JP3856084B2 - 現像剤担持体に印加する交流重畳バイアスの周波数設定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接触現像装置を用い潜像担持体に形成された静電潜像を現像し画像を形成する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
接触現像装置を用い潜像担持体(感光体)に形成された静電潜像を現像し画像を形成する画像形成装置において、現像剤担持体(現像ローラ)に交流重畳バイアスを印加する現像装置では、潜像に対して非忠実で、鮮明なカラー画像を形成する場合に階調再現性、中間調再現性が悪く画像品質が低いという問題があり、また、現像剤担持体に印加する交流重畳バイアスの振幅(Vpp)を大きくする必要があるが、潜像担持体への電荷の注入や地カブリなどの制約から実用レベルとはならないなどの問題があった。
【0003】
そこで、これらを解決する方法として、現像剤担持体の搬送面をライン状に形成させる方法が非常に効果的であるが、スクリーン構造その他の要因によりノイズが発生するという問題があった。例えばライン状搬送面を形成した場合に、網点スクリーンを用いると、バンディング(横ムラ)が発生してしまう。また、スクリーンの副走査方向の周波数と交流重畳バイアスによって発生するライン状搬送面の周波数が同期し、あるいは現像剤担持体の現像バイアスに交流を重畳することで潜像担持体が振動し、振動によってニップが増減してスクリーンの副走査方向の周波数と交流によるニップ増減周波数が同期して、潜像担持体上で濃淡が発生するなどの問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものであって、バンディングを低減させ、濃度ムラのない均一な画像の形成を可能にするものである。
【0005】
そのために本発明は、接触現像装置を用い層形成部材が現像剤担持体に当接して現像剤層の層厚を規制し潜像担持体に形成された静電潜像を現像し画像を形成する画像形成装置において、ゴム硬度55〜80度のウレタンゴムからなり体積抵抗率が109 Ωcm以下の半導電性ゴムチップを前記層形成部材の先端に付設して前記現像剤担持体に当接させ前記層形成部材を電気的にフロートにすることにより前記半導電性ゴムチップを介して前記層形成部材を前記現像剤担持体と同電位に設定し、前記当接部で現像剤担持体送り方向に前記現像剤がすり抜ける電位と遮断される電位で変動する交流重畳バイアスを前記現像剤担持体に印加して、前記交流重畳バイアスの周波数による周期で前記現像剤担持体と前記層形成部材を電位変動させ、前記現像剤担持体上に現像剤のライン状凹凸搬送面を形成する現像剤担持体の交流重畳バイアスの周波数設定方法であって、前記交流重畳バイアスの周波数として、機械的に副走査方向に発生する横ムラの周波数に対し整数倍及び整数分の1倍の周波数以外の周波数を設定することを特徴とするものである。
【0006】
また、前記横ムラの周波数は、装置固有の副走査方向に寄与する振動・送りムラ周波数、前記現像装置の駆動ギヤにより発生する副走査方向に寄与する振動・送りムラ周波数、或いは前記潜像担持体の駆動ギヤにより発生する副走査方向に寄与する振動・送りムラ周波数であることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の実施の形態を示す図であり、この画像形成装置は、イエローY、シアンC、マゼンタM、ブラックKからなる4色のトナー(現像剤)による現像器を用いてフルカラー画像を形成することのできる装置である。
【0008】
図1において、100は像担持体ユニットが組み込まれた像担持体カートリッジである。この例では、感光体カートリッジとして構成されていて、その感光体(潜像担持体)140が図示しない適宜の駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動される。感光体140は、薄肉円筒状の導電性基材と、その表面に形成された感光層とを有している。その感光体140の周りには、その回転方向に沿って、帯電手段として帯電ローラ160、現像手段としての現像器10(Y、C、M、K)、中間転写装置30、およびクリーニング手段170が配置される。
【0009】
帯電ローラ160は、感光体140の外周面に当接してその外周面を一様に帯電させる。一様に帯電した感光体140の外周面には、露光ユニット40によって、例えば45°傾きの網点スクリーンを用いた画像処理を行い、所望の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、この露光L1によって感光体140上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器10によって現像剤が付与されて現像される。
【0010】
現像器として、イエロー用の現像器10Y、シアン用の現像器10C、マゼンタ用の現像器10M、およびブラック用の現像器10Kが設けられている。これら現像器10Y、10C、10M、10Kは、それぞれ揺動可能に構成されており、選択的に1つの現像器の現像ローラ(現像剤担持体)11のみが感光体140に当接し得るようになっている。したがって、これらの現像器10は、イエローY、シアンC、マゼンタM、ブラックKのうちのいずれかのトナーを感光体140の表面に付与して感光体140上の静電潜像を現像する。現像ローラ11は、硬質のローラ、例えば表面を粗面化した金属ローラで構成され、現像バイアスに交流を重畳して長手方向にライン状搬送面を形成させるようにしている。
【0011】
