JP3817930B2 - 現像装置及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばモノカラーまたはフルカラーの複写機やプリンタ等に用いられる現像装置及びそれを用いた画像形成装置に関する。さらに詳細には、現像用バイアス電圧の設定の際の許容範囲を広くするとともに、現像剤担持体と像担持体との間でのリークの発生を防止するようにした現像装置及びそれを用いた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置においては、全面帯電した感光体ドラムに、光書き込みユニットの露光により静電潜像を形成した後、現像ローラによる現像剤の担持量を規制ブレードを用いて一定にした状態で、感光体ドラム上の静電潜像にその現像剤を付着させて顕像化し、記録用紙上に画像を形成する。その場合、感光体ドラム及び現像ローラに現像用バイアス電圧が印加され、感光体ドラム及び現像ローラ間に形成された所定の電界の下に、現像剤が感光体ドラム上に付着する。
【0003】
ところで、従来の画像形成装置では、例えば特開平5−88434号公報に示されるように、気圧を検出するセンサを用いて大気圧を検出し、その検出した大気圧に基づいて、感光体ドラム及び現像ローラ間の電位差をリーク(電流漏れ)が生じないように制御している。これにより、大気圧の変動に関わらず、記録用紙上に高品位な画像を形成する。
また、特開平5−11582号公報または特開平7−199664号公報に示される画像形成装置においては、感光体ドラム及び現像ローラ間にリークが生じないように、現像ローラの体積抵抗値、現像用バイアス電圧等の現像条件を制限したり、交番電界のピーク・トゥ・ピーク電圧、暗現像電位、及び、感光体ドラム及び現像ローラ間の離間距離等を一定範囲内になるように設定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,これらのような従来の画像形成装置によれば、感光体ドラムと現像ローラとの間の距離が装置毎の個体差により異なる場合に、リークの発生を防止できない場合がある。または、感光体ドラムと現像ローラとの間の距離がその長手方向に沿って異なっている場合にも、リークの発生を防止できない場合がある。
そのため、感光体ドラム及び現像ローラ間の距離の差異を考慮した上で、現像用バイアス電圧等を設定する必要があった。このため、これら現像用バイアス電圧等を設定する際の許容範囲は極めて狭いものとなっていた。
【0005】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、現像用バイアス電圧の設定の際の許容範囲を広くするとともに、現像剤担持体及び像担持体間でリークの発生を確実に防止できる現像装置及びそれを用いた画像形成装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明によれば、表面に薄膜層を有する像担持体に供給するための現像剤を担持する現像剤担持体を備え、前記現像剤担持体に電圧(以下、「現像用バイアス電圧」という)を印加して前記現像剤担持体から前記像担持体に対して現像剤を供給する現像装置において、前記現像剤担持体及び前記薄膜層間でリークが生じる際の前記電圧を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記リークが生じない現像用バイアス電圧の範囲を設定する設定手段とが設けられている。
【0007】
この発明によれば、検出手段は、例えば非現像時に、現像剤担持体への印加電圧を増減して、現像剤担持体及び薄膜層間でリークが生じる際の電圧を検出する。そして設定手段は、検出結果に基づいて、リークが生じない現像用バイアス電圧の範囲(例えば上限値)を設定する。
このようにリークが発生した電圧を検出し、検出した電圧以下の範囲内で現像用バイアス電圧の範囲(好ましくは現像用バイアス電圧のピーク・トゥ・ピーク電圧の上限値)を設定するので、現像剤担持体及び前記像担持体間の距離が装置毎にまたは長手方向に沿って異なっていても、現像用バイアス電圧の設定の際の許容範囲が広く確保される。また、現像剤担持体と薄膜層との間でのリークの発生が確実に防止される。
【0008】
また、この発明によれば、前記設定手段により設定された範囲内で現像用バイアス電圧(好ましくはその直流成分電圧)を調整する制御手段を設けるのが望ましい。このように制御手段が現像用バイアス電圧を調整することにより、適正な濃度で画像を形成できる。
