JP3858076B2 - 金属蒸着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の金属蒸着装置は、真空状態のケーシング内で金属線材を蒸発させる蒸発部と、ケーシングの外部に配置されて該蒸発部に金属線材を供給する供給部と、を備えていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の金属蒸着装置では、供給部にてケーシングの外部から内部へ金属線材を供給していたため、ケーシング内に(1回分の)金属線材を入れる毎にケーシング内の真空引きを行っていた。即ち、(1回の)金属線材の蒸着を行う毎にケーシング内を真空にする必要があり、余分な待ち時間・作業時間がかかっていた。
【0004】
そこで、本発明は、作業効率を向上させると共に、作業時間を大幅に短縮することができる金属蒸着装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る金属蒸着装置は、真空状態のケーシング内で所定寸法の金属線材を順次蒸発させる蒸発部と、真空状態の該ケーシング内において線材状の素材を所定寸法に切断して金属線材を形成しながら該蒸発部に該金属線材を順次供給する供給部と、を備え、上記蒸発部が、金属線材が供給される通電自在な上方開口状の舟型の蒸発ボード盤をロータ上に複数個平面視星型状としてかつ鉛直の一軸心廻りに間欠的に回転自在に設け、そして、舟型の上記蒸発ボード盤が、上記ロータの上記一軸心廻りの上記間欠的な回転にて、上記供給部に対応する供給位置から、上記金属線材を通電により蒸発させる蒸発位置に送られるように構成されたものである。
【0006】
また、真空状態のケーシング内で所定寸法の金属線材を順次蒸発させる蒸発部と、真空状態の該ケーシング内において線材状の素材を所定寸法に切断して金属線材を形成しながら該蒸発部に該金属線材を順次供給する供給部と、を備え、上記蒸発部が、金属線材が供給される通電自在な上方開口状の舟型の蒸発ボード盤をロータ上に複数個平面視星型状としてかつ鉛直一軸心廻りに間欠的に回転自在に設けると共に、隣り合う上記蒸発ボード間に、被蒸着体が内部におかれるフード部へ金属線材の蒸気を導入する仕切壁を設け、そして、舟型の上記蒸発ボード盤が、上記ロータの上記一軸心廻りの上記間欠的な回転にて、上記供給部に対応する供給位置から、上記金属線材を通電により蒸発させる蒸発位置に送られるように構成されたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
【0008】
図1に、本発明の蒸着装置の実施の一形態を示し、本蒸着装置は、真空状態のケーシングC内で所定寸法の金属線材を順次蒸発させる蒸発部1と、真空状態の該ケーシングC内において該蒸発部1に該金属線材を順次供給する供給部2と、を備えている。
【0009】
即ち、本蒸着装置は、蒸発部1にて蒸気化された(アルミなどの)金属線材を、ケーシングC内に配設されたフード部3の内部にある被蒸着体Mに、蒸着させるものである。これによって、装飾膜、カーブミラー、反射膜、(携帯電話の)表示素子のカソード膜などを作製する。なお、フード部3の開口部には、開閉自在な蓋状のシャッター部4が配設され、シャッター部4は、フード部3内に入る蒸着された金属量を調整することができ、被蒸着体Mへの金属の蒸着量を正確なものとすることができる。また、金属蒸着のときには、ケーシングC内を真空状態(例えば10-4Pa)にする必要がある。
【0010】
供給部2は、図2と図3に示すように、線材状の素材6が巻設されるセット部20と、複数のローラが配設されるローラ郡21と、素材6を送り出す送出部22と、素材6を切断する切断部23と、切断部23にて素材6が切断されて形成された金属線材5を蒸発部1に供給するノズル部29と、を備えている。
【0011】
セット部20は、ボビンを有し、ケーシングC内に配設され、素材6は、予め、ケーシングC内に配置されることとなる。ローラ郡21は、ケーシングC内に配設され、セット部20から引っ張りだされた素材6を送出部22まで確実にガイドする。
【0012】
送出部22は、(減速機付モータ等の)駆動部24と、駆動部24により回転するシャフト部25と、素材6をノズル部29に送り出す送出ローラ26,26と、シャフト部25の回転を送出ローラ26に伝達する(複数の傘歯車などから成る)伝動部27と、を備えている。
