JP3856510B2 - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有機エレクトロルミネッセンス(以下、「エレクトロルミネッセンス」を「EL」と略記する。)素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、一般に、透明導電膜からなる陽極と、有機発光材料を含有している発光層を備えた単層構造または多層構造の有機物層と、陰極とがこの順で、または、これとは逆の順で、基板上に順次積層された構造をなしている。前記の有機物層が単層構造である場合には、当該有機物層は前記の発光層からなり、前記の有機物層が多層構造である場合には、当該有機物層は陽極側から順に正孔注入層−発光層,発光層−電子注入層,または正孔注入層−発光層−電子注入層等の層構成をなしている。
【0003】
上記の構造をなしている有機EL素子では、陽極から直接または正孔注入層を介して発光層に注入された正孔と陰極から直接または電子注入層を介して発光層に注入された電子とが再結合することによって発光を生じる。このような発光機構に基づく有機EL素子の発光効率や寿命を向上させるための手段の1つとして、陰極材料の選択や改良等が検討されている。
【0004】
具体的には、仕事関数が概ね4.0eVより小さいアルカリ金属やアルカリ土類金属等(以下、これらの金属を「低仕事関数金属」という。)を陰極材料として用いることによって陰極の電子注入性を向上させ、かつ、当該陰極中にアルミニウム(Al),金(Au),銀(Ag),銅(Cu),亜鉛(Zn),鉛(Sn),鉄(Fe),コバルト(Co),ニッケル(Ni),バナジウム(V),クロム(Cr),パラジウム(Pd)等、より仕事関数の大きい導電性金属(以下、これらの金属を「安定化金属」という。)を含有させることによってその安定化を図ることが検討されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
有機EL素子の陰極を形成するにあたっては、抵抗加熱方式の真空蒸着法,高周波誘導加熱方式の真空蒸着法,電子ビーム蒸着法またはスパッタリング法が適用されているが、低仕事関数金属と安定化金属とを含有している上記の陰極をこれらの方法によって形成した場合、当該陰極の組成によっては以下のような難点が生じる。
【0006】
すなわち、抵抗加熱方式の真空蒸着法では、タングステン(W),タンタル(Ta),モリブデン(Mo)等の高融点金属からなるフィラメント状,ボート状,バスケット状等の抵抗加熱体を備えた蒸発源を用い、前記の抵抗加熱体を通電加熱することによって蒸着材料を蒸発させるわけであるが、上述した安定化金属の中には前記の抵抗加熱体と反応して当該抵抗加熱体の耐久性を大きく低下させ、その結果として連続製膜が困難になるもの(例えばAl,Au,Fe,V,Pd等)が含まれている(以下、これらの金属を「難蒸着成分」という。)。
【0007】
また、高周波誘導加熱方式の真空蒸着法では蒸着材料をルツボに入れ、ルツボごと加熱することによって蒸着材料を蒸発させるわけであるが、当該高周波誘導加熱方式の真空蒸着法によって低仕事関数金属と安定化金属とを含有している陰極を形成する場合においても、前記の安定化金属の中には上記の難蒸着成分に相当するもの(例えばAl,Au,Fe,V,Pd等)が含まれている(以下、これらの金属についても「難蒸着成分」という。)。
【0008】
これに対し、工業的に一般に使用されている高電圧・高出力あるいは低電圧・高電流(いずれも、4〜10kV程度以上,2A程度以上)の電子銃を使用した電子ビーム蒸着法や、スパッタリング法によれば、上記の難蒸着成分についても高純度の下に連続製膜することが可能である。
【0009】
しかしながら、低仕事関数金属と安定化金属とを含有している陰極を上記の電子ビーム蒸着法やスパッタリング法によって前記の有機物層上、すなわち、有機発光材料を含有している発光層を備えた単層構造または多層構造の有機物層上に形成した場合、得られる有機EL素子の発光特性が抵抗加熱方式または高周波誘導加熱方式の真空蒸着法によって同一組成の陰極を前記の有機物層上に形成した有機EL素子に比べて大きく劣る。
【0010】
本発明の目的は、発光特性に優れた有機EL素子を連続して作製することが可能な有機ELの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、低仕事関数金属と安定化金属とを含有している陰極を従来の電子ビーム蒸着法によって前記の有機物層上に形成した場合に有機EL素子の発光特性が低下する原因について鋭意探求した結果、電子ビーム蒸着法では高電圧で加速された電子が蒸着材料に衝突したときに二次電子線,X線等の放射線が発生し、これらの放射線によって前記の有機物層に含まれている有機発光材料の蛍光性が消失ないしは低下するとの結論に達した。
【0012】
また、低仕事関数金属と安定化金属とを含有している陰極をスパッタリング法によって前記の有機物層上に形成した場合に有機EL素子の発光特性が低下する原因についても鋭意探求した結果、スパッタリング法ではプラズマダメージによって、具体的には高速電子線,中性あるいはイオン化した高エネルギー原子,特に有機化合物と相互反応しやすい紫外線によって、前記の有機物層に含まれている有機発光材料の蛍光性が消失ないしは低下するとの結論に達した。
【0013】
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものであり、上記の目的を達成する本発明の有機EL素子の製造方法は、基板と、導電膜からなる陽極と、有機発光材料を含有している発光層を備えた単層構造または多層構造の有機物層と、難蒸着成分を含有している金属膜からなる陰極とを有し、前記基板上に前記陽極が形成され、この陽極上に前記有機物層が形成され、この有機物層上に前記陰極が形成されている有機EL素子を製造するにあたり、前記陰極の成分のうちの少なくとも難蒸着成分については、この難蒸着成分用の蒸着材料に加速した電子を照射したときに該蒸着材料から特性X線が実質的に放射されないように電子の加速電圧を20〜40Vに制御した中空陰極放電加熱方式による電子ビーム蒸
