JP3859556B2 - スラグ生成方法およびスラグ生成設備 - Google Patents

スラグ生成方法およびスラグ生成設備 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、灰溶融炉から排出される溶融スラグを冷却して固化するスラグ生成方法およびスラグ生成設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、灰溶融炉から排出される溶融スラグは、直接冷却水中に投入して冷却することにより水砕スラグを生成するものがあり、また溶融スラグをバケットなどに収容して自然空冷するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、水冷により生成される水砕スラグは、熱応力による割れのために細粒となり、またガラス質状の非結晶質であるため、圧縮強度が小さいという問題があった。このため、たとえば道路用アスファルトの骨材として使用する場合、水砕スラグには細粒が多く、規格上許容される粒度分布の範囲が狭い。また圧縮強度が低いために添加できる量が限られ、歩留まりが悪く有効利用されにくいという問題があった。
【0004】
一方、自然空冷されるスラグは、結晶質で圧縮強度は十分であるが、固化に長時間を要するため、広い空冷エリアが必要で、生産性が低いという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決して、十分な圧縮強度を確保できるとともに、短時間に冷却できて生産性が高いスラグ生成方法およびスラグ生成設備を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載のスラグ生成方法は、焼却炉から排出される灰を加熱溶融して得られた溶融スラグを冷却して固化スラグを生成するに際し、灰にFeを添加して、灰の成分中のFeの濃度を30wt%を越えて70wt%以下の範囲となるように成分調整し、前記灰を加熱溶融して生成された1200〜900℃の溶融スラグを、入口側から成形間隙を介して出口側に相対方向に回動される一対の冷却用無端回動体間に導入して板状スラグを形成した後、さらにこの板状スラグを放熱制御し、前記冷却用無端回動体と前記放熱制御とにより、1200〜900℃の溶融スラグを100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却し、結晶析出点を通過させ結晶化度10%以上の固化スラグを得るものである。
【0007】
上記構成によれば、灰のFeの濃度を30wt%を越えて70wt%以下の範囲に調整し、冷却用無端回動体と放熱制御とにより、1200〜900℃の溶融スラグを100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却して結晶析出点を通過させ、結晶化度10%以上の固化スラグを得ることにより、規格上許容される粒度分布の範囲が広いスラグを生成することができ、またアスファルトの骨材に必要な十分な圧縮強度を得ることができ、十分な添加量を確保できる。また自然空冷されるスラグに比較して、固化を短時間で行うことができ、しかも、広い空冷エリアも不要で、生産性が高い。
【0008】
請求項2記載のスラグ生成方法は、焼却炉から排出される灰を加熱溶融して得られた溶融スラグを冷却して固化スラグを生成するに際し、灰を、炉底に収容されたベースメタルと電極との間に形成されたアークプラズマにより加熱するプラズマ式溶融炉に投入して加熱溶融し、前記溶融炉から排出されFeの濃度が30wt%を越えて70wt%以下の範囲となる溶融スラグを、入口側から成形間隙を介して出口側に相対方向に回動される一対の冷却用無端回動体間に導入して板状スラグを形成した後、さらにこの板状スラグを放熱制御し、前記冷却用無端回動体と前記放熱制御とにより、1200〜900℃の溶融スラグを100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却し、結晶析出点を通過させ結晶化度10%以上の固化スラグを得るものである。
【0009】
上記構成によれば、プラズマ式溶融炉内でベースメタルと接触することにより溶融スラグのFeの濃度を30wt%を越えて70wt%以下の範囲とすることができ、冷却用無端回動体と放熱制御とにより、1200〜900℃の溶融スラグを100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却し結晶析出点を通過させることで、固化スラグを得ることができる。これにより、後の工程で板状スラグを破砕して、規格上許容される粒度分布の範囲が広いスラグを生成することができ、またアスファルトの骨材に必要な十分な圧縮強度を得ることができ、十分な添加量を確保できる。また自然空冷されるスラグに比較して、固化を短時間で行うことができ、しかも、広い空冷エリアも不要で、生産性が高い。
【0010】
請求項3記載のスラグ生成方法は、請求項1または2記載の構成において、溶融スラグのFe の濃度を30wt%を越えて40wt%以下としたものである。
