JP3633312B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3633312B2
JP3633312B2 JP28436698A JP28436698A JP3633312B2 JP 3633312 B2 JP3633312 B2 JP 3633312B2 JP 28436698 A JP28436698 A JP 28436698A JP 28436698 A JP28436698 A JP 28436698A JP 3633312 B2 JP3633312 B2 JP 3633312B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel ratio
air
engine
region
exhaust
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP28436698A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000110616A (ja
Inventor
健治 加藤
比呂志 田中
直人 鈴木
隆行 出村
茂樹 宮下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP28436698A priority Critical patent/JP3633312B2/ja
Publication of JP2000110616A publication Critical patent/JP2000110616A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3633312B2 publication Critical patent/JP3633312B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の排気浄化装置に関し、詳細には流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOを吸収し流入する排気中の酸素濃度が低下すると吸収したNOを放出するNO吸蔵還元触媒を備えた排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
流入する排気空燃比がリーンのときに排気中のNO(窒素酸化物)を吸収し、流入する排気中の酸素濃度が低下すると吸収したNOを放出するNO吸蔵還元触媒が知られている。
この種のNO吸蔵還元触媒を使用した排気浄化装置の例としては、例えば特許登録第2600492号に記載されたものがある。上記特許の排気浄化装置は、リーン空燃比運転を行う機関の排気通路にNO吸蔵還元触媒を配置し、機関のリーン空燃比運転中にNO吸蔵還元触媒に排気中のNOを吸収させ、NO吸蔵還元触媒のNO吸収量が増大したときに機関を短時間理論空燃比またはリッチ空燃比で運転するリッチスパイク操作を行うことにより、NO吸蔵還元触媒から吸収したNOを放出させるとともに、放出されたNOを還元浄化している。すなわち、排気の空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比になると、リーン空燃比の排気に較べて排気中の酸素濃度が急激に低下するとともに、排気中の未燃HC、CO成分の量が急激に増大する。このため、リッチスパイク操作により機関運転空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比に切り換えられると、NO吸蔵還元触媒に流入する排気の空燃比はリーン空燃比から理論空燃比またはリッチ空燃比に変化し、排気中の酸素濃度の低下によりNO吸蔵還元触媒からNOが放出される。また、上記のように理論空燃比またはリッチ空燃比の排気中には比較的多量の未燃HC、CO成分が含まれるため、NO吸蔵還元触媒から放出されたNOは排気中の未燃HC、CO成分と反応し還元される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許登録第2600492号に記載の排気浄化装置では、機関リーン空燃比運転中に発生するNOをNO吸蔵還元触媒に吸収させ、リッチスパイク操作によりNO吸蔵還元触媒からNOを放出させ、同時に還元浄化している。ところが、リッチスパイク操作によりNO吸蔵還元触媒からのNOの放出と還元浄化とを行なうと、リッチスパイク操作初期にNO吸蔵還元触媒から還元されないままの未浄化のNOが流出する場合があることが判明している。
【0004】
上記のようにリッチスパイク操作初期にNO吸蔵還元触媒から未浄化のNOが放出される理由は完全には明らかになっていないが、NO吸蔵還元触媒のNO吸蔵能力(最大NO吸蔵量)が空燃比によって変化することが原因と考えられている。
例えば、大幅なリーン空燃比で機関が運転されているような場合にはリッチスパイク操作時に急激に空燃比をリッチ空燃比に切り換えると機関出力トルクの急変によりトルクショックが生じる。このため、実際の運転では、大幅なリーン空燃比(例えば空燃比で30程度)運転からリッチスパイク操作を行なうときには数段階のリーン空燃比領域での運転を経由してある程度の時間をかけて緩やかに空燃比をリッチ空燃比にするようにしてトルクショックが生じることを防止している。従って、大幅なリーン空燃比からのリッチスパイク操作実行時には機関が比較的リーンの程度の低い空燃比領域(例えば空燃比約20から理論空燃比までの領域、以下「弱リーン空燃比領域」と呼ぶ)で運転される期間が生じる場合がある。
【0005】
ところが、NO吸蔵還元触媒のNO吸蔵能力は流入する排気空燃比に影響を受け、上記弱リーン領域ではNO吸蔵能力が空燃比とともに低下することが判明している。図7はNO吸蔵還元触媒のNO吸蔵能力(最大NO吸蔵量)の流入排気空燃比による変化を説明するグラフである。図7に示すように、NO吸蔵還元触媒のNO吸蔵能力は、空燃比が約20以上の領域では空燃比にかかわらず略一定値となるが、空燃比20以下の領域では排気空燃比が低下するにつれて(理論空燃比に近づくにつれて)低下し、理論空燃比では0になる。
【0006】
このため、NO吸蔵還元触媒が空燃比20以上のリーン空燃比領域で最大NO吸蔵量付近までNOを吸蔵した状態から空燃比が20以下の弱リーン領域になると吸蔵能力の低下により吸蔵したNOの全量を保持することができなくなり、実際に吸蔵しているNO量と最大吸蔵量との差に相当する量(図7に斜線で示した量)のNOが放出されるようになる。しかも、弱リーン空燃比領域では排気中のHC、CO成分量は極めて少ないため放出されたNOはNO吸蔵還元触媒上で還元されず未浄化のままでNO吸蔵還元触媒から流出することになるのである。
【0007】
上記はリッチスパイク操作で機関の運転空燃比が空燃比20以上のリーン空燃比から上記弱リーン領域に変化した場合について説明したが、機関の運転空燃比がリッチ空燃比から上記弱リーン領域に変化した場合にも同様な問題が生じる場合がある。
更に、機関運転空燃比が上記弱リーン空燃比領域を通過する際には機関からのNO排出量も増加することが知られている。図8は機関の運転空燃比(機関燃焼室内の燃焼空燃比)と機関排気中のNO濃度との関係を説明する図である。図8カーブAに示すように機関排気中のNO量は理論空燃比近傍では運転空燃比が上昇するにつれて増大し、空燃比で20〜23の領域で最大になり、その後は空燃比の増大とともに低下する傾向を示す。また、NO吸蔵還元触媒上流側の排気通路に三元触媒等の排気浄化触媒を有する機関では、理論空燃比よりリッチな空燃比では排気中のNOは略完全に還元されるため、この場合、排気浄化触媒下流側のNO吸蔵還元触媒に流入する排気中のNO濃度は図8にカーブBで示すように、理論空燃比以下の空燃比では略0になり、理論空燃比付近で急増してカーブAと一致するようになる。このため、機関が前述の弱リーン空燃比領域(理論空燃比から空燃比20程度までの領域)で運転されると、NO吸蔵還元触媒に流入する排気中のNOは機関の最大NO排出量近くまで急激に増大する。一方、前述のように弱リーン空燃比領域ではNO吸蔵還元触媒のNO吸蔵能力は低下するため、この領域では仮にNO吸蔵還元触媒のNO吸蔵量が比較的少なく、NO吸蔵還元触媒からのNOの自然放出が生じないような場合でも、NO吸蔵能力の低下のために機関から排出されたNOの全量を吸収できなくなる場合があり、排気中のNOが未浄化のままNO吸蔵還元触媒から流出する可能性がある。
【0008】
更に、実際の運転では、機関運転空燃比が機関運転条件(負荷等)に応じてリッチ空燃比からリーン空燃比まで広い範囲で変更される場合があり、リッチスパイク操作以外でも機関運転空燃比が上記弱リーン領域になる場合が生じ、機関運転条件の変化によりNO吸蔵還元触媒から未浄化のNOが流出する場合が生じてしまう。
【0009】
このように、機関のリッチスパイク操作毎、或いは運転条件変化による機関運転空燃比の変化毎にNO吸蔵還元触媒から未浄化のNOが流出したのでは全体としてのNO浄化率が低下する問題が生じる。
本発明は上記問題に鑑み、理論空燃比からリーン空燃比までの領域で運転空燃比が変化する機関にNO吸蔵還元触媒を適用する場合に、空燃比変化によりNO吸蔵還元触媒から未浄化のNOが放出されることを防止可能な内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、必要に応じて理論空燃比よりリーンな空燃比から理論空燃比よりリッチな空燃比までの範囲で運転空燃比を変更する内燃機関の排気浄化装置であって、機関排気通路に配置された、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOXを吸収し流入する排気中の酸素濃度が低下すると吸収したNOXを放出するNOX吸蔵還元触媒と、機関運転空燃比を変化させる際に、変化前の出発空燃比から変化後の目標空燃比である到達空燃比に至るまでの間に前記出発空燃比と到達空燃比との間の空燃比での中途空燃比運転を経て空燃比を変化させることにより機関出力の急変を抑制する空燃比調節手段と、機関運転空燃比をリーン空燃比からリッチ空燃比及びリッチ空燃比からリーン空燃比に変化させる際に、前記NO X 吸蔵還元触媒のNO X 吸蔵能力が空燃比とともに低下する空燃比領域である、理論空燃比に隣接した特定のリーン空燃比領域で前記中途空燃比運転が行なわれる場合には、前記特定のリーン空燃比領域における中途空燃比運転時間が他の空燃比領域における中途空燃比運転時間より短くなるように、前記特定のリーン空燃比領域における中途空燃比運転時間を短縮する空燃比変化調節手段と、を備えた内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0011】