現像されたトナー像は、中間転写装置30の中間転写ベルト36上に転写される。クリーニング手段170は、上記転写後に、感光体140の外周面に残留し付着しているトナーTを掻き落とすクリーナブレードと、このクリーナブレードによって掻き落とされたトナーを受ける受け部とを備えている。
【0012】
中間転写装置30は、駆動ローラ31と、4本の従動ローラ32、33、34、35と、これら各ローラの周りに張架された無端状の中間転写ベルト36とを有している。駆動ローラ31は、その端部に固定された図示しない歯車が、感光体140の駆動用歯車190と噛み合っていることによって、感光体140と略同一の周速で回転駆動され、したがって中間転写ベルト36が感光体140と略同一の周速で図示矢印方向に循環駆動されるようになっている。
【0013】
従動ローラ35は、駆動ローラ31との間で中間転写ベルト36がそれ自身の張力によって感光体140に圧接される位置に配置されており、感光体140と中間転写ベルト36との圧接部において一次転写部T1が形成されている。従動ローラ35は、中間転写ベルト36の循環方向上流側において一次転写部T1の近くに配置されている。
【0014】
従動ローラ31には、中間転写ベルト36を介して図示しない電極ローラが配置されており、この電極ローラを介して、中間転写ベルト36の導電層に一次転写電圧が印加される。従動ローラ32は、テンションローラであり、図示しない付勢手段によって中間転写ベルト36をその張り方向に付勢している。従動ローラ33は、二次転写部T2を形成するバックアップローラである。このバックアップローラ33には、中間転写ベルト36を介して二次転写ローラ38が対向配置されている。二次転写ローラ38には、二次転写電圧が印加され、図示しない接離機構により中間転写ベルト36に対して接離可能になっている。従動ローラ34は、ベルトクリーナ39のためのバックアップローラである。ベルトクリーナ39は、中間転写ベルト36と接触してその外周面に残留し付着しているトナーを掻き落とすクリーナブレード39aと、このクリーナブレード39aによって掻き落とされたトナーを受ける受け部39bとを備えている。このベルトクリーナ39は、図示しない接離機構により中間転写ベルト36に対して接離可能になっている。
【0015】
中間転写ベルト36は、導電層と、この導電層の上に形成され、感光体140に圧接される抵抗層とを有する複層ベルトで構成されている。導電層は、合成樹脂からなる絶縁性基体の上に形成されており、この導電層に前述した電極ローラを介して一次転写電圧が印加される。なお、ベルト側縁部において抵抗層が帯状に除去されることによって導電層が帯状に露出し、この露出部に電極ローラが接触するようになっている。
【0016】
中間転写ベルト36が循環駆動される過程で、一次転写部T1において、感光体140上のトナー像が中間転写ベルト36上に転写され、中間転写ベルト36上に転写されたトナー像は、二次転写部T2において、二次転写ローラ38との間に供給される用紙等のシート(記録材)Sに転写される。シートSは、給紙装置50から給送され、ゲートローラ対Gによって所定のタイミングで二次転写部T2に供給される。51は給紙カセット、52はピックアップローラである。
【0017】
二次転写部T2でトナー像が転写されたシートSは、定着装置60を通ることによってそのトナー像が定着され、排紙経路70を通って、装置本体のケース80上に形成されたシート受け部81上に排出される。なお、この画像形成装置は、排紙経路70として、互いに独立した2つの排紙経路71、72を有しており、定着装置60を通ったシートはいずれかの排紙経路71又は72を通って排出される。また、この排紙経路71、72は、スイッチバック経路をも構成しており、シートの両側に画像を形成する場合には、排紙経路71又は72に一旦進入したシートが、返送路73を通って再び二次転写部T2に向けて給送されるようになっている。
【0018】
以上のような画像形成装置全体の作動の概要は次の通りであり、現像器の各ローラ上に交流重畳バイアスを印加してライン状搬送面を形成し、その交流重畳バイアスの周波数を副走査方向に発生する横ムラの周波数に対し整数倍及び整数分の1倍の周波数以外の周波数に設定している。
(1)図示しないホストコンピュータ等(パーソナルコンピュータ等)からの印字指令信号(画像形成信号)が画像形成装置の制御部90に入力されると、感光体140、現像器10の各ローラ11、および中間転写ベルト36が回転駆動される。
(2)感光体140の外周面が帯電ローラ160によって一様に帯電される。
(3)一様に帯電した感光体140の外周面に、45°傾きの網点スクリーンによる画像処理を行って露光ユニット40によって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、イエロー用の静電潜像が形成される。
(4)感光体140には、第1色目の例えばイエロー用の現像器10Yの現像ローラのみが接触し、これによって上記静電潜像が現像され、第1色目のイエローのトナー像が感光体140上に形成される。
(5)中間転写ベルト36には、上記トナーの帯電極性と逆極性の一次転写電圧が印加され、感光体140上に形成されたトナー像が、一次転写部T1において中間転写ベルト36上に転写される。このとき、二次転写ローラ38およびベルトクリーナ39は、中間転写ベルト36から離間している。
(6)感光体140上に残留しているトナーがクリーニング手段170によって除去された後、除電手段から除電光L2によって感光体140が除電される。
(7)上記(2)〜(6)の動作が必要に応じて繰り返される。すなわち、上記印字指令信号の内容に応じて、第2色目、第3色目、第4色目と繰り返され、上記印字指令信号の内容に応じたトナー像が中間転写ベルト36上において重ね合わされて形成される。
