JP3861433B2 - パネル型スピーカ装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば乗用車等に搭載されるナビゲーションシステムやラジオ受信機等のスピーカ装置に用いて好適なパネル型スピーカ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用車等には、ラジオ受信機やカーステレオ装置等の音響再生装置が搭載されているが、最近では道路案内を行うナビゲーションシステムや各種の警報を運転者に知らせる警報装置等もオプションで搭載されるようになっている。例えばラジオ受信機やカーステレオ装置は、一般にそのスピーカ装置が後部座席のバックグリルに配置されるとともに、ダッシュボードやフロントドアにも設置されている。
【0003】
ナビゲーションシステムは、道路案内を表示装置によって画像表示するとともに、スピーカ装置を介して表示画像に対応した内容が音声ガイドされる機能も有している。ナビゲーションシステムや警報装置等のオプション装置は、一般にそのスピーカ装置がダッシュボードやフロントドアに設置される。
【0004】
一方、家庭内やホテルの室内等には、化粧を行ったり衣服を整えたりするために使用される姿見が適宜の位置に配置されている。最近では、例えば化粧をしながらラジオ放送の受信や音響再生装置からの音楽を聞く、いわゆる「ながら族」が増えている。したがって、姿見の近傍には、ラジオ受信機や音響再生装置が設置されていれば極めて便利であり、気分良く化粧等が行われる。また、ホテル等においては、室内に配置されたスピーカ装置を通じて、適宜のバックグランドミュージックが流されている。スピーカ装置は、室内の雰囲気を損なわないように配置される必要があるとともに、室内の各所に配置されることによってバックグランドミュージックを耳障りにならない程度の音量で放音することが好ましい。
【0005】
ところで、スピーカ装置としては、一般にコーン型ダイナミックスピーカやホーン型ダイナミックスピーカ等が用いられている。例えばコーン型ダイナミックスピーカは、円錐形状を呈して形成された振動板と、この振動板を駆動するドライバユニットと、振動板の外周縁部を支持するフレームと、これら各部材を収納したキャビネット等の部材によって構成される。ドライバユニットは、ボイスコイルと、ポールと、プレートと、マグネットと、ダンパー及びセンタキャップ等の部材によって構成されている。
【0006】
振動板は、軽量で内部損失が大きい素材によって上述した円錐形を基本形状に形成され、その中心部にドライバユニットが配置される。振動板は、一般に内周部から外周部に向かって次第にその厚みが薄くされるるとともに、その外周縁部が全周に亘って矢紙を介してフレームに支持されている。フレームは、振動板とドライバとを結合するとともに、振動板の保護作用も奏する部材である。フレームには、振動板に対してその振動動作による反作用の影響を及ぼさないように、一般に切欠き窓が形成されている。矢紙は、振動板の外周縁部の押さえと、この振動板が振動動作した際にキャビネットの取付部と接触しないように作用する。
【0007】
一方、ホーン型ダイナミックスピーカは、ボイスコイルによって駆動される振動板の振動音をホーンによって拡大して放出するようにしたものであり、ホーンを有する以外の基本的な構成については上述したコーン型ダイナミックスピーカと同等とされる。すなわち、ホーン型ダイナミックスピーカにおいても、マグネットと、その先端部に一体に組み付けられたポールと、ポールの周囲を取り囲むヨークと、ポールと対向する開口部を有してヨークに組み付けられたプレートとによってドライバユニットを構成し、このドライバユニットによって振動板が振動動作される。
【0008】
振動板は、アルミニウム等の軽金属や合成樹脂等によって球面形状を呈して形成されている。振動板は、開口部を閉塞することによってポールと対向するようにしてその外周縁部がプレートに結合されている。振動板は、上述したコーン型ダイナミックスピーカの振動板よりも小さくかつ振動系の共振が再生帯域のほぼ中央領域でよいために機械的剛性が大きい。したがって、振動板は、ダンパーを介すること無くプレートに結合されるとともに、その周辺部をドライバユニットによって振動動作される。換言すれば、ホーン型ダイナミックスピーカにおいても、その振動板が、コーン型ダイナミックスピーカの振動板と同様に外周縁部を固定されて支持されている。
【0009】
ところで、スピーカ装置においては、ボックス等を必要とせず薄型であり、自由な位置に設置することができるいわゆるパネル型スピーカ装置の実現について多くの試みが図られてきた。しかしながら、これらの多くの試みは、いずれも技術上の限界や音響性能の限界等によって理想的なパネル型スピーカ装置を実現するまでには至っていない。これらの試みは、その多くが上述したコーン型ダイナミックスピーカやホーン型ダイナミックスピーカを基本としたものであった。
【0010】
薄型スピーカ装置としては、例えばパネル状の振動板を固定極に対して微小な間隔を以って対向配置してなるコンデンサ型スピーカが知られている。コンデンサ型スピーカは、一般に振動板に金属薄膜が成膜形成されるとともにこの振動板と固定極との間に数100ボルトの直流偏倚電圧が印加されてなる。振動板は、固定極に再生信号が入力されると、この固定極との間の磁気的吸引力の変化によって振動する。また、コンデンサ型スピーカとしては、振動板を挟んで固定極を配置することによって、全帯域用に対応するようにしたプッシュプル型スピーカも提供されている。
【0011】
コンデンサ型スピーカは、上述したように放音部に数100ボルトの電圧を印加する必要があることから、いかなる場所にでも自由に設置することが困難であるとともに、温度や湿度条件の変化による安定性が低いといった問題点を有している。また、コンデンサ型スピーカは、入力電圧が直流偏倚電圧に規定されることによって、入力電圧に対して得られる最大無歪み出力音圧レベルが上述したダイナミックスピーカ装置に比較して小さいといった問題もある。さらに、コンデンサ型スピーカは、全帯域で安定した周波数特性を確保するためには振動板が大型化するといったように種々の問題点を有している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ナビゲーションシステム等のスピーカ装置は、上述したようにダッシュボードやフロントドアに設置されることから、運転者の耳の位置に対して下側となるとともに比較的遠くに位置された状態となる。したがって、スピーカ装置は、放音する音声ガイドや警報音が、エンジン音や走行音によってマスキングされてしまって運転者がこれを充分に聞き取ることができないといった問題を生じさせていた。また、スピーカ装置は、放音する音声ガイドや警報音が、さらに遠い位置となる助手席や後部座席にいる同乗者にも充分に聞き取らさせることができないといった問題があった。
