JP5203996B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、本明細書において「有機EL素子」ということがある)の製造方法およびこの製造方法により得られる有機EL素子、並びに有機EL素子を備える面状光源、照明装置、および表示装置に関する。
有機EL素子は、陽極と、陰極と、これら一対の電極に挟持される発光部とを含んで構成される。発光部は、発光材料として有機化合物を含む。有機EL素子は、電極間に電圧を印加することによって注入される正孔と電子とが発光部で結合することによって発光する。
有機EL素子は通常、電極および発光部などの各構成要素を支持基板上に所定の順序で積層することによって作製される。各層の積層方法には、部材の種類および工程の難易度などを考慮して、適切な薄膜の形成方法が選択される。例えば電極は電子ビーム蒸着法によって形成される。蒸着法は、蒸着材料を蒸発させ、蒸発した材料を基板上で固化させることによって薄膜を形成する技術であり、特に電子ビーム蒸着法では、高エネルギーの電子ビームを蒸着材料に照射することによって蒸着材料を直接的に加熱して蒸発している。そのため、例えば坩堝などと反応してしまう物質(Al等)や高融点物質などの抵抗加熱方法などでは蒸着が困難な蒸着材料を蒸着する方法として、電子ビーム蒸着法は適している。
しかしながら高エネルギーの電子ビームを蒸着材料に照射すると、2次電子、反跳電子、X線、熱線などのダメージ因子となる放射線が放出されるため、これらが形成中の有機EL素子に照射されることによって、発光部などに損傷を与えることがある。そのため電極を電子ビーム蒸着法で形成することが、発光効率、駆動電圧、素子寿命などの素子特性を劣化させる要因の1つとなっている。
そこで、蒸着する際に素子に与えるダメージを低減するための様々な工夫が試みられている。例えば放出される電子の軌道を曲げるための磁石を所定の位置に配置し、放出される電子が基板に照射しないように構成した装置が開示されている(特許文献1および2)。また電子ビームの加速電圧を小さくしつつエミッション電流量を大きくすることにより、放出されるX線量を抑える方法(特許文献3)や、断熱性を高めるために、試料が充填されるるつぼ(ハースライナー)の形状を2重構造とし、少ないエミッション電流で蒸発温度にまで試料を加熱する方法(特許文献4)が開示されている。
特開平11−74221号公報 特開2000−306665号公報 特開平10−158638号公報 特開2005−232492号公報
上記のように電子ビーム蒸着法に起因する弊害を除去するための工夫が試みられているが、未だ実用的に十分とは言い難い。例えば上記のように電子の軌道を曲げる方法は、2次電子や反跳電子などの電荷を帯びた粒子を除去する方法としては有用であるが、電荷を帯びていないX線を除去することはできないので、X線による素子へのダメージを避けることができない。また中空陰極放電加熱方式(HCD)を採用することにより、実質的にX線を放射しない電子ビーム蒸着装置が開示されているが、HCD装置は特殊な装置であるので導入コストが高い。またるつぼを二重構造とする方法も同様に装置の複雑化を招き、製造コストの上昇を招く要因となる。さらにこのようなるつぼを用いた場合、るつぼ自体を暖めるための時間が長くなるので、電子ビームの照射から蒸着膜の形成までに要する時間が長くなる。また単に加速電圧を抑制しただけでは、必ずしも素子へのダメージを十分には防ぐことができない。
また、有機EL素子では発光効率の向上が当然に求められており、素子特性の向上を図るために、上記のような製造方法の改良の他に、発光部から放射される光を効率よく外に取り出すための構成も検討されている。有機EL素子は一対の電極のうちの一方の電極が透明電極により構成されており、発光部から放射される光は、透明電極を通して素子外に出射する。このような透明電極には一般的に酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)から成る薄膜が用いられている。しかしながら素子内部で発生した光は透明電極などで反射したり、内部で吸収されたりするため、現状その一部が外に取り出されているに過ぎず、光取出し効率が必ずしも十分なものではない。
上記のような状況の下、本発明は、発光部の発光性能が優れていると共に、光取出し効率にも優れた有機EL素子を簡便な方法で製造することを課題とする。
本発明は、下記構成を有する有機EL素子の製造方法によって上記課題を解決した。さらに、本発明は下記構成を有する有機EL素子を提供する。
〔1〕 光透過性基板と、光透過性導電膜からなる第1電極を有する第1電極部と、前記第1電極とは極性が異なる第2電極を有する第2電極部と、前記第1電極部および前記第2電極部の間に配置される発光部とを有し、前記第2電極部が1又は複数の層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法であって、
ワイヤ状の導電体が分散媒に分散している分散液を前記光透過性基板の主面に塗布して固化させ、前記光透過性導電膜の屈折率をn1、光透過性基板の屈折率をn2としたとき、n1およびn2がそれぞれ下記式(1):
Figure 0005203996
を満たす前記光透過性導電膜を前記光透過性基板上に形成する光透過性導電膜形成工程と、
発光部を形成する工程と、
前記発光部を形成した後に、下記式(2)および(3):
Figure 0005203996
Figure 0005203996
の条件を満たす電子ビーム蒸着により前記第2電極部の一層以上を形成する電子ビーム蒸着工程と、
を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔2〕前記分散液が、前記光透過性導電膜を形成する高分子有機化合物を含む、上記〔1〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔3〕前記高分子有機化合物が導電性を有する、上記〔2〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔4〕前記ワイヤ状の導電体の径が、10nm以上、200nm以下である、上記〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔5〕前記ワイヤ状の導電体が、前記光透過性導電膜の膜本体中において網目状構造を構成する、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔6〕前記電子ビーム蒸着の条件が、さらに下記式(4)を満たす、上記〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
Figure 0005203996
〔7〕前記電子ビーム蒸着の条件が、さらに下記式(5)を満たす、上記〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
Figure 0005203996
〔8〕前記電子ビーム蒸着により形成される層が、Al、Zn、In、Ga、Sn、Ni、Cr、Mn、Ti、Mo、Ta、W、Ag、Au、これらの酸化物、これらの窒化物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のフッ化物、アルカリ金属の酸化物、およびアルカリ金属のフッ化物からなる群より選ばれる1種、または2種以上の複合材料により形成される、上記〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔9〕上記〔1〕から〔8〕のいずれか一項に記載の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子。
〔10〕上記〔9〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が実装された面状光源。
〔11〕上記〔9〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が実装された照明装置。
〔12〕上記〔9〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が実装された表示装置。
本発明により発光性能に優れる発光部を形成することができ、さらに光取出し効率に優れた構成を形成することができるため、素子全体として発光性能に優れた有機EL素子を簡便に製造することができる。
本発明によれば、発光部の形成後に電子ビーム蒸着を行う際に、発光部に与えるダメージを抑制することができる。また本発明では、電子ビーム蒸着を行う際に調整する要素から導かれるパラメータを制御するという極めて簡便な成膜方法を用いるため、既に普及している一般的な電子ビーム蒸着装置を用いることが可能である。また本発明の製造方法によれば、電子ビーム蒸着工程を短時間で完了し得る。さらに本発明の製造方法により得られる有機EL素子は、電子ビーム蒸着工程において受けるダメージが抑制されているため、PL強度(フォトルミネッセンス強度)および素子寿命などの素子特性の低下が発生しにくい。そのため有機EL素子の製品歩留まりを向上し得る。
