分な照射野領域としたX線撮影を行うことが必要であるが、従来では、これを考慮したX線ディジタル撮影装置が存在しなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上記の欠点を除去するために成されたもので、最小限且つ十分な照射野領域としたX線撮影を容易に行うことが可能な、撮影装置、撮影システム、撮影方法、及びそれを実施するための処理ステップをコンピュータが読出可能に格納した記憶媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の撮影装置は、被写体を放射線により撮影して該被写体の画像情報を取得する撮影手段と、上記被写体の属性、及び上記被写体の撮影部位の情報を設定する設定手段と、上記撮影手段による放射線撮影時の放射線の強度を検出するために、前記撮影手段に設けられた複数のフォトセンサと、上記設定手段により設定された情報に基づいて、上記複数のフォトセンサから、撮影時に使用するフォトセンサを選択する選択手段と、上記設定手段により設定された情報に基づいて、上記撮影手段での撮影条件の制御する撮影条件制御手段と、上記選択手段により選択されたフォトセンサからの出力に基づいて、上記撮影手段による上記撮影条件での撮影を制御する撮影制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の撮影システムは、被写体を放射線により撮影して該被写体の画像を取得する撮影装置と、上記撮影装置により得られた画像情報に所定の画像処理を行う画像処理装置と、上記画像処理装置により画像処理された画像情報を可視的に出力する出力装置とが接続されてなる撮影システムであって、上記撮影装置は、上記撮影装置の機能を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の撮影方法は、被写体を撮影手段を用いて放射線により撮影して該被写体の画像情報を取得するための撮影方法であって、上記被写体の属性、及び上記被写体の撮影部位の情報を設定する設定ステップと、上記設定ステップにより設定された情報に基づいて、上記撮影の条件を制御する撮影条件制御ステップと、上記設定ステップにより設定された情報に基づいて、上記撮影手段による放射線撮影時の放射線の強度を検出するために、前記撮影手段に設けられた複数のフォトセンサから、撮影時に使用するフォトセンサを選択する選択ステップと、上記選択ステップにより選択されたフォトセンサからの出力に基づいて、上記撮影手段による上記撮影条件での撮影を制御する撮影制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上記撮影方法の処理ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを記憶したことを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
本発明は、例えば、図1に示すようなX線画像撮影装置100に適用される。このX線画像撮影装置100は、X線を発生するX線管球101と、X線管球101のX線絞り102と、X線管球101からのX線が入射する個体撮像素子107と、X線管球101と個体撮像素子107の間に設けられたグリッド104及びシンチレータ107と、グリッド104とシンチレータ107の間に設けられたフォトタイマ105と、個体撮像素子107の出力をディジタル画像信号として出力するA/D変換器108と、A/D変換器108からのディジタル画像信号に対して所定の処理を行って画面表示出力等を行う画像読取部109と、X線管球101でのX線の発生を制御するX線発生制御部126とを備えている。
画像読取部109は、個体撮像素子107やX線発生制御部126等を制御する画像読取制御部110と、種々のデータ等が記憶され作業用としても用いられるRAM111と、本装置で実行される種々の処理プログラム等が格納されるROM112と、外部ネットワーク(ここでは「LAN」とする)とのインターフェース部であるLAN/IF113と、外部可搬媒体記録装置とのインターフェース部であるDISK/IF114と、不揮発性RAMであるNVRAM115と、ハードディスク等の不揮発性記憶部116と、ユーザインターフェース(IF)部117と、ROM112の処理プログラムを実行する等して装置全体の動作制御を司るCPU118とが、バス119を介して接続され、互いにデータ授受する構成としている。
また、画像読取部109には、曝射ボタン125が設けられており、この曝射ボタン125の出力は、画像読取制御部110が曝射許可スイッチ124を切り替え制御することでX線発生制御部126に供給されるようになされている。
また、ユーザIF部117には、CRT等のディスプレイ120、キーボード及びマウス等の操作部121、磁気カード読取部122、及びバーコード読取部123が接続されている。
【0025】
[X線画像撮影装置100の一連の動作について]
先ず、操作者は、撮影する被写体103を固体撮像素子107とX線管球101の間に配置する。
次に、操作者は、撮影する為の準備をユーザインターフェース117を用いて行う。
操作者による上記の準備が終了すると、画像読取制御部110は、固体撮像素子駆動制御信号を用いて固体撮像素子107に電圧を加えることで、固体撮像素子107に対して被写体103の画像入力がいつ有っても良い状態(X線管球102からのX線を画像化できる状態)となるように準備する。
【0026】
次に、画像読取制御部110は、操作部121による操作者からの絞り量の調節指示(絞り指示部からの指示)に基づいた絞り信号2を、X線発生制御部126に供給する。
X線発生制御部126は、画像読取制御部110からの絞り信号2に基づいた絞り信号3をX線絞り102に供給することで、撮影対象の被写体103の属性に応じて、X線絞り102での絞り量を適切値に自動設定する。
このとき、操作者が万一、絞り量の自動設定に対して不満があった場合、操作者は、さらに上記の絞り指示部にて絞り量の調整を指示して、被写体103の撮影したい目的の部位が入るよう調整することも可能である。
このような操作者からの絞り量の調節指示、すなわちユーザIF部117から画像読取制御部110に対する指示信号(絞り信号1)は、画像読取制御部110からX線発生制御部126に対する絞り信号2、X線発生制御部126からX線絞り102に対する絞り信号3へと伝達され、したがって、X線絞り102は、該絞り信号3に従って開閉することになる。
