JP4507456B2 - エンジンの排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気ガス中のHCを吸着して浄化するHC吸着触媒を備えたエンジンの排気浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平8−121232号公報に示されるように、エンジン(内燃機関)の排気系に介装され、排気中のHCを低温時に吸着し、この吸着したHCを高温時に脱離する機能を有したHC吸着材の劣化を診断する装置において、上記HC吸着材の上流側と下流側とに配設され、空燃比状態を検出する空燃比検出手段と、HC吸着材の温度状態を検出する吸着材温度検出手段と、吸着材温度がHCの脱離温度に達してからの上記上・下流の空燃比検出手段で検出された空燃比検出信号の差もしくはそれに応じた量に基づいて推定されるHCの脱離量に基づいてHC吸着材の劣化を診断する劣化診断手段とを備えたHC吸着材の劣化診断装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにHC吸着材の上流および下流に配設された空燃比検出手段により検出された空燃比検出信号の差に基づいてHCの脱離量を推定し、この推定値に基づいてHC吸着材の劣化を診断するように構成された劣化診断装置では、上記HC吸着材がHCの脱離温度となった場合に酸素を放出する酸素ストレージ材が、HC吸着材とともに排気通路に設けられている場合に、上記酸素ストレージ材に吸着される酸素量またはこの酸素ストレージ材から放出される酸素量に応じて上記空燃比検出手段で検出される空燃比が顕著に変化するため、上記HC吸着材の劣化を正確に検出することができないという問題がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑み、HC吸着材と酸素ストレージ材とを有するHC吸着触媒によるHCの浄化性能を精度良く検出することができるエンジンの排気浄化装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、低温時に排気ガス中のHCを吸着するとともに、昇温に伴って吸着したHCを脱離するHC吸着材と、排気ガス中の酸素濃度が高いときに酸素を吸蔵するとともに、上記酸素濃度が低下するのに応じて吸蔵した酸素を放出する酸素ストレージ材と、上記HC吸着材から脱離したHCを酸化して浄化する酸化触媒とを含有するHC吸着触媒が排気通路に配置されたエンジンの排気浄化装置において、上記HC吸着材からHCが脱離する運転状態にあるときに、HC吸着触媒の内部またはその下流部における排気ガス中の酸素濃度を検出するHC検出手段と、このHC検出手段による酸素濃度の検出時に、上記酸素ストレージ材から酸素が放出されるように排気ガス中の酸素濃度を理論空燃比に対してリッチ側に設定された基準値に制御する酸素濃度制御手段と、上記HC検出手段により検出された酸素濃度が予め設定された所定の規準範囲内にない場合に、上記HC吸着触媒のHC吸着材または酸素ストレージ材の少なくとも一つが劣化していると判定する劣化判定手段とを備えたものである。
【0006】
上記構成によれば、HC吸着材からHCが脱離する運転状態にあるときに、上記酸素ストレージ材から酸素が放出されるように上記HC吸着触媒に流入する排気ガス中の酸素濃度が制御されることにより、上記HC吸着材からHCが脱離するのに合わせて、酸素ストレージ材から反応性の高い酸素が放出され、この酸素を利用した上記酸化触媒の触媒作用により、上記HC吸着材から脱離したHCが比較的低温で浄化されつつ、この状態で上記HC検出手段によりHC吸着触媒の内部またはその下流部における排気ガス中の酸素濃度が正確に検出されるとともに、この検出値に基づいて上記HC吸着触媒の性能が適正に判定されることになる。
【0007】
請求項2に係る発明は、上記請求項1記載のエンジンの排気浄化装置において、上記劣化判定手段は、HC吸着材または酸素ストレージ材の劣化判定を繰り返して上記酸素濃度の検出値が予め設定された所定の規準範囲内にない割合が予め設定され判定基準値よりも高い場合に、上記HC吸着触媒が劣化していると判定するとともに、上記割合が判定基準値未満である場合に、HC吸着触媒が正常であると判定し、上記劣化判定手段によりHC吸着触媒が正常であると判定された場合に、上記酸素濃度の検出値が規準範囲よりも低いと判定された回数および高いと判定された回数に基づいて上記酸素濃度制御手段による酸素濃度制御用の基準値を補正するものである。
【0008】
上記構成によれば、劣化判定手段によりHC吸着触媒が正常であると判定された場合に、上記酸素濃度の検出値が規準範囲よりも低いと判定された回数および高いと判定された回数に基づいて上記酸素濃度制御手段により制御される酸素濃度制御用の基準値を補正することにより、上記HC吸着材の性能判定がより適正に行われることになる。
【0009】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2記載のエンジンの排気浄化装置において、上記酸素濃度制御手段が、エンジンの燃焼室内における平均空燃比を制御する空燃比制御手段により構成されるとともに、上記HC検出手段による酸素濃度の検出時に、上記HC吸着触媒に流入する排気ガス中の酸素濃度と還元剤濃度との割合に関する値を、エンジンの燃焼室内における平均空燃比A/Fを13.5〜14.5の範囲内として燃焼させた場合の排気ガス雰囲気に相当する値とする制御を実行するように構成されたものである。
【0010】
上記構成によれば、HC吸着材からHCが脱離する運転状態で、上記HC検出手段により実行される酸素濃度の検出時に、上記HC吸着触媒に流入する排気ガス中の酸素濃度と還元剤濃度との割合に関する値を、エンジンの燃焼室内における平均空燃比A/Fを13.5〜14.5の範囲内として燃焼させた場合の排気ガス雰囲気に相当する値とする制御が実行されることにより、排気ガスの浄化性能が適正状態に維持されつつ、上記酸素ストレージ材から反応性の高い一定量の酸素が放出されて、上記HC吸着材の性能判定がより適正に行われることになる。
【0011】
請求項4に係る発明は、上記請求項3記載のエンジンの排気浄化装置において、HC吸着触媒に流入する排気ガス中の酸素濃度を、設定値を挟んで増大側と減少側とに交互に反転させることなく、上記設定値に一致させる制御を、上記酸素濃度制御手段により実行するように構成したものである。
【0012】
上記構成によれば、HC吸着材からHCが脱離する運転状態で、上記HC検出手段により実行される酸素濃度の検出時に、HC吸着触媒に流入する排気ガス中の酸素濃度を上記設定値に一致させるフィードフォワード制御等が実行されることにより、上記酸素濃度が一時的に増大することに起因して酸素ストレージ材から放出される酸素量が低下することが防止された状態で、上記HC吸着材の性能判定がより適正に行われることになる。
【0013】
請求項5に係る発明は、上記請求項3記載のエンジンの排気浄化装置において、上記酸素濃度制御手段が、HC吸着触媒に流入する排気ガス中の酸素濃度に基づいてエンジンの燃焼室内における平均空燃比を、設定空燃比を挟んでリッチ状態とリーン状態とに交互に反転させるフィードバック制御を実行するように構成されたものである。
【0014】