【0013】
かかるナビゲーションシステム等のスピーカ装置の問題点は、より高出力のスピーカ装置を備えることによって、その改善を図ることが可能とされる。しかしながら、ナビゲーションシステム等のスピーカ装置は、車内の限られたスペースに設置されることから小型でなければならない。上述した従来の種々のスピーカ装置においては、充分な音量でかつ良好な音質かつ同乗者に対する指向性を保持するために大型となりこれらを採用することが困難であった。
【0014】
ところで、スピーカ装置は、一般に再生入力信号が供給されるとドライバユニットによって振動板がピストンのように動作して出力再生が行われると考えられている。したがって、パネル型スピーカ装置においても、振動板を電磁駆動方式や静電駆動方式により上述した従来型のスピーカ装置の振動板と同様に動作する高精度の平面ダイヤフラムを製作する試みがなされていた。例えば静電駆動方式の振動板においては、所定のテンションを以って外周部が支持されており、ドライバユニットからの駆動力が与えられるとその駆動位置から波動が同心円状に連続して発生する。かかる振動板は、大きな単一位相の振動板として動作することによって、音の集中と制御が不可能な振動とを生じる大面積ピストン動作に起因する種々の問題を解決しなければならない。
【0015】
一方、パネル型スピーカ装置として、曲げ波動理論に基づいてドライバユニットにより振動板を駆動するようにした新規なパネル構造を有するスピーカ装置が提案されている。この新規なパネル型スピーカ装置は、機械的剛性が比較的大きな堅いパネル構造によって振動板が構成されており、ドライバユニットから駆動力が与えられるとこの振動板の表面全体に複雑な振動モードが生成される。振動モードは、平面パネル(振動板)の動作周波数の範囲に均一に分布された最も複雑で密集した波形の構造となる。新規なパネル型スピーカ装置は、有限サイズの振動板に関する曲げ波動の物理的特性と、波動の速度対周波数特性と、駆動点インピーダンス特性との解析により特徴付けられる。
【0016】
新規なパネル型スピーカ装置は、想定される用途に応じてパラメータが最適化された曲げ剛性の振動板が用いられ、一致周波数の下方周波数帯域までの動作が可能とされる。新規なパネル型スピーカ装置は、一般に振動板から最大密度の曲げモードを確保するために、この振動板の中心点付近がドライバユニットによって駆動される。振動板は、有限要素解析によって均一なモード密度を与える特定の縦横比が数学的なモデリングツールによって実証されている。また、新規なパネル型スピーカ装置は、フーリェ型の分析によって、最良のモードの均一性を実現する振動板に対する駆動力の供給位置が求められる。そして、新規なパネル型スピーカ装置においては、フーリェ型分析の拡張によって高周波数帯域において多少の損失が生じるものの、より大きな面積の振動板を駆動することも可能とされる。振動板は、波動関数のゼロ周波数限界をとることにより、より一般的な静的梁の曲げ方程式に近似した曲げ剛性の式によって表現される。
【0017】
新規なパネル型スピーカ装置は、振動板の曲げ動作を規定する要因、すなわち面密度、曲げ剛性、幾何学的寸法(外形寸法)、表面積、駆動点の位置、及びドライブユニットのパラメータ、コアのシェアモジュール、内部損失、或いは振動板の支持方法のパラメータが最適に設定されることによって製作される。一般的なスピーカ装置においては、ダイポールと称される後方の音が前方の音と逆相を呈することから、中周波数帯域から低周波数帯域の音響エネルギーの打ち消しを防ぐ大きなバッフル板やエンクロジャを必要とする。一方、新規なパネル型スピーカ装置においては、バイポーラと称される後方の音の輻射が前方の音と加算されることから、効率の改善が図られるとともにバッフル板やエンクロージャを不要としている。
【0018】
新規なパネル型スピーカ装置は、単一素子のトランスデューサで駆動される1枚のパネル状振動板によってフルレンジの出力再生を可能とする。新規なパネル型スピーカ装置は、振動板の適切な材質の選択とトランスデューサに適合した構成とによって従来のスピーカ装置と同等のフラットな周波数特性をえることが可能となる。
【0019】
新規なパネル型スピーカ装置は、感度と電気的負荷とが従来のスピーカ装置と同等とされることにより既存のアンプとの互換性が図られるばかりでなく動電型ドライバユニットや圧電型ドライバユニットの適用が可能とされ、非常に広い音場の放射パターン並びに双指向性の放射パターンが得られる。新規なパネル型スピーカ装置は、機械的エネルギから音響的エネルギへの変換効率がほぼ100%であるとともに周波数に独立した無指向性放射の特性、すなわち各周波数に関してサウンドパワーの大きな均一性を保有している。新規なパネル型スピーカ装置は、距離の条件によるサウンドパワーの減衰が小さいといった特徴を有するとともに、その新規な構成によりその他種々の特徴を有している。
【0020】
本発明は、上述したドライバユニットによって再生入力信号に基づいて振動板に曲げ動作を生じさせて駆動し出力再生を行う曲げ波動理論に基づく新規なパネル型スピーカ装置を基本構成として、鏡板を振動板として構成することによって例えばバックミラー装置によって乗用車等に搭載されるナビゲータシステムのスピーカ装置を構成し得るようにした新規なパネル型スピーカ装置を提供することを目的に提案されたものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成する本発明にかかるパネル型スピーカ装置は、ガラス又は透明な合成樹脂材料によって剛性を有するパネル状に形成されるとともに外周部をほぼ非拘束状態で支持されてなる鏡板と、上記鏡板の主面に取り付けられるとともに再生入力信号に基づいて上記鏡板に部分的な曲げ動作を生じさせる加振動源を構成する少なくとも1個以上のドライバユニットと、外周部が上記鏡板の周囲に延在するように形成されるとともに内面側に上記ドライバユニットが取り付けられているミラーカバーとを備え、上記鏡板が、上記ドライバユニットによって駆動されて再生入力信号に基づく再生出力を放音する振動体として作用するようにしたものである。
