JP3857002B2 - X線断層撮影方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線源及び二次元X線検出器とからなるスキャナを被検体の周囲に回転させることによって、被検体の多方向からの投影データを計測し、計測した投影データから被検体中のX線吸収係数の三次元分布を再構成するX線断層撮影方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2に従来のX線断層撮影装置の一般的な構成を示す。このX線断層撮影装置は、計測を行なう計測部1と計測された画像データを処理するデータ処理部2とに分かれる。また、計測部1およびデータ処理部2全体の制御を行なう制御部3を有する。計測部1のスキャナ4上にはX線源5およびX線検出器6が被検体7を挟んで互いに対向する位置に配置されている。X線検出器6は、X線イメージインテンシファイア(以下 X線I.Iと略記する)−カメラ系,あるいはフォトダイオードとTFTスイッチ等を二次元的に配置したフラット・パネル・センサ等の二次元X線検出器である。
【0003】
X線源5からX線8を放射して被検体7に照射する。被検体7を透過したX線の強度を検出器6によって計測する。スキャナ4は、回転中心軸9を回転中心として被検体7の回りを回転する。この時、スキャナ4が決められた角度回転する毎に透過X線強度の計測を行なう。これを被検体7の全周にわたって繰り返し、百から数百組の透過X線強度画像データを収集する。ある投影においてスキャナ4の位置する回転角を投影角と呼ぶ。
【0004】
次に、計測した透過X線強度画像データをディジタル化し、データ処理部2に送る。データ処理部2では、まず前処理部10において、ガンマ補正や画像歪み補正,対数変換,検出器6の感度むら補正等必要な前処理を加える。この前処理を行なって得られた全投影データを基に再構成演算手段11において被検体7の視野領域内の三次元的なX線吸収係数分布を再構成する。この再構成演算方法としては、フェルドカンプ等によるコーンビーム再構成演算法等が知られている。
(L.A.Feldkamp et al.; Practical cone beam algorithm, J. Opt. Soc. Am. A Vol.1, No.6, (1984), pp.612-619)(引用文献1)。
【0005】
最終的には、上記の三次元再構成画像に対して画像化手段12においてボリュームレンダリング処理或いは最大値投影処理等の画像処理を施し、画像表示手段13上に二次元画像として表示する。操作者はキーボード,マウス,トラック・ボール等の図示しない指示装置を介して、画像化手段12に対して、観察したい視点、部位等のパラメータを入力し、所望の表示画像を得る。医師或いは操作者は、上記二次元表示画像或いは三次元再構成像に様々な処理を加え、これを利用して診断を下し、治療計画を立て、また、治療経過の観察を行なう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のX線断層撮影装置には、二次元検出器6の視野が被検体全体をカバーする程十分な大きさが無いという問題があった。例えば、二次元検出器6として前述のX線I.I−テレビカメラ系を用いた場合、そのX線I.Iの入射面直径は、通常最大十数インチ程度である。この時、被検体の全方向投影の視野に含まれる領域は、計測系全体の幾何学的な構成にもよるが、最大で直径20cm程度の球状の領域でしかない。このような二次元検出器の視野の大きさの制限のために、従来のX線断層撮影装置では「偽像の発生」および「定量性の低下」と云う2つの問題が生じていた。
【0007】
まず、第一の問題点である「偽像の発生」について説明する。上記した従来のX線断層撮影装置においては、二次元検出器の視野の大きさの制限のために視野からはみ出した部分が欠落した投影データしか得られない。この欠落のある投影データから上記したフェルドカンプのコーンビーム再構成演算によって三次元再構成データを求めると、視野領域境界付近のX線吸収係数値が実際の値より高く持ち上がり、視野領域中心部付近で低く落ち込む現象,すなわちシェーディングアーチファクトを生じる。この再構成データは被検体の三次元的なX線吸収系数分布を正しく再現していないがため、これを基にしての正確な診断はできない。これを回避するための方法の一つは明らかに二次元検出器の視野を被検体全体をカバーする程大きくすることである。しかし、それだけ大きな視野を持つ二次元検出器の実現は困難である。また、仮にそれが実現できたとしても、実際の診断に必要な関心領域はそれ程大きくないことを考えると、いたずらに装置規模及び計算量を増大させることになり、現実的な方法ではない。
【0008】
そこで、上記のシェーディングアーチファクトの発生を回避する方法として、計測系の規模や構成を変えることなく、欠落のある不完全な投影データから関心領域における正しいX線吸収係数分布を再構成する方法が必要になる。上記した「偽像の発生」の問題点に対しては、特開平9−66051号公報(引用文献2)に、投影データの欠落部位を曲線によって外挿するという解決方法が提案されている。前述の再構成画像上のアーチファクトは、直接的には投影データの不連続性に起因していた。上述のフェルドカンプによるコーンビーム再構成演算では、投影データに対して高周波強調フィルタ処理を施す段階があり、その時に二次元検出器の視野境界部,すなわち投影データの有効部位と欠落部位の境界のデータの不連続的な変化が強調されて、アーチファクトを生じていた。上記引用文献2記載の方法では、二次元検出器の視野境界部でデータが連続的に変化するようなデータを外挿し、欠落部位を埋めて、アーチファクトの発生を回避しようとしていた。(図3)
【0009】
次に、第二の問題点である「定量性の低下」について説明する。一般に、X線断層撮影装置により計測を行なう場合は、被検体のサイズやX線吸収の度合いに応じて最適な「X線照射・計測条件」を選択し計測を行なう。正確な診断のためにはこのX線照射・計測条件が異なるからと云って再構成画像が変化するようなことがあってはならない。このようなことが起らないよう、従来のファンビームX線断層撮影装置では、以下に説明するような投影データ補正を行なっている。