上記構成によれば、HC吸着材からHCが脱離する運転状態で、上記HC検出手段により実行される酸素濃度の検出時に、HC吸着触媒に流入する排気ガス中の酸素濃度に基づいてエンジンの燃焼室内における平均空燃比を、設定空燃比を挟んでリッチ状態とリーン状態とに交互に反転させるフィードバック制御が実行されることにより、HC吸着触媒に流入する排気ガス中の酸素濃度が過剰雰囲気となることが防止されつつ、上記酸素ストレージ材から酸素が放出されるとともに、この酸素を利用した上記酸化触媒の浄化作用が効果的に促進された状態で、上記HC吸着材の性能判定がより適正に行われることになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る排気浄化装置を有する筒内噴射式のガソリンエンジンの一例を示し、そのエンジン本体1には、複数の気筒2と、各気筒2内において往復動可能に嵌挿されたピストン3とが設けられ、このピストン3によって上記気筒2の上部に燃焼室4が区画されている。この燃焼室4の上部所定位置には、点火回路5に接続された点火プラグ6が燃焼室4内に臨むように取り付けられている。
【0020】
上記燃焼室4の周辺部には、この燃焼室4内に燃料を直接噴射するインジェクタ7からなる燃料供給手段が取り付けられている。このインジェクタ7には、図示を省略した高圧燃料ポンプ、プレッシャレギュレータ等を有する燃料供給回路が接続され、この燃料供給回路によって燃料タンクからの燃料が適正な圧力に調整されてインジェクタ7に供給されるように構成されている。また、上記燃料供給回路には、燃料圧力を検出する燃圧センサ8が設けられている。
【0021】
上記燃焼室4は、吸気弁9が設けられた吸気ポートを介して吸気通路10に連通している。この吸気通路10には、その上流側から順に、吸気を濾過するエアクリーナ11と、吸入空気量を検出するエアフローセンサ12と、吸気通路10を絞る電気式スロットル弁13と、サージタンク14とが配設されている。上記電気スロットル弁13は、図外のアクセルペダルに連動することなく、モータ15により開閉駆動されるようになっている。さらに、上記電気スロットル弁13の設置部には、その弁開度を検出するスロットル開度センサ16が設けられ、上記サージタンク14の設置部には、吸気圧を検出する吸気圧センサ17が設けられている。
【0022】
上記サージタンク14よりも下流側の吸気通路10は、気筒2毎に分岐する独立通路とされ、各独立通路の下流端部が二つに分岐してそれぞれ吸気ポートに連通するとともに、その一方にスワール弁18が設けられている。このスワール弁18がアクチュエータ19により駆動されて閉弁状態となると、吸気が他方の分岐通路のみから燃焼室4内に供給されるため、この燃焼室4内に強い吸気スワールが生成される。一方、上記スワール弁18が開弁するのに応じて上記吸気スワールは弱められることになる。また、上記スワール弁18の設置部には、その弁開度を検出するスワール弁開度センサ20が設けられている。なお、上記スワール弁18に代え、タンブル流を生成させるためのタンブル弁を吸気通路10に設置した構造としてもよい。
【0023】
上記燃焼室4には、排気弁21が設けられた排気ポートを介して排気通路22が接続され、この排気通路22の上流端が気筒2毎に分岐している。上記排気通路22には、その上流側から順に、排気ガス中の酸素濃度を検出する第1酸素濃度センサ24と、排気ガス中のHC、CO、およびNOxの全てを浄化する機能を有する従来周知の三元触媒25と、この三元触媒25の下流側における排気ガス中の酸素濃度を検出する第2酸素濃度センサ26と、排気ガス中のHCを吸着して浄化するHC吸着触媒27と、その下流側における排気ガス中の酸素濃度を検出する第3酸素濃度センサ28とが配設されている。
【0024】
上記第1〜第3酸素濃度センサ24,26,28は、排気ガス中の酸素濃度に基づいて排気ガスの空燃比を検出するものであり、その出力が理論空燃比を境にしてリーンとリッチとで、その出力が大きく反転(変化)するλセンサからなり、これにより理論空燃比の近傍で優れた検出精度が得られるようになっている。なお、上記λセンサに代えて、排気ガスの空燃比に応じて出力がリニアに変化するリニアO2センサを用いてもよい。
【0025】
また、上記HC吸着触媒27は、冷間始動時等に排出されるHCを吸着して浄化する機能を有し、図2に示すように、コージュライト製のハニカム構造体からなる担体27aと、この担体27aに形成された貫通孔の壁面に担持されたHC吸着材27bと、その表面にコーティングされる等により担持された三元触媒層27cとにより構成されている。
【0026】
上記HC吸着材27bは、排気ガス中のHCを吸着保持するのに適した孔径、つまり7.2Å程度の孔径をする多数の細孔が形成されたいわゆるβ型ゼオライトに、銀(Ag)を含侵担持させてなり、エンジンの冷間始動時等の低温時に排気ガス中のHCを吸着するとともに、昇温に伴って吸着したHCを脱離するものである。上記銀(Ag)は、β型ゼオライトのHC吸着作用を高めて、より高温までHCを保持し得るようにするために、β型ゼオライトに担持されている。
【0027】
また、上記三元触媒層27cは、アルミナ等に担持されたパラジウム(Pd)もしくは白金(Pt)等の触媒金属と、ジルコニウム(Zr)等からなるバインダーとを有し、所定温度に加熱されて活性化することにより、排気ガス中のHCおよびCOを酸化するとともに、排気ガス中のNOxを還元して浄化する機能を有し、この浄化機能が理論空燃比の付近において顕著に発揮されるものである。
【0028】
さらに、上記三元触媒層27cは、所定温度に加熱されて活性化することにより、排気ガス中の酸素濃度が高い高酸素雰囲気(例えば酸素濃度が0.3%以上の雰囲気)で、酸素を吸蔵するとともに、排気ガス中の酸素濃度が低下するのに伴って吸蔵した酸素を放出する機能を有する酸素ストレージ材、例えば酸化セリウムCeO2またはセリウムCeとプラセオジユウムPr等の希土類元素との複合酸化物等からなるセリア材を含有している。そして、上記酸素ストレージ材から放出された酸素を利用した上記三元触媒層27cの酸化作用により、上記HC吸着材27bから脱離したHCが、比較的低温で酸化されて浄化されるようになっている。
【0029】
上記排気通路22には、排気ガスの一部を吸気系に還流させるEGR通路29の上流端が、上記第1酸素濃度センサ24の上流側部に接続され、上記EGR通路29の下流端は、上記スロットル弁13と、サージタンク14との間において吸気通路10に接続されている。また、上記EGR通路29には、開度が電気的に調節可能に構成されたEGR弁30と、このEGR弁30のリフト量を検出するリフトセンサ31とが配設され、上記EGR通路29及びEGR弁30等によって排気還流手段が構成されている。
【0030】
また、上記排気通路22には、吸気の一部を吸気通路10から上記HC吸着触媒27の上流位置に送り込む二次エア供給通路32が接続され、この二次エア供給通路32には、ECU(コントロールユニット)34から出力される制御信号に応じて開閉制御される流量制御弁33が設けられている。
【0031】
上記エンジンの制御を行なうECU(コントロールユニット)34には、上記エアフローセンサ12、スロットル開度センサ16、吸気圧センサ17、スワール弁開度センサ20、第1〜第3酸素濃度センサ24,26,28及びEGR弁30のリフトセンサ31からの出力信号が入力されるとともに、エンジンの冷却水温度を検出する水温センサ35、吸気温度を検出する吸気温度センサ36、大気圧を検出する大気圧センサ37、エンジン回転数を検出する回転数センサ38及びアクセルペダルの開度(アクセル操作量)を検出するアクセル開度センサ39等から出力される検出信号が入力されるようになっている。
【0032】
上記ECU34には、エンジンの運転状態に応じて上記インジェクタ7から噴射される燃料の噴射状態を制御する燃料噴射制御手段40と、上記点火プラグ6による混合気の点火時期を制御する点火時期制御手段41と、上記HC吸着触媒27のHC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあるか否か等を検出するHC検出手段42と、このHC検出手段42の検出信号に応じてHC吸着触媒27の浄化性能を判定する性能判定手段43と、エンジンの燃焼室4内における平均空燃比を制御することにより、排気ガス中の酸素濃度を制御する空燃比制御手段44からなる酸素濃度制御手段とが設けられている。