【0022】
また、パネル型スピーカ装置は、鏡板が自動車用のバックミラー装置の鏡板とされ、搭載される音響再生装置、ナビゲーションシステム、警報装置のいずれか一のスピーカ装置の振動体を構成する
【0023】
本発明にかかるパネル型スピーカ装置は、鏡板が、供給された再生入力信号に基づいてドライバユニットによって駆動されて再生出力を放音する振動体として作用する。したがって、パネル型スピーカ装置は、従来想到し得ない鏡によって構成されることから適用分野の大幅な拡大が図られる。パネル型スピーカ装置は、自動車用のバックミラー装置の鏡板を振動体として用いて搭載されたナビゲーションシステム等のスピーカ装置を構成することによって、音声ガイドや警報音等をエンジン音や走行音によってマスキングされることなく運転者には勿論のこと同乗者に対しても充分な音量と良好な音質で報知するようにする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施の形態として示したパネル型スピーカ装置1は、図1に示すように、例えば乗用車2に設置されるバックミラー装置を兼用しており、例えばコンソールボックス2aに組み込まれたナビゲーション装置本体3に接続されて音声ガイドや警告等を運転者に対して報知するスピーカ装置を構成する。すなわち、パネル型スピーカ装置1は、詳細を後述するように、バックミラー装置のミラー板(鏡板)4と、ドライバユニット5と、ミラーカバー6等によって構成されてなる。パネル型スピーカ装置1は、ミラー板4がナビゲーション装置本体3から供給される音声ガイドや警報音等の再生入力信号に基づいてドライバユニット5によって部分的な曲げ動作を生じさせられて再生出力を放音する振動板として構成されるとともに、このミラー板4を駆動するドライバユニット5がミラーカバー6の内部に組み込まれてなる。
【0025】
なお、ナビゲーション装置は、周知のように例えばカラーモニタ(表示部)と、チューナ部、イコライザ部及びスピーカ装置等の各部から構成されるが、説明の便宜上スピーカ装置を除く各部が一体に構成されるものとしナビゲーション装置本体3と総称する。ナビゲーション装置本体3は、上述したようにコンソールボックス2aばかりでなく運転に支障のない範囲で車内の適宜の位置、例えばダッシュボード等に配設される。
【0026】
パネル型スピーカ装置1は、従来のバックミラー装置と同様にミラーカバー6が一端部に取付台6bを設けた取付アーム6aの先端部に詳細を省略する自在継手機構6cを介して支持されてなる。ミラーカバー6は、図2に示すように、全体矩形の浅皿状に形成され、外周フランジ部6dがミラー板4の外周部4cの周囲に延在することによりこれを保護している。ミラーカバー6には、その底面部6eの背面側に自在継手機構6cを介して取付アーム6aが取り付けられるとともに、その内面側にドライバユニット5が取り付けられている。
【0027】
パネル型スピーカ装置1は、図1に示すように、ミラー板4がフロントガラス2bの略中央上部に位置するようにして、取付台6bを車内天井に取り付けてなる。パネル型スピーカ装置1は、上述した自在継手機構6cを介してミラー板4の角度が調整自在とされており、運転者に応じてミラー面4aの角度が適宜調整される。ミラー面4aは、後述するように放音面を構成する。なお、パネル型スピーカ装置1は、図示しないが取付アーム6aの内部を導かれた配線を介してナビゲーション装置本体3から音声ガイドや警告等の再生出力信号がドライバユニット5に供給される。
【0028】
ミラー板4としては、平面鏡や、後方の視野をより確保することができる凸面鏡或いは通常の鏡と偏光鏡とを組合せてこれを切り換えるようにした防眩ミラー等によって構成されてなる。ミラー板4は、図2及び図3に示すように、例えばガラスや透明若しくは充分な光透過性を有する半透明な合成樹脂材料によって成形されたパネル状の透明基板7の背面に反射層8を形成してなる。ガラスには、耐衝撃性や安全性を考慮して合わせ強化ガラスが用いられる。合成樹脂材料としては、例えばアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂や、ポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、スチレン系樹脂等が用いられる。なお、ミラー板4としては、反射効率の高い金属板材料を用いてその表面に鏡面加工を施すとともに適宜の防錆処理を施して構成されたものも用いられる。
【0029】
反射層8は、周知の方法によって形成され、透明基板7の背面に銀或いはアマルガム等を塗布して銀引きするとともに、光明丹を成分とした塗料を塗布した後にセラック・ワニスや白ワニスを塗布する裏止めを行って形成する。ミラー板4は、この反射層8を形成した背面がドライバユニット5によって駆動される被駆動面4bとして構成される。
【0030】
ミラー板4は、上述したように形成されることによって全体として剛性を有して構成されているが、図2に示したように、その外周部4cが外周フランジ部6dに対して非拘束状態とされてミラーカバー6に保持されている。したがって、ミラー板4は、後述するようにドライバユニット5によって駆動された場合において、その外周部4cが自由振動するように構成されている。
【0031】
ドライバユニット5には、従来のスピーカ装置に備えられるボイスコイル型ドライバユニットや圧電素子を用いた圧電型ドライバユニットが用いられ、上述したようにミラー板4を振動板として駆動する。圧電型ドライバユニットは、詳細を省略するが薄厚の圧電素子によって構成されるために全体を薄型かつ小型に構成することができるために有効である。
【0032】
図3は、ボイスコイル型ドライバユニット5を示している。ドライバユニット5は、ボイスコイル9と、再生入力信号に基づいてこのボイスコイル9を駆動する磁気回路10とから構成されている。ボイスコイル9は、ボビン11と、このボビン11の外周部に捲き線を施して構成したコイル部12とからなる。磁気回路10は、センタポール13と、このセンタポール13を中心孔に貫通させて組み合わされたリング状のマグネット14と、センタポール13を中心孔に臨ませてマグネット14に積層状態で組み合わされたリング状のプレート15と、ダンパ16等の部材によって構成される。ドライバユニット5は、ボイスコイル9がそのコイル部12をセンタポール13とプレート15とによって構成される磁気空間部に位置されるようにしてダンパ16によって支持されている。ダンパ16は、ボイスコイル9のボビン11とプレート15との間を連結している。
