JP3856999B2 - 通信型ナビゲーションシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地図データを配信する通信型ナビゲーションシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は、例えば特開平10−260048号公報に記載の従来の通信型ナビゲーションシステムの構成図である。図において、端末1は地図を表示するための表示装置3と、GPSなどの現在位置を検出するための位置検出装置4と、サーバ2と通信を行うための通信装置6と、から構成される。
【0003】
また、サーバ2は、地図情報と、それに関連する各種の情報を保持するための地図記憶装置8と、端末1からの要求に応じた地図を地図記憶装置8から取り出すための地図選択装置9と、端末1と通信を行うための通信装置12と、から構成される。
【0004】
この通信型ナビゲーションシステムでは、地図情報がそのまま送信されているため、通信データ量は地図情報のデータ量にほぼ比例する。地図情報は一般にデータ量が非常に大きいため、上述の従来の方式では、通信データ量が非常に大きく、これに伴い、応答速度が遅い、通信コストが大きいなどの問題が発生する。このため、通信型ナビゲーションシステムでは、送信する地図情報のデータ量を削減することが大きな課題となる。ただし、ユーザに提供する情報量はできる限り削減しないようにすることが望ましい。
【0005】
この課題を解消するために、通信データ量の削減を目指したシステムとして、例えば特開平10−312452号公報に記載の従来の通信型ナビゲーションシステムがある。このシステムでは地図の簡略化を行うことにより、ユーザに提供する情報量を確保しつつ通信データ量の削減を行っている。しかし、再利用することを考慮していないため、1回あたりの通信データ量の削減は実現できているものの、ナビゲーション全体での通信データ量の削減には結びついていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように従来の通信型ナビゲーションシステムでは、地図情報のデータ量が大きいため、通信データ量が多くなり、応答速度が遅い、通信コストが大きいなどの問題点があった。またこの課題を解消するために特開平10−312452号公報に記載のシステムも考えられているが、このシステムでは地図の簡略化は行っているものの、再利用することを考慮していないため、ナビゲーション全体の通信データ量の削減には結びついていない。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、ユーザ(端末)に送信する地図情報などの量を削減し、また、ユーザ(端末)が必要とする情報量を確保しつつ、ナビゲーション全体の通信データ量を削減することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る通信型ナビゲーションシステムは、車に搭載され又は歩行者に携帯された端末と、この端末により要求された地図情報を上記端末に送信するサーバとを備え、
上記端末は、一定時間毎に現在位置の位置情報を検出し上記サーバに送信し、
上記サーバは、各種の縮尺で示される地図情報が格納された地図記憶手段と、
速度情報の種別で道路の種別を決め、上記端末から送信された上記位置情報と上記地図記憶手段に格納された地図情報とに基いて上記端末がいる上記道路の種別を検出する道路検出手段と、
予め上記道路の種別と選択する縮尺との対応を決めておき、上記端末から送信された上記位置情報に基いて上記道路検出手段が検出した上記道路の種別を得て、対応した上記縮尺で示される地図情報を上記地図記憶手段から選択する地図選択手段と、
上記地図選択手段により選択された上記縮尺で示される地図情報を上記端末に送信する制御手段と、を備え、
上記端末は、上記サーバにより送信された上記縮尺で示される地図情報を表示するようにした。
【0009】
また更に、サーバの地図選択手段は、速度情報の種別として、有料道路を上位とした有料・無料道路情報、速度が速い方を上位とした制限速度情報、幅の広い方を上位とした幅員情報、車線数の多い方を上位とした車線数情報、のいずれか一つ、または複数を定め、該定めた道路の種別に対応する縮尺の地図情報を選択するようにした。
【0010】
また更に、サーバは、上記端末に既に送信したことのある地図情報を送信履歴として格納する履歴記憶手段を備え、
制御手段は、地図選択手段により選択された地図情報と上記履歴記憶手段に記憶された地図情報とを比較し、未送信の地図情報を上記端末に送信するようにした。
【0013】
