JP3855792B2 - 積層セラミック電子部品 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部電極(内部導体)と外部電極との接続性が改善されて、歩留りの好適な、積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のセラミック電子部品、例えば積層セラミック電子部品は、セラミック素体と、セラミック素体内部のセラミック層間に形成された内部電極と、セラミック素体の両端面に形成された外部電極とを有している。
【0003】
セラミック素体は複数のセラミック層が積層されてなっている。内部電極を備える積層セラミック電子部品にあっては、内部電極のそれぞれの端縁がセラミック層の何れかの端面に露出するようにセラミック層間に形成され、外部電極は内部電極の露出した端縁を介して内部電極と電気的に接続されている。
【0004】
厚膜からなる外部電極の場合、導電性ペーストが用いられる。この導電性ペーストは、例えば銀(Ag)、Ag−パラジウム(Pd)合金、銅(Cu)、ニッケル(Ni)などからなる導電性粉末とガラスフリットとが有機バインダーと有機溶剤とからなる有機ビヒクル中に分散されてなり、セラミック素体の端面に浸漬塗布して乾燥させ焼成されることにより外部電極を形成できるものである。
【0005】
さらに、外部電極のはんだ濡れ性やはんだ耐熱性を向上させる目的で、導電性ペーストからなる外部電極上にNiめっきを、さらにその上にSnめっき或いははんだめっきなどの各種電解めっきを施す場合がある。
【0006】
近年、積層セラミック電子部品としての、例えば積層セラミックコンデンサにおいてはコストダウンに対応するため、内部電極材料に卑金属、特にNiを主成分とする金属を使用する場合が多い。Niを主成分とする内部電極の採用に対応し、外部電極も非酸化性雰囲気での焼成により形成する必要があり、Niと合金を形成し易い卑金属であるCuを用いることが多い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
内部電極の主成分がNiの場合、外部電極の導電成分にはCuを用いることが多い。これは外部電極焼成時、内部電極Niと外部電極Cuの金属間で固相相互拡散が起こることによって、Ni−Cu合金が形成され、両者間に強固な接合が確保されるためである。
【0008】
ところで、外部電極中には、外部電極と素子との接合性向上やめっき液の浸入防止などを目的とし、ガラスフリットが含まれる。ガラスフリットとして、従来から、ホウ酸系ガラスやホウケイ酸系ガラス、アルミン酸系ガラスが用いられることが多い。ガラスフリットには、修飾元素として亜鉛酸化物やアルカリ土類金属酸化物などが用いられている。
【0009】
外部電極の焼成時、ガラスは軟化し外部電極/内部電極界面に流動する。この液相となったガラス中へ内部電極構成成分であるNiが溶解・拡散し、さらに外部電極Cu上へ析出し内部へと拡散する。このため、内部電極先端部が消失し、内部電極が見掛け上内部に引っ込んだ構造になる。これにより、内部電極と外部電極との電気的な接続が十分に得られず、積層セラミック電子部品の電気的特性が確保できないという問題が生じる。
【0010】
ここ近年、電子部品の小型化・高性能化の要求が高まり、積層セラミックコンデンサにおいても薄層・多層化がますます進んでいる。それに伴い内部電極の物理的な厚みが減少していき、上記のような問題がますます顕著に発生するようになった。
【0011】
本発明は、上述の問題点を解決するために、内部電極と外部電極との機械的・電気的接続を確保することが可能となる外部電極用の導電性ペーストを用いて形成した積層セラミック電子部品を提供することを目的とする。
【0012】
なお、特開平11−54368号公報或いは特開平11−345741号公報には、外部電極に主成分としてCuを含有し、さらにFeを含むような積層セラミック電子部品が開示されている。
【0013】
しかし、これら公報に記載の発明の目的は、外部電極の比抵抗のアップや、セラミックと内部電極との密着性の向上であり、外部電極と内部電極との接合性の改善を目的とするものではない。