JP3726873B2 - 現像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、あるいはプリンタ等の電子写真方式をとる画像形成装置に関し、特に、乾式現像装置の現像ローラ上にトナーの薄層を形成する層形成部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
乾式トナー(現像剤)を用いる現像装置においては、現像ローラ(現像剤担持体)に弾性体ブレードからなる層形成部材を当接させてトナーを摩擦帯電させると共に、現像ローラ上にトナーの単粒子層を形成し、その現像ローラを静電潜像担持体(感光体)に接触あるいは近接させることにより静電潜像を現像して顕像化している。
【0003】
従来、弾性体ブレードの現像ローラに当接する位置から上流の面に粗面化処理をして凹凸を形成してその部分でトナーに搬送抵抗力を与えるようにすることにより、上記当接位置に近づくにつれてトナーの膜厚を徐々に薄くして弾性体ブレードの凹凸部より下流の粗面化処理をしていない部分でトナーの膜厚を均一な単粒子層にするものが、特開昭60−33578号において提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように弾性体ブレードの現像ローラへの当接位置から上流の部分に凹凸を形成した場合、使用初期においてはその凹凸によりトナー搬送量が制限されて、現像ローラ表面に所望の搬送量が得られるものの、長期にわたり印字し続けると、その凹凸内にトナーが入り込んで固定層を形成するために、この凹凸は本来目的とする機能をしなくなる。これにより、軽微な固定層を形成すると、現像ローラ上のトナー搬送量が増加するため、トナーの帯電量が低下し、現像した像にカブリが増加したり、階調性が悪化する等、画像劣化が発生する。さらに、固定層が広がると弾性体ブレードと現像ローラのニップを遮るようになる、トナーが搬送されなくなる。
【0005】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、長期間画像形成動作を続けても搬送抵抗力を失わず所望の搬送量を得ることができ、画像劣化の発生がない層形成部材を備えた現像装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の現像装置は、表面に現像剤を担持しながら回転して静電潜像担持体上へ搬送して潜像を現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体によって担持される現像剤の厚さを規制して現像剤の層を現像剤担持体上に形成する層形成部材とを有する現像装置において、
層形成部材が現像剤担持体と当接する位置から下流側の現像剤担持体に面する側の層形成部材の面の表面粗さがその当接位置から上流側の面の表面粗さより小さく、かつ、その当接位置よりも上流の面に下流に向かって落ちる段差が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
この場合に、その段差は層形成部材が現像剤担持体と当接する位置から上流側の0.5〜3mmの範囲内に設けられていることが望ましい。
【0008】
また、段差の深さは0.05〜0.2mmの範囲内にあることが望ましい。
【0009】
以下、上記本発明の現像装置の構成と作用を図面を参照にして説明する。
【0010】
図2に本発明の現像装置10の構成を示す。感光体(潜像担持体)20の周りには、その回転方向に沿って、不図示の帯電手段、露光手段が設けられ、現像装置10、不図示の、転写装置、及び、クリーニング手段が配置されている。
【0011】
帯電手段は、感光体20の外周面に当接して外周面を一様に帯電させる。一様に帯電した感光体20の外周面には、露光手段によって所望の画像情報に応じた選択的な露光がなされ、この露光によって感光体20上に静電潜像が形成される。
【0012】
現像装置10には、現像剤担持体(現像ローラ)2と、その現像剤担持体2表面に現像剤(トナー)を供給する不図示の供給部材と、現像剤担持体2表面に担持されている現像剤を摩擦帯電させると共に、その現像剤の厚さを規制して現像剤担持体2上に現像剤の単粒子層を形成する層形成部材(弾性体ブレード)1とが配置されて構成されている。
