JP3624702B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の制御装置に関し、詳細には内燃機関燃焼室に機関排気を還流するEGR装置を備えた機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃焼室に機関排気の一部を還流させることにより、燃焼室内における燃焼温度を低下させて燃焼時のNO(窒素酸化物)の生成量を低減する排気還流(EGR)装置が一般に知られている。排気還流の方式としては、機関排気通路と機関吸気通路とをEGR通路で接続し、EGR通路上に設けた流量調整弁(EGR弁)により還流させる排気流量を調節する外部EGR方式と、機関の吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変更することにより、バルブオーバラップにより生じる燃焼室既燃ガスの吹き返し量を調節する内部EGR方式とが用いられる。
【0003】
一方、機関に燃焼室内の燃焼に寄与しない無効燃料を供給することにより、機関運転空燃比(燃焼室内の燃焼空燃比)とは独立して機関排気の空燃比を調節する技術が知られている。例えば、リーン空燃比で運転する機関の排気通路に、流入する排気空燃比がリーンのときに排気中のNOを吸収し排気空燃比がリッチになったときに吸収したNOを放出、還元浄化するNO吸蔵還元触媒を配置したような場合には、機関のリーン空燃比運転中にNO吸蔵還元触媒がNOで飽和することを防止するために、定期的にNO吸蔵還元触媒に流入する排気の空燃比をリッチ空燃比にして、NO吸蔵還元触媒からNOを放出する必要がある。このような場合に機関運転空燃比をリーンからリッチに変更すると空燃比変化により機関出力トルクが増大し、トルク変動が生じる。そこで、機関燃焼室内の燃焼に寄与しない無効燃料を供給することにより、機関運転空燃比とは独立して排気空燃比のみを変更することが有利になる。無効燃料の供給は、例えば気筒内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁を有する機関にあっては気筒の膨張行程または排気行程に気筒内に燃料を噴射する二次燃料噴射方式や、機関排気ポートに燃料を噴射する排気ポート燃料噴射弁を有する機関にあっては排気ポートに燃料噴射を行う排気ポート燃料噴射方式により行われる。膨張または排気行程に気筒内に噴射された燃料や気筒排気ポートに噴射された燃料は燃焼することなく気化し、排気ガスとともに排出される。すなわち、供給された無効燃料は機関の燃焼には寄与しないが機関排気は供給された無効燃料の分だけ未燃HC成分が増加し、リッチ空燃比になる。このため、機関に無効燃料を供給することにより、機関の運転空燃比に影響を与えることなく機関排気空燃比のみを変更することが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のようなEGR(排気還流)を行う機関で無効燃料の供給を行う場合には問題が生じる場合がある。すなわち、無効燃料供給時には機関排気は未燃燃料を含んでいるため、この排気をそのままEGR装置により機関燃焼室に還流すると、本来燃焼に寄与しないはずの無効燃料の一部が燃焼室に還流して燃焼室内で燃焼するようになる。このため、EGR実施中に無効燃料の供給を行うと機関に供給される燃料が過剰になってしまい、燃焼空燃比が過度にリッチになって燃焼室内の燃焼が不安定になる場合や、過剰な燃料の燃焼により機関出力トルクが増大しトルク変動が生じる問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑み、EGRを実施する機関で無効燃料の供給を行なう場合に燃焼の不安定化や出力トルクの変動を防止可能な内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関に機関燃焼室内の燃焼に寄与しない無効燃料を供給する無効燃料供給手段と、前記機関の排気を機関燃焼室に還流するEGR手段と、前記EGR手段により前記排気の還流が行われているときに、前記無効燃料供給手段による無効燃料の供給を制限する無効燃料制限手段と、を備え、前記無効燃料制限手段は、前記EGR手段により還流される排気流量が予め定めた量以上のときに前記無効燃料供給手段による無効燃料の供給を制限する内燃機関の制御装置が提供される。
【0007】
すなわち、請求項1の発明では、EGR実施時には無効燃料制限手段により無効燃料の供給が制限される。これにより、還流排気とともに機関燃焼室に還流する無効燃料の量が低減されるため、燃焼室内の燃焼が不安定になることや出力トルクの変動が生じることが防止される。なお、「無効燃料の供給の制限」とは無効燃料の供給量を低減する場合、及び無効燃料の供給を完全に停止する場合の両方を含むものとする。
【0008】
更に請求項1に記載の発明では、上記無効燃料制限手段はEGR実施時の排気還流量が予め定めた量以上の場合には無効燃料の供給を制限する。還流排気には無効燃料が混入しているため燃焼室に還流される排気の量が多いほど燃焼室に還流する無効燃料の量が多くなり燃焼の不安定化や出力トルクの変動が生じやすくなる。本発明では、排気還流量がある量を越えて増大したときに無効燃料の供給を制限することにより燃焼室に還流する燃料の量がある程度以上に増大することを防止する。これにより燃焼室内の燃焼の不安定化や出力トルクの変動が生じることが防止される。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、多気筒内燃機関の各気筒に機関燃焼室内の燃焼に寄与しない無効燃料を供給する無効燃料供給手段と、前記多気筒内燃機関の一部の気筒の排気を全気筒の機関燃焼室に還流するEGR手段と、前記EGR手段により前記排気の還流が行われているときに、前記無効燃料供給手段による前記一部の気筒への無効燃料の供給を制限する無効燃料制限手段と、を備えた内燃機関の制御装置が提供される。