さらに、金属のFeを用いた場合、ペースト状態においてはFeの酸化に伴うペースト粘度経時変化、或いは電子部品とした場合はFeの酸化に伴う経時的な特性劣化が発生するという問題がある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層セラミック電子部品は、上記課題を解決するために、複数のセラミック層を互いに積層して有する積層体と、セラミック層間に形成された、Niを主成分とする内部導体と、積層体の端面に形成され、内部導体と電気的に導通する、Cuを主成分とする外部電極とを備え、内部導体は、外部電極方向に積層体の端面を超えて突出しており、外部電極は、導電性ペーストの焼結体であり、該導電性ペーストは、主成分である銅以外に、ガラスフリットと、焼結時、内部導体成分であるニッケルの外部電極中への拡散を抑制し、かつ内部導体中へと拡散する耐酸化性を有する化合物と、を含むことを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、積層セラミックコンデンサに代表されるセラミック電子部品の内部導体がNiを主成分とする金属からなり、外部電極がCuを主成分とする金属からなり、内部導体が外部電極方向に積層体の端面を超えて突出しているので、内部導体と外部電極との機械的・電気的接続を十分に確保することができ、セラミック電子部品の所望の電気特性を得ることができ、さらにセラミック電子部品の信頼性も確保することが可能となる。
【0016】
上記構成では、外部電極が導電性ペーストの焼結体であり、該導電性ペーストは、主成分である銅以外に、ガラスフリットと、焼結時、内部導体成分であるニッケルの外部電極中への拡散を抑制し、かつ内部導体中へと拡散する耐酸化性を有する化合物と、を含む。このため、外部電極を焼成により形成するときに、内部導体は、その先端部の消失を抑制でき、かつ、前記耐酸化性を有する化合物の成分が内部導体上に析出し、内部へと拡散して内部導体体積が増大し、外部電極方向に積層体の端面を超えて突出させることができる。
【0017】
本発明の他の積層セラミック電子部品は、前記課題を解決するために、複数のセラミック層を互いに積層して有する積層体と、セラミック層間に形成された、Niを主成分とする内部導体と、積層体の端面に形成され、内部導体と電気的に導通する、Cuを主成分とする外部電極とを備え、外部電極は、導電性ペーストの焼結体であり、該導電性ペーストは、主成分である銅以外に、ガラスフリットと、焼結時、内部導体成分であるニッケルの外部電極中への拡散を抑制し、かつ内部導体中へと拡散する耐酸化性を有する化合物と、を含むことを特徴としている。
【0018】
上記構成によれば、外部電極が導電性ペーストの焼結体であり、該導電性ペーストは、主成分である銅以外に、ガラスフリットと、焼結時、内部導体成分であるニッケルの外部電極中への拡散を抑制し、かつ内部導体中へと拡散する耐酸化性を有する化合物と、を含む。このため、外部電極を焼成により形成するときに、内部導体は、その先端部の消失を抑制でき、かつ、前記耐酸化性を有する化合物の成分が内部導体上に析出し、内部へと拡散して内部導体体積が増大し、外部電極方向に積層体の端面を超えて突出させることができる。
【0019】
これにより、上記構成は、内部導体と外部電極との機械的・電気的接続を十分に確保することができ、セラミック電子部品の所望の電気特性を得ることができ、さらにセラミック電子部品の信頼性も確保することが可能となる。よって、上記構成は、セラミック電子部品の信頼性をより確保できる。
【0020】
上記積層セラミック電子部品では、前記耐酸化性を有する化合物は鉄(Fe)化合物であることが望ましい。上記構成によれば、耐酸化性を有する化合物がFe化合物であることによって、内部導体における、外部電極方向に積層体の端面を超えた突出をより確実に形成できる。
【0021】
上記積層セラミック電子部品においては、前記Fe化合物は、Fe合金粉末であることが好ましい。上記構成によれば、Fe化合物がFe合金粉末であることにより、上記内部導体の突出をより確実に形成できる。
【0022】
上記積層セラミック電子部品では、前記Fe合金粉末は、Fe−Ni合金粉末であってもよい。上記構成によれば、Fe合金粉末がFe−Ni合金粉末であることにより、上記突出をより確実に形成できる。
【0023】
上記積層セラミック電子部品においては、前記Fe化合物はFeレジネートであってもよい。上記構成によれば、Fe化合物がFeレジネートであることにより、上記突出をより確実に形成できる。
【0024】
上記積層セラミック電子部品では、内部導体は、静電容量が得られるように配置され、積層セラミックコンデンサを構成していてもよい。上記構成によれば、内部導体は、静電容量が得られるように配置され、積層セラミックコンデンサを構成しているので、内部電極と外部電極との接続性が改善された、歩留りの良好な積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る一つの実施形態のセラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサを挙げ、これについて図1を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1に示すように、積層セラミックコンデンサ1は、互いに積層されたセラミック層2aを備える、略直方体形状のセラミック素体(積層体)2と、各セラミック層2a間に設けられた内部電極(内部導体)3と、外部電極4とを有している。さらに、外部電極4上に、Niめっき膜5と、Snめっき膜6とが、この順にて積層されていることが好ましい。