また更に、サーバは、上記端末により送信された位置情報とこの位置情報取得の時間間隔とから上記端末の走行中の速度を求める速度検出手段を備え、
地図選択手段は、上記端末の走行中の速度が所定の速度以上であれば、速度情報の種別における上位の道路の種別に対応する縮尺の地図情報のみを選択し、上記端末の走行中の速度が所定の速度未満であれば、別に対応を定めた縮尺の地図情報を選択するようにした。
【0015】
また更に、サーバは、上記端末により送信された位置情報とこの位置情報取得の時間間隔とから上記端末の走行中の速度と加速度とを求める速度検出手段を備え、
地図選択手段は、上記端末の走行中の速度が所定の速度以上であれば、速度情報の種別における上位の道路の種別に対応する縮尺の地図情報のみを選択し、上記端末の走行中の速度が所定の速度未満で、かつ上記端末の走行中の加速度が所定の範囲内のときには、別に対応を定めた縮尺の地図情報を選択するようにした。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の通信型ナビゲーションシステムの構成図である。図において、1は地図情報などを表示する端末、2はその地図情報などを提供するサーバである。端末1とサーバ2は、無線などの通信手段によって接続されている。例えば、端末1は自動車や二輪車などに搭載、もしくは、歩行者に携帯され、サーバ2はインターネット上や情報センタ、家庭などに設置される。
【0018】
端末1の構成は次のとおりである。3は地図情報などを表示に関するパラメータに応じてユーザに対して表示する表示装置、4は端末の現在位置を検出する位置検出装置、5はサーバ2から取得した地図情報などを保持する記憶装置、6はサーバ2とデータ交換を行う通信装置、7はこれらの装置を制御する制御装置である。
【0019】
サーバ2の構成は次のとおりである。8は地図情報などを保持する地図記憶装置、9は位置情報に応じた地図情報などを地図記憶装置から取り出し、簡略化に関するパラメータに応じて簡略化する地図選択装置、10は位置情報から端末が現在走行中の道路を検出する道路検出装置、11は位置情報や端末に送信した地図情報などの履歴を保持する履歴記憶装置、12は端末とデータ交換を行うための通信装置、13はこれらの装置を制御するための制御装置である。
【0020】
次に、動作について説明する。図2は実施の形態1の通信型ナビゲーションシステムの処理の流れを示すフローチャートである。
まず、端末1は、現在の位置情報を検出しサーバ2に送信する(ステップS1)。次に、位置情報を受け取ったサーバ2は、その位置情報に応じた地図情報などを、簡略化に関するパラメータに応じて簡略化し、表示方法に関するパラメータとともに端末1に送信する(ステップS2)。ここで、送信する情報としては、地図情報のほか、経路情報、交通情報(渋滞情報、工事情報など)、施設情報(駐車場情報、レストラン情報、ガソリンスタンド情報など)などの地図情報に付帯するものがある。各実施の形態中では、これらを含めて「地図情報など」という語句で記載した。
【0021】
地図情報などを受け取った端末1は、表示方法に関するパラメータに応じてサーバ2より送られた情報を表示する(ステップS3)。以上の処理を繰り返し行うことにより、ナビゲーションを実現する。
【0022】
次に、端末1の処理動作について説明する。図3は端末1における処理の流れを示すフローチャートである。
まず、端末1の位置検出装置4では一定時間毎に現在位置の位置情報を検出し、制御装置7に渡す。(ステップS11)。ここで、例えば、位置検出装置4としてはGPSなど、位置情報としては緯度経度などが用いられる。
【0023】
制御装置7では、受け取った位置情報を通信装置6を通してサーバ2に送信する(ステップS12)。また、このとき端末を識別するための端末識別情報も同様にしてサーバ2に送信する。ここで、例えば、通信装置6としてはパケット通信機能を持つ携帯電話などが用いられる。
【0024】
次に、送信した位置情報に応じた地図情報などと地図情報などを表示するために使用する表示方法に関するパラメータが、サーバ2から通信装置6を通して制御装置7に返される(ステップS13)。制御装置7では、受け取った地図情報などを記憶装置5に格納し(ステップS14)、表示装置3に位置情報と表示方法に関するパラメータを渡す(ステップS15)。例えば、地図情報には道路地図のほか施設情報などが、また、表示方法に関するパラメータには補正された位置情報や縮尺に関する情報などが含まれている。
【0025】
位置情報を受け取った表示装置3は、地図情報などを表示方法に関するパラメータに応じて記憶装置5から取り出し表示する(ステップS16)。
