JP3858237B2 - Rc架構の耐震補強工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、せん断破壊が曲げ破壊に先行するRC部材を耐震補強する際の耐震補強工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄筋コンクリート部材のせん断破壊は、曲げ破壊と違って破壊の進行が急激でじん性に欠け、構造物に致命的な被害をもたらすことが多い。特に、地震荷重の作用によって生じる柱材のせん断破壊は、構造物に大きい被害を与えることが多く、せん断スパン比が小さくしかも大きな軸力が作用する短柱などでは、大きな軸方向応力とせん断応力の複合作用によって柱のコア部分のコンクリートが爆裂的な崩壊を起こし、柱は急激に耐力を失う。
【0003】
したがって、構造設計上は、せん断破壊が起きるのを極力さけるようにしなければならないとともに、せん断破壊が先行するおそれがある既存のRC部材については、周囲に炭素繊維を巻き付けたり鋼板を巻き立てたりといった耐震補強が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる方法によれば、鉄筋コンクリート部材のせん断耐力を向上させてせん断破壊を未然に防止することが可能となるが、その反面、部材長全体にわたって炭素繊維を巻き付けたりせねばならないために施工に時間がかかり、経済的な観点からは必ずしも耐震補強工法として最適なものとはいえない面があった。
【0005】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、施工に時間を要することなくせん断破壊を未然に防止することが可能なRC架構の耐震補強工法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るRC架構の耐震補強工法は請求項1に記載したように、RCラーメン架構を構成するRC柱部材の主筋を一部切断して該RC部材の破壊性状をせん断破壊先行型から曲げ破壊先行型に移行させるとともに、前記RCラーメン架構の面内にダンパブレース機構を取り付けるRC架構の耐震補強工法であって、前記ダンパブレース機構による負担水平力の増加分を前記主筋の切断に伴う前記RCラーメン架構の負担水平力の低下分に一致させるものである。
【0010】
請求項1に係るRC架構の耐震補強工法においては、既存のRC柱部材であって曲げ破壊よりもせん断破壊が先行するものを対象とする。具体例としては、せん断補強筋であるフープ筋の鉄筋量が主筋の鉄筋量よりも相対的に少ないためにせん断強度が低く、曲げ破壊に至る前にせん断破壊が生じて脆性的破壊を生じる可能性が高いRC柱部材が考えられる。
【0011】
そして、本発明においては、このようなせん断破壊先行型のRC柱部材の主筋をダイヤモンドカッターなどで一部切断して曲げ降伏点を下げ、それによってせん断降伏点を相対的に引き上げて該RC柱部材の破壊性状をせん断破壊先行型から曲げ破壊先行型に移行させるとともに、RCラーメン架構の面内にダンパブレース機構を取り付ける。
【0012】
このようにすると、RC柱部材は、せん断破壊に至る前に曲げ破壊に至ることとなるが、脆性的破壊を呈するせん断破壊とは異なり、曲げ破壊の場合にはじん性に富んだ破壊性状、すなわち、RC柱部材が履歴曲線を描きながら曲げ変形を繰り返すことによって地震時エネルギーを履歴減衰の形で吸収しつつ、緩やかに破壊に至る。
【0013】
したがって、主筋を切断した分だけRC柱部材の曲げ降伏点が下がり、より小さな地震荷重でRC柱部材が弾塑性領域に入ることにはなるものの、曲げ降伏点を越えても履歴曲線を描きながら曲げ変形を繰り返して履歴減衰を発揮することができるため、結果としてRC柱部材の耐震性が向上する。
【0017】
また、RCラーメン架構のみならずダンパブレース機構も地震時水平力を負担するため、その分、RC柱部材に発生する部材力も小さくなり、ダンパブレース機構がなければRC柱部材が弾塑性領域に入るような地震レベルであっても、本発明においては、RC柱部材は未だ曲げ降伏点を越えることなく弾性的に挙動する。
【0018】
これを具体的な状況例で説明すると、例えば小地震においては、RC柱部材を含むRCラーメン架構やダンパブレース機構は、それぞれが負担する地震時水平力に応じて変形するものの、それらは弾性範囲にとどまり、RCラーメン架構やダンパブレース機構には一切の損傷は生じない。
