JP3859486B2 - 動圧型軸受ユニットおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、動圧型軸受ユニットおよびその製造方法に関し、特に情報機器、例えばHDD,FDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM,DVD−ROM等の光ディスク装置、MD,MO等の光磁気ディスク装置などのスピンドルモータ、あるいはレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータなどのスピンドル支持に使用される動圧型軸受ユニットおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記各種情報機器におけるディスク駆動用スピンドルモータには、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化などの要請があり、この種のモータのスピンドルを支持する軸受は、これらの要求性能を決定づける重要な構成要素の一つである。そこで、この種の軸受として、上記要求性能に優れた特性を有する動圧型軸受の使用が検討され、あるいは実用化が図られているのが現状である。
【0003】
また、近年における上記情報機器用のスピンドルモータでは、情報記録密度の増大や高速回転化を図るべく高回転精度がより一層強く求められており、この要請に応じるために、上記スピンドルモータに組み込まれる動圧型軸受についても更なる高回転精度が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、動圧型軸受の回転精度を高めるには、動圧が生じるラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間での隙間管理が重要となる。この隙間管理を適正化するには、上記各軸受隙間に関与する動圧型軸受の構成部品、例えば軸受部材との間に上記各軸受隙間を形成する軸部材を精度よく加工する必要がある。したがって、この軸部材の加工方法ないし製造方法は、動圧型軸受の回転精度を決める一因となる。
【0005】
詳述すると、図4に示すように、軸部材2'は、軸部2a'の基端にフランジ部2b'を一体形成したものであって、その外周には軸受部材(図示略)が配置される。そして、軸部2a'の外周面2a1'と軸受部材との間にラジアル軸受隙間が形成され、フランジ部2b'の先端面2b1'及び基端面2b2'と軸受部材等との間にそれぞれスラスト軸受隙間が形成される。
【0006】
この軸部材2'を製造するに際しては、従来より以下に示すような工程が実行されている。すなわち、図5に示すように矢印a方向に回転する一対の回転ロール10'と周面支持部材(シュー)11'とを軸部2a'の外周面2a1'に押圧接触させることにより軸部材2'に回転を付与した状態で、図6に示すように軸部2a'の先端面2a2'に軸状をなす端面支持部材12'の先端面(平面)を面接触させながら、フランジ部2b'の基端面2b2'に工具13'を押し当てることにより研削(研磨を含む。以下同様)することが行われている。
【0007】
また、フランジ部2b'の先端面2b1'については、上記と同様にして軸部材2'に回転を付与した状態で、図7に示すように上記と同一の端面支持部材12'の先端面をフランジ部2b'の基端面2b2'に面接触させながら、フランジ部2b'の先端面2b1'に工具14'を押し当てることにより研削することが行われている。
【0008】
この場合、上述の研削面であるフランジ部2b'の先端面2b1'または基端面2b2'の加工精度は、周面支持部材11'の押圧接触面に対する端面支持部材12'の先端面の直角度、並びに端面支持部材12'の先端面との接触面である軸部2a'の先端面2a2'またはフランジ部2b'の基端面2b2'に対する軸部2a'の外周面2a1'の直角度に大きく左右される。
【0009】
