JP3857546B2 - 直流モータの製造方法、及び直流モータの製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流モータの製造方法、及び直流モータの製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
直流モータは、その製造時に各特性がユーザの需要を満たすか否かが試験され、その試験に合格したものが製品とされる。よって、直流モータは、製造時にその各特性が測定される。この直流モータの特性としては、回転数・電流値−トルク特性(図3参照)がある。そして、この特性を得る方法としては、モータ部品組付け後に、電圧を印加して起動し、その回転軸に機械的に負荷を与えて、電流センサ、回転センサ、及びトルクセンサにて電流値、回転数、及びトルクを測定するという方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような方法では、特に機械的に負荷を与えるための負荷付与機器(電磁式ブレーキ等)や、トルクセンサ(トルク−電圧変換器等)を必要とし、その測定装置が複雑且つ高コスト化してしまうという問題がある。
【0004】
そこで、特開平9−197027号公報では、負荷付与機器(電磁式ブレーキ等)やトルクセンサ(トルク−電圧変換器等)を必要とせずに特性を得ることができる技術が開示されている。この方法では、ステータの磁極の着磁前の状態(非着磁状態)で拘束電流(拘束時電流)を測定する、若しくは、ロータ単体で巻線抵抗を測定し、該抵抗値を用いて拘束電流を算出する。そして、モータ部品組付け後(着磁後)、無負荷電流、無負荷回転数、及び誘起電圧等を測定し、各値(拘束電流を含む)から算出して特性(図3参照)を得る。
【0005】
しかしながら、上記のような方法(特開平9−197027号公報)では、モータ部品組付け前(着磁前)と、モータ部品組付け後(着磁後)とでそれぞれ計測する工程が必要となってしまう。よって、直流モータの製造工程が多くなるとともに複雑化してしまい、その製造コストが高くなるという問題がある。又、モータ部品組付け後に再計測を行う際には、分解・再組付け等を必要としてしまう。
【0006】
本発明の目的は、容易に低コストで特性を得ることができ、ひいては容易に低コストで直流モータを製造することができる直流モータの製造方法、及び直流モータの製造装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、モータ部品が組付けられてステータの磁極が着磁された後、無負荷にて、電圧を印加して起動し、その起動時の突入電流を測定する突入電流測定工程と、前記突入電流測定工程で測定した突入電流Itと、予め求めた所定の常数α,βとにより、下記の関係式
I1=α×It+β
を満足する拘束電流I1を算出する拘束電流算出工程と、前記突入電流測定工程の後、無負荷での回転が安定した時の無負荷電流を測定する無負荷電流測定工程と、前記突入電流測定工程の後、無負荷での回転が安定した時の無負荷回転数を測定する無負荷回転数測定工程と、前記無負荷電流測定工程及び前記無負荷回転数測定工程の後、電圧の印加を停止し、その停止時における誘起電圧を測定する誘起電圧測定工程と、前記拘束電流、前記無負荷電流、前記無負荷回転数、及び前記誘起電圧に基づき拘束トルクを算出して、特性を特定する特性演算工程とを備えた直流モータの製造方法を要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の直流モータの製造方法において、前記所定の常数は、同種同型の複数の直流モータより突入電流及び拘束電流を測定し、該両測定値に基づいて得る。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の直流モータの製造方法において、前記無負荷回転数測定工程は、前記無負荷電流の電流脈動成分より無負荷回転数を算出する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、モータ部品が組付けられてステータの磁極が着磁された後、無負荷にて、電圧を印加して起動し、その起動時の突入電流を測定する突入電流測定手段と、前記突入電流測定手段で測定した突入電流Itと、予め求めた所定の常数α,βとにより、下記の関係式
I1=α×It+β