着法よって蒸着させて、前記陰極を形成することを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の有機EL素子の製造方法は、上述したように、有機発光材料を含有している発光層を備えた単層構造または多層構造の有機物層上に難蒸着成分を含有している金属膜からなる陰極を特定の方法によって形成する点に最大の特徴があるので、まずこの陰極の組成および電気的特性ならびにその形成方法について説明する。
【0015】
本発明の方法において前記の有機物層上に形成する陰極は、1種類の難蒸着成分のみからなる単成分の金属膜であってもよいし、2種以上の難蒸着成分を含有している多成分の金属膜であってもよいし、1種または2種以上の難蒸着成分と1種または2種以上の低仕事関数金属とを含有している多成分の金属膜であってもよい。したがって、本発明でいう「難蒸着成分を含有している金属膜からなる陰極」には、単成分の金属膜からなるものと多成分の金属膜からなるものとが包含されるものとする。
【0016】
難蒸着成分の具体例としては、前述したように、Al,Au,Fe,V,Pd等が挙げられる。一方、低仕事関数金属の具体例としては、リチウム(Li),ナトリウム(Na),カリウム(K),ルビジウム(Rb),セシウム(Cs)(以上、アルカリ金属)、カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr),バリウム(Ba),マグネシウム(Mg)(以上、アルカリ土類金属)、イッテルビウム(Yb),ルテチウム(Lu),ネオジウム(Nd)およびツリウム(Tm)等の希土類金属、ならびにインジウム等が挙げられる。
【0017】
陰極の組成は、目的とする有機EL素子に求められる特性等に応じて適宜選択可能であるが、できるだけ電子注入性に優れた陰極を得るうえからは、難蒸着成分としてAl,Au,Fe,VまたはPdを含有し、低仕事関数金属として上記のアルカリ金属および/または仕事関数2.9eV以下のアルカリ土類金属(Ca,Sr,Ba)を含有している多成分のものが特に好ましい。このときのアルカリ金属とアルカリ土類金属との総量(一方の含有量が0である場合を含む。以下同じ。)は概ね0.01〜10wt%の範囲内で適宜選択可能である。
【0018】
電力変換効率が高く、素子寿命が長く、均一発光性に優れ、かつ、連続定電流駆動時の電圧上昇が小さいものを容易に得るうえからは、次の組成の陰極を形成することが好ましい。すなわち、難蒸着成分であるAl,Au,Fe,VまたはPdと上記のアルカリ金属および/または仕事関数2.9eV以下のアルカリ土類金属とからなり、アルカリ金属とアルカリ土類金属との総量が0.5〜5at%である陰極を形成することが好ましい。アルカリ金属と前記のアルカリ土類金属(仕事関数2.9eV以下のもの)との総量が0.5at%未満では、電子注入性を担う低仕事関数金属(アルカリ金属およびアルカリ土類金属)の含有量が少なすぎて電子注入性が不十分になりやすく、また、陰極組成の再現性ひいては素子性能の再現性が低下しやすくなる。一方、アルカリ金属と前記のアルカリ土類金属(仕事関数2.9eV以下のもの)との総量が5at%を超えると、活性な金属であるこれらのアルカリ金属およびアルカリ土類金属が多すぎて素子の耐酸化性が低下しやすくなると共に、無発光点が増える等、発光の均一性が低下しやすくなる。
【0019】
上記の陰極は、有機EL素子の陰極として機能し得るもの、すなわち、シート抵抗が数百Ω/□以下のものであればよい。また、当該陰極の膜厚は、その比抵抗に応じて概ね10nm〜1μmの範囲内で適宜選択可能であるが、概ね50〜200nmとすることが好ましい。
【0020】
以上説明した陰極を形成するにあたっては、前述したように、難蒸着成分については、この難蒸着成分用の蒸着材料に加速した電子を照射したときに該蒸着材料から特性X線が実質的に放射されないように電子の加速電圧を制御した電子ビーム蒸着法によって蒸着させる(複数種の難蒸着成分を蒸着させる場合にはそれぞれ別個の蒸発源を用いる。以下同じ。)。
【0021】
ここで、蒸着材料に加速した電子を照射したときに当該蒸着材料から特性X線が実質的に放射されない電子の加速電圧は蒸着材料の種類に応じて異なり、蒸着材料がAlの場合には概ね2kV以下、Au,Fe,V,およびPdの場合にはそれぞれ概ね1kV以下である。
【0022】
多成分の金属膜からなる所望組成の陰極を一元の蒸着法によって形成することは困難である。したがって、当該多成分の金属膜からなる陰極を形成しようとする場合には、難蒸着成分については加速電圧を上記のように制御した電子ビーム蒸着法によって蒸着させ、低仕事関数金属については難蒸着成分とは別個に、難蒸着成分と同様にして加速電圧を制御した電子ビーム蒸着法によって蒸着させるか(複数種の低仕事関数金属を蒸着させる場合にはそれぞれ別個の蒸発源を用いる。以下同じ。)、または、難蒸着成分とは別に抵抗加熱方式もしくは高周波誘導加熱方式の真空蒸着法によって蒸着させることが好ましい。
【0023】
多成分の陰極は、各成分を実質的に同時に(ある成分について濃度勾配を設けるために、当該成分の蒸着を一時的に行わない場合を含む。)所望箇所に蒸着させることにより形成することができるので、当該多成分の陰極を形成する際には、その成分の種類数に応じた数の蒸発源を備えた蒸着装置を用いることが好ましい。
【0024】
ここで、電子ビーム蒸着法における加速電圧を「蒸着材料に加速した電子を照射したときに当該蒸着材料から特性X線が実質的に放射されない」ように制御する理由は、蒸着材料に加速した電子を照射したときに当該蒸着材料から特性X線が放射されると、得られる有機EL素子の発光特性が低下するからである。この発光特性の低下の原因は、陰極の下地である有機物層中の有機発光材料の蛍光性が前記の特性X線によって消失ないしは低下するからであると推察される。したがって、前記の有機物層上に陰極を形成するにあたっては、難蒸着成分に限らず他の陰極成分についても、蒸着材料に加速した電子を照射したときに当該蒸着材料から特性X線が放射されるような電子ビーム蒸着法によって蒸着させることは好ましくない。