本発明の実施の一形態の有機EL素子1を示す図である。 PL強度の測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。また本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また有機EL素子を搭載した有機EL装置においては電極のリード線等の部材も存在するが、これらは本発明の説明にあっては直接的には必要としないため記載を省略している。層構造等の説明の便宜上、下記に示す例においては光透過性基板に相当する支持基板を下に配置した図と共に説明がなされるが、有機EL素子および有機EL装置は必ずしもこの配置で製造または使用等がなされるわけではない。なお以下の説明において支持基板の厚み方向の一方を上または上方といい、厚み方向の他方を下または下方という場合がある。
1.本発明の有機EL素子の製造方法
本発明の有機EL素子の製造方法(以下、本発明の製造方法という場合がある)は、光透過性基板と、光透過性導電膜からなる第1電極を有する第1電極部と、前記第1電極とは極性が異なる第2電極を有する第2電極部と、前記第1電極部および前記第2電極部の間に配置される発光部とを有し、前記第2電極部が1又は複数の層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法であって、簡易な方法で所定の光学的特性を備える光透過性導電膜を光透過性基板上に設ける工程と、所定の条件下において電子ビーム蒸着法により第2電極部の一層以上を形成する工程を含むものである。
本実施の形態においては、第1電極を陽極とし、第1電極とは極性が異なる第2電極を陰極として説明するが、他の形態として第1電極を陰極とし、第2電極を陽極としてもよい。第1電極部は1又は複数の層により構成され、少なくとも陽極を含む。第2電極部は、1又は複数の層により構成され、少なくとも陰極を含む。発光部は1または複数の発光層により構成される。これら第1電極部、発光部、第2電極部の各層は支持基板上に順次積層される。各層は、部材の種類および工程の難易度などを考慮して、適切な薄膜の形成方法によって形成される。
図1は本発明の実施の一形態の有機EL素子1を示す図である。本実施形態の有機EL素子1は、第1電極部20、発光部30、第2電極部40がこの順で、光透過性を有する支持基板10上に積層されている。第1電極部20は、支持基板10側から順に、光透過性導電膜からなる陽極21と、正孔注入層22と、正孔輸送層23とが積層されて構成されている。発光部30は、単層の発光層のみから構成されている。第2電極部40は、発光部30側から順に、電子輸送層43と、電子注入層42と、陰極41とが積層されて構成されている。第2電極部40上にはさらに封止基板10が設けられ、一対の電極部20、40および発光部30で構成される積層体は、支持基板10と封止基板11との間に配置される。支持基板10と封止基板11とは接着部材50によって固定される。一対の電極部20、40および発光部30で構成される積層体は、支持基板10と封止基板11と接着部材50とにより気密に封止されている。なお下記でも説明するが、正孔注入層22、正孔輸送層23、電子注入層42および電子輸送層43は、任意の機能層であり、省略してもよい。また支持基板10は、各層を積層する際の基台として用いられ、層形成完了後に取り除いてもよい。また変形例としては、任意の保護膜、バッファー膜、反射層などの他の機能を有する層を所定の位置に設けてもよい。有機EL素子の構成については、下記にて別途さらに詳述する。
本発明の製造方法は下記(工程1)および(工程2)を含む。
(工程1)導電性を有するワイヤ状の導電体が分散媒に分散している分散液を光透過性基板(本実施の形態では支持基板10)の主面に塗布して固化し、光透過性導電膜の屈折率をn1、光透過性基板の屈折率をn2としたとき、n1およびn2がそれぞれ下記式(1):
Figure 0005203996
を満たす光透過性導電膜を光透過性基板上に形成する光透過性導電膜形成工程。
(工程2)発光部を形成した後に、1又は複数の層で構成される第2電極部を構成する層の一層以上を下記式(2)および(3)の条件を満たす電子ビーム蒸着により形成する電子ビーム蒸着工程。
Figure 0005203996
Figure 0005203996
(工程1)のように工程が簡易な塗布法を用いることにより、光透過性基板上に所定の光学的特性を有する光透過性導電膜からなる陽極を簡便に形成することができる。
また(工程2)のように、電子ビーム蒸着装置の操作において、加速電圧とエミッション電流と蒸着速度という3つの要素から導かれる所定のパラメータを一定の範囲に調整するという極めて簡便な手法によって、電子ビーム蒸着によるダメージを大幅に軽減し得る。(工程2)での条件設定は、電子ビームが蒸着材料に照射される際に与えるエネルギーを小さくするために加速電圧を小さくするという従来の研究開発志向とは大きく異なり、意外にも、加速電圧を所定の閾値より高く設定し、高速蒸着速度で蒸着を行うというものである。
上記(工程1)および(工程2)によって所定の層を設けることにより、作製された有機EL素子は、発光部に与えるダメージを抑制して作製し得るため、発光部から放射される光量が多くなるとともに、所定の光学的特性を有する光透過性導電膜を設けることにより光取出し効率に優れるため、素子全体としての輝度を高めることができる。また(工程1)で発光部に与えるダメージを抑制することができるので、歩留まりを向上することができる。
<A>光透過性導電膜の形成方法(工程1)
まず光透過性導電膜を形成する上記(工程1)についてさらに詳説する。図1に示す実施形態では陽極として光透過性導電膜が形成されている。(工程1)では導電性を有するワイヤ状の導電体が分散媒に分散している分散液を光透過性基板の主面に塗布して固化させる。
光透過性導電膜は、光透過性の膜本体と、膜本体中に配置されるワイヤ状の導電体とを含んで構成されることが好ましい。光透過性導電膜は、可視光領域の光の透過率が80%以上、体積抵抗率が1Ω・cm以下、表面粗さが100nm以下であることが好ましい。膜本体は、可視光領域の光の透過率が高いものが好適に用いられ、樹脂や無機ポリマー、無機−有機ハイブリッド化合物などを含んで構成される。膜本体としては、樹脂の中でも導電性を有する樹脂が好適に用いられる。このようにワイヤ状の導電体に加えて、導電性を有する膜本体を用いることによって、光透過性導電膜の低抵抗化を図ることができる。このような低抵抗の光透過性導電膜を有機EL素子の電極として用いることによって、電極での電圧降下を小さくして、有機EL素子の低電圧駆動を実現することができる。
ワイヤ状の導電体は、径の小さいものが好ましく、例えば径が400nm以下のものが用いられ、好ましくは径が200nm以下のものであり、さらに好ましくは径が100nm以下のものである。膜本体に配置されるワイヤ状の導電体は、光透過性導電膜21を通る光を回折または散乱するので、光透過性導電膜のヘイズ値を高めると共に光の透過率を低下させるが、可視光の波長程度または可視光の波長よりも小さい径のワイヤ状の導電体を用いることによって、可視光に対するヘイズ値を低く抑えるとともに、光の透過率を向上させることができる。またワイヤ状の導電体の径は、小さすぎると抵抗が高くなるので、径は10nm以上が好ましい。なおなお照明装置などのように広い範囲を照らす光源が求められる場合もある。そのため光透過性導電膜21のヘイズ値はある程度高い方が拡散機能を付与することも可能となるので、ヘイズ値はある程度高い方が好ましい場合もある。従って光透過性導電膜のヘイズ値は、有機EL素子が用いられる装置に応じて適宜設定される。
膜本体中に配置されるワイヤ状の導電体は、1本でも複数本でもよく、膜本体中において、網目構造を形成していることが好ましい。例えば膜本体中において、1または複数のワイヤ状の導電体は、膜本体の全体に渡って複雑に絡み合うことにより、網目構造を形成している。具体的には1本のワイヤ状の導電体が複雑に絡み合った構造、複数本のワイヤ状の導電体が互いに接触し合って配置されたりする構造が、2次元的または3次元的に広がって網目構造を形成している。このようにワイヤ状の導電体が網目構造を形成することによって、光透過性導電膜の体積抵抗率を下げることができる。またワイヤ状の導電体の一部は、光透過性導電膜の発光部側の表面部に配置されることが好ましい。このようにワイヤ状の導電体を配置することによって、光透過性導電膜の表面部の抵抗を下げることができ、光透過性導電膜を抵抗の低い好適な電極として用いることができる。ワイヤ状の導電体は、例えば曲線状でも針状でもよい。曲線状及び/又は針状の導電体が互いに接触し合って網目構造を形成することによって、体積抵抗率の低い光透過性導電膜を実現することができる。