【0010】
図4の(A)に示すように、従来の一次元検出器14を用いたX線断層撮影装置(以下、ファンビームX線断層撮影装置と呼ぶ)では、X線源5から放射されたX線8のうち、被検体7を透過せずに直接一次元検出器14の視野周辺部に入射したX線を「リファレンス・データ」としてX線照射・計測条件を補正するためのデータとして利用していた。ここで云う「X線照射・計測条件」とは、一次元検出器14で計測する強度値のゲインを左右するパラメータである。すなわち、X線源(X線管)5より放射されるX線の強度を決める管電流値、X線照射パルス幅、一次元検出器14のアンプ・ゲイン等である。これ以外の、例えば管電圧の変更は放射されるX線のスペクトル自体を変えてしまうので、一般には、エア・データ計測時と被検体7計測時とで、あるいは、異なる被検体7を計測する度毎にこの管電圧を変更することはない。
【0011】
ここで、被検体7を透過して一次元検出器14上の位置uにて検出されるX線強度データを被検体計測データIo(u)とする。また、被検体7を置かずに計測した時に位置uにて検出されるX線強度データをエア・データIa(u)とする。(図4の(B))
【0012】
被検体7を置かずにエア・データ計測を行なうのは、エア・データIa(u)を一次元検出器14の感度むら補正に利用するためである。すなわち、次式により一次元検出器14の感度むらを補正した投影データP(u)を得る(但し、log(x)はxの自然対数)。
P(u)=−log(Io(u)/Ia(u))
【0013】
ただし、一般に被検体7の投影データ計測時とエア・データ計測時とではX線照射・計測条件が異なるため、上記の感度むら補正だけでは再構成画像の定量性は保証されない。そこで、前述のように、被検体7のサイズやX線吸収の度合いに応じて最適なX線照射・計測条件を選択して計測を行なう。すなわち、前記のリファレンス・データを利用して投影データを補正し、X線照射・計測条件に拘らず一定の再構成画像が得られるようにする。
【0014】
X線源5から放射されたX線8のうち、被検体7を透過せずに、一次元検出器14の視野周辺部に直接入射するX線が存在する。この直接入射X線を計測したデータをリファレンス・データとする。ここでは、一次元検出器14の視野周辺部の位置u0でリファレンス・データを計測できたとすると、この位置における被検体計測データIo(u0),およびこの被検体計測データIo(u0)とエア・データIa(u0)との比Io(u0)/Ia(u0)は、被検体計測データ,および被検体計測データとエア・データとのゲイン比を意味する。
【0015】
以上のようにして計測したリファレンス・データを利用すれば、被検体計測時とエア計測時とのX線照射・計測条件の差異、すなわちゲインの差異を補正することができる。すなわち、次式によりX線照射・計測条件の差異を補正した投影データPr(u)を得る(以下、X線照射・計測条件補正投影データと呼ぶ)。
Pr(u)=−log(Io(u)/Ia(u))・(Ia(u0)/Io(u0))
【0016】
また、上式を変形して次式が得られる。
Pr(u)=−log(Io(u)/Ia(u))+log(Io(u0)/Ia(u0))
ここで、Pref=log(Io(u0)/Ia(u0))とし、これをリファレンス補正値と呼ぶこととする。その結果、次式によってX線照射・計測条件補正投影データPr(u)が得られる。
Pr(u)=−log(Io(u)/Ia(u))+Pref
ただし、議論を簡便にするため、ここではリファレンス・データの計測を一次元検出器14上の一点u0でのみ行なっているかのように説明したが、一般には、ノイズの影響を除くために多数点あるいは幅を持った領域で計測されたデータの平均値をリファレンス・データとして利用する。
【0017】
以上のようにして得られたX線照射・計測条件補正投影データPr(u)により再構成を行なえば被検体計測時とエア計測時のX線照射・計測条件の違いが相殺される。よって、被検体計測時のX線照射・計測条件がどのようであれ、同一の被検体7に対しては補正投影データPr(u)は同一の値となり、その結果同一の再構成画像が得られる(但し、X線照射・計測条件が変われば、投影データ及び再構成画像のSNは変化する)。つまり、従来のファンビームX線断層撮影装置においては、計測時のX線照射・計測条件に拘らず再構成画像の定量性は保たれる。
【0018】
一方、従来の二次元検出器6を用いたX線断層撮影装置(前述のファンビームX線断層撮影装置と対比して、以下ではコーンビームX線断層撮影装置と呼ぶ)においては、二次元検出器6の視野サイズおよびダイナミックレンジの制限から上記のようなリファレンス・データを得ることができない。
【0019】
まず、視野の問題を説明する。コーンビームX線断層撮影装置における二次元検出器6として一般的に利用されているX線I.I-カメラ系あるいはフラット・パネル・センサは大視野のものを製造することが困難である。すなわち、二次元検出器6の視野が被検体7に比べて狭いため、被検体7を透過せずに直接検出器6に入射するX線が存在せず、上記のようなリファレンス・データを得ることができない。
【0020】
次に、ダイナミックレンジの問題を説明する。上記のX線I.I-カメラ系あるいはフラット・パネル・センサは、従来のファンビームX線断層撮影装置に一次元検出器14として用いられているXenon検出器或いは固体検出器に比べダイナミックレンジが狭い。従って、例え視野サイズが十分であったとしても、被検体7中のX線吸収が大なる部位を透過してきたX線と、被検体7を透過せずに直接検出器6に入射するX線とを同時に精度よく計測するのが困難である。よって、リファレンス・データとして意味のある高精度なデータを計測することは一般的に困難である。
【0021】