【0025】
電子ビーム蒸着法は、加速電圧を上記のように制御することがでるものであればよく、本発明でいう電子ビーム蒸着法には、ピアスガンタイプ,小型磁界偏向形,270゜偏向形等の低電圧・大電流電子銃を用いる通常の電子ビーム蒸着法の他、中空陰極放電加熱方式のもの(以下「HCD法」と略記する。)も含まれるものとする。
【0026】
加速電圧を上記のように制御した電子ビーム蒸着法によって陰極成分を蒸着させるにあたっては、加速された電子が蒸着材料に衝突したときに二次電子線,X線等の放射線が生じるのを抑えるうえから、加速電圧をできるだけ低くした方が好ましい。一方、製膜速度を高めるうえからは、加速電圧を高くした方が好ましい。
【0027】
電子ビーム蒸着法として上記通常の電子ビーム蒸着法を適用する場合、加速電圧を概ね0.5kV以上、前記の特性X線が実質的に放射されない値以下として、ビーム電流を0.1〜4A程度とすることが好ましく、ビーム電流については0.1〜2A程度とすることがより好ましい。また、電子ビーム蒸着法として上記のHCD法を適用する場合、加速電圧を数十V以上、前記の特性X線が実質的に放射されない値以下として、中空陰極放電電流を数十〜300A程度とすることが好ましく、中空陰極放電電流については数十〜200A程度とすることがより好ましい。
蒸着条件は蒸着材料の加熱方式や蒸着成分の種類等に応じて異なるので一概に規定することはできないが、HCD法によるAlの蒸着は例えば以下のようにして行うことができる。
【0028】
まず、真空槽内を1.3×10-4Pa以下まで、好ましくは10-5Pa台の前半まで排気する。次に、熱中空陰極電子銃の一構成部材である中空陰極を介してアルゴン(Ar)ガス等の放電気体を真空槽内に導入し、真空槽内の圧力を1×100 〜1×10-2Pa程度にする。次いで、前記の中空陰極と陽極(ルツボや水冷銅ハース等)との間に直流電圧(数百V)をかけて、中空陰極と陽極との間にグロー放電を起こす。この後、中空陰極−陽極間の電流値が15A程度に達したら放電気体の導入量を減少させ、系内の圧力を1×10-2Pa程度にしてホローカソード放電を形成させ、このホローカソード放電によって蒸着材料を加熱・蒸発させる。蒸着速度は概ね0.1〜10nm/秒とすることが好ましく、0.3〜5nm/秒とすることがより好ましく、0.5〜1nm/秒とすることがさらに好ましい。また、基板と蒸発源との距離は概ね15〜50cmとすることが好ましい。なお、中空陰極内のプラズマ密度を上げるために、100ガウス程度の磁界をホローカソード放電が起きている中空陰極および陽極付近にかけてもよい。前記の磁界をかけること等によって、より高真空下でホローカソード放電を行わせることが可能になる。
【0029】
本発明の方法においては、難蒸着成分を含有している陰極を形成するにあたって少なくとも前記の難蒸着成分については電子ビーム蒸着法によって蒸着させるので、純度の高い陰極の連続製膜ひいては有機EL素子の連続作製が可能になる。そして、加速電圧を上記のように制御した電子ビーム蒸着法によれば、陰極の下地である前記の有機物層に含まれている有機発光材料の蛍光性が陰極形成時に消失ないしは低下することを抑制することが可能になるので、発光特性に優れた有機EL素子を得ることが可能になる。また、難蒸着成分以外の成分をも含有している陰極を形成する場合においても、当該難蒸着成分以外の陰極成分についても加速電圧を上記のように制御した電子ビーム蒸着法によって蒸着させるか、または、抵抗加熱方式もしくは高周波誘導加熱方式の真空蒸着法によって蒸着させることにより、陰極の下地である前記の有機物層に含まれている有機発光材料の蛍光性が陰極形成時に消失ないしは低下することを抑制することが可能になるので、発光特性に優れた有機EL素子を得ることが可能になる。
【0030】
本発明の方法では、上述のようにして陰極を形成する以外は従来と同様にして有機EL素子を製造する。有機EL素子の層構成には種々のものがあるが、本発明の方法は、有機発光材料を含有している発光層を備えた単層構造または多層構造の有機物層上に陰極が形成されている種々の層構成の有機EL素子の製造に適用することができる。有機発光材料を含有している発光層を備えた単層構造または多層構造の有機物層上に陰極を形成するタイプの有機EL素子においては一般に基板上に各層が形成されており、当該有機EL素子の層構成の具体例としては、例えば、前記の基板上の積層順が下記(1)〜(4)のものが挙げられる。
【0031】
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(3)陽極/発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
【0032】
上記(1)のタイプの有機EL素子では発光層が本発明でいう単層構造の有機物層に相当し、上記(2)のタイプの有機EL素子では正孔注入層および発光層が本発明でいう多層構造の有機物層に相当し、上記(3)のタイプの有機EL素子では発光層および電子注入層が本発明でいう多層構造の有機物層に相当し、上記(4)のタイプの有機EL素子では正孔注入層,発光層および電子注入層が本発明でいう多層構造の有機物層に相当する。
以下、各層の材料および形成方法について詳細に説明する。
【0033】
(A)基板
基板側を光取り出し面とする場合には、当該基板として透明基板を用いる。この透明基板は、発光層からの発光(EL光)に対して高い透過性(概ね80%以上)を与える物質からなっていればよく、その具体例としてはアルカリガラス,無アルカリガス等の透明ガラスや、ポリエチレンテレフタレート,ポリカーボネート,ポリエーテルスルホン,ポリエーテルエーテルケトン,ポリフッ化ビニル,ポリアクリレート,ポリプロピレン,ポリエチレン,非晶質ポリオレフィン,フッ素系樹脂等の透明樹脂、または石英等からなる板状物やシート状物、あるいはフィルム状物が挙げられる。どのような透明基板を用いるかは、目的とする有機EL素子の用途等に応じて適宜選択可能である。
