JP3858338B2 - 磁気バーコードおよび磁気バーコード読取システム - Google Patents

磁気バーコードおよび磁気バーコード読取システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気パターンのみ、または磁気パターンとダミーパターンとの組合わせにより構成された磁気バーコードに係り、さらに詳しくは、磁気パターンの磁化容易方向が走査方向に対して所定の角度をなすように形成された磁気異方性を有する磁気バーコードに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気バーコードは、光学式バーコードと比べると、泥などの汚れがあっても読み取りが可能であるという利点があるため、ファクトリーオートメーションや物流システム等の分野への利用が図られている。その中でも、プリペイドカードやIDカード等の記録媒体においては、発券情報や金額情報などのセキュリティ情報を持つ磁気バーコードが印刷などにより付与されて用いられている。
【0003】
このような磁気バーコードが付与された記録媒体のうち、例えば磁気カードは、通常、厚さ100〜800μm程度の非磁性体の基板上に、厚さ10〜20μm程度の磁気記録層を塗布した上に、磁性体または磁性体と非磁性体との組み合わせからなるバーコードを設け、さらに表面保護層をその上に形成することにより製造される。磁気記録層から表面保護層の間には、必要に応じて、バーコードを外から見えなくする隠蔽層、情報を文字で記録するための感熱印字層などが設けられることもある。
【0004】
ここで、磁気記録層は、残留磁化を利用して、情報を追記記録するために用いられる。一方、磁気記録層上のバーコードは、磁性体が含有された磁性部分と、磁性体が含有されていない非磁性部分との組み合わせにより構成され、磁性部分と非磁性部分の組み合わせにより、追記しない固定情報(例えば、使用者IDや、金額、発行機関などに関するパターン情報)が記録されている。このようなバーコードBCは、磁気カードの表面上に、例えば図17に示す位置に形成される。
【0005】
図18は、図17のXVIII-XVIII線に沿って視た拡大断面図である。この図に示すように、磁気カード70においては、非磁性体の基板71の上に磁気記録層72が形成され、ここに、磁気記録層72に使用されている磁性体よりも低保磁力の磁性粉からなる磁気バーコードパターン73と、非磁性粉からなるダミーバーコードパターン74とが、オフセット印刷やスクリーン印刷などにより形成されている。さらに、これらの磁性・非磁性のバーコードパターン73、74を隠蔽する隠蔽層75や、表面を保護するための保護層76などが同様な印刷により形成される。
【0006】
ところで、この種の磁気カードにおいては、磁気バーコードパターン73を構成する磁気材料として、従来より主に2タイプが使用されている。
すなわち、第1のタイプは、磁気バーコードパターン73を、磁気記録層72に影響を与えない程度の保磁力であって、かつ、磁気記録も十分に行なえる保磁力を有する磁性材料を用いて形成した後、磁気記録層への書込・読取に用いるのと同様な方法で、磁気バーコードパターン73への記録の書込・読取を行なうものである。この磁気バーコードパターン73に用いられる磁性材料としては、例えば、マグネタイト(Fe34)や、γ酸化鉄(γ−Fe23)等が考えられる

【0007】
しかしながら、この第1のタイプでは、磁気記録された(残留磁気のある)磁気バーコードパターン73は、一般に市販されているマグネットビュワー等を用いると、磁気記録されていない磁気バーコードパターン73およびダミーバーコードパターン74から判別されてしまうから、記録されたコードが判明してしまう。これを防止するためには、磁気バーコードパターン73に記録された情報を読み取った後、消磁するなどの策を講じる必要があるが、読取装置の構成が複雑かつ肥大する、という欠点があった。
【0008】
そこで、このような問題を解決するために、案出されたのが、次に説明する第2のタイプである。かかる第2のタイプは、磁気バーコードパターン73の磁性材料として、マグネットビュワー等で感知されないような、保磁力が30Oe以下の低保磁力を有するカルボニル鉄粉や、Mn−Znフェライト等を用いたものである(例えば、特開平1−109524号公報参照)。
【0009】
上記のように磁気カード上に磁気バーコードを設けるのは、磁気バーコードが示す情報は、通常の追記可能な磁気記録情報とは異なる固定情報であり、記録媒体の不正取得者が固定情報を読み取ったり改竄したりするのを防止するというセキュリティの確保のためである。そこで、上記のようにして磁気バーコードを設ける以外にも、保磁力の異なる磁性材料を組み合わせた方法(例えば特開昭63−133321号公報や、特開昭63−308724号公報参照)や、磁化量の異なる磁気バーコードを組み合わせた方法(例えば特開昭63−223892号公報参照)、キュリー点の異なる磁性体を用いた方法(例えば実開昭62−147191号公報参照)など、種々の方法がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の磁気バーコードは、記録される情報量が非常に少ないという問題があった。つまり、磁性体を含有する磁気バーと、非磁性体からなるダミーバーの組み合わせで、例えば4本のバーを形成した場合でも、2進法では、(0000)〜(1111)までの16通りの情報しか生成することができなかった。これを解決しようとして、バーを多数にしたり、複数トラックにバーを設けたりするなどの手段が講じられているが、これらの場合には、バーコードが占有する領域が拡大する上、本質的な解決策とはなっていない。
【0011】
また、上述したように保磁力の異なる磁性体を用いた複合バーコードも実用化されているが、保磁力の異なる磁性体をそれぞれ印刷等の手段を用いて設けるため、工程数が増加する。また、多種類の材料を使用するためにコストがかかるという問題があった。
【0012】
