JP3857773B2 - トンネル掘進装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルを掘進する作業に用いられるトンネル掘進装置に関し、特に、透かし溝内に注入された硬化性材料が硬化して端面を形成するように、透かし溝内に挿入される妻型枠の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トンネルを掘進する作業に用いられるトンネル掘進装置および工法としては、特公昭61−24512号公報、特公平4−63198号公報、特公平6−58034号公報等で、トンネル断面と相似形のアーチ状または円筒状ガイド枠に沿って、透かし溝掘削用チェーンカッタが移動することにより、アーチ状または円筒状の透かし溝を掘削し、そのアーチ状または円筒状の透かし溝内に瞬間硬化性コンクリート等の硬化性材料を充填し、アーチ状または円筒状支保版を形成するトンネル掘進装置および工法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の従来例では、透かし溝掘削用チェーンカッタと、透かし溝内に注入された硬化性材料が硬化して端面を形成するように、透かし溝内に若干挿入される妻型枠とが垂直に固定されて、妻型枠が硬化性材料の端面に当接していた。
このため、例えば、アーチ状支保版の脚部下端付近まで、透かし溝掘削用チェーンカッタが前進低下した時点で、妻型枠が固定されているため、チェーンカッタ循環用駆動装置を軸心として、透かし溝掘削用チェーンカッタを下方に回動させることは出来なかった。
このため、一旦、透かし溝掘削用チェーンカッタを透かし溝から引き抜き、妻型枠として別に用意した材料で、透かし溝掘削用チェーンカッタの引き抜き空間の入口を閉じてから、別途、硬化性材料注入管を差し込んで硬化性材料の注入を行っていた。
これらの作業は別途の手作業で行う必要があるため、大幅に時間を要し、能率が悪いという問題点があった。
【0004】
また、透かし溝を掘削中に障害物が存在する場合には、一旦、透かし溝掘削用チェーンカッタを引き抜き、障害物を除去してから、再度、透かし溝内に透かし溝掘削用チェーンカッタを挿入して、透かし溝の掘削を再開しなければならず、大幅に時間を要し、能率が悪いという問題点があった。また、透かし溝を掘削中に妻型枠が前進することにより、硬化性材料の端面への当接が外れた時点において、硬化性材料が十分に硬化せず、透かし溝から流出した場合、あるいは、透かし溝掘削用チェーンカッタがトラブルにより停止し、硬化性材料が透かし溝から流出できないため、硬化性材料が硬化性材料注入管内を圧送されず、硬化性材料注入管を閉塞した場合、掘削作業を中断して、対処しなければならないという問題点があった。また、透かし溝を掘削中に切羽が崩壊した場合に、妻型枠の底面直下から硬化性材料が流出し、これに対処するために掘削作業を中断しなければならないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、アーチ状支保版の脚部下端付近等においても、透かし溝掘削用チェーンカッタを引き抜くことは必要とせずに、チェーンカッタ循環用駆動装置を軸心として、透かし溝掘削用チェーンカッタを下方に回動させることにより、透かし溝を連続して掘削できるトンネル掘進装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、透かし溝を掘削中に障害物が存在する場合にも、一旦、透かし溝掘削用チェーンカッタを引き抜き、障害物を除去してから、再度、透かし溝内に透かし溝掘削用チェーンカッタを挿入して、透かし溝の掘削を再開する必要がなく、透かし溝を連続して掘削できるトンネル掘進装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、透かし溝を掘削中に妻型枠が前進することにより、硬化性材料の端面への当接が外れた時点において、硬化性材料が十分に硬化せず、透かし溝から流出することを防止することにより、掘削作業を中断する必要がなく、透かし溝を連続して掘削でき、あるいは、透かし溝掘削用チェーンカッタがトラブルにより停止した場合に、硬化性材料を透かし溝から流出させ、硬化性材料が硬化性材料注入管内において閉塞しないようにし、より大きなトラブルの発生を防止するトンネル掘進装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、透かし溝を掘削中に切羽が崩壊した場合に、妻型枠の底面直下から硬化性材料が流出することを防止し、これに対処するために掘削作業を中断する必要がなく、透かし溝を連続して掘削できるトンネル掘進装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トンネル断面と相似形のアーチ状または円筒状ガイド枠と、前記ガイド枠に沿って移動される移動フレームと、前記移動フレームに固定され、切羽に向かって、斜め上向きに伸長するチェーンカッタ用ガイド部材と、前記チェーンカッタ用ガイド部材に沿って移動されるように設けられ、前記トンネルの長手方向に伸長し、チェーンカッタ循環用駆動装置により循環駆動されることにより、前記切羽の外周に沿って透かし溝を掘削し、前記チェーンカッタ循環用駆動装置を軸心として回動可能に設けられる透かし溝掘削用チェーンカッタと、前記透かし溝掘削用チェーンカッタと共に移動するように設けられ、前記透かし溝に硬化性材料を注入する硬化性材料注入管と、前記透かし溝内に注入された前記硬化性材料が硬化して端面を形成するように、前記透かし溝内に若干挿入される妻型枠と、から成るトンネル掘進装置において、シリンダの円筒部の根元が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに回動可能に支持され、前記妻型枠の一端が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタあるいは前記硬化性材料注入管に回動可能に支持され、前記妻型枠の一端が、さらに、前記シリンダのピストンの先端に回動可能に支持されることを特徴とするトンネル掘進装置である。
【0007】
さらに、本発明は、上記トンネル掘進装置において、前記妻型枠の代わりに、シリンダの円筒部の根元が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに支持され、前記妻型枠の一端が前記透かし溝掘削用チェーンカッタに沿って設けられたスライド溝内をスライドすることにより、前記透かし溝掘削用チェーンカッタの長手方向と前記妻型枠の長手方向が垂直を維持しつつ、前記妻型枠がスライドするように、前記妻型枠が前記シリンダのピストンの先端に設けられることを特徴とするトンネル掘進装置である。
【0008】
さらに、本発明は、上記トンネル掘進装置において、前記妻型枠の代わりに、シリンダの円筒部の根元が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに固定して支持され、前記透かし溝掘削用チェーンカッタの前進方向と反対方向に、かつ、前記透かし溝掘削用チェーンカッタの長手方向と前記妻型枠の長手方向が垂直を維持しつつ、前記妻型枠が前記透かし溝掘削用チェーンカッタと離隔、あるいは、ほぼ接触するように、前記妻型枠が前記シリンダのピストンの先端に固定されることを特徴とするトンネル掘進装置である。
【0009】
さらに、本発明は、トンネル断面と相似形のアーチ状または円筒状ガイド枠と、前記ガイド枠に沿って移動される移動フレームと、前記移動フレームに固定され、切羽に向かって、斜め上向きに伸長するチェーンカッタ用ガイド部材と、前記チェーンカッタ用ガイド部材に沿って移動されるように設けられ、前記トンネルの長手方向に伸長し、チェーンカッタ循環用駆動装置により循環駆動されることにより、前記切羽の外周に沿って透かし溝を掘削し、前記チェーンカッタ循環用駆動装置を軸心として回動可能に設けられる透かし溝掘削用チェーンカッタと、前記透かし溝掘削用チェーンカッタと共に移動するように設けられ、前記透かし溝に硬化性材料を注入する硬化性材料注入管と、前記透かし溝内に注入された前記硬化性材料が硬化して端面を形成するように、前記透かし溝内に若干挿入される妻型枠と、から成るトンネル掘進装置において、
シリンダの円筒部の根元が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに固定して支持され、
補助板の一端が前記透かし溝掘削用チェーンカッタに沿って設けられたスライド溝内をスライドすることにより、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに沿ってスライドし、
前記妻型枠の一端が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタあるいは前記硬化性材料注入管に回動可能に支持され、あるいは、前記妻型枠の一端が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに垂直に固定され、
前記妻型枠が前記硬化性材料の端面に当接する状態で、前記妻型枠の底面直下で、前記透かし溝内にスライドして挿入されるように、前記補助板が前記シリンダのピストンの先端に固定されることを特徴とするトンネル掘進装置である。