ワイヤ状の導電体の材料としては、例えばAg、Au、Cu、Alおよびこれらの合金などの抵抗の低い金属が好適に用いられる。ワイヤ状の導電体は、例えばN.R.Jana, L.Gearheart and C.J.Murphyによる方法(Chm.Commun.,2001, p617-p618)や、C.Ducamp-Sanguesa, R.Herrera-Urbina, and M.Figlarz等のによる方法(J. Solid State Chem.,Vol.100, 1992, p272〜p280)によって製造することができる。
光透過性導電膜を成膜する方法としては、例えば(i)ワイヤ状の導電体を樹脂に練り込むことによって、ワイヤ状の導電体を樹脂に分散させ、この樹脂を塗布する方法、(ii)ワイヤ状の導電体と、樹脂とを分散媒に分散させた分散液を塗布することによって成膜化する方法を挙げることができる。なお光透過性導電膜には、必要に応じて界面活性剤や酸化防止剤などの各種添加剤を加えてもよい。屈折率、透光率および抵抗などの光透過性導電膜の特性に応じて樹脂の種類は適宜選ばれる。またワイヤ状の導電体を分散させる量は、光透過性導電膜の抵抗、ヘイズ値および透光率などに影響するので、光透過性導電膜の特性に応じて適宜設定される。
図1に示す実施形態においては、まず支持基板として光透過性基板10を用意し、次に導電性を有するワイヤ状の導電体を分散媒に分散させた分散液を、光透過性基板10に塗布し、さらに固化することによって、光透過性導電膜21を作製することができる。
分散液は、前記光透過性導電膜を形成する高分子有機化合物を含むことが好ましく、ワイヤ状の導電体と、膜本体を構成する樹脂とを分散媒に分散させることによって調整し得る。
分散媒としては、膜本体を構成する樹脂を溶解するものが好ましく、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、などが挙げられる。
膜本体を形成するための樹脂としては、透光率の高いものが好ましい。また有機EL素子の作製時においては、光透過性導電膜上に形成される層を塗布法によって形成することがある。そのため膜本体を構成する樹脂としては、光透過性導電膜の形成後に積層される層を形成するための塗布液に溶解しないものが好ましい。図1に示す実施形態では、膜本体を構成する樹脂としては、正孔注入層22を設けるための塗布液に対して難溶性を示すものが好ましい。
光透過性導電膜の次に設けられる層(図1の実施形態の場合は正孔注入層22)の材料等の条件にもよるが、膜本体を形成するための樹脂としては、例えば低密度または高密度のポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−ノルボルネン共重合体、エチレン−ドモン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体;ポリメチルメタクリルイミドなどのアミド系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリルなどのスチレン−アクリロニトリル系樹脂;トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロースなどの疎水化セルロース系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのハロゲン含有樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体などの水素結合性樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶樹脂などのエンジニアリングプラスチック系樹脂などが挙げられる。
また光透過性導電膜上に積層される層を形成する際に用いる塗布液に溶解し難いという観点からは、前記樹脂として熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、フォトレジスト材料などが好適に用いられる。
例示した樹脂の中でもさらに、導電性を有する樹脂が好適に用いられ、導電性を有する樹脂としては例えばポリアニリン、ポリチオフェンの誘導体などが挙げられる。
光透過性導電膜21の屈折率は、樹脂などによって構成される膜本体の屈折率によって主に決まる。この膜本体の屈折率は、例えば用いる樹脂の種類によって主に決まるので、用いる樹脂を選択することによって、意図する屈折率を示す光透過性導電膜21を容易に形成することができる。
支持基板10としての透明基板に分散液を塗布した後は、その分散液を固化する。分散液の固化は、分散液の形態に応じて適宜選択し得る。例えば樹脂の種類等に応じ、熱、光などのエネルギーを加えて硬化させてもよい。
例えば感光性フォトレジストに用いられる感光性材料および光硬化性モノマーに、ワイヤ状の導電体を分散させた分散液を用いた場合には、フォトリソグラフィによって所定のパターン形状を有する光透過性導電膜21を容易に形成することができる。
光透過性導電膜21としては、有機EL素子1を形成する工程において加熱される温度で変形しないものが好ましい。光透過性導電膜21を構成する樹脂としては、ガラス転移点Tgが、150℃以上のものが好ましく、180℃以上のものがより好ましく、200℃以上のものがさらに好ましい。このような樹脂としては、例えばガラス転移点Tgが230℃のポリエーテルサルホンや高耐熱性フォトレジスト材料などを挙げることができる。
ワイヤ状の導電体の分散量、並びに必要に応じて分散液に混合されるバインダーおよび添加剤などの種類は、光透過性導電膜21に求められる諸特性および成膜の容易さなどを勘案して適宜設定および選択することができる。
ワイヤ状の導電体を分散した分散液の塗布方法としては、ディッピング法、バーコータによるコーティング法、スピンコータによるコーティング法、ドクターブレード法、噴霧塗布法、スクリーンメッシュ印刷法、刷毛塗り、吹き付け、ロールコーティング等の工業的に通常用いられている方法を挙げることができる。なお、熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂を用いる場合には、分散液を塗布した後に、加熱または光照射によって塗膜を硬化させることができる。
なお光透過性導電膜21の光透過率はワイヤ状の導電体の重量割合が増えるに従って減少する。光透過性導電膜21の光透過率が80%以上となるワイヤ状の導電体の重量割合は、ワイヤの材質や径などに依存するが、概ね30%以下である。また光透過性導電膜21の体積抵抗率はワイヤ状の導電体の重量割合が増えるに従って減少する。光透過性導電膜21の体積抵抗率が1Ωcm以下となるワイヤ状の導電体の重量割合は、ワイヤの材質や径などに依存するが、10−3%以上であり、抵抗率10−3Ωcm以下となるのは概ね1%以上である。
<B>電子ビーム蒸着工程(工程2)
次に(工程2)の電子ビーム蒸着工程についてさらに説明する。(工程2)は、発光部を形成した後に行われる。(工程2)では、1又は複数の層で構成される第2電極部を構成する層の一層以上を下記式(2)および(3)の条件を満たす電子ビーム蒸着により形成する。
Figure 0005203996
Figure 0005203996
本実施形態では第2電極部40が、電子輸送層43、電子注入層42および陰極41により構成されるため(図1参照)、電子輸送層43、電子注入層42および陰極41のうちの1層以上が上記式(2)および(3)を満たす電子ビーム蒸着により形成される。
以下本明細書において、式(2)の左辺によって算出される数値を「成膜電力量値」(単位:W・sec/nm)という。本発明の製造方法では成膜電力量値を所定の値となるように調整する。すなわち成膜電力量値を20000(W・sec/nm)より小さく、より好ましくは10000(W・sec/nm)より小さい値とする。成膜電力量値を、このような閾値以下とすることにより、先に形成された層へのダメージを大幅に軽減することができる。下記の実施例において示される実験結果からも明らかな通り、成膜電力量値をこの数値以下に調整することにより、特に発光部へのダメージの緩和は顕著である。
なお先に形成された層へのダメージ軽減という観点からは、成膜電力量値の下限を設ける必要はないが、電子ビームを安定にすることで蒸着速度の大幅な変動を抑制するという観点からは、成膜電力量値を50(W・sec/nm)以上、好ましくは300(W・sec/nm)以上としてもよい。
成膜電力量値は、加速電圧、エミッション電流、および蒸着速度の3つの要素をそれぞれ適宜調整することにより制御することができる。但し加速電圧は、4kVより高い値に設定される。加速電圧をこのように設定することは蒸着速度の高速化につながり、結果として蒸着に要する時間を短くすることができる。さらに加速電圧が4kV以下では電子ビームの制御が不安定となり蒸着速度が大幅に変動するため、均一な膜厚の成膜が困難になる場合もあるが、加速電圧を4kVより高い値に設定することで、形成する膜の厚さを均一にすることができる。なお加速電圧を上げると、X線などのダメージ因子が増加するため、ダメージを軽減するという観点からは、通常はこのような条件がかえって逆効果になると思考することもあり得ようが、単に加速電圧を上げるのではなく、上記式(2)の条件を満たす限りにおいて、加速電圧を4kVより大きくしても、先に形成された層へのダメージを軽減し得る。蒸着によって成層する際には、成層の初期に形成される膜が、先に形成された層へのダメージを緩和する保護膜として機能するが、蒸着速度を高く設定することにより保護膜が可及的速やかに形成されるので、先に形成された層へのダメージを軽減し得るものと推測される。また蒸着速度を高く設定することで、先に形成された層へ与えるエネルギーの単位時間当たりの量が増大するとしても、蒸着に要する所要時間が短くなるので、蒸着する際に先に形成された層へ与えるエネルギーの総量を抑制することになり、先に形成された層へのダメージを軽減し得るものと推測される。