【0019】
次に、中程度の地震においては、RC柱部材若しくはダンパブレース機構のダンパのいずれかが降伏点を越えて変形するが、RC柱部材若しくはダンパが履歴減衰を発揮するので地震による揺れは速やかに収斂するとともに、RCラーメン架構やダンパには大きな損傷は発生せず、構造物全体の健全性は、概ね維持される。
【0020】
次に、大地震においては、RC柱部材及びダンパブレース機構のダンパがそれぞれの降伏点を越えて大きく変形するが、RC柱部材及びダンパが大きな履歴減衰を発揮して地震エネルギーを吸収するとともに、ダンパが破断する終局時においてもRC柱部材が脆性破壊を生じることなく鉛直荷重を支持し続けるので、構造物全体が倒壊する事態は未然に回避される。
【0021】
このように、本発明においては、RC柱部材の曲げ降伏点が低下することによるRCラーメン架構の負担水平力の減少分を、ダンパブレース機構に負担させることで、中小地震レベル以下においては構造物全体の損傷及び変形を最小限にとどめるとともに、大地震レベルにおいては、RC柱部材及びダンパの変形による履歴減衰によって地震時エネルギーを吸収するとともに、構造物全体の倒壊を防止するものである。
【0022】
ここで、前記RC柱部材に先行して前記ダンパブレース機構のダンパを降伏させるようにしておけば、少なくとも中地震レベル以下については、RC柱部材に一切損傷を発生させずに済み、損傷を受けた方のダンパについてはこれを適宜交換すればよいため、かかる地震レベルでの構造物の健全性を完全に維持することが可能となる。
【0023】
また、前記ダンパブレース機構による負担水平力の増加分を前記主筋の切断に伴う前記RCラーメン架構の負担水平力の低下分に一致させるようにしておけば、RCラーメン架構に構造的に接続された部位、例えばRC柱部材のフーチングや基礎に作用する部材力は従前通りとなり、これらの部位を補強する必要がなくなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るRC架構の耐震補強工法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0025】
(第1実施形態)
【0026】
本実施形態に係るRC架構の耐震補強工法は、RC部材の主筋を一部切断して該RC部材の破壊性状をせん断破壊先行型から曲げ破壊先行型に移行させるものであり、図1は、かかる耐震補強工法を、高架橋の下部構造1に適用する場合について示したものである。
【0027】
同図に示す高架橋の下部構造1は、RC部材であるRC柱部材2、2とそれらの頭部に架け渡されたRC梁部材3とからなるRCラーメン架構として構成してあり、RC柱部材2、2は、せん断補強筋であるフープ筋7(同図(b)参照)の鉄筋量が主筋8の鉄筋量よりも相対的に少ないためにせん断強度が低く、曲げ破壊に至る前にせん断破壊が生じて脆性的破壊を生じる、いわゆるせん断破壊先行型のRC部材である。なお、RC柱部材2は、杭5の頭部に設けられたフーチング6の上にそれぞれ立設してある。
【0028】
本実施形態に係るRC架構の耐震補強工法においては、このようなせん断破壊先行型のRC柱部材2、2の主筋8を、それらの柱脚部と柱頭部において同図(c)のように一部切断する。例えば、同図の例に示すように耐震補強前に12本あった主筋8のうち、0゜、90゜、180゜、270゜方向に位置する4本を切断し、計8本に減らせばよい。
【0029】
切断にあたっては、フープ筋7が走っていない高さを選んで被りコンクリートとともにダイヤモンドカッター等で切断し、切断後は、必要に応じてコンクリート切断箇所にセメントミルク等を充填し、主筋8等の防錆を図るのが望ましい。
【0030】
このように主筋8の一部を切断すると、各RC柱部材2の曲げ降伏点が下がるとともにそれに伴ってせん断降伏点が相対的に上がり、該RC柱部材の破壊性状は、せん断破壊先行型から曲げ破壊先行型へと移行する。そして、各RC柱部材2は、脆性的破壊を呈するせん断破壊とは異なり、じん性に富んだ破壊性状、すなわち図2に示すような履歴曲線を描きながら曲げ変形を繰り返すことによって地震時エネルギーを履歴減衰の形で吸収しつつ、緩やかに破壊に至る。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係るRC架構の耐震補強工法によれば、主筋8の一部を切断することでRC柱部材2の破壊性状をせん断破壊先行型から曲げ破壊先行型へと移行させることが可能となる。