尚、X線絞り102は、矩形であり、上下方向及び左右方向の両者をそれぞれ開閉量を調節することが可能なようになされている。また、X線絞り102が所定の部位を適切に照射しているか否かは、ランプ光を用いて調整することができるようになされている。
【0027】
次に、操作者は、曝射ボタン125を操作する。この曝射ボタン125は、X線管球101でX線を発生させるトリガとなるものであり、操作者から操作(ボタン押下)されることで曝射信号1を発生する。
曝射ボタン125から発生した曝射信号1は、画像読取部109内の画像読取制御部110へ一旦供給される。
これを受けた画像読取制御部110は、固体撮像素子107がX線管球101からのX線を受けると画像化できる状態となっているか否かを、個体撮像素子107から発生する駆動通知信号の状態で確認した後、曝射許可信号を曝射許可スイッチ124に対して発生する。この曝射許可信号は、曝射許可スイッチ124をオンにして、曝射ボタン125から発生された曝射信号1を、X線発生制御部126に対する曝射信号2に導通させる。
尚、曝射信号は、曝射ボタン125のセカンドスイッチと呼ばれるスイッチを用いることとする。
【0028】
X線発生制御部126は、上述のようにして発生された曝射信号2に従って、X線管球101のX線発生の準備が整い次第、曝射信号3をX線管球101に対して発生する。
これにより、X線管球101からX線が発生する。このときのX線の量は、フォトタイマ105を通じて、X線量信号としてX線発生制御部126へと渡される。
X線発生制御部126は、フォトタイマ105からのX線量信号により、X線発生によるX線量が予め決められた一定量になったとき、X線管球101でのX線発生を遮断する。
【0029】
一方、上述のような曝射を受けた後、X線管球101のX線は、被写体103、グリッド104、及びシンチレータ106を順次透過して、被写体103の透過光像として固体撮像素子107に結像される。そして、個体撮像素子107での光電変換により、画像信号として出力される。この画像信号は、A/D変換器108にてディジタル化され、ディジタル画像信号として画像読取部109に供給される。
画像読取部109は、A/D変換器108からのディジタル画像信号を一旦RAM111上に展開し、CPU118により様々な処理を施して、それをディスプレイ120にて画面表示する。或いは、フィルム上に出力する。
【0030】
[X線画像撮影装置100を検診バスに搭載して使用する場合について]
例えば、上述したX線画像撮影装置100を搭載した検診バスが、3つの会社1〜3(以下、「グループ1〜3」とも言う)を順次訪問して、それぞれの会社の受診者(社員)のX線撮影を行うものとする。
【0031】
まず、図2に示すように、予め不揮発性記憶部116(上記図1参照)に、X線撮影を行うグループ別にデータベースを格納しておく。すなわち、予め検診が行われると予定されている会社1〜3の社員データをデータベースとして格納しておく。このときの各データが有するレコードとしては、
・受診者1D
・受診者名
・受診者生年月日
・受診者性別
・身長(cm)
・体重(kg)
を含むものとする。
また、このデータベースには、その会社の社員カード(磁気カード)もしくは検診票上のバーコード内に記録されている社員IDを読み込む為の解釈方法、すなわち磁気カード読取部122もしくはバーコード読取部123(上記図1参照)での社員IDの読取方法の情報が同時に記憶されている。この情報としては、例えば、
・会社コード開始バイト数
・会社コード終了バイト数
・会社コード
・社員IDの開始バイト数
・社員IDの終了バイト数
を含むものとする。
【0032】
尚、社員IDを読み込む際に、バーコードを用いるか磁気カードを用いるかは、検診を行おうとする会社でどちらでもありえるが、ここでは磁気カード読取部122及びバーコード読取部123の何れの入力装置も接続された構成としているため、何れも利用可能となっている。
また、会社コードを含まないような磁気カードを用いている会社に関しては、会社コード開始バイト数及び会社コード終了バイト数が”0”に設定されているものとする。
【0033】
そこで、装置全体の動作制御を司るCPU118は、上記図2に示すように、メディア読取/解釈部201、データベース選択部202、データベース検索抽出部203、撮影部204、及び画像記録部205という処理機能部を有し、図3に示すフローチャートに従った処理プログラムをROM112から読み出して実行することで、次のような動作制御を行う。
【0034】
ステップS301:
先ず、検診バスが、検診を行う会社に到着すると、操作者は、上述したようにして不揮発性記憶部116に格納したデータベースから該当するデータベースを特定する必要がある。
このため、例えば、ディスプレイ120には上記図3中の”310”に示すような、データベース選択用のデータ入力を促す画面が表示される。そこで、操作者は、予め検診センターにて作成された会社選択用のバーコード311を、バーコード読取部123に挿入する。
バーコード読取部123は、挿入されたバーコード311に記録されているデータを読み取り、それをメディア読取/解釈部201へ供給する。
メディア読取/解釈部201は、バーコード読取部123からのデータが、データベース選択用のデータであるか否かを判断する。この判断方法としては、データの先頭に特殊な文字列(”C?#!”の4文字等)で始まっているものを、データベース選択用のデータと予め定めておき、この特殊な文字列の存在を検出する方法を用いる。したがって、メディア読取/解釈部201は、データベース選択用の特殊な文字列を検出し、データベース選択用のデータであると判断した場合に、これに続く会社名コ一ド(検診地コード)のデータをデータベース選択部202に供給する。
尚、データベース選択用のデータを得るための方法としては、例えば、ディスプレイ120に登録されている会社一覧を表示させ、その会社一覧の中から該当する会社を操作者により選択させるようにしてもよい。この場合、操作者が、操作部121(マウス等)を用いて上記の会社一覧の中の該当する会社を選択すると、この選択結果が、ユーザIF部(U/I)117を介して、データベース選択部202へと伝えられる。
【0035】
ステップS302:
データベース選択部202は、メディア読取/解釈部201からの会社名コード(検診地データ)に対応するデータベースを、不揮発性記憶部116から読み出して主記憶部へ読み込む。例えば、RAM111を作業用メモリとして用いてここに読み込む。