一方、基板側を光取り出し面としない場合、例えば側面発光型の有機EL素子を得る場合には、上述した透明基板以外のものについても基板として利用することができる。この場合の基板は無機物であっても有機物であってもよい。
【0034】
(B)陽極
陽極の材料としては、仕事関数の大きい(例えば4eV以上)金属,合金,電気伝導性化合物またはこれらの混合物が好ましく用いられる。具体例としてはAu等の金属、CuI,ITO,錫酸化物,亜鉛酸化物,In−Zn−O系非晶質酸化物膜等の導電性透明材料が挙げられる。陽極は、真空蒸着法やスパッタ法等の方法で上記の材料からなる導電膜を形成することにより得られる。
発光層からの発光(EL光)を上記の基板側から取り出す場合、陽極における前記EL光の透過率は10%以上であることが好ましい。また、陽極のシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
【0035】
(C)発光層
発光層は、通常1種または複数種の有機発光材料によって形成されるが、有機発光材料と後述する正孔注入材料および/または電子注入材料との混合物や、当該混合物もしくは有機発光材料を分散させた高分子材料等によって形成される場合もある。
【0036】
発光層の材料として使用する有機発光材料は、(a) 電荷の注入機能、すなわち、電界印加時に陽極あるいは正孔注入層から正孔を注入することができ、陰極あるいは電子注入層から電子を注入することができる機能、(b) 輸送機能、すなわち、注入された正孔および電子を電界の力で移動させる機能、および(c) 発光機能、すなわち、電子と正孔の再結合の場を提供し、これらを発光につなげる機能、の3つの機能を併せもつものであればよいが、上記(a) 〜(c) の各機能それぞれについて十分な性能を併せもつことは必ずしも必要ではなく、例えば正孔の注入輸送性が電子の注入輸送性よりも大きく優れているものの中にも有機発光材料として好適なものがある。
【0037】
上記の有機発光材料としては、例えばベンゾチアゾール系,ベンゾイミダゾール系,ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤や、スチリルベンゼン系化合物等を用いることができる。
【0038】
上記の蛍光増白剤の具体例としては、ベンゾオキサゾール系では2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4′−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、4,4′−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]スチルベン、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス[5−α,α−ジメチルベンジル−2−ベンゾオキサゾリル]チオフェン、2,5−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、4,4′−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ビフェニル、5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール、2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト[1,2−d]オキサゾール等が挙げられ、ベンゾチアゾール系では2,2′−(p−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾール等が挙げられ、ベンゾイミダゾール系では2−[2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾイミダゾール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等が挙げられる。さらに、他の有用な化合物は、ケミストリー・オブ・シンセティック・ダイズ(1971),第628〜637頁および第640頁に列挙されている。
【0039】
また、上記のスチリルベンゼン系化合物の具体例としては、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等が挙げられる。
【0040】
さらに、上述した蛍光増白剤およびスチリルベンゼン系化合物以外にも、例えば12−フタロペリノン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、ナフタルイミド誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラジリン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、スチリルアミン誘導体、クマリン系化合物、国際公開公報WO90/13148やAppl.Phys.Lett.,vol 58,18,P1982(1991) に記載されているような高分子化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、下記一般式(I)
【化1】
Figure 0003856510
で表される化合物等も、有機発光材料として用いることができる。
【0041】
ここで、上記芳香族ジメチリディン系化合物の具体例としては、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4′−フェニレンジメチリディン、2,5−キシリレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、4,4′−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4′−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、およびこれらの誘導体が挙げられる。また、上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等が挙げられる。