(8)所定のタイミングで給紙装置50からシートSが給送され、シートSの先端が二次転写部T2に達する直前にあるいは達した後に(要するにシートS上の所望の位置に、中間転写ベルト36上のトナー像が転写されるタイミングで)二次転写ローラ38が中間転写ベルト36に押圧されるとともに二次転写電圧が印加され、中間転写ベルト36上のトナー像(基本的には4色のトナー像が重ね合わせられたフルカラー画像)がシートS上に転写される。また、ベルトクリーナ39が中間転写ベルト36に当接し、二次転写後に中間転写ベルト36上に残留しているトナーが除去される。
(9)シートSが定着装置60を通過することによってシートS上にトナー像が定着し、その後、シートSが所定の位置に向け(両面印刷でない場合にはシート受け部81に向け、両面印刷の場合には、スイッチバック経路71または72を経て返送路73に向け)搬送される。
【0019】
次に、本発明に係る画像形成装置に用いられる現像装置の実施例について説明する。図2は現像装置の実施の形態を説明するための図であり、1は潜像担持体、2は現像剤担持体、3は供給部材、4は層形成部材、5は直流バイアス電源、6は交流バイアス電源、7は定電流バイアス電源、8は現像剤を示す。
【0020】
図2において、潜像担持体1は、例えば接触して従動回転する帯電ローラ(図示せず)に直流バイアスVa が印加されることにより非画像部表面電位(非画像部電位、帯電電位)V0 が設定され、露光データにより書き込みが行われ画像部電位(露光電位)VONで静電潜像が形成される。現像剤担持体2は、潜像担持体1に対して現像剤8を付着させて画像を形成するものである。供給部材3は、現像剤担持体2と接触回転するように配置されて現像剤担持体2に現像剤8を供給するものであり、現像剤担持体2の表面に所定厚の現像剤層を形成する。層形成部材4は、現像剤担持体2に当接して配置され供給部材3により現像剤担持体2の表面に供給された現像剤層の層厚を規制し、現像剤薄層を形成する弾性規制部材である。直流バイアス電源5および交流バイアス電源6は、現像剤担持体2に交流重畳バイアスを印加するものであり、定電流バイアス電源7は、交流重畳バイアスの交流に追従して現像剤8を安定供給するように供給部材3に定電流バイアスを印加するものである。
【0021】
現像剤担持体2と供給部材3とは弾性接触して周速差をもってアゲインスト方向に回転し、現像剤8を擦り付けるようにして現像剤担持体表面に所定厚み(例えば、数100μm)の現像剤層を形成する。この時、現像剤8は現像剤担持体2と供給部材3との摩擦により所定極性に帯電し、さらに層形成部材4で10μm程度の層厚に規制され、このとき層形成部材4との摩擦によっても同じ極性に帯電する。現像剤担持体2と潜像担持体1はフォワード方向に回転して、周速差によりスリップしながら潜像担持体上の静電潜像を接触現像する。
【0022】
そのため現像剤担持体2には、上記のように潜像担持体1に対して現像剤8を付着させて画像を形成するような交流重畳バイアスが印加され、さらに、供給部材3には、現像剤担持体2に現像剤8を供給するために電界を形成するバイアスが印加されている。例えば供給部材3には、現像剤担持体2に対してイエローとマゼンタ現像器でIS =−2μA、シアン現像器でIS =−3μA、ブラック現像器でIS =−5μAの定電流が流れるような定電流電圧電源が接続される。また、現像剤担持体2、供給部材3に対しては、潜像担持体1の潜像を現像する時にのみ電圧を印加し、その他の期間は電圧を印加しないように制御される。
【0023】
上記のように現像装置では、定電流バイアス電源7により供給部材3に印加される供給バイアスを定電流制御するものであるが、現像剤担持体2に印加される現像バイアスに重畳された交流に対して追従するバイアス源が用いられる。例えば供給部材3に印加される供給バイアスを定電圧制御にした場合には、現像バイアスに重畳された交流に電位が追従しないため、現像剤の供給遅れが生じて良好な画像を得ることができず、使用に耐えるものではなかった。また、単に定電流制御するような供給バイアス源を採用した場合でも、現像バイアスに重畳された交流に対して追従できず、電位の追従性が低いと、定電圧制御と同様な結果となってしまった。さらに供給電流を大きくすると、供給性は保たれるものの搬送量が過多になるため、画像上でポジスジなどが発生したり、カブリが生じてしまう。したがって、供給電流は、大きすぎることなく適正で追従性を高めることが必要であることが判った。
【0024】
定電流制御での電位の追従性を変化させて、画像を作成して評価したところ、現像剤担持体2に印加される現像バイアスの最大値・最小値間電圧VPPに対して供給部材3に印加される供給バイアス源としては、そのVPPが0.5倍以上の追従性能を有していれば良好な画質が得られた。追従性能の許容範囲としては、現像バイアスのVPPに対して供給バイアスのVPPが0.6倍以上であれば十分な評価を得ることができたが、望ましくは0.8倍以上であれば極めて良好な均一画像が得られた。追従性がそれ以下の場合には、供給遅れが生じて画像後半に濃度低下が顕著に現れた。
【0025】
図3は現像装置の他の実施の形態を示す図である。図2に示す実施の形態では、良好な均一画像が得られるようにするため、定電流バイアス電源7に対して、上記のように交流重畳バイアスが印加されている現像剤担持体2の電位に少なくとも0.5倍以上の追従性が要求される。図3に示す実施の形態は、現像剤担持体2と供給部材3との間に直接定電流バイアス電源7′を接続することによって、高い追従性を実現したものである。このように現像剤担持体2に印加する交流重畳バイアスの上に浮かせて定電流バイアス電源7′を接続し、現像剤担持体2と供給部材3との間を定電流制御することにより、定電流バイアス電源7′は、現像バイアスに重畳される交流に対してほとんど追従性のないものでも採用することができる。