【0033】
上記燃料噴射制御手段40は、エンジンの運転状態に応じてインジェクタ7から噴射される燃料の噴射量を制御するように構成されている。例えば、エンジンが温間運転時の成層燃焼領域では、上記インジェクタ7から圧縮行程の所定時期に燃料を一括して噴射させることにより、点火プラグ6の近傍に混合気を偏在させた状態で燃焼させるとともに、燃焼室4内における混合気の平均空燃比を、例えばA/F=30程度のリーン状態とする成層燃焼モードの燃焼制御を実行するように構成されている。また、エンジンが温間運転時の均一燃料燃焼領域では、上記インジェクタ7から吸気行程で燃焼を一括噴射させるとともに、燃焼室全体の平均空燃比を略理論空燃比(A/F=14.7)とする均一燃焼モードの燃焼制御が実行されるようになっている。なお、エンジンの中負荷中回転領域で、吸気行程と圧縮行程とに分割して燃料を噴射させるようにしてもよい。
【0034】
そして、HC吸着触媒27がHCの吸着と脱離とを行うエンジンの冷間運転状態にあることが確認された場合には、吸気行程から点火時期にかけての期間内で、圧縮行程中期以降の後期噴射と、これより前の早期噴射とからなる少なくとも2回の分割噴射を行なわせるようにインジェクタ7を制御する。なお、上記分割噴射は冷間運転時の全運転領域で行なうようにしてもよく、また高負荷領域ではエンジン出力の要求を満足すべく吸気行程のみで燃料噴射を行なうようにしてもよい。また、上記燃料の噴射は、必ずしも直噴である必要はなく、吸気と燃料との混合気を燃焼室4内に供給するものであってもよい。
【0035】
上記点火時期制御手段41は、点火回路5に制御信号を出力して、点火時期をエンジンの運転状態に応じて制御するものであり、基本的には点火時期をMBTに制御するが、エンジンの冷間運転状態において上記分割噴射が行なわれているときに、上記HC検出手段42の検出値に応じてHCの脱離度合いが比較的大きいことが確認された場合に、必要に応じて点火時期を上記MBTよりも所定量だけリタードさせるように構成されている。
【0036】
上記HC検出手段42は、例えば該HC吸着触媒27の下流側に配設された上記第3酸素濃度センサ28により検出された排気ガス中の酸素濃度に基づいて上記HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあるか否かを、上記HC検出手段42において検出するものである。
【0037】
また、上記HC検出手段42は、HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあるときに、上記第3酸素濃度センサ28の検出信号に応じて上記HC吸着触媒27の作動情報を検出する機能、つまり上記HC吸着材27bから脱離したHCの浄化度合いを検出する機能を有している。
【0038】
上記性能判定手段43は、HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあるときに、上記HC検出手段42により検出されたHC吸着触媒27の作動情報に基づいてHC吸着触媒27の性能を判定する機能、つまりHC吸着材27bおよび酸素ストレージ材が劣化しているか否かを判定する機能と、HC吸着触媒27が活性化した後に、その触媒成分が劣化しているか否かを判定する機能とを有し、これらの何れか少なくとも一つが劣化していると判定された場合に、表示手段45に異常表示信号を出力するように構成されている。
【0039】
上記空燃比制御手段44は、HC検出手段42において上記HC吸着触媒27のHC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあることが確認された場合、つまりエンジンの始動直後における低温時等に、上記HC吸着材27bに吸着されたHCが、このHC吸着材27bの上昇に伴って脱離する状態にとなったことが検出された場合に、HC吸着触媒27に流入する排気ガス中の酸素濃度と還元剤濃度との割合に関する値が、エンジンの燃焼室4内における平均空燃比A/Fを14.7以下、好ましくは13.5〜14.5の範囲内として燃焼させた場合の排気ガス雰囲気に相当した値となるように排気ガス中の酸素濃度を制御するように構成されている。このようにして上記HC吸着触媒27に流入する排気ガス中に含まれる酸素の濃度が、例えば0.3%以下、好ましくは0.1%以下(略0%)に設定されることにより、上記酸素ストレージ材に吸蔵された酸素が放出されるようになっている。
【0040】
また、上記平均空燃比を変動(パータベーション)させる空燃比制御を実行する場合であれば、エンジンの燃焼室4内における平均空燃比A/Fを、14.6以下、好ましくは13.5〜14.5程度のややリッチな値に設定するとともに、この平均空燃比を中心として上記変動幅を設定することにより、上記HC吸着触媒27と接触する排気ガス中に含まれる平均的な酸素濃度が0.3%以下となるようにする。例えば、上記パータベーション制御の変動中心となる平均空燃比A/Fを14.6に設定する場合には、振幅を小さくすることにより、上記酸素濃度が0.3%以下に設定されることになる。これに対してパータベーション制御の変動中心が、上記A/F=14.6よりも小さい場合には、上記振幅を大きくしても、平均的な酸素濃度を0.3%以下に設定して酸素過剰雰囲気となるのを防止することができる。
【0041】
そして上記空燃比制御を、燃料噴射や、吸入空気量を制御するフィードフォワード制御や、燃料噴射量や空入空気量を第2酸素濃度センサ26の検出値に基づいて制御するフィードバック制御により行う。これにより、HC吸着触媒27の酸素ストレージ材に吸蔵された酸素を放出させることができる。なお、燃焼室内全体の平均空燃比を略理論空燃比とする一般的な空燃比制御では、排気ガス中に含まれる平均的な酸素濃度は、0.5%前後である。
【0042】
排気ガス中の酸素濃度が0.3%以上であれば、HC吸着触媒27に流入する酸素濃度が高くなって酸素ストレージ材から酸素が放出されにくくなる。これに対して、燃焼室内全体の平均空燃比A/Fを13.5以下で燃焼させた場合の酸素濃度(0%)と還元ガス濃度に関する値とに相当する排気ガス雰囲気となるように、排気ガス中の酸素濃度を過度に低下させるように制御すると、上記酸素ストレージ材からの酸素の放出が促進されるものの、エンジンから排出されるRawHC、RawCOの量が急増し、HC吸着材から脱離するHCと合わさってHCが浄化しきれずに、大気中に放出されるという不都合が生じることになる。
【0043】
また、上記HC吸着触媒27の上流に酸化機能を有する触媒、例えば三元触媒25等の貴金属を含有する触媒を配設した場合には、上記HC吸着触媒27のHC吸着材27bからHCが脱離する前に、上記三元触媒25等の温度が上昇して活性化するため、この三元触媒25等の活性化後に、エンジンから排出される排気ガス中に0.3%以上の酸素が含まれていても、上記三元触媒25により酸素がHC、COの酸化に使用されて消費されるため、エンジンの燃焼室4内における平均空燃比A/Fを、15.5以下(好ましくは15.0以下)に設定することが可能である。本実施形態では、HC吸着触媒27の上流側に三元触媒25を配設しているものの、エンジンから排出されるNOxを低減させるため、燃焼室4内の平均空燃比A/Fを14.5に設定している。
【0044】
また、上記HC検出手段42において、HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態が終了したことが確認された場合、つまりHC吸着材27bの温度がさらに上昇し、HC吸着材27bに吸着されたHCの脱離が完了したことが確認された場合には、エンジンの燃焼室4内における平均空燃比を、ややリッチ状態とする上記フィードバック制御またはフィードフォワード制御を停止し、運転状態に対応して上記燃料の噴射量をフィードバック制御する通常の制御状態に移行するようなっている。