【0013】
図1は、層形成部材1が現像剤担持体2に当接する位置近傍の拡大図であり、層形成部材1が現像剤担持体2と当接する位置Aから下流側の現像剤担持体に面する側の層形成部材1の面S2 の表面粗さは、その当接位置Aから上流側の面S1 の表面粗さより小さく平滑に仕上げられており、面S1 は粗面化されている。そして、その当接位置Aよりも上流の距離Lの位置に下流に向かって深さDだけ落ちる(現像剤担持体2との距離が大ききなる)段差4が設けられている。
【0014】
このように、本発明の現像装置10において、層形成部材1の現像剤担持体2に面する面の当接位置Aから上流側S1 の表面粗さが大きく、かつ、段差4を設けてあるので、現像剤3には図に矢印で示す通り段差4を境目として逆方向の流れ(渦)が新たに形成され、層形成部材1と現像剤担持体2のニップ付近の層形成部材1の面S1 の凹凸部に攪拌効果が現れ、固定層を形成し難くなり、その面への固着が発生することなく、長期間画像形成動作を続けても均一な搬送面を形成し続けることが可能となる。
【0015】
ここで、層形成部材1の上流側の段差4は、現像剤3の流れ上、当接位置Aに近い程層形成部材1のニップ部分への現像剤3の溜まりを回避できるために望ましいが、当接位置Aに近すぎると、逆に現像剤3の流れが悪くなり、現像剤3の搬送量制御ができず、搬送量過多となってしまう。したがって、当接位置Aから段差4までの距離Lは、0.5〜3mmの範囲内にあることが望ましい。
【0016】
また、層形成部材1の上流側の段差4は、現像剤3の流れを変化させるに十分な段差として、0.05mm以上の深さDであることが望ましく、それ以下である場合は、現像剤3の流れを変化させる作用がないために効果がない。しかし、この段差が大きすぎると、段差4部分が現像剤3の流れが滞留する部分になり、現像剤3の固定層が発生しやすくなるため、0.2mm以下が望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の現像装置を用いた画像形成装置の実施例と比較例について説明する。
【0018】
(実施例1)
図3に本発明の1実施例の現像装置10を用いた画像形成装置の要部の構成を示す。感光体20の周りには、その回転方向に沿って、不図示の帯電手段、露光手段が設けられ、現像装置10、不図示の、転写装置、及び、クリーニング手段が配置されている。
【0019】
帯電手段は、潜像担持体20の外周面に当接して外周面を一様に帯電させる。一様に帯電した潜像担持体20の外周面には、露光手段によって所望の画像情報に応じた選択的な露光がなされ、この露光によって潜像担持体20上に静電潜像が形成される。
【0020】
現像装置10には、現像室6と、メインホッパ7と、メインホッパ7の現像室6と反対側に設けられ、不図示のトナーカートリッジから現像剤を補給する現像剤補給口9とからなり、現像室6には、現像剤担持体2と、その現像剤担持体2表面に現像剤を供給する供給部材5と、現像剤担持体2表面に担持されている現像剤の厚さを規制して現像剤の層を現像剤担持体2に形成する層形成部材1とが配置され、現像剤担持体2と供給部材5は相互に接触して図示の方向に回転しており、現像剤担持体2には現像電源からの現像バイアス電圧が、供給部材5には供給電源からの供給バイアス電圧がそれぞれ印加されており、供給部材5の回転により摩擦帯電された現像剤は供給部材5から現像剤担持体2へ供給され、その表面に担持されている現像剤層の厚さは現像剤担持体2と当接している層形成部材1で規制されると共に、現像剤担持体2表面に担持されている現像剤はさらなる摩擦帯電を受ける。
【0021】
メインホッパ7内には、現像剤補給口9を介して不図示のトナーカートリッジから補給された現像剤を攪拌して流動性の高い状態に保ったまま現像室6へと搬送するアジテータ8が配置されており、現像剤を現像室6へと搬送している。
【0022】
潜像担持体20上の静電潜像は、現像装置10の現像剤担持体2が潜像担持体20表面に接触して後記の一成分非磁性トナーが付与されて現像される。
【0023】