【0013】
駆動部24はケーシングCの外部に配設され、シャフト部25はケーシングCを貫通し、送出ローラ26・伝動部27はケーシングCの内部に配設されている。シャフト部25は、ケーシングCに軸受を介して取り付けられると共に、ケーシングCに内装されたシール材(回転軸シール)7と常時接触してケーシングC内の真空状態を維持することができる。また、シャフト部25にはエンコーダ28が取り付けられ、素材6の送り出し量(所定寸法)を制御することができる。
【0014】
切断部23は、シリンダ部30と、シリンダ部30のロッドに連設される連動部31と、連動部31に連設されて素材6を切断する刃部32と、を備えており、シリンダ部30のロッドの伸縮に追従して刃部32が上下動する。
【0015】
シリンダ部30はケーシングCの外部に配設され、連動部31はケーシングCを貫通し、刃部32はケーシングCの内部に配設されている。連動部31とケーシングCとに蛇腹(ベローズ)33が架設され、ケーシングC内の真空状態を維持することができる。
【0016】
送出部22と切断部23との作用(機能)を説明すると、図4(イ)に示すように、切断部23に於てシリンダ部30のロッドが伸長して刃部32が上方位置にある状態で、送出部22の送出ローラ26,26にて素材6を所定寸法だけノズル部29に送り込んだ後に、図4(ロ)に示すように、シリンダ部30のロッドが短縮して刃部32が下方に移動し、刃部32にて素材6を切断する。
【0017】
そして、送出部22と切断部23との上記作用を繰り返すことで、供給部2は、真空状態のケーシングC内において線材状の素材6を所定寸法に切断して金属線材5を形成しながら蒸発部1に金属線材5を順次(間欠的に)供給する。
【0018】
蒸発部1は、図2と図3に示すように、金属線材5が供給される通電自在な蒸発ボード盤12を複数個平面視星型状としてかつ鉛直状一軸心L廻りに間欠的に回転自在に設けている。言い換えると、蒸発部1は、蒸発ボード盤12を複数個周方向に等間隔に配置すると共に間欠的に軸心L廻りに回転するロータ10を、有する。
【0019】
ロータ10は、円柱状の軸部10aと、(軸部10aの軸心に中心を一致させるように)軸部10aに連設された円板部10bと、を有し、軸部10aは、ケーシングCに貫通状に固着された円筒状のハウジング11に、複数の軸受を介して、内嵌され、円板部10bは、ケーシングC内に配設される。
【0020】
さらに、ハウジング11にはシール材(回転軸シール)8が内装され、シール材8がロータ10の軸部10aと常時接触してケーシングC内の真空状態を維持することができる。
【0021】
円板部10bの上方には、ロータ10の軸心L廻りに星型状(周方向に等間隔)に複数の蒸発ボード盤12…が(固定状に)配設されている。この蒸発ボード盤12は、舟型であり、内部中央部に窪みが形成されると共に肉薄に形成され、金属線材5を確実に蒸発できる。
【0022】
ロータ10の軸部10aには外鍔状のギヤ部16が設けられ、そのギヤ部16がケーシングCに付設された(減速機付モータ等の)駆動部17のギヤ部17aと噛合して、ロータ10が駆動部17にて回転する。
【0023】
従って、供給部2のノズル部29から金属線材5が供給される供給位置Sに、ロータ10を回転させることで、各蒸発ボード盤12を一致させることができる。
【0024】
ロータ10には、軸心Lに沿って親電極棒13が貫通状に取り付けられると共に、親電極棒13を中心とした周方向に等間隔に(軸部10aを貫通状に)複数本の子電極棒14…が取り付けられている。なお、親電極棒13及び子電極棒14の内部には空洞部が形成され、(矢印で示すように)冷却水が通水可能となる。
【0025】
子電極棒14の上端と、蒸発ボード盤12の外周端とは、円板部10bの下面から外周面に沿って配設された通電帯板15に接触しており、また、蒸発ボード盤12の内周端は、親電極棒13の上端に接触しており、子電極棒14、通電帯板15、蒸発ボード盤12、親電極棒13の順で通電自在となる。
【0026】
具体的に述べると、蒸発ボード盤12は、通電帯板15に(ボルト等の)固着具にて固定されると共に、親電極棒13本体に取り外し自在のキャップにて挟持状に取り付けられる。
【0027】