本発明は、上述した背景に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、従来の磁気バーコードと外観上は同じであり、かつ磁気バーコードの情報量を多くすることが可能な磁気異方性を有する磁気バーコードを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る磁気バーコードは、磁化容易方向が走査方向に対して所定の角度をなすように形成された複数の磁気パターンを有する磁気バーコードであって、上記複数の磁気パターンは、それぞれ2以上のアジマス角のいずれかに応じた上記角度を有し、それぞれの上記磁気パターンは、上記角度に傾斜された辺を有する四辺形状の磁性体の小片と、上記角度に傾斜された辺を有する四辺形状の非磁性体の小片とを交互に配設してなるバーであることを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の磁気バーコードにおいて、上記複数の磁気パターンと、非磁性体からなるダミーパターンとを混在させることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の磁気バーコードにおいて、上記角度がほぼ+45゜またはほぼ−45゜である上記磁気パターンを有することを特徴とする
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の磁気バーコードにおいて、少なくとも一つの上記磁気パターンの上記磁化容易方向が、上記走査方向に対してほぼ垂直であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の磁気バーコードにおいて、ほぼ+45゜またはほぼ−45゜に傾けられた上記磁気パターンを構成する上記磁性体の小片が、上記走査方向に対してほぼ+45゜またはほぼ−45゜傾いている斜辺を有する平行四辺形状の小片であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の磁気バーコードにおいて、上記磁化容易方向に対してほぼ垂直である上記磁気パターンを構成する上記磁性体の小片が、長方形状の小片であることを特徴とする。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の磁気バーコードにおいて、上記磁気バーコードを隠蔽するための層が、上記磁気バーコード上に設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る磁気バーコード読取装置は、それぞれが異なるアジマス角を有する複数の読取ヘッドを走査方向に並列に備えることを特徴とする。
また、本発明に係る磁気バーコード読取システムは、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の磁気バーコードと、それぞれが異なるアジマス角を有する複数の読取ヘッドを上記走査方向に並列に備える磁気バーコード読取装置とを備えることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
A.磁気バーコードの構成
図1は本発明の実施形態に係る磁気バーコードが付与された磁気記録媒体である磁気カードを示す平面図である。この図に示す磁気カード10の上面には、パターン11、12、13、14の4本からなるバーコードBC、すなわち磁気バーコードが形成されている。パターン11、12、13、14には、磁性体を有する磁気コードパターンと、非磁性体からなるダミーコードパターンとが混在している。磁気カード10は、矢印で示すように左から右へ走査され、その走査の間に磁気バーコードが読み取られるようになっている。
【0021】
各磁気コードパターンは、磁気異方性を有しており、磁化容易方向が走査方向に対して所定の角度をなすように形成されている。例えば、図示のように、パターン11、12、13は、高透磁率を有する磁性体の小片11a、12a、13aと非磁性体の小片11b、12b、13bとが交互に多数配設されることによって長方形状になされている。ここで、小片11a、12aは、走査方向に対して所定の傾斜角を有する平行四辺形状であり、小片13aは、長方形状である。パターン14は、長方形状の非磁性体が配設されることにより構成されている。図において、時計回りを正とした場合、パターン11における各小片11aの傾斜角は+45゜であり、これによりパターン11の磁化容易方向は走査方向に対して+45゜をなしている。また、パターン12における各小片12aの傾斜角は−45゜であり、これによりパターン12の磁化容易方向は走査方向に対して−45゜をなしている。また、パターン13における各小片13a、13bは、長方形状であるため、パターン13の磁化容易方向は走査方向に対して垂直になっている。
【0022】
図2は、図1のII-II線矢視断面図である。この図に示すように、磁気カード10は、ポリエチレンテレフタレート等の非磁性体の基板21と、この基板21の上に形成された磁気記録層22とを備える。磁気記録層22には、通常磁気バーコードよりも高い(200〜5000Oe程度)保磁力が要求されるため、Ba−フェライト、マグネタイト(Fe34)、γ酸化鉄(γ−Fe23)等の酸化物磁性体やFe−Co合金、CuNiFe合金等の金属磁性体などが用いられる。この磁気記録層22の上には、磁気記録層22よりも低保磁力の磁性体を有する磁気コードパターン23と、非磁性体からなるダミーコードパターン24とが、バーコードパターン(11、12、13、14)として形成されている。図示例では、最も右にあるパターン14がダミーコードパターン24であり、他のパターン11、12、13は磁気コードパターン23である。
【0023】
ここで、磁気記録層22には、磁化により可変情報が記録される。これに対して、バーコードBCの磁気コードパターン23は磁性体を有しているが、磁化によって情報の記録が行われるのではなく、磁気コードパターン23とダミーコードパターン24の配列の組み合わせのいかんと、磁気コードパターン23における磁化容易方向が+45゜、−45゜または垂直のいずれであるかにより、バーコードBCの記録コードが定まる。つまり、バーコードBCの記録情報は、磁気カード10の製造時に付与され、しかも書き換えできない固定情報である。後述するように、磁気コードパターン23が、特定の磁気読取ヘッドによって2進法の「1」として読み取られうるのに対して、ダミーコードパターン24は、どの磁気読取ヘッドを用いても「0」としか読み取られない。