【0033】
以上のように構成されたドライバユニット5は、図3に示すように、ボビン11の先端部がミラー板4の被駆動面4bに接合されることによって振動板を構成するこのミラー板4と組み合わされる。また、ドライバユニット5は、センタポール13がそのフランジ部13aを止めねじ17を介してミラーカバー6の底面部6eに固定されることによってこのミラーカバー6の内部に組み込まれる。なお、ドライバユニット5は、例えばボビン11の先端開口部にリング状の取付プレートを嵌合し、この取付プレートを介してミラー板4に固定するようにしてもよい。
【0034】
以上のように構成されたパネル型スピーカ装置1は、ナビゲーション装置本体3から音声ガイドや警告等の再生入力信号(音声電流)がドライバユニット5に供給されると、ミラー板4が駆動されてその放音面4aから再生出力の放音が行われる。ドライバユニット5は、磁気回路10の磁気空間部中に位置されたボイスコイル9に音声電流が供給されると、このボイスコイル9がミラー板4に対して直交する方向に振動する。パネル型スピーカ装置1は、ボイスコイル9のボビン11との接合部位を駆動点としてミラー板4に部分的な曲げ動作が生じて音声ガイドや警告等の再生出力の放音が行われる。
【0035】
図4は、上述したパネル型スピーカ装置1について、ドライバユニット5により駆動されるミラー板4の動作状態を示した図である。同図(A)は、入力周波数が62Hzの再生入力信号を供給した場合のミラー板4の動作状態を示した図である。また、同図(B)は、入力周波数が150Hzの再生入力信号を供給した場合のミラー板4の動作状態を示した図である。さらに、同図(C)は、入力周波数が501Hzの再生入力信号を供給した場合のミラー板4の動作状態を示した図である。ミラー板4は、これらの図から明らかなように、ドライバユニット5から再生入力信号が印加されることにより曲げ動作が生じて複雑な振動モードが生成される。また、ミラー板4は、再生入力信号の周波数が高くなるにしたがってより大きなピークを有する曲げ動作が生じる。
【0036】
また、図5は、上述したパネル型スピーカ装置1について、それぞれ100Hz、1KHz、10KHz及び20KHzと入力周波数を異にする再生入力信号をドライバユニット5に供給した場合に、このドライバユニット5によりミラー板4が駆動されて放音される再生出力の指向特性を測定した結果を示した図である。パネル型スピーカ装置1は、上述したようにバックミラー装置を兼用して車内のほぼ中央上部に配置されていることから、再生される音声ガイドや警告等が下方部から到来するエンジン音や走行音によるマスキングを抑制されて明瞭な状態で再生出力される。
【0037】
パネル型スピーカ装置1は、図5から明らかなように、小さな磁気回路10を有するドライバユニット5によってミラー板4を駆動するにもかかわらずそれぞれの入力周波数に対して充分な音量を得ることができ、広周波数帯域の再生出力を可能とする。また、パネル型スピーカ装置1は、高周波数帯域に対しても良好な指向特性を有することから、運転者ばかりでなく助手席や後部座席の同乗者に対しても音声ガイドや警告等が良好な状態で聴取可能とする。
【0038】
パネル型スピーカ装置1は、上述したように共鳴箱や音響管等を不要として振動板を構成するミラー板4を直接駆動することにより新規なナビゲーション装置を構成する。また、パネル型スピーカ装置1は、振動板を構成するミラー板4の外周部4cを支持するための矢紙やフレーム等の支持部材を不要とした小型で構造簡易な構成であることから、限られたスペースのミラーカバー6の内部に収納可能であるとともに部品点数も少なく組立工程が合理化されてコストの低減が図られて製造される。さらに、パネル型スピーカ装置1は、ミラー板4が大きな振動面積を有することから、従来の内蔵スピーカ装置と比較してより大きな音量かつ良好な状態で音声ガイドや警告等の再生出力を可能とする。
【0039】
ところで、パネル型スピーカ装置1においては、上述したようにドライバユニット5がボビン11の端部をミラー板4の被駆動面4dに接合固定することにより、この接合部においてミラー板4に対する駆動部を構成している。このため、パネル型スピーカ装置1は、高周波数帯域の入力周波数が印加された場合において、ボビン11の外側に大きな振動が伝達され難いといった特徴を有している。パネル型スピーカ装置1においては、高周波数帯域の入力周波数に関して放射される音圧のエネルギーの多くがミラー板4の全体からではなく、その接合部から放出される。
【0040】
パネル型スピーカ装置1は、高周波数帯域における有効帯域を伸ばすために、ミラー板4に対してドライバユニット5をそのボビン11や取付プレートを楕円形のリング状或いは矩形の接合部を介して取り付けるように構成してもよい。パネル型スピーカ装置1は、かかるミラー板4とドライバユニット5との接合構造によって高周波数帯域の特性が変化される。パネル型スピーカ装置1は、これによって高周波数帯域で共振状態となる周波数帯域や振幅の調整が可能とされ、低周波数帯域及び中周波数帯域の特性とつなぎ合わせることで高周波数帯域における周波数応答特性をより広くとることが可能とされる。
【0041】
また、パネル型スピーカ装置1は、高周波数帯域における周波数応答特性の改善を図るために、例えばドライバユニット5が接合固定されるミラー板4の全部或いは一部を材質を異にする取付板によって構成してもよい。取付板は、例えばミラー板4を合成樹脂によって成形する際に、インサート成形法によって一体化されてなり、特定の入力周波数に対する応答特性を改善する材質のものが選定される。したがって、パネル型スピーカ装置1は、ミラー板4と取付板とで振動特性を異にするために、機械的にいわゆる2ウェイスピーカ装置と同等の機能を有するようになる。
【0042】
パネル型スピーカ装置1は、ミラー板4に振動を吸収しやすい材質によって形成された質量成分材を設けて構成してもよい。質量成分材としては、例えばテープ状とされた鉛材からなり、ミラー板4に対してその放音面4aの外周部4cに全周に亘って貼着する。パネル型スピーカ装置1は、上述したようにミラー板4がその外周部4cを非拘束状態とされることにより低周波数帯域でもこの外周部4cで振動が生じ易くなるようにして低周波数帯域での安定した再生出力を得ることができるように構成されている。パネル型スピーカ装置1は、この外周部4cに質量成分材を設けて低周波数帯域での振動モードの発生周波数を下げることで、再生有効周波数帯域の拡張が図られる。なお、質量成分材については、上述したテープ状の鉛材に限定されるものでは無く、その他の振動損失の大きな材料或いは防振降下の大きな材料等によって形成してもよいことは勿論である。