【0010】
すなわち、請求項2の発明では、EGR実施時にはEGRに排気を供給する気筒への無効燃料噴射が制限されるため、還流排気に未燃燃料が混入することが防止される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
図1において、1は自動車用内燃機関を示す。本実施形態では、機関1は#1から#4の4つの気筒を備えた4気筒ガソリン機関とされ、#1から#4気筒には直接気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁111から114が設けられている。後述するように、本実施形態の内燃機関1は、理論空燃比より高い(リーンな)空燃比で運転可能なリーンバーンエンジンとされている。
【0016】
また、本実施形態では#1から#4の気筒は互いに点火時期が連続しない2つの気筒からなる2つの気筒群にグループ分けされている。(例えば、図1の実施形態では、気筒点火順序は1−3−4−2であり、#1、#4の気筒と#2、#3の気筒とがそれぞれ気筒群を構成している。)また、各気筒の排気ポートは気筒群毎に排気マニホルドに接続され、気筒群毎の排気通路に接続されている。図1において、21aは#1、#4気筒からなる気筒群の排気ポートを個別排気通路2aに接続する排気マニホルド、21bは#2、#4気筒からなる気筒群の排気ポートを個別排気通路2bに接続する排気マニホルドである。本実施形態では、個別排気通路2a、2b上には、三元触媒からなるスタートキャタリスト(以下「SC」と呼ぶ)5aと5bがそれぞれ配置されている。また、個別排気通路2a、2bはSC下流側で共通の排気通路2に合流している。
【0017】
共通排気通路2上には、後述するNO吸蔵還元触媒7が配置されている。図1に29a、29bで示すのは、個別排気通路2a、2bのスタートキャタリスト5a、5b上流側に配置された空燃比センサ、31で示すのは、排気通路2のNO吸蔵還元触媒7出口に配置された空燃比センサである。空燃比センサ29a、29b及び31は、広い空燃比範囲で排気空燃比に対応する電圧信号を出力する、いわゆるリニア空燃比センサとされている。
【0018】
図1に10bで示すのは機関各気筒の吸気ポートを吸気通路10に接続する吸気マニホルド、10aは吸気通路10に設けられたサージタンクである。
また、本実施形態では#2、#3気筒の個別排気通路2bのSC5b上流側と機関吸気通路10のサージタンク10aとはEGR通路43で接続されている。更に、EGR通路43上にはEGR通路を通って排気通路2bから吸気通路10に還流する排気流量を制御する流量制御弁からなるEGR弁41が設けられている。EGR弁41は後述するECU30からの制御信号に応じて作動するステッパモータ、負圧アクチュエータ等の適宜な形式のアクチュエータ41aを備え、ECU30からの制御信号に応じた開度をとる。
【0019】
図1に30で示すのは機関1の電子制御ユニット(ECU)である。ECU30は、本実施形態ではRAM、ROM、CPUを備えた公知の構成のマイクロコンピュータとされ、機関1の点火時期制御や燃料噴射制御等の基本制御を行なっている。また、本実施形態では、ECU30は上記の基本制御を行う他に、後述するように機関運転状態に応じて筒内噴射弁111から114の燃料噴射モードを変更し機関の運転空燃比を変更する制御を行なう。また、ECU30はEGR弁41を制御して、機関運転状態に応じて排気通路2bの排気の一部を吸気通路10に還流するEGRを実施する。すなわち、本実施形態では外部EGRが行われる。
【0020】
また、本実施形態ではECU30は機関運転中に必要に応じて各気筒の筒内燃料噴射弁111〜114から気筒の膨張または排気行程中に二次燃料噴射を実行し、機関排気を機関運転空燃比とは独立して変更する操作を行う。
ECU30の入力ポートには、空燃比センサ29a、29bからスタートキャタリスト5a、5b入口における排気空燃比を表す信号と、空燃比センサ31からNO吸蔵還元触媒7出口における排気空燃比を表す信号が、また、図示しない機関吸気マニホルドに設けられた吸気圧センサ33から機関の吸気圧力に対応する信号がそれぞれ入力されている他、機関クランク軸(図示せず)近傍に配置された回転数センサ35から機関回転数に対応する信号が入力されている。更に、本実施形態では、ECU30の入力ポートには機関1のアクセルペダル(図示せず)近傍に配置したアクセル開度センサ37から運転者のアクセルペダル踏込み量(アクセル開度)を表す信号が入力されている。また、ECU30の出力ポートは、図示しない燃料噴射回路を介して各気筒の燃料噴射弁111から114に接続され各気筒への燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御している他、図示しない駆動回路を介してEGR弁のアクチュエータ41aに接続されEGR弁41の開度を制御している。
【0021】
本実施形態では、ECU30は機関1を機関の運転状態に応じて以下の5つの燃焼モードで運転する。
▲1▼ リーン空燃比成層燃焼(圧縮行程1回噴射)
▲2▼ リーン空燃比均質混合気/成層燃焼(吸気行程/圧縮行程2回噴射)
▲3▼ リーン空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)
▲4▼ 理論空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)
▲5▼ リッチ空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)
すなわち、機関1の軽負荷運転領域では、上記▲1▼のリーン空燃比成層燃焼が行なわれる。この状態では、筒内燃料噴射は各気筒の圧縮行程後半に1回のみ行なわれ噴射された燃料は気筒点火プラグ近傍に可燃混合気の層を形成する。また、この運転状態での燃料噴射量は極めて少なく、気筒内の全体としての空燃比は25から30程度になる。