【0024】
上記のように、バーコードBCは固定情報の記録に用いられるため、磁気コードパターン23の保磁力は、磁気記録層22の保磁力に影響を与えない程度に低いだけではなく、マグネットビュワー等で感知されないように30Oe以下であるとよい。また、磁気コードパターン23を構成する小片11a、12a、13aに使用される磁性体は、磁気読取ヘッドで読み取った時に高い出力電圧を得るように、高透磁率磁性材料であることが望ましい。この種の材料としては、センダスト、パーマロイ、鉄、コバルト、ニッケルなどの磁性金属や、Mn−ZnフェライトおよびNi−Znフェライトのような磁性酸化物などが挙げられる。また、近年開発されたFe−B系、Fe−B−C系、Fe−Si−B系、Fe−B−C−Si系などのアモルファス磁性金属なども高透磁率を有することが知られており、これらのアモルファス磁性金属も小片11a、12a、13aの素材に使用しうる。
【0025】
磁気コードパターン23を構成する小片11a、12a、13aは、これらの材料を顔料としたインキを作製し、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷手法によって磁気記録層22の上に図示の形状に印刷されることにより形成される。また、これらの材料を磁気記録層22の上に一旦固着させ、その後エッチングなどの手法により図示の形状に加工してもよい。さらに近年では、上記のアモルファス磁性金属のワイヤも製造されており、このワイヤを細かく切断して、磁気記録層22の上に貼着してもよい。
【0026】
また、磁気コードパターン23を構成する小片11b、12b、13bは、小片11a、12a、13aが印刷された形状のネガパターンに形成された印刷用の版で、アルミニウムなどの非磁性金属や酸化チタン等の通常のインキなどを使用し、上記の印刷方法と同様の手法で形成される。また、ダミーコードパターン24は、アルミニウムなどの非磁性金属や酸化チタン等の通常のインキなどを使用し、磁気コードパターン23の印刷方法と同様の手法で形成される。
【0027】
なお、理解を容易にするために、図1では、パターン11、12、13、14を露出したが、セキュリティを重視して、図2に示すように隠蔽層25、保護層26などをパターン11、12、13、14の上に設けて、これらを目視できないようにすることも可能である。また、パターン13を磁性体からなる一つのバーとして形成してもよい。さらに、パターン11、12、13、14の合計本数、すなわちバーの本数は、図示では4本にしたが、磁気カードの用途に応じて変更しうる。
【0028】
B.磁気バーコードの読取方法
次に、上記磁気バーコードの読取方法を説明する。まず、図3において、符号30は読取装置のヘッドアセンブリ30を示す。このヘッドアセンブリ30は、その読取面30aに、複数の読取ヘッド(磁気読取手段)を備えており、これらの読取ヘッドのコアのギャップは、それぞれ異なるアジマス角を持つように形成されている。磁気カード10は、図示しないこの読取面30aにほぼ平行にかつ、バーコードBCまたは保護層26が読取面30aに対向するように、走査されるようになっている。
【0029】
図4は、ヘッドアセンブリ30における読取ヘッドとそれらのコアのギャップのアジマス角の例を示す。なお、ギャップは目視で認識されないほど微小であるが、ここでは誇張して示す。以下、ギャップが磁気カード10の走査方向に対して垂直なときを0゜とし、図中の時計回りを負としてアジマス角を説明する。
図示は、二つの読取ヘッド31、32が走査方向に並列に設けられた例を示す。読取ヘッド31のアジマス角は0゜であるのに対して、読取ヘッド32のアジマス角は+45゜である。
【0030】
上記のようなアジマス角を持つ読取ヘッドを用いた磁気コードパターン23の読取原理は以下の通りである。まず各読取ヘッドには、直流バイアス電流を流し、磁気記録層22の磁気記録に影響を与えない程度の大きさの弱いバイアス磁界を磁気コードパターン23に与える。
【0031】
磁気コードパターン23を読取ヘッドに対して走査した時に得られる読取ヘッドの出力電圧は、基板21上に設けられた磁気コードパターン23を構成する磁性体の小片11a、12a、13aのエッジが読取ヘッドのギャップに対して平行に(0゜をなすように)横切った時、最も高い値が得られる。一方、磁気コードパターン23を構成する磁性体の小片11a、12a、13aのエッジと、読取ヘッドのギャップとが傾斜したときは、いわゆるアジマス損失があり、出力が低下し、検出することはできない。すなわち、図4に例示した読取ヘッドと磁気コードパターン23の磁性体小片11a、12a、13aのエッジとがなす角度は、0゜、45゜、90゜のいずれかとなるが、0゜以外の角度のときは、アジマス損失により出力電圧はほとんど得ることができない。以下、具体的に説明する。
【0032】
図5にアジマス角が+45゜のギャップを持つ読取ヘッド32に対して、このギャップに平行な磁化容易方向を持つ磁気コードパターン23(パターン12)が横切ったときの状態を示す。同図において、Wは読取ヘッド32の幅(トラック幅)を示し、vは走査速度を示す。また、dは幅wの方向における磁気コードパターン23を構成する一つの磁性体の小片12aの長さを示す。
【0033】
G1〜G8は、各小片12aを横切り始めるタイミングと横切り終わるタイミングでのギャップの位置を示し、t1〜t8は、G1〜G8にそれぞれ対応するタイミングを示す。全体の読取時間は、t8−t1=taとなる。図5に示すように、読取ヘッド32のギャップに対して、各小片12aの長辺がなす角度は0゜であり、各小片12aの短辺がなす角度は45゜である。この場合、磁気コードパターン23を構成する磁性体の小片12aのエッジが読取ヘッドのギャップに対して平行に(0゜をなすように)横切る時があり、この時に読取ヘッド32の出力電圧を得る。
【0034】
図5では、t1で最初の磁束変化があり、t2で磁束が0に戻る。従って、t1で正の出力電圧、t2で負の出力電圧が得られる。ただし、t1、t2では、トラック幅Wに対して、横切る小片12aの領域が小さいので、小さい出力しか得られない(t7、t8も同様である)。