【0042】
その他、上述した有機発光材料をホストとし、当該ホストに青色から緑色までの強い蛍光色素、例えばクマリン系あるいは前記ホストと同様の蛍光色素をドープした化合物も、有機発光材料として好適である。有機発光材料として前記の化合物を用いた場合には、青色から緑色の発光(発光色はドーパントの種類によって異なる。)を高効率で得ることができる。前記化合物の材料であるホストの具体例としては、ジスチリルアリーレン骨格の有機発光材料(特に好ましくは例えば4,4′−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル)が挙げられ、前記化合物の材料であるドーパントの具体例としては、ジフェニルアミノビニルアリーレン(特に好ましくは例えばN,N−ジフェニルアミノビフェニルベンゼン)や4,4′−ビス[2−[4−(N,N−ジ−p−トリル)フェニル]ビニル]ビフェニル)が挙げられる。
【0043】
上述した有機発光材料を用いて発光層を形成する方法としては、例えば蒸着法,スピンコート法,キャスト法,LB法等の公知の方法を適用することができるが、スパッタリング法以外の方法を適用することが好ましい。また、発光層は、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、溶液状態または液相状態の材料化合物から固体化され形成された膜のことであり、通常この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。
さらには、樹脂等の結着剤と有機発光材料とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても発光層を形成することができる。
このようにして形成される発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常5nm〜5μmの範囲が好ましい。
【0044】
(D)正孔注入層
必要に応じて設けられる正孔注入層の材料(以下「正孔注入材料」という。)は、正孔の注入性あるいは電子の障壁性を有しているものであればよく、例えば、従来より電子感光体の正孔注入材料として用いられているものを適宜選択して用いることができ、正孔の移動度が10-5cm2 /V・s(電界強度104 〜105 V/cm)以上であるものが好ましい。正孔注入材料は、有機物および無機物のどちらでもよい。
【0045】
具体例としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、有機発光材料として示した前述の芳香族ジメチリディン系化合物、p型−Siやp−型SiC等の無機半導体等を挙げることができる。
【0046】
正孔注入材料としては、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物またはスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0047】
上記ポルフィリン化合物の具体例としては、ポルフィン、1,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン銅(II)、1,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン、シリコンフタロシアニンオキシド、アルミニウムフタロシアニンクロリド、フタロシアニン(無金属)、ジリチウムフタロシアニン、銅テトラメチルフタロシアニン、銅フタロシアニン、クロムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、鉛フタロシアニン、チタニウムフタロシアニンオキシド、マグネシウムフタロシアニン、銅オクタメチルフタロシアニン等が挙げられる。
【0048】
また、前記芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物の具体例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベン、N−フェニルカルバゾール、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルのように2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、トリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン等が挙げられる。
【0049】
正孔注入層は、上述した正孔注入材料を、例えば真空蒸着法,スピンコート法,キャスト法,LB法等の公知の方法により薄膜化することにより形成することができる。正孔注入層の膜厚は特に制限されないが、通常は5nm〜5μmである。この正孔注入層は、正孔注入材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる複層構造であってもよい。
【0050】
(E)電子注入層
必要に応じて設けられる電子注入層の材料(以下「電子注入材料」という。)は、陰極から注入された電子を発光層に伝達する機能を有しているものであればよい。一般には、電子親和力が有機発光材料の電子親和力に比して大きく陰極の仕事関数(陰極が多成分の場合には最小のもの)に比して小さいものが望ましい。ただし、エネルギーレベルの差が極端に大きいところは、そこに大きな電子注入障壁が存在することになり、好ましくない。電子注入材料の電子親和力は、陰極の仕事関数あるいは有機発光材料の電子親和力と同程度の大きさであることが好ましい。電子注入材料は、有機物および無機物のどちらでもよい。
【0051】