【0011】
上記構成によれば、板状スラグの結晶化度が20〜40%で凝固させやすく、一軸強度を2000〜4000×10 Paと比較的破砕しやすい強度にすることができる。
【0012】
請求項4記載のスラグ生成方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、板状スラグの平均冷却速度を、板厚が1mm未満の時に100℃/分以上で150℃/分以下とし、板厚が1mm以上2.5mm未満の時に130℃/分以上で180℃/分以下とし、板厚が2.5mm以上4mm以下の時に150℃/分以上で200℃/分以下としたものである。
【0013】
上記構成によれば、無回動端体により形成される板厚に対応して平均冷却速度を制御することにより、結晶化度を確実に10%以上として、必要な圧縮強度を安定して確保することができるとともに、結晶化が進み圧縮強度が大きくなり過ぎることがなく、破砕工程で余分な破砕動力を不要とすることができる。
【0014】
請求項5記載のスラグ生成設備は、請求項1記載のスラグ生成方法を実施するスラグ生成設備であって、溶融スラグ成分中のFe30wt%を越えて70wt%以下の範囲となるように、溶融前の灰に不足する成分調整材を添加して成分調整する調整材添加装置と、灰を加熱溶融する溶融炉と、対向部が下方に移動するように相対方向に回動される一対の冷却用無端回動体間を通過させて、溶融スラグを板状スラグに冷却成形するスラグ冷却装置と、前記スラグ冷却装置から排出された板状スラグを通過させてその放熱を制御可能な放熱制御室とを具備し、前記スラグ冷却装置および前記放熱制御室により1200〜900℃の溶融スラグを100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却するように構成したものである。
【0015】
上記構成によれば、調整材添加装置により灰のFeの濃度を30wt%を越えて70wt%以下の範囲に調整して、冷却用無端回動体により板状スラグを成形し、冷却用無端回動体による直接冷却と放熱制御室内での放熱制御とにより、1200〜900℃の溶融スラグを100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却して結晶析出点を通過させ、結晶化度10%以上の板状スラグを得ることができる。この板状スラグは、後の工程で破砕して規格上許容される粒度分布の範囲が広いスラグを生成することができ、またアスファルトの骨材に必要な十分な圧縮強度を得ることができて、骨材として十分な添加量を確保できる。また自然空冷されるスラグに比較して、固化を短時間で行うことができ、しかも広い空冷エリアも不要で、生産性が高い。
【0016】
請求項6記載のスラグ生成設備は、請求項2記載のスラグ生成方法を実施するスラグ生成設備であって、炉底に収容されたベースメタルと電極との間に形成されたアークプラズマにより灰を加熱溶融し、生成される溶融スラグのFe の濃度を30wt%を越えて70wt%以下の範囲とするプラズマ式溶融炉と、入口側から成形隙間を介して出口側に相対方向に回動される一対の冷却用無端回動体間を通過させて、溶融スラグを板状スラグに冷却成形するスラグ冷却装置と、前記スラグ冷却装置から排出された板状スラグを通過させてその放熱を制御可能な放熱制御室とを具備し、前記スラグ冷却装置および前記放熱制御室により1200〜900℃の溶融スラグを100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却するように構成したものである。
【0017】
上記構成によれば、プラズマ式溶融炉のベースメタル上で溶融されることにより、溶融スラグのFeの濃度を30wt%を越えて70wt%以下の範囲とすることができ、この溶融スラグを、冷却用無端回動体により板状スラグに成形し、冷却用無端回動体による直接冷却と放熱制御室内での放熱制御とにより、1200〜900℃の溶融スラグを100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却して結晶析出点を通過させ、結晶化度10%以上の板状スラグを得ることができる。この板状スラグを後の工程で破砕して、規格上許容される粒度分布の範囲が広いスラグを生成することができ、またアスファルトの骨材に必要な十分な圧縮強度を得ることができて、骨材として十分な添加量を確保できる。また自然空冷されるスラグに比較して、固化を短時間で行うことができ、しかも広い空冷エリアも不要で、生産性が高い。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項5または6記載のスラグ生成設備において、冷却用無端回動体の入口または出口で検出されたスラグ温度と、放熱制御室の出口で検出された板状スラグ温度とに基づいて、前記冷却用無端回動体に供給する冷却流体の供給量を制御する冷却速度制御部を設けたものである。
【0019】