【0045】
上記ECU34の燃料噴射制御手段40および空燃比制御手段44において実行される燃料噴射制御および空燃比制御を、図3および図4に示すフローチャートに基づいて説明する。上記制御動作がスタートすると、まず各センサによって検出されたデータを入力した後(ステップS1)、エンジンの始動直後であるか否かを判定する(ステップS2)。このステップS2でYESと判定された場合には、燃焼安定性を高めるために平均空燃比をリッチにするとともに、上記電気式スロットル弁13の開度を所定値とする始動後制御を所定時間、例えば3秒〜5秒間に亘って実行する(ステップS3)。
【0046】
また、上記ステップS2でNOと判定されてエンジンの始動直後ではないこと、つまり上記始動後制御が終了した状態にあることが確認された場合には、上記アクセル開度およびエンジン回転数の検出値に基づいて、予め設定されたマップからエンジンの目標トルクを読み出して設定するとともに、このエンジンの目標トルクと、エンジン回転数とをパラメータとして予め設定されたマップから燃料の基本噴射量Qbおよび電気式スロットル弁13の基本開度Thθを設定した後(ステップS4)、この基本開度Thθに対応した制御信号を上記モータ15に出力することにより電気式スロットル弁13を駆動する(ステップS5)。
【0047】
次いで、エンジン始動後に計測された時間経過および運転履歴等に基づいて上記HC吸着触媒27の温度THCを推定した後(ステップS6)、この触媒温度THCが、150℃程度に設定された第1基準温度THC1よりも高く、かつ250℃程度に設定された第2基準温度THC2未満であるか否かを判定することにより、HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあるか否かを判別する(ステップS7)。すなわち、図5(A)に示すように、エンジンの始動後に、HC吸着触媒27に吸着されたHCの脱離が開始された直後の時点T1から、HCの脱離が完了する直前の時点T2までの状態にあるか否かを、上記触媒温度THCに基づいて判定することにより、上記HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあるか否かを判別する。
【0048】
上記ステップS7でNOと判定されて上記HC吸着触媒27のHC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にないことが確認された場合には、最上流側に配設された第1酸素濃度センサ24の検出値Ox1と、予め設定された基準値Ox10とを比較することにより、上記HC吸着触媒27の上流側に配設された三元触媒25に流入する排気ガス中の酸素濃度が、設定空燃比の燃焼状態に相当する値よりも低いリッチ傾向にあるか否かを判定する(ステップS8)。すなわち、上記排気ガス中の酸素濃度が低いほど、上記第1酸素濃度センサ24の検出値Ox1が大きくなるため、この検出値Ox1が基準値Ox10よりも大きいか否かを判別することにより、上記排気ガス中の酸素濃度が設定空燃比の燃焼状態よりもリッチ傾向にあるか否かが判定されるようになっている。
【0049】
上記ステップS8でYESと判定され、燃焼室4内の平均空燃比が設定空燃比よりもリッチ傾向にあることが確認された場合には、燃料の噴射量を低減して燃焼室4内の平均空燃比をリーン方向に補正すべく、前回の制御時に設定された燃料噴射の第1フィードバック制御値Qf/b1′から、所定の第1補正値αを減算することにより、新たな第1フィードバック制御値Qf/b1を設定する(ステップS9)。
【0050】
上記ステップS8でNOと判定され、燃焼室4内の平均空燃比が設定空燃比よりもリーン傾向にあることが確認された場合には、燃料の噴射量を増大して燃焼室4内の平均空燃比をリッチ方向に補正すべく、前回の制御時に設定された燃料噴射の第1フィードバック制御値Qf/b1′に、所定の第1補正値αを加算することにより、新たな第1フィードバック制御値Qf/b1を設定する(ステップS10)。
【0051】
次いで、後述する第2フィードバック制御値Qf/b2を0にリセットした後(ステップS11)、上記燃料の基本噴射量Qbと、上記第1,第2フィードバック制御値Qf/b1,Qf/b2とを加算することにより、燃料の最終噴射量Qpを算出した後(ステップS12)、燃料の噴射時期となったか否かを判定し(ステップS13)、YESと判定された時点で、インジェクタ7から上記最終噴射量Qpの燃料を噴射する噴射制御を実行する(ステップS14)。
【0052】
また、上記ステップS7でYESと判定されて上記HC吸着触媒27のHC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあることが確認された場合には、三元触媒25とHC吸着触媒27との間に配設された第2酸素濃度センサ26の検出値Ox2と、予め設定された基準値Ox20とを比較することにより、上記HC吸着触媒27に流入する排気ガス中の酸素濃度が、A/F=14.5程度のややリッチな平均空燃比の燃焼状態に相当する値に設定された設定値よりもリーン傾向にあるか否かを判定する(ステップS15)。すなわち、上記第1酸素濃度センサ24と同様に、排気ガス中の酸素濃度が低いほど、上記第2酸素濃度センサ26の検出値Ox2が大きくなるため、この検出値Ox2が基準値Ox20よりも大きいか否かを判別することにより、上記排気ガス中の酸素濃度が設定値よりもリッチ傾向にあるか否かが判定されるようになっている。
【0053】
上記ステップS15でYESと判定され、上記HC吸着触媒27に流入する排気ガス中の酸素濃度と還元剤濃度との割合に関する値が、燃焼室4内の平均空燃比A/Fを14.5程度に設定して燃焼させた場合の排気ガス雰囲気に相当する値よりもリッチ傾向にあることが確認された場合には、燃料の噴射量を低減して燃焼室4内の平均空燃比をリーン方向に補正すべく、前回の制御時に設定された燃料噴射の第2フィードバック制御値Qf/b2′から、所定の第2補正値βを減算することにより、新たな第2フィードバック制御値Qf/b2を設定する(ステップS16)。
【0054】
なお、上記第2補正値βは、第1補正値αよりも小さな値に設定され、これによって上記HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあるときには、このHCの脱離が完了した運転状態または上記HC吸着材27bにHCが吸着される通常の運転状態にあるときに比べて、上記空燃比制御手段44による空燃比制御のフィードバック制御ゲインが小さな値に設定されるようになっている。
【0055】
上記ステップS15でNOと判定され上記HC吸着触媒27に流入する排気ガス中の酸素濃度と還元剤濃度との割合に関する値が、上記設定空燃比(A/F=14.5)よりもリーン傾向にあることが確認された場合には、燃料の噴射量を増大して燃焼室4内の平均空燃比をリッチ方向に補正すべく、前回の制御時に設定された燃料噴射の第2フィードバック制御値Qf/b2′に、所定の補正値βを加算することにより、新たな第2フィードバック制御値Qf/b2を設定する(ステップS17)。
【0056】
次いで、上記第2フィードバック制御値Qf/b2が、予め設定された基準フィードバック制御値Qf/b20よりも小さいか否かを判定することにより、上記第2フィードバック制御値Qf/b2に基づいて燃料の最終噴射量を設定した場合に、燃焼室4内の平均空燃比が理論空燃比よりもリーン傾向になる可能性があるか否かを判定する(ステップS18)。