すなわち、請求項1の発明では機関空燃比変更の際に機関出力の急な変化の抑制のための中途空燃比運転が行なわれる。このため、例えば大幅なリーン空燃比からリッチ空燃比への空燃比の変更の際等には、NOX吸蔵還元触媒の吸能力が低下するような特定のリーン空燃比領域での中途空燃比運転が実行される場合が生じNOX吸蔵還元触媒から未浄化のNOXが放出される可能性がある。本発明では、機関空燃比変更の際に上記特定のリーン空燃比領域での中途空燃比運転が行なわれる場合には、特定のリーン空燃比領域での中途空燃比運転時間が他の空燃比領域で中途空燃比運転が行なわれる場合の中途空燃比運転時間に較べて短くなるように特定のリーン空燃比運転領域における中途空燃比運転時間が短縮される。これにより、NOX吸蔵還元触媒に特定のリーン空燃比領域の排気が供給される時間が短縮される。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記空燃比変化調節手段は、機関空燃比をステップ的に変化させて前記特定のリーン空燃比領域を通過させ、前記特定のリーン空燃比領域における中途空燃比運転を回避する請求項1に記載の排気浄化装置が提供される。
すなわち請求項2の発明では、機関空燃比変更の際に特定リーン空燃比領域では中途空燃比運転を行なわず、例えば特定のリーン空燃比領域に隣接する空燃比領域の一方から他方にステップ的に空燃比を変化させて特定のリーン空燃比を通過させる。これにより、特定のリーン空燃比領域における中途空燃比運転時間は実質的にゼロまで短縮されるため、NO吸蔵還元触媒に特定のリーン空燃比領域の排気が供給される時間が更に短縮される。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、更に、機関運転空燃比を変化させる際に、機関運転空燃比が前記特定のリーン空燃比領域を通過中は機関点火時期または機関吸入空気量を調節し機関出力の急変を抑制する出力調節手段を備えた請求項1又は請求項2に記載の排気浄化装置が提供される。
すなわち請求項3の発明では、請求項1又は請求項2において機関運転空燃比変化時に上述の特定のリーン空燃比領域を通過中機関点火時期又は機関吸入空気量を調節し、機関出力急変を防止する出力調節手段が設けられている。中途空燃比運転は、機関空燃比変化による機関出力の急変を防止するものであるため特定のリーン空燃比領域での中途空燃比運転時間を短縮するような場合にはこの領域で機関出力変化が比較的急激に変化するようになる場合がある。本発明では、機関空燃比変化の際の特定のリーン空燃比領域を通過中に機関点火時期又は機関吸入空気量を調節することにより機関出力の急変が抑制される。例えばリーン空燃比からリッチ空燃比への機関空燃比変化時に特定のリーン空燃比領域を通過するような場合には、点火時期の遅角または吸入空気量の低減のいずれか一方又は両方が行なわれる。これにより、機関出力の低下と空燃比の変化(リッチ化)による機関出力の増大とが互いに相殺されるので特定のリーン空燃比領域における中途空燃比運転時間短縮による機関出力の急変が抑制される。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、理論空燃比よりリーンな空燃比から理論空燃比よりリッチな空燃比までの範囲で運転空燃比を変更可能な内燃機関の排気浄化装置であって、機関排気通路に配置された、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOXを吸収し流入する排気中の酸素濃度が低下すると吸収したNOXを放出するNOX吸蔵還元触媒と、予め定めた関係に基づいて機関運転状態に応じて機関の運転空燃比目標値を設定する目標空燃比設定手段と、前記目標空燃比設定手段の設定した目標値が、前記NO X 吸蔵還元触媒のNO X 吸蔵能力が空燃比とともに低下する空燃比領域である、理論空燃比に隣接した特定のリーン空燃比領域外にある場合には、機関の実運転空燃比を前記目標値と同じ値に設定し、前記目標値が特定のリーン空燃比領域にある場合には前記実運転空燃比を前記特定のリーン空燃比領域外の予め定めた空燃比に設定する実運転空燃比設定手段と、前記機関の運転空燃比が前記実運転空燃比設定手段の設定した実運転空燃比になるように機関運転空燃比を制御する空燃比制御手段と、を備えた内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0015】
すなわち、請求項4の発明では機関運転空燃比目標値はは機関運転状態に応じて設定されるが、設定された目標運転空燃比が、例えばNOX吸蔵還元触媒の吸能力が低下するような特定のリーン空燃比領域になった場合には機関の実際の運転空燃比を上記特定のリーン空燃比領域以外の空燃比(例えば特定のリーン空燃比領域に隣接した空燃比)に設定する。このため、機関が上記特定のリーン空燃比領域で運転されることがなくなりNOX吸蔵還元触媒に特定のリーン空燃比の排気が供給されることが防止される。なお、「機関運転状態に応じて目標運転空燃比を設定する」とは機関の定常運転状態の目標運転空燃比のみならず、機関の過渡運転状態の(例えば機関運転空燃比変化途中の)目標運転空燃比をも意味するものとする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、更に、前記目標空燃比設定手段により前記目標値が前記特定のリーン空燃比領域に設定されたときに、前記空燃比制御手段により機関運転空燃比が実運転空燃比に変更されるまでの間機関点火時期または機関吸入空気量を調節し機関出力の急変を抑制する出力調節手段を備えた請求項4に記載の排気浄化装置が提供される。
【0017】
すなわち、請求項5の発明では機関運転空燃比目標値が特定のリーン空燃比領域になったために、実運転空燃比がこの特定のリーン空燃比領域外に設定された場合には、機関出力の急変を抑制するために、機関の点火時期または機関吸入空気量が調節される。請求項4のように特定のリーン空燃比領域を避けて機関の実運転空燃比を設定する場合には、機関空燃比変更時に空燃比の変化幅や変化速度が大きくなり機関出力の急変が生じる場合がある。本発明では、このような場合に機関の点火時期と機関吸入空気量とのいずれか一方または両方を調節することにより機関出力の急変が抑制される。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、理論空燃比よりリーンな空燃比から理論空燃比よりリッチな空燃比までの範囲で運転空燃比を変更可能な内燃機関の排気浄化装置であって、機関排気通路に配置された、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOXを吸収し流入する排気中の酸素濃度が低下すると吸収したNOXを放出するNOX吸蔵還元触媒と、機関運転状態に応じて機関の運転空燃比目標値を設定する目標空燃比設定手段と、前記機関の運転空燃比が前記目標空燃比設定手段の設定した目標空燃比になるように機関運転空燃比を制御する空燃比制御手段と、を備え、前記目標空燃比は、常に、前記NO X 吸蔵還元触媒のNO X 吸蔵能力が空燃比とともに低下する空燃比領域である、理論空燃比に隣接した特定のリーン空燃比領域外の空燃比に設定されるようにした内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0019】
すなわち、請求項6の発明では機関の目標運転空燃比は常に特定のリーン空燃比領域外の空燃比に設定されるため、機関が特定のリーン空燃比領域で運転されることがない。このため、NOX吸蔵還元触媒に特定のリーン空燃比領域の排気が供給されることが防止される。
請求項7に記載の発明によれば、前記特定のリーン空燃比領域は理論空燃比から空燃比20までの領域である請求項1、請求項4、請求項6のいずれか1項に記載の排気浄化装置が提供される。
【0020】
すなわち、請求項7の発明では、請求項1、、6のいずれかの発明において特定のリーン空燃比領域はNOX吸蔵還元触媒のNOX能力が低下するリーン空燃比領域に設定される。これにより、本発明では上記特定のリーン空燃比領域の排気がNOX吸蔵還元触媒に供給されることが抑制され、NOX吸蔵還元触媒からの未浄化のNOX放出が抑制される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
図1において、1は自動車用内燃機関を示す。本実施形態では、機関1は#1から#4の4つの気筒を備えた4気筒ガソリン機関とされ、#1から#4気筒には気筒内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁111から114が設けられている。後述するように、本実施形態の内燃機関1は、理論空燃比より高い(リーン)空燃比から理論空燃比より低い(リッチ)空燃比までの広い範囲の空燃比で運転可能な機関とされている。
【0022】
また、本実施形態では#1から#4の気筒は互いに点火時期が連続しない2つの気筒からなる2つの気筒群にグループ分けされている。(例えば、図1の実施形態では、気筒点火順序は1−3−4−2であり、#1、#4の気筒と#2、#3の気筒とがそれぞれ気筒群を構成している。)また、各気筒の排気ポートは気筒群毎に排気マニホルドに接続され、気筒群毎の排気通路に接続されている。図1において、21aは#1、#4気筒からなる気筒群の排気ポートを個別排気通路2aに接続する排気マニホルド、21bは#2、#4気筒からなる気筒群の排気ポートを個別排気通路2bに接続する排気マニホルドである。本実施形態では、個別排気通路2a、2b上には、三元触媒からなるスタートキャタリスト(以下「SC」と呼ぶ)5aと5bがそれぞれ配置されている。また、個別排気通路2a、2bはSC下流側で共通の排気通路2に合流している。