具体例としては、ニトロ置換フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、特開昭59−194393号公報において発光層の材料として開示されている一連の電子伝達性化合物、オキサジアゾール環の酸素原子がイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体(例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウムおよびビス(8−キノリノール)亜鉛等や、これらの金属錯体の中心金属がIn,Mg,Cu,Ca,Sn,GaまたはPbに置き代わった金属錯体等)、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニンまたはこれらの末端がアルキル基,スルホン基等で置換されているもの、有機発光材料として示した前述のジスチリルピラジン誘導体、n型−Siやn型−SiC等の無機半導体等が挙げられる。
【0052】
電子注入層は、上述した電子注入材料を、例えば真空蒸着法,スピンコート法,キャスト法,LB法等の公知の方法により薄膜化することにより形成することができる。電子注入層の膜厚は特に制限されないが、通常は5nm〜5μmである。この電子注入層は、電子注入材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる複層構造であってもよい。
【0053】
以上、陰極以外の各層の材料およびその形成方法について詳述したが、基板以外の各層の形成にあたって前述した陰極形成用の真空蒸着装置を用いれば、この真空蒸着装置だけによって有機EL素子を形成することができるので、設備の簡略化や生産時間の短縮を図るうえで有利である。その際、各層の形成をそれぞれ連続的に行う、すなわち、ある層Aの形成後から次の層Bを形成するまでの間に一度も真空を破らずに行うことが好ましい。
【0054】
また、一般に、有機EL素子には当該有機EL素子を構成している各層への水分や酸素の侵入を防止するための封止層が設けられるので、本発明の方法は当該封止層を設けるための工程を含んでいてもよい。
【0055】
上記の封止層の材料としては、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質および吸水率0.1%以下の防湿性物質、In,Sn,Pb,Au,Cu,Ag,Al,Ti,Ni等の金属、MgO,SiO,SiO2 ,Al23 ,GeO,NiO,CaO,BaO,Fe23 ,Y23 ,TiO2 等の 金属酸化物、MgF2 ,LiF,AlF3 ,CaF2 等の金属フッ化物、パーフルオロアルカン,パーフルオロアミン,パーフルオロポリエーテル等の液状フッ素化炭素および当該液状フッ素化炭素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させたもの等が用いられる。
【0056】
上記の材料からなる封止層を形成するにあたっては、真空蒸着法,スピンコート法,スパッタリング法,キャスト法,MBE(分子線エピタキシー)法,クラスターイオンビーム蒸着法,イオンプレーティング法,プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法),反応性スパッタリング法,プラズマCVD法,レーザーCVD法,熱CVD法,ガスソースCVD法等を適宜適用することができる。封止層の材料として液状フッ素化炭素や当該液状フッ素化炭素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させたものを用いる場合には、基板上に形成されている有機EL素子(既に別の封止層があってもよい。)の外側に、当該有機EL素子との間に空隙を形成しつつ前記の基板と共同して有機EL素子を覆うハウジング材を設け、前記の基板と前記のハウジング材とによって形成された空間に前記の液状フッ素化炭素や当該液状フッ素化炭素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させたものを充填することによって封止層を形成することが好ましい。前記のハウジング材としては、吸水率の小さいガラスまたはポリマー(例えば三フッ化塩化エチレン)からなるものが好適に用いられる。ハウジング材を使用する場合には、上述した封止層を設けずに当該ハウジング材のみを設けてもよいし、ハウジング材を設けた後に、当該ハウジング材と前記の基板とによって形成された空間に酸素や水を吸着する吸着材の層を設けるか当該吸着材からなる粒子を分散させてもよい。
【0057】
なお、本発明の方法における陰極の形成手法は、難蒸着成分を含有していない陰極を前記の有機物層上に形成する場合にも適用することができる。この場合には、加速電圧を前述のように制御した電子ビーム蒸着法によって任意の陰極成分を蒸着させる。
さらに、本発明の方法における陰極の形成手法は、有機EL素子用の前記の有機物層に限らず、種々の有機物上に導電膜を形成するための手法としても好適であり、特に難蒸着成分を含有している導電膜を形成するための手法として好適である。本発明の方法における陰極の形成手法に基づいて有機物上に導電膜を形成した場合には、当該導電膜の形成に起因して前記の有機物が劣化するのを抑制することができる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1
(1)有機EL素子の作製
まず、縦25mm,横75mm,厚さ1.1mmのガラス基板上に膜厚100nmのITO透明電極(陽極に相当)が形成されているもの(以下「陽極付き基板」という。)を用意した。この陽極付き基板を有機溶媒中で超音波洗浄した後、乾燥窒素ガスを吹き付けて、ITO透明電極の表面から有機溶媒を除去した。その後、UV/オゾン洗浄を行って、ITO透明電極の表面から有機物を除去した。
【0059】
次に、抵抗加熱方式の蒸発源と中空陰極放電(以下「HCD」と略記する。)方式の蒸発源との両方を具備した高真空蒸着装置を作製し、この高真空蒸着装置を用いて、洗浄後の上記陽極付き基板のITO透明電極上に以下の条件で正孔注入層、発光層、電子注入層および陰極をこの順で順次積層して、有機EL素子を得た。このとき、正孔注入層の形成から陰極の形成まで途中真空を破ることなく、1回の真空引きで有機EL素子を作製した。
【0060】