上記構成によれば、冷却速度制御部により板状スラグの平均冷却速度を精度良く制御することができ、安定して結晶化度を10%以上の板状スラグを製造することができる。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項5乃至7のいずれかに記載のスラグ生成設備において、冷却用無端回動体出口の板状スラグの板厚を計測する板厚検出手段と、前記板厚検出手段の計測値に基づいて、冷却用無端回動体の移動速度を制御して板状スラグの板厚を一定に保持するスラグ厚み制御部とを設けたものである。
【0021】
上記構成によれば、スラグ厚み制御部により板状スラグの板厚を一定にすることができ、平均冷却速度の制御を容易に行えて安定した品質の板状スラグを製造できると共に、後工程の破砕も安定して行うことができる。
【0022】
請求項9の発明は、請求項5乃至8のいずれかに記載のスラグ生成設備において、冷却用無端回動体を冷却用ロールにより構成し、前記冷却用ロールの、少なくとも溶融スラグが接する外周部を耐熱性および機械的強度を具備し熱伝導率が低い材質により形成したものである。
【0023】
上記構成によれば、溶融スラグの冷却速度を十分に遅くして結晶化度を上げることができ、板状スラグの圧縮強度を上げることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明に係るスラグの冷却方法を実施するためのスラグ製造設備の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0025】
図1に示すように、このスラグ生成設備は、たとえば溶融炉(図1ではプラズマ式)21から連続して排出される溶融スラグMをスラグ冷却装置1に導入し、スラグ冷却装置1の冷却用無端回動体の一例である冷却用ロール2A,2Bにより冷却しつつ少なくとも表面が固化(凝固)された板状スラグCSに成形し、その平均冷却速度を水冷に比べて十分に遅くしてスラグの結晶化度を高め、板状スラグCSの圧縮強度を、アスファルトなどの骨材として使用可能な一軸圧縮強度=980×104Pa以上(100kgf/cm2以上)に高めるもので、自然空冷に比べて大幅な冷却時間の短縮を図り、生産性を高めることができるものである。
【0026】
この実施の形態では、灰溶融炉21に、排出されるスラグの成分中に多くの酸化鉄Fe23(通常成分中に約20wt%〜50wt%)が含まれるプラズマ式が採用されており、炉本体22の一端側に灰投入口23が形成されるとともに、他端側にスラグ排出口24が形成されている。灰投入口23には、灰ホッパ25の灰Aを所定量ずつ炉本体22内に供給する灰プッシャー26が配置されている。
【0027】
そして炉本体22の底部に、ベースメタルBMが収容され、炉本体2の天部には、昇降位置調整装置(図示せず)を介して複数の電極(陰電極および陽電極)28が昇降自在に垂下されており、炉本体22および電極28に形成されたガス供給孔29から不活性ガス(たとえば窒素ガス)を炉本体22内に充填されて不活性ガス(酸素不足)雰囲気に保持し、電源装置30から供給された電流により、電極28とベースメタルBMとの間にプラズマアークを発生させ、溶融ベースメタルBM上に投入された灰Aを加熱溶融して溶融スラグMSを生成する。スラグ排出口24には、一定量を越えた溶融スラグMSをオーバーフローさせて排出する堰部31が設けられ、スラグ排出口24から溶融スラグMSをほぼ連続して滴下排出するように構成されている。なお、プラズマアークを停止後、炉本体22を傾斜させて溶融スラグをスラグ排出口24から排出するものであってもよい。
【0028】
スラグ冷却装置1は、図1〜図3に示すように、基台フレーム3上に溶融炉21のスラグ排出口24側下位と外側上位に水平方向の前後一対の冷却用ロール2A,2Bがロール軸受4A,4Bを介して回転自在に配置されている。そして前記ロール軸受4A,4Bのうち、外側上位側のロール軸受4Bが手前側の固定ロール軸受4Aに対して接近離間自在な可動式に構成されて、固定冷却用ロール2Aと可動冷却用ロール2Bが配置される。可動冷却用ロール2Bの可動ロール軸受4Bに、たとえば駆動源をコイルばねやエアシリンダなどからなる付勢機構を有するロール付勢装置を設置してもよいが、ここでは可動冷却用ロール2Bの自重と冷却水(冷却流体)の重量を利用して、固定冷却用ロール2A側に付勢するように構成されており、その加圧力は、ウェイトなどを使用することでたとえば9.8×105〜9.8×106Pa(10〜100kg/mm)の範囲で調整可能となっている。そして、両冷却用ロール2A,2Bは、ロール回転駆動装置(電動または油圧モータ)6により、チェーンとスプロケット、分配ギヤなどからなる連動機構7を介して相対方向に同期速度で回転駆動される。
【0029】
前記冷却用ロール2A,2Bは同一構造で、ガイド堰20と冷却手段8を具備している。この冷却手段8は大型の灰溶融炉21から連続的に溶融スラグMSが供給されるような大規模な設備に適したもので、回転軸2bからロール本体2a内に冷却流体(冷却水または冷却空気)を供給排出する冷却用流路8a,8b,8cが形成されており、冷却流体は一方のロータリジョイント8dからの回転軸2bの冷却用流路8bを介してロール本体2a内に供給され、回転軸2bの冷却用流路8cからロータリジョイント8eを介して排出される。