を満足する拘束電流I1を算出する拘束電流算出手段と、前記突入電流を測定した後、無負荷での回転が安定した時の無負荷電流を測定する無負荷電流測定手段と、前記突入電流を測定した後、無負荷での回転が安定した時の無負荷回転数を測定する無負荷回転数測定手段と、前記無負荷電流及び前記無負荷回転数を測定した後、電圧の印加を停止し、その停止時における誘起電圧を測定する誘起電圧測定手段と、前記拘束電流、前記無負荷電流、前記無負荷回転数、及び前記誘起電圧に基づき拘束トルクを算出して、特性を特定する特性演算手段とを備えた直流モータの製造装置を要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の直流モータの製造装置において、前記所定の常数は、同種同型の複数の直流モータより突入電流及び拘束電流を測定し、該両測定値に基づいて得たものである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の直流モータの製造装置において、前記無負荷回転数測定手段は、前記無負荷電流の電流脈動成分より無負荷回転数を算出する。
【0017】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、突入電流測定工程にて、モータ部品が組付けられてステータの磁極が着磁された後、無負荷にて、電圧が印加されて起動され、その起動時の突入電流が測定される。そして、拘束電流算出工程にて、前記突入電流測定工程で測定した突入電流Itと、予め求めた所定の常数α,βとにより、下記関係式
I1=α×It+β
を満足する拘束電流I1が算出される。そして、前記突入電流測定工程の後、無負荷電流測定工程にて、無負荷での回転が安定した時の無負荷電流が測定される。そして、前記突入電流測定工程の後、無負荷回転数測定工程にて、無負荷での回転が安定した時の無負荷回転数が測定される。そして、前記無負荷電流測定工程及び前記無負荷回転数測定工程の後、誘起電圧測定工程にて、電圧の印加が停止され、その停止時における誘起電圧が測定される。そして、特性演算工程にて、前記拘束電流、前記無負荷電流、前記無負荷回転数、及び前記誘起電圧に基づき拘束トルクが算出されて、特性が特定される。よって、機械的に負荷を与えるための負荷付与機器(電磁式ブレーキ等)や、トルクセンサ(トルク−電圧変換器等)を必要とせず、且つモータ部品組付け後に、特性を得ることができる。又、モータ部品組付け後に、電圧の印加及び停止を一度づつ行うだけで、特性を得ることが可能となる。これにより、この方法では、容易に低コストで特性を得ることができ、ひいては容易に低コストで直流モータを製造することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、前記所定の常数は、同種同型の複数の直流モータより突入電流及び拘束電流を測定し、該両測定値に基づいて得るため、信頼度の高い常数を容易に得ることができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、無負荷回転数は、無負荷回転数測定工程にて、前記無負荷電流の電流脈動成分より算出される。よって、この方法では、機械的な回転センサ等を必要とせず、更に低コストで各特性を得ることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、突入電流測定手段にて、モータ部品が組付けられてステータの磁極が着磁された後、無負荷にて、電圧が印加されて起動され、その起動時の突入電流が測定される。そして、拘束電流算出手段にて、前記突入電流測定手段で測定した突入電流Itと、予め求めた所定の常数α,βとにより、下記の関係式
I1=α×It+β
を満足する拘束電流I1が算出される。そして、前記突入電流が測定された後、無負荷電流測定手段にて、無負荷での回転が安定した時の無負荷電流が測定される。そして、前記突入電流が測定された後、無負荷回転数測定手段にて、無負荷での回転が安定した時の無負荷回転数が測定される。そして、前記無負荷電流及び前記無負荷回転数が測定された後、誘起電圧測定手段にて、電圧の印加が停止され、その停止時における誘起電圧が測定される。そして、特性演算手段にて、前記拘束電流、前記無負荷電流、前記無負荷回転数、及び前記誘起電圧に基づき拘束トルクが算出されて、特性が特定される。よって、機械的に負荷を与えるための負荷付与機器(電磁式ブレーキ等)や、トルクセンサ(トルク−電圧変換器等)を必要とせず、且つモータ部品組付け後に、特性を得ることができる。又、モータ部品組付け後に、電圧の印加及び停止を一度づつ行うだけで、特性を得ることが可能となる。