【0022】
また、上記▲1▼の状態から負荷が増大して低負荷運転領域になると、上記▲2▼リーン空燃比均質混合気/成層燃焼が行なわれる。機関負荷が増大するにつれて気筒内に噴射する燃料は増量されるが、上記▲1▼の成層燃焼では燃料噴射を圧縮行程後半に行なうため、噴射時間が限られてしまい成層させることのできる燃料量には限界がある。そこで、この負荷領域では圧縮行程後半の燃料噴射だけでは不足する燃料の量を予め吸気行程前半に噴射することにより目標量の燃料を気筒に供給するようにしている。吸気行程前半に気筒内に噴射された燃料は着火時までに極めてリーンな均質混合気を生成する。圧縮行程後半ではこの極めてリーンな均質混合気中に更に燃料が噴射され点火プラグ近傍に着火可能な可燃混合気の層が生成される。着火時にはこの可燃混合気層が燃焼を開始し周囲の希薄な混合気層に火炎が伝播するため安定した燃焼が行なわれるようになる。この状態では吸気行程と圧縮行程での噴射により供給される燃料量は▲1▼より増量されるが、全体としての空燃比はやや低いリーン(例えば空燃比で20から30程度)になる。
【0023】
更に機関負荷が増大すると、機関1では上記▲3▼のリーン空燃比均質混合気燃焼が行なわれる。この状態では燃料噴射は吸気行程前半に1回のみ実行され、燃料噴射量は上記▲2▼より更に増量される。この状態で気筒内に生成される均質混合気は理論空燃比に比較的近いリーン空燃比(例えば空燃比で15から25程度)となる。
【0024】
更に機関負荷が増大して機関高負荷運転領域になると、▲3▼の状態から更に燃料が増量され、上記▲4▼の理論空燃比均質混合気運転が行なわれる。この状態では、気筒内には理論空燃比の均質な混合気が生成されるようになり、機関出力が増大する。また、更に機関負荷が増大して機関の全負荷運転になると、▲4▼の状態から燃料噴射量が更に増量され▲5▼のリッチ空燃比均質混合気運転が行なわれる。この状態では、気筒内に生成される均質混合気の空燃比はリッチ(例えば空燃比で12から14程度)になる。
【0025】
本実施形態では、アクセル開度(運転者のアクセルペダル踏込み量)と機関回転数とに応じて予め実験等に基づいて最適な運転モード(上記▲1▼から▲5▼)が設定されており、ECU30のROMにアクセル開度と機関回転数とを用いたマップとして格納してある。機関1運転中、ECU30はアクセル開度センサ37で検出したアクセル開度と機関回転数とに基づいて、現在上記▲1▼から▲5▼のいずれの運転モードを選択すべきかを決定し、それぞれのモードに応じて燃料噴射量及び燃料噴射時期及び回数を決定する。
【0026】
すなわち、上記▲1▼から▲3▼のモード(リーン空燃比燃焼)が選択された場合には、ECU30は上記▲1▼から▲3▼のモード毎に予め準備されたマップに基づいて、アクセル開度と機関回転数とから燃料噴射量を決定する。又、上記▲4▼と▲5▼のモード(理論空燃比またはリッチ空燃比均質混合気燃焼)が選択された場合には、ECU30は上記▲4▼と▲5▼のモード毎に予め準備されたマップに基づいて、吸気圧センサ33で検出された吸気圧力と機関回転数とに基づいて燃料噴射量を設定する。
【0027】
また、モード▲4▼(理論空燃比均質混合気燃焼)が選択された場合には、ECU30は更に上記により算出した燃料噴射量を、機関排気空燃比が理論空燃比となるように空燃比センサ29a、29bの出力に基づいてフィードバック補正する。
上述のように、本実施形態の機関1では機関負荷が増大するにつれて燃料噴射量が増量され、燃料噴射量に応じて運転モードが変更される。
【0028】
また、本実施形態ではECU30は各運転モード▲1▼から▲5▼において、機関負荷(燃料噴射量)と回転数とから予め各モード毎に準備されたマップに基づいて排気還流量を決定し、設定した排気還流量に応じてEGR弁の開度を制御する。
次に、本実施形態のスタートキャタリスト5a、5b及びNO吸蔵還元触媒について説明する。
【0029】
スタートキャタリスト(SC)5a、5bは、ハニカム状に成形したコージェライト等の担体を用いて、この担体表面にアルミナの薄いコーティングを形成し、このアルミナ層に白金Pt、パラジウムPd、ロジウムRh等の貴金属触媒成分を担持させた三元触媒として構成される。三元触媒は理論空燃比近傍でHC、CO、NOの3成分を高効率で浄化する。三元触媒は、流入する排気の空燃比が理論空燃比より高くなるとNOの還元能力が低下するため、機関1がリーン空燃比運転されているときの排気中のNOを充分に浄化することはできない。
【0030】
また、SC5a、5bは機関始動後短時間で触媒の活性温度に到達し、触媒作用を開始することができるように、排気通路2a、2bの機関1に近い部分に配され、熱容量を低減するために比較的小容量のものとされている
に、本実施形態のNOX吸蔵還元触媒7について説明する。本実施形態のNOX吸蔵還元触媒7は、例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、セリウムCe、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つの成分と、白金Ptのような貴金属とを担持したものである。NOX吸蔵還元触媒は流入する排気ガスの空燃比がリーンのときに、排気中のNOX(NO2、NO)を硝酸イオンNO2 -の形で吸収し、流入排気ガスがリッチになると吸収したNOXを放出するNOXの吸放出作用を行う。
【0031】
この吸放出のメカニズムについて、以下に白金PtおよびバリウムBaを使用した場合を例にとって説明するが他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類、希土類を用いても同様なメカニズムとなる。