該当するデータベースの選択が終了すると、ディスプレイ120には、上記図3中の”312”に示すように、その”検診地”及び”コード”を含む画面が表示される。
【0036】
ステップS303:
CPU118は、検査IDを発生する。
ここで、”検査ID”は、検診をユニークに識別するためのものであり、この数値も後述する画像保存と同時に、画像の付帯情報として保存される。また、この値は、X線画像撮影装置100が撮影を始めたときに、”1”から振られ始め、撮影ごとにシーケンシャルに増加していき、異なる撮影で同じ番号が振られることは起こらないようになされている。
【0037】
ステップS304:
次に、ディスプレイ120には、上記図3中の”313”に示すような、社員カードの挿入を促す画面が表示される。
そこで、ある社員が検診バスに検診を行いにくると、操作者は、その社員の社員カード314を受け取り、それを磁気カード読込部122に挿入する。
磁気カード読込部122は、挿入された社員カード314に記録されている社員ID(受診者ID)を読み取り、そのデータをメディア読取/解釈部201へ供給する。
メディア解釈/読取部201は、磁気カード読込部122からのデータが、特殊な文字列(データベース選択用のデータであることを示す”C?#!”の4文字等)が先頭に存在しないことを検出することで、社員カードのデータであることを認識する。そして、上述した社員IDの開始バイト数、及び終了バイト数に従って、その間の文字列を取り出し、それをデータベース検索抽出部203へ供給する。
尚、一般に社員カード内の情報には、そのカードがその会社の社員カードであることを示す識別子(会社コード)が含まれていることが大半である。この場合、会社コードの開始バイト数及び会社コードの終了バイト数の値が異なる。そして、その間のコードが会社コードとマッチするかで、読み込まれた情報が、その会社のコードか否かを判定する。仮に、社員カード以外のカードが読み込まれた場合には、操作者にディスプレイ部を介して通知し、読まれた情報は捨てられる。
【0038】
ステップS305:
データベース検索抽出部203は、メディア解釈/読取部201からの文字列(社員ID)に対応するレコードを、ステップS302にて読み出されたデータベースから検索抽出して、それを撮影部204へ供給する。
これにより、ディスプレイ120には、上記図3中の”315”に示すように、上記の検索抽出により得られたレコードの内容、すなわち受診者ID、コード(受診者名)、生年月日(受診者生年月日)、性別(受診者性別)、身長、及び体重を含む画面が表示される。
【0039】
ステップS306、ステップS307:
撮影部204は、上述したようなX線撮影動作を行うための処理を実行する。画像記憶部205は、撮影部204により得られたX線画像情報を、不揮発性記憶部116に保存する。このとき、上述した検査IDも、該X線画像情報の付帯情報として保存する。
【0040】
ステップS308:
ステップS303〜ステップS307による、ある社員のX線撮影が終了すると、CPU118は、検査IDの値を”1”増加させる。その後、ステップS303に戻り、次の社員へのX線撮影のための処理が実行されることになる。
【0041】
[X線画像撮影装置100での画像処理について]
上述のようなX撮影が適切に行われるか否かは、X線管球101から発生するX線量で決定される。一般にX線発生装置にはフォトタイマが設けられているが、X線画像撮影装置100では、フォトタイマ105を図4に示すような構成としている。
すなわち、フォトタイマ105として、3つのフォトタイマ1〜3を設けた構成としている。そして、撮影対象となる部位毎に、このフォトタイマ1〜3によるX線量の受信のオン/オフが指定できるようになされている。
例えば、胸部PAの撮影においては、フォトタイマ1及び3のみがオンとなり、フォトタイマ2はオフとなるようにする。これは、フォトタイマは一般に、医師の関心領域を最適な濃度に調整する為のものであるため、胸部PAの撮影においては、左右の肺野内に相当するフォトタイマ1及び3のみを有効にすることで、適切なX線量での撮影が可能となるからである。
【0042】
ここで、一般のフォトタイマでは、胸部PAの撮影を行うと、フォトタイマの位置がハードウェアで固定されている為に、受診者の体格の大小によって、フォトタイマの位置が胸部肺野の適切な位置からずれることがある。例えば、体の太い人は、フォトタイマの位置が相対的に本来あると好ましい位置より内側が計測されることになり、逆に体の細い人は、フォトタイマの位置が相対的に本来あると好ましい位置より外側が計測されることになる。このため、X撮影後に収集したディジタル画像情報に対して、一律の濃度変換を行っただけでは、出力される画像は、被写体の体格により肺野領域が微妙に露出オーバになったりアンダーになったりする。
【0043】
そこで、X線画像撮影装置100では、上述のような3つのフォトタイマ1〜3を設ける構成に加えて、X撮影に用いる装置、撮影部位、及び受診者の身長や体重を元に、フォトタイマの位置とは異なる領域を特徴量領域として設け、X撮影により得られたディジタル画像情報に対して行う画像処理において、その特徴量領域のピクセル値を元に、濃度変換等の画像処理を施すようになされている。
【0044】
図5は、X線画像撮影装置100を、43cm×43cm四方のセンサエリア(個体撮像素子107の撮像面)を有する立位センサを用いた装置とし、撮影部位を胸部PAとしてX線撮影する場合の、受診者の身長及び体重に依存する特徴量領域の位置をテーブルで示したものである。受診者の身長及び体重は、上記図2での説明で述べた通り、データベースから収集できるため、これにより取得した身長及び体重に対応する特徴量位置を、該テーブルから取得して、画像処理に用いるようにする。
尚、上記の特徴量領域の位置は、例えば、胸部LATのX線撮影では、中央に1つとなり、使用するセンサによっても、受診者の体格の配置方法によっても、テーブルが異なるため、使用するセンサ及び撮影部位に対応した分のテーブルを用意するものとする。上記図5では、それらのテーブルのうち、立体センサによる胸部PAのX撮影で用いるテーブルを示している。
【0045】
図6(a)〜(c)は、受診者の様々な体格により、特徴量領域が変わる状態の一例を示したものである。