これにより、この装置では、容易に低コストで特性を得ることができ、ひいては容易に低コストで直流モータを製造することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、前記所定の常数は、同種同型の複数の直流モータより突入電流及び拘束電流を測定し、該両測定値に基づいて得たものであるため、常数の信頼度が高く、拘束電流を高精度に算出することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、無負荷回転数は、無負荷回転数測定手段にて、前記無負荷電流の電流脈動成分より算出される。よって、この製造装置では、機械的な回転センサ等を必要とせず、更に低コストで各特性を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。図1に示すように、直流モータの製造装置(特性測定装置)は、電流センサ(電流計)1、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)2、電源3、及びスイッチ4を備えている。パソコン2は、電流計測部5、演算部6、電圧計測部7、及び出力部8を備えている。
【0024】
尚、本実施の形態では、電流センサ1とパソコン2(詳しくは、電流計測部5及び演算部6)とスイッチ4とが突入電流測定手段を構成している。又、本実施の形態では、電流センサ1とパソコン2(詳しくは、電流計測部5及び演算部6)が無負荷電流測定手段、及び無負荷回転数測定手段を構成している。又、本実施の形態では、パソコン2(詳しくは、演算部6)が拘束電流算出手段及び特性演算手段を構成している。又、本実施の形態では、パソコン2(詳しくは、演算部6及び電圧計測部7)とスイッチ4とが誘起電圧測定手段を構成している。
【0025】
電源3は、その低電位側電源が電流センサ1を介して第1端子11に接続され、その高電位側電源がスイッチ4を介して第2端子12に接続されている。又、電流センサ1は、パソコン2(電流計測部5)に接続されている。又、第1及び第2端子11,12は、パソコン2(電圧計測部7)に接続されている。
【0026】
電流センサ1は、電流値に応じたアナログの信号S1(電圧信号)をパソコン2(電流計測部5)に出力する。
パソコン2は、所定の操作により種々の処理を行う。
【0027】
パソコン2において、電流計測部5は、前記信号S1をデジタルの電流値信号S2に変換して該電流値信号S2を演算部6に出力する。
又、パソコン2において、電圧計測部7は、第1及び第2端子11,12間の電圧に応じたデジタルの電圧値信号S3を演算部6に出力する。
【0028】
又、パソコン2において、演算部6は、予め入力された所定の常数α,βを有し、種々の演算を行い、その演算結果を出力部8に出力する。尚、上記演算部6の演算については、後述する直流モータの製造方法(特性測定方法)で詳述し、ここでの詳細な説明は省略する。
【0029】
又、パソコン2において、出力部8は、外部の図示しないモニタに接続され、前記演算結果をモニタに表示させる。
このように構成された直流モータの製造装置(特性測定装置)にて行われる直流モータの製造方法(特性測定方法)について説明する。
【0030】
本実施の形態では、予め30台の完成した(特性がユーザ等の需要を満たすと判断された)同種同型の直流モータより突入電流It及び拘束電流Ilを測定し、該両測定値に基づいて前記所定の常数α,βを算出している。この常数α,βは、突入電流Itより拘束電流Ilを算出するための(所謂、回帰分析するための)常数であって、下記の(A)式を満たすように算出されている。
【0031】
Il=α×It+β (A)式
そして、まず、図1に示すように、第1及び第2端子11,12に直流モータMの電源入力端子を接続する。尚、ここで述べる直流モータMは、モータ部品が組付けられた(ステータの磁極が着磁された)ものであって、その特性が測定されていないものである。
【0032】
「突入電流測定工程」
次に、「突入電流測定工程」では、突入電流測定手段を構成する電流センサ1とパソコン2(詳しくは、電流計測部5及び演算部6)とスイッチ4にて、直流モータMに電圧を印加して起動し、その起動時の突入電流Itを測定する。
【0033】
詳しくは、スイッチ4をオンし、無負荷にて直流モータMを起動する。そして、図2に示すように、電流センサ1及び電流計測部5を介して入力される起動直後の電流値(電流値信号S2)から演算部6にて最大値となる突入電流Itを測定する。
【0034】
「拘束電流算出工程」
次に、「拘束電流算出工程」では、拘束電流算出手段を構成する演算部6にて、前記突入電流Itと、前記所定の常数α,βとにより拘束電流Ilを算出する。
【0035】
詳しくは、演算部6にて、測定した前記突入電流Itと、所定の常数α,βとにより前記(A)式を解いて、拘束電流Ilを算出する。
「無負荷電流測定工程」