流入排気中の酸素濃度が増大すると(すなわち排気の空燃比がリーン空燃比になると)、これら酸素は白金Pt上にO またはO2−の形で付着し、排気中のNOは白金Pt上のO またはO2−と反応し、これによりNOが生成される。また、流入排気中のNO及び上記により生成したNOは白金Pt上で更に酸化されつつ吸収剤中に吸収されて酸化バリウムBaOと結合しながら硝酸イオンNO の形で吸収剤内に拡散する。このため、リーン雰囲気下では排気中のNOがNO吸収剤内に硝酸塩の形で吸収されるようになる。
【0032】
また、流入排気中の酸素濃度が大幅に低下すると(すなわち、排気の空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比になると)、白金Pt上でのNO生成量が減少するため、反応が逆方向に進むようになり、吸収剤内の硝酸イオンNO はNOの形で吸収剤から放出されるようになる。この場合、排気中にCO等の還元成分やHC、CO等の成分が存在すると白金Pt上でこれらの成分によりNOが還元される。
【0033】
本実施形態では、リーン空燃比運転可能な機関1が使用されており、機関1がリーン空燃比で運転されているときには、NO吸蔵還元触媒は流入する排気中のNOを吸収する。また、機関1の排気空燃比がリッチになると、NO吸蔵還元触媒7は吸収したNOを放出、還元浄化する。本実施形態では、リーン空燃比運転中にNO吸蔵還元触媒7に吸収されたNO量が増大すると、機関に燃焼に寄与しない無効燃料を供給し、機関排気をリッチ空燃比にすることによりNO吸蔵還元触媒からのNOの放出と還元浄化(NO吸蔵還元触媒の再生)を行なうようにしている。
【0034】
本実施形態では、ECU30はNOカウンタの値を増減することによりNO吸蔵還元触媒7が吸収保持しているNO量を推定する。NO吸蔵還元触媒7に単位時間当たりに吸収されるNOの量はNO吸蔵還元触媒に単位時間当たりに流入する排気中のNO量、すなわち機関1で単位時間当たりに生成されるNO量に比例している。一方、機関で単位時間当たりに発生するNOの量は機関への燃料供給量、空燃比、排気流量等によって定まるため、機関運転条件が定まればNO吸蔵還元触媒に吸収されるNO量を知ることができる。本実施形態では、予め機関運転条件(アクセル開度、機関回転数、吸入空気量、吸気圧力、空燃比、燃料供給量など)を変えて機関が単位時間当たりに発生するNO量を実測し、NO吸蔵還元触媒7に単位時間当たりに吸収されるNO量を、例えば機関負荷(燃料噴射量)と機関回転数とを用いた数値マップの形でECU30のROMに格納している。ECU30は一定時間毎(上記の単位時間毎)に機関負荷(燃料噴射量)と機関回転数とからこのマップを用いて単位時間当たりにNO吸蔵還元触媒に吸収されたNO量を算出し、NOカウンタCNOXの値をこのNO吸収量だけ増大させる。これによりNOカウンタCNOXの値は常にNO吸蔵還元触媒7に吸収されたNOの量を表すようになる。ECU30は、機関のリーン空燃比運転中に、上記NOカウンタの値が所定値以上に増大したときに機関に燃焼室内の燃焼に寄与しない燃料を供給し、機関の排気空燃比をリッチに変化させる。これにより、機関運転空燃比とは無関係にNO吸蔵還元触媒にはリッチ空燃比の排気が流入するため、NO吸蔵還元触媒から吸収したNOが放出され、還元浄化される。なお、無効燃料の供給により排気空燃比をリッチに保持する時間は詳細にはNO吸蔵還元触媒の種類、容量などに基づいて実験等により決定される。また、無効燃料を供給してNO吸蔵還元触媒からNOが放出、還元浄化された後はNOカウンタの値は0にリセットされる。このように、NO吸蔵還元触媒7のNO吸収量に応じて無効燃料の供給を行なうことにより、NO吸蔵還元触媒7は適切に再生され、NO吸蔵還元触媒が吸収したNOで飽和することが防止される。
【0035】
前述したように、無効燃料の供給方法としては、気筒膨張行程または排気行程に筒内燃料噴射弁から気筒内に燃料噴射を噴射する二次燃料噴射による方法と、排気ポートに燃料を噴射する排気ポート燃料噴射による方法との2つがある。本実施形態では、筒内燃料噴射弁111〜114を有するため二次燃料噴射により機関に無効燃料を供給しているが、本発明は排気ポート燃料噴射弁を備えた機関において排気ポート燃料噴射により無効燃料噴射を行う場合にも同様に適用することができる。
【0036】
上記のように、二次燃料噴射(または排気ポート燃料噴射)により機関に無効燃料を供給した場合には、機関排気は無効燃料として供給された比較的多量の未燃燃料を含むようになる。このため、EGR実施中に無効燃料の供給を行うと、EGR通路43を通って吸気通路10には未燃燃料を比較的多量に含む排気が還流してしまい未燃燃料が気筒燃焼室に供給され、燃焼室内で燃焼することになる。ところが、前述したように、機関への燃料噴射量(以下、無効燃料と区別するため主燃料噴射量という)は、ECU30により機関運転状態に基づいて最適な値に制御されている。このため、還流排気とともに燃焼室に供給された未燃燃料が燃焼すると、機関に供給される燃料量が過剰になり、空燃比が過剰にリッチになって燃焼が不安定になったり、燃焼空燃比のリッチ化により機関出力が増大して機関出力トルクの変動が生じる場合がある。
【0037】
そこで、本実施形態では二次燃料噴射実施時にはEGRを制限することにより上記問題を解決している。すなわち、EGRを制限(例えば停止)することにより機関燃焼室には未燃燃料を含んだ排気が還流しなくなるため、燃焼室内の燃焼空燃比は主燃料噴射量に応じたものとなり、空燃比が最適値よりリッチになることが防止される。
【0038】
図2は本実施形態の二次燃料噴射操作を説明するフローチャートである。本操作はECU30により所定間隔で(例えば機関クランク軸一定回転角毎に)実行されるルーチンにより行われる。
図2の操作がスタートすると、ステップ201では現在二次燃料噴射実行要求があるか否かが判定される。本実施形態では、ECU30はNO吸蔵還元触媒7のNOカウンタCNOXが予め定めた値以上になったときに所定時間だけ二次燃料噴射を要求し、NO吸蔵還元触媒7からのNOの放出と還元浄化とを行う。