t3では、再び磁束変化があり、t4で磁束が0に戻る。従って、t3で正の出力電圧、t4で負の出力電圧が得られる。t3、t4では、トラック幅Wに対して、横切る小片12aの領域が大きいので、大きい出力が得られる(t5、t6も同様である)。このように出力を得ることにより、出力波形は、図5の下部に示すようになる。
【0035】
なお、図示せぬアジマス角が−45゜のギャップを持つ読取ヘッドに対して、このギャップに平行な磁化容易方向を持つ磁気コードパターン23(パターン11)が横切ったときも、図5と同様の出力波形が得られる。
【0036】
図6は、アジマス角が+45゜のギャップを持つ読取ヘッド32に対して、このギャップに直交する磁化容易方向を持つ磁気コードパターン23(パターン11)が横切ったときの状態を示す。G1、G2…は、各小片11aを横切り始めるタイミングと横切り終わるタイミングでのギャップの位置を示し、t1、t2…は、G1、G2…にそれぞれ対応するタイミングを示す。全体の読取時間は、tbとなる。
【0037】
読取ヘッド32のギャップに対して、各小片11aの長辺がなす角度は90゜であり、各小片11aの短辺がなす角度は45゜である。このため、磁気コードパターン23を構成する磁性体の小片11aのエッジが読取ヘッドのギャップに対して平行に(0゜をなすように)横切る時がなく、アジマス損失により、図6の下部に示すように、読取ヘッド32の出力電圧を得ることはできない。
【0038】
なお、図示せぬアジマス角が−45゜のギャップを持つ読取ヘッドに対して、このギャップに直交する磁化容易方向を持つ磁気コードパターン23(パターン12)が横切ったときも、図6と同様に出力波形が得られない。
【0039】
また、アジマス角が+45゜のギャップを持つ読取ヘッド32または図示せぬアジマス角が−45゜のギャップを持つ読取ヘッドに対して、このギャップに+45゜または−45゜に傾いた磁化容易方向を持つ磁気コードパターン23(パターン13)が横切ったときも、磁気コードパターン23を構成する磁性体13aの小片のエッジが読取ヘッドのギャップに対して平行に(0゜をなすように)横切る時がなく、アジマス損失により、図6と同様に出力波形が得られない。
【0040】
図7は、アジマス角が0゜のギャップを持つ読取ヘッド31に対して、磁気コードパターン23であるパターン11が横切ったときの状態を示す。G1、G2は、各小片11aを横切り始めるタイミングと横切り終わるタイミングでのギャップの位置を示し、t1、t2は、G1、G2にそれぞれ対応するタイミングを示す。全体の読取時間は、t2−t1=tcとなる。
【0041】
読取ヘッド32のギャップに対して、各小片11aの長辺がなす角度は45゜であり、各小片11aの短辺がなす角度は0゜である。この場合、磁気コードパターン23を構成する磁性体の小片11aのエッジが読取ヘッドのギャップに対して平行に(0゜をなすように)横切る時があり、この時に読取ヘッド32の出力電圧を得る。
【0042】
図7では、t1で磁束変化があり、t2で磁束が0に戻る。従って、t1で正の出力電圧、t2で負の出力電圧が得られる。このように出力を得ることにより、出力波形は、図7の下部に示すようになる。
なお、アジマス角が0゜のギャップを持つ読取ヘッド31に対して磁気コードパターン23であるパターン12が横切ったときも、図7と同様の出力波形が得られる。また、アジマス角が0゜のギャップを持つ読取ヘッド31に対して磁気コードパターン23であるパターン13が横切ったときも、図7と同様の出力波形が得られる。
【0043】
さらに、ダミーコードパターン24は、上記のバイアス磁束を変化させることができないので、いずれの読取ヘッドによっても検出されることはない。
【0044】
このように、読取ヘッドのアジマス角によって、同一の磁気パターンに対しての検出結果が異なるため、同じバーコードBCでも、読取ヘッドによって異なる読取結果が得られる。ここで、パターンの検出を「1」、非検出を「0」として符号化すると、図4に示す磁気カード10(図1の磁気カード10を裏返して示す)についての検出結果は、アジマス角が0゜の読取ヘッドによれば、(1110)となるが、アジマス角が+45゜の読取ヘッドによれば、(0100)となる。
【0045】
図8は、磁気バーコードの読取装置の全体構成を示す。同図に示すように、ヘッドアセンブリ30は、その読取面30aを下方に向けた状態で固定されており、磁気カード10は、図示しない搬送手段により、ヘッドアセンブリ30の下方を水平に搬送され、その間に、バーコードBCがヘッドアセンブリ30によって読み取られるようになっている。ただし、逆に、磁気カード10を固定して、ヘッドアセンブリ30が搬送されるようにしてもよい。すなわち、磁気カード10とヘッドアセンブリ30の相対移動が引き起こされれば、いずれが搬送されてもよい。
【0046】
ヘッドアセンブリ30の各読取ヘッドの出力信号(各読取コイルの出力電圧)は、それぞれ増幅器で増幅される。
増幅されたそれぞれの出力信号は、デコーダ(符号化手段)43に入力される。デコーダ43は、出力信号をクロック信号と対比し、一クロック周期の中で規定以上の出力電圧があるとき、二進法の「1」を出力し、出力信号が規定未満のとき「0」を出力する。このようにして各読取ヘッドの出力信号ごとに、デコーダ43は符号化したデータを出力する。これらの複数のデータは、演算器(演算手段)45において、あらかじめ定められた計算式に従って一つに結合されて出力される。
【0047】
好ましくは、図8に示すように、読取装置がクロック信号発生器44を備え、このクロック信号発生器44でクロック信号を発生するようにするとよい。ただし、磁気カード10に走査方向に沿って等間隔に複数の基準被検出部を形成し、読取装置に基準被検出部を検出する検出手段を設け、磁気カード10の搬送中、これらの基準被検出部が検出された時に検出手段が発生する信号をクロック信号の代わりに用いることも可能である。この場合には、磁気カードの搬送速度が途中で変化した場合にも、パターン11、12、13の読取とクロック信号が同期し、符号化が円滑に行える。
【0048】
具体的な読取手法について図9を参照して説明する。ここでは、図4(a)に示すヘッドアセンブリ30を用いて、同図に示す磁気カード10を読み取った場合を例に採る。図9の(a)は、読取ヘッド31の出力信号の波形を示し、(b)は読取ヘッド32の出力信号の波形を示す。これらの波形は、デコーダ43において、(c)で示すクロック信号と照合されて符号化される。すなわち、読取ヘッド31の出力信号は、(d)に示すように(1110)に符号化される。一方、読取ヘッド32の出力信号は、(e)に示すように(0100)に符号化さ