【0043】
ところで、上述したパネル型スピーカ装置1においては、ミラー板4を1個のドライバユニット5によって駆動するように構成したが、本発明はかかる構成に限定されるものではなく、多数個のドライバユニットを備えてミラー板4を駆動するように構成してもよいことは勿論である。パネル型スピーカ装置1は、かかる構成によってミラー板4が多数個のドライバユニットによって大きな面積の振動領域を以って駆動されるようになることから、低周波数帯域での感度の向上が図られるとともにより低い動作周波数が確保される。
【0044】
本発明の第2の実施の形態として図6に示したパネル型スピーカ装置20は、ミラー板4を駆動するために3個のドライバユニット21a乃至21cを備えてなる。なお、以下の説明において、複数からなる部材、部位については、最初にこのように表記するが、以降の説明では特に個別に説明する以外はドライバユニット21のように総称して表記する。各ドライバユニット21は、上述したパネル型スピーカ装置1のドライバユニット5と同一のものが用いられることからその説明を省略する。パネル型スピーカ装置20は、各ドライバユニット21に対して再生入力信号を供給するナビゲーション装置本体3側の入力部22の構成に特徴を有している。すなわち、パネル型スピーカ装置20は、各ドライバユニット21に対して入力部22を介してそれぞれ独立に再生入力信号の供給或いは位相の切換等を行って駆動するように構成されている。
【0045】
入力部22は、音声出力部23から供給される再生入力信号を増幅するアンプ24と、このアンプ24と各ドライバユニット21との間に互いに独立してそれぞれ接続された切換スイッチ25a乃至25cとボリューム26a乃至26cとからなる直列回路とから構成される。各切換スイッチ25は、例えば各ドライバユニット5に対する再生入力信号の入力のオン/オフの切換操作とともに、入力オン状態で再生入力信号の位相の切換操作とを行う。各ボリューム26は、各ドライバユニット5に対してそれぞれ入力される再生入力信号のレベル調整を行ってこれら各ドライバユニット5の感度を個々に調整するようにする。
【0046】
以上のように構成されたパネル型スピーカ装置20には、音声出力部23を介して入力部22から必要とされる位相成分を有する再生入力信号が供給される。パネル型スピーカ装置20は、各ドライバユニット21がそれぞれ独立に動作されてミラー板4を駆動して音声ガイドや警告等の再生出力を放音する。したがって、パネル型スピーカ装置20は、特別な回路素子や切換装置等を不要とするとともに使用者による極めて簡単な操作によって、音場や音質等を適宜変えた再生出力を得ることを可能とする。
【0047】
本発明の第3の実施の形態として図7に示したパネル型スピーカ装置30は、上述したパネル型スピーカ装置20と同様にミラー板4を駆動する3個のドライバユニット31a乃至31cを備えており、これら各ドライバユニット31に対して再生入力信号を供給する入力部32の構成に特徴を有している。すなわち、パネル型スピーカ装置システム30は、入力部32において再生入力信号を3つの周波数帯域に分割するとともに位相調整を行ってこれを合成した後、各ドライバユニット31に供給することによってミラー板4を駆動するように構成されてなる。
【0048】
入力部32は、音声出力部33から再生入力信号が供給されるバンドパスフィルタ34a乃至34cと、これらバンドパスフィルタ34にそれぞれ接続された切換スイッチユニット35乃至37と、これら切換スイッチユニット35乃至37を介してそれぞれ再生入力信号が供給されるミキサ38a乃至38cと、各ミキサ38と各ドライバユニット31との間にそれぞれ介挿されたアンプ39a乃至39c等によって構成されている。バンドパスフィルタ34は、コンピュータ本体33から供給される再生入力信号をそれぞれ所定の周波数帯域に分割する。
【0049】
各切換スイッチユニット35乃至37は、それぞれミキサ38に接続された各3個の切換スイッチ35a乃至35c、36a乃至36c、37a乃至37cによって構成されている。これら切換スイッチ35a乃至35c、36a乃至36c、37a乃至37cは、例えば各ミキサ38に対するそれぞれ再生入力信号の入力のオン/オフの切換操作とともに、入力オン状態で再生入力信号の位相の切換操作とを行う。各ミキサ38は、各切換スイッチユニット35乃至37からそれぞれ供給される所定の周波数帯域の再生入力信号を合成して各アンプ39へと入力する。各アンプ39は、合成再生入力信号を増幅してドライバユニット31に供給する。
【0050】
パネル型スピーカ装置30は、以上のように構成されることにより、音声出力部33から供給される再生入力信号が、入力部32において3つの周波数帯域に分割されるとともに必要とされる位相成分に調整されて入力される。パネル型スピーカ装置30は、各ドライバユニット31がそれぞれ独立に動作されてミラー板4を駆動して再生音を放出する。パネル型スピーカ装置30は、例えば低周波数帯域では各ドライバユニット31に全て同相成分の再生入力信号が供給されるとともに中周波数帯域及び高周波数帯域では逆相成分の再生入力信号が供給されるように構成する。具体的には、パネル型スピーカ装置30は、中周波数帯域及び高周波数帯域において、例えば上下のドライバユニット31a、31cに正相成分の再生入力信号が入力されるとともに、中央部のドライバユニット31bに逆相成分の再生入力信号が入力される。
【0051】
パネル型スピーカ装置30は、低周波数帯域で同相成分の再生入力信号が各ドライバユニット31に供給されることにより、ミラー板4により大きな曲げ動作が生じる。したがって、パネル型スピーカ装置30は、上述したようにミラー板4の外周部4cに質量成分材を貼着した場合と同様に低周波数帯域でのピークが生成されて応答特性の向上、すなわち感度の向上が図られるようになる。また、パネル型スピーカ装置30は、中周波数帯域及び高周波数帯域で逆相成分の再生入力信号を各ドライバユニット31に供給することによって、互いに相殺される周波数帯域が生じて全体の感度が低下することから全体的に感度が平坦化が図られた再生出力が出力されるようになる。
【0052】
