JP3858267B2 - 排気浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気浄化装置に関し、詳細には、エンジン等の排気からNOx(窒素酸化物)を除去する排気浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リーンバーンによる運転を行う自動車等の排気浄化装置として、排気ガス中の酸素濃度が高い状態でNOxを吸着し、排気ガス中の酸素濃度が低くなると吸着していたNOxを放出するNOx吸着触媒を備えた装置が知られている。NOx吸着触媒のNOx吸着量には限界があるので、このような装置では、NOx吸着触媒が飽和量までNOxを吸着すると、リーンバーンによる運転状態から、理論空燃比近傍でエンジンを運転状態に移行する等して排気ガス中の酸素濃度を低下させて、NOx吸着触媒からNOxを放出させるとともに、これを還元して浄化する処理が行われる。
【0003】
また、この処理の際、NOx吸着触媒の下流側に設けたNOxセンサによって下流側のNOx量を検出し、この検出結果に基づいて、NOx吸着触媒の劣化状態を診断するNOx吸着触媒の劣化状態を診断する装置が知られている(特開2000−337131)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本件発明の発明者は、上記装置等で劣化状態が診断されている酸素濃度の領域では、NOxセンサによるNOx検出が適切に行われず、その結果、上記診断が不正確になることを見出した。そして、この問題について検討した結果、NOxを検出する検出子を保護するために設けられた金属カバーに含まれる金属が、この酸素濃度の領域で触媒として作用し、検出すべきNOxをCO、H2、HC等の還元ガスと反応させてしまい、検出子に到達するNOxが減少すること等が原因であることを見出した。
【0005】
本発明はこのような状況においてなされたものであり、NOx吸着触媒の劣化診断を正確に行うことができる排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本件出願の発明によれば、排気通路に配置され、排気ガス中の酸素濃度に応じてNOxを吸着または放出するNOx吸着触媒と、該NOx吸着触媒の下流側に配置され金属のカバーを有するNOxセンサと、前記NOx吸着触媒のNOx吸着量が所定量に達したとき、前記酸素濃度を制御して前記NOx吸着触媒からNOxを放出させる酸素濃度制御手段と、前記NOx放出時に前記NOxセンサからの出力に基いて前記NOx吸着触媒からのNOx放出状態を検出し、これに基づいて前記NOx吸着触媒の劣化診断を行う診断手段と、を備え、前記酸素濃度制御手段は、前記劣化診断中は前記酸素濃度を0%に制御し、さらに、前記劣化診断終了後の所定期間、前記酸素濃度を0.1ないし0.6%の範囲に制御する、ことを特徴とする排気浄化装置が提供される。
【0007】
このような構成を有する排気浄化装置によれば、劣化診断中、排気ガス中の酸素濃度が、金属カバーに含まれる金属による触媒作用が生じにくい範囲に設定されるので、NOxセンサがNOx触媒の下流側のNOx濃度を正確に測定することができる。この結果、このNOx吸着触媒センサの出力に基づいたNOx吸着触媒の劣化診断も正確に行われる。
更に、劣化診断終了後は、燃費を重視した運転状態に移行することになる。
【0009】
本発明のもう一つの好ましい態様によれば、前記NOx吸着触媒は、酸素濃度が高い状態でNOxを吸着し酸素濃度が低い状態で吸着していたNOxを放出するNOx吸着材と、該NOx吸着材から放出されたNOxを浄化させる触媒金属とを備え、前記診断手段は、前記NOx吸着材および触媒金属の少なくとも一方の劣化を診断する。
【0012】
本発明のもう一つの好ましい態様によれば、前記酸素濃度制御手段は、前記診断手段による診断結果に基づいて、前記酸素濃度制御の内容を変更する。このような構成によれば、NOx吸着触媒の劣化の程度に応じて、NOx放出量が制御されるので、排気系外に排出される排気ガス中のNOx量を抑えることができる。
【0013】