【0026】
図4は現像装置の交流重畳バイアスを説明するための図、図5は帯電ローラに印加される直流バイアスと潜像担持体の表面電位との関係を説明するための図、図6は現像γ、交流重畳バイアスの最大値・最小値間電圧VPP、閾値Vthの関係を説明するための図である。
【0027】
現像剤担持体2に印加される交流重畳バイアスは、図4に示すように方形波であり、直流バイアスをVdcとし、これに交流が重畳される交流重畳バイアスの最大値をVmax 、最小値をVmin で表すと、Vdcの中心設定値に対してVPPの振幅が設定される。このVPPの設定は、任意に可能であるが、小さい場合には現像剤に対する電界振動の影響が小さくなるために、バンディング低減や縦帯ムラ低減の効果がほとんど見られず、大きい場合には潜像担持体1に当接させた際に電荷注入が発生し、潜像を破壊してしまうという不具合がある。直流バイアスVdcまたは交流バイアスの最大値・最小値間電圧VPP(=Vmax −Vmin )を調整することにより、例えば交流重畳バイアスの最大値Vmax が潜像担持体1の帯電電位V0 より低くなるように、あるいは交流重畳バイアスの最小値Vmin が潜像担持体1の露光電位VONより高くなるように設定する。例えばVpp=400V、Vdc=−200Vに設定した場合には0〜−400Vの範囲、Vdc=0Vに設定した場合には+200V〜−200Vの範囲のバイアスとなる。
【0028】
上記の各バイアスの1実施例では、帯電ローラに印加する直流バイアスVa を−1200Vに設定することで、潜像担持体1では帯電電位V0 を−600V、露光電位VONを−30Vに設定している。これに対し、現像バイアス(交流重畳バイアス)の最大値Vmax を−500V以上、最小値Vmin を−100V以下に設定し、最大値・最小値間電圧VPPを400V、直流バイアスVdcを−300Vに制御している。現像剤担持体2に対して加える交流重畳バイアス源としては、例えば50%デューティの方形波が比較的安価に簡略な電源回路で実現できるが、この他にも台形波、三角波、正弦波等を使用することも可能であり、デューティも任意に可変である。
【0029】
このように交流重畳バイアスの最大値Vmax を潜像担持体1の帯電電位V0 より低く設定し、図4(a)に示すように露光電位VONに対して交流重畳バイアスの最小値Vmin が越えるようにした場合には、画像部において現像剤が電界の向きにしたがい潜像担持体1上に付着するが、潜像担持体1上から現像剤担持体2への電界の向きは変わらないため、現像剤担持体2へ現像剤が剥離する現象は見られない。また、非画像部では、現像剤の付着は発生しない。
【0030】
一方、図4(b)に示すように露光電位VONより交流重畳バイアスの最小値Vmin が低い場合には、画像部において現像剤が電界の向きにしたがい潜像担持体1上に付着するが、露光電位VONと交流重畳バイアスの最小値Vmin が反転する領域において、現像剤は、潜像担持体1から剥離され現像剤担持体2へ戻るので、画像部に過剰に付着した現像剤が適度に剥離され、濃淡ムラや画像のつぶれを低減することができる。非画像部においては図4(a)に示す場合と同様に現像剤の付着は発生しない。
【0031】
交流重畳バイアスの最大値Vmax の制限内において、最大値・最小値間電圧VPP及び直流バイアスVdcは、任意に設定可能であるため、設定によって上記いずれの状況も発生するが、ともに非画像部への現像剤の付着がないため、地カブリのない良好な画像形成が可能となる。
【0032】
潜像担持体OPC帯電電位V0 は、表面電位計(トレック社製:Model1344など)により測定でき、帯電ローラに印加される直流バイアスVa により変化し、本実施形態では、前述したように例えば直流バイアスVa を−1.2kVに設定することで、潜像担持体OPC帯電電位V0 は−600Vに設定される。その直流バイアスVa と表面電位V0 、VONとの関係を示したグラフが図5であり、帯電ローラに印加される直流バイアスVa を横軸に、直流バイアスVa に対応する表面電位V0 、VONを縦軸に示している。このように直流バイアスVa の設定により表面電位V0 、VONを定めることができ、直流バイアスVdcや最大値・最小値間電圧VPP及び直流バイアスVa は任意に設定することが可能であり、例えば中間転写媒体上で現像剤の濃度検知を行った後、所望の濃度が得られる直流バイアスVdcや最大値・最小値間電圧VPPを設定し、それらの値に応じて予めデータ入力されたV0 ーVa の関係式から直流バイアスVa を設定することができる。
【0033】
図6において、横軸は電位V、縦軸は現像剤の付着濃度を示し、直流バイアスVdcによる現像γ1に対し最大値・最小値間電圧VPPの交流重畳バイアスによる現像γ1′はより寝た特性となり階調性が良好となる。しかも、交流重畳バイアスの最小値Vmin を直流バイアスとした場合の現像γmin と最大値Vmax を直流バイアスとした場合の現像γmax とすると、この振幅の交流重畳バイアスを印加した場合には、図示のようにその間で寝た特性となるので、振幅が大きくなるほど大きく寝た特性となる。つまり、交流重畳バイアスによる現像γ1′は、交流重畳バイアスの最大値・最小値間電圧VPPの大きさに依存し、その分現像γの立ち上がる電位、つまり閾値Vth1もVth1′へシフトする。ここで閾値Vth1、Vth1′は、現像剤が付着し始めるバイアス値である。したがって、この閾値Vth1、Vth1′よりバイアスを低く設定すれば、現像剤の付着はなく、バイアスが閾値Vth1、Vth1′を越えると現像剤の付着が見られ、その越える程度が大きくなるにしたがって付着の度合いが強くなる。このことから明らかなようにカブリをなくし、また剥離効果を上げるには、バイアスをこの閾値より少なくとも低く設定することが条件となる。しかも、この閾値は、直流バイアスVdcを変えることによりシフトするだけでなく、交流重畳バイアスの最大値・最小値間電圧VPPを変えることによってもシフトする。