【0023】
共通排気通路2上には、後述するNO吸蔵還元触媒7が配置されている。図1に29a、29bで示すのは、個別排気通路2a、2bのスタートキャタリスト5a、5b上流側に配置された空燃比センサ、31で示すのは、排気通路2のNO吸蔵還元触媒7出口に配置された空燃比センサである。空燃比センサ29a、29b及び31は、広い空燃比範囲で排気空燃比に対応する電圧信号を出力する、いわゆるリニア空燃比センサとされている。
【0024】
図1において、機関の1の気筒#1から#4の吸気ポートはそれぞれの吸気枝管11〜14を介してサージタンク10aに接続されており、サージタンクは共通の吸気通路10に接続されている。更に、本実施形態では吸気通路10上にはスロットル弁15が設けられている。本実施形態のスロットル弁15はいわゆる電子制御スロットル弁とされており、ステッパモータ等の適宜な形式のアクチュエータ15aにより駆動され後述するECU30からの制御信号に応じた開度をとる。
【0025】
更に、図1に30で示すのは機関1の電子制御ユニット(ECU)である。ECU30は、本実施形態ではRAM、ROM、CPUを備えた公知の構成のマイクロコンピュータとされ、機関1の点火時期制御や燃料噴射制御等の基本制御を行なっている。また、本実施形態では、ECU30は上記の基本制御を行う他に、後述するように機関運転状態に応じて筒内噴射弁111から114の燃料噴射モードを変更し機関の運転空燃比を変更する制御を行なうとともに、更にNO吸蔵還元触媒7から吸収したNOを放出させるために機関のリーン空燃比運転中に短時間運転空燃比をリッチ空燃比に切り換えるリッチスパイク操作を行なっている。
【0026】
ECU30の入力ポートには、空燃比センサ29a、29bからスタートキャタリスト5a、5b入口における排気空燃比を表す信号と、空燃比センサ31からNO吸蔵還元触媒7出口における排気空燃比を表す信号が、また、図示しない機関吸気マニホルドに設けられた吸気圧センサ33から機関の吸気圧力に対応する信号がそれぞれ入力されている他、機関クランク軸(図示せず)近傍に配置された回転数センサ35から機関クランク軸一定回転角毎にパルス信号が入力されている。更に、本実施形態では、ECU30の入力ポートには機関1のアクセルペダル(図示せず)近傍に配置したアクセル開度センサ37から運転者のアクセルペダル踏込み量(アクセル開度)を表す信号が入力されている。ECU30は、所定間隔毎に吸気圧センサ33出力とアクセル開度センサ37出力とをAD変換して吸気圧力PMとアクセル開度ACCPとしてECU30のRAMの所定領域に格納するとともに、回転数センサ35からのパルス信号の間隔から機関回転数NEを算出し、RAMの所定の領域に格納している。また、ECU30の出力ポートは、各気筒への燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御するために、図示しない燃料噴射回路を介して各気筒の燃料噴射弁111から114に接続されている他、スロットル弁15のアクチュエータ15bに図示しない駆動回路を介して接続されスロットル弁15の開度を制御している。
【0027】
本実施形態では、ECU30は運転条件に応じて機関1を以下の5つのモードのいずれかで運転する。
▲1▼ リーン空燃比成層燃焼(圧縮行程1回噴射)
▲2▼ リーン空燃比弱成層燃焼(吸気行程/圧縮行程2回噴射)
▲3▼ リーン空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)
▲4▼ 理論空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)
▲5▼ リッチ空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)
すなわち、機関1の軽負荷運転領域では、上記モード▲1▼のリーン空燃比成層燃焼が行なわれる。機関1は気筒内に吸入空気のスワール(旋回流)を生じさせるスワールポートを有する吸気弁と通常のストレートポートを有する吸気弁との2つの吸気弁を備えており、ストレートポートに連通する吸気通路に設けられたスワールコントロールバルブ(SCV)(図示せず)の開度を調節することによりスワールポートから気筒内に流入する吸気量を制御することが可能となっている。成層燃焼を行なう場合には、SCV開度は全閉とされスワールポートからの吸気量を増大し、気筒内に強いスワールを生成させる。また、この状態では筒内燃料噴射は各気筒の圧縮行程後半に1回のみ行なわれ、噴射された燃料は気筒点火プラグ近傍に可燃混合気の層を形成する。また、この運転状態での燃料噴射量は極めて少なく、気筒内の全体としての空燃比は25から30程度もしくはそれ以上になる。
【0028】
また、上記モード▲1▼の状態から負荷が増大して低負荷運転領域になると、上記モード▲2▼リーン空燃比弱成層燃焼が行なわれる。機関負荷が増大するにつれて気筒内に噴射する燃料は増量されるが、上記モード▲1▼の成層燃焼では燃料噴射を圧縮行程後半に行なうため、噴射時間が限られてしまい成層させることのできる燃料量には限界がある。そこで、この負荷領域では圧縮行程後半の燃料噴射だけでは不足する燃料の量を予め吸気行程前半に噴射することにより目標量の燃料を気筒に供給するようにしている。吸気行程前半に気筒内に噴射された燃料は着火時までに極めてリーンな均質混合気を生成する。圧縮行程後半ではこの極めてリーンな均質混合気中に更に燃料が噴射され点火プラグ近傍に着火可能な可燃混合気の層が生成される。着火時にはこの可燃混合気層が燃焼を開始し周囲の希薄な混合気層に火炎が伝播するため安定した燃焼が行なわれるようになる。この状態では吸気行程と圧縮行程での噴射により供給される燃料量は▲1▼より増量されるが、全体としての空燃比はやや低いリーン(例えば空燃比で20から30程度)になる。
【0029】
更に機関負荷が増大すると、機関1では上記モード▲3▼のリーン空燃比均質混合気燃焼が行なわれる。この状態ではSCVは全開とされ吸気の大部分はストレートポートから気筒内に流入する。また、この状態では燃料噴射は吸気行程前半に1回のみ実行され、燃料噴射量は上記▲2▼より更に増量される。この状態で気筒内に生成される均質混合気は理論空燃比に比較的近いリーン空燃比(例えば空燃比で15から25程度)となる。
【0030】
更に機関負荷が増大して機関高負荷運転領域になると、モード▲3▼の状態から更に燃料が増量され、上記モード▲4▼の理論空燃比均質混合気運転が行なわれる。この状態では、気筒内には理論空燃比の均質な混合気が生成されるようになり、機関出力が増大する。また、更に機関負荷が増大して機関の全負荷運転になると、モード▲4▼の状態から燃料噴射量が更に増量されモード▲5▼のリッチ空燃比均質混合気運転が行なわれる。この状態では、気筒内に生成される均質混合気の空燃比はリッチ(例えば空燃比で12から14程度)になる。
【0031】
本実施形態では、アクセル開度(運転者のアクセルペダル踏込み量)と機関回転数とに応じて予め実験等に基づいて最適な運転モード(上記▲1▼から▲5▼)が設定されており、ECU30のROMにアクセル開度と機関回転数とを用いたマップとして格納してある。機関1運転中、ECU30はアクセル開度センサ37で検出したアクセル開度と機関回転数とに基づいて、現在上記▲1▼から▲5▼のいずれの運転モードを選択すべきかを決定し、それぞれのモードに応じて燃料噴射量、燃料噴射時期、回数及びスロットル弁開度を決定する。
【0032】
また、モード▲4▼(理論空燃比均質混合気燃焼)が選択された場合には、ECU30は更に上記により算出した燃料噴射量を、機関排気空燃比が理論空燃比となるように空燃比センサ29a、29bの出力に基づいてフィードバック補正する空燃比制御を行なう。
すなわち、上記▲1▼から▲3▼のモード(リーン空燃比燃焼)が選択された場合には、ECU30は上記▲1▼から▲3▼のモード毎に予め準備されたマップに基づいて、アクセル開度と機関回転数とから燃料噴射量を決定する。又、上記▲4▼と▲5▼のモード(理論空燃比またはリッチ空燃比均質混合気燃焼)が選択された場合には、ECU30は上記▲4▼と▲5▼のモード毎に予め準備されたマップに基づいて、吸気圧センサ33で検出された吸気圧力と機関回転数とに基づいて燃料噴射量を設定する。
【0033】
また、スロットル弁15開度はモード▲1▼から▲3▼では全開に近い領域でアクセル開度に応じて制御される。この領域ではアクセル開度が低下するとスロットル弁開度も低減されるが、スロットル弁全開相当の領域であるためスロットル弁開度が変化しても吸気圧力は略一定になり、ほとんど吸気絞りは生じない。
一方モード▲4▼、▲5▼ではスロットル弁開度はアクセル開度に略等しい開度に制御される。すなわち、アクセル開度(アクセルペダル踏込み量)が0のときにはスロットル開度も0に、アクセル開度が100パーセントのとき(アクセルペダルがいっぱいに踏み込まれたとき)にはスロットル開度も100パーセント(全開)にセットされる。
【0034】
次に、本実施形態のスタートキャタリスト5a、5b及びNO吸蔵還元触媒について説明する。
スタートキャタリスト(SC)5a、5bは、ハニカム状に成形したコージェライト等の担体を用いて、この担体表面にアルミナの薄いコーティングを形成し、このアルミナ層に白金Pt、パラジウムPd、ロジウムRh等の貴金属触媒成分を担持させた三元触媒として構成される。三元触媒は理論空燃比近傍でHC、CO、NOの3成分を高効率で浄化する。三元触媒は、流入する排気の空燃比が理論空燃比より高くなるとNOの還元能力が低下するため、機関1がリーン空燃比運転されているときの排気中のNOを充分に浄化することはできない。
【0035】