なお、パネル型スピーカ装置30は、上述したように中央部のドライバユニット31bに逆相成分の再生入力信号を入力することでミラー板4に大きな曲げ動作が生じ、このミラー板4の材質特有の再生音が出力されるようになる。したがって、パネル型スピーカ装置30は、特定の周波数帯域において入力部32の切換スイッチユニット35乃至37の切換操作によってドライバユニット31bに逆相入力を行い、独特な再生音を生成することが可能となる。
【0053】
本発明の第4の実施の形態として図8に示したパネル型スピーカ装置40は、例えば上述したディップ部分や過度のピークの発生を抑制して周波数応答特性の平坦化を図るために3個のデジタルフィルタ44a乃至44cを備えて構成されてなる。すなわち、パネル型スピーカ装置40は、上述したパネル型スピーカ装置30と同様にミラー板4を駆動する3個のドライバユニット41a乃至41cと、これら各ドライバユニット41に対して再生入力信号を供給する入力部42とから構成されている。入力部42は、音声出力部43から供給される再生入力信号に対して適当な信号処理を施す3個のフィルタ44a乃至44cと、これら各フィルタ44を通過した再生入力信号を増幅して各ドライバユニット41をそれぞれ駆動するアンプ45a乃至45cとから構成される。
【0054】
パネル型スピーカ装置40においては、音声出力部43から供給される再生入力信号が、例えばインパルス応答の逆フィルタ作用を奏する各フィルタ44によって上述したディップ部分や過度のピークを発生させる特定の周波数帯域を分離する等の信号処理を施されてアンプ45を介して各ドライバユニット41に供給される。パネル型スピーカ装置40は、これによって再生周波数特性の平坦化が図られた再生出力が放音されるようになる。なお、パネル型スピーカ装置40は、各フィルタ44を適宜選択することによって、特定の周波数帯域のみを強調させた再生出力を放音することも可能となる。また、各フィルタ44には、適宜のデジタルフィルタ或いはアナログフィルタが用いられ、再生入力信号に対して特定の周波数帯域の分離処理ばかりでなく振幅や位相等の適宜の信号処理を行うものが用いられる。
【0055】
なお、パネル型スピーカ装置40においては、信号処理を施して各ドライバユニット41に再生入力信号を供給してこれらを駆動する各フィルタ44について、それぞれのフィルタ係数に適当な遅れ成分を付与して構成するようにしてもよい。パネル型スピーカ装置40は、かかる構成によってミラー板4から放音される再生出力の音波波面が制御されてその主軸を正面から適宜ずらすことが可能となることから、拡声化が図られる。
【0056】
また、パネル型スピーカ装置40においては、所定の信号処理を施して各ドライバユニット41に再生入力信号を供給してこれらを駆動する各フィルタ44について、それぞれのフィルタ係数に適宜の振幅成分を付与して構成してもよい。パネル型スピーカ装置40は、かかる構成を採用することによって、スピーカアレィと同様に指向性を付与することが可能となる。したがって、パネル型スピーカ装置40は、放音部が1枚のミラー板4によって構成されるが、複数の入力音源に対しても指向性の制御が可能なスピーカ装置を構成する。
【0057】
本発明の第5の実施の形態として図9に示したパネル型スピーカ装置50は、上述したパネル型スピーカ装置40を基本として、目標とする最適な特性を得るフィルタ55を入力部52に備える展開例を示したものである。このパネル型スピーカ装置50も、ミラー板4を駆動する3個のドライバユニット51a乃至51cと、これら各ドライバユニット51に対して再生入力信号を供給する入力部52とから構成されてなる。入力部52は、音声出力部53から再生入力信号がそれぞれ供給される第1のアンプ54と、フィルタ55及びこのフィルタ55に接続された第2のアンプ56とを備える。
【0058】
パネル型スピーカ装置50は、入力部52の第1のアンプ54を介して供給される再生入力信号によって上下に配置された第1のドライバユニット51aと第3のドライバユニット51cとが駆動される。また、パネル型スピーカ装置50は、入力部52のフィルタ55によって所定の信号処理を施された再生入力信号が第2のアンプ56を介して供給されることによって中央部に配置された第2のドライバユニット51bが駆動される。パネル型スピーカ装置50は、このように第2のドライバユニット51bに所定の信号処理を施した再生入力信号を供給することで、ミラー板4に発生する振動モードを制御する。
【0059】
パネル型スピーカ装置50は、例えばフィルタ55において再生入力信号の逆相処理を行うことによって、第2のドライバユニット51bを第1のドライバユニット51aと第3のドライバユニット51cに対して異なる位相で駆動するようにする。パネル型スピーカ装置50は、かかる構成によって通常の材料解析では予測し得ない振動モードでミラー板4の駆動が可能となり、結果的に上述したディップ部分や過度のピークの発生が抑制される。
【0060】
パネル型スピーカ装置においては、振動板に幾何学的に対称位置に配置されたドライバユニットに互いに逆相の再生入力信号を供給して駆動することにより、ある特定の周波数帯域において振動板の材質にかかわらずこれらドライバユニットの等間隔位置で振動の節を強制的に生成することが可能となる。したがって、パネル型スピーカ装置では、かかる現象を巧みに利用することにより上述した各周波数帯域の感度調整、再生周波数特性の改善或いは音場や音質の調整等が可能となる。勿論、再生入力信号の信号処理は、各ドライバユニットに対してフィルタを適宜に組合せることによって行うようにしてもよい。
【0061】
本発明の第6の実施の形態として図10に示したパネル型スピーカ装置60は、ミラー板4と、5個のドライブユニット61a乃至61eと、音声出力部63a、63bから供給される再生入力信号を処理して各ドライブユニット61に入力する入力部62とによって構成されてなる。勿論、パネル型スピーカ装置60は、上述した各パネル型スピーカ装置と同様に、3個のドライブユニットによって1枚のミラー板4を駆動するように構成してもよい。
【0062】
入力部62は、第1の音声出力部63aから供給される再生入力信号に対して順次大きな遅れ成分da1、da2、da3、da4を付与する第1の遅れ成分供給回路64a1乃至64a4及び第2の音声出力部63bから供給される再生入力信号に対して順次大きな遅れ成分db1、db2、db3、db4を付与する第2の遅れ成分供給回路64b1乃至64b4が備えられている。また、入力部62には、第1のミキサ65a乃至第5のミキサ65eと、これらミキサ65においてミキシングされた再生入力信号が供給されて各ドライバユニット61をそれぞれ駆動する第1のアンプ66a乃至第5のアンプ66eとが備えられている。