【0030】
なお、冷却手段8の他の実施の形態として、図9に示すように、冷却用ロール2A,2Bの外周面に、外部エアノズル16から冷却エアを吹き付ける冷却手段18Aや、図10に示すように、冷却用ロール2A,2Bの外周面に、外部冷却水ノズル17から冷却水を吹き付ける冷却手段18Bであってもよい。19は冷却用ロール2A,2Bの表面に付着した水滴を除去するスクレーパである。
【0031】
また上記冷却用ロール2A,2Bは、スラグと接触する外周材を鋼製としたが、少なくともスラグと接触する外周材を、鋼製の熱伝導率に比較して1/10程度の低い熱伝導率でかつ耐熱性で機械的強度を有する材質により形成して、冷却時間を長くすることもできる。たとえばこのような材質として、カーボンやセラミックスが採用可能で、図11に示すように、中実のカーボン製またはセラミックス製のロール2Cや、図12に示すように、鋼製ロール軸2aの外周部にカーボン製またはセラミックス製の外筒2bを外嵌固定した複合ロール2Dとなる。
【0032】
スラグ冷却装置1の冷却用ロール2A,2B出口側には、成形されて下方に排出される板状スラグCSを受け止めるスチールコンベヤ12が配置され、板状スラグCSがスチールコンベヤ12上で折れ曲がって破断される。なお、必要に応じてスチールコンベヤ12の上方に所定長さで板状の板状スラグCSを破断する破断装置11を設けてもよい。
【0033】
またスチールコンベヤ12上には、板状スラグCSを覆って外気から遮断し、板状スラグCSの放熱量を調整することにより、平均冷却速度を調整可能な放熱制御室51が設けられており、この放熱制御室51では、板状スラグCSを断熱材を有する隔壁で覆って外気から遮断することにより、放熱量を減少させて平均冷却速度を低下させるように構成されている。
【0034】
スチールコンベヤ9により搬送された板状スラグCSの破断片はトレイ13に投入され、後工程で破砕機により粉砕されてアスファルトなどの骨材として再利用される。
【0035】
冷却用ロール2A,2Bの出口には、板状スラグCSの厚みを検出するスラグ厚み検出センサ(板厚検出手段)Stが配置され、この検出値に基づいて、ロール回転駆動装置6の回転速度を制御し、目的の板厚の板状スラグCSを成形するスラグ厚み制御部52が設けられている。また冷却用ロール2A,2B出口の板状スラグCSの温度(表面温度)を検出する第1温度センサ(高温部温度検出手段)T1と、放熱制御室51の出口の板状スラグCSの温度を検出する第2温度センサ(低温部温度検出手段)T2と、第1温度センサT1および第2温度センサT2の検出値に基づいて、流量制御弁53a,53bを制御し冷却用ロール2A,2Bに供給する冷却水の流量を調整し、板状スラグCSの平均冷却速度を制御する冷却速度制御部54が設けられている。なお、第1温度センサT1は冷却用ロール2A,2Bの入口の温度を検出するものであってもよい。
【0036】
上記構成において、溶融炉1から冷却用ロール2A,2B上に、1200〜900℃の溶融スラグMSが供給され、冷却用ロール2A,2Bにより冷却されるとともに板状スラグCSが成形される。プラズマ式溶融炉21では、溶融スラグMS中のFe23濃度が高く、20wt%〜70wt%の範囲で、望ましくは30wt%〜40wt%の濃度となっている。
【0037】
またこの時、冷却用ロール2A,2Bによる直接冷却と放熱制御室51内での空冷とにより、放熱制御室51の出口で800℃となるように、冷却に要する冷却時間を1分間以上(平均冷却速度は100〜400℃/分以下)に設定されている。
【0038】
たとえば、たとえば板厚が1mm未満では、平均冷却速度を150℃/分以下とし、板厚が1mm以上2.5mm未満では、平均冷却速度を180℃/分以下とし、板厚が2.5mm以上4mm以下の時に、平均冷却速度を200℃/分以下とし、それ以上の板厚では平均冷却速度を200〜400℃/分の範囲で、800℃まで冷却する。これにより、板状スラグCSの部分結晶化度を10%以上として、一軸圧縮強度がアスファルトの骨材に適した980×104Pa(100kgf/cm2)以上の板状スラグCSを生成することができる。
【0039】
ここで、溶融スラグのFe23濃度を20wt%〜70wt%の範囲としたが、20wt%未満では、結晶化しにくく長い冷却時間を要して生産性が低下するためであり、Fe23濃度70wt%を越えると、板状スラグCSの強度が大きくなりすぎて破砕に大きい動力を必要とするためである。また溶融スラグ中のFe23濃度は30wt%〜40wt%が望ましいとしたが、これは板状スラグCSの結晶化度が20〜40%で凝固させやすく、一軸圧縮強度を2000〜4000×104Paと比較的破砕しやすい強度にできるためである。
【0040】
なお、1200℃〜900℃の溶融スラグMSを800℃まで冷却する時間が長くなりすぎると、冷却に要する時間が長くなって製造ラインが長くなり、生産の能率が低下する。また結晶化が進み、圧縮強度が大きくなり過ぎると、破砕工程で余分な破砕動力を要するため、たとえば板厚が1mm未満では、平均冷却速度を100℃/分以上とし、板厚が1mm以上2.5mm未満では、平均冷却速度を130℃/分以上とし、板厚が2.5mm以上4mm以下の時に、平均冷却速度を150℃/分以上が望ましい。