また、SC5a、5bは機関始動後短時間で触媒の活性温度に到達し、触媒作用を開始することができるように、排気通路2a、2bの機関1に近い部分に配置され、熱容量を低減するために比較的小容量のものとされている。
次に、本実施形態のNO吸蔵還元触媒7について説明する。本実施形態のNO吸蔵還元触媒7は、例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa 、リチウムLi 、セシウムCs のようなアルカリ金属、バリウムBa 、カルシウムCa のようなアルカリ土類、ランタンLa 、セリウムCe、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つの成分と、白金Ptのような貴金属とを担持したものである。NO吸蔵還元触媒は流入する排気ガスの空燃比がリーンのときに、排気中のNO(NO、NO)を硝酸イオンNO の形で吸収し、流入排気ガスがリッチになると吸収したNOを放出するNOの吸放出作用を行う。
【0036】
この吸放出のメカニズムについて、以下に白金PtおよびバリウムBaを使用した場合を例にとって説明するが他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類、希土類を用いても同様なメカニズムとなる。
流入排気中の酸素濃度が増大すると(すなわち排気の空燃比がリーン空燃比になると)、これら酸素は白金Pt上にO またはO2−の形で付着し、排気中のNOは白金Pt上のO またはO2−と反応し、これによりNOが生成される。また、流入排気中のNO及び上記により生成したNOは白金Pt上で更に酸化されつつ触媒中に吸収されて酸化バリウムBaOと結合しながら硝酸イオンNO の形で触媒内に拡散する。このため、リーン雰囲気下では排気中のNOがNO吸蔵還元触媒内に硝酸塩の形で吸収されるようになる。
また、流入排気中の酸素濃度が低下すると(すなわち、排気の空燃比が低下すると)、白金Pt上でのNO生成量が減少するため、反応が逆方向に進むようになり、触媒内の硝酸イオンNO はNOの形でNO吸蔵還元触媒から放出されるようになる。この場合、排気中にHC、CO等の成分が存在すると白金Pt上でこれらの成分によりNOが還元される。
【0037】
図7で説明したように、NO吸蔵還元触媒の吸蔵可能な最大NO量は弱リーン空燃比領域になると空燃比の低下とともに減少する。これは、上述のNO→NO の方向の反応速度(NO吸収速度)とNO →NOの方向の反応速度(NO放出速度)が排気中の酸素濃度が低いほど低下し、NO吸蔵還元触媒中の硝酸イオン濃度(吸蔵量)が高い程増大するためと考えられる。すなわち、排気中の酸素濃度が高くNO吸蔵還元触媒中の硝酸イオン濃度が低い場合には、NO吸収速度がNOの放出速度より大きくなり、NO吸蔵還元触媒はNOを吸収する。しかし、NO吸蔵量が増大してNO吸蔵還元触媒中の硝酸イオン濃度が増大するとNO放出速度は次第に大きくなり、触媒中の硝酸イオンがある量に到達するとNOの吸収速度と放出速度とがバランスしてNO吸蔵還元触媒はNOを吸収しなくなる。すなわち、この時の触媒中の硝酸イオン濃度(吸蔵量)がその空燃比(酸素濃度)におけるNO吸蔵還元触媒の最大NO吸蔵量となる。従って、排気中の酸素濃度(空燃比)が低下してNO吸蔵還元触媒へのNO吸収速度が低下すると、それに応じてNO吸収速度とバランスするNO放出速度も低下することになり、NO吸蔵還元触媒の最大NO吸蔵量が空燃比とともに低下する。このNO吸蔵量の低下は、排気酸素濃度が充分に大きい場合には(例えば空燃比で20以上の場合には)NO吸収速度が充分に高いためあまり問題とならず、NO吸蔵還元触媒はBaOの全量が硝酸イオンで飽和するまでNOを吸収可能となる。しかし、理論空燃比に比較的近い弱リーン空燃比領域(空燃比が20以下)ではNO吸収速度の低下が大きいため、空燃比の低下につれてNO吸蔵還元触媒の最大NO吸蔵量が低下するものと考えられる。
【0038】
本実施形態では、リーン空燃比運転可能な機関1が使用されており、機関1がリーン空燃比で運転されているときには、NO吸蔵還元触媒は流入する排気中のNOを吸収する。また、機関1がリッチ空燃比で運転されると、NO吸蔵還元触媒7は吸収したNOを放出、還元浄化する。本実施形態では、リーン空燃比運転中にNO吸蔵還元触媒7に吸収されたNO量が増大すると、短時間機関空燃比をリーン空燃比からリッチ空燃比に切り換えるリッチスパイク運転を行い、NO吸蔵還元触媒からのNOの放出と還元浄化とを行なうようにしている。
【0039】
本実施形態では、ECU30はNOカウンタの値を増減することによりNO吸蔵還元触媒7が吸収保持しているNO量を推定する。NO吸蔵還元触媒7に単位時間当たりに吸収されるNOの量はNO吸蔵還元触媒に単位時間当たりに流入する排気中のNO量、すなわち機関1で単位時間当たりに生成されるNO量に比例している。一方、機関で単位時間当たりに発生するNOの量は機関への燃料供給量、空燃比、排気流量等によって定まるため、機関運転条件が定まればNO吸蔵還元触媒に吸収されるNO量を知ることができる。本実施形態では、予め機関運転条件(アクセル開度、機関回転数、吸入空気量、吸気圧力、空燃比、燃料供給量など)を変えて機関が単位時間当たりに発生するNO量を実測し、NO吸蔵還元触媒7に単位時間当たりに吸収されるNO量を、例えば機関負荷(燃料噴射量)と機関回転数とを用いた数値マップの形でECU30のROMに格納している。ECU30は一定時間毎(上記の単位時間毎)に機関負荷(燃料噴射量)と機関回転数とからこのマップを用いて単位時間当たりにNO吸蔵還元触媒に吸収されたNO量を算出し、NOカウンタをこのNO吸収量だけ増大させる。これによりNOカウンタの値は常にNO吸蔵還元触媒7に吸収されたNOの量を表すようになる。ECU30は、機関のリーン空燃比運転中に、上記NOカウンタの値が所定値以上に増大したときに、短時間(例えば0.5から1秒程度)前述の▲5▼のモード(リッチ空燃比均質混合気燃焼)で運転するリッチスパイク操作を行なう。これにより、NO吸蔵還元触媒から吸収したNOが放出され、還元浄化される。なお、リッチスパイクで排気空燃比をリッチに保持する時間は詳細にはNO吸蔵還元触媒の種類、容量などに基づいて実験等により決定される。また、リッチスパイクを実行してNO吸蔵還元触媒からNOが放出、還元浄化された後はNOカウンタの値は0にリセットされる。このように、NO吸蔵還元触媒7のNO吸収量に応じてリッチスパイクを行なうことにより、NO吸蔵還元触媒7は適切に再生され、NO吸蔵還元触媒が吸収したNOで飽和することが防止される。
【0040】
ところが、本実施形態のように広い空燃比範囲で運転される機関では、例えば空燃比30程度のリーン空燃比(モード▲1▼)運転時にリッチスパイク操作(モード▲5▼)を行なう際に、急激に空燃比をリッチ空燃比に切り換えると空燃比変化による出力トルクの急増によりトルクショックが生じる場合がある。このため、リッチスパイク操作時には、機関数回転程度の時間をかけてモード▲1▼(リーン空燃比成層燃焼(圧縮行程1回噴射))からモード▲2▼(リーン空燃比弱成層燃焼(吸気行程/圧縮行程2回噴射)とモード▲3▼(リーン空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射))及び▲4▼(理論空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射))の運転モードを経てから▲5▼(リッチ空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射))に移行するようにしてトルクショックが生じることを防止している。すなわち、リッチスパイク操作時には機関がモード▲5▼の運転に切り換えられて機関空燃比がリッチになるまでに中途の空燃比での運転(モード▲2▼、▲3▼、▲4▼での運転)が行なわれることになり、NO吸蔵還元触媒の吸蔵能力が低下する弱リーン空燃比領域(空燃比で20以下、モード▲3▼に相当)で機関が運転される状態が生じてしまう。この領域では、NO吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOのうち、最大吸蔵量を越えた分のNOがNO吸蔵還元触媒から放出されることになるが、排気空燃比がリーンであるため放出されたNOは還元されず、未浄化のままでNO吸蔵還元触媒下流側に流出する場合が生じる。
【0041】
上記は、リッチスパイクの場合について説明したが、例えば機関急加速やブレーキブースタの作動負圧を確保するためのスロットル弁の急激な閉弁動作等で空燃比がリーンからリッチに変化するような場合にも急激なトルクショックを避けるために同様な中途空燃比運転が行なわれ、機関が弱リーン空燃比領域で運転される状態が生じるため同様な問題が起きる。更に、図8で説明したように、弱リーン空燃比領域では機関から排出されるNO量も増大するため、機関空燃比がリーン空燃比からリッチ空燃比に変更される場合の弱リーン空燃比領域での中途空燃比運転時のみならず、リッチ空燃比からリーン空燃比に変更される場合の弱リーン空燃比領域における中途空燃比運転時にも、NO吸蔵還元触媒の吸収能力の低下のために機関から排出されたNOがNO吸蔵還元触媒に吸収されず下流側に流出するおそれがある。
【0042】
そこで、以下に説明する実施形態では機関運転空燃比がリーンからリッチまたはリッチからリーンに変更される場合の弱リーン空燃比領域での中途空燃比運転時間をできるだけ短縮することにより、未浄化のNOがNO吸蔵還元触媒下流側に流出することを抑制している。
以下に弱リーン空燃比領域での中途空燃比運転時間短縮制御の実施形態について具体的に説明する。
【0043】
(1)第1の実施形態
本実施形態では、リッチスパイクや運転条件の変化により機関の運転空燃比を変更する際に、弱リーン空燃比領域での中途空燃比運転が行なわれる場合には弱リーン空燃比領域での中途空燃比運転時間を他の空燃比領域における中途空燃比運転時間より短く設定するようにしている。これにより、機関が弱リーン空燃比領域で運転される時間が短縮され、未浄化のNOがNO吸蔵還元触媒下流側に流出することが抑制される。