れる。
【0049】
上記のように演算器45は、これらの出力信号を一つに結合する。図示例では、単純に読取ヘッド31の出力信号を上4桁、読取ヘッド32の出力信号を下4桁にして合計8桁に結合する。この結果、(11100100)のデータが出力される。ただし、各桁の数値を所定の桁に振り分けて全く別の順序にしてもよい。
【0050】
次に、本実施形態による磁気バーコードを上記の読取方法で読取った場合の効果を以下説明する。従来の磁気バーコードを読み取るときに、磁気コードパターン23とダミーコードパターン24とを組み合わせて、4本のパターンを製造した場合には、磁気コードパターン23に対して「1」を出力し、ダミーコードパターン24に対して「0」を出力するだけである。従って、二進法で(0000)〜(1111)の16通りのデータが得られるだけである。
【0051】
しかし、上記の実施形態による磁気バーコードを、ヘッドアセンブリ30に、磁化容易方向が一定の範囲にある磁気コードパターン23のみを検出する読取ヘッドが少なくとも一つ設けられている読取装置で読み取る場合、アジマス角が+45゜である読取ヘッド32は、磁気コードパターン23のうちの磁化容易方向がこのアジマス角に平行なパターン11に対して「1」を出力し、磁気コードパターン23のうちの磁化容易方向がアジマス角と直交するパターン12および磁化容易方向がアジマス角に対して45゜に傾いているパターン13に対しては「0」を出力する。また、図示せぬアジマス角が−45゜である読取ヘッドが設けられている読取装置で読み取る場合、磁気コードパターン23のうちの磁化容易方向がこのアジマス角に平行なパターン12に対して「1」を出力し、磁気コードパターン23のうちの磁化容易方向がアジマス角と直交するパターン11および磁化容易方向がアジマス角に対して45゜に傾いているパターン13に対しては「0」を出力する。
【0052】
従って、同一の磁気コードパターン23でも、読取ヘッド次第で、出力が「1」になることもあるし「0」になることもある。このため、磁気バーコードは、記録および読取が可能な情報を多彩にすることが可能である。表1は、上記の実施形態で記録および読取が可能な情報の内容を示す。ここでは、ヘッドアセンブリ30として図4に示すものを用いた場合を例示する。
【0053】
【表1】
Figure 0003858338
【0054】
表1の見方は、次の通りである。まず、アジマス角が0゜の読取ヘッド31が(0000)と読み取ったときには、4本のパターンはいずれもダミーコードパターン24である。従って、アジマス角が+45゜の読取ヘッド32の読取結果は必ず(0000)となる。このように、4本のダミーコードパターン24で構成されるデータの組み合わせ数は、1通りの可能性しかない。これが表1の1行目の見方である。
【0055】
次に、読取ヘッド31が(0001)と読み取ったときには、最初の3本のパターンはダミーコードパターン24であって、最後のパターンは磁気コードパターン23であることは確かであるが、この磁気コードパターン23の磁化容易方向は二通りありうるから、読取ヘッド32の読取結果は(0000)(0001)の二通りの可能性がある。これが表1の2行目の見方である。
【0056】
以下、同様に考えられ、最後に、読取ヘッド31が(1111)と読み取ったときには、4本のパターンはいずれも磁気コードパターン23であるが、磁気コードパターン23の磁化容易方向は二通りの可能性がありうるから、読取ヘッド32の読取結果は16通りの可能性がある(表1の最終行参照)。従って、読取ヘッド31の読取結果と読取ヘッド32の読取結果を結合すると、全部で81通りの組み合わせが考えられる。
【0057】
このように81通りの組み合わせが考えられるということは、換言すれば、磁気カード10の製造にあたって4本のパターンを磁気カード10に付与することにより、81通りの情報を与えることが可能であることにほかならない。つまり、バーコードBCの占有面積を大きくしなくても、記録できる情報量を従来よりも5倍以上に拡大することが可能である。そして、二つの読取ヘッド31、32が設けられた読取装置を用いることにより、これらの81通りの情報の全てを識別することが可能である。
【0058】
この効果は、仮に読取ヘッド32のアジマス角が+45゜でなく−45゜であったとしても同様である。また、ヘッドアセンブリ30の読取ヘッドのアジマス角がそれぞれ+45゜と−45゜であっても同様である。パターン11、12、13、14には、ダミーコードパターン24も含まれうるから、アジマス角が+45゜の読取ヘッドの読取結果の反対が、アジマス角が−45゜の読取ヘッドの読取結果になるような単純な関係にはならないからである。
【0059】
また、アジマス角が0゜、+45゜、−45゜のギャップを持つ3種類の読取ヘッドを一つの読取装置に設けてもよい。この読取装置で、磁気バーコードを読み取る場合に、例えば、アジマス角が0゜の読取ヘッドが(0011)と読み取り、アジマス角が+45゜の読取ヘッドが(0000)と読み取るとする。このとき、パターン13が混在する可能性のない磁気バーコードにおいては、アジマス角が−45゜の読取ヘッドの読取結果は必ず(0011)となる。しかし、パターン13が混在している可能性のある磁気バーコードにおいては、アジマス角が−45゜の読取ヘッドの読取結果は、(0000)、(0001)、(0010)、(0011)の4通りの可能性がある。このように、読取結果の組み合わせが多く考えられるということは、多くの情報を与えることが可能であることを意味する。つまり、バーコードBCの占有面積を大きくしなくても、記録できる情報量をより多くすることができる。
【0060】
ここで、パターン13が磁性体のみから構成されるているとすると、図9(a)中の最も右側の波形の振幅が他の二つの波形より大きくなってしまう。そこで、パターン13を長方形状の磁性体の小片13aと非磁性体の小片13bとを交互に配設して形成することによって、読取ヘッド31のトラック幅Wに対して横切る小片13aの領域を小片11a、12aと合わせる。こうして、図9(a)に示すように、パターン11やパターン12の場合と、ほぼ等しい大きさの波形を得ることができる。