まず、正孔注入材料として4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下「NPD」と略記する。)を用い、このNPDを蒸着時真空度5.0×10-5Pa以下、蒸着速度0.1〜0.3nm/秒の条件で蒸着させて、膜厚60nmの正孔注入層を形成した。このとき、上記の陽極付き基板は特に加熱も冷却もしなかった。
次いで、有機発光材料としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下「Alq」と略記する。)を用い、このAlqを上述した正孔注入層の形成時と同様の条件で蒸着させて、膜厚60nmの発光層を形成した。
【0061】
次に、陰極材料としてアルミニウム(Al)およびリチウム(Li)を用い、難蒸着成分であるAlはHCD方式の蒸発源の所定箇所に、低仕事関数金属であるLiは抵抗加熱方式の蒸発源の所定箇所にそれぞれ入れ、まず、HCD方式の蒸発源を構成しているHCD電子銃の中空陰極を介して真空槽内にアルゴンガスを導入して、系内の真空度を1.0×10-1Paとした。この後、HCD方式の蒸発源の陰極−陽極間に200Vの直流電圧を印加して、グロー放電を起こした。HCD方式の蒸発源の陰極−陽極間の電流が15Aに達したときにアルゴンガスの導入量を減少させて系内の圧力を1.0×10-2Paとし、ホローカソード放電を開始させた。このホローカソード放電が安定するのを確認してから徐々に電流出力を調節してゆき、Alの蒸着速度が水晶振動式膜厚計での測定値で1nm/秒となるようにビーム出力を調節した。このときの加速電圧は40Vであった。また、Alの蒸着速度を安定させている間に抵抗加熱方式の蒸発源も徐々に昇温させてゆき、脱ガスさせながら、Liの蒸着速度が水晶振動式膜厚計での測定値で0.6nm/分となるように加熱温度を調節した。Alの蒸着速度およびLiの蒸着速度がそれぞれ上記の値であることを確認した後、HCD方式の蒸発源に具備されているシャッターおよび抵抗加熱方式の蒸発源に具備されているシャッターを同時に開けて発光層上およびその周辺への陰極の製膜を開始し、水晶振動式膜厚計での測定値でAlの蒸着膜厚が150nmとなったところで各シャッターを閉じて、製膜を終了した。陰極の製膜条件を一覧にして表1に示す。
【0062】
上述した陰極まで形成することにより、陽極(ITO透明電極)、正孔注入層(NPD層)、発光層(Alq層)および陰極(Al−Li層)が前記のガラス基板上に順次積層されている有機EL素子が得られた。この有機EL素子においては、正孔注入層および発光層が本発明でいう「有機発光材料を含有する発光層を備えた多層構造の有機物層」に相当する。なお、前記の陰極には約0.3wt%のLiが含まれている。
【0063】
(2)有機EL素子の発光試験
上記(1)で得られた有機EL素子の陽極−陰極間に6Vの直流電圧を印加したところ2.56mA/cm2 の電流が流れ、輝度78.2cd/m2 の緑色の発光が得られた。このときの電力変換効率は1.61lm/Wと高効率であった。また、輝度計(ミノルタ社製のCS−100)の視野内においては無発光点は認められず、発光の均一性は良好であった。
これらの結果を一覧にして表1に示す。
【0064】
(3)連続作製
陽極付き基板および蒸着材料の補充をした以外は上記(1)と全く同じ操作によって計10個の有機EL素子を連続して作製した。2個目以降の有機EL素子作製時の正孔注入層,発光層および陰極の形成は、1個目の有機EL素子作製時と全く同様の条件で行うことができ、各層を高い再現性の下に形成することができた。さらに、得られた有機EL素子の性能(発光特性)は、1個目の有機EL素子と2個目以降の有機EL素子とで大きな差は無く、素子の性能(発光特性)についても高い再現性が得られた。
【0065】
実施例2
(1)有機EL素子の作製
HCD方式の蒸発源に代えて通常の熱電子フィラメントタイプの2kW電子銃を備えた電子ビーム蒸着方式の蒸発源を備えている以外は実施例1で用いたと同じ高真空蒸着装置を用い、陰極を形成するにあたって難蒸着成分であるAlを前記の電子ビーム蒸着法式の蒸発源によって蒸着させた以外は実施例1と同一条件で有機EL素子を作製した。
このときのAlの蒸着は、前記の電子銃の加速電圧を2kVとし、エミッション電流をAlの蒸着速度が実施例1と同じになるように調整して行った。また、Liの蒸着速度は実施例1と同じとした。そして、陰極形成時の真空度は1.0×10-4Paとした。なお、陰極には約0.4wt%のLiが含まれている。
【0066】
(2)有機EL素子の発光試験
上記(1)で得られた有機EL素子について、実施例1と同様にして発光試験を行った。この結果を表1に併記する。
【0067】
(3)連続作製
陽極付き基板および蒸着材料の補充をした以外は上記(1)と全く同じ操作によって計10個の有機EL素子を連続して作製したところ、正孔注入層,発光層および陰極の各層を高い再現性の下に形成することができ、かつ、素子の性能(発光特性)についても高い再現性が得られた。
【0068】
実施例3
(1)有機EL素子の作製
Liに代えてCaを用い、かつ、Alを蒸着させる際の加速電圧を表1に示す値とした以外は実施例1と同一条件で有機EL素子を作製した。
このときのAlの蒸着速度は実施例1と同じであり、Caの蒸着速度は1nm/分とした。なお、陰極には約1wt%のCaが含まれている。
【0069】
(2)有機EL素子の発光試験
上記(1)で得られた有機EL素子について、実施例1と同様にして発光試験を行った。この結果を表1に併記する。
【0070】
(3)連続作製
陽極付き基板および蒸着材料の補充をした以外は上記(1)と全く同じ操作によって計10個の有機EL素子を連続して作製したところ、正孔注入層,発光層および陰極の各層を高い再現性の下に形成することができ、かつ、素子の性能(発光特性)についても高い再現性が得られた。
【0071】
実施例4
(1)有機EL素子の作製
抵抗加熱方式の蒸発源に代えてHCD方式の蒸発源を備えている(したがって、HCD方式の蒸発源を計2基備えている。)以外は実施例1で用いたと同じ高真空蒸着装置を用い、陰極を形成するにあたってLiについてもAlと同様にHCD方式の蒸発源によって蒸着させ、かつ、Alを蒸着させる際の加速電圧およびLiを蒸着させる際の加速電圧をそれぞれ表1に示す値とした以外は実施例1と同一条件で有機EL素子を作製した。