【0026】
次に、サーバ2の処理動作について説明する。図4はサーバ2における処理の流れを示すフローチャートである。
まず、通信装置12を通して受信した位置情報は制御装置13に渡される(ステップS21)。制御装置13では、受け取った位置情報、及び、端末を識別するための情報を履歴記憶装置11、道路検出装置10、地図選択装置9に渡す(ステップS22)。
【0027】
次に、履歴記憶装置11では、渡された位置情報を端末毎に記録する(ステップS23)。即ち、履歴記憶装置11は、位置検出装置4で一定時間毎に検出された位置情報を端末毎に記録した情報が格納されている。ここで、履歴記憶装置11としてはハードディスクなどが用いられる。
【0028】
次に、道路検出装置10では、渡された位置情報と、地図記憶装置8上の地図情報と、履歴記憶装置11に記録された履歴情報とから、現在走行中の道路の種別を検出し、地図選択装置9に渡す(ステップS24)。また、必要に応じて、位置情報を補正し、制御装置13に渡す。
【0029】
次に、地図選択装置9では、渡された位置情報に応じた地図情報などを地図記憶装置8から取り出す(ステップS25)。これは、一般的にナビゲーション用の地図情報などはメッシュ単位で格納されており、渡された位置情報即ち現在の位置に応じたメッシュ単位の地図情報などを取り出すことを示している。なお、縮尺は任意の大きさを使用する。
【0030】
さらに、地図選択装置9では、渡された走行中の道路の種別(簡略化に関するパラメータ)に応じて、適切な形に地図情報などを簡略化し、縮尺とともに制御装置13に渡す(ステップS26)。これは、上記の取り出されたメッシュ単位の地図情報など(ここではまだすべての情報が含まれている)に対して階層化のためのルールを適用し、階層化された地図情報などを作成する。そして、その地図情報などに対して簡略化(選択)にためのルールを適用し、簡略化(選択)された地図情報など作成することを示している。
即ち、地図選択装置9では、渡された位置情報即ち現在の位置に基づいてメッシュ単位の地図情報などを取り出した後に、現在走行中の道路の種別に基づいて地図情報の簡略化を行う。
【0031】
次に、制御装置13では、渡された地図情報などと端末毎に記録されている送信履歴とを比較し、まだ送信していない地図情報のみを通信装置12を通して端末1に送信する(ステップS27)。
また、制御装置13では、受け取った適当な形に簡略された地図情報などとともに、補正された位置情報、縮尺などを表示方法に関するパラメータとしてまとめ、通信装置12を通して端末1に送信する(ステップS28)。
【0032】
上記のサーバ2の処理動作中のステップS26において、地図選択装置9が走行中の道路の種別に応じて、適切な形に地図情報などを簡略化する方法は次のとおりである。
道路の種別に関する情報としては、有料/無料、制限速度、幅員、車線数などがある。このうちのすべて、もしくは、一部の情報を用いて階層化を行う。階層の上位下位の関係は、有料/無料の場合有料が上位、制限速度の場合高速な方が上位、幅員の場合広い方が上位、車線数の場合多い方が上位となる。
【0033】
そして、ある階層の道路を走行中の場合、その階層より下の階層の道路に関する情報を簡略化の対象として送信対象外とする。これは、ユーザが必要とする情報は走行中の道路の種別に依存し、走行中の道路よりも詳細な情報(下の階層の道路に関する情報)は通常必要ではない、と考えられるためである。例えば、道路の種別を有料/無料と制限速度の情報を用いて、次の(1)から(4)のような分類で階層化したとする。
【0034】
(1)高速道路、有料道路。
(2)制限速度が50km/h以上の(1)以外の道路。
(3)制限速度が30km/h以上、50km/h未満の道路。
(4)制限速度が30km/h未満の道路。
この場合、高速に走行することが可能な道路を走行している場合には、それより細い道路に関する情報は必要がない、と考えられるため、現在走行中の道路に応じて、次のように地図情報などを選択する。
【0035】
・走行中の道路の階層が上記(1)の場合は(1)に関する情報のみ。
・走行中の道路の階層が上記(2)の場合は(1)と(2)に関する情報。
・走行中の道路の階層が上記(3)の場合は(1)と(2)と(3)に関する情報。
・走行中の道路の階層が上記(4)の場合はすべてに関する情報。
【0036】
以上のように本実施の形態によれば、ユーザ(端末)が必要とする情報量を確保しつつ、送信する地図情報などの量を削減することが可能になる。また、履歴情報を利用することにより、ナビゲーション全体で送信する地図情報などの量を削減することが可能になる。
【0037】
実施の形態2.