【0044】
図2、図3は本実施形態における中途空燃比運転制御操作を説明するフローチャートである。本操作はECU30により一定時間毎に実行されるルーチンとして行なわれる。図2、図3の操作では機関運転状態の変化もしくはリッチスパイク操作等のために機関運転空燃比を変更する際に、機関運転空燃比が弱リーン空燃比になるモード▲3▼(均質リーン空燃比燃焼)での中途空燃比運転時間を他のモードでの中途空燃比運転時間より短くなるように設定し、弱リーン空燃比領域での中途空燃比運転時間を短縮している。
【0045】
図2において、ステップ201は機関運転状態パラメータの読み込み操作を示している。ステップ201では機関運転状態を表す機関回転数、アクセル開度、吸気圧力等がそれぞれ読み込まれる。これらのパラメータは後述するように機関運転モード、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度、点火時期、EGR量、バルブタイミング、SCV開度等を決定するのに用いられる。
【0046】
次いで、ステップ203ではリッチスパイクフラグRSの値が1に設定されているか否かが判定される。前述したように、本実施形態ではECU30は別途実行される図示しないルーチンにより、NO吸蔵還元触媒7のNO吸蔵量を表すNOカウンタを常時算出しており、NOカウンタ(吸蔵量)の値が予め定めた値に到達した場合には、機関をリッチ空燃比(モード▲5▼)で運転しNO吸蔵還元触媒7から吸収したNOを放出させ還元浄化するリッチスパイク操作を行なう。フラグRSは、NOカウンタの値が上記予め定めた値に到達したときに予め定めた時間だけ1にセットされ、その後0にリセットされるフラグである。
【0047】
ステップ205、207は機関の運転モードの決定を示す。前述のように、本実施形態では機関運転状態パラメータからまず運転モード(▲1▼から▲5▼)が決定され、運転モードに応じて燃料噴射量、噴射時期/回数、点火時期等が決定される。本実施形態では、リッチスパイク要求がない場合(すなわちステップ203でRS≠1の場合)にはステップ201で読み込んだ運転状態パラメータの値に基づいて機関の目標運転モードMFの値が決定される(なお、MFは1から5までの整数値をとり、MF=1はモード▲1▼を、MF=2はモード▲2▼を、MF=3、4、5はそれぞれモード▲3▼、▲4▼、▲5▼を表している)。ステップ203でリッチスパイク要求があった場合(RS=1の場合)には、MFの値は5(モード▲5▼、リッチ空燃比運転)に設定される。
【0048】
ステップ209では、上記により設定された目標運転モードMFが現在の目標運転モードMFi−1 と異なるか否か、すなわち機関の運転モードを現在のものから変更する必要があるか否かが判断され、モードを変更する必要がある場合(MF≠MFi−1 の場合)にはステップ211でモード変更の際に中途空燃比運転を行なう必要があるか否かが判定される。例えば、ステップ211では隣接した運転モードへの変更以外の場合には中途空燃比運転が必要と判定される。
【0049】
ステップ209でモード変更不要、またはステップ211で中途空燃比運転不要と判断された場合には、ステップ221で実際の運転モードMの値がMFと同じ値にセットされ、ステップ223では後述するカウンタCRSの値が0にセットされるとともに、ステップ224では現在の目標運転モードMFi−1 の値が更新される。また、この場合には図3、ステップ259から277で目標運転モードMFに応じた運転制御が行なわれる。
【0050】
一方、ステップ211で中途空燃比運転が必要であると判断された場合には、ステップ213からステップ257が実行され、中途空燃比運転が行なわれる。
ステップ213は中途空燃比運転が終了したか否かの判定を示す。すなわち、中途空燃比運転では後述するように、機関の実際の運転モードMが目標運転モードMFになるまで順次切り換えられる。中途空燃比運転はこの結果、機関の実際の運転モードMが目標運転モードMFに到達したとき(ステップ213でM=MFになったとき)に終了する。すなわち、ステップ213でM=MFとなった場合には操作はステップ223に進み目標運転モードMFに応じた運転制御が行なわれるようになる。
【0051】
ステップ215からステップ229は中途空燃比運転時の運転モード切り換え操作を示す。本実施形態では、運転モードの切り換えはカウンタCRSの値が設定値αに到達する毎に行なわれる。後述するように、CRSは機関のいずれかの気筒で点火が行なわれる毎に1ずつ増大するカウンタである。すなわち、中途空燃比運転時には、機関運転モードは機関でα回点火操作が行なわれる毎に切り換えられることになる。ステップ225は運転モード切り換え方向の判定、例えばリーン空燃比からリッチ空燃比方向へのモード切り換えが必要か、リッチ空燃比からリーン空燃比方向へのモード切り換えが必要かの判定を示す。例えば、ステップ225で新しい目標運転モードMFが現在の目標運転モードMFi−1 より大きい場合(リッチ空燃比側の運転モードに切り換える必要がある場合)には、機関の実際の運転モードMはカウンタCRSの値がαに到達する毎に1ずつ増大され、順次リッチ側の運転モードに切り換えられる。また、MFがMFi−1 より小さい場合には実際の運転モードMは順次1ずつ減少される。
【0052】
ステップ231から235は各モードにおける中途空燃比運転時間の設定操作を示している。上述のように、中途空燃比運転における各モードでの運転時間は設定値αの大きさにより決定される。ステップ231からステップ235では、機関の実際の運転モードMの値が3のときにはαの値はBに設定され、M≠3のときにはAに設定される。ここで、A、BはA<Bとなる定数であり本実施形態では、例えばA=16、B=4程度の値とされる。
【0053】
すなわち、本実施形態では機関運転空燃比切り換え時の中途空燃比運転では、モード▲3▼で運転される時間は他のモード(モード▲2▼、▲4▼)で運転される時間の1/4に短縮されることになる。例えば、本実施形態では、カウンタCRSの値は機関のいずれかの気筒で点火が行なわれる毎に1ずつ増大されるため、4気筒4サイクル機関であれば、モード▲2▼、▲4▼での中途空燃比運転はクランク軸8回転分ずつ継続されるのに対して、モード▲3▼ではクランク軸2回転分しか継続されないことになる。
【0054】
前述したように、運転モード▲3▼は機関の弱リーン空燃比運転が行なわれるモードであるため、これにより運転空燃比変更時に機関が弱リーン空燃比領域で中途空燃比運転される時間が他の空燃比領域に較べて短縮され、NO吸蔵還元触媒から未浄化のNOが流出することが抑制されることになる。
上記により中途空燃比運転時のモードMを決定後、図3ステップ237では、モードM毎に設定された中途空燃比運転用の数値マップから、機関運転状態パラメータ(アクセル開度、回転数、吸気圧力等)に基づいて燃料噴射量、噴射時期及び回数が決定され、ステップ239では同様にモード毎に設定された中途空燃比運転用の数値マップから機関運転状態パラメータに基づいて点火時期が設定される。なお、本実施形態では弱リーン空燃比領域での中途空燃比運転時間を短縮しているため、機関運転モード(空燃比)が比較的急激に変化する。このため、中途空燃比運転時の点火時期設定は通常運転時の点火時期設定とは異なっており、例えばモード▲2▼では通常運転時より進角設定され、モード▲3▼、▲4▼での運転時には通常より遅角される。これにより、弱リーン空燃比領域通過時(モード▲3▼運転時)の機関出力の急激な変化が抑制される。
【0055】
また、ステップ241ではSCV開度が運転モードMに応じて設定され、ステップ243ではスロットル弁15開度が運転モードMとアクセル開度とに応じて設定される。
ステップ245から257は燃料噴射、点火等の実行操作を示す。ステップ245から253では、機関クランク角に基づいて、それぞれ現在上記により設定された燃料噴射時期にあるか否か(ステップ245)及び点火時期にあるか否か(ステップ249)が判定され、噴射時期にある場合にはステップ237で設定された量の燃料が該当する気筒の燃料噴射弁から噴射され(ステップ247)、点火時期にある場合には該当する気筒の点火プラグによる点火が実行される(ステップ251)。また、点火が実行された場合にはステップ253でカウンタCRSの値が1増大される。そして、ステップ255とステップ257ではSCVとスロットル弁15との開度がそれぞれステップ241、243で設定された開度に調整される。
【0056】
図3、ステップ259から261は通常運転時の燃料噴射、点火時期等の制御操作を示す。この場合には、燃料噴射量、時期及び回数、点火時期、SCV開度、スロットル開度等は目標運転モードMFと機関運転状態パラメータとに基づいて設定される。ステップ259からステップ261はステップ237からステップ257と略同様の操作であるので詳細な説明は省略する。なお、通常運転時には点火実行毎のカウンタCRSの増大は行なわない。
【0057】
上述のように、本実施形態によれば機関空燃比変更時に弱リーン空燃比領域で中途空燃比運転が行なわれる時間が他の領域に較べて短縮されるため、NO吸蔵還元触媒下流側への未浄化のNOの流出が抑制されるようになる。
なお、本実施形態では機関運転空燃比を直接判断しないで機関の運転モード(モード▲3▼)に基づいて機関が弱リーン空燃比領域で運転されるか否かを判定しているが(図2ステップ231)、例えば機関回転数吸気圧力とに基づいて機関の吸入空気量を算出し、燃料噴射量と吸入空気量から機関運転空燃比を算出するようにして、図2ステップ231では実際に機関運転空燃比が弱リーン空燃比領域(理論空燃比から空燃比20までの領域)に入った場合にαの値をBに設定するようにしても良い。
【0058】
また、本実施形態では中途空燃比運転時に点火時期を通常とは異なる値に調整することにより機関出力の急激な変化を抑制しているが、中途空燃比運転時に点火時期を調整する代わりにステップ243で設定されるスロットル開度を通常とは異なる値にすることにより、機関吸入空気量を変えて出力の急激な変化を抑制するようにしても良い。