したがって、上述のように端面支持部材12'の先端面が、回転している軸部2a'の先端面2a2'またはフランジ部2b'の基端面2b2'に面接触していたのでは、これらの端面2a2'、2b2'と軸部2a'の外周面2a1'との直角度に僅かな狂いが生じていても、軸部材2は加工時に軸方向にガタツキ(振れ)を起こす虞れがある。
【0010】
このため、研削加工後におけるフランジ部2b'の両端面2b1'、2b2'の加工仕上げ精度は、現状維持を余儀なくされ、この軸部材2'を組み込んで得られる動圧型軸受が更なる高回転精度を確保する上で妨げとなることが懸念される。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間の隙間管理を適正化し、更なる高回転精度が得られる動圧型軸受ユニットを提供することを技術的課題とする。
【0014】
上記技術的課題を達成するためになされた本発明は、軸部の基端側にフランジ部を有する軸部材と、該軸部材の外周に配置された軸受部材と、動圧溝を有する軸受面及び該軸受面に面した軸受隙間をそれぞれに備え且つ上記軸部材と軸受部材との相対回転時に上記軸受隙間に発生した動圧により上記軸部材をラジアル方向及びスラスト方向に非接触支持するラジアル軸受部及びスラスト軸受部とを備えた動圧型軸受ユニットの製造方法において、上記軸部の外周面に回転ロールと周面支持部材とを接触させて上記軸部材を軸心廻りに回転させつつ一端側で軸方向に支持し、他端側から上記フランジ部の端面に工具を押圧接触させて面加工を行う工程を含み、該工程で上記軸部材の一端側の回転中心部を点接触で支持することを特徴とするものである。ここで、「面加工」とは、例えば切削加工を意味する。また、「軸受部材」には、ラジアル軸受面およびスラスト軸受面を有する軸受部材をハウジングに固定した構成、ラジアル軸受面およびスラスト軸受面をハウジングに直接形成した構成が含まれる。
【0015】
このような構成によれば、軸部材におけるフランジ部の端面を加工するに際して、軸部材の一端側の回転中心部が点接触により軸方向に支持された状態で、他端側からフランジ部の端面に工具が押圧接触することになるため、軸部材の点接触支持側の端面に対する軸部外周面の直角度に狂いが生じていても、その端面は面接触支持されずに回転中心が点接触支持されていることから、上記直角度の狂いが軸部材の回転に悪影響を及ぼすことはなく、軸部材が軸方向にガタツキ(振れ)を起こす虞れは生じない。したがって、加工後における軸部外周面に対するフランジ部の端面の直角度、並びにそのフランジ部の端面の平面度が高精度に仕上げられる。
【0016】
このような製造方法によれば、軸部外周面に対するフランジ部の端面の直角度は、0.002mm以下となり、またフランジ部の端面の平面度は、0.001mm以下となることが、本発明者等が行った実験により判明している(詳細は後述する)。したがって、この発明により製造された動圧型軸受ユニットは、軸部材における主要部分の直角度及び平面度の狂いが所要の極めて小さな値以下とされることから、ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間が適正に管理され、これにより軸部材と軸受部材との相対回転時に軸受面同士が接触したり、或いは軸受隙間内での動圧不足に起因して不安定回転が生じる等の不具合が回避されるため、トルクロスやトルク変動が抑制されて高い回転精度を得ることが可能となる。
【0017】
この製造方法の一態様としては、上記軸部の先端面の回転中心部を点接触で支持し、上記フランジ部の基端面に工具を押圧接触させることが挙げられる。
【0018】
また、この製造方法の他の態様としては、上記フランジ部の基端面の回転中心部を点接触で支持し、該フランジ部の先端面に工具を押圧接触させることが挙げられる。
【0019】
ここで、上述の「基端」とは、軸部材についての軸部側とフランジ部側とを想定した場合におけるフランジ部側の端を意味し、「先端」とは、軸部側の端を意味する。
【0020】
上記点接触支持の一態様としては、上記回転中心部を凸状曲面部により点接触で支持することが挙げられる。この場合には、上記凸状曲面部の先端点が上記回転中心部に接触することになる。そして、この凸状曲面部の形状は、球面形状とすることができる。