実施の形態2の通信型ナビゲーションシステムの構成は図1と同様であり、同一符号を用いて説明を行う。また、端末1における処理の流れは実施の形態1と同様である。実施の形態2では、実施の形態1で示した図4のフローチャートのステップS25で行われるサーバ2の処理が異なる。
【0038】
本実施の形態の地図選択装置9では、渡された位置情報に応じた地図情報などを、渡された現在走行中の道路の種別に応じた縮尺で地図記憶装置8から取り出す。ここで、地図選択装置9における走行中の道路の種別に応じた縮尺の決定方法は次のとおりである。
【0039】
道路の種別による階層化の方法は実施の形態1と同様である。そして、ある階層の道路を走行中の場合、その階層に応じた縮尺を選択する。これは、ユーザが必要とする地図の縮尺は走行中の道路の種別に依存する、と考えられるためである。例えば、道路の種別を実施の形態1で示したように階層化したとする。また、地図の縮尺は次のとおりであるとする。
【0040】
(a)縮尺10、000分の1。
(b)縮尺25、000分の1。
(c)縮尺50、000分の1。
(d)縮尺100、000分の1。
この場合、現在走行中の道路の階層に応じて、次のように地図情報などを選択する。
・走行中の道路の階層が上記(1)の場合は上記(d)の縮尺の情報。
・走行中の道路の階層が上記(2)の場合は上記(c)の縮尺の情報。
・走行中の道路の階層が上記(3)の場合は上記(b)の縮尺の情報。
・走行中の道路の階層が上記(4)の場合は上記(a)の縮尺の情報。
【0041】
以上の方法により、ユーザ(端末)が必要とする情報量を確保しつつ、送信する地図情報などの量を削減することが可能になる。また、ユーザ(端末)の走行中の道路の種別に依存する、ユーザ(端末)が必要とする最適な縮尺の地図情報をサーバが端末に送信することができる。
【0042】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3の通信型ナビゲーションシステムの構成図であり、図1と同一符号は同一又は相当部分を示し説明を省略する。実施の形態3の端末の構成と処理の流れは実施の形態1と同様である。実施の形態3のサーバ2の構成は、実施の形態1に加えて、位置情報とその履歴から速度を検出する速度検出装置14を持つ。
【0043】
本実施の形態におけるサーバ2の処理の流れは、実施の形態1で示した図4のフローチャートのステップS24の後に、速度検出装置14で行われる次の処理工程が入る。速度検出装置14では、渡された位置情報と履歴記憶装置11上の履歴情報とから、走行中の速度を検出し、地図選択装置9に渡す。即ち、速度検出装置14では、渡された位置情報と履歴記憶装置11に格納されているこの渡された位置情報の一つ前の位置情報とから走行中の速度を検出し、地図選択装置9に渡す。
【0044】
次に、図4のフローチャートのステップS25と同様の処理が行われ、その後、図4のフローチャートのステップS26に対応する処理として、次の処理が行われる。即ち、地図選択装置9では、渡された走行中の道路の種別と走行中の速度に応じて、適切な形に地図情報などを簡略化し、縮尺とともに制御装置13に渡す。
【0045】
ここで、サーバ2の処理の中で、走行中の速度の検出方法は次のとおりである。渡された位置情報、及び、履歴記憶装置11上の位置情報を位置情報を入手した時間の逆順にならべたものをP1、P2、...とする。また、位置情報取得の時間間隔をT秒とする。さらに、2点間の距離を求めるための関数d[m]=F(Px,Py)が定義されているものとする。
【0046】
このとき、走行中の速度V[Km/h]は次式のように求められる。
V=F(P1,P2)/T*3.6 (式1)
【0047】
ただし、誤差が大きく発生する場合(Tが小さい場合)には、誤差が小さくなるように次の式のnを設定して求める。
V={Fd(P1,P2)+Fd(P2,P3)+・・・+Fd(Pn,Pn+1)}/n*T*3.6 (式2)
【0048】
サーバ2の地図選択装置9における走行中の道路の種別と走行中の速度に応じた簡略化の方法は次のとおりである。道路の種別による階層化の方法は実施の形態1と同様である。そして、ある階層の道路を走行中の場合、その階層より下の階層の道路に関する情報を簡略化の対象とする。ただし、ある程度低速に走行している場合には、その階層より一つ下の階層の道路に関する情報を簡略化の対象から外す。
【0049】
これは、ユーザが必要とする情報は走行中の道路の種別に依存し、走行中の道路よりも詳細な情報(下の階層の道路に関する情報)は通常必要ではない。ただし、ある程度低速に走行している場合には、渋滞など走行を妨げる何らかの事態が発生しているため、より詳細な情報(近傍の道路に関する情報)を必要とする、と考えられるためである。例えば、道路の種別を実施の形態1で示したように階層化したとする。この場合、現在走行中の道路の階層と走行中の速度に応じて、次のように地図情報などを選択する。
【0050】
・走行中の道路の階層が上記(1)の場合は(1)に関する情報のみ。
・走行中の道路の階層が上記(2)の場合で、
走行中の速度が制限速度の50%以上の場合は(1)と(2)に関する情報。
走行中の速度が制限速度の50%未満の場合は(1)と(2)と(3)に関する情報。
・走行中の道路の階層が上記(3)の場合で、
走行中の速度が制限速度の50%以上の場合は(1)と(2)と(3)に関する情報。
走行中の速度が制限速度の50%未満の場合はすべてに関する情報。
・走行中の道路の階層が上記(4)の場合はすべてに関する情報。
【0051】
以上の方法により、ユーザ(端末)が必要とする情報量を確保しつつ、送信する地図情報などの量を削減することが可能になる。
【0052】
実施の形態4.