以上のように、コーンビームX線断層撮影装置においては、検出器の狭視野,狭ダイナミック・レンジと云う二つの問題点から、リファレンス・データを得ることができず、被検体計測データ,エア・データ間でのX線照射・計測条件の違いによる差異を補正できない。結果的に、被検体計測時のX線照射・計測条件により再構成画像の定量性が左右される。そのため、従来のコーンビームX線断層撮影装置では、X線照射・計測条件の異なる計測により得られた再構成画像同士のCT値が一定せず、医師による正確な診断の妨げとなっていた。
【0022】
ここで、先のフェルドカンプによるコーンビーム再構成演算を子細に検討してみると、本来であれば、上記変換式における補正項Prefは、フィルタ演算の過程で消去されるべき項であることがわかる。何故ならば、上記変換式における補正項Prefは位置uに因らない定数項であり、フェルドカンプによるコーンビーム再構成演算法におけるフィルタ演算では、位置uに対する高周波強調を行なってこの定数項を削除している。従って、本来であれば、被検体計測時のX線照射・計測条件の変化は、再構成画像の像質に影響を及ぼさないのである。
【0023】
ところが、前述の第一の問題点である投影データの欠落による「偽像の発生」を回避するために投影データの外挿を行なった場合、外挿部の曲線の形状がX線照射・計測条件によって変化してしまう。X線照射・計測条件の変化は、すなわち計測されるX線強度Io(u)のゲインの変化である(図5の(A))。X線強度Io(u)のゲイン変化は、すなわち投影値P(u)のオフセットの変化である(図5の(B))。図5の(C)に示すように、投影値P(u)のオフセットが変化すると外挿部の曲線形状が変化する。この曲線形状の変化分は、前記したフィルタ演算の過程でも消去されることはない。外挿部の曲線形状が変化すると再構成画像の視野周辺部の画像データが変化し、結果的に、X線照射・計測条件の変化により再構成画像が変化することになる。
【0024】
以上、X線照射・計測条件の変動に起因する「定量性の低下」の問題について述べてきたが、コーンビームX線断層撮影装置におけるSN向上手法として特願平09−004986号出願(引用文献3)及び特願平10−177552号出願(引用文献4)に述べられているような線量/感度制御を行なうコーンビーム計測系においては、さらに複雑な問題が生じる。
【0025】
前記引用文献3,4に記載の線量/感度制御とは、各投影毎に照射するX線量および検出器6の感度を最適に制御することにより、同一照射線量においてSNの向上を図るものである(あるいは、同一SNを得るのにより低線量で済む)。一般に被検体7の厚さは投影角毎に異なる。例えば人体は横方向に延びた楕円形をしているので、横方向で体厚が厚く、前後方向では体厚が薄い。そこで、X線が透過し易い方向と透過し難い方向とで照射線量や検出器感度を変化させてやると無駄のない計測が行なえる。つまり、X線が透過し難い方向では照射線量を上げ、透過し易い方向では照射線量を下げるという制御を行なう。前記の引用文献3,4には、直前の数投影分の計測データから次の投影における最適な照射線量および検出器感度を算出する方法についても記載されている。そして、引用文献3では、X線検出器としてX線I.I-カメラ系を用い、カメラの光学絞りを制御することにより検出器感度を制御しており、引用文献4では、X線検出器としてフラット・パネル・センサを用い、センサのアンプゲインを制御することで検出器感度を制御している。
【0026】
さて、上記の線量/感度制御を行なった場合、投影角毎にX線照射・計測条件を変化させつつ計測を行なっていることになる。従って、上記線量/感度制御を行なう従来のコーンビームX線断層撮影装置においては、投影角毎のX線照射・計測条件の補正がなされないために、再構成画像の定量性が保証されないばかりか、再構成画像上にアーチファクトが生じる。
【0027】
以上のことから、計測時のX線照射・計測条件に依存せずに再構成画像を得るための計測データ補正手段が必要である。また、特に各投影毎にX線照射・計測条件を制御する線量/感度制御を行なって計測した場合にも、それに対応しての計測データの補正手段が必要である。
【0028】
従って、本発明の目的は、計測時のX線照射・計測条件に依存せずに、良質の再構成画像を得ることのできるX線断層撮影方法及びその方法を実施するための装置を提供することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、
(1)被検体に照射するX線を放射するためのX線源と、上記被検体を透過したX線を投影データとして検出するため上記X線源に対向して配置された二次元X線検出器と、上記X線源と上記二次元X線検出器とを搭載して上記被検体の回りを回転するスキャナ部と、上記X線源による上記被検体へのX線の照射条件と上記二次元X線検出器による上記投影データの計測条件とを記録するための記録手段と、上記記録手段に記録された上記X線の照射条件と上記投影データの計測条件とを使用して上記二次元X線検出器により検出された上記投影データを補正するための補正手段とを具備してなるX線断層撮影装置が提供される。
上記の記録手段および補正手段を備えることにより、計測時のX線照射・計測条件に依存せずに、良質の再構成画像を得ることができる。
【0030】
(2)上記X線源としてX線管を用いた場合、上記したX線の照射条件とは、上記X線管により上記被検体にX線を照射する際の上記X線管の管電流値およびX線照射パルス幅であることができる。
(3)また、上記した投影データの計測条件とは、上記二次元検出器の検出感度であることができる。
(4)また、上記記録手段は、上記X線管の管電流値,X線照射パルス幅,および上記二次元検出器の検出感度,または、それらから計算により得られる値を記録しておく手段であることができる。
(5)上記の二次元X線検出器として光学絞りを備えた二次元X線検出器を用いた場合、上記した投影データの計測条件とは、上記光学絞りの開口面積(あるいは開口径)であることができる。
(6)上記の記録手段は、上記X線管の管電流値,X線照射パルス幅,および上記光学絞りの開口面積(あるいは開口径),または、それらから計算により得られる値を記録しておく手段であることができる。