蒸発ボード盤12の下方側には、通電帯板15及び子電極棒14が配設されており、蒸発ボード盤12と子電極棒14と通電帯板15との数量は一致したものとなる。
【0028】
ここで、供給位置Sのロータ10の軸心Lに対する対称位置を蒸発位置Hとし、この蒸発位置Hにある蒸発ボード盤12が通電されて金属線材5が蒸発される。
【0029】
具体的に述べると、ケーシングCに付設された電極ブラシ18が、蒸発位置Hにある子電極棒14のみと接触するように配設され、ロータ10の回転にて蒸発位置Hに一致された蒸発ボード盤12は、その下方にある子電極棒14が電極ブラシ18と接触することにより、通電されることとなる。
【0030】
このように、ロータ10が間欠的に回転することで、全ての蒸発ボード盤12…が供給位置Sと蒸発位置Hとに一致可能となり、供給と蒸発を同時に行うことができる。なお、ロータ10のギヤ部16に取り付けられたエンコーダ19にて、蒸発ボード盤12を供給位置Sと蒸発位置Hとに停止させることができる。また、蒸発ボード盤12は、蒸発位置Hから供給位置Sへ移動する間に、冷却水にて冷却される。
【0031】
なお、隣り合う蒸発ボード盤12,12の間には仕切壁9が設けられ、金属線材5の蒸気をフード部3へ確実にかつ容易に導入することができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成されるので、次に記載する効果を奏する。
【0033】
(請求項1,2によれば、)真空状態のケーシングC内において金属線材5の供給と蒸発(蒸着)を行えるため、従来のように1回の蒸着毎に真空引きを行う必要がなく、作業効率を向上させると共に、作業時間を大幅に短縮することができる。また、金属線材5の所定寸法を様々に設定して蒸着量を種々に変化させることができる。さらに、素材6をケーシングC内に予め配置させることができ、ケーシングCの真空状態を安定して長時間維持することができる。
【0034】
また、真空状態のケーシングC内において金属線材5の供給と蒸発(蒸着)とを同時に行うことができ、一層作業時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す簡略全体説明図である。
【図2】要部正面断面図である。
【図3】要部平面図である。
【図4】要部作用説明図である。
【符号の説明】
1 蒸発部
2 供給部
3 フード部
5 金属線材
6 素材
9 仕切壁
10 ロータ
12 蒸発ボード盤
C ケーシング
H 蒸発位置
L 軸心
M 被蒸着体
S 供給位置

Claims (2)

  1. 真空状態のケーシングC内で所定寸法の金属線材5を順次蒸発させる蒸発部1と、真空状態の該ケーシングC内において線材状の素材6を所定寸法に切断して金属線材5を形成しながら該蒸発部1に該金属線材5を順次供給する供給部2と、を備え
    上記蒸発部1が、金属線材5が供給される通電自在な上方開口状の舟型の蒸発ボード盤 12 をロータ 10 上に複数個平面視星型状としてかつ鉛直の一軸心L廻りに間欠的に回転自在に設け、
    そして、舟型の上記蒸発ボード盤 12 が、上記ロータ 10 の上記一軸心L廻りの上記間欠的な回転にて、上記供給部2に対応する供給位置Sから、上記金属線材5を通電により蒸発させる蒸発位置Hに送られるように構成されたことを特徴とする金属蒸着装置。
  2. 真空状態のケーシングC内で所定寸法の金属線材5を順次蒸発させる蒸発部1と、真空状態の該ケーシングC内において線材状の素材6を所定寸法に切断して金属線材5を形成しながら該蒸発部1に該金属線材5を順次供給する供給部2と、を備え、
    上記蒸発部1が、金属線材5が供給される通電自在な上方開口状の舟型の蒸発ボード盤12をロータ 10 上に複数個平面視星型状としてかつ鉛直一軸心L廻りに間欠的に回転自在に設けると共に、隣り合う上記蒸発ボード 12 12 間に、被蒸着体Mが内部におかれるフード部3へ金属線材5の蒸気を導入する仕切壁9を設け、
    そして、舟型の上記蒸発ボード盤 12 が、上記ロータ 10 の上記一軸心L廻りの上記間欠的な回転にて、上記供給部2に対応する供給位置Sから、上記金属線材5を通電により蒸発させる蒸発位置Hに送られるように構成されたことを特徴とする金属蒸着装置。
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