【0041】
(実験例1)
灰を溶融炉1で加熱溶融し、1200〜900℃の溶融スラグMSを15r.p.m(回転速度:20.4cm/s)で回転される外径260mmの鋼製冷却用ロールに導入して圧延し、厚さ0.8mmの板状スラグCSを形成した。次いで放熱制御室51を通過させて平均冷却速度150℃/分で800℃まで冷却した。この時の可動冷却用ロール2Bによる自重による加圧力は、196×104a(20kg/cm2)であった。
【0042】
この板状スラグCSの成分は表1に示す通りで、Fe23濃度が32wt%であった。またこの板状スラグCSをX線回折分析にかけると、図4に示すようにピーク値が検出され、結晶化度が22.2%であった。この時の一軸圧縮強度は、図7から約2352×104Pa(約240kgf/cm2)であり、一軸圧縮強度がアスファルトの骨材に適した980×104Pa(100kgf/cm2)以上であるのが確認された。
【0043】
上記と同様にFe23濃度が20wt%〜70wt%と、その前後のFe23濃度の複数の灰を加熱溶融して、冷却用ロールに導入し冷却し、その平均冷却速度を変化させ、厚さ1mm未満の板状スラグCSを形成しサンプリングした。その結果、たとえば平均冷却速度150℃/分で800℃まで冷却した板状スラグCSは、結晶化度が約11%であり、また平均冷却速度150℃/分を越えて冷却された板状スラグCSは、結晶化度が10%未満となり、アスファルトの骨材アスファルトの骨材として必要な圧縮強度が得られないことがわかった。
【0044】
(実験例2)
灰を溶融炉1で加熱溶融し、1200〜900℃の溶融スラグMSを7.5r.p.m(回転速度:10.2cm/s)で回転される外径260mmの鋼製冷却用ロールに導入して圧延し、厚さ2.0mmの板状スラグCSを形成した。次いで放熱制御室51を通過させて平均冷却速度180℃/分で800℃まで冷却した。この時の可動冷却用ロール2Bによる自重による加圧力は、147×104Pa(15kg/cm2)であった。
【0045】
この板状スラグCSの成分は表1に示す通りで、Fe23濃度が42wt%であった。またこの板状スラグCSをX線回折分析にかけると、図5に示すようにピーク値が検出され、結晶化度が40.6%であった。この時の一軸圧縮強度は、図7から約3528×104Pa(360kgf/cm2)であり、アスファルトの骨材に必要な圧縮強度を有しているのが確認された。
【0046】
上記と同様にFe23濃度が20wt%〜70wt%とその前後の複数の灰を加熱溶融して、冷却用ロールに導入し冷却し、その平均冷却速度を変化させて、厚さ1mm〜2.5mm未満の板状スラグCSを形成してサンプリングした。その結果、平均冷却速度180℃/分で800℃まで冷却した板状スラグCSは、結晶化度が約10.9%であり、また平均冷却速度180℃/分を越えて冷却された板状スラグCSは、結晶化度が10%未満となって、アスファルトの骨材アスファルトの骨材として必要な圧縮強度が得られないことがわかった。
【0047】
(実験例3)
灰を溶融炉1で加熱溶融し、1200〜900℃の溶融スラグMSを2.5r.p.m(回転速度:3.40cm/s)で回転される外径260mmの鋼製冷却用ロールに導入して圧延し、厚さ3.0mmの板状スラグCSを形成した。次いで放熱制御室51を通過させて平均冷却速度200℃/分で800℃まで冷却した。この時の可動冷却用ロール2Bによる自重による加圧力は、98×104Pa(10kg/cm2)であった。
【0048】
この板状スラグCSの成分は表1に示す通りで、Fe23濃度が25wt%であった。またこの板状スラグCSをX線回折分析にかけると、図6に示すようにピーク値が検出され、結晶化度が16.2%であった。この時の一軸圧縮強度は、図6から約1730×104Pa(1700kgf/cm2)であり、アスファルトの骨材に必要な圧縮強度を有しているのが確認された。
【0049】
【表1】
Figure 0003859556
上記と同様にFe23濃度が20wt%〜70wt%とその前後の複数の灰を加熱溶融して、冷却用ロールに導入し冷却し、その平均冷却速度を変化させて、厚さ2.5mm〜4.0mm未満の板状スラグCSを形成してサンプリングした。その結果、平均冷却速度200℃/分で800℃まで冷却した板状スラグCSは、結晶化度が約11%であり、また平均冷却速度200℃/分を越えて冷却された板状スラグCSは、結晶化度が10%未満となって、アスファルトの骨材アスファルトの骨材として必要な圧縮強度が得られないことがわかった。
【0050】
なお、上記結晶化度は得られたサンプルのX線回折図形を結晶部分と非結晶部分とに分けて、その面積比を求めて結晶化度を計算した。
また上記板状スラグCSの各サンプル品の磁着物量試験を行った結果、道路用溶融スラグの規格品質の1.0%以下であった。さらに各サンプル品の有害重金属の溶出試験を行った結果も、土壌環境溶出基準未満であった。