【0057】
上記ステップS18でYESと判定され、燃焼室4内の平均空燃比が理論空燃比よりもリーン傾向になる可能性があることが確認された場合には、このリーン傾向となるのを防止し得る値に設定されたフィードバック制御値Qf/boを、上記第2フィードバック制御値Qf/b2として設定する(ステップS19)。そして、上記第1フィードバック制御値Qf/b1を、0にリセットした後(ステップS20)、上記ステップS12に移行してインジェクタ7から上記最終噴射量Qpの燃料を噴射する噴射制御を実行する。
【0058】
上記制御が実行されることにより、HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあることが確認された場合には、図5(B)に示すように、上記HC吸着触媒27に流入する排気ガス中の酸素濃度と還元剤濃度との割合に関する値が、エンジンの燃焼室4内における平均空燃比A/Fを14.7以下、つまり理論空燃比(λ=1)よりもややリッチとして燃焼させた場合の排気ガス雰囲気に相当した値となるように排気ガス中の酸素濃度がフィードバック制御される。この結果、上記HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にある場合には、図5(C)に示すように、上記HC吸着触媒27に流入する排気ガス中の酸素濃度が略0となるように制御され、上記酸素ストレージ材に吸蔵された酸素が放出されることになる。
【0059】
また、上記HC吸着材27bの温度が、図5(A)に示すように、例えば250℃程度となった時点T2では、上記HC吸着材27bに吸着されたHCのほとんどが脱離するとともに、上記HC吸着触媒27の触媒成分が活性化する。このため、図5(B)に示すように、上記空燃比制御手段44によってHC吸着触媒27に流入する排気ガス中の酸素濃度と還元剤濃度との割合に関する値を、燃焼室4内の平均空燃比をややリッチ状態として燃焼させた場合の排気ガス雰囲気に相当する値とする上記フィードバック制御を停止して、通常のフィードバック制御状態、つまり上記HC吸着触媒27の上流側における排気ガス中の酸素濃度を、理論空燃比(λ=1)に相当する値等に設定された設定値を挟んで増大側(リーン側)と、減少側(リッチ側)とに交互に反転させる制御状態等に移行することにより、排気ガス中の酸素を利用した上記HC吸着触媒27によるHCの浄化が行われることになる。
【0060】
次に、上記ECU34の性能判定手段43において実行されるHC吸着触媒27の性能判定制御を、図6および図7に示すフローチャートに基づいて説明する。上記性能判定制御がスタートすると、まずエアフローセンサ12、第1〜第3酸素濃度センサ24,26,28、水温センサ35、吸気温センサ36、大気圧センサ37、回転数センサ38およびアクセル開度センサ39等の検出値に対応した各データをそれぞれ入力する(ステップS21)。
【0061】
次いで、上記触媒温度THCが、150℃程度に設定された第1基準温度THC1よりも高く、かつ250℃程度に設定された第2基準温度THC2未満であるか否かを判定することにより、HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあるか否かを判別する(ステップS22)。
【0062】
上記ステップS22でYESと判定されてHC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあることが確認された場合には、HC吸着触媒27の性能を判定する判定条件が成立したか否かを判定する(ステップS23)。すなわち、ステップS23において、エンジン負荷、加速度または減速度等の検出値に応じてエンジンの運転状態が変動する過渡運転状態にないか否かを判定することにより、上記性能判定に適したエンジンの定常運転状態にあるか否かを確認し、NOと判定された場合には、そのままリターンする。
【0063】
上記ステップS23でYESと判定されて上記判定条件が成立したことが確認された場合には、HC吸着触媒27の作動情報を検出している状態にあることを示すフラグFmを1にセットする(ステップS24)。次いで、上記判定条件が成立した後に所定時間が経過したか否かを計測するタイマのカウント値Tを1だけインクリメントした後(ステップS25)、このタイマのカウント値Tが予め設定された基準時間Toよりも大きいか否かを判定することにより(ステップS26)、上記タイマがタイムアップしたか否かを確認し、NOと判定された場合には、そのままリターンする。
【0064】
上記ステップS26でYESと判定され、上記判定条件が成立した後に所定時間が経過してエンジンの運転状態が安定したことが確認された場合には、上記HC吸着触媒27の下流側に配設された第3酸素濃度センサ28の検出値Ox3が、予め設定された第1基準値Ox31と、第2基準値Ox32との範囲内にあるか否かを判定することにより(ステップS27)、上記HC吸着材27bおよび酸素ストレージ材から所定量のHCおよび酸素が放出され、この酸素によってHC吸着材27bから脱離したHCが適正に浄化されたか否かを確認する。
【0065】
上記ステップS27でYESと判定された場合には、上記HCの浄化が適正に行われた回数を示す第1カウント値nを1だけインクリメントする(ステップS28)。一方、上記ステップS27でNOと判定された場合には、上記HCの浄化が適正に行われなかった回数を示す第2カウント値dを1だけインクリメントする(ステップS29)。
【0066】
次に、上記第1カウント値nと第2カウント値dとの総合値(d+n)が、予め設定されたカウント基準値bよりも大きいか否かを判定することにより(ステップS30)、上記HC吸着触媒27の性能を判定するため必要なデータが収集されたか否かを確認し、NOと判定された場合には、そのままリターンして上記制御動作を繰り返す。
【0067】
上記ステップS30でYESと判定されてHC吸着触媒27の性能を判定するのに必要なデータが収集されたことが確認された場合には、上記第2カウント値dと、上記総合値(d+n)との比率が、予め設定された判別基準値αよりも大きいか否かを判定することにより(ステップS31)、上記HC吸着材27bまたは酸素ストレージ材が劣化したことに起因するHC浄化性能の低下が発生したか否かを確認する。
【0068】
上記ステップS31でYESと判定された場合には、表示手段45に異常表示信号を出力することにより(ステップS32)、異常表示制御を実行する。また、上記ステップS31でNOと判定され、上記HC吸着材27bまたは酸素ストレージ材が劣化したことに起因するHC浄化性能の低下が発生していないことが確認された場合には、そのままリターンして制御動作を終了する。
【0069】
また、上記ステップS22でNOと判定されてHC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にないことが確認された場合には、上記判定条件が成立した後に所定時間が経過したか否かを計測するタイマのカウント値Tおよび第1,第2カウント値n,dをそれぞれ0にリセットした後(ステップS33)、上記触媒温度THCが第2基準値THC2よりも大きいか否かを判定することにより(ステップS34)、上記HC吸着触媒27が活性化した状態にあるか否かを確認する。
【0070】
上記ステップS34でYESと判定された場合には、上記作動情報の検出状態にあることを示すフラグFmが1にセットされているか否かを判定し(ステップS35)、YESと判定された場合には、上記フラグFmを0にリセットした後(ステップS36)、リターンする。
【0071】