本発明のもう一つの態様によれば、エンジンの排気通路に配置され、排気ガス中の酸素濃度に応じてNOxを吸着または放出するNOx吸着触媒と、該NOx吸着触媒の下流側に配置され金属のカバーを有するNOxセンサと、前記NOx吸着触媒のNOx吸着量が所定量に達したとき、前記酸素濃度を制御して前記NOx吸着触媒からNOxを放出させる酸素濃度制御手段と、前記NOx放出時に前記NOxセンサからの出力に基いて前記NOx吸着触媒からのNOx放出状態を検出し、これに基づいて前記NOx吸着触媒の劣化診断を行う診断手段と、を備え、前記酸素濃度制御手段は、前記診断手段による劣化診断中は、前記金属がNOxに対する触媒作用を生じさせない第1の値に前記酸素濃度を制御し、その後一定時間、前記酸素濃度を前記第1の値より高い第2の値に制御する、ことを特徴とする排気浄化装置が提供される。
【0014】
このような構成によれば、NOx吸着触媒の劣化診断中は、NOxセンサのカバーを構成する金属が触媒作用を起こしにくくなり、NOxセンサが排気ガス中のNOxを正確に計測することができる。
【0015】
本発明の好ましい態様によれば、前記第2の値は、0.1ないし0.6%の範囲である。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の好ましい実施形態のエンジンの排気浄化装置を備えた自動車用火花点火式のエンジンシステム100の構成を概略的に示す図面である。
【0017】
エンジンシステム100は、エンジン本体1を備えている。このエンジンシステムでは、所定の運転状態で、空燃比が14.7より高く設定されるリーンバーン運転が行なわれる。エンジン本体1は、複数の気筒2(1本のみを図示する)と、この気筒2内に往復動可能に配置されたピストン3とを備え、気筒2とピストン3とによって燃焼室4が形成されている。燃焼室4の上部には、点火回路5に接続された点火プラグ6が燃焼室4に臨むように取付けられ、さらに、燃焼室4に燃料を直接噴射するインジェクタ7が取り付けられている。
【0018】
このインジェクタ7には、高圧燃料ポンプ、プレッシャレギュレータ等を有する燃料供給回路が接続されている。この燃料供給回路によって燃料タンクからの燃料が適正な圧力に調整されてインジェクタ7に供給される。また、燃料供給回路には、燃料圧力を検出する燃圧センサ8が取付けられている。
【0019】
燃焼室4は、吸気弁9が設けられた吸気ポートを介して吸気通路10に連通している。この吸気通路10には、その上流側から順に、吸気を濾過するエアクリーナ11と、吸入空気量を検出するエアフローメータ12と、吸気通路10を絞る電気式スロットル弁13と、サージタンク14とが設けられている。電気式スロットル弁13は、モータ15により開閉駆動されるように構成されている。さらに、電気式スロットル弁13の近傍には、その開度を検出するスロットル開度センサ16が配置され、また、サージタンク14には、吸気圧を検出する吸気圧センサ17が取付けられている。
【0020】
吸気通路10は、サージタンク14より下流の部分が、気筒毎に分岐した独立通路とされている。各独立通路の下流端部は、2つに分割され、それぞれが同一気筒の吸気ポートに連結され、その一方にスワール弁18が設けられている。このスワール弁18は、アクチュエータ19によって駆動される。スワール弁18が閉じると、吸気は他方の分岐通路のみから燃焼室4に供給され、燃焼室4内に強い吸気スワールが生成される。また、スワール弁18の近傍には、スワール弁18の開度を検出するスワール弁開度センサ20が設けられている。
【0021】
燃焼室4には、排気弁21が設けられた排気ポートを介して排気通路22が接続され、各気筒からの排気通路22は下流側で合流している。合流した排気通路22には、上流側から順に、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ(O2センサ)24と、NOxを吸着するNOx吸着触媒25、NOxセンサ26とが設けられている。NOx吸着触媒25は、リーンバーン運転などの排気ガス中の酸素濃度が高い状態でNOxを吸着し、酸素濃度が低い状態になると吸着していたNOxを放出するNOx吸着材と、NOx吸着材から放出されたNOxを還元浄化させる触媒金属(貴金属)とを備えたNOx吸収還元タイプのNOxトラップ触媒である。