【0009】
また、この発明の画像形成装置は、上記したいずれかの現像装置と、前記像担持体上に画像を形成する作像手段とを有している。
この画像形成装置では、作像手段と現像装置とによって、像担持体上に画像が形成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態は、電子写真方式の画像形成装置であって、一成分トナーの現像剤(以下、単にトナーG1と称す)を使用して画像を形成するものである。図1は、その実施の形態の画像形成装置の要部を示す概略図である。
【0011】
画像形成装置11内のほぼ中央部には、図1に示されるように、有機光導電材料(OPC)からなる薄膜層を表面に形成した感光体ドラム12(像担持体)が、矢印A方向に回転自在に設けられている。その感光体ドラム12の周囲には、同矢印Aの回転方向に沿って、帯電器13、現像装置14、転写器15、クリーナ16が順次配設され、更に、感光体ドラム12の斜め上方側には、作像手段としてのレーザー露光装置17が配置されている。
【0012】
また、同装置11には、それら帯電器13、現像装置14、転写器15等に電圧を印加する電源装置18が設けられている。さらにこれらの他に、その電源装置18等を制御するコントローラ19(制御手段)が設けられている。このコントローラ19は、帯電器13、現像装置14、転写器15、クリーナ16、レーザー露光装置17等の制御をも担当している。
また、感光体ドラム12上のトナー濃度を検出するセンサ20が感光体ドラム12の近傍に設けられている。このセンサ20の検出値は、コントローラ19に入力される。コントローラ19は、周知のCPU、ROM、RAM等を組み合わせてなるマイコンであり、画像形成装置11内の各種デバイスを統括的に制御するものである。特に電源装置18を制御して、現像ローラ14a及び感光体ドラム12等に対して印加される電圧を変更するとともに、現像用バイアス電圧を適宜設定することができる。
【0013】
また、帯電器13は、矢印B方向に回転しながら、感光体ドラム12表面の薄膜層を、全面帯電させるものである。帯電器13は、既述した如く電源装置18に接続され、通常は−1000V〜−1400V程度の電圧が印加されることによって、感光体ドラム12上の表面電位を−600V〜−1000V程度に帯電する。この場合、帯電器13としては導電性ブラシを利用したもの以外に、導電性ローラを利用してもよく、更に、導電性ワイヤもしくは針電極等を使用しても良い。
【0014】
また、レーザー露光装置17は、画像情報に基づいたレーザー光17aを感光体ドラム12表面に露光して、静電潜像を感光体ドラム12表面に形成するものである。このためレーザー露光装置17は、ファクシミリ装置、画像読み取り装置、コンピュータ(図示せず)から入力した画像情報に基づき、コントローラ19によって制御される。この場合、レーザー光17aを受けた後の感光体ドラム12の表面電位は、静電潜像が形成された画像部と静電潜像が形成されない非画像部とで大きく異なる。このため、負帯電性のトナーG1は静電潜像が形成された画像部分のみに付いて、静電潜像に対応して顕像化される。もっとも、感光体ドラム12表面を露光する手段としては、LEDヘッドを使用したり、液晶パネルやPLZT等のシャッタ手段を使用しても良い。
【0015】
現像装置14は、感光体ドラム12上に形成された潜像をトナーG1を用いて顕像化するものである。現像装置14において感光体ドラム12に隣接する位置には、矢印C方向に回転する現像ローラ14a(現像剤担持体)が配設されている。また、その現像装置14は、トナーG1を収納するトナーホッパ14bを有し、このトナーホッパ14bの上部には、現像ローラ14a側に向かって延びる規制ブレード14cが配置されている。そして、トナーホッパ14b内の現像ローラ14aに近接するように、トナーG1の供給・回収ローラ(以下、単に供給ローラと称す)14dが配置されている。また、トナーホッパ14b内の奥部側には、トナーG1を攪拌するとともに供給ローラ14dへ供給する攪拌羽根14eを備えている。
【0016】