現像装置10中の現像剤担持体2は、アルミニウムローラ表面にショットブラストを施してRz4〜5μm程度の凹凸を形成した後、Niメッキ処理を行ったものを使用している。供給部材5はウレタンスポンジをローラ状に形成してなるものであり、現像剤担持体2に圧接して配置し、図3に示すように、現像剤担持体2に対して反対方向に一定の周速比で回転させている。
【0024】
潜像担持体20は、OPCからなるものである。
【0025】
潜像担持体20の周速は180mm/sec、現像剤担持体2の周速は360mm/sec、供給部材5の周速は180mm/secである。
【0026】
現像剤としては、ポリエステル系樹脂に顔料を分散させ、粉砕して作製した一成分非磁性トナーを用いている。
【0027】
本実施例においては、潜像担持体20の非画像部の表面電位を−700V、画像部の表面電位を−50V、現像バイアス電圧を−300V、供給バイアス電圧を−500Vとして用いている。
【0028】
本実施例の層形成部材1は、図4に断面を示す通り、剛体金属板12に先端にゴムチップ11を付設してなり、剛体金属板12として厚み1.5mmのステンレス板、ゴムチップ11としてウレタンゴムを使用している。ウレタンゴムはカーボンブラック分散により体積抵抗率105 Ωcmと導電化されている。射出成形により剛体金属板12先端にゴムチップ11を付設し、その射出成形後、現像剤担持体2と接するエッジ部分を研削し、R形状に作成している。層形成部材1の段差4はゴムチップ11の研削工程時に作成し、研削砥石の形状及び研削量により所望の段差4位置・大きさに作成する。これ以外にも、射出成形に用いる金型により、段差4を所望の位置・大きさに作成することもできる。
【0029】
この実施例の層形成部材1として、R形状に作成した当接位置より1.5mmの位置に、0.1mmの大きさで段差4を作成した。また、層形成部材1表面粗さは、研削工程に使用する砥石の粗さを変化させて作成しており、当接位置より上流側13の表面粗さをRa=0.3μm、下流側14の表面粗さをRa=0.08μmとしている。
【0030】
このような層形成部材1を用いて、上記の構成の現像装置10で、上記の条件で画像形成を行ったところ、初期において面均一性が良好な画像を形成することができた。さらに、連続して画像形成を行ったところ、10万枚の印字をしても初期と同様の品質の画像が得られ、現像剤3の所望搬送量を維持していた。10万枚画像形成後の現像装置10を分解し、層形成部材1を観察したところ、層形成部材1の上流側13に付着していた現像剤は全てエアブローにより簡単に剥離することができものであり、全く問題がないものであった。
【0031】
(比較例1)
図5に断面を示すように、上流側13に段差がない層形成部材1を作成し、その他の構成部材は実施例1と全く同様として、現像装置10を構成した。層形成部材1は段差がない以外は全く同様であり、上流側13と下流側14の表面粗さも全く同様である。
【0032】
このような現像装置10を用いて画像形成を行ったところ、初期においては問題なく良好な画像を形成できた。さらに連続して画像形成を行ったところ、数百枚程度印字後、現像剤3の搬送量が増加し、カブリが増加した。その後、画像上に縦方向の白スジが発生した。さらに画像形成を続けたところ、白スジが全域に広がり、現像剤3の搬送量が極めて少なくなった。このときの層形成部材1を取り外して観察したところ、層形成部材1の上流部13の全域に現像剤フィルミングが発生しており、現像剤フィルミングが現像剤担持体2と層形成部材1の間のニップ部を遮るため、現像剤3がその間をすり抜けることができずに、現像剤搬送量が少なくなっていた。
【0033】
(段差位置の検討)
次に、本発明の現像装置に用いる層形成部材1の段差位置を変化させたものを作成し、画像形成評価を行った。層形成部材1として、射出形成後の研削工程に使用する砥石形状を変化させることにより、段差を形成する位置を変化させた。段差の大きさは全て0.1mmとして層形成部材1を作成した。作成した層形成部材1と連続画像形成時の画像欠陥発生時における枚数をまとめたものが次の表1である。
【0034】
表1に示す通り、画像劣化発生が10万枚以上であったのは、段差が0.5〜3mmのときであり、それ以外では寿命が短かった。No.1の段差の位置0.3mmと当接位置に近い場合は、画像劣化として搬送量増加によるカブリ発生であった。また、No.4の段差位置が当接位置に対して5mmと遠い場合は、上流側への現像剤付着が発生しており、搬送面上と画像上に白スジを発生した。