【0027】
セラミック素体2は、誘電体材料、例えばBaTiOを主成分とする複数のセラミックグリーンシートが互いに積層され焼成されてなる各セラミック層2aを有している。
【0028】
内部電極3は、所定枚数のセラミックグリーンシート上に形成された内部電極用導電性ペーストがセラミックグリーンシートとともに同時に焼成されてなり、それぞれの端縁がセラミック層2aのいずれかの端面に露出するように形成されている。内部電極3は、Niを主成分とした内部電極用導電性ペーストを用いたので、Niを主成分としている。
【0029】
そして、内部電極3は、外部電極4方向にセラミック素体2の上記端面を超えて突出した、突出部3aを有している。このような突出部3aは、外部電極4のための、後述する導電性ペーストが焼成されるとき、上記導電性ペーストの成分により、内部電極3の外部電極4への拡散を低減して内部電極3の先端部の消失が抑制され、また、上記導電性ペーストの成分が内部電極3の先端部へ析出し、内部へと拡散して内部電極3の体積が増大することにより、形成することが可能となる。
【0030】
よって、上記各内部電極3は、セラミック層2aの何れかの端面(辺部)に交互に露出すると共に、セラミック層2a間に互いに離間して対面することにより、セラミック素体2内において、静電容量を形成できて、積層セラミックコンデンサを構成するように配置されていることになる。
【0031】
外部電極4は、セラミック素体2の両端面に、後述する導電性ペーストがそれぞれ塗布され乾燥されて焼成されてなる一対の厚膜電極であり、セラミック素体2の両端面にそれぞれ露出した各内部電極3に電気的かつ機械的に接続されるように形成されている。
【0032】
このような外部電極4は、互いの間の絶縁性を容易に確保できることから、互いに対向し、略平行となるように配置されていることが望ましい。つまり、外部電極4は、セラミック素体2における、互いに略平行に対向する両端面上にそれぞれ形成されていることが好ましい。この場合、内部電極3がそれぞれ露出した各面は、上記両端面となる。
【0033】
なお、本発明のセラミック電子部品におけるセラミック素体2の形状、材質、内部電極3の形成位置、枚数、めっき膜5、6の材質、層数等は、上述した一つの実施形態である積層セラミックコンデンサ1に特に限定されない。
【0034】
また、本発明の積層セラミックコンデンサ1におけるセラミック素体2の材料は、上述の実施形態に限定されることなく、例えばPbTiO系、PbZrO 系等その他の誘電体材料からなっていても構わない。また、本発明の積層セラミックコンデンサ1における内部電極の枚数は、上述の実施形態に限定されない。
【0035】
本発明では、外部電極(端子電極)と電気的に接合される内部導体を有する積層セラミック電子部品であれば、本発明を適用でき、そのような積層セラミック電子部品としては、例えば、積層セラミックインダクタや、積層セラミック抵抗体が挙げられる。
【0036】
しかしながら、本発明は、積層セラミックコンデンサ1のように、セラミック素体2の端面に、多数(20以上、より好ましくは40以上)の内部電極3が露出し、それぞれの内部電極3と外部電極4とを電気的に接合する必要があるものに対して、より好適なものである。
【0037】
本発明に用いられる外部電極4用の導電性ペーストは、Cuを主成分とする導電成分と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、Fe化合物とを含む。さらに、Fe化合物はFe合金、或いはFeレジネートであることが好ましい。
【0038】
Feは、Cu或いはNiよりもガラス中へと溶解しやすい。このため、Feは外部電極焼成時に軟化・流動したガラス中へ選択的に溶解する。このため、ガラス中へのNiの溶解を抑制する効果があり、内部電極3の先端部の消失をある程度抑制することが可能となる。
【0039】
さらに、Feは、内部電極3のNiと合金化し易いため、Feの一部がNi上に析出、内部へと拡散して内部電極3の体積が増大し、内部電極3の先端部が外部電極4方向にセラミック素体2の端面から突き出した突出部3aを形成する効果を備えている。これら作用により、内部電極3と外部電極4との接合がより強固なものとなり、内部電極3と外部電極4との機械的・電気的接続を確保することが可能となる。
【0040】
ただし、金属のFeであるとペースト状態においてはFeの酸化に伴う粘度変化等の不具合を生じる。さらに、電子部品が外部に暴露された状態では、温度或いは湿度の影響を大きく受け、Feが酸化し、得られた積層セラミック電子部品の信頼性が大きく劣化する。