これらの図6(a)〜(c)に示すように、画像処理(濃度変換)で用いる特徴量領域を、上記図5に示したテーブルに従って、被写体の大きさによって微妙に変動させ、被写体に対して最適な特徴量領域を設定することで、ディジタル画像情報をより最適な濃度で安定した状態で出力することができる。
【0046】
上述のような画像処理を実施するために、装置全体の動作制御を司るCPU118は、図7に示すように、設定部401、特徴量領域指定部402、照射野絞り値決定部403、特徴量算出部404、及び画像処理部405という処理機能部を有し、このような構成により、次のような動作制御を行う。
尚、上記図7の照射野絞り値決定部403についての詳細は後述する。
【0047】
先ず、X線画像撮影装置100にて用いるセンサ及び撮影部位については、設定部401に対して、予め操作者から操作部121により指示される。一方、受診者の身長及び体重については、設定部401は、上述したようにしてデータベースから取得する。そして、設定部401は、操作者から指示されたセンサ及び撮影部位についての指示情報と、データベースから取得した受診者の身長及び体重についての情報とを特徴量領域指定部402へ供給すると共に、それらの情報のうちのセンサ及び撮影部位の情報を画像処理部405へも供給する。
尚、このとき、設定部401は、上記の情報を後述する照射野絞り値決定部403へも供給する。
【0048】
特徴量領域指定部402は、設定部401からの情報に該当するテーブルを、センサ及び撮影部位毎に用意されているテーブルから選択する。ここでは、立位センサによるの胸部PAのX線撮影としているため、上記図5に示したようなテーブルが選択されることになる。
そして、特徴量領域指定部402は、上記の選択したテーブルから、設定部401からの身長及び体重に該当する特徴量領域を決定する。
【0049】
特徴量算出部404は、撮像部(画像読取制御部110及びX線発生制御部126)によるX線撮影で得られたディジタル画像情報から、特徴量領域指定部402にて決定された特徴量領域の特徴量(画素値の最大値、最小値、平均値、中央値、最頻値等)を算出する。
【0050】
画像処理部405は、特徴量算出部404にて算出された特徴量を用いて、撮像部(画像読取制御部110及びX線発生制御部126)によるX線撮影で得られたディジタル画像情報に対して、濃度変換や階調変換等の画像処理を行って、処理後画像情報を生成する。
例えば、画像処理部405は、特徴量算出部404からの特徴量(ここでは、特徴量領域内の画素値の平均値とする)が、最終的に出力されるディスプレイ120或いはフィルム(図示せず)上で最適な濃度値となるような濃度変換特性を有する濃度変換カーブに基づいた濃度変換処理を、撮像部からのディジタル画像情報に対して施す。
具体的には、先ず、画像処理部405は、濃度変換処理の基準となる濃度変換カーブを示すデータを撮影部位毎に複数種記憶したルックアップテーブル(以下、単に「LUT」と言う)を備えており、このLUTから、設定部401からの撮影部位の情報に対応した濃度変換カーブをLUTから読み出す。
次に、画像処理部405は、特徴量算出部404からの特徴量(特徴量領域内の画素値の平均値)が上述したような最適な濃度値となるように、LUTから読み出した濃度変換カーブを平行移動して、濃度変換処理で実際に使用する濃度変換カーブを生成する。
そして、画像処理部405は、生成した濃度変換カーブに従って、撮影部からのディジタル画像情報に対して濃度変換処理を行い、それを処理後画像情報とする。
【0051】
上述のような画像処理により得られた処理後画像情報は、一旦不揮発性記憶部116に保存され、ディスプレイ120やフィルム上に出力されたり、或いは外部ネットワークや外部可搬媒体記録装置にへと送られる。
【0052】
[X線画像撮影装置100での絞り量制御について]
X線画像撮影装置100は、上述したように、撮影する被写体の属性に応じて、絞り指示部によりX線絞り102での絞り量を、適切値に自動設定することが可能になされている。
このときの絞り量の設定は、上記図7に示した照射野絞り値決定部403により、次のようにして実施される。
【0053】
図8は、X線画像撮影装置100を、43cm×43cm四方のセンサエリア(個体撮像素子107の撮像面)を有する立位センサを用いた装置とし、撮影部位を胸部PAとしてX撮影する場合の、受診者の身長及び体重に依存する照射野絞り値(サイズ)をテーブルで示したものである。
このようなテーブルは、センサ及び撮影部位毎に予め用意されており、照射野絞り値決定部403は、それらのテーブルの中から、設定部401からのセンサ及び撮影部位の情報に該当するテーブルを選択し、さらに該選択したテーブルから、設定部401からの受診者の身長及び体重の情報に該当する照射野絞り値を取得し、それを照射野絞り制御部(X線発生制御部126)へ供給する。したがって、照射野絞り制御部(X線発生制御部126)は、照射野絞り値決定部403からの照射野絞り値に基づいて、X線絞り102の絞り量を調節する。
このように構成することで、照射野が自動的に決定できるため、操作者は、より高速且つ正確に照射野を合わせることが可能となる。また、最小限且つ十分な照射野を得ることが可能となり、受診者のX線による健康上の被害を抑えることができる。
【0054】
[X線画像撮影装置100で収集されるディジタル画像情報の保存について]
X線撮影で得られたディジタル画像情報には、上述した検査ID(上記図3参照)と呼ばれる情報が付加されて保存される。
すなわち、検査IDは、検診をユニークに識別する為に、X線画像撮影装置100が内部で発生するものであり、画像保存と同時にディジタル画像情報の付帯情報として保存される。したがって、検査IDは、装置電源を絶った場合においても、同じ番号が発番されること無く、検査毎に1づつ増加していく必要があるため、不揮発性記憶部116に保存されることになる。
このとき、例えば、不揮発性記憶部116が何らかの理由で故障したことにより、交換された場合、検査IDを再設定しなければならない。
【0055】
そこで、X線画像撮影装置100では、不揮発性記憶部116(ここでは、ハードディスクとする)と、NVRAM115との両者を利用して、不揮発性記憶部116を第1の記憶媒体とし、NVRAM115をバックアップ用の第2の記憶媒体として、現在の検査IDの値を保存するようにする。
【0056】
また、不揮発性記憶部116とNVRAM115の何れかが壊れた場合には、装置交換が発生するが、その時にはバックアップされている検査IDの値が自動的に利用されるように配慮されている。