実施の形態4の通信型ナビゲーションシステムの構成は図5と同様である。また、端末における処理の流れは実施の形態3と同様である。実施の形態4では、実施の形態3で図4のフローチャートのステップS24の後に行われた速度検出装置14の処理工程の後に、図4のフローチャートのステップS25に対応する次の地図選択装置9の処理が行われる。
【0053】
本実施の形態の地図選択装置9では、渡された位置情報に応じた地図情報などを、渡された現在走行中の道路の種別と走行中の速度に応じた縮尺で地図記憶装置8から取り出す。ここで、地図選択装置9における走行中の道路の種別と走行中の速度に応じた縮尺の決定方法は次のとおりである。
【0054】
道路の種別による階層化の方法は実施の形態1と同様である。そして、ある階層の道路を走行中の場合、その階層に応じた縮尺を選択する。ただし、ある程度低速に走行している場合には、一つ下の階層に応じた縮尺を選択する。これは、ユーザが必要とする地図の縮尺は走行中の道路の種別に依存するが、ただし、ある程度低速に走行している場合には、渋滞など走行を妨げる何らかの事態が発生しているため、より詳細な情報を必要とする、と考えられるためである。
【0055】
例えば、道路の種別を実施の形態1で示したように階層化したとする。また、地図の縮尺が実施の形態2で示したとおりであるとする。この場合、現在走行中の道路の階層と走行中の速度に応じて、次のように地図情報などを選択する。
【0056】
・走行中の道路の階層が上記(1)の場合は上記(d)の縮尺情報。
・走行中の道路の階層が上記(2)の場合で、
走行中の速度が制限速度の50%以上の場合は上記(c)の縮尺情報。
走行中の速度が制限速度の50%未満の場合は上記(b)の縮尺情報。
・走行中の道路の階層が上記(3)の場合で、
走行中の速度が制限速度の50%以上の場合は上記(b)の縮尺情報。
走行中の速度が制限速度の50%未満の場合は上記(a)の縮尺情報。
・走行中の道路の階層が上記(4)の場合は上記(a)の縮尺情報。
【0057】
以上の方法により、ユーザ(端末)が必要とする情報量を確保しつつ、送信する地図情報などの量を削減することが可能になる。また、ユーザ(端末)の走行中の道路の種別と走行中の速度とに依存する、ユーザ(端末)が必要とする最適な縮尺の地図情報をサーバが端末に送信することができる。
【0058】
実施の形態5.