【0021】
また、上記点接触支持の他の態様としては、上記回転中心部を先細り部により点接触で支持することが挙げられる。この場合には、上記先細り部の先端点が上記回転中心部に接触することになる。そして、この先細り部の形状は、円錐形状または角錐形状とすることができる。
【0023】
そして、以上の方法を使用して製造された動圧型軸受ユニットは、既述のようにラジアル軸受隙間及びスラスト軸受隙間での隙間管理が適正化され、更なる高回転精度を得る上で極めて有利となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、図1に基づく以下の説明において、「先端」とは上端を意味し、「基端」とは下端を意味する。
【0025】
図1に示すように、動圧型軸受ユニット(以下、単に軸受ユニットという)1は、軸部材2と、有底円筒状のいわゆる袋型ハウジング3と、軸受部材4と、該軸受部材4の先端側(ハウジング3開口側)を密封するシールワッシャ等のシール部材5とを主たる構成要素とする。
【0026】
上記軸部材2は、軸部2aと、該軸部2aの基端側に一体形成されたフランジ部2bとを有し、上記軸部2aを軸受部材4の内周に、上記フランジ部2bを軸受部材4の基端面41とハウジング3の底部3aとの間に配置してユニット内に収容される。ハウジング3の底部3aは、ハウジング3の基端側開口部を閉塞するもので、ハウジング3と一体形成する他、別体の底蓋部材で形成してもよい。
【0027】
上記軸受部材4は、軟質金属や油を含浸させた焼結金属等で形成される。この軸受部材4の内周には、複数の動圧溝4aを有するラジアル軸受面4a1がプレス加工による転写、転造等によって形成され、これにより軸部材2と軸受部材4との相対回転時(本実施形態では軸部材2の回転時)に、ラジアル軸受面4a1と軸部2aの外周面2a1との間のラジアル軸受隙間Rs1に満たされた流体(例えば潤滑油)の動圧が生じ、この動圧作用によって軸部2aをラジアル方向で非接触支持するラジアル軸受部Raが構成される。なお、軸部2aの外周面2a1の一部領域には、他の領域に対して僅かに小径となるぬすみ部2axが設けられ、このぬすみ部2axの先端側と基端側とに対応する2つの領域にそれぞれ上記動圧溝4aが形成されている。
【0028】
上記軸部材2におけるフランジ部2bの軸方向両側には、軸方向の隙間であるスラスト軸受隙間Ss1、Ss2が設けられる。一方のスラスト軸受隙間Ss1は、フランジ部2bの先端面2b1とこれに対向する軸受部材4の基端面41との間に形成され、他方のスラスト軸受隙間Ss2は、フランジ部2bの基端面2b2とハウジング3の底部3aの内底面3a2との間に形成される。
【0029】
上記スラスト軸受隙間Ss1、Ss2に面する端面、例えば軸受部材4の基端面41及びハウジング3の内底面3a2には、それぞれ動圧発生用の動圧溝(図示略)を有するスラスト軸受面4b1、3b2が形成され、これにより上記回転時には、各スラスト軸受隙間Ss1、Ss2に上記流体動圧が発生し、フランジ部2bをスラスト方向両側から非接触支持するスラスト軸受部Saが構成される。なお、フランジ部2bの基端面2b2の中央領域には、他の領域に対して僅かに窪んだぬすみ部2bxが形成される。
【0030】
上記ラジアル軸受面4a1およびスラスト軸受面4b1、3b2の動圧溝形状は任意に選択することができ、公知のヘリングボーン型、スパイラル型、ステップ型、多円弧型等の何れかを選択し、或いはこれらを適宜組み合わせて使用することができる。なお、軸受部材4のラジアル軸受面4a1には、一例としてヘリングボーン型の動圧溝4aが形成されている。
【0031】
上記軸部材2の主要部の精度に関しては、軸部2aの外周面2a1に対するフランジ部2bの両端面2b1、2b2の直角度が0.002mm以下とされ、且つフランジ部2bの両端面2b1、2b2の平面度がそれぞれ0.001mm以下とされている。したがって、この軸受ユニット1が例えば情報機器の一種であるHDDに使用される場合には、上記ラジアル軸受隙間Rs1およびスラスト軸受隙間Ss1、Ss2が適正に管理され、その回転精度が高められる。