次に、「無負荷電流測定工程」では、無負荷電流測定手段を構成する電流センサ1とパソコン2(詳しくは、電流計測部5及び演算部6)にて、無負荷での回転が安定した時の無負荷電流Ioを測定する。
【0036】
詳しくは、図2に示すように、演算部6にて、電流センサ1及び電流計測部5を介して入力される電流値(電流値信号S2)が安定した時の電流値を無負荷電流Ioとして測定する。
【0037】
「無負荷回転数測定工程」
次に、「無負荷回転数測定工程」では、無負荷回転数測定手段を構成する電流センサ1とパソコン2(詳しくは、電流計測部5及び演算部6)にて、無負荷での回転が安定した時の無負荷回転数Noを測定する。
【0038】
詳しくは、演算部6にて、前記無負荷電流Ioの電流脈動成分より無負荷回転数Noを算出する。ここで、電流脈動成分は、直流モータMの電機子コアのスロットの数と対応して発生することから、単位時間当たりの電流脈動回数をスロットの数で除(割算)することで無負荷回転数Noが算出される。
【0039】
「誘起電圧測定工程」
次に、「誘起電圧測定工程」では、誘起電圧測定手段を構成するパソコン2(詳しくは、演算部6及び電圧計測部7)とスイッチ4にて、直流モータMへの電圧の印加を停止し、その停止時における誘起電圧Eoを測定する。
【0040】
詳しくは、スイッチ4をオフし、直流モータMへの電圧の印加を停止する。そして、そのとき電圧計測部7を介して入力される電圧値(電圧値信号S3)から演算部6にて誘起電圧Eoを測定する。
【0041】
「特性演算工程」
次に、「特性演算工程」では、特性演算手段を構成する演算部6にて、前記拘束電流Il、前記無負荷電流Io、前記無負荷回転数No、及び前記誘起電圧Eoに基づき拘束トルクTlを算出して、特性(図3参照)を特定する。
【0042】
詳しくは、演算部6にて、無負荷回転数No及び下記の(B)式より無負荷時の角速度ωoを算出し、その角速度ωo、誘起電圧Eo及び下記の(C)式より誘起電圧定数Ekを算出して、特性(図3参照)を特定する。
【0043】
ωo=2π×No/60(rad/Sec) (B)式
Ek=ωo/Eo (C)式
ここで、誘起電圧定数Ekは、図3に示す特性図において、電流値−トルク特性における傾きに対応した値であることと、既に無負荷電流Io及び拘束電流Ilが得られていることから電流値−トルク特性が特定される。そして、拘束電流Ilのときのトルクが拘束トルクTlであるため、前記電流値−トルク特性より拘束トルクTlが得られる。即ち、演算部6にて、拘束電流Il、無負荷電流Io、誘起電圧定数Ek及び下記の(D)式より拘束トルクTlを算出することができる。
【0044】
Tl=(Il−Io)/Ek (D)式
又、図3に示すように、既に前記無負荷回転数Noが得られていることから、回転数−トルク特性が特定される。よって、直流モータMの特性(図3参照)が特定される。
【0045】
次に、出力部8にて、演算結果、即ち前記特性(図3参照)のデータを外部の図示しないモニタに出力し、該特性をモニタに表示させる。
よって、特性(図3参照)より、任意の状態のトルク(定格トルク等)の特定が可能となる。そして、前記特性や、該特性にて得られた値(定格トルク等)がユーザの需要を満たすか否かを判断し、満たすと判断されたものを製品とする。
【0046】
次に、上記実施の形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)特に、直流モータMの突入電流Itと、予め求めた所定の常数α,βとにより該直流モータMの拘束電流Ilを算出するようにしたため、機械的に負荷を与えるための負荷付与機器(電磁式ブレーキ等)や、トルクセンサ(トルク−電圧変換器等)を必要とせず、且つモータ部品組付け後に、集中した測定(算出)にて特性(図3参照)を得ることができる。これにより、この方法及び装置では、容易に低コストで特性を得ることができ、ひいては容易に低コストで直流モータを製造することができる。又、特性の再計測を行う際においても、分解・再組付け等を必要とせず、容易に低コストで特性を得ることができる。
【0047】
(2)一度、電圧を印加し、その電圧の印加を停止するだけで、各値を測定(算出)して特性(図3参照)を得るようにしたため、効率良く短時間で特性を得ることができる。
【0048】
(3)予め同種同型の30台の直流モータより突入電流It及び拘束電流Ilを測定し、該両測定値に基づいて所定の常数α,βを得るようにしたため、信頼度の高い常数α,βを容易に得ることができ、ひいては信頼度の高い拘束電流Ilを算出することができる。
【0049】
(4)無負荷回転数Noを、無負荷電流Ioの電流脈動成分より算出するようにしたため、機械的な回転センサ等を必要とせず、更に低コストで各特性を得ることができる。