加速電圧、エミッション電流、および蒸着速度の3要素は、通常の電子ビーム蒸着装置において、容易に所望の値に設定することができる。電子ビーム蒸着装置の型にもよるが、蒸着速度をまず所望の値に定め、これに合うように加速電圧およびエミッション電流を調整することにより、式(2)を満たし得る。なお加速電圧、エミッション電流、および蒸着速度の3要素は、それぞれ互いに関連し合うので、式(2)および式(3)を満たす限りにおいて、蒸着速度はおのずと高い値に調整される。
(工程2)の電子ビーム蒸着工程の好ましい実施形態としては、さらに下記式(4)を満たすようにして電子ビーム蒸着を行う形態が挙げられる。
Figure 0005203996
上記式(4)を満たす限りにおいて、エミッション電流を100mAより大きくすることにより、蒸着速度を高めつつ、先に形成された層へのダメージを抑制することができる。エミッション電流は100mAより大きく、好ましくは300mA以上、より好ましくは400mA以上に調整される。またエミッション電流の上限は特に制限されないが、10Aである。
また本発明の製造方法の好ましい形態としては、さらに下記式(5)を満たすようにして電子ビーム蒸着が行われる。
Figure 0005203996
蒸着速度とは、電子ビーム蒸着によって形成された層の厚みを、蒸着開始から蒸着終了までに要した時間で除した値である。電子ビーム蒸着法を有機EL素子の製造に適用する場合、ダメージ因子による影響を避けるため等の理由から、通常は蒸着速度を0.1nm/secから0.3nm/secに設定する。しかしながら本発明の製造方法においては、上記式(2)の条件を満たす限りにおいて、蒸着速度を通常より速く設定することができる。蒸着速度をより高めることによって、より短時間で蒸着工程を完了することができる。また蒸着速度の上限は特に制限されないが、100nm/secである。
有機EL素子の製造においては、発光部30が形成された後も電極を構成する層をその上に積層していく。その際、発光部30が電子ビーム蒸着によりダメージを受けると、有機EL素子のPL強度が低下しやすい。
しかしながら図1に示す実施形態では、発光部30の上層に設けられる電子輸送層43、電子注入層42、および陰極41の少なくとも一層は、発光部にダメージを与えにくい上記の所定の条件の電子ビーム蒸着法により形成されるため、発光部の上にさらに層を形成する場合でも発光部にダメージを与えにくいので、PL強度に優れた有機EL素子を作製することができる。また発光部へ与えるダメージの抑制は、結果としてEL発光効率(印加電圧に対する発光輝度の比率)の低下の防止にもつながり得る。また電子ビーム蒸着によるダメージを抑制できるので、製品の歩留まりを向上させることができる。
本発明の製造方法は、電子ビーム蒸着法によって有機EL素子を構成する層を形成する場合に適用可能である。有機EL素子では、電極材料として、各種無機材料を利用することも多いため、本発明の製造方法は、電極を電子ビーム蒸着法によって形成する場合に好適に用い得る。好適に用い得る無機材料としては、例えばAl、Zn、In、Ga、Sn、Ni、Cr、Mn、Ti、Mo、Ta、W、Ag、Au、これらの酸化物、これらの窒化物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のフッ化物、アルカリ金属の酸化物、およびアルカリ金属のフッ化物からなる群より選ばれる1種、または2種以上の複合材料が挙げられる。
また本発明の製造方法は、発光部が高分子化合物で形成される場合でも電子ビーム蒸着によるダメージを軽減できるため、このような有機EL素子の製造方法として好適である。
本発明の製造方法は、上記の通り(工程1)の発光部形成工程および(工程2)の電子ビーム蒸着工程を含み、他の構成部材の形成方法は特に限定されない。以下では有機EL素子を形成するための他の構成の作製方法について例示する。なお第2電極部のうちの少なくとも一層は、(工程2)の電子ビーム蒸着工程によって設けられるが、他の層は下記の方法によって形成してもよい。
<C>陰極の形成方法
本実施形態では陰極が第2電極部の少なくとも一部を構成する(図1参照)。
陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光部への電子注入が容易な材料が好ましく、また電気伝導度が高い材料が好ましい。なお陰極を通して光を出射する構成の有機EL素子では、陰極の材料としては可視光の反射率の高い材料が好ましい。金属では、アルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属や周期表第13族金属を用いることができる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫、またはこれら金属を少なくとも1種類以上含む合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。また陰極として透明電極を用いることができ、例えば導電性金属酸化物や導電性有機物などを用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、IZO、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体を用いてもよい。なお陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
陰極の形成方法としては、真空蒸着法(前述した実施形態の電子ビーム蒸着法を含む)、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、および金属薄膜を圧着するラミネート法等が用いられる。
<D>任意の構成層の形成方法
前述の通り、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などの任意の構を有機EL素子は備え得る。以下にこれらの層の構成およびその形成方法を示す。
<D1>基板の準備
支持基板としての光透過性基板は、有機EL素子を形成する際に変化しないものが好ましい。支持基板は、第1電極部、発光部および第2電極部を含む積層体(以下、発光機能部という場合がある)が搭載される。本明細書では、平板状または薄膜状(フィルム状)の基板が有する2つの主たる平面をそれぞれ主面という。支持基板は、リジッド基板でも、フレキシブル基板でもよい。支持基板としては、例えばガラス板、プラスチック板、高分子フィルム、シリコン板、金属板、これらを積層したものなどを用いることができる。また薄膜トランジスタ、キャパシタ、配線層などからなる制御回路を備えるTFT基板を支持基板はとして用いてもよい。
<D2>正孔注入層の形成方法
正孔注入層は、陽極と正孔輸送層との間、または陽極と発光部との間に設けることができる。正孔注入層を構成する正孔注入層材料としては、特に制限はないが、公知の材料を適宜用いることができ、例えばフェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、酸化バナジウム、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
正孔注入層は、例えば正孔注入材料を溶媒に溶解した塗布液を用いる塗布法、および蒸着法などによって成膜することができる。塗布法に使用される溶媒としては、正孔注入材料を溶解するものが好ましく、例えば水、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒を挙げることができる。
正孔注入層を成膜する塗布法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、およびインクジェットプリント法などを挙げることができる。
<D3>正孔輸送層の形成方法
正孔輸送層は、陽極または正孔注入層と、発光部との間に設けることができる。正孔輸送層を構成する正孔輸送層材料としては特に制限はないが、例えばN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)4,4’−ジアミノビフェニル(TPD)、NPB(4,4’−bis[N−(1−naphthyl)−N−phenylamino]biphenyl)等の芳香族アミン誘導体、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などが例示される。