【0051】
上記実施の形態によれば、溶融炉21内においてベースメタルBM上で溶融されるために溶融スラグCS中に20wt%〜70wt%の範囲で含まれるFe23を利用して、900℃〜1200の溶融スラグを板状スラグに形成して800℃まで1分以上かけて冷却することにより、10%以上の部分結晶化が確認され道路用アスファルトの骨材として必要な一軸圧縮強度以上の強度を得ることができる。
【0052】
また第1温度センサT1により検出された冷却用ロール2A,2Bの出口の板状スラグCSの温度と、第2温度センサT2により放熱制御室51の出口の板状スラグCSの温度とに基づいて、スラグ厚み制御部52により、冷却用ロール2A,2Bの回転速度を制御することにより、スラグ排出口24からの溶融スラグ排出量の変動があっても、板状スラグCSの板厚を一定に保持して、平均冷却速度の制御を容易化し、安定した品質の板状スラグを製造することができる。そして、冷却用ロール2A,2Bの出口でスラグ厚み検出センサStにより検出した板状スラグCSの板厚に基づいて、冷却速度制御部54により冷却用ロール2A,2Bへの冷却水の供給の回転速度を制御することにより、平均冷却速度を適正に制御することができ、結晶化度が10%以上で十分な圧縮強度を有する板状スラグCSを製造することができる。したがって、従来の自然空冷に比較して、冷却に要する時間を大幅に短縮できて生産性を向上でき、水冷して得られる水砕スラグに比較して、アスファルトの骨材として適した圧縮強度を得ることができる。
【0053】
図13は冷却用無端回動体と冷却手段の他の実施の形態を示すもので、冷却用ロール2A,2Bに代えて、上下一対の回転体41,42を前後2組配置し、上下の回転体41,42間にそれぞれ鋼製ベルト(無端回動体)43を巻張したものである。これにより、鋼製ベルト43の間に溶融スラグMSを挟み込んで形状を保持した状態で冷却しつつ板状に成形することができ、溶融スラグを凝固させつつ板形状を十分に保持して徐冷することができる。また冷却手段18Cとして、溶融スラグMSを挟み込んだ搬送側や戻り側の鋼製ベルト43に冷却水や冷却エアを吹き付ける冷却ノズル44が配置される。
【0054】
図8は、プラズマ式溶融炉21をバーナー式溶融炉61に変更した第2の実施の形態を示す。なお、第1の実施の形態と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
このバーナー式の溶融炉は、炉本体62の一端側に設けられた灰供給ホッパ63から灰プッシャ64により灰供給口62aを介して灰が供給され、一端側から他端側に予熱室65、連通部66、溶融室67およびスラグ排出口62bが下方に傾斜されて配設されている。そして灰溶融室67の上方には、溶融バーナ71を有する一次燃焼室72が形成され、燃焼ガスを溶融室67から連通部66を介して予熱室65に送り、灰供給口62aから供給される灰を予熱し、排ガスはその後予熱室65の上方に形成された二次燃焼室73に送られて完全燃焼された後、排出され排ガス処理装置を介して大気中に排出される。
【0056】
先のプラズマ式灰溶融炉21では、ベースメタルにより溶融スラグ中のFe23濃度が20wt%以上70wt%以下となっているが、このバーナ式溶融炉では溶融スラグ中のFe23濃度が増加することがない。したがって、灰の成分に対応して成分調整材であるFe23を所定量添加し均一に混合し成分調整する調整材添加装置81が設けられて、これにより、溶融スラグ中のFe23濃度を20wt%〜70wt%の範囲とするように構成される。
【0057】
上記第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、これは他の抵抗炉やアーク炉、自己熱溶融式焼却炉であっても同様である。
【0058】
【発明の効果】
以上に述べたごとく請求項1記載の発明によれば、灰のFeの濃度を30wt%を越えて70wt%以下の範囲に調整して、100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却して結晶析出点を通過させ、結晶化度10%以上の固化スラグを得ることにより、規格上許容される粒度分布の範囲が広いスラグを生成することができ、またアスファルトの骨材に必要な十分な圧縮強度を得ることができ、十分な添加量を確保できる。また自然空冷されるスラグに比較して、固化を短時間で行うことができ、しかも、広い空冷エリアも不要で、生産性が高い。
【0059】
請求項2記載の発明によれば、プラズマ式溶融炉内でベースメタルと接触することにより溶融スラグのFeの濃度を30wt%を越えて70wt%以下の範囲とすることができ、これにより100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却し結晶析出点を通過させることで、結晶化度が10%以上の固化スラグを得ることができる。これにより、後の工程で板状スラグを破砕して、規格上許容される粒度分布の範囲が広いスラグを生成することができ、またアスファルトの骨材に必要な十分な圧縮強度を得ることができ、十分な添加量を確保できる。また自然空冷されるスラグに比較して、固化を短時間で行うことができ、しかも、広い空冷エリアも不要で、生産性が高い。