【0034】
図7は現像装置の概略全体構造の1例を示す図であり、11は現像室、12はサブホッパー、13は台、14は現像器、15はアジテータ機構、16はトナー補給口、17はトナーカートリッジを示す。なお、フルカラー現像装置の場合には、Y,M,C,Kの現像装置があるが、図7では1つの現像装置のみ示している。
【0035】
図7において、潜像担持体1は、表面に感光層が形成された弾性ローラからなり、表面が他部材、例えば帯電装置と当接する位置において弾性ローラを内方から支持するバックアップローラが設けられている。現像装置2は、例えば潜像担持体1に対向して設けられ、現像器筐体14が台13に固定され、サブホッパー12内にはトナーカートリッジ17からトナー補給口16を通して供給される現像剤を現像室11へ攪拌搬送するアジテータ機構15、アジテータ機構15から搬送された現像剤を供給する供給部材3、供給部材3と弾性接触して表面に供給された現像剤を潜像担持体1に移行させる現像剤担持体2、現像剤担持体2の表面の現像剤薄層の厚みを規制する層形成部材4を備えている。
【0036】
次に、上記現像装置を構成する各部材について具体的な実施例により詳述する。まず、現像剤担持体は、アルミシャフト表面にショットブラストにて凹凸形成後、ニッケル無電解メッキ処理をして作製している。凹凸形成においては、ショットブラストとして♯400の真球セラミックビーズを用い、ショット圧力2kg/cm2 、ノズル距離30cm、20rpmにて回転させたアルミシャフトのシャフト全域にショットブラスト処理がされるように、往復運動されたノズルにより、30秒間ショットブラスト処理をして、凹凸を形成させている。ショットブラストに使用できるのは、セラミックビーズに限定されず、ガラスビーズやステンレス等の鉄製ビーズを使用することもできる。このようなショットブラスト後の表面粗さを測定したところ、表面粗さRz=7.5μm、Pc=230であった。表面を切断して電子顕微鏡(SEM)にて500〜1000倍で観察を行っこところ、表面凹凸はクレータ状で均一な凹凸面が形成されていた。
【0037】
このようなショットブラストを行ったアルミシャフトにニッケル無電解メッキ処理を行い、メッキ層を形成させて現像剤担持体を完成させた。メッキ厚みを3〜5μmを狙いとしてメッキ処理を行い、洗浄・脱脂・前処理後、ニッケル無電解メッキ処理を行い、その後洗浄・乾燥して作製した。このようなメッキ処理後の現像剤担持体の表面粗さを測定したところ、Rz=7μm、Pc=220であった。このときの表面を電子顕微鏡にて500〜1000倍で観察したところ、メッキは下地のショットブラスト面にきれいにならって形成されており、ショットブラスト後に観察されたディンプル形状が再現よく残っていた。
【0038】
また、表面にニッケルメッキ処理を施した現像剤担持体の他、ブラスト処理後にアルマイト処理やプラズマ処理などにより、表面に抵抗層を設けたものも使用することもできる。さらに、用途に応じて表面に導電剤を分散させた樹脂コートや絶縁性樹脂コート処理を施した現像剤担持体を使用することも可能であるが、ニッケルメッキ処理を施したものと比較すると樹脂コート層は摩耗するため耐久寿命が若干短くなる。
【0039】
弾性規制部材からなる層形成部材4は、剛体金属板に先端ゴムチップを付設したものであり、剛体金属板として厚み1.5mmのステンレス板、ゴムチップとしてウレタンゴムを使用している。ウレタンゴムはカーボンブラック分散によりトナー付着のない現像剤担持体に当接させた状態で500Vの直流電圧を印加した場合の体積抵抗率が105 Ωcmに導電化されている。ウレタンゴムの体積抵抗率が大きい場合、現像剤担持体と接触させても同電位にならず、電界による現像剤の遮蔽効果が得られないため、現像剤担持体の搬送面がライン状凹凸にならないか、もしくは極めてコントラストが低いラインしか形成されない。理想的なライン状凹凸搬送面が形成できるのは、ウレタンゴムの体積抵抗率を変化させて評価した結果、109 Ωcm以下であった。ウレタンゴムのゴム硬度HsはJIS AにてHs=55〜80度がよい。ゴム硬度が大きいと、ゴム弾性が機能しなくなるために現像剤担持体に追従せず、現像剤担持体上にライン状の凹凸搬送面が形成されにくく、ゴム硬度が小さい場合は現像剤担持体に当接した場合にゴムが振動してしまうため、交流重畳バイアスの周波数facに対応して形成されるはずのライン状凹凸搬送面がゴム振動により乱されてしまう。
【0040】
例えばゴム硬度70度のウレタンゴムを使用して、射出成形により剛体金属板先端に付設し、射出成形後、現像剤担持体と接する部分を研削し、R形状を作製している。層形成部材の段差は検査工程時に作製し、研削砥石の形状および研削量により所望の段差、位置、大きさを作製する。これ以外にも射出成形に用いる金型により、段差を所望の位置・大きさに作成することもできる。層形成部材として、当接位置より1.5mmの位置、0.1mmの大きさで段差を作成した。また、層形成部材表面粗さは研削工程に使用する砥石の粗さを変化させて作成しており、上流側の表面粗さをRa=0.3μm、下流側の表面粗さをRa=0.08μmとしている。このようにして作成された層形成部材を現像剤担持体に対してエッジ当接させる。層形成部材は位置決めの長孔を設けて位置決めピンによりエッジ当接が常に一定の角度と現像剤担持体に対して平行になるようにした。エッジ当接とすることにより、小さな当接荷重により薄層形成が可能となり、現像剤が進入する楔部分(層形成部材と現像剤担持体との間の三角部分)の面積が小さくなり、現像剤詰まりが生じにくくなり、長手方向に均一なライン状凹凸搬送面を形成できた。