【0022】
NOx吸着触媒25は、コージェライト製のハニカム構造の担体を備え、この担体に形成された各貫通孔の壁面には、内側触媒層がコーティングされ、内側触媒層上に外側触媒層がコーティングされている。
【0023】
NOx吸収触媒機能を備える内側触媒層では、白金等の貴金属とBa等のNOx吸収材とが、多孔質材料であるアルミナ、セリア等のサポート材に担持されている。また、NOx還元機能を備える外側触媒層には、白金、ロジウム等の触媒金属と、場合によっては、Ba等のNOx吸収材とが、多孔質材料であるゼオライト等のサポート材に担持されている。
【0024】
このNOx吸着触媒25のNOx吸着量には限界がある。本実施形態は、NOxセンサ26による排気ガス中のNOx検出値が所定のしきい値を越えると、NOx吸着触媒のNOx吸着が飽和に達したと判定し、排気ガス中の酸素濃度を高めてNOx吸着材からNOxを放出させる処理(リッチスパイク処理)を行うように構成されている。
【0025】
図2は、NOxセンサ26の構造を示す概略的な断面図である。図2に示されているように、NOxセンサ26は、第1カバー26aおよび第2カバー26bに覆われた検出子26cを備えている。検出子26cは、排気ガス中のNOx濃度に応じた出力を生じさせる。第1カバー26aと第2カバー26bは、検出子を熱衝撃、排気ガス中の不純物から保護する機能を有し、SUSなどのステンレス鋼で構成されている。また、第1カバー26aと第2カバー26bとのそれぞれには、相互にオフセットした開口部26d、26eが形成され、矢印Aで示されるように、検出子26cに排気ガスが導入されるように構成されている。
【0026】
排気通路22には、排気ガスの一部を吸気系に還流させるEGR通路27の上流端が、酸素濃度センサ24の上流側位置に接続されている。EGR通路27の下流端は、スロットル弁13とサージタンク14との間で吸気通路10に接続されている。また、EGR通路27には、開度が電気的に調整可能であるEGR弁28と、EGR弁28のリフト量を検出するリフトセンサ29とが設けられ、これらにより排気還流手段が構成されている。
【0027】
更に、排気通路22には、吸気の一部を、吸気通路10からNOx吸着触媒25の上流側位置に送り込む2次エア供給通路30が接続されている。この2次エア供給通路30には、制御可能な流量調整弁31が設けられている。
【0028】
エンジンシステム100は、さらに、システム全体の制御を行うECU(電子制御ユニット)32を備えている。このECU34には、エアフローセンサ12、スロットル開度センサ16、吸気圧センサ17、スワール制御弁開度センサ20、酸素濃度センサ24、EGR弁28のリフトセンサ29からの信号が入力される。ECU32には、さらに、エンジン本体1の冷却水温度を検出する水温センサ33、吸気温度を検出する吸気温度センサ34、大気圧を検出する大気圧センサ35、エンジン回転数を検出する回転数センサ36、および、アクセルペダルの開度(アクセル操作量)を検出するアクセル開度センサ37からの信号等も入力される。
【0029】
ECU32は、エンジンの運転状態に応じてインジェクタ7から噴射される燃料の噴射状態を制御する燃料噴射制御、点火プラグ6による混合気の点火時期を制御する点火時期制御、NOx吸着触媒25のNOx吸着量が所定量に達すると排気ガス中の酸素濃度を制御して、NOx吸着触媒25からNOxを放出させるリッチスパイク制御、このリッチスパイク時のNOx放出状態からNOx吸着触媒25の劣化度合いを診断する劣化診断制御等を行う。
【0030】
燃料噴射制御では、エンジンの運転状態に応じて燃料噴射を制御するように構成されている。本実施形態では、低負荷低回転から中回転中負荷の運転領域では、インジェクタ7から圧縮行程の所定時期に燃料を一括噴射して点火プラグ6の近傍に混合気を偏在させた状態で燃焼させ、燃焼室4内における混合気の空燃比を30程度のリーン状態とする成層燃焼モード用の燃焼制御が実行される。また、この成層燃焼モードの領域より高負荷側の領域では、吸気行程と圧縮行程との2回の燃料噴射でλ=1付近の空燃比とした燃焼モード用の燃焼制御が実行される。さらに、高負荷高回転の運転領域では、インジェクタ7から吸気行程で燃料を一括噴射させ燃焼室4内の空燃比をリッチ状態とした均一燃焼モード用の燃焼制御が行われる。