【0032】
ここで、「直角度」とは、直角であるべき所定平面と基準面との組み合わせにおいて、基準面に対して幾何学的に直角な幾何学平面からの上記所定表面のずれの大きさをいう。これは、例えば軸部材2を軸心廻りに回転させながらフランジ部2bの先端面2b1および基端面2b2にそれぞれ接触子を接触させ、それぞれの端面2b1、2b2における振れ幅の最大値を測定することによって表される。また、「平面度」とは、測定表面における最大凸部と最小凹部との間の高低差を意味する。何れの場合も対象となる平面に動圧溝が存在する場合には、動圧溝間の背(山)の部分を結んだ仮想平面を基準とする。
【0033】
次に、上記軸受ユニット1の製造方法、特にその製造方法の各工程の中で、上記軸部材2(動圧溝やぬすみ部2bxが形成される以前)のフランジ部2bの両端面2b1、2b2を研削する工程について説明する。
【0034】
この工程において、軸部材2を軸心廻りに回転させる手段は、既に図5に示した構成と同様に、軸部2aの外周面2a1を挟み込むようにして軸部材2に回転を付与する一対の回転ロール10と、この一対の回転ロール10に軸部2aの外周面2a1を所定圧で接触させるべく該外周面2a1に押圧接触する周面支持部材(シュー)11とを備える。
【0035】
そして、上記軸部材2におけるフランジ部2bの基端面2b2が研削加工される場合には、図2に示すように、軸部2aの先端面2a2を点接触で軸方向に支持する端面支持部材12と、フランジ部2bの基端面2b2に所定の加工圧で接触する先端が略平坦面をなす砥石13とを更に備える。上記端面支持部材12の先端には、球面形状の凸状曲面部12aが突設され、この凸状曲面部12aの先端が上記軸部2aの先端面2a2の回転中心部に点接触するように構成されている。
【0036】
このような構成によれば、一対の回転ロール10が矢印a方向に回転することにより、周面支持部材11が軸部2aの外周面2a1に接触した状態で、軸部材2が矢印b方向に回転する。そして、この回転時に、軸部2aの先端面2a2が端面支持部材12の凸状曲面部12aにより点接触支持された状態で、フランジ部2bの基端面2b2に砥石13の先端が押圧接触して、該基端面2b2の研削加工が行われる。
【0037】
この研削加工に供される軸部材2に関して、軸部2aの外周面2a1に対する先端面2a2の直角度が悪い場合であっても、軸部2aの先端面2a2は、その回転中心部が凸状曲面部12aにより点接触で支持されることから、回転ロール10と周面支持部材11とによる軸部材2の姿勢維持に狂いが生じなくなる。これにより、従来のように軸部2aの先端面2a2が平面により面接触支持されていた場合と比較して、軸部材2に生じるガタツキ或いは振れが可及的に抑制され、研削加工後におけるフランジ部2bの基端面2b2の平面度、並びに軸部2aの外周面2a1に対するフランジ部2bの基端面2b2の直角度が高精度に仕上げられる。
【0038】
一方、上記軸部材2におけるフランジ部2bの先端面2b1が研削加工される場合には、上記回転ロール10および周面支持部材11に加えて、図3に示すように、フランジ部2bの基端面2b2を点接触で軸方向に支持する上記と同一の端面支持部材12と、フランジ部2bの先端面2b1に所定の加工圧で接触する先端が略平坦面をなす砥石14とが設けられる。
【0039】
このような構成によれば、上記と同様にして軸部材2が軸心廻りに回転している際に、フランジ部2bの基端面2b2が端面支持部材12の凸状曲面部12aにより点接触支持された状態で、フランジ部2bの先端面2b1に砥石14の先端が押圧接触して、該先端面2b1の研削加工が行われる。
【0040】
したがって、この場合にも、軸部2aの外周面2a1に対するフランジ部2bの基端面2b2の直角度に狂いが生じている場合であっても、その基端面2b2の回転中心部が凸状曲面部12aにより点接触で支持されるため、軸部材2に生じるガタツキ或いは振れが可及的に抑制され、研削加工後におけるフランジ部2bの先端面2b1の平面度、並びに軸部2aの外周面2a1に対するフランジ部2bの先端面2b1の直角度が高精度に仕上げられる。このような効果は、フランジ部2bの基端面2b2の研削加工をする前段階で、その先端面2b1の研削加工をする場合に顕著に得られる。したがって、上述の手法によりフランジ部2bの基端面2b2の研削加工を先に行った場合には、軸部2aの外周面2a1に対する該基端面2b2の直角度が高精度に仕上げられているため、その後にフランジ部2bの先端面2b1の研削加工を行うに際して、従来の手法(図7に示す手法)を採用することも可能である。