そして、供給ローラ14dは、現像ローラ14aに接触した状態で矢印D方向(矢印C方向と同方向)に回転しながらトナーG1を現像ローラ14aに対して供給できる。そこで、バネ性部材からなる規制ブレード14cは、現像ローラ14aの回転方向(矢印C方向)における下流側で現像ローラ14aに接触している。現像ローラ14a上に担持されるトナーG1の薄層の厚さを一定にするためである。具体的には、規制ブレード14cは、現像ローラ14aに対して4gf/mm程度の圧力で押圧されている。これにより、トナーG1が規制ブレード14cと現像ローラ14aとの間を通過する時に、現像剤の付着量として0.7mg/cm2、現像剤の荷電量として−20μC/g程度のトナー層となる。
ここで、トナーG1は、非磁性一成分トナーである。すなわち、ポリエステル系あるいはスチレンーアクリル系等の樹脂を主成分とし、その樹脂中に着色材(カーボンや顔料)・帯電制御剤・WAX等を分散させたものに、シリカ等の流動化剤によって表面処理を施したものである。なお、本実施の形態では、当社製カラープリンタに使用されているポリエステル系樹脂を主成分としたマゼンタトナーを使用している。
【0017】
また、現像ローラ14aは、感光体ドラム12にトナーG1を供給する現像領域において感光体ドラム12と距離L1(例えば0.2mm程度)だけ離れて対向している。そして、矢印C方向に回転しながらトナーG1を感光体ドラム12に付与するのである。
この場合、現像ローラ14aは、芯金部材上に105Ω〜106Ω程度の体積抵抗値を有する弾性ゴム層と、この弾性ゴム層の表面に106Ω〜107Ω程度の表面抵抗を有するコート層とからなり、現像ローラ14aに対して現像バイアス用電圧が印加される。
【0018】
現像バイアス用電圧としては、図2に示されるような矩形波の交番電界に直流成分が重畳された電圧が使用される。具体的な電圧としては、例えば、電圧差1.7kV(ピーク・トゥ・ピーク電圧)、直流成分電圧−500V(ピーク・トゥ・ピーク電圧の中心電圧)、周波数3kHz、デューティ比40%(交番電界波形の一周期の時間T1に対して現像電界が実際に印加されている時間T2の占める割合)を使用する。ただし、上記した数値が常に使用される訳ではない。後に詳述する如く、現像ローラ14a及び感光体ドラム12間でリークが生じる電圧が検出され、検出された電圧に基づいて、リークの生じない現像用バイアス電圧の範囲をコントローラ19が設定するからである。尚、図2に示される△Vdev は、画像部分の電位差を示し、△Vbackは、非画像部分の電位差を示す。
このような現像バイアス用電圧が、現像ローラ14aに対して印加されると、現像ローラ14a上のトナーG1は、現像領域において現像ローラ14aと感光体ドラム12との間を往復動しながら感光体ドラム12に付着する。
【0019】
また、画像形成装置11の下方には、記録用紙Pを収納する給紙カセット21が設置されている。この給紙カセット21の用紙搬送方向下流側には、記録用紙Pを搬送する一対の搬送ローラ22が配置されている。また、搬送ローラ22の下流側には、感光体ドラム12に向かう用紙通路23が形成されている。この用紙通路23内を搬送される記録用紙Pは、一対の搬送ローラ22によって感光体ドラム12と転写器15との間に挟まれた転写領域に導びかれる。
【0020】
その後、転写領域において、感光体ドラム12上のトナーG1の像を記録用紙Pに転写させるため、転写器15は、感光体ドラム1上のトナーG1の像の移動に同期して送られた記録用紙Pの裏面側から、トナーG1の帯電極性とは逆の正極性の転写電界を与える。具体的には、転写器15は導電性ローラからなり、電源装置18に接続され、通常は2kV程度の電圧が印加される。
それにより、感光体ドラム12上のトナーG1の像が記録用紙Pに転写され、記録用紙P上には画像が形成される。もっとも、転写器15は、導電性ワイヤもしくは針電極によるコロナ放電を利用したものであって良い。また、記録用紙Pは、電荷を帯びているので、感光体ドラム12との分離性を向上させたり、剥離放電を防止するため、除電針、除電電荷が印加されたチャージャー等の除電手段を設けてもよい。
【0021】
そして、転写領域の下流側には、感光体ドラム12から分離された記録用紙Pを定着器24に導く用紙搬送部材25が設けられている。更にその下流側には、定着器24が設けられており、この定着器24は、転写領域において転写されたトナーG1の像を記録用紙Pに対し加熱及び加圧して定着させる。また、定着器24へ送られた記録用紙Pは、定着後に排紙スタック26上に排出される。
【0022】