(7)上記の二次元X線検出器は、光学絞り及び該光学絞りの開口面積(あるいは開口径)を制御するための駆動手段としてステッピング・モータを備えた二次元X線検出器であり、上記した投影データの計測条件とは、上記ステッピング・モータに入力する駆動信号値であることができる。
(8)上記の記録手段は、上記X線管の管電流値,X線照射パルス幅,および上記ステッピング・モータに入力する駆動信号値,または、それらから計算により得られる値を記録しておく手段であり、上記の補正手段は、上記記録手段に記録された上記駆動信号値からそれに対応する上記光学絞りの開口面積(あるいは開口径)を求める手段を備えたものとすることができる。
【0031】
なお、上記の補正手段による補正演算処理の詳細については、以下の実施例に関する説明の中で順次明らかにされよう。
【0032】
また、本発明によれば、
(9)X線源と上記X線源に対向して配置した二次元X線検出器とを被検体の回りに回転させながら、上記X線源から放射されるX線を上記被検体に照射し、上記被検体を透過したX線を上記二次元X線検出器により投影データとして検出する検出工程と、上記X線源による上記被検体への上記X線の照射条件と上記二次元X線検出器による上記投影データの計測条件とを記録する記録工程と、上記記録工程において記録された上記X線の照射条件と上記投影データの計測条件とを用いて上記検出工程で検出された投影データを補正する補正工程とを含んでなるX線断層撮影方法が提供される。
上記の記録工程および補正工程を備えることにより、計測時のX線照射・計測条件に依存せずに、常に良質の再構成画像を得ることができる。
(10)上記のX線源としてX線管を用いた場合、上記したX線の照射条件とは、上記X線管により上記被検体にX線を照射する際の上記X線管の管電流値およびX線照射パルス幅であることができる。
(11)また、上記した投影データの計測条件とは、上記二次元検出器の検出感度であることができる。
(12)上記した記録工程は、上記X線管の管電流値,X線照射パルス幅,および上記二次元検出器の検出感度,または、それらから計算により得られる値を記録しておく工程であることができる。
(13)上記の二次元X線検出器は、光学絞りを備えた二次元X線検出器であり、上記の投影データの計測条件とは、上記光学絞りの開口面積(あるいは開口径)であることができる。
(14)上記記録工程は、上記X線管の管電流値,X線照射パルス幅,および上記光学絞りの開口面積(あるいは開口径),または、それらから計算により得られる値を記録しておく工程であることができる。
(15)上記二次元X線検出器は、光学絞り及び該光学絞りの開口面積(あるいは開口径)を制御するための駆動手段としてステッピング・モータを備えた二次元X線検出器であり、上記した投影データの計測条件とは、上記ステッピング・モータに入力する駆動信号値であることができる。
(16)上記記録工程は、上記X線管の管電流値,X線照射パルス幅,および上記ステッピング・モータに入力する駆動信号値,または、それらから計算により得られる値を記録しておく工程であり、上記の補正工程は、上記記録工程において記録された上記駆動信号値からそれに対応する上記光学絞りの開口面積(あるいは開口径)を求める段階を含んでなる工程とすることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、実施例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
〈実施例1〉
図1に、本発明の第一の実施例になるX線断層撮影装置の概略構成を示す。本実施例になるX線断層撮影装置は、計測を行なう計測部1と、計測された画像データを処理するデータ処理部2と、計測部1及びデータ処理部2の双方の制御を行なう制御部3とを有する。計測部1のスキャナ4上には、X線源5および二次元X線検出器6が被検体7を間に挟んで互いに対向する位置に配置されている。なお、ここで使用しているX線検出器6は、X線I.I-カメラ系からなる二次元X線検出器である。
【0035】
図1の装置構成による計測方法について説明する。X線源5からX線8を放射させて被検体7に照射し、被検体7を透過したX線の強度を二次元X線検出器6により計測する。スキャナ4は回転中心軸9を回転中心として被検体7の回りを回転する。この時、スキャナ4が決められた角度を回転する毎に透過X線強度の計測を行なう。これを被検体7の全周にわたって繰り返して、合計百乃至数百組の透過X線強度画像データを収集する。それぞれの計測時点におけるスキャナ4の回転角位置を「投影角」と呼ぶ。
【0036】
本発明によるX線断層撮影装置では、特に、前記制御部3が、X線照射・計測条件記録手段15を有しており、これにより上記計測に際してのX線照射・計測条件を記録する。本発明におけるX線照射・計測条件とは、X線源(X線管)5の管電流,X線照射パルス幅,および検出器6の感度等の計測データのゲインを左右するパラメータを意味する。X線照射・計測条件記録手段15は、被検体7の投影画像データ及びエア・データを計測する際に、上記X線照射・計測条件を示すパラメータを記録する手段であり、具体的には、ハード・ディスク,半導体メモリ,光磁気ディスク等の記憶媒体である。また、上記のX線検出器6の感度とは、カメラの光学絞りの開口面積のことである。また、光学絞り開口面積そのものでなくとも、光学絞り開口面積をコントロールするサーボ・モータ等の駆動手段(光学絞り制御モータ17と呼ぶことにする)に入力する信号値(ステップ数)であってもよい。
【0037】