【0032】
したがって、RC柱部材2は、地震時において曲げ変形による履歴減衰を発揮しながら、RCラーメン架構全体の振動エネルギーを吸収することとなり、RC柱部材2、ひいてはRCラーメン架構全体の耐震性が向上する。そして、主筋8を切断するだけで足りるので、耐震補強をきわめて短時間に終えることが可能となる。
【0033】
なお、主筋8を切断した分だけRC柱部材2の曲げ降伏点が下がり、その分、RC柱部材2は、より小さな地震荷重で弾塑性領域に入ることにはなるが、上述したように、曲げ降伏点を越えても履歴曲線を描きながら曲げ変形を繰り返して履歴減衰を発揮することになるので、結果としてRC柱部材2、ひいてはRCラーメン架構全体の耐震性を向上させることが可能となる。
【0034】
本実施形態では、本発明に係るRC架構の耐震補強工法を、高架橋の下部構造のうち、橋軸に直交する面内に適用したが、橋軸に平行な面に適用することもできることは言うまでもない。また、ダンパブレース機構をどの面に取り付けるかは任意であり、RC架構の全ての面内に取り付けるようにしてもよいし、いずれかの面だけに取り付けるようにしてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、本発明に係るRC架構の耐震補強工法を高架橋の下部構造1に適用したが、適用可能な対象物としてはかかる構造体に限定されるものではなく、他の土木構造物をはじめ、建築分野の耐震壁にも適用することができる。
【0036】
図3は、地下鉄11が走行する地下構造物12の中柱13を対象として耐震補強を行った例を示したものであり、該柱の主筋8の一部をやはり柱脚部13及び柱頭部14において切断してある。
【0037】
かかる地下構造物12の中柱13は、主筋が多くてせん断補強筋が少ないため、どちらかと言えばせん断破壊が先行する傾向にあるが、本発明に係る耐震補強工法によれば、上述した実施形態と同様、これを曲げ破壊先行型に移行させて耐震性の向上を図ることが可能となる。
【0038】
また、本実施形態では、90゜ごとに計4本の主筋8を切断するとともに柱脚部及び柱頭部の両方で切断するようにしたが、切断する主筋の本数や角度位置は任意であるとともに、場合によっては柱脚部若しくは柱頭部のいずれかでのみ主筋を切断するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0039】
(第2実施形態)
【0040】
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の部材等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
第2実施形態に係るRC架構の耐震補強工法は、RCラーメン架構を構成するRC柱部材の主筋を一部切断して該RC部材の破壊性状をせん断破壊先行型から曲げ破壊先行型に移行させるとともに、前記RCラーメン架構の面内にダンパブレース機構を取り付けるものであるが、適用対象物を高架橋の下部構造1とした点については第1実施形態と同様であり、該下部構造についての説明はここでは省略する。
【0042】
本実施形態に係るRC架構の耐震補強工法においては、せん断破壊先行型のRC柱部材2、2の主筋8を図1と同様に切断するとともに、RC柱部材2、2とそれらの頭部に架け渡されたRC梁部材3とからなるRCラーメン架構の面内に、図4に示すようにダンパブレース機構21を取り付ける。
【0043】
ダンパブレース機構21は、逆V字状をなすブレース22と、その頂部とRC梁部材3との間に取り付けられたダンパ23とからなり、該ダンパは、梁部材3とブレース22との相対変位が強制的に加わることによって弾塑性変形を生じ、そのときの履歴減衰でRCラーメン架構の地震時エネルギーを吸収してその揺れを収斂させるようになっている。かかるダンパ23は、例えば低降伏点鋼や通常の鋼板にスリットを設けたもので構成することができる。
【0044】
このようにRCラーメン架構の構成要素であるせん断破壊先行型のRC柱部材2、2の主筋8をダイヤモンドカッターなどで一部切断すると、第1実施形態と同様、各RC柱部材2の曲げ降伏点が下がるとともにそれに伴ってせん断降伏点が相対的に上がり、該RC柱部材の破壊性状は、せん断破壊先行型から曲げ破壊先行型へと移行する。そして、各RC柱部材2は、脆性的破壊を呈するせん断破壊とは異なり、履歴曲線を描きながら曲げ変形を繰り返すことで地震時エネルギーを履歴減衰の形で吸収しつつ、緩やかに破壊に至る。