このときのAlの蒸着は実施例1と同じとし、Liの蒸着速度は1.2nm/分とした。なお、陰極には約0.5wt%のLiが含まれている。
【0072】
(2)有機EL素子の発光試験
上記(1)で得られた有機EL素子について、実施例1と同様にして発光試験を行った。この結果を表1に併記する。
【0073】
(3)連続作製
陽極付き基板および蒸着材料の補充をした以外は上記(1)と全く同じ操作によって計10個の有機EL素子を連続して作製したところ、正孔注入層,発光層および陰極の各層を高い再現性の下に形成することができ、かつ、素子の性能(発光特性)についても高い再現性が得られた。
【0074】
比較例1
HCD方式の蒸発源に代えて抵抗加熱方式の蒸発源(抵抗加熱体はヘリカルコイル型フィラメント)を備えている(したがって、抵抗加熱方式の陰極形成用蒸発源を計2基備えている。)以外は実施例1で用いたと同じ高真空蒸着装置を用い、陰極を形成するにあたって難蒸着成分であるAlについても前記の抵抗加熱方式の蒸発源によって蒸発させた以外は実施例1と同一条件で有機EL素子を作製した。
このときのAlおよびLiの各蒸着速度は実施例1と同じとし、陰極形成時の真空度は1.0×10-4Paとした。
【0075】
(2)有機EL素子の発光試験
上記(1)で得られた有機EL素子について、実施例1と同様にして発光試験を行った。この結果を表1に併記する。
【0076】
(3)連続作製
陽極付き基板および蒸着材料の補充をした以外は上記(1)と全く同じ操作によって計10個の有機EL素子を連続して作製しようとしたところ、3個目の有機EL素子作製時にAlの蒸着速度が大きく外れ、調整しているうちに蒸発源のフィラメントが断線した。
Alを蒸発させるための蒸発源として、タングステン(W)製のボートまたはバスケットからなる抵抗加熱体を備えた抵抗加熱方式のものを試験してみたが、いずれの抵抗加熱体も2〜3回の使用で破損し、使用不能となった。また、Alを蒸発させるための蒸発源として窒化硼素(BN)焼結体製のボートからなる抵抗加熱体を備えた抵抗加熱方式のものを用いた場合でも、連続10個の有機EL素子を安定して作製することはできなかった。
【0077】
比較例2
電子ビーム蒸着方式の蒸発源として通常の熱電子フィラメントタイプの5kW電子銃を備えた蒸発源を備えている以外は実施例2で用いたと同じ高真空蒸着装置を用い、陰極を形成するにあたって難蒸着成分であるAlを前記の電子ビーム蒸着法式の蒸発源によって蒸着させ、かつ、陰極形成時の真空度を1×10-4Paとした以外は実施例1と同一条件で有機EL素子を作製した。
このときのAlの蒸着は、前記の電子銃の加速電圧を10kVとし、エミッション電流をAlの蒸着速度が実施例1と同じになるように調整して行った。また、Liの蒸着速度および陰極形成時の真空度は実施例2と同じとした。
【0078】
(2)有機EL素子の発光試験
上記(1)で得られた有機EL素子は、陽極−陰極間に15Vの直流電圧を印加したときに初めて発光を視認できる程度の低効率のものであった。この結果を表1に併記する。
再現性確認のため上記(1)と同様にして3個の有機EL素子を作製し、その発光試験を行ったところ、上記と同じ結果が得られた。
【0079】
【表1】
Figure 0003856510
【0080】
実施例1〜実施例4と比較例1との比較から明らかなように、有機EL素子を1個だけ作製する場合には、各陰極成分を抵抗加熱方式の真空蒸着法によって蒸着させた方が発光特性の高い有機EL素子が得られるが、陰極成分のうちの難蒸着成分(Al)を抵抗加熱方式の真空蒸着法によって蒸着させたのでは有機EL素子を連続して作製することができない。
また、実施例2と比較例2との比較から明らかなように、陰極成分のうちの難蒸着成分(Al)を電子ビーム蒸着法によって蒸着させるにあたって加速電圧を2kVより高い10kVにすると、得られる有機EL素子の発光特性が大きく低下する。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の有機EL素子の製造方法によれば、発光特性に優れた有機EL素子を連続して作製することが可能であり、これにより、発光特性に優れた有機EL素子を安価に提供することが可能になる。

Claims (4)

  1. 基板と、導電膜からなる陽極と、有機発光材料を含有している発光層を備えた単層構造または多層構造の有機物層と、難蒸着成分を含有している金属膜からなる陰極とを有し、前記基板上に前記陽極が形成され、この陽極上に前記有機物層が形成され、この有機物層上に前記陰極が形成されている有機EL素子を製造するにあたり、
    前記陰極の成分のうちの少なくとも難蒸着成分については、この難蒸着成分用の蒸着材料に加速した電子を照射したときに該蒸着材料から特性X線が実質的に放射されないように電子の加速電圧を20〜40Vに制御した中空陰極放電加熱方式による電子ビーム蒸着法によって蒸着させて、前記陰極を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 陰極として、難蒸着成分とアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属とからなる多成分の金属膜を形成する、請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 難蒸着成分以外の陰極成分については抵抗加熱方式の真空蒸着法によって蒸着させる、請求項1または請求項2に記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 中空陰極放電加熱方式において、中空陰極に磁界をかける、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
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