X線照射・計測条件記録手段15は、少なくともこれらのパラメータを再構成演算の前処理が行われるまで保持する。これらパラメータは再構成演算の前処理に際して利用される。ただし、エア・データは、二次元検出器6の感度むら補正のために必要なデータなので、二次元検出器6やX線源5を取り替える等の装置構成の変更がない限りは原則として変更する必要がなく、エア・データ計測時のX線照射・計測条件は何度も同一の条件を用いることができる。一般に、二次元検出器6としてX線I.I-カメラ系を用いたX線断層撮影装置は、同一の計測系で必要に応じて撮影視野サイズを切り替えることができるが、この場合には撮影視野サイズ毎に新たなエア・データが必要である。よって、装置毎に選択できる撮影視野サイズに応じた分だけエア・データを計測しておけば、後は、被検体7計測毎にエア・データを計測する必要はない。エア・データ計測時のX線照射・計測条件もその時々のものを記録しておいて、何度もそれらを利用する。
【0038】
次に、計測した透過X線強度画像データをディジタル化し、データ処理部2に送る。データ処理部2では、まず前処理部10において、ガンマ補正や画像歪み補正、対数変換、二次元検出器6の感度むら補正、前記投影データ補正等必要な前処理を加える。
【0039】
本発明によるX線断層撮影装置では、特に、データ処理部2における前処理部10が投影データ補正手段16を有しており、前記X線照射・計測条件記録手段15が保持しているX線照射・計測条件を利用して、投影データの補正を行なう(この投影データ補正法に関しては後述する)。最終的に前処理部10においてX線照射・計測条件が補正された投影データすなわちX線条件補正投影データは再構成演算手段11に送られる。
【0040】
以上のような前処理を行なって得られた全X線照射・計測条件補正投影データを基に再構成演算手段11において被検体7の視野領域内の三次元的なX線吸収係数分布を再構成する。この再構成演算方法としては、フェルドカンプ等によるコーンビーム再構成演算法等が知られている(前掲の引用文献1)。
【0041】
最終的には、画像化手段12において上記三次元再構成画像に対しボリュームレンダリング処理あるいは最大値投影処理等の画像処理を施して、画像表示手段13上に二次元画像として表示する。操作者はキーボード、マウス、トラック・ボール等の図示してない指示装置を介して、画像化手段12に対して観察したい視点、部位等のパラメータを入力し、所望の画像を得る。
【0042】
医師あるいは操作者は、上記二次元画像あるいは三次元再構成像に様々な処理を加え、これを利用して診断を下し、治療計画を立て、経過の観察を行なう。
【0043】
〈実施例2〉
次に、本発明の第二の実施例になるX線断層撮影装置の構成及び動作について説明する。本実施例では、二次元X線検出器6としてフォトダイオードとTFTスイッチ等を二次元的に配置してなるフラット・パネル・センサを用いている。この場合、二次元検出器6の感度とは、アンプゲインのことである。すなわち、X線管電流、X線照射パルス幅及びアンプゲインが、X線照射・計測条件を示すパラメータであり、本実施例2におけるX線照射・計測条件記録手段15は、被検体7およびエア・データを計測する際に、X線管電流、X線照射パルス幅及びアンプゲインを記録する手段であって、具体的には、ハード・ディスク、半導体メモリ、光磁気ディスク等の記憶媒体である。
【0044】
また、本実施例2における投影データ補正手段16は、上記のX線照射・計測条件、すなわちX線管電流、X線照射パルス幅及びアンプゲインを利用して投影データ補正を行なう(投影データ補正法の詳細については後述する)。
【0045】
なお、本実施例2におけるX線断層撮影装置の構成及び動作は、上記した部分を除けば、先の実施例1におけるX線断層撮影装置の場合と同様である。
【0046】
〈実施例3〉
次に、本発明の第三の実施例になるX線断層撮影装置の構成及び動作について示す。本実施例では、X線照射・計測条件記録手段15は、上記以外にも被検体7に照射されるX線の状態を左右する全てのパラメータ、あるいは二次元検出器6に入射されるX線の状態を左右する全てのパラメータ、あるいは計測部1からデータ処理部2に送られる計測データのゲインを左右する全てのパラメータ等を記録する手段である。
【0047】
本実施例3におけるX線照射・計測条件記録手段15は、被検体7及びエア・データを計測する際に、上記のパラメータを記録する手段であり、具体的には、ハード・ディスク、半導体メモリ、光磁気ディスク等の記憶媒体である。
【0048】
また、本実施例3における投影データ補正手段16は、上記のX線条件、すなわち上記のパラメータを利用して投影データ補正を行なう(投影データ補正法の詳細については後述する)。
【0049】
なお、本実施例3におけるX線断層撮影装置の構成及び動作は、上記の部分を除けば、先の実施例1におけるX線断層撮影装置場合と同様である。
【0050】
ここで、本発明におけるX線照射・計測条件の変動を補正するための計測データ補正法の原理を説明する。本発明における二次X線元検出器6を利用したX線断層撮影装置では、先に従来の技術として説明したリファレンス・データ自体を直接計測するのではなく、X線照射・計測条件を決めるパラメータを基に補正値Pcを計算し、これを用いて投影データ補正を行なう。
【0051】
二次X線元検出器6としてX線I.I-カメラ系を用いた先の実施例1においては、計測データのゲインは、X線管電流、X線照射パルス幅、カメラの光学絞り開口面積に比例する。そこで、被検体計測時のX線管電流をCo、X線照射パルス幅をTo、光学絞り開口面積をSoとし、エア・データ計測時のX線管電流をCa、X線照射パルス幅をTa、光学絞り開口面積をSaとすれば、次式により補正値Pcを得る。
Pc=log((Co・To・So)/(Ca・Ta・Sa))
【0052】
または、被検体計測時およびエア・データ計測時の光学絞り開口径をそれぞれLo、Laとすれば、次式によって補正値Pcを得る。
Pc=log((Co・To・Lo2)/(Ca・Ta・La2))
【0053】
または、光学絞り開口面積あるいは光学絞り開口径の代わりに、被検体計測時及びエア・データ計測時の光学絞り制御モータ17への入力信号値(ステップ数)をそれぞれNo、Naとすれば、次式によって補正値Pcを得る。
Pc=log((Co・To・Tbl(No))/(Ca・Ta・Tbl(Na)))