【0061】
なお、図4では、ヘッドアセンブリ30を例示したが、アジマス角、トラック数(ヘッドの並列数)とも、図示のものに限定されない。ただし、ヘッドアセンブリ30の複数の読取ヘッドのうち、少なくとも一つは、磁化容易方向が一定の角度にある磁気パターンのみを検出し、他の一定の角度の磁化容易方向を持つ磁気パターンを検出しないものでなければならない。つまり、この実施形態のように、アジマス角が0゜、+45゜、−45゜の3通りが考えられる場合は、+45゜か−45゜のアジマス角のヘッドを少なくとも一つが設けられた読取装置を使用すればよい。
【0062】
さらに、本実施形態の磁気バーコードは、ギャップのアジマス角が0゜を持つ読取ヘッドのみが設けられた従来の読取装置で読取を行えば、パターン11、12、13を検出することができるため、従来の磁気バーコードに対しても互換性を有することになる。
【0063】
なお、上記の実施形態では、パターン11、12、13、14にダミーコードパターン24を混在させているが、パターン11、12、13、14は磁気コードパターン23のみから構成してもよい。従来、4本の磁気コードパターン23から構成された磁気バーコードの読取結果は、(1111)の一通りしかありえなかった。しかし、磁気コードパターン23のそれぞれの磁化容易方向の可能性を三通りにすることにより、複数の読取結果が得られる。
【0064】
C.効果
本実施形態による磁気バーコードは、上記の異なるアジマス角のギャップを持つ読取ヘッドが設けられた複合磁気ヘッドによる読取方法によって、記録可能な情報量を飛躍的に拡大することができる。また、磁化容易方向が走査方向に対して+45゜に傾いているパターン11が、交互に配設された複数の磁性体の小片11aと非磁性体の小片11bとから構成された長方形上状のバー、すなわち、従来の磁気バーコードを構成するバーと外観上同一になされている。また、磁化容易方向が走査方向に対して−45゜に傾いているパターン12についても、同様になされている。従って、磁気バーコードを目視で読まれてしまうといった問題が減少する。さらに、この磁気バーコード上に隠蔽層25を設けることによって、従来の磁気カードと外観上の区別をすることができなくなりセキュリティ性が向上する。
【0065】
D.変更例
上記の実施形態の変更例の説明する。図15に示すように、磁気カード10の上面には、パターン11、12の4本からなる磁気バーコードが形成されている。パターン11、12は、高透磁率を有する磁性体の小片11a、12aと非磁性体の小片11b、12bとが交互に多数配設されることによって長方形状になされている。ここで、小片11a、12aは、走査方向に対して、それぞれ+45゜、−45゜の傾斜角を有する平行四辺形状である。これにより、パターン11の磁化容易方向は走査方向に対して+45゜をなしている。また、パターン12の磁化容易方向は走査方向に対して−45゜をなしている。
【0066】
上記の変更例による磁気バーコードは、次のような読取方法によっても読み取ることができる。図10に示すように、読取時において磁気カード10は、検出素子50により間隔xを置いて非接触で走査され、その際、バーコードBCが読み取られる。この場合、磁気カード10が搬送されて、固定された検出素子50が読み取る構成としても、反対に、磁気カード10を固定として、検出素子50が走査する構成としてもよい。すなわち、磁気カード10と検出素子50とにおいて、図に示す走査方向の相対移動が発生すればよい。
【0067】
ここで、検出素子50は、図に示すように、コア51、検出コイル52および励起コイル53から構成される。検出コイル52および励起コイル53は、図11に示すように、それぞれ短形8字状に形成されるものであり、互いに直交し、図では説明のため離れているが、その形成平面は略同一である。
【0068】
なお、検出コイル52の検出磁束および励起コイル53の発生磁束をそれぞれ高めるため、図10に示すようにコア51には十字状の溝が形成され、かかる溝により形成される突起部分に検出コイル52および励磁コイル53がそれぞれ巻回されるとともに、コア21の材質には、フェライトなどの高透磁率磁性体が用いられる。また、検出コイル52および励起コイル53は、図では説明のため、1ターンであるが、やはり磁束を高めるため、通常では複数ターンである。
【0069】
上記のような直交8の字コイル対によるパターン23の読取原理は以下の通りである。まず励起コイル53に対し、図11に示した方向に電流を流したとすると、この電流で発生した磁界により、励磁コイル53の下面には、図に示すような磁束φPが発生する。この際、磁気カード10の上面において磁気バーコードが形成されていない箇所では、同一の磁束φPが、磁気カード10を上からみる と、図12(a)に示すように走査方向と垂直に発生する。
これに対し、例えば、パターン11が形成されている箇所では、図12(b)に示すように、発生磁界がパターン11の磁化容易方向にしたがって曲げられ、この曲げ磁界にかかる磁束φAが発生する。かかる磁束φAは、走査方向とは垂直方向に成分を有する磁束φP´と、走査方向とは逆方向の成分を有する磁束φBとに分解することができる。このため、走査方向に成分を有する磁束が、励起コイル53による磁気励起によって新たに発生することになる。一方パターン12が形成されている箇所では、同様な理由から磁束φBとは逆向きの磁束が生じる。
【0070】
さて、パターン11によって磁束φBが発生すると、この磁束φBによって、図13に示すように、走査方向とは垂直方向に磁界が発生し、なおかつ、この磁界に対し検出コイル52が相対移動しているので、検出コイル52には、誘導起電力が同図に示す方向に生じる。また、パターン12については、磁界の向きが同図に示す方向と反対となるので、逆向きの誘導起電力が生じる。
【0071】
従って、励起コイル53に電流を流し、検出素子50を磁気カード10に対し相対移動させて検出コイル52に発生する誘導起電力の有無、さらに有のときには、その電圧(および極性)を検出することにより、バーコードBCに対応する情報を取得することができる。
【0072】