【0059】
(2)第2の実施形態
次に、本発明の中途空燃比運転制御の別の実施形態について説明する。上記第1の実施形態では、中途空燃比運転を行なう際に弱リーン空燃比領域における運転時間を短縮することにより、NO吸蔵還元触媒下流側への未浄化のNOの放出を防止していた。これに対して、本実施形態では機関運転空燃比を変更する際に空燃比をステップ的に変化させて弱リーン空燃比領域を通過させることにより弱リーン空燃比領域での中途空燃比運転を全く行なわないようにした点が相違している。このように、機関運転空燃比変更の際に弱リーン空燃比領域での中途空燃比運転を回避するようにしたことにより、NO吸蔵還元触媒には弱リーン空燃比の排気が流入することがなくなるため確実にNO吸蔵還元触媒下流側への未浄化のNOの流出を防止することが可能となる。
【0060】
図4は本実施形態における中途空燃比運転制御操作を説明するフローチャートである。本実施形態の中途空燃比運転制御操作は第1の実施形態の操作のステップ231、233及び235(図2)を別の操作で置き換えた点だけが図2、図3の操作と相違している。図4のフローチャートはこの相違点(ステップ431〜435)付近のみを図示しているが、図示していない部分は図2、図3の操作と全く同一となる。
【0061】
図4のステップ225から229では図2と同様に機関運転空燃比の変更方向に応じて運転モードMが設定される。そしてステップ431ではこの新たに設定されたモードMが3(モード▲3▼)であるか否かが判定され、▲3▼以外のモードである場合には、図2と同様αの値は比較的大きな値A(例えばA=16)に設定される(ステップ433)。しかし、本実施形態では、ステップ431でM=3であった場合にはステップ435でカウンタCRSの値をクリアしてステップ237からステップ257の燃料噴射や点火操作を行なうことなく直ちに操作を終了する点が相違している。これにより、次回操作を実行の際にはステップ215(図2)の後直ちにステップ225からステップ229が実行されることになるため、運転モードMの値は2または4に設定されるようになる。すなわち、本実施形態では運転モードMの値が3になった場合には、モード▲3▼での中途空燃比運転を行なわずに直ちに隣接した空燃比での中途空燃比運転に移行する。これにより、機関が弱リーン空燃比領域で中途空燃比運転されることがなくなるため、確実にNO吸蔵還元触媒下流側への未浄化のNOの流出が防止されるようになる。なお、この場合にも機関の急激な出力変化を抑制するため、点火時期またはスロットル弁開度の調整が行なわれる。
【0062】
(3)第3の実施形態
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
本実施形態では、空燃比変更の際に弱リーン空燃比領域での中途空燃比運転を行なわないのみならず、通常の運転時にも弱リーン空燃比領域に目標空燃比が設定されることを防止している。すなわち、本実施形態では通常の運転時や中途空燃比運転時に目標運転空燃比が弱リーン空燃比領域に設定され、機関運転空燃比を弱リーン空燃比領域に設定する要求が出た場合には機関を弱リーン領域外の空燃比(例えば理論空燃比)で運転するようにして機関の弱リーン空燃比領域での運転を回避している。これにより、本実施形態においても確実にNO吸蔵還元触媒下流側への未浄化のNOの放出が防止される。
【0063】
図5、図6は本実施形態の運転制御操作を説明するフローチャートであり、第1の実施形態の図2に対応する操作である。
図5、ステップ501は機関運転状態パラメータの読み込みを示す図2ステップ201と同様の操作である。また、ステップ503、ステップ511では図2ステップ203、207と同様、フラグRSの値からリッチスパイク要求があるか否かが判定され、リッチスパイク要求がある場合には機関の目標運転モードMFは5(モード▲5▼)に設定される。また、リッチスパイク要求がない場合(ステップ503でRS≠1の場合)には、ステップ505で、図2ステップ205と同様に機関運転状態パラメータに基づいて目標運転モードMFが設定される。しかし、本実施形態では、ステップ505で設定されたMFの値が3(モード▲3▼)であった場合には、ステップ507、509でMFの値は4(モード▲4▼)に変更される点が図2の操作と相違している。
【0064】
上記により目標運転モードMFを設定後、ステップ513、515では中途空燃比運転の要否が判定され、中途空燃比運転が必要ない場合には図6ステップ541に進み通常の運転制御が実行される。すなわち、本実施形態においても、ステップ541から545の操作実行後には図3ステップ259から277の操作が実行され、燃料噴射、点火等の各制御が行なわれる。また、ステップ541から545の操作は図2ステップ221から224の操作と同様であるので説明は省略する。
【0065】
図6ステップ517から529は図2ステップ213から229と同様の中途空燃比運転切り換え操作を示している。但し、本実施形態ではステップ517及び527、529で実運転モードMの代りに仮の目標運転モードMIを用いている点が図2の操作と相違している。そして、ステップ531から535では仮の目標運転モードMIがモード▲3▼以外(MI≠3)の場合には実運転モードMを仮の目標運転モードMIと同じ値に設定し(ステップ531、537)、MI=3である場合には実運転モードMをモード▲4▼(理論空燃比運転)に変更する(ステップ531、533)。すなわち、本実施形態では機関の運転空燃比をモード▲3▼(弱リーン空燃比領域)での運転に変更する要求があった場合には、モード▲3▼の代りにモード▲4▼(理論空燃比)での運転に変更することにより、弱リーン空燃比領域で機関が運転されることを防止している。ステップ535またはステップ539実行後、本実施形態においても図3ステップ237から257の操作が実行される。
【0066】
本実施形態によれば、機関が弱リーン空燃比領域で運転されることがなくなるため、一層確実にNO吸蔵還元触媒下流側への未浄化のNOの流出が防止されるようになる。なお、本実施形態においても中途空燃比運転時には機関の急激な出力変化を抑制するため、点火時期またはスロットル弁開度の調整が行なわれる。
【0067】
(4)第4の実施形態
上述の各実施形態では、機関の運転モードは機関運転状態パラメータ(例えばアクセル開度と機関回転数)に応じて前述の▲1▼から▲5▼のモードのいずれかに設定される。このため、機関が▲3▼のモードで運転される場合には運転空燃比が弱リーン空燃比領域(理論空燃比から空燃比20までの領域)に設定されてNO吸蔵還元触媒下流側への未浄化のNOの流出が生じる場合がある。また、機関運転空燃比変更時にもモード▲3▼での中途空燃比運転が行なわれる場合があり、同様に機関が一時的に弱リーン空燃比領域で運転される場合が生じる。このため、上記各実施形態では、弱リーン空燃比における中途空燃比運転時間を短縮する等により未浄化のNOの流出を防止している。
【0068】
本実施形態では、当初から機関運転モードを▲1▼、▲2▼及び▲4▼、▲5▼の4つのみに設定して、機関の運転モードとしてモード▲3▼(均質リーン空燃比燃焼)が選択されることがないようにした点が相違している。
前述のように、本実施形態においてもアクセル開度と機関回転数とに基づいて予め定めたマップから運転モードを設定するが、選択される運転モードは▲1▼▲2▼と▲4▼▲5▼のみとされている。すなわち、前述の各実施形態では機関負荷が増大するにつれて運転モードが▲1▼→▲2▼→▲3▼→▲4▼→▲5▼の順に切り換えられるが、本実施形態で使用される運転モードマップには始めから運転モード▲3▼が存在せず、機関負荷増大につれて運転モードは▲1▼→▲2▼→▲4▼→▲5▼の順に切り換えられるようになっている。この場合、例えば運転モード▲2▼及び▲4▼は、従来モード▲3▼で運転されていた負荷領域をカバーするように、前述の各実施形態におけるより広い負荷範囲に設定される。なお、各運転モード(▲1▼、▲2▼、▲4▼、▲5▼)の負荷領域は実際の機関を用いた適合操作により定められるが、このように当初から運転モード▲3▼が存在しないように運転モード切り換えマップを作成することにより、機関が弱リーン空燃比領域で運転される可能性がなくなり、NO吸蔵還元触媒下流側への未浄化のNOの流出を完全に防止することが可能となる。なお、上記は運転モード▲3▼での運転を全く行なわないようにした例について説明したが、運転モード▲3▼を全くなくすのではなく、運転モード▲3▼のうち機関運転空燃比が弱リーン空燃比領域(理論空燃比から空燃比20までの領域)になる運転状態を他の空燃比領域(理論空燃比以下、または空燃比20以上の領域)での運転に置き換えたマップを使用することによっても機関の弱リーン空燃比領域における運転を防止することが可能となる。
【0069】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、排気通路にNOX吸蔵還元触媒を配置して機関排気中のNOXを吸収、還元浄化する場合において、機関の運転空燃比変化により未浄化のNOXがNOXNOX吸蔵還元触媒下流側に流出すること抑制することが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を説明するフローチャートの一部である。
【図3】本発明の第1の実施形態を説明するフローチャートの一部である。
【図4】本発明の第2の実施形態を説明するフローチャートの一部である。
【図5】本発明の第3の実施形態を説明するフローチャートの一部である。
【図6】本発明の第3の実施形態を説明するフローチャートの一部である。
【図7】NO吸蔵還元触媒のNO吸蔵能力の空燃比による変化傾向を説明する図である。
【図8】内燃機関のNO排出量の運転空燃比による変化傾向を説明する図である。
【符号の説明】
1…内燃機関
2…排気通路
7…NO吸蔵還元触媒
15…スロットル弁
29a、29b、31…空燃比センサ
30…電子制御ユニット(ECU)
37…アクセル開度センサ