ただし、Tbl(N)は 光学絞り制御モータ17のステップ数Nから光学絞り開口面積を求める関数である。具体的には、光学絞り制御モータ17のステップ数と光学絞り開口面積との対応表であり、これは周知のテーブル参照手段により実現する。
【0054】
また、二次元検出器6としてフラット・パネル・センサを利用した先の実施例2においては、計測データのゲインは、X線管電流、X線照射パルス幅、アンプゲインに比例する。そこで、被検体計測時のX線管電流をCo、X線照射パルス幅をTo、アンプゲインをGoとし、エア・データ計測時のX線管電流をCa、X線照射パルス幅をTa、アンプゲインをGaとすれば、次式により補正値Pcを得る。
Pc=log((Co・To・Go)/(Ca・Ta・Ga))
【0055】
また、先の実施例3においては、被検体計測時及びエア・データ計測時の計測データのゲインを左右するパラメータを、それぞれ o1, o2, …、 a1, a2, …とし、それらのパラメータから被検体計測時及びエア・データ計測時の計測データのゲインを求めるための関数をそれぞれG(o1, o2, …)、G(a1, a2, …)とすると、次式によって補正値Pcを得る。
Pc=log(G(o1, o2, …)/G(a1, a2, …))
【0056】
以上のようにして先の実施例1〜3において求めた補正値Pcを用いて、次式によりX線照射・計測条件補正投影データPx(u,v)を求めることができる。これは、従来の一次元検出器14を用いたX線断層撮影装置において、計測したリファレンス・データから、リファレンス補正値Pref=log(Io(u0)/Ia(u0)) を求め、投影データ補正を行っていたことに相当する補正である(但し、従来の一次元検出器14を用いたX線断層撮影装置における投影データ補正に関する説明では、検出器14上での位置は座標(u)のみで指定されていたが、本発明におけるX線断層撮影装置においては、二次元検出器6を用いているため、検出器6上での位置は座標(u,v)によって指定される)。
Px(u,v)=−log(Io(u,v)/Ia(u,v))+Pc
【0057】
以上のようにして、先の実施例1〜3において、本発明におけるコーンビームX線断層撮影装置では、従来装置におけるように、直接リファレンス・データを計測することなくして、X線照射・計測条件を決めるパラメータを基にして投影データの補正を行なう。
【0058】
以上のようにして得られたX線照射・計測条件補正投影データPx(u,v)により再構成を行なえば、被検体計測時とエア計測時のX線照射・計測条件の違いが相殺される。よって、被検体計測時のX線照射・計測条件がどのようなものであれ、同一の被検体7に対しては、投影データPx(u,v)は同一の値となり、すなわち同一の再構成画像が得られる(但し、X線照射・計測条件が変われば、投影データ及び再構成画像のSNは変化する)。つまり、本発明によるX線断層撮影装置においては、計測時のX線照射・計測条件に拘らず再構成画像の定量性は保たれる。
【0059】
〈実施例4〉
本発明の第四の実施例になるX線断層撮影装置の構成及び動作について示す。本実施例は、計測中の線量/感度制御を行なうX線断層撮影装置に関するものである。線量/感度制御とは、投影角毎に最適なX線照射線量及び検出器6の感度制御を行なうことであり、同一のX線量総和に対して再構成画像のSNを最適化するか、あるいは、より少ないX線量総和に対して同一のSNを持つ再構成画像を得ようとするものである。X線断層撮影装置における線量/感度制御そのものの詳細に関しては、前掲の引用文献3及び4に記載されている。その概略を説明すると、引用文献3及び4に記載の線量/感度制御とは、各投影毎に照射X線量及び検出器感度を最適に制御することによって、同一照射線量においてのSNの向上を図ろうとする(あるいは、同一SNを得るのに、より低線量で済ませようとする)ものである。一般に、被検体7の厚さは、投影角毎に異なる。例えば、人体は横方向に延びた楕円形をしているので、横方向では体厚が厚く、前後方向では体厚が薄い。そこで、X線が透過し易い方向と透過し難い方向とで照射線量や検出器感度を変化させてやると無駄のない計測が行える。つまり、X線が透過し難い方向の時には照射線量を上げ、透過し易い方向の時は照射線量を下げるという制御を行なう。引用文献3及び4には、この照射線量及び検出器感度の制御を直前の数投影分の計測データから次の投影における最適な照射線量及び検出器感度を算出する方法についても記載されている。なお、引用文献3では、検出器としてX線I.I-カメラ系を用い、カメラがの光学絞りを制御することで検出器感度を制御しており、引用文献4では、検出器としてフラット・パネル・センサを用い、センサのアンプゲインを制御することで検出器感度を制御している。
【0060】
上記の引用文献3及び4に記載の従来の計測中の線量/感度制御を行なうX線断層撮影装置では、線量/感度制御を行なうことによって、投影毎にX線照射・計測条件を変化させつつ計測を行なっていた。既に説明したように、X線照射・計測条件の変動は再構成画像の定量性の低下をもたらしていた。また、特に計測中の線量/感度制御を行なうX線断層撮影装置では、投影角毎にX線照射・計測条件が変動し、これが補正されないがため、再構成画像上にアーチファクトが生じていた。
【0061】
そこで、本実施例4では、先の実施例1〜3で説明したようなX線照射・計測条件補正を各投影毎に行なうことにより上記の問題を解決する。これを実現するために、本実施例におけるX線断層撮影装置にも、先の実施例1〜3で説明したと同様のX線照射・計測条件記録手段15及び投影データ補正手段16を備えてある。但し、本実施例におけるX線照射・計測条件記録手段15は、被検体7及びエア・データを計測する際に、各投影毎にX線照射・計測条件を記録する手段である。但し、先の実施例1〜3で説明したX線照射・計測条件記録手段15では、被検体計測時及びエア・データ計測時のX線照射・計測条件を記録する領域を一組ずつ持つだけであったが、本実施例におけるX線照射・計測条件記録手段15では、上記の機能を実現するため、被検体計測時のX線照射・計測条件記録用に全投影数分の記録領域を持たせてある。一方、エア・データ計測時には線量/感度補正を行なわないので、一投影数分(すなわち、一組)のX線照射・計測条件記録領域を持たせるだけで済む。