【0041】
そこで、本発明においてはFeの経時的な酸化を抑制する目的で、耐酸化性を有するFe化合物という形でFeを添加することを特徴とする。耐酸化性を有するFe化合物としては、例えばFe合金、Feレジネートなどが挙げられる。
【0042】
Fe化合物としてFe酸化物も考えられるが、Fe酸化物では本発明の目的を達成しない。これはFe酸化物を用いた場合、ガラス中からの還元、内部電極上へのFeの析出が起こりにくくなり、外部電極4と内部電極3との接続が十分に得られないためである。
【0043】
なお、上記導電性ペーストでは、導電成分に対するガラスフリットの比率については特に限定されるものではないが、導電成分に対し2重量%〜20重量%の範囲内にあることが好ましい。ガラスフリット比率が2重量%を下回ると、本発明の効果が得られにくい。一方、ガラスフリット比率が20重量%を上回ると、外部電極表面ヘガラスが染み出し、めっきが付きにくいなどの不具合を生じる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。今回、評価に用いた試料を表1に示す。試料番号1〜3は比較例であり、試料番号4〜6は実施例である。
【0045】
【表1】
Figure 0003855792
【0046】
上記表1では、○は良、×は不可を示し、Capは静電容量を示す。
【0047】
まず、ガラスフリットを以下の通り作製した。目的のガラスフリットになるように出発原料を調合し、1000℃〜1200℃で溶融させた後、急冷してガラス化した。その後、得られたガラスを粗粉砕、微粉砕して所望の粒度分布のガラスフリットを得た。本評価にはホウケイ酸亜鉛バリウム系ガラスを用いた。ガラスフリットの平均粒径は0.5μmのものを用いた。
【0048】
次に、上記ガラスフリットを用いて導電性ペーストを作製した。本実施例においては、導電成分の粉末を70重量%、ガラスフリットを6重量%、有機ビヒクルを24重量%混合し、三本ロールで混練・分散して、表1の試料番号1〜5に示した導電性ペーストを5種類得た。
【0049】
また、試料番号6については、導電成分の粉末を65重量%、ガラスフリットを6重量%、有機ビヒクルを24重量%、Feレジネートを5重量%となるように混合し、作製した。使用した導電粉末の主成分はCu粉であり、平均粒径2μmのものを用いた。
【0050】
試料番号2〜5に関しては導電成分の粉末中にCu以外の金属粉末を5重量%添加した。添加した金属粉末の平均粒径はいずれも3μmである。有機ビヒクルは主にアクリル樹脂からなる有機バインダを、主にテルピネオールからなる有機溶剤に溶解させたものを用いた。
【0051】
得られた試料番号1〜6の導電性ペーストについてペースト粘度経時変化の調査を行った。得られた結果を表1にまとめた。表1に示す数字はペースト作製直後から1ヶ月後のペースト粘度変化率を示す。ペースト粘度はE型粘度計により測定を行い、測定条件は1rpm、25℃とした。表にはn=3の平均値を示した。ペースト粘度経時変化率が小さいほど安定した外部電極形状、外部電極品質(めっきの付き回りなど)が得られ、良好な導電性ペーストといえる。
【0052】
表1より、金属のFeを添加した試料番号2は、導電性ペーストの粘度変化が20%以上と非常に大きくなった。表中には示していないが、このため、Niめっき膜5、Snめっき膜6が部分的に付かなくなるという不具合が生じた。これに対し、試料番号1及び3〜6の試料はペースト粘度変化が±2%以内と安定しており、特に粘度変化に伴う不具合等は生じなかった。
【0053】
次に、BaTiOを主成分とするセラミックグリーンシートを作製し、所定枚数のセラミックグリーンシートの表面上に一方の端縁がセラミックグリーンシートの何れかの端面側に露出するように、内部電極となるべき、Niを主成分とする内部電極用導電性ペーストを印刷した。続いて、これらセラミックグリーンシートを100枚、それらの厚さ方向に互いに積層し圧着して、複数の生のセラミック素体を作製した。これらを還元雰囲気中、1200℃〜1400℃で焼成し、前記の内部電極3を備えた焼結体であるセラミック素体2を得た。
【0054】
次に、得られたセラミック素体2の両端面に試料番号1〜6の導電性ペーストを浸漬塗布し、120℃で10分間乾燥した後、N−O雰囲気(PO2300ppm以下)中で、850℃×10分ピークの条件下で焼成して外部電極4をそれぞれ形成した。さらに、得られた外部電極4上に電解めっき処理によりNiめっき膜5を形成し、その上にSnめっき膜6を形成し、試料番号1〜6の外部電極を有する積層セラミックコンデンサを得た。
【0055】