【0010】
さらに、本発明は、直前の上記トンネル掘進装置において、前記補助板の代わりに、シリンダの円筒部の根元が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに回動可能に支持され、補助板の一端が前記透かし溝掘削用チェーンカッタに回動可能に支持され、前記妻型枠が前記硬化性材料の端面に当接する状態で、前記妻型枠の底面直下で、前記透かし溝内に回動して挿入されるように、前記補助板が前記シリンダのピストンの先端に回動可能に設けられることを特徴とするトンネル掘進装置である。
【0011】
本発明によれば、シリンダの円筒部の根元が、透かし溝掘削用チェーンカッタに回動可能に支持され、妻型枠の一端が、透かし溝掘削用チェーンカッタあるいは硬化性材料注入管に回動可能に支持され、前記妻型枠の一端が、さらに、シリンダのピストンの先端に回動可能に支持される。
このため、透かし溝掘削用チェーンカッタと妻型枠は垂直に固定されることはなく、回動可能に設けられるため、アーチ状支保版の脚部下端付近等においても、透かし溝掘削用チェーンカッタを引き抜くことは必要とせずに、チェーンカッタ循環用駆動装置を軸心として、透かし溝掘削用チェーンカッタを下方に回動させることにより、透かし溝を連続して掘削できる。
【0012】
本発明によれば、前記妻型枠の代わりに、シリンダの円筒部の根元が、透かし溝掘削用チェーンカッタに支持され、妻型枠の一端が透かし溝掘削用チェーンカッタに沿って設けられたスライド溝内をスライドすることにより、透かし溝掘削用チェーンカッタの長手方向と妻型枠の長手方向が垂直を維持しつつ、妻型枠がスライドするように、妻型枠がシリンダのピストンの先端に設けられる。
このため、透かし溝を掘削中に障害物が存在する場合にも、一旦、透かし溝掘削用チェーンカッタを引き抜き、障害物を除去してから、再度、透かし溝内に透かし溝掘削用チェーンカッタを挿入して、透かし溝の掘削を再開する必要がなく、透かし溝を連続して掘削できる。
また、透かし溝の奥行方向の掘削距離を容易に調整できる。
【0013】
本発明によれば、前記妻型枠の代わりに、シリンダの円筒部の根元が、透かし溝掘削用チェーンカッタに固定して支持され、透かし溝掘削用チェーンカッタの前進方向と反対方向に、かつ、透かし溝掘削用チェーンカッタの長手方向と妻型枠の長手方向が垂直を維持しつつ、妻型枠が透かし溝掘削用チェーンカッタと離隔、あるいは、ほぼ接触するように、妻型枠がシリンダのピストンの先端に固定される。
このため、透かし溝を掘削中に妻型枠が前進することにより、硬化性材料の端面への当接が外れた時点において、硬化性材料が十分に硬化しない場合は、シリンダを伸長することにより、妻型枠を透かし溝掘削用チェーンカッタと離隔させて、硬化性材料が透かし溝から流出することを防止し、掘削作業を中断する必要がなく、透かし溝を連続して掘削できる。さらに、透かし溝掘削用チェーンカッタがトラブルにより停止した場合に、硬化性材料が透かし溝から流出できないため、硬化性材料が硬化性材料注入管内において圧送されない場合にも、シリンダを伸長することにより、妻型枠を透かし溝掘削用チェーンカッタと離隔させて、透かし溝掘削用チェーンカッタとの間に、硬化性材料の流出路を形成して、硬化性材料を流出させる。
このため、硬化性材料注入管の閉塞を防止して、より大きなトラブルの発生を防止できる。
【0014】
本発明によれば、シリンダの円筒部の根元が、透かし溝掘削用チェーンカッタに固定して支持され、補助板の一端が前記透かし溝掘削用チェーンカッタに沿って設けられたスライド溝内をスライドすることにより、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに沿ってスライドし、
前記妻型枠の一端が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタあるいは前記硬化性材料注入管に回動可能に支持され、あるいは、前記妻型枠の一端が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに垂直に固定され、
前記妻型枠が前記硬化性材料の端面に当接する状態で、前記妻型枠の底面直下で、前記透かし溝内にスライドして挿入されるように、前記補助板が前記シリンダのピストンの先端に固定される。
このため、補助板が、妻型枠の底面直下で、透かし溝内に挿入されるため、透かし溝を掘削中に切羽が崩壊した場合に、妻型枠の底面直下から硬化性材料が流出することを防止し、これに対処するために掘削作業を中断する必要がなく、透かし溝を連続して掘削できる。