【0062】
また、本実施例における投影データ補正手段16は、投影データの補正処理を行なう投影毎に対応するX線照射・計測条件を上記X線照射・計測条件記録手段15から読み出し、このX線照射・計測条件を基にして投影データ補正を行なう手段である。すなわち、本実施例における計測および処理は、次のようにして行なわれる(Np は全投影数)。
(1)先ず、被検体7を設置せずに、エア・データの計測を行なう。ここで、i番目(i=1,2,…,Np )におけるエア・データをIa(i,u,v)とする。なお、(u,v)は二次元検出器6の検出面上での位置座標である。エア・データ計測時には線量/感度制御は行なわないので、この時のアンプゲインGaをX線照射・計測条件記録手段15に記録する。
(2)次に、被検体7を設置して、線量/感度補正を行ないながら被検体計測を行なう。ここで、i番目の投影における被検体計測データをIo(i,u,v)とする。また、i番目の投影に対応したアンプゲインGo(i)をX線照射・計測条件記録手段15に記録する。
(3)次いで、投影データ補正手段16において、各投影i毎に、X線照射・計測条件補正を行なって、X線照射・計測条件補正投影データPx(i,u,v)=−log(Io(i,u,v)/Ia(i,u,v))+Pc(i)を得る。但し、補正値Pc(i)も、各投影i毎に、Pc(i)=log(Go(i)/Ga)として求める。
(4)i=1からi=Np になるまで、上記(2),(3)の処理を繰り返す。
【0063】
上記実施例では、エア・データも投影数Np分だけ計測したが、別の変形例においては、X線源5と二次元検出器6が固定されており、計測に際しては回転台上に設置された被検体7が回転する。この場合、エア・データは、1投影分だけ計測すれば済む。すなわち、上式において、Ia(i,u,v)=Ia(u,v);但し、i=1,2,…,Np と置き換えれば済む。
【0064】
また、更に別の変形例においては、X線照射・計測条件記録手段15は、上記のアンプゲインGo(i)を記録するのではなく、上記(2)の段階において、補正値Pc(i)=log(Go(i)/Ga)を計算し、それを記録して置き、上記(3)の段階では、直ちにこのPc(i)を用いて、X線照射・計測条件補正を行なう。
【0065】
また、上記のアンプゲインGa,Go(i)は、先の実施例1〜3において説明したように、エア・データ計測時におけるX線管電流をCa,X線照射パルス幅をTa,光学絞り開口面積をSa,光学絞り開口径をLa,光学絞り制御モータ17のステップ数をNa,アンプゲインをGaとし、被検体計測時におけるi番目の投影に際してのX線管電流をCo(i),X線照射パルス幅をTo(i),光学絞り開口面積をSo(i),光学絞り開口径をLo(i),光学絞り制御モータ17のステップ数をNo(i),アンプゲインをGo(i)とすれば、
Ga=Ca・Ta・Sa;かつ、
Go(i)=Co(i)・To(i)・So(i)
あるいは、
Ga=Ca・Ta・La2 ;かつ、
Go(i)=Co(i)・To(i)・(Lo(i))2
あるいは、
Ga=Ca・Ta・Tbl(Na);かつ、
Go(i)=Co(i)・To(i)・Tbl(No(i))
である。
【0066】
なお、先の実施例1〜4では、X線照射・計測条件として、X線管電流、X線照射パルス幅、検出器感度(光学絞り開口面積,光学絞り開口径,光学絞り制御モータ17のステップ数,或いはアンプゲイン)、或いはその他の計測データのゲインを決める全てのパラメータをX線照射・計測条件記録手段15が記録すると説明したが、場合によっては、これらのうちの一部のもののみを記録するだけでもよい。つまり、エア・データ計測時と被検体計測時との間、あるいは異なる被検体間等での異なる計測の間でX線照射・計測条件として変更するもののみを記録するだけでもよい。
【0067】
また、上記においては、被検体7が固定され、X線源5と検出器6が設置されたスキャナ4が被検体7の周囲を回転する構成のX線断層撮影装置について説明したが、逆に、スキャナ4側が固定され、回転テーブル上の被検体7が回転して計測を行なう構成のX線断層撮影装置であってもよいことは云うまでもない。
【0068】
図7に本発明によるX線断層撮影装置における処理の流れを示す。以下、図7の各ステップにおける処理の内容について説明する。
STEP101/エア・データ計測:被検体7を設置せずに、エア・データの計測を行なう。この時のX線照射・計測条件をX線照射・計測条件記録手段15により記録する。
STEP102/被検体計測:被検体7を設置して被検体計測を行なう。この時の各投影毎のX線照射・計測条件をX線照射・計測条件記録手段15により記録する。
STEP103/補正値の計算:各投影毎に、記録されたエア・データ計測時及び被検体計測時のX線照射・計測条件から補正値を求める。
STEP104/投影データ補正:各投影毎に、求めた補正値により投影データの補正を行なう。
STEP105/視野はみ出し補正:補正された投影データに対して視野はみ出し補正処理(外挿演算)を施す。
STEP106/フィルタ逆投影演算:視野はみ出し補正された投影データに対し、引用文献1に開示のフェルドカンプのコーンビーム再構成演算法に従って再構成演算処理を行なった後に、逆投影演算処理を行なう。
STEP107/終了判定:全投影データに対して処理を行なったかどうかを判定し、まだ全ての処理が終了していなければ、STEP103に戻って処理を繰り返す。
以上の過程により得られた再構成データをユーザの所望する形式で出力・表示させる。
【0069】
最後に、本発明の効果を実験により確認した結果を示す。