【0041】
【実施例】
本発明の効果を確認すべく、次に示すような実験を行った。先ず、ステンレス鋼(SUS420J2)からなる軸部材(2)を、軸部(2a)とフランジ部(2b)とを一体形成して製作した。この軸部材(2)は、全長を15mm、軸部(2a)の外径を4.5mm、フランジ部(2b)の外径を7mm、フランジ部(2b)の幅(厚み)を1.2mmとした。そして、本発明の実施例として、上記軸部材(2)におけるフランジ部(2b)の基端面(2b2)および先端面(2b1)に対して、図2および図3示す方法により研削加工を施し、比較例として、上記軸部材(2)におけるフランジ部(2b)の基端面(2b2)および先端面(2b1)に対して、図6および図7示す方法により研削加工を施した。この研削加工後におけるフランジ部(2b)の基端面(2b2)および先端面(2b1)のそれぞれの平面度、軸部(2a)の外周面(2a1)に対する基端面(2b2)の直角度、軸部(2a)の外周面(2a1)に対する先端面(2b1)の直角度を、実施例と比較例とについてそれぞれ測定した。この測定結果を、下記の表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
上記表1によれば、本発明の実施例では、フランジ部(2b)の両端面(2b1)、(2b2)の平面度が何れも0.001mm以下(詳しくは0.0005mm以下)であり、軸部(2a)の外周面(2a1)に対するフランジ部(2b)の両端面(2b1)、(2b2)の直角度が何れも0.001mmを超え且つ0.002mm以下(詳しくは0.0015mm以下)である。これに対して、比較例では、フランジ部(2b)の両端面(2b1)、(2b2)の平面度が何れも0.001mmを超え、軸部(2a)の外周面(2a1)に対するフランジ部(2b)の両端面(2b1)、(2b2)の直角度が何れも0.002mmを超えている。
【0044】
次に、実施例に係る軸部材(2)と、比較例に係る軸部材(2)とを、それぞれ図1に示す状態に組み込むことにより、2種類の動圧型軸受ユニット(1)を製作した。これらの動圧型軸受ユニット(1)は、軸受部材(4)の内径を4.5mm、その外径を7mm、その幅(軸方向寸法)を8mmとし、ラジアル軸受隙間(Rs1)を0.002〜0.003mm、スラスト軸受隙間(Ss1)、(Ss2)を0.01〜0.02mmとした。そして、この2種類の動圧型軸受ユニット(1)を試験モータに組み込み、ラジアル方向の回転同期振動(RRO)と回転非同期振動(NRRO)とを評価した。この評価試験は、試験モータの起動後5分経過後における5000rpmの条件下で、非接触変位計を使用して行った。この試験結果を、下記の表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
上記表2によれば、本発明の実施例に係る軸部材(2)を組み込んでなる動圧型軸受ユニット(1)は、比較例に係るものよりもNRROが大幅に低く、軸受性能に優れていると言える。
【0047】
更に、上記2種類の試験モータについて、軸部材(2)が垂直姿勢、軸受負荷が75g、油動粘度が20mm2/Sの条件下で、回転数3000rpmの運転状態から停止させた時に、浮上していた軸部材2がハウジング3の内底面(3a2)に接触し始める回転数(接触開始回転数)を計測した。この計測結果を、下記の表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