【0031】
リーン状態の燃焼で多く発生するNOxは、下流側に設けられたNOx吸着触媒25によって吸着される。本実施形態では、NOxセンサ26の出力信号に基づいて、NOx吸着触媒25のNOx吸着量を推定し、NOx吸着触媒25のNOx吸着が飽和したと判断されると、空燃比制御等を実行することによって排気ガス中の酸素濃度を例えば0.3%以下に減少させ、NOx吸着触媒25からNOxを放出させる制御(リッチスパイク制御)を行う。さらに、このときのNOxセンサ26からの出力信号に基づいて、NOx吸着触媒25の劣化判定を併せて行う。本実施形態では、NOx吸着触媒25が劣化していたと診断されたとき、これを乗員に知らせる警告灯等を含む表示手段41が設けられている。
【0032】
次に、NOx吸着触媒25の劣化診断制御の前提となるリッチスパイク処理の際、ECU32が行うエンジン制御の処理を、図3のフローチャートに沿って説明する。この制御は、上述した燃焼状態のうち、リーンバーンによる燃焼において行われる。
【0033】
まず、ステップS1において、エアフローセンサ12、酸素濃度センサ24、NOxセンサ26、水温センサ33、吸気温センサ34、大気圧センサ35、回転数センサ36およびアクセル開度センサ37等の出力信号が入力される。
【0034】
次いで、ステップS2で、NOxセンサ26の出力値NOxexが、所定のしきい値NOexoより大きいか否かが判定される。このしきい値NOexoは、NOx吸着触媒25のNOx吸着量が飽和しているか否かを判定するための値である。ステップS2でYESのときには、NOxセンサ26が飽和量までNOxを吸着しており、NOxを放出させる処理を行う必要があることを示しているので、NOxを放出させるリッチスパイク処理を開始する。
【0035】
まず、ステップS3に進みタイマの値Tに1を加えた後、ステップS4で進み、スロットルバルブ開度Tvをリッチスパイク制御用のスロットルバルブ開度Tvλに設定する。リッチスパイク制御では、リッチ状態での燃焼とし、排気ガス中の酸素濃度を低下させる制御であるので、リッチスパイク制御用のスロットルバルブ開度Tvλは、リーンバーンによる燃焼時より小さい値となる。
【0036】
次いで、ステップS5で、リッチスパイク制御用のスロットルバルブ開度Tvλとなるようにスロットル弁を駆動させる。ステップS6で、タイマの値TがT1を未満であるか否かが判定される。タイマの値TがT1を未満であるときには、ステップS7に進み、リッチスパイク用の燃料噴射量、燃料噴射時期、点火タイミングが設定される。本実施形態では、リッチスパイク制御時には、燃料を吸気行程と圧縮行程の2回に分けて噴射する分割噴射が行われる。従って、燃料噴射量として、吸気行程での噴射量Qλs1と、圧縮行程での噴射量Qλs2が設定される。また、燃料噴射時期として、吸気行程での噴射時期Iλs1と、圧縮行程での噴射時期Iλs2が設定される。さらに、点火時期として、θλsが設定される。
【0037】
このとき、本実施形態では、排気ガス中の酸素濃度が0.3%以下になるような14.5以下の空燃比に対応する総噴射量すなわち噴射量Qλs1とQλs2との和が設定される。また、排気ガス中の酸素濃度が0.1%以下になるような14.3以下の空燃比に対応する燃料噴射量が設定されるのが好ましく、排気ガス中の酸素濃度が略0.1%以下になるような14.3以下の空燃比に対応する燃料噴射量が設定されるのがより好ましい。尚、Qλs1とQλs2とは等しい値に設定されるのが好ましい。
【0038】
次いで、ステップS8に進み、ステップS7で設定された燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期に基づいて、燃料噴射、点火が実行される。この結果、リーンバーンであった燃焼がリッチ側の燃焼に移行し、排気ガス中の酸素濃度が大きく低下する。この結果、NOx吸着触媒25からNOxが放出される。後述するように、本実施形態では、このNOx放出状態に基づいて、NOx吸着触媒25の劣化診断が行われる。