Claims (7)

  1. 必要に応じて理論空燃比よりリーンな空燃比から理論空燃比よりリッチな空燃比までの範囲で運転空燃比を変更する内燃機関の排気浄化装置であって、
    機関排気通路に配置された、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOXを吸収し流入する排気中の酸素濃度が低下すると吸収したNOXを放出するNOX吸蔵還元触媒と、
    機関運転空燃比を変化させる際に、変化前の出発空燃比から変化後の目標空燃比である到達空燃比に至るまでの間に前記出発空燃比と到達空燃比との間の空燃比での中途空燃比運転を経て空燃比を変化させることにより機関出力の急変を抑制する空燃比調節手段と、
    機関運転空燃比をリーン空燃比からリッチ空燃比及びリッチ空燃比からリーン空燃比に変化させる際に、前記NO X 吸蔵還元触媒のNO X 吸蔵能力が空燃比とともに低下する空燃比領域である、理論空燃比に隣接した特定のリーン空燃比領域で前記中途空燃比運転が行なわれる場合には、前記特定のリーン空燃比領域における中途空燃比運転時間が他の空燃比領域における中途空燃比運転時間より短くなるように、前記特定のリーン空燃比領域における中途空燃比運転時間を短縮する空燃比変化調節手段と、
    を備えた内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記空燃比変化調節手段は、機関空燃比をステップ的に変化させて前記特定のリーン空燃比領域を通過させ、前記特定のリーン空燃比領域における中途空燃比運転を回避する請求項1に記載の排気浄化装置。
  3. 更に、機関運転空燃比を変化させる際に、機関運転空燃比が前記特定のリーン空燃比領域を通過中は機関点火時期または機関吸入空気量を調節し機関出力の急変を抑制する出力調節手段を備えた請求項1又は請求項2に記載の排気浄化装置。
  4. 理論空燃比よりリーンな空燃比から理論空燃比よりリッチな空燃比までの範囲で運転空燃比を変更可能な内燃機関の排気浄化装置であって、
    機関排気通路に配置された、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOXを吸収し流入する排気中の酸素濃度が低下すると吸収したNOXを放出するNOX吸蔵還元触媒と、
    予め定めた関係に基づいて機関運転状態に応じて機関の運転空燃比目標値を設定する目標空燃比設定手段と、
    前記目標空燃比設定手段の設定した目標値が、前記NO X 吸蔵還元触媒のNO X 吸蔵能力が空燃比とともに低下する空燃比領域である、理論空燃比に隣接した特定のリーン空燃比領域外にある場合には、機関の実運転空燃比を前記目標値と同じ値に設定し、前記目標値が特定のリーン空燃比領域にある場合には前記実運転空燃比を前記特定のリーン空燃比領域外の予め定めた空燃比に設定する実運転空燃比設定手段と、
    前記機関の運転空燃比が前記実運転空燃比設定手段の設定した実運転空燃比になるように機関運転空燃比を制御する空燃比制御手段と、
    を備えた内燃機関の排気浄化装置。
  5. 更に、前記目標空燃比設定手段により前記目標値が前記特定のリーン空燃比領域に設定されたときに、前記空燃比制御手段により機関運転空燃比が実運転空燃比に変更されるまでの間機関点火時期または機関吸入空気量を調節し機関出力の急変を抑制する出力調節手段を備えた請求項4に記載の排気浄化装置。
  6. 理論空燃比よりリーンな空燃比から理論空燃比よりリッチな空燃比までの範囲で運転空燃比を変更可能な内燃機関の排気浄化装置であって、
    機関排気通路に配置された、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOXを吸収し流入する排気中の酸素濃度が低下すると吸収したNOXを放出するNOX吸蔵還元触媒と、
    機関運転状態に応じて機関の運転空燃比目標値を設定する目標空燃比設定手段と、
    前記機関の運転空燃比が前記目標空燃比設定手段の設定した目標空燃比になるように機関運転空燃比を制御する空燃比制御手段と、を備え、
    前記目標空燃比は、常に、前記NO X 吸蔵還元触媒のNO X 吸蔵能力が空燃比とともに低 下する空燃比領域である、理論空燃比に隣接した特定のリーン空燃比領域外の空燃比に設定されるようにした内燃機関の排気浄化装置。
  7. 前記特定のリーン空燃比領域は理論空燃比から空燃比20までの領域である請求項1、請求項4、請求項6のいずれか1項に記載の排気浄化装置。
JP28436698A 1998-10-06 1998-10-06 内燃機関の排気浄化装置 Expired - Lifetime JP3633312B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28436698A JP3633312B2 (ja) 1998-10-06 1998-10-06 内燃機関の排気浄化装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28436698A JP3633312B2 (ja) 1998-10-06 1998-10-06 内燃機関の排気浄化装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000110616A JP2000110616A (ja) 2000-04-18
JP3633312B2 true JP3633312B2 (ja) 2005-03-30