実施の形態5の端末の構成と処理の流れは実施の形態3と同様である。実施の形態5では、実施の形態3で述べた速度検出装置14が、位置情報とその履歴から速度と加速度を検出するものである。本実施の形態におけるサーバ2の処理の流れは、実施の形態3の速度検出装置14及び地図選択装置9での処理内容が次のように変わったものである。
【0059】
本実施の形態の速度検出装置14では、渡された位置情報と履歴記憶装置11上の履歴情報から、走行中の速度と加速度を検出し、地図選択装置9に渡す。さらに、地図選択装置9では、渡された走行中の道路の種別と、走行中の速度と、加速度とに応じて、適切な形に地図情報などを簡略化し、縮尺とともに制御装置13に渡す。
【0060】
ここで、走行中の速度と加速度の検出方法は次のとおりである。即ち、渡された位置情報、及び、履歴記憶装置11上の位置情報を時間の逆順にならべたものを P1、P2、...とする。また、位置情報取得の時間間隔をT秒とする。さらに、2点間の距離を求めるための関数d[m]=F(Px,Py)が定義されているものとする。このとき、走行中の速度Vm[Km/h]は次式のように求められる。
【0061】
Vm=Fd(Pm,Pm+1)/T*3.6 (式3)
すると、走行中の加速度 A[Km/h/秒]は次式のように求められる。
A=(V1−V2)/T (式4)
ただし、誤差が大きく発生する場合(Tが小さい場合)には、誤差が小さくなるように次式のnを設定して求める。
Vm={Fd(Pm,Pm+1)+Fd(Pm+1,Pm+2)+・・・+Fd(Pm+n,Pm+n+1)}/n*T:3.6 (式5)
【0062】
また、地図選択装置9における走行中の道路の種別と、走行中の速度と、加速度とに応じた簡略化の方法は次のとおりである。道路の種別による階層化の方法は実施の形態1と同様である。そして、ある階層の道路を走行中の場合、その階層より下の階層の道路に関する情報を簡略化の対象とする。ただし、ある程度低速に走行している場合には、その階層より一つ下の階層の道路に関する情報を簡略化の対象から外す。
【0063】
これは、ユーザが必要とする情報は走行中の道路の種別に依存し、走行中の道路よりも詳細な情報 (下の階層の道路に関する情報) は通常必要ではない、ただし、ある程度低速に走行している場合で、加速度の絶対値が小さい場合(つまり速度の変化がない場合)には、渋滞など走行を妨げる何らかの事態が発生しているため、より詳細な情報(近傍の道路に関する情報)を必要とする、と考えられるためである。
【0064】
例えば、道路の種別を実施の形態1で示したように階層化したとする。この場合、現在走行中の道路の階層と走行中の速度、加速度に応じて、次のように地図情報などを選択する。
【0065】
・走行中の道路の階層が上記(1)の場合は(1)に関する情報のみ。
・走行中の道路の階層が上記(2)の場合で、
走行中の速度が制限速度の50%以上の場合は(1)と(2)に関する情報。
走行中の速度が制限速度の50%未満の場合で、
走行中の加速度が−10Km/h/秒未満もしくは10Km/h/秒以上の場合は(1)と(2)に関する情報。
走行中の加速度が−10Km/h/秒以上10km/h/秒までの場合は(1)と(2)と(3)に関する情報。
【0066】
・走行中の道路の階層が上記(3)の場合で、
走行中の速度が制限速度の50%以上の場合は(1)と(2)と(3)に関する情報。
走行中の速度が制限速度の50%未満の場合で、
走行中の加速度がが−10Km/h/秒未満もしくはが10Km/h/秒以上の場合は(1)と(2)と(3)に関する情報。
走行中の加速度が−10Km/h/秒以上が10Km/h/秒までの場合はすべてに関する情報。
・走行中の道路の階層が上記(4)の場合はすべてに関する情報。
【0067】
以上の方法により、ユーザ(端末)が必要とする情報量を確保しつつ、送信する地図情報などの量を削減することが可能になる。
【0068】
実施の形態6.