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものが好ましく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法等の塗布法を用いることができる。パターン形成が容易であるという点で、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
<D4>電子輸送層の形成方法
電子輸送層は陰極または電子注入層と、発光部との間に設けられる。電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体等が例示される。
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、又は溶液若しくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液又は溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液又は溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液から電子輸送層を成膜する方法としては、前述の溶液から正孔輸送層を成膜する方法と同様の成膜法があげられる。
<D5>電子注入層の形成方法
電子注入層は、電子輸送層と陰極との間、または発光部と陰極との間に設けられる。電子注入層としては、発光部の種類に応じて、アルカリ金属やアルカリ土類金属、或いは前記金属を1種類以上含む合金、或いは前記金属の酸化物、ハロゲン化物及び炭酸化物、或いは前記物質の混合物などが挙げられる。アルカリ金属またはその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウム等が挙げられる。また、アルカリ土類金属またはその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。さらに、金属、金属酸化物、金属塩をドーピングした有機金属化合物、および有機金属錯体化合物、またはこれらの混合物を電子注入層に用いることもできる。電子注入層は、2層以上を積層したものであってもよい。具体的には、LiF/Caなどが挙げられる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成される。
2.本発明の有機EL素子
本発明の有機EL素子は、光透過性導電膜からなる第1電極を含む第1電極部と、第1電極とは極性が異なる第2電極を含む第2電極部と、第1及び第2電極部の間に配置された発光部とを含み、上記本発明の有機EL素子の製造方法により作製し得る。
図1に示す実施形態では、第1電極部と、発光部と、第2電極部とからなる発光機能部を外気から遮断するために、封止基板11が設けられている。封止基板11と支持基板10とは接着部材50によって貼り合わされる。封止基板11の形状は、支持基板10と貼り合わせて、発光機能部を封止できるものであればよい。封止基板11としては、上記支持基板10について例示したものと同様の部材を用いることができる。
図1に示す実施形態では発光部30は1層で構成されているが、発光部30は2層以上の発光層を備えていてもよく、その場合、2層以上の発光層は、直接接して積層してもよいし、また2層以上の発光層の間に発光層以外の層が設けられていてもよい。
図1に示す実施形態では、支持基板としての光透過性基板10上に陽極21が設けられている。陰極41は発光部30を挟んで、陽極21に対向して設けられている。陽極21および陰極41の構成およびその形成方法は上記「1.本発明の有機EL素子の製造方法」の欄で既に説明した通りである。
図1に示す実施形態では、陽極21を含む第1電極部20は光透過性を有する。発光部から放出される光は、第1電極部20、支持基板10を通して外部に出射する。このような構造の有機EL素子は、ボトムエミッション型と呼ばれる。
光透過性導電膜21は、有機EL素子の陽極または陰極として用いられる。光透過性導電膜の構成およびその形成方法については、上記「1.本発明の有機EL素子の製造方法」の欄にて既に説明したとおりである。光透過性導電膜21の膜厚は、抵抗および可視光の透過率などによって適宜設定され、例えば0.02〜2μmであり、好ましくは0.02〜1μmである。
光透過性導電膜の屈折率をn1、光透過性基板10の屈折率をn2とすると、n1およびn2は、それぞれ次式(1):
Figure 0005203996
を満たす。また光透過性導電膜からなる第1電極(図1に示す実施の形態では陽極21)は、可視光領域の光の透過率が80%以上、体積抵抗率が1Ω・cm以下、表面粗さRaが100nm以下であることが好ましい。
さらに光透過性導電膜に接して設けられる層(図1に示す実施の形態では正孔注入層22)の屈折率をn3とすると、n1とn3とは、両者の差の絶対値(│n1−n3│)が0.4以下であることが好ましい。
光透過性基板10としては上記「1.本発明の有機EL素子の製造方法」の欄にて例示した材料うち、光透過性導電膜21との屈折率の差が0.4未満の屈折率を示すものが適宜用いられる。
従来のボトムエミッション型の有機EL素子では、ガラス基板上に形成されたITOが陽極として用いられてきた。ITOの屈折率は2程度であり、ガラス基板の屈折率は1.5程度であり、ITOに接する層(例えば正孔注入層または発光部)の屈折率は1.7程度である。したがって従来のボトムエミッション型の有機EL素子は、屈折率の低いガラス基板と発光部との間に、屈折率の高いITOが介在していた。そのため発光部からの光の一部が、全反射などによってITOで反射されることになり、発光部からの光を効率的に取り出すことができなかった。
それに対して本実施形態では第1電極の屈折率n1は前述した式(1)を満たし、好ましい形態としては第1電極に接する層(例えば正孔注入層)が以下の特定の関係になるように設定される。以下第1電極に接する層(例えば正孔注入層)の屈折率を記号「n3」で表す。
前述の式(1)の関係を満たす第1電極(屈折率:n1)と光透過性基板(屈折率:n2)を用いることによって、従来の有機EL素子に比べて、光透過性基板、透明な第1電極の屈折率の差が小さい有機EL素子を構成することができる。これによって、発光部からの光が第1電極で反射することを抑制し、有機EL素子の光取出し効率を向上することができる。さらに│n1−n3│<0.4の関係を満たす透明な第1電極と光透過性基板とを用いれば、光透過性基板、第1電極、および発光部の第1電極に接する層(例えば正孔注入層)の各屈折率の差をさらに小さくすることができ、発光部からの光が第1電極で反射することを抑制し、有機EL素子の光取出し効率をさらに向上することができる。これによって発光効率が高い有機EL素子を実現することができる。なお前述したように「n3」は通常1.7程度なので、式(1)を満たす第1電極を用いることによって多くの場合│n1−n3│<0.4の関係を満たすことができる。
陰極41の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
図1に示す実施形態では、第1電極部20を構成する層として、陽極21に加えてさらに、正孔注入層22および正孔輸送層23が設けられている。正孔注入層と正孔輸送層との両方が設けられる場合、陽極に近い側に位置する層を正孔注入層といい、発光部に近い側に位置する層を正孔輸送層という。
正孔注入層22は、陽極21からの正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔注入層22は、陽極21からの正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔注入層22の層厚は、用いる材料によって最適値が異なり、製造の難易度および求められる特性などを勘案して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。正孔注入層22を構成する材料およびその成膜方法については、上記「1.有機EL素子の製造方法」の欄で既に説明した通りである。
正孔輸送層23は、陽極21または正孔注入層22、若しくは陽極21により近い正孔輸送層23からの正孔注入を改善する機能を有する層である。正孔輸送層23の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、製造の難易度および求められる特性などを勘案して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。正孔輸送層を構成する正孔輸送材料およびその成膜方法については、上記「1.有機EL素子の製造方法」の欄で既に説明した通りである。