また、上記ステップS34でNOと判定されて上記HC吸着材27bからHCが脱離する前の運転状態にあることが確認された場合、または上記ステップS35でNOと判定され、上記フラグFmが0にリセットされていることが確認された場合には、そのままリターンする。
【0072】
上記のように低温時に排気ガス中のHCを吸着するとともに、昇温に伴って吸着したHCを脱離するHC吸着材27bと、排気ガス中の酸素濃度が高いときに酸素を吸蔵するとともに、上記酸素濃度が低下するのに応じて吸蔵した酸素を放出する酸素ストレージ材と、上記HC吸着材27bから脱離したHCを酸化して浄化する三元触媒層27cからなる酸化触媒とを含有するHC吸着触媒27が排気通路22に配置されたエンジンの排気浄化装置において、上記HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあるときに、上記HC吸着触媒27の作動情報を検出するHC検出手段42と、このHC検出手段42により検出された作動情報に基づいて上記HC吸着触媒27の性能を判定する性能判定手段43と、上記HC検出手段42による作動情報の検出時に、上記酸素ストレージ材から酸素が放出されるように上記HC吸着触媒27に流入する排気ガス中の酸素濃度を制御する空燃比制御手段44からなる酸素濃度制御手段とを設けたため、上記HC吸着材27bから脱離したHCを比較的低温で効果的に浄化しつつ、この状態で上記HC検出手段42によりHC吸着触媒27の作動情報を正確に検出し、この作動情報に基づいて上記HC吸着触媒27が劣化しているか否か等を適正に判定することができる。
【0073】
すなわち、上記実施形態では、HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあるときに、上記HC吸着触媒27に流入する排気ガス中の酸素濃度と還元剤濃度との割合に関する値が、エンジンの燃焼室4内における平均空燃比A/Fを14.7以下、例えば13.5〜14.5の範囲内として燃焼させた場合の排気ガス雰囲気に相当した値となるように制御することにより、上記HC吸着触媒27に流入する排気ガス中の酸素濃度を0.3%以下に低下させるように構成したため、上記HC吸着材27bからHCが脱離するのに合わせて、例えば上記酸素ストレージ材を構成する酸化セリウムCeO2を、CeO3と、Oとに分離して反応性の高い酸素を放出させることができる。したがって、上記酸素を利用した上記三元触媒層27cの触媒作用により、上記HC吸着材27bから脱離したHCを、比較的低温で効果的に酸化して適正に浄化することができる。
【0074】
そして、上記HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態で上記HC検出手段42によってHC吸着触媒27の作動情報を検出する際に、上記酸素ストレージ材に吸蔵された酸素を放出させるように、排気ガス中の酸素濃度を制御することにより、上記HC吸着材27bから脱離したHCを上記酸素により酸化して浄化しつつ、このHCの浄化状態からなる作動情報を上記HC検出手段42において検出するように構成したため、この作動情報に基づいて上記HC吸着触媒27の浄化性能を適性に判定することができる。
【0075】
例えば、上記HC吸着材27bに劣化が生じてHC吸着能力が低下している場合には、このHC吸着材21から脱離するHC量に対して上記酸素ストレージ材から放出される酸素量が過多になり、上記HC吸着触媒27の下流側における排気ガス中の酸素濃度が正常時よりも高くなるため、これを検出することにより、上記HC吸着材27bの劣化を検出することができる。
【0076】
逆に、上記酸素ストレージ材に劣化が生じて酸素吸蔵能力が低下している場合には、上記HC吸着材21から脱離するHC量に対して上記酸素ストレージ材から放出される酸素量が過少になり、上記HC吸着触媒27の下流側における排気ガス中の酸素濃度が正常時よりも低くなるため、これを検出することにより、上記酸素ストレージ材の劣化を検出することができる。
【0077】
上記実施形態に示すように、エンジンの燃焼室4内における平均空燃比を制御する空燃比制御手段44からなる上記酸素濃度制御手段を設けるとともに、HC検出手段42による作動情報の検出時に、上記HC吸着触媒27に流入する排気ガス中の酸素濃度と還元剤濃度との割合に関する値を、エンジンの燃焼室内における平均空燃比A/Fを13.5〜14.5の範囲内として燃焼させた場合の排気ガス雰囲気に相当する値とする制御を上記空燃比制御手段44により実行するように構成した場合には、上記排気ガス中の酸素濃度が低すぎることに起因してRawHCおよびRawCOの排出量が増大する等の弊害を効果的に防止しつつ、上記排気ガス中の酸素濃度を適度に低下させて酸素ストレージ材から反応性の高い酸素を適正に放出させることができるという利点がある。
【0078】
また、上記実施形態に示すように、HC吸着触媒27の下流部における排気ガス中の酸素濃度を検出する上記第3酸素濃度センサ28の検出値に基づいて上記HC検出手段42によりHC吸着触媒27の作動情報を検出するように構成した場合には、HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあるときに、上記HC吸着触媒27の作動情報を簡単かつ正確に検出することができる。なお、上記HC吸着触媒27の内部における排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサを設け、その検出値に基づいて上記HC検出手段42によりHC吸着触媒27の作動情報を検出するようにしてもよい。
【0079】
また、上記空燃比制御手段44により酸素濃度制御手段を構成してなる上記実施形態に代え、電気式スロットル弁13の開度を調節することにより上記酸素濃度を制御し、あるいは膨張行程で燃料の後噴射を行うように構成されたものにおいて、後噴射量や時期を調節し、または二次エア供給通路32からHC吸着触媒27の上流位置に送り込まれる吸気(二次エア)の供給量を調節する等により、上記酸素ストレージ材から酸素が放出されるように上記HC吸着触媒に流入する排気ガス中の酸素濃度を制御するように構成してもよい。
【0080】
上記図3および図4に示す実施形態では、HC検出手段42による作動情報の検出時に、燃焼室4内の平均空燃比を、設定値(基準値)を挟んで強制的にリッチ側とリーン側とに交互に反転させるフィードバック制御を実行することにより、上記HC吸着触媒27に流入する排気ガス中の酸素濃度と還元剤濃度との割合に関する値を、エンジンの燃焼室4内における平均空燃比A/Fを14.7以下(好ましくは13.5〜14.5の範囲内)として燃焼させた場合の排気ガス雰囲気に相当する値とする制御を、上記空燃比制御手段44において実行するように構成したため、上記HC吸着材27および酸素ストレージ材からのHCおよび酸素の放出と、HCの浄化とを効果的に促進することができ、これによって上記HC吸着触媒27の性能を、より正確に判定できるという利点がある。
【0081】
さらに、上記実施形態に示すように、HC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあるときには、このHCの脱離が完了した通常の運転状態にあるときに比べ、平均空燃比のフィードバック制御値を設定するための補正値を小さな値に設定することにより、上記平均空燃比の変動幅を小さくするように構成した場合には、上記HC検出手段42による作動情報の検出時に、燃焼室4内における平均空燃比が一時的にリーンになってNOxの排出量が増加する等の弊害を防止しつつ、上記HC吸着触媒27の上流側における排気ガス中の酸素濃度を適度に低下させることができるという利点がある。
【0082】