また、クリーナ16は、転写後の感光体ドラム12上に残るトナーG1を除去するものであり、トナーG1を除去するためのクリーニングブレード16aを有している。クリーニングブレード16aは、弾性を有するゴム部材からなり、図中A方向に回転する感光体ドラム12に接触しながら、感光体ドラム12上のトナーG1を掻き落とす。そこから落ちたトナーG1はクリーナ16内に収容される。もっとも、クリーニングブレードを使用する以外に、例えば、導電性ブラシや磁気ブラシ等を使用してもよい。そして、トナーG1が除去された感光体ドラム12は、帯電器13によって再び帯電させられる。
【0023】
尚、クリーナ16と帯電器13との間には、必要に応じて、電荷除去手段を設けても良い。そして、電荷除去手段としては、イレーサランプ等を使用して光除電するものや、ワイヤーや針電極などからなるチャージャーであってもよい。あるいは、感光体ドラム12に接触または近接して設けられた導電性フィルムに交番電界を印加することによって電気的に除電するものであっても良い。
【0024】
ところで、現像ローラ14a上のトナーG1の薄層の状態は、環境や耐久等の影響によって変動するが、この変動に対して、画像形成装置11は、感光体ドラム12の静電潜像に付着されるトナーG1の量を適量にすることにより、鮮明な画像を記録用紙P上に形成することができる。
具体的には、環境や耐久等によって、現像剤付着量は0.6〜0.8mg/cm2 の範囲で変動し、また、現像剤荷電量は−15〜−25μC/g程度の範囲で変動する。このように現像ローラ14a上のトナー層の状態が変動すると、感光体ドラム12の静電潜像に付着されるトナーG1の量が変動する。すなわち、現像ローラ14a上のトナーG1の付着量が少なくなったり、トナーG1の荷電量が大きくなったりした場合に、感光体ドラム12の静電潜像に付着されるトナーG1の量は少なくなる。これに対し、現像ローラ14a上のトナーG1の付着量が多くなったり、トナーG1の荷電量が小さくなったりした場合には、感光体ドラム12の静電潜像に付着されるトナーG1の量は多くなる。
【0025】
しかし、この実施の形態の画像形成装置11においては、感光体ドラム12に付着されるトナーG1の量の多小を、センサ20が検出して、その検出値をコントローラ19に出力するので、その検出値を入力したコントローラ19は、直流成分電圧(ピーク・トゥ・ピーク電圧の中心電圧)を制御する。すなわち、検出値が小さい(そのままでは感光体ドラム12に付着されるトナーG1の量が少ない)場合、コントローラ19は直流成分電圧が大きくなるように制御する。一方、検出値が大きい(そのままでは感光体ドラム12に付着されるトナーG1の量が多い)場合、直流成分電圧が小さくなるように制御する。
そのため、現像ローラ14a上のトナーG1の薄層の状態が、環境や耐久によって変化しても、コントローラ19が現像バイアス電圧の直流成分電圧を制御して、感光体ドラム12の静電潜像に付着されるトナーG1の量を適量とすることにより、記録用紙P上に鮮明な画像を形成することができる。
【0026】
ところで、感光体ドラム12と現像ローラ14aとの間の距離L1が装置毎に異なったり、または、感光体ドラム12と現像ローラ14aとの間の離間距離L1がその長手方向に沿って異なっていたりすることがある。このため、感光体ドラム12の静電潜像に付着されるトナーG1の量がこの影響を受ける場合がある。しかし、この変動に対しても、画像形成装置11は、以下の如く対応できる。
【0027】
感光体ドラム12と現像ローラ14aとの間の距離L1が変動した場合における現像特性を図3に示す。ここで、図3は、感光体ドラム12と現像ローラ14aとの間の距離L1が0.15〜0.35mm間で変動した場合の、現像用バイアス電圧と現像量(画像濃度で代用する)との関係を示すグラフである。グラフの横軸は現像用バイアス電圧の直流成分電圧を示し、グラフの縦軸は画像濃度を示している。これより、直流成分電圧が大きくなれば、画像濃度が高くなることが分かる。
【0028】
ここに、図3(A)は、現像用バイアス電圧のピーク・トゥ・ピーク電圧を1.7kVに設定した場合であり、図3(B)は、ピーク・トゥ・ピーク電圧を2.5kVに設定した場合である。図3(A)及び(B)のグラフによれば、感光体ドラム12と現像ローラ14aとの間の距離L1が0.20mm以下の場合、現像特性がほぼ一定であることがわかる。これにに対して、距離L1が0.20mm以上の場合には、距離L1が大きくなるに従って画像濃度が薄くなることが分かる。更に、直流成分電圧が500V以上の場合、図3(A)に比べて図3(B)の方が、画像濃度が濃くなることが分かる。