【0015】
本発明によれば、直前の前記補助板の代わりに、シリンダの円筒部の根元が、透かし溝掘削用チェーンカッタに回動可能に支持され、補助板の一端が透かし溝掘削用チェーンカッタに回動可能に支持され、妻型枠が硬化性材料の端面に当接する状態で、妻型枠の底面直下で、透かし溝内に回動して挿入されるように、補助板がシリンダのピストンの先端に回動可能に設けられる。
このため、補助板が、妻型枠の底面直下で、透かし溝内に挿入されるため、透かし溝を掘削中に切羽が崩壊した場合に、妻型枠の底面直下から硬化性材料が流出することを防止し、これに対処するために掘削作業を中断する必要がなく、透かし溝を連続して掘削できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の透かし溝掘削用チェーンカッタがアーチ状ガイド枠の頂点付近に位置する状態の左側面図、図2は、図1の状態の部分平面図、図3は、図1の状態の正面図である。走行装置105は、トンネル2の下盤104上に設けられたレール120,120上を、各々のレール120,120に対して、例えば、2個の車輪118,118…を介して走行するように構成される装置である。アーチ状ガイド枠106は、走行装置105,105に両下端が接続されて載置固定され、トンネル断面と相似形に構成される。
このアーチ状ガイド枠106の内側にラック121が設けられる。 走行装置105,105のレール120,120上の移動により、トンネル長手方向へのアーチ状ガイド枠106の位置決めがなされる。
【0017】
移動フレーム108は、図示されない移動用駆動装置の出力軸の歯車がアーチ状ガイド枠106の内側のラック121と歯合して回転することにより、アーチ状ガイド枠106に沿って移動されるフレームである。チェーンカッタ用ガイド部材109は、移動フレーム108に固定され、切羽に向かって、斜め上向きに伸長する。透し溝掘削用チェーンカッタ101は、掘削刃131を有し、チェーンカッタ用ガイド部材109に沿って移動されるように設けられ、トンネル長手方向に伸長し、循環駆動されることにより、地盤140において、切羽の外周に沿って透かし溝102を掘削する装置である。
チェーンカッタ循環用駆動装置130は、減速機および原動機から成り、透かし溝掘削用チェーンカッタ101を循環駆動し、チェーンカッタ循環用駆動装置130を軸心として透し溝掘削用チェーンカッタ101は回動可能に設けられる。
ここで、原動機は、油圧モータ、電動機等から成る。
【0018】
次に、硬化性材料注入管112は、透かし溝掘削用チェーンカッタ101と共に移動するように設けられ、透かし溝102に硬化性材料20を注入し、アーチ状支保版103を形成するものである。
また、硬化性材料注入管112の後端部はホース139を介して、図示されない硬化性材料圧送用ポンプに接続される。次に、妻型枠10は、透かし溝102内に注入された硬化性材料20が硬化して端面21を形成するように、透かし溝102内に若干挿入される。シリンダ22の円筒部23の根元24が、透かし溝掘削用チェーンカッタ101に回動可能に支持され、シリンダ22のピストン25の先端に妻型枠10が回動可能に支持される。
さらに、妻型枠10の一端が、透かし溝掘削用チェーンカッタ101あるいは硬化性材料注入管112に、支持部50を介して回動可能に支持され、妻型枠10の一端が、さらに、シリンダ22のピストン25の先端に回動可能に支持される。
【0019】
ここで、図4の正面図、図5の右側面図に示されるように、透かし溝掘削用チェーンカッタ101が、透かし溝102を掘削して前進し、下盤104付近にまで降下したときに、図6に示されるように、透かし溝掘削用チェーンカッタ101は、チェーンカッタ循環用駆動装置130を軸心として、回動しながら透かし溝102を掘削し始める。
さらに、図7に示されるように、透かし溝掘削用チェーンカッタ101は、回動しながら透かし溝102を掘削し、下盤104を若干掘削し、透かし溝掘削用チェーンカッタ101が、ほぼ下盤104に対して垂直に掘削した時点で停止する。
ここで、図5、図6、図7に示されるように、シリンダ22が、円筒部23の根元24を軸心として回動し、ピストン25が、適宜、伸長、あるいは、短縮し、また、妻型枠10が、支持部50により支持されながら、ピストン25の先端で回動することにより、妻型枠10は、硬化性材料20が硬化して端面21を形成するように当接して、透かし溝102内に若干挿入される。