なお、上記実施形態では、HC吸着触媒27からHCが脱離する運転状態にあるときには、上記第2酸素濃度センサ26の検出値に基づいて設定された第2フィードバック制御ゲインβに基づくフィードバック制御を実行し、それ以外の運転状態にあるときとには、上記第1酸素濃度センサ24の検出値に基づいて設定された第1フィードバック制御ゲインαに基づくフィードバック制御を実行するように構成したが、HCの脱離中でも、上記第1酸素濃度センサ24の検出値に基づくフィードバック制御と、上記第2酸素濃度センサ26の検出値に基づくフィードバック制御とを同時に実行するようにしてもよい。すなわち、上記燃料の基本噴射量Qpに第1フィードバック制御値Qf/b1と、第2フィードバック制御値Qf/b2との両方を加算して最終噴射量を設定するようにしてもよい。
【0083】
また、エンジンの燃焼室4内における平均空燃比A/Fを、14.7以下、例えば14.5程度のややリッチ状態とするフィードフォワード制御を実行することにより、HC吸着触媒27の上流側における排気ガス中の酸素濃度を、0.3%程度の設定値を挟んで増大側と減少側とに交互に反転させることなく、上記設定値に一致させる制御を実行するように構成してもよい。このように構成した場合には、上記酸素濃度が一時的に増大することに起因して酸素ストレージ材から放出される酸素量が低下するのを防止できるため、上記HCの浄化性能を常に良好状態に維持することができるとともに、燃焼室4内における平均空燃比が一時的にリーンになってNOxの排出量が増加する等の弊害が発生するのを確実に防止できるという利点がある。
【0084】
また、上記実施形態では、HC吸着触媒27の担体27a上の外層側に、上記HCを酸化する機能を有するパラジウム(Pd)もしくは白金(Pt)等の触媒金属を含有した上記三元触媒層27cからなる酸化触媒層を配設するとともに、その内層側に、HCの脱離温度を下げる働きを持つ銀を含浸担持させたβ型ゼオライトからなるHC吸着材27bを配設したため、エンジンの始動直後に、このHC吸着材27bに吸着されたHCが、昇温に伴って上記HC吸着材27bから脱離した後、排気通路22中の流排ガスに合流する前に、上記三元触媒層27cの触媒作用により酸化されて効果的に浄化されるという利点がある。
【0085】
さらに、上記実施形態では、酸化セリウム(CeO2)等のセリア材からなる酸素ストレージ材を、HC吸着触媒27の外層側に配設された上記三元触媒層27cからなる酸化触媒層に含有させることにより、この酸化触媒層の触媒成分と、上記酸素ストレージ材とを近接させて配設したため、上記HC吸着材27bから脱離したHCを、上記酸素ストレージ材を構成するセリア材から放出された反応性の高い酸素を利用して効率よく酸化することが可能であり、このHCの浄化性能を、より向上させることができる。
【0086】
なお、上記HC吸着触媒27の担体27a上の外層に、パラジウム(Pd)もしくは白金(Pt)等の触媒金属を含有させた酸化機能を有する上記三元触媒層27cを配設するとともに、その内層にβ型ゼオライトに銀を含浸担持させ、かつ酸化セリウム(CeO2)等のセリア材からなる酸素ストレージ材を、HC吸着触媒の外層側に配設された上記三元触媒層27cに含有させてなる上記実施形態に代え、上記触媒材料とHC吸着材と酸素ストレージ材とを一体に混合することにより、上記HC吸着触媒27を構成してもよい。
【0087】
また、上記HC吸着触媒27が修理を要するほど低下していないが、HCの浄化性能が低下傾向にあると性能判定手段43において判定された場合に、この浄化性能の低下傾向に応じ、上記空燃比制御手段44等からなる酸素濃度制御手段による酸素濃度の制御状態を、排気ガスの浄化を促進する方向に補正するように構成してもよい。
【0088】
例えば、図6のステップS26でYESと判定され、上記HC吸着触媒27の性能を判定する判定条件が成立した後に、所定時間が経過してエンジンの運転状態が安定したことが確認された時点で、図8に示すように、上記HC吸着触媒27の下流側に配設された第3酸素濃度センサ28の検出値Ox3が、予め設定された第1基準値Ox31よりも大きいか否かを判定することにより(ステップS41)、上記HC吸着材27bから所定量のHCが放出されるいるか否か、つまりHCの脱離量が少ないことに起因して排気ガスが過度にリーン状態になっていないかを確認する。
【0089】
上記ステップS41でNOと判定されて排気ガス中の酸素濃度が高いために、上記第3酸素濃度センサ28の検出値Ox3が第1基準Ox31よりも小さくなっていること、つまりHC吸着材27bから放出されたHC量が少ないことに起因して排気ガスが過度にリーン状態となっていることが確認された場合には、その回数を示すリーンカウント数dLを、1だけインクリメントした後(ステップS42)、下記ステップS46に移行する。
【0090】
上記ステップS41でYESと判定されてHC吸着材27bから所定量のHCが放出されて排気ガス濃度が過度のリーン状態にないことが確認された場合には、上記第3酸素濃度センサ28の検出値Ox3が、予め設定された第2基準値Ox32未満である否かを判定することにより(ステップS43)、上記酸素ストレージ材から所定量の酸素が放出されているか否か、つまり上記酸素の放出量が少ないことに起因して排気ガスが過度にリッチ状態となっていないかを確認する。
【0091】
上記ステップS43でYESと判定されて排気ガス中の酸素濃度が適正範囲内にあること、つまり上記HC吸着材27bから放出されたHCが、酸素ストレージ材から放出された酸素により適正に酸化されて浄化されたことが確認された場合には、第1カウント値nを1だけインクリメントした後(ステップS44)、下記ステップS46に移行する。
【0092】
一方、上記ステップS44でNOと判定されて酸素ストレージ材から放出された酸素量が少ないことに起因して排気ガスが過度にリッチ状態となっていることが確認された場合には、その回数を示すリッチカウント数dRを、1だけインクリメントする(ステップS45)。その後、上記第1カウント値nとリーンカウント値dLとリッチカウント値dRとの総合値(n+dL+dR)が、予め設定されたカウント基準値bよりも大きいか否かを判定することにより(ステップS46)、上記HC吸着触媒27の性能を判定するため必要なデータが収集されたか否かを確認し、NOと判定された場合には、そのままリターンして上記制御動作を繰り返す。
【0093】
上記ステップS46でYESと判定されてHC吸着触媒27の性能を判定するのに必要なデータが収集されたことが確認された場合には、上記リーンカウント値dLとリッチカウント値dRとの加算値(dL+dR)と、上記総合値(n+dL+dR)との比率が、予め設定された判別基準値αよりも大きいか否かを判定することにより(ステップS47)、上記HC吸着材27bまたは酸素ストレージが劣化したことに起因するHC浄化性能の低下が発生したか否かを確認する。
【0094】
上記ステップS47でYESと判定された場合には、表示手段45にリーン異常表示信号を出力することにより(ステップS48)、異常表示制御を実行する。なお、上記リーンカウント値dLと、上記総合値(n+dL+dR)との比率を、予め設定された判別基準値と比較することにより、HC吸着材27bが劣化しているか否かを判定するとともに、上記リッチカウント値dRと、上記総合値(n+dL+dR)との比率を、予め設定された判別基準値と比較することにより、酸素ストレージ材が劣化しているか否かを判定するようにしてよい。
【0095】
上記ステップS47でNOと判定され、上記HC吸着材27bまたは酸素ストレージ材が劣化した状態に至っていないことが確認された場合には、上記リーンカウント値dLと第1カウント値dとの比率(dL/n)に基づき、図3のステップS15において排気ガス中の酸素濃度が、設定空燃比に対応した値よりもリーン傾向にあるか否かを判定する判定基準値Ox2を、リッチ方向に補正するための第1補正値γ1を設定する(ステップS49)。