【0060】
請求項3記載の発明によれば、板状スラグの結晶化度が20〜40%で凝固させやすく、一軸強度を2000〜4000×10 Paと比較的破砕しやすい強度にすることができる。
【0061】
請求項4記載の発明によれば、無回動端体により形成される板厚に対応して平均冷却速度を制御することにより、結晶化度を確実に10%以上として、必要な圧縮強度を安定して確保することができるとともに、結晶化が進み圧縮強度が大きくなり過ぎて破砕工程で余分な破砕動力が必要となるのを防止することができる。
【0062】
請求項5記載の発明によれば、調整材添加装置により灰のFeの濃度を30wt%を越えて70wt%以下の範囲に調整して、冷却用無端回動体により板状スラグを成形し、冷却用無端回動体による直接冷却と放熱制御室内での放熱制御とにより、1200〜900℃の溶融スラグを100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却して結晶析出点を通過させ、結晶化度10%以上の板状スラグを得ることができる。この板状スラグは、後の工程で破砕して規格上許容される粒度分布の範囲が広いスラグを生成することができ、またアスファルトの骨材に必要な十分な圧縮強度を得ることができて、骨材として十分な添加量を確保できる。また自然空冷されるスラグに比較して、固化を短時間で行うことができ、しかも広い空冷エリアも不要で、生産性が高い。
【0063】
請求項6記載の発明によれば、プラズマ式溶融炉のベースメタル上で溶融されることにより、溶融スラグのFeの濃度を30wt%を越えて70wt%以下の範囲とすることができ、この溶融スラグを、冷却用無端回動体により板状スラグに成形し、冷却用無端回動体による直接冷却と放熱制御室内での放熱制御とにより、1200〜900℃の溶融スラグを100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却して結晶析出点を通過させ、結晶化度10%以上の板状スラグを得ることができる。この板状スラグを後の工程で破砕して、規格上許容される粒度分布の範囲が広いスラグを生成することができ、またアスファルトの骨材に必要な十分な圧縮強度を得ることができて、骨材として十分な添加量を確保できる。また自然空冷されるスラグに比較して、固化を短時間で行うことができ、しかも広い空冷エリアも不要で、生産性が高い。
【0064】
請求項7記載のスラグ生成設備によれば、冷却速度制御部により板状スラグの平均冷却速度を精度良く制御することができ、安定して結晶化度を10%以上の板状スラグを製造することができる。
【0065】
請求項8記載のスラグ生成設備によれば、スラグ厚み制御部により板状スラグの板厚を一定にすることができ、平均冷却速度の制御を容易に行えて安定した品質の板状スラグを製造できると共に、後工程の破砕も安定して行うことができる。
【0066】
請求項9のスラグ生成設備によれば、溶融スラグの冷却速度を十分に遅くして結晶化度を上げることができ、板状スラグの圧縮強度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスラグ生成設備の第1の実施の形態を示す全体構成図である。
【図2】同スラグ冷却装置の冷却用ロールを示す平面半断面図である。
【図3】同スラグ冷却用装置の側面図である。
【図4】実験例1により形成された板状スラグのX線回折解析図である。
【図5】実験例2により形成された板状スラグのX線回折解析図である。
【図6】実験例3により形成された板状スラグのX線回折解析図である。
【図7】板状スラグの結晶化率と一軸圧縮強度の関係を示すグラフである。
【図8】本発明に係るスラグ生成設備の第2の実施の形態を示す全体構成図である。
【図9】同冷却装置の第2の冷却手段を示す側面図である。
【図10】同冷却装置の第3の冷却手段を示す側面図である。
【図11】同冷却装置の他の冷却用ロールの構造を示す断面図である。
【図12】同冷却装置のさらに他の冷却用ロールの構造を示す断面図である。
【図13】同冷却装置の他の実施の形態を示す側面断面図である。
【符号の説明】
A 灰
MS 溶融スラグ
CS 板状スラグ
BM ベースメタル
1 スラグ冷却装置
2 冷却用ロール
4A 固定軸受
4B 可動軸受
5 ロール付勢装置
6 ロール回転駆動装置
7 連動機構
8 冷却手段
10 スラグ冷却制御装置
11 破断装置
12 スチールコンベヤ
18A 冷却手段
18B 冷却手段
20 ガイド堰
21 灰溶融炉
27 調整材添加装置
T1 第1温度センサ
T2 第2温度センサ
51 放熱制御室
52 スラグ厚み制御部
53a,53b 流量制御弁
54 冷却速度制御部

Claims (9)

  1. 焼却炉から排出される灰を加熱溶融して得られた溶融スラグを冷却して固化スラグを生成するに際し、