これにより、透かし溝掘削用チェーンカッタ101と妻型枠10は垂直に固定されることはなく、回動可能に設けられるため、アーチ状支保版106の脚部下端付近等においても、透かし溝掘削用チェーンカッタ101を引き抜くことは必要とせずに、チェーンカッタ循環用駆動装置130を軸心として、透かし溝掘削用チェーンカッタ101を下方に回動させることにより、透かし溝102を連続して掘削できる。
【0020】
次に、前記妻型枠10の代わりに、図8に示されるように、シリンダ22の円筒部23の根元24が、透かし溝掘削用チェーンカッタ101に支持され、妻型枠10の一端52が透かし溝掘削用チェーンカッタ101に沿って設けられたスライド溝51内をスライドすることにより、透かし溝掘削用チェーンカッタ101の長手方向と妻型枠10の長手方向が垂直を維持しつつ、妻型枠10がスライドするように、妻型枠10がシリンダ22のピストン25の先端に設けられる。
このため、透かし溝掘削用チェーンカッタ101が、透かし溝102を掘削中に、図9に示されるように、障害物30に衝突することを避けるために、透かし溝掘削用チェーンカッタ101が切羽に向かって後退しつつ、ピストン25が伸長して、硬化性材料20の端面21に妻型枠10が当接する状態を維持する。さらに、透かし溝掘削用チェーンカッタ101が、障害物30を通過した直後に、図10に示されるように、透かし溝掘削用チェーンカッタ101が切羽に向かって前進しつつ、ピストン25が短縮して、硬化性材料20の端面21に妻型枠10が当接する状態を維持する。これにより、透かし溝102を掘削中に障害物30が存在する場合にも、一旦、透かし溝掘削用チェーンカッタ101を引き抜き、障害物30を除去してから、再度、透かし溝102内に透かし溝掘削用チェーンカッタ101を挿入して、透かし溝102の掘削を再開する必要がなく、透かし溝102を連続して掘削でき、作業時間を短縮して、能率を高める。
また、透かし溝102の奥行方向の掘削距離を容易に調整できる。
【0021】
次に、前記妻型枠10の代わりに、図11、図12、図13、図14に示されるように、シリンダ22aの円筒部23aの根元24aが、透かし溝掘削用チェーンカッタ101に固定して支持され、透かし溝掘削用チェーンカッタ101の前進方向と反対方向に、かつ、透かし溝掘削用チェーンカッタ101の長手方向と妻型枠10aの長手方向が垂直を維持しつつ、妻型枠10aが透かし溝掘削用チェーンカッタ101と、図12、図14に示されるように離隔し、あるいは、図11、図13に示されるように、ほぼ接触するように、妻型枠10aがシリンダ22aのピストン25aの先端に設けられる場合もある。図11の状態は、妻型枠10aに硬化した硬化性材料20が付着して、十分に硬化しない硬化性材料20が、流出路31から流出している状態であるが、図12に示されるように、妻型枠10aが透かし溝掘削用チェーンカッタ101と離隔し、硬化性材料20の流出を防止する。また、図13の状態は、透かし溝掘削用チェーンカッタ101がトラブルにより停止した場合に、硬化性材料20が流出されない状態を示し、図14に示されるように、妻型枠10aが透かし溝掘削用チェーンカッタ101と離隔することにより、硬化性材料20を流出路32から流出させ、硬化性材料注入管の閉塞を防止して、より大きなトラブルの発生を防止できる。
【0022】
次に、上記全ての実施の形態のトンネル掘進装置のみならず、妻型枠が透かし溝掘削用チェーンカッタ101に垂直に固定された従来のトンネル掘進装置において、つまり、図15、図16に示されるように、妻型枠10、10aの一端が、透かし溝掘削用チェーンカッタ101あるいは硬化性材料注入管に回動可能に支持され、あるいは、妻型枠10、10aの一端が、透かし溝掘削用チェーンカッタ101に垂直に固定される実施例を説明する。
図15、図16に示されるように、シリンダ22bの円筒部23bの根元24bが、透かし溝掘削用チェーンカッタ101に固定して支持され、補助板15aの一端54が透かし溝掘削用チェーンカッタ101に沿って設けられたスライド溝53内をスライドすることにより、透かし溝掘削用チェーンカッタ101に沿ってスライドし、妻型枠10、10a、および、透かし溝掘削用チェーンカッタ101に垂直に固定された図示されない従来の妻型枠が硬化性材料20の端面21に当接する状態で、妻型枠10、10a、および、透かし溝掘削用チェーンカッタ101に垂直に固定された図示されない従来の妻型枠の底面直下で、図21に示されるように、透かし溝102内にスライドして挿入され、補助板15aがシリンダ22bのピストン25bの先端に固定される。