次に、このような直交8の字コイル対による具体的な読取手法および効果について説明する。まず、励磁コイル53に交流電流を励磁信号とし、これにより交流磁界を発生させている。このような構成例を図14に示す。この例では、励磁信号の周波数を100kHzとし、ロックインアンプ60によって、検出コイル52の出力を、励磁信号と同期して整流した電圧Voutを得ることとしている。
【0073】
かかる電圧Voutと検出素子50の位置との関係を図15に示す。この図に示ように、パターン11、12、12、12に対応する電圧Voutによって、符号 「0」、「1」、「1」、「1」を得ることができる。
【0074】
さて、図15の例では、パターン11、12の磁化容易方向は走査方向に対して+45゜、−45゜になされていた。図16(a)において、走査方向に対する磁化容易方向の角度θを−90°から+90°まで変化させた場合における電圧Voutの特性を同図(b)に示す。この図に示すように、角度θが変化すると、電圧Voutも連続的に変化する。特に、−45≦θ≦+45では、電圧Voutが定まれば、角度θも一義的に定まる。このため、角度θと電圧Voutとの対応付 けを予め行うことにより、符号「0」、「1」のディジタルデータのみならず連続的なアナログデータや多値のデータも取り扱うことが可能である。例えば、角度θが−45゜、−30゜、+30゜、+45゜をそれぞれ符号の「00」、「01」、「10」、「11」に対応させることで、ひとつのパターンに対して2ビットの情報を割り当てることができる。このようにして図15に示す磁気バーコードの読取を行えば、(11000000)のデータを得ることができる。従って、磁気バーコードに記録可能な情報量を飛躍的に拡大することが可能である。また、外観上も上記の実施形態の磁気バーコードと同様に、従来の磁気バーコードと区別することができなくなりセキュリティ性が向上する。
【0075】
【実施例】
次に、実際に試作した例について述べる。
A.実施例1
実施例1は、まず、磁気カード10の基板21となる厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートシート(東レ製「E−28G」(商品名))の上に、Ba−フェライトを記録用磁性粉とした磁気塗料(東洋インキ製造製)をグラビアコーティングして磁気記録層22を形成した。
【0076】
異方性磁気バーコードである磁気コードパターン23は、磁性体をバインダー中に分散した磁性インキを用いてスクリーン印刷した。この磁性インキは、表2に示す組成で配合され、ディスペンサによって前分散を行ってから、サンドミルで2400rpmの速度で分散を行うことにより得た。
【表2】
Figure 0003858338
【0077】
図1に示す磁性体部分に合うように形成された磁性材料印刷用の版を用いて、各磁気コードパターン23の幅が1mm、長さが4mm、一つの小片の幅が300μmとなるようにした。スクリーン印刷の版は、300線/インチ、ゾル厚20μmのテトロン版とした。パターン11、12、13における非磁性体部分は、上記の磁性材料用の版のネガパターンに形成された非磁性材料印刷用の版で、市販のグレーインキ(東洋インキ製造製)100重量%に対して酸化チタン2重量%が配合されたインキを用いて同様の印刷を行った。また、ダミーコードパターン24も、同様に印刷を行った。
【0078】
隠蔽層25は、アルミペースト(東洋アルミ製)を塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂中に分散したインキを用いて、300線/インチのテトロン、カレンダー版でスクリーン印刷を行い約3μmの厚さに設けた。その後、耐摩耗性を与えるため、紫外線硬化型オフセットインキ(東洋インキ製造製)を用いて保護層26を印刷して1μmの厚さに設けた。このように印刷されたシートから、磁気カード10の形態に切断加工して測定サンプルとした。
【0079】
このように作製した磁気カードの磁気バーコードを読み取るために、ヘッドアセンブリ30は、図4に示すような、アジマス角0゜の読取ヘッド31と、+45゜の読取ヘッド32を並列に設けた二トラックの読取装置を用いた。磁気カード10のパターン11、12、13、14の配列は、図1と同一であるから、上記のように読取ヘッド31の読取結果は(1110)、読取ヘッド32の読取結果は(0100)になるはずである。
【0080】
各読取ヘッド31、32における読取用のコアのギャップはそれぞれ35μm、トラック幅はそれぞれ1mmである。ヘッドアセンブリ30では、バイアス磁界を発生するために、バイアス電流を20mA印加し、走査速度1m/secでサンプルの磁気カード10の磁気バーコードを読み取った。
【0081】
図9の(a)、(b)は、この実測における出力波形を示し、それぞれ読取ヘッド31、32の出力波形を増幅したものである。この時得られた出力電圧の極値は、同一形式の増幅器41、42で同倍率に増幅したところ、(a)、(b)ともに約7.8Vpp、であり、十分に良好なSN比で符号化することのできる値であった。従って、使用上の信頼性も確認された。
【0082】
この出力波形をデコーダ43および演算器45で符号化し、単純に読取ヘッド31の出力信号を上4桁、読取ヘッド32の出力信号を下4桁にして合計8桁に合成したところ、(11100100)となり、この磁気カード10に記録されている正規の情報を得ることができた。
【0083】
また、作製した磁気カードは、外観上は、磁気バーコードの存在を識別できる程度の凹凸はあるが、長方形状のバーが4本並んでいる従来の磁気カードと区別はできなかった。
【0084】
B.実施例2
実施例2としては、実施例1と同様に基板21と磁気記録層22とを形成し、表3に示す組成で配合された磁性インキを実施例1と同様に印刷した。
【表3】
Figure 0003858338
【0085】
また、非磁性材料としては、市販のグレーインキ(東洋インキ製造製)を用いて実施例1と同様に印刷を行った後、実施例1と同様に隠蔽層25および保護層26を設けて磁気カードを作製した。
【0086】
この磁気カードの磁気バーコードの読み取りを、実施例1と同様の条件および読取装置で行い、このとき得られた出力電圧の極値を、同一形式の増幅器41、42で同倍率に増幅したところ、(a)、(b)ともに約6.8Vpp、であり、十分に良好なSN比で符号化することのできる値であった。従って、使用上の信頼性も確認された。また、外観上も実施例1と同様に、従来の磁気カードと区別することができなかった。