【0039】
SUS等のステンレス鋼で作られたカバーを備えた本実施形態のNOxセンサ26では、図4に示されているように、排気ガス中のNOx濃度が同一であっても、酸素濃度によって出力値が変動する。NOxセンサの出力値は、酸素濃度が0%(空燃比14.0程度の場合の排気ガスに相当)ないし0.6%(空燃比14.8程度の場合の排気ガスに相当)の間で低下しており、酸素濃度0.4%(空燃比14.6程度の排気ガスに相当)近傍で最も低くなる。
【0040】
上述したように、本実施形態では、NOx吸着触媒25の劣化診断が行われるリッチスパイク制御時には、排気ガス中の酸素濃度が0.3%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0%になるように燃料の総噴射量が設定される。この結果、NOxセンサ26の出力値がNOxセンサの金属製カバーの影響を受けない範囲まで、排気ガス中の酸素濃度が低下するので、NOxセンサ26の出力値に基づいたNOx吸着触媒25の劣化診断が正確に行われることになる。
【0041】
ステップS6でYES、即ち、ステップS7、ステップS8の処理が所定期間T1中、継続されていたときには、ステップS9に進み、タイマの値Tが、第1の所定期間T1より長い第2の所定期間T2未満であるであるか否かが判定される。ステップS9でYES即ち所定期間T1は経過したが所定期間T2は経過していないときには、ステップS10に進み、空燃比14.7(λ=1)用の燃料噴射量、燃料噴射時期、点火タイミングが設定される。本実施形態では、リッチスパイク制御中のλ=1の燃焼においても、燃料を吸気行程と圧縮行程の2回に分けて噴射する分割噴射が行われる。従って、燃料噴射量として、吸気行程での噴射量Qλ1と、圧縮行程での噴射量Qλ2が設定される。また、燃料噴射時期としては、吸気行程での噴射時期Iλ1と、圧縮行程での噴射時期Iλ2が設定される。さらに、点火時期として、θλが設定される。本実施形態では、この制御時には、空燃比が14.6ないし14.8になるように、好ましくは14.7になるように、1サイクル当たりの総噴射量すなわち噴射量Qλ1とQλ2との和が設定される。また、Qλ1とQλ2とは等しい値に設定されるのが好ましい。この空燃比14.6であれば排気ガス中の酸素濃度は0.4%程度、空燃比14.7であれば排気ガス中の酸素濃度は0.5%程度、空燃比14.8であれば排気ガス中の酸素濃度は0.6%程度になる。また、排気ガス中の酸素濃度が、0.1ないし0.6%となるように、空燃比を設定してもよい。
【0042】
次いで、ステップS8に進み、ステップS10で設定された燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期に基づいて、燃料噴射、点火が実行される。この結果、空燃比14.7(λ=1)近傍での燃焼が行われ、排気ガス中の酸素濃度は、リーン運転時より低い状態となる。NOx吸着触媒25からは、NOxが放出され続けることになる。ステップS2でNOのときには、ステップS11に進み、タイマがカウント中であるか否かを判定し、YESのときには、ステップS3に進む。ステップS11でNOのときには、ステップS12に進み、スロットルバルブ開度Tvをリーンバーン用のスロットルバルブ開度Tvに設定し、ステップS13で設定されたスロットルバルブ開度Tvに基づいてスロットルバルブを駆動させる。
【0043】
次いで、ステップS14に進み、リーンバーン用の燃料噴射量Q、燃料噴射時期I、点火タイミングθが設定される。尚、本実施形態では、リーンバーン制御時には、圧縮行程での一括噴射で成層リーン燃焼が行われる。次いで、ステップS8に進み、ステップS14で設定された燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期に基づいて、燃料噴射、点火が実行される。
【0044】