【0041】
供給部材としては、ウレタンフォームローラを現像剤担持体に圧接して配置し、現像剤担持体に対してアゲインスト方向に一定の周速比で回転させている。ウレタンフォームの体積抵抗率は105 〜108 Ωcmがよい。抵抗値が高過ぎると電荷が追従しないために供給バイアスの効果がなく、小さ過ぎると現像剤担持体との間でリークしてしまうため好ましくない。本実施例では、107 Ωcmのウレタンフォームを用いた。ウレタンフォームと現像剤担持体との接触ニップは1〜4.5mmが良い。接触ニップが小さい場合は現像剤の供給力が低下し、接触ニップが大きい場合は現像剤担持体の駆動トルクが大きくなり、バンディングなどにより画質劣化が生ずる。本実施例では3.5mmとした。現像剤担持体に対する周速比はアゲインスト回転の場合は0.3〜1が良い、周速比が小さいと供給性が不足し、大きいと駆動トルクが増加し、画質が劣化する。本実施例では0.53とした。ウレタンフォームのセル径は現像剤の体積平均粒径の10〜50倍が良い。現像剤の体積平均粒径に対して小さい場合はセルに現像剤が詰まってしまい供給性が不足し、大きい場合はセル径によるハケメが画像上発生し、画質劣化が生ずる。本実施例ではセル径が120μmで、現像剤の体積平均粒径7μmに対し、約17倍であるウレタンフォームを使用した。
【0042】
現像装置を組み立てた後、ポリエステル樹脂をメインとする現像剤を現像装置内に封入した。現像剤の母粒子はポリエステル樹脂、顔料、荷電制御剤、ワックスを高温で混錬した後、粉砕、分級して作製したもので、粒体の粒度測定器コールタカウンター(コールター社製:TAーII)による測定では、体積測定で体積平均粒径7μmである。本実施例においてはこの母粒子にシリカ微粒子を3重量%外添させた現像剤を使用した。
【0043】
次に、現像剤担持体上のライン状凹凸搬送面について説明する。図8は現像剤担持体上のライン状凹凸搬送面を説明するための図であり、Tは現像剤層、Dは現像剤担持体の搬送面を示す。
【0044】
層形成部材4は、現像剤担持体2のシール部分で現像剤を介することなく接触させ、現像剤担持体2に対して接触させている部分以外において、電気的にフロートにしている。その結果、層形成部材4と現像剤担持体2は、半導電性ゴムを介して同電位に設定される。層形成部材4と現像剤担持体2の電位を同電位にするために通常考えられるのは、バイアスを印加する電極を設置する構成であるが、本実施例では、層形成部材4に付設された半導電性ゴムの抵抗を管理することにより、電極を省略している。
【0045】
交流重畳バイアスにより層形成部材と現像剤担持体とが同電位で変動し、現像剤に対して高または低電位の時は現像剤がすり抜け、低または高電位のときは現像剤が遮断されることにより、ライン状の凹凸搬送面が形成されるので、層形成部材が絶縁性(1010Ωcm以上)の場合はチャージアップ等により現像剤担持体に対する電位が不安定となり、ライン状搬送面が安定してできないので好ましくない。
【0046】
層形成部材4の先端に設けられている弾性体ゴムはその体積抵抗率が109 Ωcm以下、好ましくは105 乃至107 Ωcmの半導電性のゴムである。層形成部材4は金属性の現像剤担持体2に当接しており、現像剤担持体2に対して交流重畳バイアスを印加したとき、現像剤担持体2と層形成部材4とは同電位で変動する。この電位変動は、0Vの場合、現像剤が現像剤担持体2と層形成部材4との接触部(ニップ部)に進入する力を受けて、ニップ部を通過して搬送され、−400Vの場合、現像剤がニップ部に進入するのと逆の力を受けてニップ部を通過できないため搬送されない。このような電位変動により現像剤に対してON/OFFシャッター作用が起こり、これが交流バイアスの周期で起こるため現像剤担持体の搬送面D上にはライン状に凹凸現像剤層Tが形成される。
【0047】
現像剤担持体上のライン状凹凸搬送面は、現像剤担持体に印加される交流重畳バイアスの周波数facと周速によりその幅が決定される。1実施例として、現像剤担持体の周速を360mm/s、現像剤担持体へ印加される交流重畳バイアスを2kHzとすると、その電圧変動に従い現像剤担持体上に形成されるラインは、図8に示すように0.18mm間隔、ライン幅0.09mmで形成される。この判定は、現像剤担持体上に形成された搬送面Dを目視観察することで可能であるが、より客観的にはテープ転写後のラインをマイクロデンシトメータ(株式会社阿部設計製)にて測定し、数回測定したときのMTF値の平均が10以上であればライン状と判別できる。MTF値は5本のラインを測定した時のライン濃度最大値の平均値Ionと、ライン間濃度最小値の平均値Ioff を算出し、簡易的には次式にて算出される。
【0048】
MTF値={(Ion−Ioff )/(Ion+Ioff )}×100
本実施例の現像装置を用いてバイアスを印加しながら、現像剤担持体を駆動させて現像剤担持体上に現像剤薄層を形成したところ、搬送面Dはライン状になり、搬送面D上のライン状現像剤Tを乱さないように注意して12mm幅テープに転写し、マイクロデンシトメータにてMTF値を測定したところ、MTF=25であった。
【0049】
このライン状の凹凸搬送面Dは、交流バイアスの周波数facの設計によりその凹凸ピッチをコントロールすることが可能で、例えば駆動ギヤ送りムラのピッチよりも小さくすることにより、現像剤担持体駆動ギヤの間欠送りのムラを是正して現像剤の搬送量を常に一定にするという搬送量の安定化作用が得られる。このように、搬送量を均一にすることができるため、所謂バンディングが低減されるという効果が達成される。