上記表3によれば、本発明の実施例に係る軸部材(2)を使用した試験モータは、比較例を使用した試験モータよりも、接触開始回転数が大幅に低くなっている。この場合、接触開始回転数が高くなれば、それに連れてスラスト軸受面(4b1)、(3b2)の摩耗が進行して耐久性が悪化するため、これを勘案すれば、上記実施例を使用した試験モータは耐久性に優れていると言える。
【0051】
本発明に係る動圧型軸受ユニットの製造方法によれば、上記軸部材の一端側の回転中心部を点接触で支持し、他端側から上記フランジ部の端面に工具を押圧接触させて面加工を行うものであるから、軸部材が軸方向にガタツキ(振れ)を生じることなく適正に面加工が施され、加工後における軸部外周面に対するフランジ部の端面の直角度、並びにそのフランジ部の端面の平面度が、上述の発明に係る動圧型軸受ユニットと同程度に高精度に仕上げられる。したがって、この場合にも、優れた軸受性能および高い回転精度を有する動圧型軸受ユニットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る動圧型軸受ユニットの縦断正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る動圧型軸受ユニットの製造方法の一実施状態を示す概略平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る動圧型軸受ユニットの製造方法の他の実施状態を示す概略平面図である。
【図4】本発明の実施形態および従来例に係る動圧型軸受ユニットの主要構成要素である軸部材を示す概略正面図である。
【図5】本発明の実施形態および従来例に係る動圧型軸受ユニットの製造方法の実施状態を示す概略側面図である。
【図6】従来例に係る動圧型軸受ユニットの製造方法の一実施状態を示す概略平面図である。
【図7】従来例に係る動圧型軸受ユニットの製造方法の他の実施状態を示す概略平面図である。
【符号の説明】
1 動圧型軸受ユニット
2 軸部材
2a 軸部
2a1 軸部の外周面
2b フランジ部
2b1 フランジ部の先端面
2b2 フランジ部の基端面
3 ハウジング(軸受部材)
4 軸受部材
4a 動圧溝
4a1 ラジアル軸受面
Rs1 ラジアル軸受隙間
Ra ラジアル軸受部
Ss1 スラスト軸受隙間
Ss2 スラスト軸受隙間
Sa スラスト軸受部
10 回転ロール
11 周面支持部材
12 端面支持部材
12a 凸状曲面部
13 工具(砥石)
14 工具(砥石)
Claims (8)
- 軸部の基端側にフランジ部を有する軸部材と、該軸部材の外周に配置された軸受部材と、動圧溝を有する軸受面及び該軸受面に面した軸受隙間をそれぞれに備え且つ上記軸部材と軸受部材との相対回転時に上記軸受隙間に発生した動圧により上記軸部材をラジアル方向及びスラスト方向に非接触支持するラジアル軸受部及びスラスト軸受部とを備えた動圧型軸受ユニットの製造方法において、
上記軸部の外周面に回転ロールと周面支持部材とを接触させて上記軸部材を軸心廻りに回転させつつ一端側で軸方向に支持し、他端側から上記フランジ部の端面に工具を押圧接触させて面加工を行う工程を含み、該工程で上記軸部材の一端側の回転中心部を点接触で支持することを特徴とする動圧型軸受ユニットの製造方法。 - 上記軸部の先端面の回転中心部を点接触で支持し、上記フランジ部の基端面に工具を押圧接触させる請求項1に記載の動圧型軸受ユニットの製造方法。
- 上記フランジ部の基端面の回転中心部を点接触で支持し、該フランジ部の先端面に工具を押圧接触させる請求項1に記載の動圧型軸受ユニットの製造方法。
- 上記回転中心部を凸状曲面部により点接触で支持する請求項1〜3の何れかに記載の動圧型軸受ユニットの製造方法。
- 上記凸状曲面部が球面形状をなす請求項4に記載の動圧型軸受ユニットの製造方法。
- 上記回転中心部を先細り部により点接触で支持する請求項1〜3の何れかに記載の動圧型軸受ユニットの製造方法。
- 上記先細り部が円錐形状または角錐形状をなす請求項6に記載の動圧型軸受ユニットの製造方法。
- 請求項1〜7の何れかに記載の方法を使用して製造されたことを特徴とする動圧型軸受ユニット。
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