以上のように、リーンバーンの運転中に、NOxセンサ26の出力値がNOxexoを越えたことによって、NOx吸着触媒25のNOx吸着量が飽和量に達したと判定されると(図5(a))、第1の所定期間T1の間は、空燃比を14.5よりリッチ側の値(好ましくは、14.3近傍)に設定し、第1の所定期間T1終了後且つ第2の所定期間T2前までは、空燃比を14.7近傍の値に設定する制御が行われる(図5(b))。本実施形態では、この第1の所定期間T1のNOx放出状態に基づいて、NOx吸着触媒25の劣化状態を診断する。
【0045】
次に、ECU32が行うNOx吸着触媒25の劣化診断の内容を、図6のフローチャートに沿って説明する。
【0046】
まず、ステップS21で、NOxセンサ26の出力値NOxexが、所定のしきい値NOxexoより大きいか否かが判定される。ステップS21でYESのときには、上述したようなNOxを放出させるリッチスパイク制御が開始される。次いで、ステップS22に進み、上記ステップS3で設定されたタイマの値Tが、所定期間T1未満であるか否かが判定される。
【0047】
ステップS22でYES、即ち、TがT1未満であるときには、ステップS23に進み、NOxセンサ26の出力値NOxexを記憶してリターンする。ステップS22でNO、即ち、タイマの値TがT1以上であるときには、ステップS24に進み、記憶されているNOxセンサ26の出力値NOxex(1、...、n)の最大値NOxmaxを抽出する。さらに、ステップS25で、NOxex(1、...、n)の積算値NOxαを算出する。
【0048】
次いで、ステップS26に進み、NOx吸着触媒25のBa等のNOx吸着材の劣化判定用しきい値であるとNOxmax0、NOx吸着触媒25の内側触媒層の貴金属の劣化判定用しきい値であるNOxβとを設定する。NOx吸着触媒25からのNOxの放出状態は排気ガスの流量等の影響を受けるので、これらのしきい値は、運転状態に応じて設定される。本実施形態では、吸着空気量Ceまたはエンジン回転数Neが大きいほど、NOxβとNOxmax0とが大きくなる図7のマップに従って、NOxβとNOxmax0が設定される。
【0049】
次いで、ステップS27で、ステップS25で算出されたNOxαが、NOx吸着触媒25に含まれる貴金属の劣化診断用のしきい値NOxβより大きいか否かを判定する。ステップS27でYESのときには、NOx吸着触媒の含まれている貴金属が劣化していると診断され、ステップS28に進み、警告灯などの表示手段41による警告が行われ処理を終了する。
【0050】
また、ステップS27でNOのときにはステップS29に進み、ステップS24で抽出されたNOx放出量の最大値NOxmaxが、Ba等のNOx吸着材の劣化診断用のしきい値NOxmax0より大きいか否かを判定する。ステップS29でYESのときには、Ba等のNOx吸着材が劣化していると診断され、ステップS28に進み、警告灯などの表示手段41による警告が行われ処理を終了する。
【0051】
また、ステップS29でNOのときには、NOx吸着触媒25は劣化していないと診断され、NOxmax、NOxα、NOxex(1,…、n)等の記憶されていた値がクリアし、リターンされる。
【0052】
又、ステップS21でNOのときには、ステップS31に進み、タイマがカウント中であるか否かを判定し、YESのときにはステップS22に進み、NOのときにはリターンする。
【0053】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術事項の範囲内で種々の変更又は変形が可能である。
また、上記劣化診断の結果に基づいて、リッチスパイク制御の期間、例えば、T2の終了時期を変更する制御を行うように構成しても良い。
【0054】
上記実施形態では、リッチスパイク制御の際に、空燃比を変更して排気ガス中の酸素濃度を低下させる構成であったが、他の手法、例えば、膨張行程における後噴射によって、排気ガス中の酸素濃度を低下させる構成でも良い。
【0055】
上記実施形態では、リッチスパイク時の初期の所定期間T1におけるNOxexに基づいてNOx吸着触媒の劣化診断を行ったが、T1経過後のλ=1燃焼時、所定期間T2全体、または、その後のリーン運転期間におけるNOxexに基づいてNOx吸着触媒の劣化診断を行う構成でもよい。
【0056】