さらに、前記補助板15aの代わりに、図17、図18に示されるように、シリンダ22bの円筒部23bの根元24bが、透かし溝掘削用チェーンカッタ101に回動可能に支持され、補助板15bの一端が透かし溝掘削用チェーンカッタ101に回動可能に支持され、妻型枠10、10a、および、透かし溝掘削用チェーンカッタ101に垂直に固定された図示されない従来の妻型枠が、硬化性材料20の端面21に当接する状態で、妻型枠10、10a、および、透かし溝掘削用チェーンカッタ101に垂直に固定された図示されない従来の妻型枠の底面直下で、図21に示されるように、透かし溝102内に回動して挿入されるように、補助板15bがシリンダ22bのピストン25bの先端に回動可能に設けられる。
これにより、図19に示される状態で、透かし溝102を掘削中に切羽が崩壊した場合に、妻型枠10、10a、および、透かし溝掘削用チェーンカッタ101に垂直に固定された図示されない従来の妻型枠の底面直下から硬化性材料20が、図20に示されるように、流出することを防止し、これに対処するために掘削作業を中断する必要がなく、透かし溝を連続して掘削できる。
【0023】
次に、図22は、トンネル断面と相似形の円筒状ガイド枠を有する本発明の実施の形態のトンネル掘進装置が示される。図示されない第1の円筒部は、トンネル2の内周壁3を押圧するように伸長可能な図示されない第1のグリッパを有し、トンネル2内にトンネル2と同心的に配置される。
円形状のガイド枠である図示されない第2の円筒部は、内周壁3を押圧するように伸長可能な第2のグリッパ6を有する。
第2の円筒部は、第1の円筒部と、ほぼ同一の直径に形成され、トンネル2内に第1の円筒部と同心的に配置される。
図示されないシリンダは、第1の円筒部と第2の円筒部の間に設けられ、伸縮することより、第1の円筒部と第2の円筒部とを、近接あるいは離隔させる装置である。
【0024】
移動フレームである回転フレーム8は、第2の円筒部とほぼ同一直径の円環状に構成され、第2の円筒部の先端に、第2の円筒部と同心的に、かつ、第2の円筒部に対して回転可能に設けられる。
第2の円筒部の内側に設けられた減速機内蔵モータ5bにより、ピニオン5cが回転される。
ピニオン5cには、回転フレーム8の接続部8aの内側に設けられたラック部8dが歯合し、減速機内蔵モータ5bによるピニオン5cの回転により、ラック部8dを介して回転フレーム8を、第2の円筒部に対して回転させる。チェーンカッタ用ガイド部材9は、回転フレーム8に固定され、第2の円筒部の側から切羽に向かって、斜めに拡がるように伸長する。短い透かし溝掘削用チェーンカッタ11は、チェーンカッタ用ガイド部材9に沿って図示されない移動手段により移動されるように設けられ、トンネル2の長手方向に伸長し、チェーンカッタ循環用駆動装置17により、循環駆動されることにより、切羽の外周に沿って地盤45に透かし溝12を掘削する装置である。この本発明の実施の形態のトンネル掘進装置にも、上記全てのアーチ状ガイド枠を有する本発明の実施の形態のトンネル掘進装置に適用された本発明は、適用される。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように、透かし溝掘削用チェーンカッタと妻型枠は垂直に固定されることはなく、回動可能に設けられるため、アーチ状支保版の脚部下端付近等においても、透かし溝掘削用チェーンカッタを引き抜くことは必要とせずに、チェーンカッタ循環用駆動装置を軸心として、透かし溝掘削用チェーンカッタを下方に回動させることにより、透かし溝を連続して掘削でき、作業時間を短縮して、能率を高める。
さらに、透かし溝を掘削中に障害物が存在する場合にも、一旦、透かし溝掘削用チェーンカッタを引き抜き、障害物を除去してから、再度、透かし溝内に透かし溝掘削用チェーンカッタを挿入して、透かし溝の掘削を再開する必要がなく、透かし溝を連続して掘削でき、作業時間を短縮して、能率を高める。
また、透かし溝の奥行方向の掘削距離を容易に調整できる。
【0026】
さらに、透かし溝を掘削中に妻型枠が前進することにより、硬化性材料の端面への当接が外れた時点において、硬化性材料が十分に硬化しない場合にも、妻型枠が透かし溝掘削用チェーンカッタと離隔して、硬化性材料が透かし溝から流出することを防止し、掘削作業を中断する必要がなく、透かし溝を連続して掘削できる。
さらに、透かし溝掘削用チェーンカッタがトラブルにより停止した場合に、妻型枠が透かし溝掘削用チェーンカッタと離隔して、透かし溝掘削用チェーンカッタとの間に、硬化性材料の流出路を形成して、硬化性材料を流出させる。
このため、硬化性材料注入管の閉塞を防止して、より大きなトラブルの発生を防止する。