【0039】
ステップ201で二次燃料噴射要求中であった場合には、次にステップ203で機関アクセル開度ACCP、機関回転数NE、機関吸気圧力PMが読み込まれ、ステップ203では、ACCPとNEとから現在の運転モード(▲1▼から▲5▼)が判別され、更に各運転モード毎に準備された数値テーブルから、ACCPとNE(モード▲1▼〜▲3▼)またはPMとNE(モード▲4▼、▲5▼)に基づいて現在の機関主燃料噴射量qINJ が算出される。
【0040】
そして、ステップ207ではEGRの停止操作が行われる。本実施形態では、EGRの停止操作はEGR弁41を全閉にすることにより実行される。また、ステップ209では上記操作によりEGRが停止したか(すなわち、EGR弁41が全閉したか)否かが判定され、EGRが停止するまではステップ211と213は実行されない。
【0041】
ステップ209でEGRが停止すると、ステップ211では二次燃料噴射量qEXが算出される。二次燃料噴射量qEXは、NO吸蔵還元触媒7に流入する排気空燃比が所定のリッチ空燃比になるように主燃料噴射量qINJ と機関の運転空燃比とに基づいて算出される。そして、ステップ213では全気筒で膨張または排気行程に二次燃料噴射が実行される。なお、ステップ201で二次燃料噴射要求がない場合には二次燃料噴射は実行せずに直ちに本操作を終了する。この場合、EGR実施中であればEGRが継続される。
【0042】
本実施形態では、二次燃料噴射実施時にEGRを停止することにより、機関燃焼室に未燃燃料が還流することを防止し、燃焼の不安定化や出力トルクの変動が生じることを防止している。なお、本実施形態では、二次燃料噴射時にEGRを完全に停止しているが、実用上燃焼の不安定化や出力トルクの変動が問題にならない範囲であれば、多少の未燃燃料が燃焼室に還流しても問題は生じない。そこで、予め二次燃料噴射実行時にEGRを実施しても問題が生じない最大EGR量を実験等により求めておき二次燃料噴射実施時にはEGR量を上記最大量以下まで低減するようにしても良い。
【0043】
上記実施形態は、外部EGR方式の場合を例にとって説明したが、内部EGR方式の場合についても同様な制御が可能である。
図3は、内部EGR方式を用いた本発明の実施形態の概略構成図である。図3において、図1と同じ参照符号は図1と同様な要素を表すものとする。
図3の実施形態では、図1のEGR通路43、EGR弁41は設けられておらず、代わりに機関1のバルブタイミングを変化させる可変バルブタイミング装置200が設けられている点が図1の場合と相違している。本実施形態では、可変バルブタイミング装置200はECU30からの制御信号に応じて機関1のバルブタイミングを変更可能なものであれば、任意の公知の形式のものが使用可能であり、吸気弁または/及び排気弁の開閉タイミングのみを変化させるもの、開閉タイミングとともにバルブリフトをも変化させるもののいずれをも使用することができる。また、バルブタイミングの変更は連続的に行なうものでも、段階的に行なうものでも良い。
【0044】
図4は、機関1のバルブタイミングを説明する図である。図4は吸気弁と排気弁との一般的な開閉時期を模式的に示しており、吸気弁の開閉タイミングを同量ずつ変化させる場合について示している。図4ににおいて、TDCはピストン行程上死点、BDCは下死点を示し、IO、ICはそれぞれ吸気弁の開弁時期と閉弁時期、EO、ECはそれぞれ排気弁の開弁時期と閉弁時期とを表している。図4に示すように、吸気弁は排気行程上死点(TDC)前から開弁し、吸気行程下死点(BDC)後に閉弁する。また、排気弁は爆発行程下死点(BDC)前から開弁し、排気行程上死点(TDC)後に閉弁する。図4に示すように、排気行程では排気弁が閉じる(EC)前に吸気弁が開く(IO)ようにバルブタイミングが設定されるため、吸気弁と排気弁との両方が開弁している期間(図4にOL)で示す期間が存在する。本実施形態では期間OLの長さ(角度)をバルブオーバラップ量と称する。本実施形態では、後述するように、吸気弁バルブタイミング(開弁時期)は図4にIOで示したタイミング(最遅角タイミング)からIOで示したタイミング(最進角タイミング)まで調整することができる。また、本実施形態ではバルブタイミング最遅角位置(IO)から現在の位置(IO)までのクランク軸回転角をバルブタイミング値VTと定義している。図4から判るように、本実施形態では排気弁の閉弁時期は固定されているため、バルブタイミング値VTとバルブオーバラップ量OLとは一対一に対応する。
【0045】
一般に、吸排気弁のバルブオーバラップ量OL(吸気弁バルブタイミングVT)が増大すると、排気行程中に吸気弁が開弁している時間が長くなるため、気筒内の燃焼後の既燃ガス(排気)が開弁した吸気弁を通って吸気ポートに逆流し、吸気行程中に再度気筒内に還流するようになる。このためバルブオーバラップ量OLが大きいほど機関燃焼室に還流する排気の量(EGRガス量)が大きくなる。そこで、本実施形態では、ECU30は図1のEGR弁41の開度を制御する代わりに、吸気弁バルブタイミングVT(すなわちバルブオーバラップ量OL)を制御することにより機関燃焼室に還流する排気の量を調節している。
ところで、気筒内に膨張行程または排気行程に二次燃料噴射を実行すると、噴射された無効燃料の一部は既燃ガスとともにオーバラップ期間中に吸気ポートに逆流し、吸気行程中に燃焼室に還流するため、外部EGRと同様な問題が生じることになる。そこで、この場合にはECU30は、二次燃料噴射実施中はEGRを停止する(オーバラップ量OLを0にする)ことにより、未燃燃料の還流による燃焼の不安定化と出力トルクの変動とを防止している。
【0046】
なお、この場合の操作は図2のフローチャートと同一となるが、ステップ207のEGR停止操作は吸気弁バルブタイミングVTを遅角させてバルブオーバラップ量を0にすることにより行われる。