【0029】
また、図4は、記録用紙P上のトナーG1の付着量と画像濃度との関係を示すグラフである。グラフの横軸にトナーG1の付着量をとり、グラフの縦軸に画像濃度をとっている。このグラフにおけるカーブK1に示されるように、トナーG1の付着量が大きくなるほど画像濃度が大きくなることがわかる。そしてこのグラフによれば、記録用紙P上のトナーG1の付着量が、0.7mg/cm2となる場合の画像濃度は0.9となる。
【0030】
ここで、希望の画像濃度が0.9であるとする。図3(A)によれば、距離L1が0.35mm程度の場合、直流成分電圧が−700V以上であっても、画像濃度は0.9となり得ない。しかし、図3(B)によれば、距離L1が0.35mm程度の場合、直流成分電圧が−550Vを超えれば、画像濃度は0.9となり得る。
このことから、希望の画像濃度が0.9であって、感光体ドラム12と現像ローラ14aとの間の離間距離L1が0.35mm程度の場合には、ピーク・トゥ・ピーク電圧を1.7kVから2.5kVに変更するとともに、直流成分電圧を−550Vより大きくすれば良いことがわかる。
【0031】
しかし、現像用バイアス電圧のピーク・トゥ・ピーク電圧を高く設定しすぎると、感光体ドラム12と現像ローラ14aとの間で局地的なリークが生じることがある。その場合、感光体ドラム12の表面の非画像形成部分に、トナーG1が斑点状に付着したり、感光体ドラム12の表面の画像形成部分に付着したトナーG1が再度現像ローラ14a上に戻って斑点状に濃度が低下するといった、リーク画像が発生するおそれがある。
ここで、現像用バイアス電圧のピーク・トゥ・ピーク電圧と、感光体ドラム12と現像ローラ14aとの間で発生するリーク画像との関係を図5に示す。図5は、感光体ドラム12の表面電位を−600Vに、現像用バイアス電圧の直流成分電圧を−500Vに設定した場合における、距離L1とピーク・トゥ・ピーク電圧との関係を示している。グラフの横軸に距離L1をとり、グラフの縦軸にピーク・トゥ・ピーク電圧をとっている。
【0032】
リーク画像の発生如何は、感光体ドラム12及び現像ローラ14aの間の電界強度によってほぼ一義的に決定される。図5に示されるカーブK2よりピーク・トゥ・ピーク電圧が高い領域ではリーク画像が発生する。これに対し、カーブK2よりピーク・トゥ・ピーク電圧が低い領域ではリーク画像が発生しない。具体的には、距離L1が0.3mm程度の場合、ピーク・トゥ・ピーク電圧が3kV以下であれば、リーク画像が発生しない。
例えば、距離L1が0.25mm程度のときには、適正な画像濃度が得られるように現像用バイアス電圧のピーク・トゥ・ピーク電圧を高めに(例えば2.5kV)設定する必要がある。しかし、ピーク・トゥ・ピーク電圧を例えば2.5kVに固定した場合、製品製造上の個体差及び使用期間中の変動等により、距離L1が狭くなってしまうと(例えば0.15mm程度)、リーク画像が発生する可能性が高い。それとは反対に、距離L1が0.15mm程度においてリーク画像が発生しないように、現像用バイアス電圧のピーク・トゥ・ピーク電圧を低めに(例えば1.0kV)設定した際には、距離L1が広く(例えば0.25mm程度)なった場合、適正な画像濃度が得られない。
【0033】
そこで、画像形成動作に先立ち、コントローラ19は、センサ20を用いて現像ローラ14a及び感光体ドラム12間でリーク画像が生じる電圧を検出する。具体的には、感光体ドラム12の表面電位を−600Vに設定し、現像用バイアス電圧の直流成分電圧を−500Vに設定した場合、ピーク・トゥ・ピーク電圧を1kV〜3kVの間で500V毎に順次変更しながら印加する。
その際、現像ローラ14aの振れ等により、距離L1が変化するのを考慮して、各電圧毎に現像ローラ14aが一回転以上する間、一定のピーク・トゥ・ピーク電圧を現像ローラ14aに印加し続け、その間にリーク画像が発生するか否かをコントローラ19がセンサ20を用いて検出する。
【0034】
そして、リーク画像の発生が検出された場合には、リーク画像が発生した電圧の大きさを、更に詳細に検出する。すなわち、コントローラ19はリーク画像の発生したピーク・トゥ・ピーク電圧と、リーク画像が発生する直前のピーク・トゥ・ピーク電圧との間の電圧差を、例えば100V毎に細分化し、かかる細分化したピーク・トゥ・ピーク電圧を現像ローラ14aに順次印加し、どの電圧でリーク画像が発生するかを検出する。