【0057】
さらに、現在バックアップされている検査IDの値を用いたくない場合、例えば、不揮発性記憶部116(ハードディスク:HD)を他の装置から新たに流用してインストールした場合、NVRAM115に保存されている今までの検査IDの値を自動的に利用してはいけないため、この場合には、操作者に対してユーザI/F117を経由して、この旨を問い合わせるようにする。これによる操作者の指示に従って、現在バックアップされている検査IDの値を自動的に利用する、或いは利用しない。
このとき、操作者からの指示が、バックアップされている検査IDの値を自動的に利用しない指示であった場合、それに従うようにするが、操作者の指示が誤りである場合に備えて、そのバックアップされている検査IDの値を別途保存する。ここでは、このときの保存先をNVRAM115とする。すなわち、NVRAM115は、上記図1に示すように、2つの記憶領域(以下、「NVRAM115a」、「NVRAM115b」で示す)を含む構成としている。これらの記憶領域(115a、115b)は、情報を個別に記憶できる独立した構成となっており、NVRAM115aが上述した第2の記憶媒体に対応し、NVRAM115bが上記別途保存用の第3の記憶媒体に対応する。このような構成により、その後操作者が操作の誤りに気がついたときに、第3の記憶媒体であるNVRAM115bの情報によって即復旧できる。
尚、ここでは同一のNVRAM115を分離した2つのNVRAM115a及び115bを第2及び第3の記憶媒体として用いるが、NVRAM115全体を第2の記憶媒体として用い、それとは別の不揮発性記憶媒体(不揮発性RAMやHD等)を第3の記憶媒体として用いるようにしてもよい。
また、第1の記憶媒体としてHDを用い、第2の記憶媒体としてNVRAMを用いるようにしているが、これに限られることはない。例えば、逆に第1の記憶媒体としてNVRAMを用い、第2の記憶媒体としてHDを用いるようにしてもよい。或いは、第1及び第2の記憶媒体の両方にHD又はNVRAMを用いるようにしてもよい。
【0058】
また、本装置が動作しているときは、そのときの検査IDの値は、主記憶(RAM111)上に保持し、このRAM111上の検査IDの値を、撮影のたびに更新する。そして、ある1つの撮影終了時に、RAM111上の検査IDの現在の値を、HD116及びNVRAM115aへと保存する。これにより、装置がいつパワーオフした場合であっても、現在の検査IDの値が保持されることになる。
【0059】
図9は、検査IDの値が保存されたファイルを、バックアップとしてNVRAM115a及び115bへ書き込む場合のフォーマットを示したものである。
例えば、”System.ini”と名付けられたファイルをNVRAM115aへ書き込む場合、先ず、最初のアドレス0x00〜0x40(64バイト)にファイル名”System.ini”を書き込み、余白には”0x00”を書き込む。これに続いて、アドレス0x40から0x44にかけて、ファイルの長さ(LEN)を書き込み、以降、該ファイルの長さ分のデータを書き込む。
また、NVRAM115bについても同様に、例えば、”System.in1”と名付けられたファイルをNVRAM115bへ書き込む場合、先ず、最初のアドレス0x2000〜0x2040(64バイト)にファイル名”System.in1”を書き込み、余白には”0x00”を書き込む。これに続いて、アドレス0x2040から0x2044にかけて、ファイルの長さ(LEN)を書き込み、以降、該ファイルの長さ分のデータを書き込む。
尚、メモリの余白部分には、”0x00”を書き込むようにするが、これは、後述する初期化処理の中で行われる。また、上記図9中のアドレス0x1FF8から0x1FFFにかけての”チェックサム領域”には、後述するチェックサム処理でのチェックサム計算により得られた値を書き込む。
【0060】
上述のような処理(情報リカバー処理)を実施するために、装置全体の動作制御を司るCPU118は、例えば、図10に示すフローチャートに従った処理プログラムをROM112から読み出して実行することで、次のような動作制御を行う。
尚、ここでは、検査IDの値が保存されたファイルを、上記図9に示したような”System.ini”とする。
【0061】
(1)HD116(第1の記憶媒体)とNVRAM115a(第2の記憶媒体)の両者に情報が記憶されている場合。
ステップS501:
先ず、NVRAM115aのチェックサムを計算する。
ステップS502:
次に、ステップS501で得られたチェックサムが、NVRAM115a上のチェックサムと同じであるか否かを判別する。このとき、NVRAM115aには正しくバックアップ情報が記憶されているため、ここでは、チェックサムがNVRAM115a上のチェックサムと等しい、と判別され、次のステップS503に進む。
ステップS503:
本ステップでは、HD116に、検査IDの値が保存されたファイル”System.ini”が存在するか否かを判別する。このとき、HD116にはファイル”System.ini”が存在するため、次のステップS510に進む。
ステップS510:
したがって、本ステップにて、HD116内に保存されている内容(”System.ini”の内容)を主記憶(RAM111)に転送して、この主記憶内の情報(検査IDを含む)を元に、撮影動作が行われる。
【0062】
(2)HD116(第1の記憶媒体)に情報が記憶されており、NVRAM115a(第2の記憶媒体)に情報が記憶されていない場合。
ステップS501:
先ず、NVRAM115aのチェックサムを計算する。
ステップS502:
次に、ステップS501で得られたチェックサムが、NVRAM115a上のチェックサムと同じであるか否かを判別する。ここでは、NVRAM115aが新品と交換された、或いはNVRAM115aが情報を記憶が出来なくなった(バッテリーエラー等)等の場合であるため、チェックサムがNVRAM115a上のチェックサムと等しくない、と判別され、次のステップS511に進む。
ステップS511:
本ステップでは、HD116に、検査IDの値が保存されたファイル”System.ini”が存在するか否かを判別する。このとき、HD116にはファイル”System.ini”が存在するため、次のステップS512からの処理に進む。
ステップS512〜ステップS516:
したがって、本ステップにて、HD116内に保存されている内容(”System.ini”の内容)を主記憶(RAM111)に転送し(ステップS512)、NVRAM115aの内容を”0x00”でクリアして(ステップS513)、主記憶(RAM111)内の情報をNVRAM115aに保存する(ステップS514)。そして、NVRAM115aのチェックサムを計算し、それをNVRAM115aへ保存する(ステップS515)。このNVRAM115aへの情報の保存作業は、NVRAM115aが情報を記憶が出来なくなった場合以外に実行する。例えば、新品に交換されたNVRAM115aの場合は、HD116内の情報をコピーしていることになるため、重要な作業である。その後、ユーザI/F部117を介して、「NVRAMバッテリーエラーもしくは新規NVRAMです。起動のたびにこのメッセージが出る場合はサービスコールして下さい。」等のようなメッセージを、ディスプレイ120上に画面表示して(ステップS516)、そのまま本処理終了となる。これにより、NVRAM115aが情報を記憶が出来なくなった場合(NVRAM115aのバッテリーエラー等)等では、起動の度にステップS516が実行されることになり、HD116内の情報がNVRAM115aに正しくコピーされなかった旨を操作者に知らせることができる。
尚、ここでの場合、後述するシステム終了処理は行われずにシステムが再起動される。このため、撮影処理が行われてIDが変化してしまうようなことは起きない。
【0063】
(3)HD116(第1の記憶媒体)には情報が記憶されておらず、NVRAM115a(第2の記憶媒体)には情報が記憶されている場合。
ステップS501:
先ず、NVRAM115aのチェックサムを計算する。
ステップS502:
次に、ステップS501で得られたチェックサムが、NVRAM115a上のチェックサムと同じであるか否かを判別する。ここでは、HD116が新品と交換された、或いはHD116情報を記憶が出来なくなった(ディスク面の破損等で壊れた場合等)等の場合であるが、NVRAM115aには正しくバックアップ情報が記憶されているため、チェックサムがNVRAM115a上のチェックサムと等しい、と判別され、次のステップS503に進む。
ステップS503:
本ステップでは、HD116に、検査IDの値が保存されたファイル”System.ini”が存在するか否かを判別する。このとき、HD116にはファイル”System.ini”が存在しないため、次のステップS504に進む。
ステップS504:
本ステップでは、ユーザI/F部117を介して、「HDバッテリーエラーもしくは新規HDです。起動のたびにこのメッセージが出る場合はサービスコールして下さい。」等のようなメッセージを、ディスプレイ120上に画面表示する。これにより、HD116が情報を記憶できない場合等には、起動の度にステップS516が実行され、その旨を操作者に知らせることができる。
ステップS505:
ユーザI/F部117を介して、「HDにバックアップ情報をリトリーブして良いか?」等のようなメッセージを、ディスプレイ120上に画面表示する。そして、このメッセージに対する操作者の指示を判別する。この判別の結果、「OK」(HD116にNVRAM115aのバックアップ情報をリトリーブする)であるならばステップS506に進み、そうでない場合にはステップS507からの処理に進む。
ステップS506:
「OK」(HD116にNVRAM115aのバックアップ情報をリトリーブする)という操作者からの指示があった場合、NVRAM115a内の”System.ini”の情報を、主記億(RAM111)に転送(情報復帰)して、後述するシステム終了処理を実行して、本処理終了となる。尚、詳細は後述するが、システム終了処理内部で、RAM111の情報をHD116へ書き込む処理が行われる。これにより、NVRAM115aのバックアップ情報がHD116へ記憶されることになる。
ステップS507〜ステップS509:
「NO」(HD116にNVRAM115aのバックアップ情報をリトリーブしない)という操作者からの指示があった場合、NVRAM115a内の情報は捨てられ、且つHD116内には情報は存在しないので、NVRAM115aとHD116ともに、システムのデフォルト初期化データで情報保持することになる。ところが、万一、操作者が「NO」を選択したことが誤りであった場合は、重要な検査IDの値が紛失してしまうことになる。そこで、この「NO」選択時には、NVRAM115aの情報を一旦主記憶(RAM111)に転送した後(ステップS507)、このデータを、別ファイル名(ここでは、”System.in1”とする)でNVRAM115b(第3の記憶媒体)に記憶し(ステップS508)、主記憶(RAM111)の”System.ini”ファイルの持つ情報をデフォルトで初期化する(ステップS509)。そして、後述するシステム終了処理を実行して、本処理終了となる。
尚、次のシステム立ち上げで操作者が選択ミスに気がついた場合、NVRAM115b(第3の記憶媒体)に記憶されている”System.in1”の情報から復帰できる。例えば、ユーザI/F部117を介して、「前回のバックアップ情報を復帰する」という処理が、操作者から選択された場合、NVRAM115b(第3の記憶媒体)の”System.in1”なるファイルのデータ情報を”System.ini”ファイルとなるようにして主記憶(RAM111)に呼び出し、後述するシステム終了処理を実行する。これにより、”System.ini”がNVRAM115aとHD116に記憶されることになり、よって情報復帰が実現できる。
【0064】
(4)HD116(第1の記憶媒体)には情報が記憶されておらず、NVRAM115a(第2の記憶媒体)にも情報が記憶されていない場合。
ステップS501:
先ず、NVRAM115aのチェックサムを計算する。
ステップS502:
次に、ステップS501で得られたチェックサムが、NVRAM115a上のチェックサムと同じであるか否かを判別する。ここでは、NVRAM115aが新品と交換された、或いはNVRAM115aが情報を記憶が出来なくなった(バッテリーエラー等)等の場合であるため、チェックサムがNVRAM115a上のチェックサムと等しくない、と判別され、次のステップS511に進む。
ステップS511:
本ステップでは、HD116に、検査IDの値が保存されたファイル”System.ini”が存在するか否かを判別する。ここでは、HD116が新品と交換された、或いはHD116情報を記憶が出来なくなった(バッテリーエラー等)等の場合であるため、HD116にはファイル”System.ini”が存在しないと判別され、次のステップS517からの処理に進む。