【0096】
また、上記リッチカウント値dRと第1カウント値dとの比率(dR/n)に基づき、上記判定基準値Ox2を、リーン方向に補正するための第2補正値γ2を設定した後(ステップS50)、上記第1補正値γ1と第2補正値γ2とに基づいて、上記判定基準値Ox2の最終補正値γを算出する(ステップS51)。
【0097】
上記のようにHC吸着触媒27による排気ガスの浄化性能が低下傾向にあると判定された場合に、リーンカウント値dLおよびリッチカウント値dRに基づいて上記基準値Ox20を補正する等により、上記酸素濃度制御手段による酸素濃度の制御状態を、上記浄化性能の低下傾向に応じて排気ガスの浄化を促進する方向に補正するように構成した場合には、HCの浄化性能が低下すること等に起因して大気中に放出されるHC量が増大する等の弊害を効果的に防止することができる。
【0098】
すなわち、上記リッチカウント値dRに基づき、酸素ストレージ材が劣化傾向にあるために、この酸素ストレージ材から放出される酸素量が少ないと判定された場合には、上記基準値Ox20をリーン方向に補正して、HC吸着触媒27に導入される排気ガス中の酸素濃度を増大させる制御を実行することにより、この排気ガス中の酸素濃度が低すぎることに起因したHC浄化性能の低下を防止して、大気中にHCが放出されるのを効果的に抑制することができる。
【0099】
逆に、上記酸素濃度制御手段によってHC吸着触媒27に導入される排気ガス中の酸素濃度を制御することにより、酸素ストレージ材から所定量の酸素が放出されているにも拘わらず、HC吸着材27bが劣化傾向にあるために、このHC吸着材27bから脱離するHCが少ない状態にあると、上記リーンカウント値dLに基づいて判定された場合には、上記基準値Ox20をリッチ方向に補正して、HC吸着触媒27に導入される排気ガス中の酸素濃度を減少させる制御を実行することにより、NOxの還元剤として作用するHC量が少なくなり過ぎることに起因したNOx浄化率の低下等を防止し、大気中に放出されるNOx量を効果的に抑制することができる。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、低温時に排気ガス中のHCを吸着するとともに、昇温に伴って吸着したHCを脱離するHC吸着材と、排気ガス中の酸素濃度が高いときに酸素を吸蔵するとともに、上記酸素濃度が低下するのに応じて吸蔵した酸素を放出する酸素ストレージ材と、上記HC吸着材から脱離したHCを酸化して浄化する酸化触媒とを含有するHC吸着触媒が排気通路に配置されたエンジンの排気浄化装置において、上記HC吸着材からHCが脱離する運転状態にあるときに、HC吸着触媒の内部またはその下流部における排気ガス中の酸素濃度を検出するHC検出手段と、このHC検出手段による酸素濃度の検出時に、上記酸素ストレージ材から酸素が放出されるように排気ガス中の酸素濃度を理論空燃比に対してリッチ側に設定された基準値に制御する酸素濃度制御手段と、上記HC検出手段により検出された酸素濃度が予め設定された所定の規準範囲内にない場合に、上記HC吸着触媒のHC吸着材または酸素ストレージ材の少なくとも一つが劣化していると判定する劣化判定手段とを設けたため、上記HC吸着材からHCが脱離するのに合わせて、酸素ストレージ材から反応性の高い酸素を放出させ、この酸素を利用した上記酸化触媒の触媒作用により、上記HC吸着材から脱離したHCを比較的低温で浄化しつつ、この状態で上記HC検出手段により検出された酸素濃度に基づいて上記HC吸着触媒の性能を適正に判定することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンジンの排気浄化装置の実施形態を示す説明図である。
【図2】HC吸着触媒の具体的構成を示す説明図である。
【図3】排気ガス浄化装置の制御動作の前半部を示すフローチャートである。
【図4】排気ガス浄化装置の制御動作の後半部を示すフローチャートである。
【図5】排気ガス浄化装置の制御動作を示すタイムチャートである。
【図6】HC吸着触媒の性能判定制御の前半部を示すフローチャートである。
【図7】HC吸着触媒の性能判定制御の後半部を示すフローチャートである。
【図8】HC吸着触媒の性能判定制御の後半部の別の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
22 排気通路
27 HC吸着触媒
27b HC吸着材
27c 三元触媒層(酸化触媒層)
42 HC検出手段
43 性能判定手段
44 空燃比制御手段(酸素濃度制御手段)

Claims (5)

  1. 低温時に排気ガス中のHCを吸着するとともに、昇温に伴って吸着したHCを脱離するHC吸着材と、排気ガス中の酸素濃度が高いときに酸素を吸蔵するとともに、上記酸素濃度が低下するのに応じて吸蔵した酸素を放出する酸素ストレージ材と、上記HC吸着材から脱離したHCを酸化して浄化する酸化触媒とを含有するHC吸着触媒が排気通路に配置されたエンジンの排気浄化装置において、
    上記HC吸着材からHCが脱離する運転状態にあるときに、HC吸着触媒の内部またはその下流部における排気ガス中の酸素濃度を検出するHC検出手段と、
    このHC検出手段による酸素濃度の検出時に、上記酸素ストレージ材から酸素が放出されるように排気ガス中の酸素濃度を理論空燃比に対してリッチ側に設定された基準値に制御する酸素濃度制御手段と、
    上記HC検出手段により検出された酸素濃度が予め設定された所定の規準範囲内にない場合に、上記HC吸着触媒のHC吸着材または酸素ストレージ材の少なくとも一つが劣化していると判定する劣化判定手段とを備えたことを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  2. 上記劣化判定手段は、HC吸着材または酸素ストレージ材の劣化判定を繰り返して上記酸素濃度の検出値が予め設定された所定の規準範囲内にない割合が予め設定され判定基準値よりも高い場合に、上記HC吸着触媒が劣化していると判定するとともに、上記割合が判定基準値未満である場合に、HC吸着触媒が正常であると判定し、
    上記劣化判定手段によりHC吸着触媒が正常であると判定された場合に、上記酸素濃度の検出値が規準範囲よりも低いと判定された回数および高いと判定された回数に基づいて上記酸素濃度制御手段による酸素濃度制御用の基準値を補正することを特徴とする請求項1記載のエンジンの排気浄化装置。
  3. 上記酸素濃度制御手段が、エンジンの燃焼室内における平均空燃比を制御する空燃比制御手段により構成されるとともに、上記HC検出手段による酸素濃度の検出時に、上記HC吸着触媒に流入する排気ガス中の酸素濃度と還元剤濃度との割合に関する値を、エンジンの燃焼室内における平均空燃比A/Fを13.5〜14.5の範囲内として燃焼させた場合の排気ガス雰囲気に相当する値とする制御を実行するように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載のエンジンの排気浄化装置。
  4. 上記酸素濃度制御手段が、HC吸着触媒に流入する排気ガス中の酸素濃度を、設定値を挟んで増大側と減少側とに交互に反転させることなく、上記設定値に一致させる制御を実行するように構成されたことを特徴とする請求項3記載のエンジンの排気浄化装置。
  5. 上記酸素濃度制御手段が、HC吸着触媒に流入する排気ガス中の酸素濃度に基づいてエンジンの燃焼室内における平均空燃比を、設定空燃比を挟んでリッチ状態とリーン状態とに交互に反転させるフィードバック制御を実行するように構成されたことを特徴とする請求項3記載のエンジンの排気浄化装置。
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