このようにコントローラ19がリーク画像の発生を検出した場合、この時のピーク・トゥ・ピーク電圧をコントローラ19内のRAM(記憶装置)に記憶する。さらに、感光体ドラム12の表面電位及び現像用バイアス電圧の直流成分電圧からリーク画像が発生する電位差を算出して、その電位差をRAMに記憶する。
【0035】
さらに、RAMに記憶されたピーク・トゥ・ピーク電圧より、感光体ドラム12上の表面電位の振れや、電源装置18の電圧の振れ等を考慮して、その電圧より200V程度低めの電圧をピーク・トゥ・ピーク電圧の上限値として設定する。具体的には、リーク画像の発生時のピーク・トゥ・ピーク電圧が1.7kVの場合には、1.7kVより200V程度低い1.5kVをピーク・トゥ・ピーク電圧の上限値として設定する。
【0036】
このようにピーク・トゥ・ピーク電圧の上限値を設定した状態で、図2に示す非画像部分の電位差△Vback及び画像部分の電位差△Vdev がリーク画像発生電位差以下である範囲内で、コントローラ19は、現像用バイアス電圧の直流成分電圧を調整する。そして、感光体ドラム12上に画像濃度検出用の画像パターンの現像を行い、その現像量をセンサ20を用いて検出する。
そして、センサ20によって検出された値により、適正な画像濃度になるようなトナーG1の現像量を得るべく、リーク画像が生じない範囲内で、コントローラ19は、現像用バイアス電圧の直流成分電圧を調整する。その後、前述した画像形成動作を記録用紙Pに対して行う。
【0037】
もし調整したピーク・トゥ・ピーク電圧で、適正な画像濃度が得られない場合には次のような制御がなされる。すなわちコントローラ19は、リーク画像の発生時のピーク・トゥ・ピーク電圧を超えない範囲内で、ピーク・トゥ・ピーク電圧を更に大きな値(設定範囲内の上限値)に調整して、現像用バイアス電圧の直流成分電圧の大きさを調整する。この調整をした状態で、感光体ドラム12上に画像濃度検出パターンの現像を行う。そして、適正な画像濃度になる現像量が得られる現像用バイアス電圧の直流成分電圧の調整を繰り返す。
そして、リーク画像が発生しない範囲内ではどうしても適正な画像濃度が得られない場合には、コントローラ19は、もっとも適正な画像濃度に近い画像濃度が得られる現像条件を設定し、その条件下で画像形成動作を行う。その場合、画像濃度としては、所望の濃度と若干異なった画像となるものの、リーク画像の如き画像ノイズが発生しないので、記録用紙Pに形成される画像の品質が維持される。
【0038】
尚、上述した現像用バイアス電圧の直流成分電圧が低めに設定された時には、非画像部分の電位差△Vbackが大きくなり、非画像部でのリーク画像が発生しやすくなる。このため、非画像部分の電位差△Vbackがリーク画像の発生電位差以下となるように、感光体ドラム12の表面電位を可変にできる構成とするのが望ましい。また、上述した実施の形態においては、コントローラ19は、ピーク・トゥ・ピーク電圧及び現像用バイアス電圧の直流成分電圧の双方を制御したが、必ずしもその態様を採用する必要はなく、例えば、ピーク・トゥ・ピーク電圧及び現像用バイアス電圧の直流成分電圧のいずれか一方を制御してもよい。
更に、コントローラ19は、必要に応じてピーク・トゥ・ピーク電圧とデューティ比との双方を組み合わせて制御してもよい。
【0039】
以上、詳細に説明したように本実施の形態によれば、感光体ドラム12に対してトナーG1を供給する現像ローラ14aを備え、その感光体ドラム12上にトナーG1を供給する際に、電源装置18によって現像用バイアス電圧を現像ローラ14aに印加する現像装置14において、コントローラ19は、非現像時に現像ローラ14aに印加する電圧を増減し、現像ローラ14a及び感光体ドラム12間でリーク画像が生じる電圧をセンサ20を用いて検出し、検出された電圧に基づいて、リーク画像が生じないところで現像用バイアス電圧のピーク・トゥ・ピーク電圧の範囲の上限値を設定することとしている。これにより、距離L1が装置毎にまたは長手方向により異なったりしても、現像用バイアス電圧の調整の際の許容範囲が広くなるとともに、現像ローラ14a及び感光体ドラム12間でのリークの発生が確実に防止される。
【0040】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、この画像形成装置をフルカラーの複写機やファクシミリ装置等に適用してもよいことはいうまでもない。さらには、いかなる作像方式の画像形成装置でもよい。