ステップS517〜ステップS521:
先ず、NVRAM115aを”0x00”でクリアして(ステップS517)、主記憶(RAM111)の情報をデフォルトで初期化する(ステップS518)。そして、主記憶(RAM111)の内容(初期化された”System.ini”の内容)を、NVRAM115aヘ保存する(ステップS519)。また、主記憶(RAM111)の内容(初期化された”System.ini”の内容)を、HD116にも保存する(ステップS520)。その後、ユーザI/F部117を介して、「NVRAM及びHDが共に新規、もしくは同時にエラーです。起動のたびにこのメッセージが出る場合はサービスコールして下さい。」等のようなメッセージを、ディスプレイ120上に画面表示して、そのまま本処理終了となる。
尚、ここでの場合、後述するシステム終了処理は行わない。
【0065】
図11は、上述した情報リカバー処理でのシステム終了処理を示したフローチャートである。
ステップS601:
装置システム終了時に、主記憶部(RAM111)のファイル”System.ini”を、HD116(第1の記憶媒体)に記憶する。
ステップS602:
また、主記憶部(RAM111)のファイル”System.ini”を、NVRAM115a(第2の記憶媒体)にも記憶する。
ステップS603:
そして、NVRAM115aのチェックサムを計算し、その値をNVRAM115aへと保存する。ただし、チェックサムの計算を行う元となった領域に、チェックサムの計算結果を書いてしまうと、後のチエックサム照合の際に値が合わないことになるため、NVRAM115aのチェックサム保持領域は、チェックサム計算の対象とはしないこととなっている。
【0066】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、上述した第1の実施の形態におけるX線画像撮影装置100に対して、センサ(固体撮像素子107)の上下移動に連動してX線管球101が自動追従する機能を設ける。
図12は、本実施の形態におけるX線画像撮影装置100の、最も特徴とする構成を示したものである。
【0067】
上記図12に示すように、ここでのX線画像撮影装置100は、上記図1に示した構成に加えて、センサの位置に基づいてX線管球101の位置を制御するための移動量計算部603を備えた構成としている。
また、センサには、該センサの現在位置を検出して該検出結果を移動量計算部603へ与えるポテンショメータ601が設けられており、さらに、X線管球101には、移動量計算部603からの情報に基づいてX線管球101を移動をさせる管球移動モータ602が設けられている。
【0068】
上述のような本実施の形態におけるX線画像撮影装置100において、先ず、操作者(技師)は、被写体103の撮影に際して、センサの位置をマニュアルで上下に移動させて、センサを任意の位置に設定する。
尚、一般的な放射線撮影技法では、このときに、被写体103(受診者)のあごの部分が丁度センサ部の上辺に接するように調整してセンサを設定する。
【0069】
ここで、第1の実施の形態での説明にて述べたように、撮影対象となる受診者の身長や体重等の属性情報により、受診者の撮影すべき部位は、照射野絞りによって限定される。しかしながら、その照射野の中心部は、常にセンサの上端から下端の方向へ、それぞれの受診者毎に適切なオフセットを持って設定されることが望ましい。
【0070】
そこで、本実施の形態では、センサの位置がマニュアルによって上下されると、このときのセンサ部の位置がポテンショメータ601によって検知される。この検知結果(センサ位置情報)は、移動量計算部603へと与えられる。
【0071】
移動量計算部603は、ポテンショメータ601からのセンサ位置情報に対して、第1の実施の形態での構成によって得られた被写体103の属性情報(身長や体重等の情報)を加味して、オフセットを算出し、それを管球位置設定情報へと変換する。
【0072】
具体的には例えば、受診者の身長及び体重等に依存するオフセットの情報を、上記図5や図8に示したようなテーブルによって予め保持しておく。したがって、このテーブルを参照することで、被写体103に対して適切なオフセットを取得し、そのオフセットから、X線管球101の移動量(管球位置設定量)を決定し、その管球位置設定量の情報(管球位置設定情報)を管球移動モータ602へと与える。
【0073】
このときの管球位置設定量は、丁度センサの上辺が被写体103のあごの部分に接する位置に設定されたときに、第1の実施の形態の説明にて述べた自動照射野絞りエリア(X線絞り102に対する絞り量の自動設定による照射野絞りエリア)が、被写体103の胸部に適切に設定されるような調整量としている。
【0074】
尚、ここでは、胸部PAの撮影を前提として説明しているが、撮影する部位が異なれば、必ずしも受診者のあごの部分が丁度センサの上辺に接する必要はなく、ここでのオフセット値は、各部位毎に設定が異なるようになされているものとしている。
【0075】
管球移動モータ602は、上述のようにして移動量計算部603にて得られた管球位置設定情報に基づいて、X線管球101を移動をさせる。
【0076】
したがって、図13に示すように、被検者の体格等によって、X線管球101の中心位置が自動的に適切な位置に変わることになる。すなわち、被写体103に対するX線管球101からのX線が、それぞれの被写体に対して適切な部位に照射されることになる。
以上のように、上述した各実施の形態では、X線撮影等の放射線撮影を行う際、画像情報の発生源の種類(撮影に用いるセンサの種類等)、被写体の属性(身長や体重等)、及び被写体の撮影部位(胸部PAや胸部LAT等)の情報に基づいて、撮影条件を制御するように構成した。このときの制御としては、放射線の絞り量(照射野絞り値)の制御(調整)や、被写体の撮影が行なわれる部位に放射線が適切に照射されるように放射線の発生部(X線管球)を駆動(上下動作の駆動)する制御(管球連動制御)等が含まれる。
これにより、その撮影に用いるセンサの種類、撮影部位、及び受診者の体型に依存した絞り量で、放射線の絞りを自動的に制御することができる。このため、そのときの状況に応じた適切な照射野で放射線撮影を行うことができ、また、被写体(被験者)に過剰な放射線が当たり、健康上の被害が心配される、ということはない。