また、この場合も、EGRを停止する代わりに二次燃料噴射実行時に、実用上問題が生じない程度までEGR量を低減するようにしてもよい。
【0047】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
上述の各実施形態では、二次燃料噴射実行時にEGRを停止していたが、以下に説明する実施形態ではEGR実施時に二次燃料噴射を禁止するようにした点が上述の各実施形態と相違している。EGR実施時に二次燃料噴射を禁止することによって機関燃焼室に還流する排気中には未燃燃料量が含まれなくなるため、上述の各実施形態と同様に未燃燃料の燃焼室への還流による問題が生じることが防止される。
【0048】
図5は、図1の外部EGR方式の機関でEGR実施時に二次燃料噴射を禁止するようにした場合の二次燃料噴射操作を説明するフローチャートである。本操作はECU30により所定間隔で(例えば機関クランク軸一定回転角毎に)実行されるルーチンにより行われる。
図1に示したように本実施形態ではEGR通路43は、機関の#2、#3気筒の個別排気通路2bに接続されている。このため、EGR実施時には#2、#3気筒における二次燃料噴射を停止すれば還流排気に未燃燃料が混入することが防止される。そこで、本操作では、EGR実施時に#2、#3気筒における二次燃料噴射を禁止し、#1、#4気筒のみで二次燃料噴射を実行するようにしている。
【0049】
すなわち、図5の操作がスタートすると、ステップ501では現在二次燃料噴射実行要求があるか否かが判定され、二次燃料噴射要求中であった場合には、次にステップ503で機関アクセル開度ACCP、機関回転数NE、機関吸気圧力PMが読み込まれ、ステップ503では、現在の機関主燃料噴射量qINJ が算出される。ステップ501から505の操作は、図2ステップ201から205と同一の操作である。
【0050】
次に、ステップ507では現在EGR実施中か否かが判定され、EGR実施中の場合にはステップ509で主燃料噴射量qINJ と回転数NEとに基づいて還流排気量QEXが算出される。次いで、ステップ511ではEGR量QEXと主燃料噴射量qINJ とに基づいて二次燃料噴射量qEXが算出される。本実施形態においては、二次燃料噴射量qEXはNO吸蔵還元触媒7に流入する排気空燃比が所定のリッチ空燃比になるように予め主燃料噴射量qINJ と還流排気量QEXとに基づいて設定されるが、EGR実施時には#2と#3気筒の二次燃料噴射が禁止されるため、#1、#4気筒のみの二次燃料噴射でNO吸蔵還元触媒7に流入する排気空燃比を所定のリッチ空燃比に維持する必要がある。本実施形態では、予め、#1、#4気筒のみで二次燃料噴射を実行する場合について、二次燃料噴射量qEXの値を主燃料噴射量qINJ と還流排気量QEX(気筒内の燃焼空燃比)とに基づいて設定し、qINJ とQEXとをパラメータとして用いた数値マップとしてECU30のROMに格納している。そこで、ステップ511では、このマップに基づいてqINJ とQEXとから二次燃料噴射量qEXを算出する。そして、ステップ513では#1、#4気筒の膨張または排気行程に二次燃料噴射を実行する。
【0051】
一方、ステップ507で現在EGR実施中でない場合には、ステップ515に進み、二次燃料噴射量qEXを算出する。この場合には、EGR実施中でないため、二次燃料噴射は全気筒で実行され、qEXは図2ステップ211と同様主燃料噴射量qINJ と機関の運転空燃比とに基づいて算出される。そして、ステップ517では#2、#3を含む全気筒で膨張または排気行程に二次燃料噴射が実行される。なお、ステップ501で二次燃料噴射要求がない場合には二次燃料噴射は実行せずに直ちに本操作を終了する。
【0052】
このように、EGR実施中の場合には二次燃料噴射を禁止することにより未燃燃料が機関燃焼室に混入することが完全に防止される。なお、本実施形態ではEGR実施中に二次燃料噴射を完全に停止しているが、燃焼の不安定化やトルク変動を生じない範囲であれば未燃燃料が燃焼室に混入しても実用上問題は生じない。そこで、予めEGR実施時に燃焼の不安定化やトルク変動を発生しない二次燃料噴射量の最大値を実験等により求めておき、EGR実施時には#2、#3気筒の二次燃料噴射量を上記最大値以下に低減するようにしても良い。
【0053】
図6は図3の内部EGR方式の機関でEGR実施時に二次燃料噴射を禁止するようにした場合の二次燃料噴射操作を説明するフローチャートである。本操作はECU30により所定間隔で(例えば機関クランク軸一定回転角毎に)実行されるルーチンにより行われる。
図6の操作がスタートすると、ステップ601から605では二次燃料噴射要求があるか否かの判定と(ステップ601)、ACCP、NE、PMの読み込み(ステップ603)及びqINJ の算出(ステップ605)が行われる。ステップ601から605は、図5ステップ501から505と同様な操作である。また、ステップ607では現在EGR実施中か否かが、機関バルブオーバラップ量OLに基づいて判定され、OL=0(オーバラップなし)の場合には現在内部EGRは実施されていないので、ステップ609に進み二次燃料噴射量qEXを算出し、ステップ611では全気筒で膨張行程または排気行程の二次燃料噴射を実施する。ステップ609、611は図5ステップ515、517と同様な操作である。一方、本実施形態ではステップ607でEGR実施中であった場合には全気筒で二次燃料噴射を行わない。すなわち、全気筒の二次燃料噴射が禁止され、各燃焼室への未燃燃料の還流が防止される。
【0054】
なお、本実施形態においても、EGR実施中に全気筒で二次燃料噴射を禁止する代わりに実用上問題が生じない範囲まで噴射量を低減して二次燃料噴射を実行するようにしても良い。