実施の形態6の通信型ナビゲーションシステムの構成は図5と同様である。また、端末における処理の流れは実施の形態5と同様である。本実施の形態では、サーバ2における地図選択装置9の処理動作のみが実施の形態5と異なる。
【0069】
本実施の形態の地図選択装置9では、渡された位置情報に応じた地図情報などを、渡された現在走行中の道路の種別と、走行中の速度と、加速度とに応じた縮尺で地図記憶装置8から取り出す。ここで地図選択装置9における走行中の道路の種別と走行中の速度に応じた縮尺の決定方法は次のとおりである。
【0070】
道路の種別による階層化の方法は実施の形態1と同様である。そして、ある階層の道路を走行中の場合、その階層より下の階層の道路に関する情報を簡略化の対象とする。ただし、ある程度低速で、かつ加速度が所定の範囲内で走行している場合には、その階層より一つ下の階層の道路に関する情報を簡略化の対象から外す。
【0071】
これは、ユーザが必要とする地図の縮尺は走行中の道路の種別に依存するが、ただし、ある程度低速に走行している場合で、加速度の絶対値が小さい場合(つまり速度の変化がない場合)には、渋滞など走行を妨げる何らかの事態が発生しているため、より詳細な情報を必要とする、と考えられるためである。例えば、道路の種別を実施の形態1で示したように階層化したとする。
【0072】
また、地図の縮尺が実施の形態2のとおりであるとする。この場合、現在走行中の道路の階層と走行中の速度、加速度に応じて、次のように地図情報などを選択する。
【0073】
・走行中の道路の階層が上記(1)の場合は上記(d)の縮尺情報。
・走行中の道路の階層が上記(2)の場合で、
走行中の速度が制限速度の50%以上の場合は上記(c)の縮尺情報。
走行中の速度が制限速度の50%未満の場合で、
走行中の加速度が−10Km/h/秒未満もしくは10Km/h/秒以上の場合は上記(c)の縮尺情報。
走行中の加速度が−10Km/h/秒以上、10Km/h/秒までの場合は上記(b)の縮尺情報。
【0074】
・走行中の道路の階層が上記(3)の場合で、
走行中の速度が制限速度の50%以上の場合は上記(b)の縮尺情報。
走行中の速度が制限速度の50%未満の場合で、
走行中の加速度が−10Km/h/秒未満もしくは10Km/h/秒以上の場合は上記(b)の縮尺情報。
走行中の加速度が−10Km/h/秒以上、10Km/h/秒までの場合は上記(a)の縮尺情報。
・走行中の道路の階層が上記(4)の場合は上記(a)の縮尺情報。
【0075】
以上の方法により、ユーザ(端末)が必要とする情報量を確保しつつ、送信する地図情報などの量を削減することが可能になる。また、ユーザ(端末)の走行中の道路の種別と走行中の速度と走行中の加速度とに依存する、ユーザ(端末)が必要とする最適な縮尺の地図情報をサーバが端末に送信することができる。
【0076】
実施の形態7.
実施の形態7の通信型ナビゲーションシステムの構成は図1と同様である。また、基本的な処理の流れは実施の形態1と同様である。本実施の形態では、サーバ2の地図選択装置9が行う走行中の道路の種別に応じた簡略化の方法は次のとおりである。
【0077】
ここで、道路の種別による階層化の方法は実施の形態1と同様である。そして、ある階層の道路を走行中の場合、その階層に応じた抽象化を行う。これは、ユーザが必要とする情報は走行中の道路の種別に依存し、ある程度整備された道路を走行中には、次のIC(インターチェンジ)名や交差点名と距離というような抽象化された情報(地図情報以外の情報)で十分である、と考えられるためである。
【0078】
ただし、下の階層の道路の場合、交差点名がつけられていないことが多いため、その場合には抽象化は行わない。例えば、道路の種別を実施の形態1で示したように階層化したとする。この場合、現在走行中の道路の階層に応じて、次のように抽象化を行う。
【0079】
・走行中の道路の階層が上記(1)の場合は次のIC名と距離の情報。
・走行中の道路の階層が上記(2)の場合は次の交差点名と距離の情報。
・走行中の道路の階層が上記(3)、(4)の場合は抽象化を行わない。
【0080】
以上の方法により、ユーザ(端末)が必要とする情報量を確保しつつ、送信する地図情報などの量を削減することが可能になる。
【0081】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0082】
第1又は第2の発明では、サーバが端末から送信された現在位置の位置情報に対応した地図情報の中から端末の走行中の道路の種別に対応した地図情報のみを選択し、この選択した地図情報を端末に送信することにより、端末に送信する地図情報の量を削減することができるので、ナビゲーション全体の通信データ量を削減することができる。
【0083】
第3の発明では、地図選択手段により選択された地図情報と履歴記憶手段に格納された既に端末に送信されたことのある地図情報とを比較し、まだ送信していない地図情報を端末に送信することにより、端末に送信する地図情報の量を削減することができるので、ナビゲーション全体の通信データ量を削減することができる。