さらに、補助板が、妻型枠の底面直下で、透かし溝内に挿入されるため、透かし溝を掘削中に切羽が崩壊した場合に、妻型枠の底面直下から硬化性材料が流出することを防止し、これに対処するために掘削作業を中断する必要がなく、透かし溝を連続して掘削でき、作業時間を短縮して、能率を高める。
【0027】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の透かし溝掘削用チェーンカッタがアーチ状ガイド枠の頂点付近に位置する状態の左側面図である。
【図2】本発明の一実施の形態の図1の状態の部分平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態の図1の状態の正面図である。
【図4】本発明の一実施の形態の透かし溝掘削用チェーンカッタがアーチ状ガイド枠の側面付近に位置する状態の正面図である。
【図5】本発明の一実施の形態の図4の状態の右側面図である。
【図6】本発明の一実施の形態の図4の状態から透かし溝掘削用チェーンカッタが回動した状態の右側面図である。
【図7】本発明の一実施の形態の図4の状態から透かし溝掘削用チェーンカッタが回動した状態の右側面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態の透かし溝掘削用チェーンカッタが透かし溝を掘削しつつ、硬化性材料の端面に妻型枠が当接する状態の説明図である。
【図9】本発明の他の実施の形態の透かし溝掘削用チェーンカッタが切羽に向かって後退しつつ、硬化性材料の端面に妻型枠が当接する状態の説明図である。
【図10】本発明の他の実施の形態の透かし溝掘削用チェーンカッタが切羽に向かって前進しつつ、硬化性材料の端面に妻型枠が当接する状態の説明図である。
【図11】本発明の他の実施の形態の透かし溝掘削用チェーンカッタの長手方向と妻型枠の長手方向が垂直を維持しつつ、硬化した硬化性材料が付着した妻型枠が透かし溝掘削用チェーンカッタと、ほぼ接触する状態の説明図である。
【図12】本発明の他の実施の形態において、図11の状態から、妻型枠が透かし溝掘削用チェーンカッタから離隔し、硬化性材料が流出することを防止する状態の説明図である。
【図13】本発明の他の実施の形態において、透かし溝掘削用チェーンカッタの長手方向と妻型枠の長手方向が垂直を維持しつつ、妻型枠が透かし溝掘削用チェーンカッタと、ほぼ接触し、切削作業中のトラブルにより切削が中止した状態の説明図である。
【図14】本発明の他の実施の形態において、図13の状態から、妻型枠が透かし溝掘削用チェーンカッタから離隔し、硬化性材料を流出させる状態の説明図である。
【図15】本発明の他の実施の形態の妻型枠が硬化性材料の端面に当接する状態で、補助板が、透かし溝外に位置する状態の説明図である。
【図16】本発明の他の実施の形態の妻型枠が硬化性材料の端面に当接する状態で、補助板が、妻型枠の底面直下の透かし溝内にスライドして挿入された状態の説明図である。
【図17】本発明の他の実施の形態の妻型枠が硬化性材料の端面に当接する状態で、補助板が、透かし溝外に位置する状態の説明図である。
【図18】本発明の他の実施の形態の妻型枠が硬化性材料の端面に当接する状態で、補助板が、妻型枠の底面直下の透かし溝内に回動して挿入された状態の説明図である。
【図19】本発明の他の実施の形態の妻型枠が硬化性材料の端面に当接する状態の部分断面図である。
【図20】本発明の他の実施の形態の妻型枠が硬化性材料の端面に当接し、硬化性材料が流出している状態の部分断面図である。
【図21】本発明の他の実施の形態の妻型枠が硬化性材料の端面に当接する状態で、補助板が、妻型枠の底面直下の透かし溝内に挿入された状態の部分断面図である。
【図22】本発明の円筒状ガイド枠を有するさらに他の実施の形態の構成図である。
【符号の説明】
2 トンネル 10,10a 妻型枠
15a,15b 補助板
109 チェーンカッタ用ガイド部材
101 透かし溝掘削用チェーンカッタ
102 透かし溝 103 アーチ状支保版
104 下盤 105 走行装置
106 アーチ状ガイド枠 108 移動フレーム
112 硬化性材料注入管 130 チェーンカッタ循環用駆動装置
Claims (5)
- トンネル断面と相似形のアーチ状または円筒状ガイド枠と、
前記ガイド枠に沿って移動される移動フレームと、
前記移動フレームに固定され、切羽に向かって、斜め上向きに伸長するチェーンカッタ用ガイド部材と、
前記チェーンカッタ用ガイド部材に沿って移動されるように設けられ、前記トンネルの長手方向に伸長し、チェーンカッタ循環用駆動装置により循環駆動されることにより、前記切羽の外周に沿って透かし溝を掘削し、前記チェーンカッタ循環用駆動装置を軸心として回動可能に設けられる透かし溝掘削用チェーンカッタと、