【0087】
C.実施例3
実施例3としては、実施例1と同様に基板21と磁気記録層22とを形成し、表4に示す組成で配合された磁性インキを実施例1と同様に印刷した。
【表4】
Figure 0003858338
【0088】
また、非磁性材料としては、市販のグレーインキ(東洋インキ製造製)を用いて実施例1と同様に印刷を行った後、実施例1と同様に隠蔽層25および保護層26を設けて磁気カードを作製した。
【0089】
この磁気カードの磁気バーコードの読み取りを、実施例1と同様の条件および読取装置で行い、このとき得られた出力電圧の極値を、同一形式の増幅器41、42で同倍率に増幅したところ、(a)、(b)ともに約13.5Vpp、であり、十分に良好なSN比で符号化することのできる値であった。従って、使用上の信頼性も確認された。また、(a)は、従来の磁気バーコードを読み取るための読取ヘッドで読み取ったときの値であるため、従来の磁気バーコードとの互換性が確認された。また、外観上も実施例1と同様に、従来の磁気カードと区別することができなかった。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来の磁気バーコードと外観状は同じであり、かつ磁気バーコードの占める面積を大きくしなくても、磁気バーコードの情報量を従来よりも飛躍的に多くすることができる。また、従来の磁気バーコードに対しても互換性を有しているため、従来の磁気バーコードの読取装置等の変更をせずにセキュリティ性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る磁気バーコードが付与された磁気カードを示す平面図である。
【図2】 図1のII-II線矢視断面図である。
【図3】 上記磁気バーコードの読取装置のヘッドアセンブリを示す斜視図である。
【図4】 図3のヘッドアセンブリにおけるヘッドの配列の例を示す図である。
【図5】 上記磁気バーコードの磁気異方性を有する磁気コードパターンをギャップのアジマス角が+45゜のヘッドで読み取る状態およびその際の出力電圧を示す図である。
【図6】 上記時期バーコードの他の磁気異方性を有する磁気コードパターンをギャップのアジマス角が+45゜のヘッドで読み取る状態およびその際の出力電圧を示す図である。
【図7】 上記磁気バーコードの磁気異方性を有する磁気コードパターンをギャップのアジマス角が0゜のヘッドで読み取る状態およびその際の出力電圧を示す図である。
【図8】 上記磁気バーコードの読取装置の全体構成を示すブロック図である。
【図9】 図8の読取装置の信号波形および出力データを示す図である。
【図10】 図15に示す変更例に係る磁気バーコードの読取装置を示す斜視図である。
【図11】 図10の読取装置における励起コイルおよび検出コイルの構成を示す斜視図である。
【図12】 (a)、(b)は、それぞれ図10に示す読取装置の読取原理を示す図である。
【図13】 図10の読取装置の読取原理を示す図である。
【図14】 図10の読取装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図15】 磁気パターンの変更例と、上記電気的構成における出力信号との位置関係とを示す特性図である。
【図16】 (a)は走査方向に対する磁性体小片の位置関係を示す図であり、(b)は上記電気的構成における出力電圧と磁性体小片が走査方向となす角度との関係示す特性図である。
【図17】 従来の磁気カードを示す平面図である。
【図18】 図17のXVIII-XVIII線矢視断面図である。
【符号の説明】
10…磁気カード、11、12、13、14…パターン、11a、12a、13a…小片、11b、12b、13b…小片、23…磁気コードパターン、24…ダミーコードパターン、BC…バーコード

Claims (8)

  1. 磁化容易方向が走査方向に対して所定の角度をなすように形成された複数の磁気パターンを有する磁気バーコードであって、
    上記複数の磁気パターンは、それぞれ2以上のアジマス角のいずれかに応じた上記角度を有し、
    それぞれの上記磁気パターンは、上記角度に傾斜された辺を有する四辺形状の磁性体の小片と、上記角度に傾斜された辺を有する四辺形状の非磁性体の小片とを交互に配設してなるバーである
    ことを特徴とする磁気バーコード。
  2. 上記複数の磁気パターンと、非磁性体からなるダミーパターンとを混在させることを特徴とする請求項1に記載の磁気バーコード。
  3. 上記角度がほぼ+45゜またはほぼ−45゜である上記磁気パターンを有することを特徴とする請求項1に記載の磁気バーコード。
  4. 少なくとも一つの上記磁気パターンの上記磁化容易方向が、上記走査方向に対してほぼ垂直であることを特徴とする請求項3に記載の磁気バーコード。
  5. ほぼ+45゜またはほぼ−45゜に傾けられた上記磁気パターンを構成する上記磁性体の小片が、上記走査方向に対してほぼ+45゜またはほぼ−45゜傾いている斜辺を有する平行四辺形状の小片であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の磁気バーコード。
  6. 上記磁化容易方向に対してほぼ垂直である上記磁気パターンを構成する上記磁性体の小片が、長方形状の小片であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の磁気バーコード。
  7. 上記磁気バーコードを隠蔽するための層が、上記磁気バーコード上に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の磁気バーコード。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の磁気バーコードと、
    それぞれが異なるアジマス角を有する複数の読取ヘッドを上記走査方向に並列に備える磁気バーコード読取装置と
    を備えることを特徴とする磁気バーコード読取システム。
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