次に、本発明の別の実施形態について説明する。上記図5、図6の実施形態ではEGR実施中は二次燃料噴射を制限することにより、未燃燃料の燃焼室への還流を防止している。しかし、特に図3の内部EGR方式の場合には二次燃料噴射を制限するとNO吸蔵還元触媒7のNO放出操作を全く行えなくなってしまう。このため、EGR実施時に常に二次燃料噴射を制限すると運転状態によってはNO吸蔵還元触媒のNO放出操作の実行頻度が低下してしまい、NO吸蔵還元触媒が吸収したNOで飽和してしまう可能性がある。そこで、以下に説明する実施形態では、EGR実施時に還流排気量が所定値より大きい場合には、図6の実施形態と同様に二次燃料噴射要求があった場合でも二次燃料噴射を禁止するが、還流排気量が上記所定値以下の場合には、逆にEGRを停止して二次燃料噴射を実行するようにしている。EGRを停止すると機関のNO排出量が増加するが、もともと還流排気量が比較的少ない場合にはEGRを停止してもNO排出量は大幅には増大しない。このため、還流排気量が比較的少ない場合にはEGRを停止して二次燃料噴射を実行してNO放出操作の実行頻度を増大させたほうが全体として有利になる。そこで、本実施形態では図3の内部EGR方式の機関において、EGR実施時に還流排気量が所定値より大きい場合には、二次燃料噴射を禁止するが、還流排気量が上記所定値以下の場合には、逆にEGRを停止して二次燃料噴射を実行するようにしている。これにより、NO吸蔵還元触媒のNO放出操作実行頻度を高く維持しながら、未燃燃料の燃焼室への還流による燃焼の不安定化や機関出力トルクの変動が防止される。
【0055】
図7は、本実施形態の二次燃料噴射操作を説明するフローチャートである。本操作はECU30により所定間隔で(例えば機関クランク軸一定回転角毎に)実行されるルーチンにより行われる。
図7の操作において、ステップ701では現在二次燃料噴射要求があるか否かが判定され、ステップ703、705ではACCP、NE、PMに基づいて主燃料噴射量qINJ が算出される。ステップ701から705は図2ステップ201から205と同様な操作である。
【0056】
ステップ705で主燃料噴射量qINJ 算出後、次にステップ707では、現在EGRによる還流排気量が所定量以上であるか否かが、バルブオーバラップ量OLに基づいて判断される。前述したように、バルブオーバラップ量OLが大きくなるほどEGRによる燃焼室への還流排気量は増大する。そこで、本実施形態では、バルブオーバラップ量OLが予め定めた値αより大きい場合には現在のEGRによる還流排気量が所定量より大きくなっていると判定するようにしている。
【0057】
ステップ701で二次燃料噴射要求がなかった場合、及びステップ707でバルブオーバラップ量OLが所定値αより大きかった場合には、本操作はステップ709以下を実行することなく直ちに終了する。すなわち、燃焼室への還流排気量が大きい場合には二次燃料噴射要求があった場合でも二次燃料噴射は実行されない。
【0058】
一方、ステップ705でバルブオーバラップ量OLがα以下であった場合、すなわちEGRによる還流排気量が少ない場合には、次にステップ709に進みEGRの停止操作(すなわち、吸気弁バルブタイミングVTを遅角させOL=0にする操作)を行う。そして、ステップ711でEGRが停止したことが確認された後、すなわちOL=0となったときに、ステップ713で二次燃料噴射量qEXを算出し、ステップ715で全気筒の膨張または排気行程の二次燃料噴射を実行する。ステップ713、715は図2ステップ211、213と同様な操作である。
【0059】
これにより、バルブオーバラップ量OLが所定値αより大きい場合には二次燃料噴射は禁止されEGRはそのまま継続して実行されるが、OLが所定値α以下である場合には、EGRを停止して二次燃料噴射が実行されるようになるため、二次燃料噴射が実行される頻度(NO吸蔵還元触媒のNO放出操作が実行される頻度)が増大するようになり、NO吸蔵還元触媒の飽和が防止される。
【0060】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
前述の各実施形態では、EGR実施時に二次燃料噴射を制限、または二次燃料噴射実施時にEGRを制限していた。しかし、二次燃料噴射を制限するとNO吸蔵還元触媒のNO放出操作の実行頻度の低下を招く場合がありNO吸蔵還元触媒の飽和により排気浄化効率が低下する場合が生じる。また、EGRを制限すると機関のNO排出量が増大するおそれがある。このため、可能であればEGRと二次燃料噴射のいずれをも制限することなく同時に実施することが好ましい。
【0061】
ところで、EGR実施中に無効燃料の供給を行った場合、問題が生じるのは還流排気とともに未燃燃料が燃焼室に還流し燃焼室に供給される燃料が過剰になるためである。従って、燃焼室に供給される燃料量が過剰にならないようにすればEGR時に無効燃料の供給を行っても問題は生じない。そこで、以下に説明する実施形態ではEGR実施時に無効燃料の供給を行う場合に燃焼室に還流する未燃燃料の量を推定し、この未燃燃料の量だけ主燃料噴射を目標値に対して減量補正するようにしている。これにより、未燃燃料の還流が生じても機関燃焼室に供給される燃料量の合計は主燃料噴射量の目標値と同一に維持されるようになり、燃料の供給過剰は生じない。このため、EGR実施時に二次燃料噴射を制限することなく実行しながら機関燃焼の不安定化や出力トルクの変動が防止される。
【0062】
以下、本実施形態の主燃料噴射量補正操作について説明するが、その前にまず本実施形態におけるEGR実施時の無効燃料供給により燃焼室に還流する未燃燃料量の算出方法について説明する。
図8は、機関を所定の一定回転数で運転した場合の気筒出力トルク(縦軸)と主燃料噴射量(横軸)との関係を示すグラフである。図8において、カーブIはEGR実施時の出力トルクと主燃料噴射量との関係を、また、カーブIIはEGR実施中に無効燃料供給(この場合は二次燃料噴射)を実行した場合の出力トルクと主燃料噴射量との関係を示している。なお、前述したように二次燃料噴射量はそれぞれの場合において排気空燃比を目標の空燃比にするために必要な量に設定しており、機関負荷(主燃料噴射)と回転数とから決定される。また、EGRによる還流排気量も同様に機関負荷と回転数とから決定される。