    灰にFeを添加して、灰の成分中のFeの濃度を30wt%を越えて70wt%以下の範囲となるように成分調整し、
    前記灰を加熱溶融して生成された溶融スラグを、入口側から成形間隙を介して出口側に相対方向に回動される一対の冷却用無端回動体間に導入して板状スラグを形成した後、さらにこの板状スラグを放熱制御し、
    前記冷却用無端回動体と前記放熱制御とにより、1200〜900℃の溶融スラグを100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却し、結晶析出点を通過させ結晶化度10%以上の固化スラグを得る
    ことを特徴とするスラグ生成方法
  2. 焼却炉から排出される灰を加熱溶融して得られた溶融スラグを冷却して固化スラグを生成するに際し、
    灰を、炉底に収容されたベースメタルと電極との間に形成されたアークプラズマにより加熱するプラズマ式溶融炉に投入して加熱溶融し、
    前記溶融炉から排出されFeの濃度が30wt%を越えて70wt%以下の範囲となる溶融スラグを、入口側から成形間隙を介して出口側に相対方向に回動される一対の冷却用無端回動体間に導入して板状スラグを形成した後、さらにこの板状スラグを放熱制御し、
    前記冷却用無端回動体と前記放熱制御とにより、1200〜900℃の溶融スラグを100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却し、結晶析出点を通過させ結晶化度10%以上の固化スラグを得る
    ことを特徴とするスラグ生成方法
  3. 溶融スラグのFe の濃度を30wt%を越えて40wt%以下の範囲とした
    ことを特徴とする請求項1または2記載のスラグ生成方法
  4. 板状スラグの平均冷却速度を、板厚が1mm未満の時に100℃/分以上で150℃/分以下とし、板厚が1mm以上2.5mm未満の時に130℃/分以上で180℃/分以下とし、板厚が2.5mm以上4mm以下の時に150℃/分以上で200℃/分以下とした
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスラグ生成方法
  5. 請求項1記載のスラグ生成方法を実施するスラグ生成設備であって、
    溶融スラグ成分中のFe30wt%を越えて70wt%以下の範囲となるように、溶融前の灰に不足する成分調整材を添加して成分調整する調整材添加装置と、
    灰を加熱溶融する溶融炉と、
    対向部が下方に移動するように相対方向に回動される一対の冷却用無端回動体間を通過させて、溶融スラグを板状スラグに冷却成形するスラグ冷却装置と、
    前記スラグ冷却装置から排出された板状スラグを通過させてその放熱を制御可能な放熱制御室とを具備し、
    前記スラグ冷却装置および前記放熱制御室により1200〜900℃の溶融スラグを100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却するように構成した
    ことを特徴とするスラグ生成設備。
  6. 請求項2記載のスラグ生成方法を実施するスラグ生成設備であって、
    炉底に収容されたベースメタルと電極との間に形成されたアークプラズマにより灰を加熱溶融し、生成される溶融スラグのFe の濃度を30wt%を越えて70wt%以下の範囲とするプラズマ式溶融炉と、
    入口側から成形隙間を介して出口側に相対方向に回動される一対の冷却用無端回動体間を通過させて、溶融スラグを板状スラグに冷却成形するスラグ冷却装置と、
    前記スラグ冷却装置から排出された板状スラグを通過させてその放熱を制御可能な放熱制御室とを具備し、
    前記スラグ冷却装置および前記放熱制御室により1200〜900℃の溶融スラグを100℃/分以上で400℃/分以下の平均冷却速度で1分以上の時間をかけて800℃まで冷却するように構成した
    ことを特徴とするスラグ生成設備。
  7. 冷却用無端回動体の入口または出口で検出されたスラグ温度と、放熱制御室の出口で検出された板状スラグ温度とに基づいて、前記冷却用無端回動体に供給する冷却流体の供給量を制御する冷却速度制御部を設けた
    ことを特徴とする請求項5または6記載のスラグ生成設備。
  8. 冷却用無端回動体出口の板状スラグの板厚を計測する板厚検出手段と、
    前記板厚検出手段の計測値に基づいて、冷却用無端回動体の移動速度を制御して板状スラグの板厚を一定に保持するスラグ厚み制御部とを設けた
    ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のスラグ生成設備。
  9. 冷却用無端回動体を冷却用ロールにより構成し、
    前記冷却用ロールの、少なくとも溶融スラグが接する外周部を耐熱性および機械的強度を具備し熱伝導率が低い材質により形成した
    ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載のスラグ生成設備。
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