【0045】
また、RCラーメン架構のみならずダンパブレース機構21も地震時水平力を負担するため、その分、RC柱部材2、2に発生する部材力も小さくなり、ダンパブレース機構21がなければRC柱部材2、2が弾塑性領域に入るような地震レベルであっても、本実施形態においては、RC柱部材2が曲げ降伏点を越えることなく弾性的に挙動する。
【0046】
図5は、本実施形態に係る耐震補強工法の採用によって高架橋の下部構造1の復元力特性がどのように変化するかを示したものであり、同図(a)は、補強を行わなかった場合のRCラーメン架構の復元力特性を破線で、補強を行った場合の復元力特性を実線ラインで示したものであり、同図(b)は、ダンパブレース機構21の復元力特性を示したものである。そして、同図(c)は、それらを重ね合わせた全体の復元力特性を示したものである。なお、同図(c)には念のため、RCラーメン架構単独、ダンパブレース機構単独の復元力特性も併せて示してある。
【0047】
同図でわかるように、耐震補強を行った後は、原点Oから第1折れ点Aを経て第2折れ点Bに至り、その後、変形だけが進行する復元力特性となる。
【0048】
かかる復元力特性を参照しながら地震時の状況を具体的に説明すると、まず小地震においては、RC柱部材2、2を含むRCラーメン架構やダンパブレース機構21は、それぞれが負担する地震時水平力に応じて変形するものの、それらは弾性範囲(原点O〜第1折れ点A)にとどまり、RCラーメン架構やダンパブレース機構21には一切の損傷は生じない。
【0049】
次に、中程度の地震においては、ダンパブレース機構21のダンパ23が降伏点を越えて変形するが(第1折れ点A〜第2折れ点B)、かかる状況では、ダンパ23が履歴減衰を発揮するので地震による揺れは速やかに収斂する。また、RCラーメン架構は弾性範囲での挙動となるので、RC柱部材2には一切損傷が発生せず、構造物全体の健全性は完全に維持される。なお、ダンパ23の損傷が大きい場合には、これを随時新しいものに交換できることは言うまでもない。
【0050】
次に、大地震においては、RC柱部材2及びダンパブレース機構21のダンパ23がそれぞれの降伏点を越えて大きく変形するが(第2折れ点B以降)、RC柱部材2及びダンパ23が大きな履歴減衰を発揮して地震エネルギーを吸収するとともに、ダンパ23が破断した終局時においてもRC柱部材2が脆性破壊を生じることなく鉛直荷重を支持し続けるので、構造物全体が倒壊する事態は未然に回避される。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係るRC架構の耐震補強工法によれば、第1実施形態と同様、主筋8の一部を切断することでRC柱部材2の破壊性状をせん断破壊先行型から曲げ破壊先行型へと移行させることが可能となる。
【0052】
したがって、RC柱部材2は、地震時において曲げ変形による履歴減衰を発揮しながら、RCラーメン架構全体の振動エネルギーを吸収することとなり、RC柱部材2、ひいてはRCラーメン架構全体の耐震性が向上する。そして、主筋8を切断するだけで足りるなので、耐震補強をきわめて短時間に終えることが可能となる。
【0053】
また、本実施形態に係るRC架構の耐震補強工法によれば、第1実施形態とは異なり、RCラーメン架構の面内にダンパブレース機構21を取り付けたことによって、RC柱部材2の曲げ降伏点が低下することによるRCラーメン架構の負担水平力の減少分を、ダンパブレース機構21に負担させることが可能となり、中小地震レベル以下においては構造物全体の損傷及び変形を最小限にとどめるとともに、大地震レベルにおいては、RC柱部材2及びダンパ23の変形による履歴減衰によって地震時エネルギーを吸収するとともに、構造物全体の倒壊を防止することができる。
【0054】
特に、本実施形態によれば、図5の復元力特性でわかるように、RC柱部材2に先行してダンパブレース機構21のダンパ23を降伏させるようにしたので、少なくとも中地震レベル以下(第2折れ点Bまでの範囲)については、RC柱部材2をはじめとするRCラーメン架構に一切損傷を発生させずに済み、損傷を受けた方のダンパ23についてはこれを適宜交換すればよいため、かかる地震レベルでの構造物の健全性を完全に維持することが可能となる。
【0055】