【0035】
(段差の大きさの検討)
本発明の現像装置に用いる層形成部材1として、段差の大きさを変化させ、段差の最適値を求める評価を行った。層形成部材1として作成したのは、次の表2のサンプルであり、段差の当接位置からの距離は2mmで一定として段差の大きさ(深さ)を変化させている。
【0036】
このような層形成部材1を用い、その他の構成部材は実施例1と全く同様として、現像装置10を構成した。初期において画像形成を行ったところ、どのサンプルでも良好な画像が得られた。連続して画像形成を行うと、画像劣化を発生する枚数にそれぞれ差を生じた。No.5のように段差が0.02と小さい場合、搬送面上と画像上に白スジを発生した。このときの層形成部材1を観察したところ、当接位置付近で現像剤フィルミングを発生しており、本発明により段差4を設けることの効果はあるものの十分ではなかった。また、No.8のように段差が0.4と大きい場合も同様に、画像上に白スジを発生し、層形成部材1を詳細に調べたところ、段差部分で強固に現像剤が付着していた。
【0037】
これらの結果から、100000枚超の耐久性を有する最適な段差4の大きさは0.05〜0.2mmの範囲内にあることであった。
【0038】
以上、本発明の現像装置を実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の現像装置によると、層形成部材が現像剤担持体と当接する位置から下流側の現像剤担持体に面する側の層形成部材の面の表面粗さがその当接位置から上流側のその面の表面粗さより小さく、かつ、その当接位置よりも上流のその面に下流に向かって落ちる段差が設けられているので、現像剤には段差を境目として逆方向の流れ(渦)が新たに形成され、層形成部材と現像剤担持体のニップ付近の層形成部材の上流側の面の凹凸部に攪拌効果が現れ、固定層を形成し難くなり、その面への現像剤の固着が発生することなく、長期間画像形成動作を続けても、均一な現像剤の搬送面を形成し続けることが可能となり、画像劣化の発生が起きない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像装置の層形成部材が現像剤担持体に当接する位置近傍の拡大図である。
【図2】本発明の現像装置の概略の構成を示す図である。
【図3】本発明の1実施例の現像装置を用いた画像形成装置の要部の構成を示す図である。
【図4】実施例1の現像装置の層形成部材が現像剤担持体に当接する位置近傍の拡大図である。
【図5】比較例1の現像装置の層形成部材が現像剤担持体に当接する位置近傍の拡大図である。
【符号の説明】
1…層形成部材(弾性体ブレード)
2…現像剤担持体(現像ローラ)
3…現像剤
4…段差
5…供給部材
6…現像室
7…メインホッパ
8…アジテータ
9…現像剤補給口
10…現像装置
11…ゴムチップ
12…剛体金属板
20…感光体(潜像担持体)
A…層形成部材と現像剤担持体との当接位置
S1 …上流側の面
S2 …下流側の面
Claims (3)
- 表面に現像剤を担持しながら回転して静電潜像担持体上へ搬送して潜像を現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体によって担持される現像剤の厚さを規制して現像剤の層を現像剤担持体上に形成する層形成部材とを有する現像装置において、
層形成部材が現像剤担持体と当接する位置から下流側の現像剤担持体に面する側の層形成部材の面の表面粗さがその当接位置から上流側の面の表面粗さより小さく、かつ、その当接位置よりも上流の面に下流に向かって落ちる段差が設けられていることを特徴とする現像装置。 - 前記段差が前記当接位置から上流側の0.5〜3mmの範囲内に設けられていることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
- 前記段差の深さが0.05〜0.2mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2記載の現像装置。
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