【0063】
第1のミキサ65aは、第1の音声出力部63aから供給された再生入力信号と第2の音声出力部63bから供給されて遅れ成分db4が付与された再生入力信号とをミキシングする。第2のミキサ65bは、第1の音声出力部63aから供給されて遅れ成分da1が付与された再生入力信号と第2の音声出力部63bから供給されて遅れ成分db3が付与された再生入力信号とをミキシングする。第3のミキサ65cは、第1の音声出力部63aから供給されて遅れ成分da2が付与された再生入力信号と第2の音声出力部63bから供給されて遅れ成分db2が付与された再生入力信号とをミキシングする。第4のミキサ65dは、第1の音声出力部63aから供給されて遅れ成分da3が付与された再生入力信号と第2の音声出力部63bから供給されて遅れ成分db1が付与された再生入力信号とをミキシングする。さらに、第5のミキサ65eは、第1の音声出力部63aから供給されて遅れ成分da4が付与された再生入力信号と第2の音声出力部63bから供給された再生入力信号とをミキシングする。
【0064】
パネル型スピーカ装置60は、第1の音声出力部63aと第2の音声出力部63bとからそれぞれ供給される再生入力信号が、遅れ成分の重みを変えた信号処理を施されて各ドライバユニット61に供給される。したがって、パネル型スピーカ装置60においては、第1の音声出力部63aの再生入力信号に基づいて、遅れ成分dに応じて第1のドライバユニット61aから第5のドライバユニット61eに向かって次第に駆動が行われる。また、パネル型スピーカ装置60においては、第2の音声出力部63bの再生入力信号に基づいて、遅れ成分dに応じて第5のドライバユニット61eと第1のドライバユニット61aに向かって次第に駆動が行われる。
【0065】
パネル型スピーカ装置60は、上述した動作によって、第1の音声出力部63aの再生入力信号に基づく再生出力がミラー板4の放音面4aから図8の矢印AAで示す方向へと放音される。また、パネル型スピーカ装置60は、第2の音声出力部63bの再生入力信号に基づく再生出力がミラー板4の放音面4aから同図BBで示す方向へと放音される。したがって、パネル型スピーカ装置60においては、2チャンネルの音声出力部に対してそれぞれ異にする指向性が付与される。
【0066】
本発明の第7の実施の形態として図11に示したパネル型スピーカ装置70は、ミラー板4を5個のドライブユニット71a乃至71eによって駆動するとともに2つの音声出力部73a、73bからそれぞれ再生入力信号を供給する構成について上述したパネル型スピーカ装置60と同様とするが、2つの音声出力部73から供給される再生入力信号を信号処理する入力部72の構成に特徴を有している。勿論、このパネル型スピーカ装置70についても、上述した各パネル型スピーカ装置と同様に、3個のドライブユニットによってミラー板4を駆動するように構成してもよい。
【0067】
すなわち、入力部72には、第1の音声出力部73aから供給される再生入力信号を信号処理する5個の第1のフィルタ74a1乃至74a5と、第2の音声出力部73bから供給される再生入力信号を信号処理する5個の第2のフィルタ74b1乃至74b5からなる10個のフィルタ74が備えられている。また、入力部73には、信号処理された第1の音声出力部73aから供給された再生入力信号と第2の音声出力部73bから供給された再生入力信号とをミキシングする5個のミキサ75a乃至75eと、これらミキサ75においてそれぞれミキシングされた再生入力信号が入力されることによって各ドライバユニット71をそれぞれ駆動する5個のアンプ76a乃至76eとが備えられている。
【0068】
第1のミキサ75aは、第1の音声出力部73aから供給されて第1のフィルタ74a1において信号処理された再生入力信号と、第2の音声出力部73bから供給されて第5のフィルタ74b5において信号処理された再生入力信号とが入力され、これらをチャンネル合成して第1アンプの76aに供給する。第2のミキサ75bは、第1の音声出力部73aから供給されて第2のフィルタ74a2において信号処理された再生入力信号と、第2の音声出力部73bから供給されて第4のフィルタ74b4において信号処理された再生入力信号とが入力され、これらをチャンネル合成して第2のアンプ76bに供給する。第3のミキサ75cは、第1の音声出力部73aから供給されて第3のフィルタ74a3において信号処理された再生入力信号と、第2の音声出力部74bから供給されて第3のフィルタ74b3において信号処理された再生入力信号とが入力され、これらをチャンネル合成して第3のアンプ76cに供給する。
【0069】
さらに、第4のミキサ75dは、第1の音声出力部73aから供給されて第4のフィルタ74a4において信号処理された再生入力信号と、第2の音声出力部73bから供給されて第2のフィルタ74b2において信号処理された再生入力信号とが入力され、これらをチャンネル合成して第4のアンプ76dへと供給する。また、第5のミキサ75eは、第1の音声出力部73aから供給されて第5のフィルタ74a5において信号処理された再生入力信号と、第2の音声出力部73bから供給されて第1のフィルタ74b1において信号処理された再生入力信号とが入力され、これらをチャンネル合成して第5のアンプ76eへと供給する。
【0070】
各フィルタ74a、74bには、上述したパネル型スピーカ装置40に用いたフィルタ44と同様に、例えば各フィルタ74a、74bに入力される再生入力信号に対して所定の周波数帯域の選択、任意の位相或いは振幅の信号処理を施すフィルタ係数を有するものが用いられる。パネル型スピーカ装置70は、最適なフィルタ74a、74bを用いることによって、上述したパネル型スピーカ装置60と比較してより効果的な指向特性をえることが可能となる。
【0071】
また、パネル型スピーカ装置70においては、各フィルタ74a、74bによってミラー板4を駆動する各ドライバユニット71に供給する再生入力信号について特定の周波数帯域の制御を行うように構成してもよい。パネル型スピーカ装置70は、これによってミラー板4中に多数の腹、節を有する振動モードを生成することが可能となり、振動モードの各腹の部位が発音源とみなされる。スピーカアレイにおいては、一般に高周波数帯域まで指向性を狭くする効果を得るために発音源の個数を多くとる必要があり、コストがアップするとともに装置が大型化しかつ使用者に圧迫感を与えるといった問題がある。パネル型スピーカ装置70は、上述したようにより少数のドライバユニット71によって目的とする狭指向性を得ることが可能となり、かつ放音面もミラー板4の放音面4ak1個であることから小型で廉価に構成されて上述した問題点を解決する。なお、このパネル型スピーカ装置70における狭指向性の向上は、上述した各パネル型スピーカ装置によっても達成されることは勿論である。