Family

ID=17677659

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28436698A Expired - Lifetime JP3633312B2 (ja) 1998-10-06 1998-10-06 内燃機関の排気浄化装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3633312B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102007000088B4 (de) * 2006-02-15 2015-09-03 Denso Corporation Verwendung eines Steuersystems für einen aufgeladenen Verbrennungsmotor zur Unterdrückung einer Drehmomenterschütterung während des Umschaltens der Verbrennungsmodi

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015093227A (ja) 2013-11-11 2015-05-18 スズキ株式会社 排ガス浄化触媒とその製造方法
JP6327134B2 (ja) * 2014-12-02 2018-05-23 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102007000088B4 (de) * 2006-02-15 2015-09-03 Denso Corporation Verwendung eines Steuersystems für einen aufgeladenen Verbrennungsmotor zur Unterdrückung einer Drehmomenterschütterung während des Umschaltens der Verbrennungsmodi

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000110616A (ja) 2000-04-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0974747B1 (en) A control system for an internal combustion engine
US6289672B1 (en) Exhaust gas purification device for an internal combustion engine
US6233925B1 (en) Exhaust discharge control device for internal combustion engine
JP4208012B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
US6634167B1 (en) Exhaust temperature raising apparatus and method for internal combustion engine
JP3932642B2 (ja) 希薄燃焼内燃機関の排気浄化装置
JP3788049B2 (ja) 希薄燃焼内燃機関の排気浄化装置
JP3633312B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP3680241B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP3624702B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP3680237B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP3596378B2 (ja) 内燃機関の排気昇温装置
JP3873537B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP3633295B2 (ja) 希薄燃焼内燃機関の排気浄化装置
JP3509482B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP3478135B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP4345202B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP3680245B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP3496572B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP3956951B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射装置
JP2003020978A (ja) エンジンの排気浄化装置および排気浄化方法
JP3890775B2 (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2000110643A (ja) 内燃機関の燃料噴射装置
JP3512062B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP2003097337A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041207

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041220

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080107

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090107

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100107

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110107

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110107

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120107

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130107

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130107

Year of fee payment: 8

EXPY Cancellation because of completion of term