【0084】
第4の発明では、端末の走行中の道路の種別に対応した縮尺の地図情報を地図記憶手段から取り出すことにより、端末の走行中の道路の種別に最適な縮尺の地図情報を得ることができる。また、端末に送信する地図情報の量を削減することができるので、ナビゲーション全体の通信データ量を削減することができる。
【0085】
第5の発明では、地図情報を階層化し、この階層化された地図情報の中から端末の走行中の道路の種別に対応した階層より上位の階層の地図情報のみを選択することにより、端末に送信する地図情報の量を削減することができるので、ナビゲーション全体の通信データ量を削減することができる。
【0086】
第6の発明では、端末の走行中の速度を求め、この端末の走行中の速度に基づいて階層化した地図情報の中から端末の走行中の道路の種別に対応した階層の地図情報を選択することにより、端末に送信する地図情報の量を削減することができるので、ナビゲーション全体の通信データ量を削減することができる。
【0087】
第7の発明では、端末の走行中の速度に基づいて端末の走行中の道路の種別に対応した縮尺の地図情報を地図記憶手段から取り出すことにより、端末の走行中の道路の種別と端末の走行中の速度に最適な縮尺の地図情報を得ることができる。また、端末に送信する地図情報の量を削減することができるので、ナビゲーション全体の通信データ量を削減することができる。
【0088】
第8の発明では、端末の走行中の速度と加速度とを求め、この端末の走行中の速度と加速度に基づいて階層化した地図情報の中から端末の走行中の道路の種別に対応した階層の地図情報を選択することにより、端末に送信する地図情報の量を削減することができるので、ナビゲーション全体の通信データ量を削減することができる。
【0089】
第9の発明では、端末の走行中の速度と加速度とに基づいて端末の走行中の道路の種別に対応した縮尺の地図情報を地図記憶手段から取り出すことにより、端末の走行中の道路の種別と端末の走行中の速度と端末の走行中の速度に最適な縮尺の地図情報を得ることができる。また、端末に送信する地図情報の量を削減することができるので、ナビゲーション全体の通信データ量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の通信型ナビゲーションシステムの構成図。
【図2】 実施の形態1における通信型ナビゲーションシステムの処理の流れを示すフローチャート。
【図3】 実施の形態1における端末1の処理の流れを示すフローチャート。
【図4】 実施の形態1におけるサーバ2の処理の流れを示すフローチャート。
【図5】 実施の形態3の通信型ナビゲーションシステムの構成図。
【図6】 従来の実施の形態1の通信型ナビゲーションシステムの構成図。
【符号の説明】
1 端末、2 サーバ、3 表示装置、4 位置検出装置、5 記憶装置、6通信装置、7 制御装置、8 地図記憶装置、9 地図選択装置、10 道路検出装置、11 履歴記憶装置、12 通信装置、13 制御装置。
Claims (1)
- 車に搭載され又は歩行者に携帯された端末と、この端末により要求された地図情報を上記端末に送信するサーバとを備え、
上記端末は、一定時間毎に現在位置の位置情報を検出し上記サーバに送信し、
上記サーバは、各種の縮尺で示される地図情報が格納された地図記憶手段と、
速度情報の種別で道路の種別を決め、上記端末から送信された上記位置情報と上記地図記憶手段に格納された地図情報とに基いて上記端末がいる上記道路の種別を検出する道路検出手段と、
予め上記道路の種別と選択する縮尺との対応を決めておき、上記端末から送信された上記位置情報に基いて上記道路検出手段が検出した上記道路の種別を得て、対応した上記縮尺で示される地図情報を上記地図記憶手段から選択する地図選択手段と、
上記端末により送信された上記位置情報とこの位置情報取得の時間間隔とから上記端末の走行中の速度と加速度とを求める速度検出手段と、
上記地図選択手段により選択された上記縮尺で示される地図情報を上記端末に送信する制御手段と、を備え、
上記地図選択手段は、速度情報の種別として、有料道路を上位とした有料・無料道路情報、速度が速い方を上位とした制限速度情報、幅の広い方を上位とした幅員情報、車線数の多い方を上位とした車線数情報、のいずれか一つ、または複数を定め、該定めた道路の種別に対応する縮尺の地図情報を選択し、かつ上記速度検出手段で求めた上記端末の走行中の速度が所定の速度以上であれば、速度情報の種別における上位の道路の種別に対応する縮尺の地図情報のみを選択し、上記端末の走行中の速度が所定の速度未満で、かつ上記端末の走行中の加速度が所定の範囲内のときには、別に対応を定めた縮尺の地図情報を選択し、
上記端末は、上記サーバにより送信された上記縮尺で示される地図情報を表示することを特徴とする通信型ナビゲーションシステム。
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