なお、正孔輸送層23と発光部30との間には、さらに電子ブロック層を設けてもよい。電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する層である。正孔注入層または正孔輸送層が、電子ブロック層を兼ねることがある。電子ブロック層としては、例えば、上記正孔注入層または正孔輸送層の材料として例示した各種材料を用い得る。
図1に示す実施形態では、第2電極部40を構成する層として、陰極41に加えてさらに、電子注入層42および電子輸送層43が設けられている。電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に近い側に位置する層を電子注入層といい、発光部に近い側に位置する層を電子輸送層という。
電子注入層42は、陰極41からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子注入層42の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。電子注入層を構成する材料およびその成膜方法については、上記「1.本発明の有機EL素子の製造方法」の欄にて既に説明した通りである。
電子輸送層43は、陰極41、または電子注入層42、若しくは陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。電子輸送層43の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、製造の難易度および求められる特性などを勘案して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。電子輸送層43を構成する電子輸送材料およびその成膜方法については、上記「1.有機EL素子の製造方法」の欄に記載された通りである。
第2電極部40には、さらに正孔ブロック層を設けてもよい。正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である。電子注入層または電子輸送層が、正孔ブロック層を兼ねることがある。正孔ブロック層としては、例えば、上記電子注入層または電子輸送層の材料として例示した各種材料を用い得る。
<E>発光機能部の層構成の組合せ
上記のように、本発明の有機EL素子は様々な層構成を採用し得る。層構成の具体的な例を以下に示す。
a)陽極/発光部/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光部/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光部/電子注入層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光部/電子輸送層/陰極
f)陽極/正孔注入層/発光部/電子輸送層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光部/陰極
e)陽極/正孔輸送層/発光部/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光部/電子輸送層/陰極
g)陽極/正孔輸送層/発光部/電子輸送層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光部/陰極
i)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光部/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光部/電子輸送層/陰極
k)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光部/電子輸送層/電子注入層/陰極
l)陽極/発光部/電子注入層/陰極
m)陽極/発光部/電子輸送層/陰極
n)陽極/発光部/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
本実施の形態の有機EL素子は2層以上の発光部を有していてもよい。上記a)〜n)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極と陰極とに挟持された積層体を「構造単位A」とすると、2層の発光部を有する有機EL素子の構成として、以下のo)に示す層構成を挙げることができる。なお(構造単位A)は互いに同じでも、異なっていてもよい。
o)陽極/(構造単位A)/電荷発生層/(構造単位A)/陰極
また「(構造単位A)/電荷発生層」を「構造単位B」とすると、3層以上の発光部を有する有機EL素子の構成として、以下のp)に示す層構成を挙げることができる。
p)陽極/(構造単位B)x/(構造単位A)/陰極
なお記号「x」は、2以上の整数を表し、(構造単位B)xは、構造単位Bがx段積層された積層体を表す。また複数ある(構造単位B)は同じでも、異なっていてもよい。
ここで、電荷発生層とは電界を印加することにより、正孔と電子を発生する層である。電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、酸化モリブデンなどから成る薄膜を挙げることができる。
図1などに示す実施形態では、支持基板としての光透過性基板10上に陽極21を設ける形態を示している。このように陽極を支持基板寄りに配置し、陰極を封止基板寄りに配置する構成の有機EL素子では、上記a)からp)の層構成では、左側(陽極側)に示された層から順に、支持基板としての光透過性基板10上に配置されることになる。なお本実施形態では、第1電極を陽極とし、第2電極を陰極とし、陽極としての第1電極を支持基板寄りに配置しているが、発光機能部の積層順を本実施形態とは逆順とし、第1電極を陰極とし、第2電極を陽極とする有機EL素子を構成してもよい。
3.本発明の有機EL素子を搭載した装置
上記本発明の有機EL素子は、面状光源、照明装置、および表示装置などに用いられる。有機EL素子を備える表示装置としては、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、および液晶表示装置などを挙げることができる。有機EL素子は、画素の光源として用いることができる。またドットマトリックス表示装置、および液晶表示装置において、有機EL素子はバックライトとして用いられる。またフレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源、照明装置または表示装置としても使用できる。
<作製例1:光透過性導電膜の形成>
ワイヤ状の導電体として、アミノ基含有高分子系分散剤(アイ・シー・アイ・ジャパン社製、商品名「ソルスパース24000SC」)で表面を保護した銀ナノワイヤー(長軸平均長さ1μm、短軸平均長さ10nm)を用いる。この銀ナノワイヤーのトルエン分散液2g(銀ナノワイヤー1.0g含有)と、膜本体となる光硬化性モノマーであるトリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学製 NKエステル−TMPT)0.25gとを混合し、さらに重合開始剤イルガキュア907(日本チバ・ガイギー社製)0.0025gを添加する。この混合溶液を厚さ0.7mmのガラス基板(光透過性基板:屈折率約1.5)に塗布し、ホットプレート上で110℃、20分加熱して溶媒を乾燥し、さらにUVランプで光照射(6000mW/cm2)することによって硬化して、膜厚が150nmの光透過性導電膜を得る。このように成膜することによって、透過率が80%以上、体積抵抗率が1Ω・cm以下、表面粗さが100nm以下である光透過性導電膜が得られる。
膜本体を構成する光硬化樹脂の屈折率は1.47であり、得られる光透過性導電膜の屈折率も同様に1.47となる。この光透過性導電膜付き透明板を用いた有機EL素子では光取出し効率が向上する。
<作製例2:光透過性導電膜の形成>
ワイヤ状の導電体として、アミノ基含有高分子系分散剤(アイ・シー・アイ・ジャパン社製、商品名「ソルスパース24000SC」)で表面を保護した銀ナノワイヤー(長軸平均長さ1μm、短軸平均長さ10nm)を用いる。この銀ナノワイヤーのトルエン分散液2g(銀ナノワイヤー1.0g含有)と、膜本体となるポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(スタルク社製、BaytronP)2.5gとを混合する。この混合溶液を厚さ0.7mmのガラス基板(光透過性基板)に塗布し、ホットプレート上で200℃20分加熱し、溶媒を乾燥すると膜厚が150nmの光透過性導電膜を得る。このように成膜することによって、透過率が80%以上、体積抵抗率が1Ω・cm以下、表面粗さが100nm以下である光透過性導電膜が得られる。
膜本体を構成するBaytronPの屈折率は1.7であり、得られる光透過性導電膜の屈折率も同様に1.7となる。この光透過性導電膜付き透明板を用いた有機EL素子では光取出し効率が向上する。
<作製例3:光透過性導電膜の形成>