本実施形態では特に言及しなかったが、ダンパブレース機構21による負担水平力の増加分を主筋8の切断に伴うRCラーメン架構の負担水平力の低下分に一致させるようにしておけば、構造物全体の水平耐力は従前通りとなる。すなわち、RC柱部材2のフーチング6に作用する地震時水平力の大きさが補強前後で変化しないこととなり、上述した耐震補強に伴って基礎廻りの補強を行う必要がなくなる。
【0056】
また、本実施形態では、本発明に係るRC架構の耐震補強工法を高架橋の下部構造1に適用したが、適用可能な対象物としては、第1実施形態と同様、かかる構造体に限定されるものではなく、他の土木構造物をはじめ建築分野の耐震壁にも適用することができる。
【0057】
図6は、RC柱部材31、31及びRC梁部材32、32からなるRCラーメン架構を対象として耐震補強を行った例を示したものであり、該柱の主筋8の一部をやはり柱脚部34及び柱頭部33において切断してある。なお、かかる変形例における作用効果については上述した実施形態の作用効果とほぼ同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0058】
また、本実施形態では、RC柱部材2、2に先行してダンパブレース機構21のダンパ23を降伏させるようにしたが、どの程度の割合まで主筋8を切断するか、言い換えればRCラーメン架構の水平耐力をどのように設定するかは任意であるとともに、その減少分がちょうど補われるようにダンパブレース機構21を設計するのか該減少分とは関わりなくダンパブレース機構21を設計するのかについても任意である。
【0060】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係るRC架構の耐震補強工法によれば、RC部材が地震時において曲げ変形による履歴減衰を発揮しながら、RCラーメン架構全体の振動エネルギーを吸収することとなり、RC部材ひいてはRCラーメン架構全体の耐震性を向上させることが可能となるとともに、RC柱部材の曲げ降伏点が低下することによるRCラーメン架構の負担水平力の減少分をダンパブレース機構に負担させることができるので、中小地震レベル以下においては構造物全体の損傷及び変形を最小限にとどめ、大地震レベルにおいては、RC柱部材及びダンパの変形による履歴減衰によって地震時エネルギーを吸収して構造物全体の倒壊を防止することが可能となる。
【0062】
また、本発明に係るRC架構の耐震補強工法によれば、RCラーメン架構に構造的に接続された部位、例えばRC柱部材のフーチングや基礎に作用する部材力は従前通りとなり、これらの部位を補強する必要がなくなるという効果も奏する。
【0063】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るRC架構の耐震補強工法を行っている様子を示した図であり、(a)は補強対象である高架橋の下部構造を示した正面図、(b)はA―A線に沿う補強前の水平断面図、(c)は同じくA―A線に沿う補強後の水平断面図。
【図2】第1実施形態に係るRC架構の耐震補強工法の作用を示した概念図。
【図3】本発明に係るRC架構の耐震補強工法を別の構造体に適用した様子を示した断面図。
【図4】第2実施形態に係るRC架構の耐震補強工法を高架橋の下部構造に適用した様子を示した図。
【図5】第2実施形態に係るRC架構の耐震補強工法の作用を示した図であり、(a)はRCラーメン架構単独での復元力特性、(b)はダンパブレース機構単独での復元力特性、(c)は全体の復元力特性。
【図6】本発明に係るRC架構の耐震補強工法を別の構造体に適用した様子を示した正面図。
【符号の説明】
1 高架橋の下部構造(RCラーメン架構)
2 RC柱部材(RC部材)
8 主筋
13 中柱(RC部材)
21 ダンパブレース機構
23 ダンパ
31 RC柱部材
Claims (1)
- RCラーメン架構を構成するRC柱部材の主筋を一部切断して該RC部材の破壊性状をせん断破壊先行型から曲げ破壊先行型に移行させるとともに、前記RCラーメン架構の面内にダンパブレース機構を取り付けるRC架構の耐震補強工法であって、前記ダンパブレース機構による負担水平力の増加分を前記主筋の切断に伴う前記RCラーメン架構の負担水平力の低下分に一致させることを特徴とするRC架構の耐震補強工法。
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