また、感光体ドラム12上のトナーG1の担持量を検出するセンサ20の検出結果を用いることにより、現像装置14内のトナーG1の量が間接的に検出することができるので、センサ20が現像剤検出手段の役割を果たしても良い。
【0041】
更に、リーク画像を発生させる方法として、ピーク・トゥ・ピーク電圧を可変とする以外に、感光体ドラム12上の帯電電位や、現像バイアス電圧の直流成分電圧のいずれかを制御してもよいし、更には、感光体ドラム12上の帯電電位や、現像バイアス電圧の直流成分電圧の双方を制御してもよい。
また、リーク画像の発生を検出する手段として、上記実施の形態においては、センサ20が行っていたが、現像用バイアス電圧を発生させるための電源装置18に現像電流を検出する検出手段を設け、この検出手段がリーク画像の発生時に流れるリーク電流を検出して、上述したリーク画像の発生を検出しても良い。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明の現像装置によれば、現像剤担持体及び像担持体間の離間距離が装置毎に異なったりまたは変動等が生じても、現像用バイアス電圧の設定の際の許容範囲が広く確保されるとともに、現像剤担持体と像担持体との間でのリークの発生が確実に防止される。また、本発明の画像形成装置によれば、本発明の現像装置を利用することから、リークの発生を防止して、常に良好な画像が形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の要部を示す概略図である。
【図2】現像ローラに印加する現像用バイアス電圧を示す図である。
【図3】感光体ドラム及び現像ローラ間の離間距離が変動した場合に、現像用バイアス電圧と画像濃度との関係のグラフを示す図であって、図3(A)はピーク・トゥ・ピーク電圧を1.7kVに設定し、図3(B)は同電圧を2.5kVに設定した場合である。
【図4】感光体ドラム上の現像剤の付着量と画像濃度との関係を示すグラフである。
【図5】感光体ドラム及び現像ローラ間の離間距離とピーク・トゥ・ピーク電圧との関係のグラフを示す図である。
【符号の説明】
G1 トナー
L1 離間距離
P 記録用紙
11 画像形成装置本体
12 感光体ドラム
13 帯電器
14 現像装置
14a 現像ローラ
14b トナーホッパ
14c 規制ブレード
14d 供給ローラ
14e 攪拌羽根
17 レーザー露光装置
18 電源装置
19 コントローラ
20 センサ
Claims (5)
- 表面に薄膜層を有する像担持体に供給するための現像剤を担持する現像剤担持体を備え、前記現像剤担持体に電圧を印加して前記現像剤担持体から前記像担持体に対して現像剤を供給する現像装置において、
前記現像剤担持体及び前記薄膜層間でリークが生じる際の前記電圧を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記リークが生じない前記電圧の範囲を設定する設定手段とを設け、
前記検出手段は、像担持体に付着されるトナーの量を検出するトナー量検出手段と、前記現像剤担持体に印加する電圧を制御する制御手段とを含み、
前記現像剤担持体に印加する電圧の大きさを制御手段によって順次変更しながら電圧を印加し、リーク画像が発生するか否かを前記トナー量検出手段を用いて検出することによって、前記リークが生じる際の前記電圧を検出することを特徴とする現像装置。 - 前記設定手段は検出された前記リークが生じる際の前記電圧より低い電圧を上限値として前記リークが生じない前記電圧の範囲を設定することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
- 請求項1または請求項2に記載する現像装置において、
前記設定手段により設定された範囲内で前記電圧を調整する制御手段を設けたことを特徴とする現像装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載する現像装置と、前記像担持体上に画像を形成する作像手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載する現像装置において、
前記設定手段は、画像部分と非画像部分とのいずれにおいても前記リークが生じない前記電圧の範囲を設定することを特徴とする現像装置。
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