また、NOx吸着触媒の種類によっては、リッチスパイク時に上記実施形態のように空燃比14.3以下に制御しても、制御開始後、NOx吸着触媒の下流側の酸素濃度が所望の領域まで直ちに低下せず、排気ガス中の酸素濃度が0.3から0.5%程度である期間が生じる場合がある。このため、リッチスパイク制御が開始され、且つ、排気ガス中の酸素濃度が、例えば0.3から0.5%の領域より低くなったときをT1の起算時とし、且つ、この時点でタイマのカウントを開始してもよい。
【0057】
更に、上記実施形態では、NOx吸着触媒のNOx吸着触媒と貴金属の両者の劣化を診断する装置であったが、何れか一方を診断する装置でもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本件発明によれば、NOx吸着触媒の劣化診断を正確に行うことができる排気浄化装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい実施形態の排気浄化装置を備えたエンジンシステムの概略構成図である。
【図2】 本発明の実施形態のNOxセンサの構成を示す断面図である。
【図3】 リッチスパイク制御の際にECUで行われるエンジン制御の処理内容を示すフローチャートである。
【図4】 同一のNOx濃度における、酸素濃度とNOxセンサの出力値との関係を示すグラフである。
【図5】 排気ガス中の酸素濃度と、NOx吸着触媒からのNOx放出量の関係を示すタイムチャートである。
【図6】 NOx吸着触媒の劣化診断制御の際にECUで行われる処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】 劣化判定用のしきい値設定用のマップの一例である。
【符号の説明】
1:エンジン本体
24:酸素濃度センサ
25:NOx吸着触媒
26:NOxセンサ
32:ECU
Claims (5)
- 排気通路に配置され、排気ガス中の酸素濃度に応じてNOxを吸着または放出するNOx吸着触媒と、
該NOx吸着触媒の下流側に配置され金属のカバーを有するNOxセンサと、 前記NOx吸着触媒のNOx吸着量が所定量に達したとき、前記酸素濃度を制御して前記NOx吸着触媒からNOxを放出させる酸素濃度制御手段と、
前記NOx放出時に前記NOxセンサからの出力に基いて前記NOx吸着触媒からのNOx放出状態を検出し、これに基づいて前記NOx吸着触媒の劣化診断を行う診断手段と、を備え、
前記酸素濃度制御手段は、前記劣化診断中は前記酸素濃度を0%に制御し、さらに、前記劣化診断終了後の所定期間、前記酸素濃度を0.1ないし0.6%の範囲に制御する、
ことを特徴とする排気浄化装置。 - 前記NOx吸着触媒は、酸素濃度が高い状態でNOxを吸着し酸素濃度が低い状態で吸着していたNOxを放出するNOx吸着材と、該NOx吸着材から放出されたNOxを浄化させる触媒金属とを備え、
前記診断手段は、前記NOx吸着材および触媒金属の少なくとも一方の劣化を診断する、
請求項1に記載の排気浄化装置。 - 前記酸素濃度制御手段は、前記診断手段による診断結果に基づいて、前記酸素濃度制御の内容を変更する、
請求項1または2に記載の排気浄化装置。 - エンジンの排気通路に配置され、排気ガス中の酸素濃度に応じてNOxを吸着または放出するNOx吸着触媒と、
該NOx吸着触媒の下流側に配置され金属のカバーを有するNOxセンサと、 前記NOx吸着触媒のNOx吸着量が所定量に達したとき、前記酸素濃度を制御して前記NOx吸着触媒からNOxを放出させる酸素濃度制御手段と、
前記NOx放出時に前記NOxセンサからの出力に基いて前記NOx吸着触媒からのNOx放出状態を検出し、これに基づいて前記NOx吸着触媒の劣化診断を行う診断手段と、を備え、
前記酸素濃度制御手段は、前記診断手段による劣化診断中は、前記金属がNOxに対する触媒作用を生じさせない第1の値に前記酸素濃度を制御し、その後一定時間、前記酸素濃度を前記第1の値より高い第2の値に制御する、
ことを特徴とする排気浄化装置。 - 前記第2の値は、0.1ないし0.6%の範囲である、
請求項4に記載の排気浄化装置。
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