ワイヤ状の導電体として、アミノ基含有高分子系分散剤(アイ・シー・アイ・ジャパン社製、商品名「ソルスパース24000SC」)で表面を保護した銀ナノワイヤー(長軸平均長さ1μm、短軸平均長さ10nm)を用いる。膜本体となるポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(スタルク社製、BaytronP)2.5gに、ジメチルスルホキシド0.125gを混合した混合液と、前記銀ナノワイヤーのトルエン分散液2g(銀ナノワイヤー1.0g含有)とを混合する。この混合溶液を0.7mm厚のガラス基板に塗布し、ホットプレート上で200℃20分加熱し、溶媒を乾燥すると膜厚が150nmの導電膜を得る。このように成膜することによって透過率が80%以上、体積抵抗率が1Ω・cm以下、表面粗さが100nm以下である光透過性導電膜が得られる。
膜本体を構成するBaytronPの屈折率は1.7であり、得られる光透過性導電膜の屈折率も同様に1.7となる。この光透過性導電膜付き透明板を用いた有機EL素子では光取出し効率が向上する。
<作製例4:(工程2)を採用した素子の作製>
(1)素子作製
スパッタリング法にて膜厚約150nmのITO薄膜が形成され、さらにこのITO薄膜が所定の形状にパターニングされて、陽極に相当するITOが形成されたガラス基板(支持基板)にUV−O3処理を10分行った。次に、ITOがパターニングされたガラス基板上に、発光性高分子有機化合物(BP361サメイション社製)の約1.2重量%キシレン溶液を、スピンコート法により回転数1600回転で30秒間回転させて成膜(膜厚70nm)した。次いで真空チャンバーに基板を導入し加熱室に移した。次に加熱室に窒素を導入し大気圧、不活性ガス雰囲気において基板温度約130℃で、40分間加熱した。その後、蒸着チャンバーに基板を移し、基板に対して陰極用マスクをアライメントし、両者の相対位置を保った状態でマスクと基板とを回転させながら電極を蒸着して形成し、ダメージ評価用の素子を作製した。素子構造は、ガラス基板/ITO/発光性高分子有機化合物から成る層/Alであった。
蒸着前のチャンバー内の真空度は3×10-5Pa以下であった。本蒸着、加熱システムにはトッキ株式会社製 Small−ELVESSを用いていおり、プロセス中は真空もしくは窒素雰囲気下であり、素子が大気に曝されることはない。
上記電極の蒸着は、電子銃(日本電子株式開社製 型番:電子銃EBG−203UB4H、電源JST−10F)を用いた電子ビーム蒸着法にて行った。また電極材料としてAlを用いた。電子ビーム蒸着は、蒸着装置の操作条件を、加速電圧10kV、Alを蒸着速度約1nm/sec、膜厚100nmに設定して実施した。加速電圧および蒸着速度の調整を通じてエミッション電流は460mAに調整された。この設定条件による成膜電力量値は、4600W・sec/nmであった。
(2)評価
上記のようにして作製した有機EL素子に、ガラス基板側からピーク波長375nmの励起光を照射し、ガラス基板側から放出される高分子有機発光材料の蛍光スペクトル(PL)を測定した。測定波長領域は380〜780nmとした。測定されたPLスペクトルはピーク波長465nmを持つ青色発光を示した。次に、波長405〜665nmの領域において5nm間隔でPL強度を足し合わせ、高分子有機発光材料から成る層から正面に放出されたPL積分強度を見積もった。その値は約0.0446W/(m2・sr(ステラジアン))であった。なお、測定装置は、東京システム開発社製OLED TEST SYSTEMを用いた。
次に、下記参考例1に従って作製した有機EL素子について評価したPL積分強度を基準とし、上記作製例4の素子の相対PL積分強度比を百分率で表した。なお、相対PL積分強度比は、対象となる有機EL素子のPL積分強度を、参考例1の有機EL素子のPL積分強度で除し、さらに100を乗じた値である。その結果、作製例4の有機EL素子の相対PL積分強度比は、約99.0%となり、PL積分強度の減少は見られず、高分子有機発光材料がダメージを受けていないことを確認した。なお、下記参考例1は抵抗加熱法で作製されたので高分子有機発光材料に与えるダメージは極わずかであると考えられる。
<作製例5:(工程2)を採用した素子の作製>
(1)素子作製
電子ビーム蒸着法にて、加速電圧10kV、蒸着速度0.5nm/sec、膜厚100nm、エミッション電流420mAの設定条件で、電極としてAlを蒸着させた。この設定条件による成膜電力量値は、8400W・sec/nmである。これらの点以外は上記作製例4と同様にしてダメージ評価用の素子を作製した。
(2)評価
作製例4と同様にして作製例5の相対PL積分強度比(百分率)を求めたところ、95.4%であった。また、PL積分強度は約0.0431W/(m2・sr)であった。
<作製例6:(工程2)を採用した素子の作製>
(1)素子作製
電子ビーム蒸着法にて、加速電圧10kV、蒸着速度0.2nm/sec、膜厚100nm、エミッション電流370mAの設定条件で、電極としてAlを蒸着させた。この設定条件による成膜電力量値は、18500W・sec/nmである。これらの点以外は上記作製例4と同様にしてダメージ評価用の素子を作製した。
(2)評価
作製例4と同様にして作製例6の素子の相対PL積分強度比(百分率)を求めたところ、92.8%であった。また、PL積分強度は約0.0408W/(m2・sr)であった。
<比較例1>
(1)素子作製
電子ビーム蒸着法にて、加速電圧10kV、蒸着速度約0.1nm/sec、エミッション電流340mA、膜厚100nmの設定条件で、電極としてAlを蒸着させた。この設定条件による成膜電力量値は、34000W・sec/nmである。これらの点以外は作製例4と同様にしてダメージ評価用の素子を作製した。
(2)評価
作製例4の評価と同様にして、PL積分強度を見積もった。その値は約0.0342W/(m2・sr)であった。作製例4と同様にして比較例1の素子の相対PL積分強度比(百分率)を求めたところ、76.7%であった。このことから、PL積分強度の減少が見られ、高分子有機発光材料がダメージを受けていることがわかった。
<参考例1>
(1)素子作製
電極蒸着に抵抗加熱法を用いた。蒸着ボートにタングステンボートを用いて約80Aの電流を通電しボート上のAlを加熱し蒸着した。Al膜厚は100nmとした。Alの蒸着速度はAl蒸着膜厚が10nmまでは0.1nm/sec、30nmまで0.2nm/sec、100nmまで0.4nm/secであった。蒸着機はトッキ社製 try−ELVESSを用いている。上記以外は作製例4と同様にして素子を作製した。
(2)評価
作製例4の評価と同様にPL積分強度を見積もった。その値は約0.045W/(m2・sr)であった。参考例1の蒸着方法によれば、電子ビーム蒸着法の場合に生じ得るダメージは生じないものと推定し、相対PL積分強度比を表す場合、この参考例1での値0.045W/(m2・sr)を100%とした。
次に、作製例7および作製例8として、上記作製例4〜6とは素子構成の異なる素子を作製した。作製した素子の具体的な層構成は、「ガラス基板/ITO膜/正孔注入層/電子ブロック層/発光部/Ba層/Al層/封止ガラス」である。
<高分子化合物1の合成例>
上記電子ブロック層となる高分子化合物1を合成した。まず攪拌翼、バッフル、長さ調整可能な窒素導入管、冷却管、および温度計を備えるセパラブルフラスコに2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン158.29重量部と、ビス−(4−ブロモフェニル)−4−(1−メチルプロピル)−ベンゼンアミン136.11重量部と、トリカプリルメチルアンモニウムクロリド(ヘンケル社製 Aliquat 336)27重量部と、トルエン1800重量部とを仕込み、窒素導入管から窒素を導入しながら、攪拌下90℃まで昇温した。酢酸パラジウム(II)0.066重量部と、トリ(o−トルイル)ホスフィン0.45重量部とを加えた後、17.5%炭酸ナトリウム水溶液573重量部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、窒素導入管を液面より引き上げ、還流下7時間保温した後、フェニルホウ酸3.6重量部を加え、14時間還流下保温し、室温まで冷却した。反応液水層を除いた後、反応液油層をトルエンで希釈し、3%酢酸水溶液、イオン交換水で洗浄した。分液油層にN,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物13重量部を加え4時間攪拌した後、活性アルミナとシリカゲルとの混合カラムに通液し、トルエンを通液してカラムを洗浄した。濾液および洗液を混合した後、メタノールに滴下して、ポリマーを沈殿させた。得られたポリマー沈殿を濾別し、メタノールで沈殿を洗浄した後、真空乾燥機でポリマーを乾燥させ、ポリマー192重量部を得た。得られたポリマーを高分子化合物1とよぶ。高分子化合物1のポリスチレン換算重量平均分子量は、3.7×105であり、数平均分子量は8.9×104であった。
(GPC分析法)