得られた試料番号1〜6の積層セラミックコンデンサについて静電容量の測定を行った。得られた結果を表1にまとめた。静電容量はLCRメータにより測定を行い、表1にはn=20の平均値を示した。静電容量値が小さいものほど外部電極4と内部電極3との電気的接合がとれていないことを示す。本実施例で用いた積層セラミックコンデンサの設計静電容量は10μFである。
【0056】
表1から明らかなように、試料番号4〜6の電極を用いた積層セラミックコンデンサは、静電容量値が10.2μF〜10.5μFと設計静電容量値を確保することができた。また、Feを添加した試料番号2についても静電容量値が10.5μFと設計静電容量値を確保することができた。これに対し、試料番号1、試料番号3は設計静電容量を得ることができなかった。
【0057】
得られた積層セラミックコンデンサを切断し、その断面を研磨して内部電極と外部電極との接合面を観察したところ、試料番号1に関しては内部電極先端部の消失が激しく、また試料番号3に関しては内部電極先端部の消失は比較的進んでいないものの試料番号4〜6と比較すると、内部電極の外部電極方向への突き出しがみられない。このため外部電極とのコンタクトがとれず、設計静電容量値を確保することができなかったものと思われる。
【0058】
また、試料番号1〜6の積層セラミックコンデンサについて信頼性評価を行った。積層コンデンサを85℃、95RH%に保たれた恒温恒湿槽中に100時間放置し、その後、それらサンプルの静電容量の測定および外部電極部の外観観察を行った。判定結果を表1に示す。試料番号2においては静電容量が約10%低下し、さらに外部電極内部まで酸化の進行がみられたため、判定としては表1中に示すように×として他と区別した。
【0059】
【発明の効果】
本発明の積層セラミック電子部品は、積層体の端面に形成され、内部導体と電気的に導通する、銅を主成分とする外部電極を備え、内部導体は、外部電極方向に積層体の端面から突出している構成である。
【0060】
それゆえ、上記構成は、内部電極がNiを主成分とする金属からなり、外部電極がCuを主成分とする金属からなりガラスフリットを含有する場合において、内部電極と外部電極との機械的・電気的接続を、上記突出によって、十分に確保することができる。
【0061】
これにより、上記構成は、積層セラミック電子部品において、所望の電気特性を得ることができ、さらに積層セラミック電子部品の信頼性も確保することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の積層コンデンサを示す概略断面図である。
【符号の説明】
2 セラミック素体
2a セラミック層
3 内部電極
3a 突出部
4 外部電極
5 Niめっき
6 Snめっき

Claims (7)

  1. 複数のセラミック層を互いに積層して有する積層体と、
    セラミック層間に形成された、ニッケルを主成分とする内部導体と、
    積層体の端面に形成され、内部導体と電気的に導通する、銅を主成分とする外部電極とを備え、
    内部導体は、外部電極方向に積層体の端面を超えて突出しており、
    外部電極は、導電性ペーストの焼結体であり、
    該導電性ペーストは、主成分である銅以外に、ガラスフリットと、焼結時、内部導体成分であるニッケルの外部電極中への拡散を抑制し、かつ内部導体中へと拡散する耐酸化性を有する化合物と、を含むことを特徴とする積層セラミック電子部品。
  2. 複数のセラミック層を積層して有する積層体と、
    セラミック層間に形成された、ニッケルを主成分とする内部導体と、
    積層体の端面に形成され、内部導体と電気的に導通する、銅を主成分とする外部電極とを備え、
    外部電極は、導電性ペーストの焼結体であり、
    該導電性ペーストは、主成分である銅以外に、ガラスフリットと、焼結時、内部導体成分であるニッケルの外部電極中への拡散を抑制し、かつ内部導体中へと拡散する耐酸化性を有する化合物と、を含むことを特徴とする積層セラミック電子部品。
  3. 前記耐酸化性を有する化合物は鉄化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層セラミック電子部品。
  4. 前記鉄化合物は、鉄合金粉末であることを特徴とする請求項3に記載の積層セラミック電子部品。
  5. 前記鉄合金粉末は、鉄−ニッケル合金粉末であることを特徴とする請求項4に記載の積層セラミック電子部品。
  6. 前記鉄化合物は鉄レジネートであることを特徴とする請求項3に記載の積層セラミック電子部品。
  7. 内部導体は、静電容量が得られるように配置され、積層セラミックコンデンサを構成していることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の積層セラミック電子部品。
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