前記透かし溝掘削用チェーンカッタと共に移動するように設けられ、前記透かし溝に硬化性材料を注入する硬化性材料注入管と、
前記透かし溝内に注入された前記硬化性材料が硬化して端面を形成するように、前記透かし溝内に若干挿入される妻型枠と、から成るトンネル掘進装置において、
シリンダの円筒部の根元が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに回動可能に支持され、
前記妻型枠の一端が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタあるいは前記硬化性材料注入管に回動可能に支持され、前記妻型枠の一端が、さらに、前記シリンダのピストンの先端に回動可能に支持されることを特徴とするトンネル掘進装置。 - 請求項1記載のトンネル掘進装置において、前記妻型枠の代わりに、
シリンダの円筒部の根元が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに支持され、
前記妻型枠の一端が前記透かし溝掘削用チェーンカッタに沿って設けられたスライド溝内をスライドすることにより、前記透かし溝掘削用チェーンカッタの長手方向と前記妻型枠の長手方向が垂直を維持しつつ、前記妻型枠がスライドするように、前記妻型枠が前記シリンダのピストンの先端に設けられることを特徴とするトンネル掘進装置。 - 請求項1記載のトンネル掘進装置において、前記妻型枠の代わりに、
シリンダの円筒部の根元が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに固定して支持され、
前記透かし溝掘削用チェーンカッタの前進方向と反対方向に、かつ、前記透かし溝掘削用チェーンカッタの長手方向と前記妻型枠の長手方向が垂直を維持しつつ、前記妻型枠が前記透かし溝掘削用チェーンカッタと離隔、あるいは、ほぼ接触するように、前記妻型枠が前記シリンダのピストンの先端に固定されることを特徴とするトンネル掘進装置。 - トンネル断面と相似形のアーチ状または円筒状ガイド枠と、
前記ガイド枠に沿って移動される移動フレームと、
前記移動フレームに固定され、切羽に向かって、斜め上向きに伸長するチェーンカッタ用ガイド部材と、
前記チェーンカッタ用ガイド部材に沿って移動されるように設けられ、前記トンネルの長手方向に伸長し、チェーンカッタ循環用駆動装置により循環駆動されることにより、前記切羽の外周に沿って透かし溝を掘削し、前記チェーンカッタ循環用駆動装置を軸心として回動可能に設けられる透かし溝掘削用チェーンカッタと、前記透かし溝掘削用チェーンカッタと共に移動するように設けられ、前記透かし溝に硬化性材料を注入する硬化性材料注入管と、
前記透かし溝内に注入された前記硬化性材料が硬化して端面を形成するように、前記透かし溝内に若干挿入される妻型枠と、から成るトンネル掘進装置において、
シリンダの円筒部の根元が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに固定して支持され、
補助板の一端が前記透かし溝掘削用チェーンカッタに沿って設けられたスライド溝内をスライドすることにより、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに沿ってスライドし、
前記妻型枠の一端が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタあるいは前記硬化性材料注入管に回動可能に支持され、あるいは、前記妻型枠の一端が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに垂直に固定され、
前記妻型枠が前記硬化性材料の端面に当接する状態で、前記妻型枠の底面直下で、前記透かし溝内にスライドして挿入されるように、前記補助板が前記シリンダのピストンの先端に固定されることを特徴とするトンネル掘進装置。 - 請求項4記載のトンネル掘進装置において、前記補助板の代わりに、
シリンダの円筒部の根元が、前記透かし溝掘削用チェーンカッタに回動可能に支持され、
補助板の一端が前記透かし溝掘削用チェーンカッタに回動可能に支持され、前記妻型枠が前記硬化性材料の端面に当接する状態で、前記妻型枠の底面直下で、前記透かし溝内に回動して挿入されるように、前記補助板が前記シリンダのピストンの先端に回動可能に設けられることを特徴とするトンネル掘進装置。
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