ポリスチレン換算重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。GPCの検量線の作成にはポリマーラボラトリーズ社製標準ポリスチレンを使用した。測定する重合体は、約0.02重量%の濃度になるようテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに10μL注入した。
GPC装置には島津製作所製LC−10ADvpを用いた。カラムは、ポリマーラボラトリーズ社製PLgel 10μm MIXED−Bカラム(300×7.5mm)を2本直列に接続して用い、移動相としてテトラヒドロフランを25℃、1.0mL/minの流速で流した。検出器にはUV検出器を用い228nmの吸光度を測定した。
<作製例7:(工程2)を採用した素子の作製>
(有機EL素子の作製)
ITO薄膜(陽極)が表面にパターニングされて、ITO薄膜からなる電極が形成されたガラス基板(支持基板)を基板として用い、このITO薄膜上に、正孔注入層を形成した。具体的には、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(HCスタルクビーテック社製、Bytron P TP AI 4083)の懸濁液を0.5μm径のフィルターでろ過し、この懸濁液を、基板のITOが形成された側からスピンコート法により65nmの厚みで成膜し、正孔注入層を形成した。さらに、取り出し電極部分及び封止エリアなどの塗布の不要な領域に成膜された正孔注入層を除去し、大気中においてホットプレート上で200℃、10分間乾燥した。
次に、正孔注入層が形成された基板上に、スピンコート法により前述した高分子化合物1を成膜し、膜厚20nmの電子ブロック層を形成した。さらに、取り出し電極部分及び封止エリアなどの塗布の不要な領域に成膜された電子ブロック層を除去し、高純度の窒素に置換されたグローブボックス中で、ホットプレートを用い180℃、60分間ベイク処理を行った。
次に、電子ブロック層上に発光性高分子有機化合物(BP361 サメイション社製)をスピンコート法により成膜し、膜厚60nmの発光部を形成した。さらに、取り出し電極部分及び封止エリアなどの塗布の不要な領域に成膜された発光部を除去した。これ以降の封止までのプロセスは、真空中あるいは窒素中で行い、プロセス中において素子が大気に曝されないようにした。
次にトッキ株式会社製 真空蒸着機(Small−ELVESS)の加熱室において、窒素中で基板を温度約100℃で60分間加熱した。その後蒸着室に基板を移し、発光部に対向させて第2電極形成用のマスクをアライメントした。さらにマスクと基板とを回転させながら第2電極部を蒸着して形成した。
第2電極部としては、Ba層とAl層との2層構造とした。まず抵抗加熱法を用いてBaを加熱し、蒸着速度約0.1nm/sec、膜厚5nmにて蒸着し、その上に電子ビーム蒸着法にて、加速電圧10kV、蒸着速度1nm/sec、エミッション電流460mA、膜厚100nmの設定条件で、電極(陰極)としてAlを蒸着させた。この設定条件による成膜電力量値は、4600W・sec/nmである。
次にUV硬化樹脂が周縁に塗布された封止ガラス(封止基板)を、減圧下で基板に貼り合わせ、その後大気圧に戻した。さらにUVを照射することで封止ガラスを基板に固定し、発光領域が2×2mmの有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子は、ガラス基板/ITO膜/正孔注入層/電子ブロック層/発光部/Ba層/Al層/封止ガラスの層構成を有していた。
(有機EL素子の評価)
作製した有機EL素子に電圧を印加して、電流―電圧―輝度特性を測定したところ、印加電圧が6.83Vにおいて、電流密度が1.7×10-2A/cm2、正面輝度が1000cd/m2を示した。また、最大電力効率は3.02(lm/W)を示した。また作製例4と同様にしてPL積分強度を測定した。PL積分強度は0.0238W/(m2・sr)であった。本作製例7の有機EL素子と、作製例4のダメージ評価用の素子とは層構成が異なるが、本作製例7におけるAlから成る電極の形成条件は、前述の作製例4におけるAlから成る電極の形成条件と同じなので、本作製例7の電極を形成するときに発光部が受けるダメージを、作製例4と同等であると想定して、本作製例7で作製した有機EL素子の相対PL積分強度比を、作製例4の相対PL積分強度比と同じ99%に設定し、後述する作製例8の有機EL素子の相対PL積分強度比を見積もった。すなわち、本作製例7で作製した有機EL素子の相対PL積分強度比が99%になるように、基準となるPL積分強度を算出して、算出したPL積分強度を用いて、後述する作製例8の有機EL素子の相対PL積分強度比を算出した。
<作製例8:(工程2)を採用した素子の作製>
(有機EL素子の作製)
作製例7と同様に有機EL素子を作製した。但し、第2電極部として、まず抵抗加熱法を用いてBaを加熱し、蒸着速度約0.1nm/sec、膜厚5nmにて蒸着し、その上に電子ビーム蒸着法にて、加速電圧10kV、蒸着速度2nm/sec、エミッション電流570mA、膜厚100nmの設定条件で、電極(陰極)としてAlを蒸着させた。この設定条件による成膜電力量値は、2850W・sec/nmである。
(有機EL素子の評価)
作製例7と同様に作製した有機EL素子に電圧を印加して、電流―電圧―輝度特性を測定した。印加電圧が6.51Vにおいて、電流密度が1.8×10-2A/cm2、正面輝度が1000cd/m2を示した。また、最大電力効率は3.06(lm/W)を示した。さらに、作製例4と同様にしてPL積分強度を測定した。PL積分強度は0.0235W/(m2・sr)であり、相対PL積分強度比は96.1%であった。
図2は、各作製例4〜8および比較例1において作製した素子の相対PL積分強度比を示す図である。横軸は、成膜電力量値であり、縦軸は、相対PL積分強度比を示す。図2に示すように、成膜電力量値が20000未満のときに、相対PL積分強度比が約90%以上になり、陰極を形成する際の素子に与えるダメージを抑制できることが確認された。
10 光透過性基板(支持基板)
11 封止基板
20 第1電極部
21 陽極(光透過性導電膜)
22 正孔注入層
23 正孔輸送層
30 発光部
40 第2電極部
41 陰極
42 電子注入層
43 電子輸送層
50 接着部材

Claims (6)

  1. 光透過性基板と、光透過性導電膜からなる第1電極を有する第1電極部と、前記第1電極とは極性が異なる第2電極を有する第2電極部と、前記第1電極部および前記第2電極部の間に配置される発光部とを有し、前記第2電極部が1又は複数の層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法であって、
    ワイヤ状の導電体が分散媒に分散している分散液を前記光透過性基板の主面に塗布して固化させ、前記光透過性導電膜の屈折率をn1、光透過性基板の屈折率をn2としたとき、n1およびn2がそれぞれ下記式(1):
    Figure 0005203996
    を満たす前記光透過性導電膜を前記光透過性基板上に形成する光透過性導電膜形成工程と、
    発光部を形成する工程と、
    前記発光部を形成した後に、下記式(2)(3)、(4)および(5)
    Figure 0005203996
    Figure 0005203996
    Figure 0005203996
    Figure 0005203996
    の条件を満たす電子ビーム蒸着により前記第2電極部の一層以上を形成する電子ビーム蒸着工程と、
    を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 前記分散液が、前記光透過性導電膜を形成する高分子有機化合物を含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 前記高分子有機化合物が導電性を有する、請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 前記ワイヤ状の導電体の径が、10nm以上、200nm以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 前記ワイヤ状の導電体が、前記光透過性導電膜の膜本体中において網目状構造を構成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 前記電子ビーム蒸着により形成される層が、Al、Zn、In、Ga、Sn、Ni、Cr、Mn、Ti、Mo、Ta、W、Ag、Au、これらの酸化物、これらの窒化物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のフッ化物、アルカリ金属の酸化物、およびアルカリ金属のフッ化物からなる群より選ばれる1種、または2種以上の複合材料により形成される、請求項1からのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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