【0050】
本発明に係る画像形成装置は、機械的に発生する横ムラの周波数に対し交流重畳バイアスの周波数facを同期させないようにするものであり、図9は画像上に現れるバンディング(横ムラ)の例を拡大して示した図である。特に交流重畳バイアスを印加することによりバンディングが発生するのは、現像器駆動により発生する機械的なムラと同期した場合である。なぜならば、感光体(潜像担持体)上の静電潜像で既に発生しているバンディングは、現像を如何に忠実に行っても回避することは不可能であり、さらに感光体上のトナー像にバンディングが発生していなくても、転写や定着プロセスで発生してしまうバンディングを回避することは不可能である。このため、現像器駆動は、複数のギヤを用いて伝達を行っているので、単体ギヤはもちろん、ギヤとギヤが同期することによって生ずる周波数に対しても非同期とさせることが必要である。しかし、画像上で強く現れるバンディングについて、その原因となっているギヤは特定することが可能であり、バンディングを特に強く発生しているギヤに対して非同期とするような設計を行うことにより、バンディングを目立たなくし、画像を良好にすることが可能となる。
【0051】
交流重畳バイアスの周波数facは、現像剤担持体駆動ギヤが最も強くバンディングを発生しているギヤである場合、現像剤担持体駆動ギヤの2次ピッチ周波数fg2に対応して設定することができる。現像剤担持体駆動ギヤのピッチ周波数fg1は、現像剤担持体駆動ギヤのピッチn(mm)と周速度v(mm/s)から算出される振動周期Tの逆数より以下のように算出される。
【0052】
T=n/v、
fg1=1/T
ただし、n:ギヤピッチ(mm)、v:画像形成速度(mm/s)
現像剤担持体駆動ギヤ2次ピッチ周波数fg2は、ギヤピッチ周波数fg1の2倍の値であり、主にギヤ軸が偏心した場合に発生するバンディングの影響を示す値である。交流重畳バイアスの周波数facは、1次ピッチ周波数は勿論、2次ピッチ周波数より大きい方がより良好である。例えばn=1.05mm、v=360mm/sである場合、fg1=362.9Hzになり、fg2=685.7Hzになるので、交流重畳バイアスの周波数facは、このギヤに対して非同期とするため、n倍および1/n倍からずらして設計を行えばよいので、例えば1000Hzとすることにより、バンディングの発生を回避することが可能となる。
【0053】
同様に、潜像担持体駆動ギヤの場合には、n=1.2mm、v=180mm/sであると、fg3=150Hzとなるので、非同期とするためには、交流重畳バイアスの周波数facを例えば980Hzとすればよい。その他のギヤにより発生する周波数fgnが画像上のバンディングとして強く現れる場合には、同様の手法で交流重畳バイアスの周波数facを変化させて現像剤担持体上のライン状搬送面と非同期とすることにより、バンディングの発生を回避することができる。
【0054】
またバンディングの発生にはもう1つの原因があり、潜像担持体と現像剤担持体の接触部において現像剤担持体送りムラにより、現像される量に差が発生することに起因して、濃淡差が画像上に現れるものである。このようなバンディングは実質的に搬送量の厚みを一定にしても現像ニップ部に入った時点で周速が変動すると発生する。現像剤担持体に交流バイアスを印加しない場合の搬送面においては、現像剤充填率(現像ニップ部での空間と現像剤の比率)が80%以上と高く、現像剤担持体送り方向の現像剤が動ける自由度(スペース)がほとんどないために、現像ニップ部で現像量差が発生すると、それがそのまま画像上の濃淡となる。
【0055】
これに対して、本実施例の現像装置では、交流重畳バイアスにより搬送面Dに積極的にライン上の凹凸を形成しているため、現像剤充填率が少なくとも50%以下となり、特に現像剤担持体送り方向に対する現像剤の動ける自由度が高いため、現像バイアスに従って送り方向前後にも現像剤が自由に動くことができ、その結果、潜像担持体表面への付着が可能になるため静電潜像が忠実に再現され、バンディングを発生しない。さらに、潜像担持体として弾性感光体を用いると、ニップ部において潜像担持体が弾性変形し、その結果、一層現像剤が動けるスペースが増すためバンディングの発生を抑止することができる。
【0056】
以上のように積極的にライン状の凹凸搬送面を形成することにより、ギヤ送りムラによる影響を低減することと、現像ニップ部において現像剤充填率を低減化して現像剤の動ける自由度を高くできることの相乗効果により、実質的にバンディングの発生を皆無にすることが可能となり、カラープリンタのように多くの色を重ねて形成される画像においてノイズのない良好な画質が得られる。
【0057】
また、搬送面がライン状凹凸に形成されるため、非画像部に付着した現像剤がこの凹凸によりかき取られ、カブリや散りが低減される。また、搬送面上の凹凸周期は交流重畳バイアスの周波数facに応じて現像剤担持体上に形成され、同じ搬送量がある場合は凸部の現像剤の厚みは一般的な薄層搬送面と比較して約2倍となる。このような凹凸現像剤層Tが潜像担持体と接触した場合、凹部では現像剤充填率が低いため、現像剤がバイアス電界にしたがって移動しやすく、非画像部に付着した現像剤は現像剤担持体側に剥離されやすい。また凸部では、非画像部に付着した現像剤と凸部とが少なくとも一旦は接触し、その際ファンデルワールス力により付着している現像剤がかき取られて現像剤担持体側に移ることになる。このような作用からカブリや散りをほとんどなくすことができる。
【0058】