【0072】
さらに、パネル型スピーカ装置70においては、例えば各フィルタ74a、74bにそのフィルタ係数を経時的に更新させるように制御する制御部を設けることによって指向特性を変化させるように構成してもよい。パネル型スピーカ装置70は、かかる構成を採用することによって特殊な機械的構成を用いることなく放音軸の回転、移動等の特殊な音響効果の生成が可能となる。勿論、かかる構成は、上述した各パネル型スピーカ装置にも採用することができる。
【0073】
本発明においては、上述した各実施の形態で説明した個々の技術を適宜に組み合わせ、これらを電気的或いは機械的に切り換えて振動板を駆動するように構成してもよい。パネル型スピーカ装置は、上述した第2の実施の形態のパネル型スピーカ装置20乃至第7の実施の形態のパネル型スピーカ装置70に示したようにミラー板4を多数個のドライバユニットによって駆動するように構成することによって、指向特性ばかりでなく低周波数帯域から高周波数帯域まで優れた音質と音量による再生出力を可能とする。したがって、パネル型スピーカ装置は、ナビゲーション装置のスピーカ装置ばかりでなく、搭載されたラジオ受信機やカーステレオのスピーカ装置として用いることも充分に対応可能である。
【0074】
また、上述した各実施の形態においては、パネル型スピーカ装置を乗用車等のバックミラー装置として兼用する場合を示したが、例えば各部屋等に配置される姿見等の鏡板を振動板として兼用することによって新規なスピーカ装置を構成してもよいことは勿論である。パネル型スピーカ装置は、室内の場所をとらずまた雰囲気を損なわずにスピーカシステムを構築する。
【0075】
【発明の効果】
上述したように、本発明にかかるパネル型スピーカ装置は、供給された再生入力信号に基づいてドライバユニットによって駆動されて再生出力を放音する振動体を鏡板によって構成したことにより、従来のように大型のスピーカボックスを設置して室内等の雰囲気を損なうことが無い新規なスピーカシステムを構築することができる。
このパネル型スピーカ装置は、特に自動車用のバックミラー装置の鏡板を振動体として搭載されたナビゲーションシステム等のスピーカ装置を構成することによって、限られた車内に場所をとらずに設置でき、音声ガイドや警報音等をエンジン音や走行音によってマスキングされることなく充分な音量と良好な音質で運転者には勿論のこと同乗者に対しても充分な音量と良好な音質で報知する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態として示すパネル型スピーカ装置をナビゲーション装置のスピーカ装置として、バックミラー装置に適用した使用状態の斜視図である。
【図2】同パネル型スピーカ装置の要部縦断面図である。
【図3】同パネル型スピーカ装置の要部縦断面図である。
【図4】同パネル型スピーカ装置の振動板を構成するミラー板の振動モードの状態を説明する図である。
【図5】同パネル型スピーカ装置の入力周波数に応じた指向特性の測定図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態として示すミラー板を3個のドライバユニットによって駆動するパネル型スピーカ装置の要部構成図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態として示すミラー板を3個のドライバユニットによって駆動する他のパネル型スピーカ装置の要部構成図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態として示すミラー板を3個のドライバユニットによって駆動する他のパネル型スピーカ装置の要部構成図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態として示すミラー板を3個のドライバユニットによって駆動する他のパネル型スピーカ装置の要部構成図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態として示すミラー板を5個のドライバユニットによって駆動するパネル型スピーカ装置の要部構成図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態として示す振動板を5個のドライバユニットによって駆動する他のパネル型スピーカ装置の要部構成図である。
【符号の説明】
1 パネル型スピーカ装置(バックミラー装置)、2 コンソールボックス、3 ナビゲーション装置本体、4 ミラー板、4aミラー面(放音面)、4b 被駆動面、4c 外周部、5 ドライバユニット、6 ミラーカバー、7 透明基板、8 反射層、9 ボイスコイル、10 磁気回路、11 ボビン、12 コイル部、13 センタポール、14 マグネット、15 プレート、16 ダンパ

Claims (3)

  1. ガラス又は透明な合成樹脂材料によって剛性を有するパネル状に形成されるとともに外周部をほぼ非拘束状態で支持されてなる鏡板と、
    上記鏡板の主面に取り付けられるとともに再生入力信号に基づいて上記鏡板に部分的な曲げ動作を生じさせる加振動源を構成する少なくとも1個以上のドライバユニットと、
    外周部が上記鏡板の周囲に延在するように形成されるとともに内面側に上記ドライバユニットが取り付けられているミラーカバーとを備え、
    上記鏡板が、上記ドライバユニットによって駆動されて再生入力信号に基づく再生出力を放音する振動体として作用することを特徴とするパネル型スピーカ装置。
  2. 上記鏡板は、自動車用のバックミラー装置の鏡板であり、搭載される音響再生装置、ナビゲーションシステム、警報装置のいずれ一のスピーカ装置の振動体を構成することを特徴とする請求項1記載のパネル型スピーカ装置。
  3. 上記ミラーカバーの背面部に自在継手機構を設け、上記自在継手機構を介して取付アームが設けられていることを特徴とする請求項1記載のパネル型スピーカ装置。
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