実験は、直径約16センチのアクリル製円筒に水を満たした模擬被検体(以下ファントム)を用いて行なわれた。上記ファントムには、空気を満たした中空の部位(以下エア部)も設けてあり、再構成画像から水の部位(以下水部)とエア部の値(CT値)を計測することによりCT値の定量性を調べることができる。検出器としてX線II−CCDカメラ系を用いたコーンビーム計測装置を用い、X線管電流を変化させて計測を行なって得られた再構成画像間での上記両部位のCT値を比較した。その他の条件は、管電圧120kV,X線照射パルス幅3msec,検出器アイリス径14mmで固定した。また、エア・データの計測条件はX線管電圧120kV,X線照射パルス幅5msec,アイリス径13mm,X線管電流5mAである。
図6に、各条件における水部,エア部のCT値をグラフ化して示した。水部,エア部共に、補正前は管電流の増加に従いCT値が低下しており、CT値の変動幅が200HU程度あるのに対して、補正後はCT値の変動幅が20HU程度に減少している。
以上の結果より、本発明によって、計測時のX線照射・計測条件に依存せずに一定した再構成画像が得られる、すなわち再構成画像の定量性が向上すると云う効果が得られることが確認された。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、計測時のX線照射・計測条件に依存しない再構成画像を得ることができる。また、特にSNを向上する目的を持って各投影毎にX線照射量と検出器感度とを制御する計測を行なった場合でもアーチファクトが発生しない。また、本発明によれば、リファレンス・データを計測すること無しに上記の効果を達成できるので、二次元X線検出器の受光面積を拡大したり、リファレンス・データ計測用の特別な検出器を付設する等の必要もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるX線断層撮影装置の概略構成を示す図,
【図2】従来の二次元検出器を用いたX線断層撮影装置の概略構成を示す図,
【図3】従来の一次元検出器を用いたX線断層撮影装置におけるリファレンス・データ計測を説明する図,
【図4】従来の二次元検出器を用いたX線断層撮影装置における検出器視野の制限によるデータの欠落とその補正方法を説明する図,
【図5】従来の二次元検出器を用いたX線断層撮影装置における計測データのゲイン変動による外挿曲線形状の変化を説明する図,
【図6】本発明の効果を確認するための実験結果を示すグラフ図,
【図7】本発明によるX線断層撮影装置における処理の流れを示すフローチャート図。
【符号の説明】
1…計測部, 2…データ処理部,
3…制御部, 4…スキャナ,
5…X線源, 6…二次元X線検出器,
7…被検体, 8…X線,
9…回転中心軸, 10…前処理部,
11…再構成演算手段, 12…画像化手段,
13…画像表示手段, 14…一次元X線検出器,
15…X線照射・計測条件記録手段,16…投影データ補正手段,
17…光学絞り制御モータ。

Claims (2)

  1. X線を放射するためのX線源と、
    被検体を透過したX線及び上記被検体を設置しないときのX線を投影データとして検出するために上記X線源に対向して配置された二次元X線検出器と、
    上記X線源と上記二次元X線検出器とを搭載して上記被検体の回りを回転するスキャナ部と、
    上記X線源による上記被検体へのX線の第1照射条件と上記二次元X線検出器による上記投影データの第1計測条件と上記被検体を設置しないときのX線の第2照射条件及び上記二次元X線検出器による上記投影データの第2計測条件とを記録するための記録手段と、
    上記記録手段に記録された上記第1照射条件、上記第2照射条件、上記第1計測条件、及び上記第2計測条件とから、上記被検体を透過したX線の投影データを補正するための補正手段と、
    上記補正手段によって補正された投影データに視野はみ出し補正を行う手段と、
    上記視野はみ出し補正を行う手段によって補正された投影データに再構成演算処理を行う手段とを具備し、上記第 1 照射条件及び上記第 2 照射条件は X 線管電流及び X 線照射パルス幅であり、上記第 1 計測条件及び第 2 計測条件は上記二次元X線検出器の感度に係る光学絞り開口面積、光学絞り開口径、光学絞り制御モータのステップ数、あるいはアンプゲインであることを特徴とするX線断層撮影装置。
  2. X線源と該X線源からのX線を検出する二次元X線検出器を搭載したスキャナを用い、該スキャナを被検体の周囲で回転させることにより上記被検体の周囲の複数の投影角方向から上記被検体に上記X線を照射して上記被検体の複数の透過X線像を投影データとして計測し、この複数の透過X線像を用いて上記被検体内のX線吸収係数の三次元分布像を再構成するX線断層撮影装置であって、
    上記の被検体計測のときに、上記複数の投影角毎に上記X線源によるX線の第1照射条件と上記二次元X線検出器によるX線の第1計測条件との双方或いはいずれか一方を変化させつつ計測を行い、上記被検体計測のときの上記複数の投影角毎の上記第1照射条件および上記第1計測条件と上記被検体を設置しないときの上記X線源によるX線の第2照射条件と上記二次元X線検出器によるX線の第2計測条件とを記録するためのX線照射・計測条件記録手段と、
    該X線照射・計測条件記録手段に記録された上記第1照射条件、上記第1計測条件、上記第2照射条件及び上記第2計測条件とを用いて上記二次元X線検出器で計測した上記投影データを各投影角毎に補正する投影データ補正手段と、
    上記補正手段によって補正された投影データに視野はみ出し補正を行う手段と、
    上記視野はみ出し補正を行う手段によって補正された投影データに再構成演算処理を行う手段とを具備し、上記第 1 照射条件及び上記第 2 照射条件は X 線管電流及び X 線照射パルス幅であり、上記第 1 計測条件及び第 2 計測条件は上記二次元X線検出器の感度に係る光学絞り開口面積、光学絞り開口径、光学絞り制御モータのステップ数、あるいはアンプゲインであることを特徴とするX線断層撮影装置。
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