【0063】
前述したように、本来二次燃料噴射により未燃燃料の燃焼室への還流が生じなければ二次燃料噴射の有無にかかわらず気筒出力トルクは同一となる。しかし、二次燃料噴射により未燃燃料の還流が生じると二次燃料噴射実施時の気筒出力トルクは還流される未燃燃料量に相当する分だけ増大する(図8カーブII)。
本実施形態では、ある主燃料噴射量においてEGR実施中の二次燃料噴射により図8にaで示すだけ出力トルクが増大した場合には、EGR実施時にこの出力トルク増大量aを二次燃料噴射なしで達成するのに必要な主燃料噴射量増大分(図8にbで示す量)を二次燃料噴射により燃焼室に還流する未燃燃料の量に等しいと仮定して還流未燃燃料量を推定する。
【0064】
すなわち、本実施形態では予め機関の各回転数と前述の▲1▼から▲5▼の機関運転モードとの組み合わせ毎に図8に相当するカーブを実験等により作成し、それぞれの主燃料噴射量におけるEGR実施時の還流未燃燃料量(図8、b)を算出してある。そして、未燃燃料量bの値を機関回転数NEと主燃料噴射量qINJ とをパラメータとして用いた数値マップとして各運転モード毎に作成し、ECU30のROMに格納してある。機関運転中ECU30は機関回転数NEと主燃料噴射量qINJ とに基づいてEGR実施時の燃焼室への未燃燃料還流量bを算出するようにしている。
【0065】
図9は、本実施形態の主燃料噴射量の補正操作を説明するフローチャートである。本操作は、機関クランク軸一定回転角毎に実行される。
図9において、操作がスタートするとステップ901では機関負荷(アクセル開度)ACCPと回転数NEとが読み込まれ、ステップ903では機関主燃料噴射量qINJ が算出される。ステップ901、903は図2ステップ203、205と同様の操作である。
【0066】
次いで、ステップ905では現在二次燃料噴射を実施しているか否か、ステップ907では現在EGR実施中か否かがそれぞれ判定される。現在二次燃料噴射とEGRとの両方が実施されている場合には、すなわち二次燃料噴射により未燃燃料が燃焼室に還流するため、ステップ909ではステップ903で算出した主燃料噴射量qINJ を用いて予め図8の関係に基づいて各運転モード毎に作成した前述の数値マップから、二次燃料噴射実施時に燃焼室に還流する未燃燃料の量bを算出する。そして、ステップ911ではステップ903で算出した主燃料噴射量qINJ を還流未燃燃料量bだけ減量補正する。
【0067】
一方、ステップ905、907で現在二次燃料噴射またはEGRのいずれか一方が実施されていない場合には、未燃燃料が燃焼室に還流する可能性はないため、ステップ909、911の補正は行なわずにそのまま本操作は終了する。
本実施形態によれば、EGR実施中であっても二次燃料噴射を制限することなく実行することが可能となるため、機関NO排出量の増大やNO吸蔵還元触媒のNO放出操作実行頻度の低下が生じることが防止される。
【0068】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、EGR実施時の機関への無効燃料の供給により機関燃焼の不安定化や出力トルクの変動を防止することが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を外部EGRを行なう自動車用内燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を説明する図である。
【図2】本発明の二次燃料噴射操作の一実施形態を示すフローチャートである。
【図3】本発明を内部EGRを行なう自動車用内燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を説明する図である。
【図4】図3の機関のバルブタイミングを説明する図である。
【図5】本発明の二次燃料噴射操作の別の実施形態を示すフローチャートである。
【図6】本発明の二次燃料噴射操作の別の実施形態を示すフローチャートである。
【図7】本発明の二次燃料噴射操作の別の実施形態を示すフローチャートである。
【図8】燃焼室に還流する未燃燃料量の算出方法を説明する図である。
【図9】図8の方法を用いた主燃料噴射量の補正操作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…機関本体
111〜114…筒内燃料噴射弁
41…EGR弁
43…EGR通路
200…可変バルブタイミング装置
30…エンジンコントロールユニット(ECU)
7…NO吸蔵還元触媒

Claims (2)

  1. 内燃機関に機関燃焼室内の燃焼に寄与しない無効燃料を供給する無効燃料供給手段と、
    前記機関の排気を機関燃焼室に還流するEGR手段と、
    前記EGR手段により前記排気の還流が行われているときに、前記無効燃料供給手段による無効燃料の供給を制限する無効燃料制限手段と、
    を備え、
    前記無効燃料制限手段は、前記EGR手段により還流される排気流量が予め定めた量以上のときに前記無効燃料供給手段による無効燃料の供給を制限する内燃機関の制御装置。
  2. 多気筒内燃機関の各気筒に機関燃焼室内の燃焼に寄与しない無効燃料を供給する無効燃料供給手段と、
    前記多気筒内燃機関の一部の気筒の排気を全気筒の機関燃焼室に還流するEGR手段と、
    前記EGR手段により前記排気の還流が行われているときに、前記無効燃料供給手段による前記一部の気筒への無効燃料の供給を制限する無効燃料制限手段と、
    を備えた内燃機関の制御装置。
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