また、撮影対象の被写体を識別するための情報(ID情報)を入力する等の簡単な操作で、そのID情報に該当する被写体の属性情報がデータベース等から自動的に取得して設定することができる。さらに、自動的に絞り量が調節された後に、再度絞り量の調節を行うこともできる。
【0077】
尚、本実施の形態では、実施をより容易にするため、及び説明をより簡便にするために、ソフトウェアでの実現を示したが、これに限らずハードウェアにて実現することも可能である。この場合、より高速に処理を実行することができる。
【0078】
また、本実施の形態では、本発明をX線撮影に適用したが、これに限らず、他の撮影、例えば、可視光を用いた撮影等に適用することも可能である。
【0079】
また、本発明の目的は、上述した実施の形態のホスト及び端末の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読みだして実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が実施の形態の機能を実現することとなり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することとなる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、ROM、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。
また、コンピュータが読みだしたプログラムコードを実行することにより、実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された拡張機能ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、適切な照射野を高速に且つ正確に合わせることができ、最小限且つ十分な照射野で放射線撮影を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態において、本発明を適用したX線画像撮影装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記X線画像撮影装置を検診バスに搭載して、複数グループの撮影を行う場合の、各グループのデータベースについて説明するための図である。
【図3】上記データベースを用いての撮影を説明するための図である。
【図4】上記X線画像撮影装置のフォトタイマの構成を説明するための図である。
【図5】上記X線画像撮影装置での特徴量領域の値を用いた画像処理を説明するための図である。
【図6】複数の体格により、上記特徴量領域の位置が変動することを説明するための図である。
【図7】上記画像処理を実施するための構成を説明するためのブロック図である。
【図8】上記X線画像撮影装置での絞り量の自動設定を説明するための図である。
【図9】上記X線画像撮影装置でのリカバー処理での情報保存のフォーマットを説明するための図である。
【図10】上記リカバー処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】上記リカバー処理のシステム終了処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態における上記X線画像撮影装置の最も特徴とする構成を説明するための図である。
【図13】上記X線画像撮影装置によって、被検者の体格等によって管球中心位置が変わる様子を説明するための図である。
【符号の説明】
100 X画像撮影装置
118 CPU
110 画像読取制御部
126 X線発生制御部
401 設定部
402 特徴量領域指定部
403 照射野絞り値決定部
404 特徴量算出部
405 画像処理部
Claims (6)
- 被写体を放射線により撮影して該被写体の画像情報を取得する撮影手段と、
上記被写体の属性、及び上記被写体の撮影部位の情報を設定する設定手段と、
上記撮影手段による放射線撮影時の放射線の強度を検出するために、前記撮影手段に設けられた複数のフォトセンサと、
上記設定手段により設定された情報に基づいて、上記複数のフォトセンサから、撮影時に使用するフォトセンサを選択する選択手段と、
上記設定手段により設定された情報に基づいて、上記撮影手段での撮影条件の制御する撮影条件制御手段と、
上記選択手段により選択されたフォトセンサからの出力に基づいて、上記撮影手段による上記撮影条件での撮影を制御する撮影制御手段とを備えることを特徴とする撮影装置。 - 上記撮影条件設定手段は、
上記設定手段により設定された情報に基づいて、上記放射線の絞り量を決定する絞り量決定手段と、
上記絞り量決定手段により決定された絞り量に基づいて、上記放射線の絞りを制御する絞り制御手段とを含むことを特徴する請求項1記載の撮影装置。 - 上記被写体の属性は、少なくとも被写体の身長及び体重を含むことを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
- 被写体を放射線により撮影して該被写体の画像を取得する撮影装置と、
上記撮影装置により得られた画像情報に所定の画像処理を行う画像処理装置と、
上記画像処理装置により画像処理された画像情報を可視的に出力する出力装置とが接続されてなる撮影システムであって、
上記撮影装置は、請求項1〜3の何れかに記載の撮影装置の機能を有することを特徴とする撮影システム。 - 被写体を撮影手段を用いて放射線により撮影して該被写体の画像情報を取得するための撮影方法であって、
上記被写体の属性、及び上記被写体の撮影部位の情報を設定する設定ステップと、
上記設定ステップにより設定された情報に基づいて、上記撮影の条件を制御する撮影条件制御ステップと、
上記設定ステップにより設定された情報に基づいて、上記撮影手段による放射線撮影時の放射線の強度を検出するために、前記撮影手段に設けられた複数のフォトセンサから、撮影時に使用するフォトセンサを選択する選択ステップと、
上記選択ステップにより選択されたフォトセンサからの出力に基づいて、上記撮影手段による上記撮影条件での撮影を制御する撮影制御ステップとを含むことを特徴とする撮影方法。 - 請求項5に記載の撮影方法の処理ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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