また、本実施例によれば、現像剤凝集体の解砕効果により層形成部材と現像剤担持体間の詰まりを低減する作用がある。現像器内の現像剤は放置等によりある程度の大きさの凝集体を形成して存在する。アジテータの攪拌により、このような凝集体は機械的にある程度の大きさに解砕されて現像剤担持体に供給されるが、層形成部材と現像剤担持体のニップ部に進入すると、すり抜けることができず、詰まりを生ずる場合がある。この詰まりが発生した箇所では、搬送量が少なくなり、縦帯ムラや縦スジ等の搬送ムラとなり、画像上の濃淡ムラとなる。また、詰まった現像剤はその箇所に溜まるために繰り返し現像剤担持体と接触して現像剤担持体フィルミングを発生する。しかし、本実施例では現像剤担持体に交流重畳バイアスを印加し、層形成部材と現像剤担持体とのニップ部の前半で電位変動により現像剤を振動させて凝集塊が解砕し、1次粒子に近い状態で現像剤担持体層形成部材間に進入するようになる。このため、層形成部材と現像剤担持体間のニップ部を容易にすり抜けるか、もしくは規制されて現像器後方に流動するため、現像剤詰まりがなく良好な画像を得ることができる。
【0059】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、交流重畳バイアスの周波数facとして、ギヤピッチ周波数を求め、そのn倍および1/n倍の周波数以外の周波数を設定したが、スクリーン構造によるものも含め様々な要因が複合して実際に画像に現れる図9に示すようなバンディングのピッチを測定し、これと非同期とする周波数を設定してもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、現像剤担持体に交流重畳バイアスを印加して該現像剤担持体上にライン状搬送面を形成する接触現像装置を用い潜像担持体に形成された静電潜像を現像し画像を形成する画像形成装置において、装置固有の副走査方向に寄与する振動・送りムラ周波数、現像装置の駆動ギヤにより発生する副走査方向に寄与する振動・送りムラ周波数、潜像担持体の駆動ギヤにより発生する副走査方向に寄与する振動・送りムラ周波数に対し整数倍及び整数分の1倍の周波数以外の周波数を交流重畳バイアスの周波数として設定したので、現像剤担持体上に形成されるライン状搬送面が副走査方向に寄与する振動・送りムラ周波数と非同期になり、バンディングを低減させることができる。
【0061】
また、現像装置は、現像剤担持体上に現像剤薄層を形成する層形成部材を有し、該層形成部材は、先端にゴムを付設して現像剤担持体に接触させたことを特徴し、層形成部材は、先端にゴム硬度55〜80度のウレタンゴム、半導電性ゴムチップを付設して現像剤担持体のシール部分で現像剤を介することなく接触させ、半導電性ゴムチップは、体積抵抗率が109 Ωcm以下であるので、現像剤つまりが生じにくく、現像剤担持体の長手方向により均一なライン状の現像剤搬送面を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像形成装置の実施の形態を示す図である。
【図2】 現像装置の実施の形態を説明するための図である。
【図3】 現像装置の他の実施の形態を説明するための図である。
【図4】 現像装置の交流重畳バイアスを説明するための図である。
【図5】 帯電ローラに印加される直流バイアスと潜像担持体の表面電位との関係を説明するための図である。
【図6】 現像γ、交流重畳バイアスの最大値・最小値間電圧VPP、閾値Vthの関係を説明するための図である。
【図7】 現像装置の概略全体構造の1例を示す図である。
【図8】 現像剤担持体上のライン状凹凸搬送面を説明するための図である。
【図9】 画像上に現れるバンディング(横ムラ)の例を拡大して示した図である。
【符号の説明】
10…現像器、30…中間転写装置、40…露光ユニット、100…像担持体ユニット、140…感光体、160…帯電ローラ、170…クリーニング手段、T1…一次転写部、T2…二次転写部
Claims (4)
- 接触現像装置を用い層形成部材が現像剤担持体に当接して現像剤層の層厚を規制し潜像担持体に形成された静電潜像を現像し画像を形成する画像形成装置において、ゴム硬度55〜80度のウレタンゴムからなり体積抵抗率が109 Ωcm以下の半導電性ゴムチップを前記層形成部材の先端に付設して前記現像剤担持体に当接させ前記層形成部材を電気的にフロートにすることにより前記半導電性ゴムチップを介して前記層形成部材を前記現像剤担持体と同電位に設定し、前記当接部で現像剤担持体送り方向に前記現像剤がすり抜ける電位と遮断される電位で変動する交流重畳バイアスを前記現像剤担持体に印加して、前記交流重畳バイアスの周波数による周期で前記現像剤担持体と前記層形成部材を電位変動させ、前記現像剤担持体上に現像剤のライン状凹凸搬送面を形成する現像剤担持体の交流重畳バイアスの周波数設定方法であって、
前記交流重畳バイアスの周波数として、機械的に副走査方向に発生する横ムラの周波数に対し整数倍及び整数分の1倍の周波数以外の周波数を設定することを特徴とする現像剤担持体の交流重畳バイアスの周波数設定方法。 - 前記横ムラの周波数は、装置固有の副走査方向に寄与する振動・送りムラ周波数であることを特徴とする請求項1記載の現像剤担持体の交流重畳バイアスの周波数設定方法。
- 前記横ムラの周波数は、前記現像装置の駆動ギヤにより発生する副走査方向に寄与する振動・送りムラ周波数であることを特徴とする請求項1記載の現像剤担持体の交流重畳バイアスの周波数設定方法。
- 前記横ムラの周波数は、前記潜像担持体の駆動ギヤにより発生する副走査方向に寄与する振動・送りムラ周波数であることを特徴とする請求項1記載の現像剤担持体の交流重畳バイアスの周波数設定方法。
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