【0050】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、直流モータの製造装置及び方法(特性測定装置及び方法)について説明したが、モータ部品が組付けられた後の直流モータの拘束電流Ilを測定したい需要があれば、上記方法の一部を用いて実施してもよい。例えば、完成した直流モータの拘束電流のみを再測定したい場合に、上記した方法「拘束電流測定工程」と同様の方法(拘束電流算出方法)で拘束電流を算出するようにしてもよい。このようにすると、機械的に負荷を与えるための負荷付与機器(電磁式ブレーキ等)や、トルクセンサ(トルク−電圧変換器等)を必要とせず、また分解・再組付け等を必要とせず、容易に低コストで拘束電流を得ることができる。
【0051】
・上記実施の形態の直流モータ製造装置は、同様の機能(突入電流測定手段、拘束電流算出手段、無負荷電流測定手段、無負荷回転数測定手段、誘起電圧測定手段、及び特性演算手段)を有すれば、他の機器にて該装置を構成してもよい。例えば、前記パソコン2に換えて、電流計測部5及び電圧計測部7を備えていないパソコンと、該パソコンに接続されるA/D変換器とを用いて直流モータ製造装置を構成してもよい。
【0052】
・上記実施の形態では、出力部8は、外部の図示しないモニタに接続され、演算結果である特性をモニタに表示させるとしたが、演算結果に基づく情報をモニタ以外の情報伝達手段に伝達するようにしてもよい。例えば、出力部8に合否判定ランプを接続する。そして、演算部6は、前記特性が予め設定されたユーザの需要を満たすか否かを判断する。即ち、出力部8は、演算部6の演算結果である判定結果を、合否判定ランプを点灯させることで外部に伝達する。このようにしても、上記実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。又、このように合否判定ランプにて合否を表示するようにすると、作業者による合否の判別が容易となり、工場等における直流モータの生産効率を更に向上させることができる。
【0053】
・上記実施の形態では、予め直流モータMと同種同型の完成した30台の直流モータより突入電流It及び拘束電流Ilを測定し、該両測定値に基づいて所定の常数α,βを得るようにしたが、所定の常数α,βを得る方法を変更してもよい。例えば、予め測定する直流モータの数を、30台以外、例えば40台、50台等に変更してもよい。又、例えば、多種(サイズが異なる等)の直流モータの所定の常数から、本実施の形態の直流モータMに対応した所定の常数α,βを回帰分析により算出して得るようにしてもよい。
【0054】
・上記実施の形態では、無負荷回転数Noを無負荷電流Ioの電流脈動成分より算出するようにしたが、無負荷回転数Noを他の方法にて得てもよい。例えば、無負荷回転数Noを機械的な回転センサにて測定するようにしてもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)〜(3)と同様の効果を得ることができる。
【0055】
・上記実施の形態では、一度、電圧を印加し、その電圧の印加を停止する流れの中で、特性を得るために必要となる全ての値を測定(算出)したが、上記実施の形態と同様の条件で各工程を行うことができれば、各工程の間で電圧の印加又は停止を行ってもよい。又、上記実施の形態と同様の条件で各工程を行うことができれば、各工程を行う順番を適宜変更してもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)、(3)、(4)と同様の効果を得ることができる。
【0056】
次に、上記実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)モータ部品組付け後に電圧を印加して起動し、その起動時の突入電流を測定する突入電流測定工程と、前記突入電流と、予め求めた所定の常数とにより拘束電流を算出する拘束電流算出工程と、無負荷での回転が安定した時の無負荷電流を測定する無負荷電流測定工程と、無負荷での回転が安定した時の無負荷回転数を測定する無負荷回転数測定工程と、電圧の印加を停止し、その停止時における誘起電圧を測定する誘起電圧測定工程と、前記拘束電流、前記無負荷電流、前記無負荷回転数、及び前記誘起電圧に基づき拘束トルクを算出して、特性を特定する特性演算工程とを備えたことを特徴とする直流モータの製造方法。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)、(3)、(4)と同様の効果を得ることができる。
【0057】
(ロ)モータ部品組付け後に電圧を印加して起動し、その起動時の突入電流を測定する突入電流測定手段と、前記突入電流と、予め求めた所定の常数とにより拘束電流を算出する拘束電流算出手段と、無負荷での回転が安定した時の無負荷電流を測定する無負荷電流測定手段と、無負荷での回転が安定した時の無負荷回転数を測定する無負荷回転数測定手段と、電圧の印加を停止し、その停止時における誘起電圧を測定する誘起電圧測定手段と、前記拘束電流、前記無負荷電流、前記無負荷回転数、及び前記誘起電圧に基づき拘束トルクを算出して、特性を特定する特性演算手段とを備えたことを特徴とする直流モータの製造装置。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)、(3)、(4)と同様の効果を得ることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜3に記載の発明によれば、容易に低コストで特性を得ることができ、ひいては容易に低コストで直流モータを製造することができる直流モータの製造方法を提供することができる。
【0060】
又、請求項4〜6に記載の発明によれば、容易に低コストで特性を得ることができ、ひいては容易に低コストで直流モータを製造することができる直流モータの製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の直流モータの製造装置を説明するための説明図。
【図2】直流モータの電圧印加後の電流値を説明するための特性図。
【図3】直流モータの回転数・電流値−トルク特性図。
【符号の説明】
1…電流センサ、2…パーソナルコンピュータ、4…スイッチ、5…電流計測部、6…演算部、7…電圧計測部、It…突入電流、Io…無負荷電流、Il…拘束電流、No…無負荷回転数、Tl…拘束トルク。
Claims (6)
- モータ部品が組付けられてステータの磁極が着磁された後、無負荷にて、電圧を印加して起動し、その起動時の突入電流を測定する突入電流測定工程と、
前記突入電流測定工程で測定した突入電流Itと、予め求めた所定の常数α,βとにより、下記の関係式
I1=α×It+β
を満足する拘束電流I1を算出する拘束電流算出工程と、
前記突入電流測定工程の後、無負荷での回転が安定した時の無負荷電流を測定する無負荷電流測定工程と、
前記突入電流測定工程の後、無負荷での回転が安定した時の無負荷回転数を測定する無負荷回転数測定工程と、
前記無負荷電流測定工程及び前記無負荷回転数測定工程の後、電圧の印加を停止し、その停止時における誘起電圧を測定する誘起電圧測定工程と、
前記拘束電流、前記無負荷電流、前記無負荷回転数、及び前記誘起電圧に基づき拘束トルクを算出して、特性を特定する特性演算工程と
を備えたことを特徴とする直流モータの製造方法。 - 請求項1に記載の直流モータの製造方法において、
前記所定の常数は、同種同型の複数の直流モータより突入電流及び拘束電流を測定し、該両測定値に基づいて得ることを特徴とする直流モータの製造方法。 - 請求項1又は2に記載の直流モータの製造方法において、
前記無負荷回転数測定工程は、前記無負荷電流の電流脈動成分より無負荷回転数を算出することを特徴とする直流モータの製造方法。 - モータ部品が組付けられてステータの磁極が着磁された後、無負荷にて、電圧を印加して起動し、その起動時の突入電流を測定する突入電流測定手段と、
前記突入電流測定手段で測定した突入電流Itと、予め求めた所定の常数α,βとにより、下記の関係式
I1=α×It+β
を満足する拘束電流I1を算出する拘束電流算出手段と、
前記突入電流を測定した後、無負荷での回転が安定した時の無負荷電流を測定する無負荷電流測定手段と、
前記突入電流を測定した後、無負荷での回転が安定した時の無負荷回転数を測定する無負荷回転数測定手段と、
前記無負荷電流及び前記無負荷回転数を測定した後、電圧の印加を停止し、その停止時における誘起電圧を測定する誘起電圧測定手段と、
前記拘束電流、前記無負荷電流、前記無負荷回転数、及び前記誘起電圧に基づき拘束トルクを算出して、特性を特定する特性演算手段と
を備えたことを特徴とする直流モータの製造装置。 - 請求項4に記載の直流モータの製造装置において、
前記所定の常数は、同種同型の複数の直流モータより突入電流及び拘束電流を測定し、該両測定値に基づいて得たものであることを特徴とする直流モータの製造装置。 - 請求項4又は5に記載の直流モータの製造装置において、
前記無負荷回転数測定手段は、前記無負荷電流の電流脈動成分より無負荷回転数を算出することを特徴とする直流モータの製造装置。
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