JP3855347B2 - 3−5族化合物半導体素子の製造方法 - Google Patents

3−5族化合物半導体素子の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化物系3−5族化合物半導体からなる3−5族化合物半導体素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
青、緑、紫外線などの短波長領域の光を発生、検出する発光ダイオード、半導体レーザー、フォトダイオード等の光素子や高温で動作可能な電界効果型トランジスタ(FET)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)等の電子素子用の材料として、近年窒化物系3−5族化合物半導体が注目されている。
これらの半導体素子を製造するためには、高品質の結晶を成長させる技術、結晶を微細加工する技術が必要不可欠である。結晶成長技術に関しては、サファイア基板上にバッファ層を介することにより高品質のGaN下地結晶を成長させることが可能になった。これを利用して、この上に各々の素子に必要な層構造を成長させる技術が進歩した。
【0003】
一方、結晶を微細加工するためには、エッチング技術により必要な場所だけ表面側の層を除去し内部の層を露出させることが必要である。内部の層を露出させる方法として、GaAs系またはInP系の化合物半導体で一般的に行われる湿式エッチングは、窒化物系3−5族化合物半導体が化学的に非常に安定であるため、これまで適用できなかった。GaNに対する湿式エッチング剤として、特開昭50−113500号公報でリン酸、特開昭53−034480号公報でリン酸と硫酸の混酸を用いることが開示されている。また、第56回応用物理学会学術講演会27p−ZE−16で、紫外線を照射しながらNaOHまたはKOHとH22混合液を用いることでGaNの湿式エッチングできることが示されている。しかし、これらは、いずれもエッチング速度が遅いため半導体製造プロセスには適用できなかった。また、エッチングできるのはGaNに対してのみであり、GaN以外の窒化物系3−5族化合物半導体へのエッチングに適用できるかどうかは不明であった。
これとは別に Journal of Electrochemical Society 第143巻1号(1996)L17 でアルカリ溶融塩でGaNにエッチピットが形成できることが記されており、アルカリ溶融塩で表面の一部が溶解できることがわかる。しかしながら、この方法も湿式エッチングに用いることはできずエッチピット密度の評価に用いられるのみであった。また、GaN以外の窒化物系3−5族化合物半導体に対して適用できるかどうかは不明であった。
【0004】
このように湿式エッチングが困難なため、エッチング速度が大きく、エッチング面も平坦にできるドライエッチングによりn層を露出させる方法が従来行なわれてきた。しかしながら、この方法では、エッチング面にエッチングダメージが発生し、電極との接触抵抗が大きくなるという問題がある。このため熱アニールによるダメージ回復や、湿式エッチングによる表面ダメージ層の除去等の後処理工程が必要なためプロセス工程が長くなるという問題があった。また、ドライエッチング速度や平坦性、表面ダメージの大きさなどは、ドライエッチング装置の運転状況によって徐々に変化していくため、装置の維持管理が難しいという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、後処理工程の不要な表面ダメージのない3−5族化合物半導体のn層を露出させることができ、しかもエッチング速度が大きく、繰り返し安定性の優れたエッチング方法を用いた3−5族化合物半導体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような事情をみて鋭意検討した結果、特定の湿式エッチング条件で形成されるエッチピットが、内部の層の露出部として利用できることを見出し、また、エッチング条件を調整すれば、拡大したエッチピット同士がつながることで表面層がなくなり、内部の層を広い面積にわたって露出できることを見出した。この湿式エッチングにより露出したn層に特別な後処理を施すことなく電極を形成しても良好な特性を示す発光素子や受光素子が得られることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、〔1〕一般式InxGayAlzN(式中、x+y+z=1,0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1)で表される3−5族化合物半導体薄膜の積層構造を有し、かつ該積層構造の内部の層の露出部分において少なくとも1つの電極との接触をとる構造を有する3−5族化合物半導体素子の製造方法において、該露出部分を湿式エッチング法で形成する工程を有し、かつ該湿式エッチングに用いる湿式エッチング剤として、(1)PO4、PO3、PO2、P27、P26もしくはP413を分子式中に含む化合物の溶融塩、または()SO4、SO3、S24、S23、S27、S28もしくはSO8を分子式中に含む化合物の溶融塩、または()前記()の中の少なくとも1つの化合物と()の中の少なくとも1つの化合物との混合物の溶融塩、または()溶融水酸化カリウム、溶融水酸化ナトリウムもしくは両者の混合溶融アルカリを用いる3−5族化合物半導体素子の製造方法に係るものである。
また、本発明は、〔2〕内部の層の露出部分が湿式エッチングによって形成されるエッチピット、または該エッチピットが面内方向に拡大して連続的につながった領域である〔1〕記載の3−5族化合物半導体素子の製造方法に係るものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を詳細に説明する。
本発明における3−5族化合物半導体とは、一般式InxGayAlzN(式中、x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)で表される窒化物系3−5族化合物半導体である。
本発明の3−5族化合物半導体素子の製造方法は、〔1〕該3−5族化合物半導体の薄膜の積層構造を有し、かつ該積層構造の内部の層の露出部分において少なくとも1つの電極との接触をとる構造を有する3−5族化合物半導体素子の製造方法において、該露出部分を湿式エッチング法で形成する工程を有し、かつ該湿式エッチングに特定の湿式エッチング剤を用いることを特徴とする。
また、本発明の3−5族化合物半導体素子の製造方法は、〔2〕内部の層の露出部分が湿式エッチングによって形成されるエッチピット、または該エッチピットが面内方向に拡大して連続的につながった領域である〔1〕記載のものである。
【0009】
本発明は、窒化物系3−5族化合物半導体の内部の層を露出させるために行なう湿式エッチングに用いるエッチング剤として、以下に述べる5種類の物質群の中の少なくとも一つを用いることを特徴とする。
第1の物質群は、PO4を分子式中に含む酸、またはSO4を分子式中に含む酸、またはPO4を分子式中に含む酸とSO4を分子式中に含む酸を混合した酸である。PO4を分子式中に含む酸の例としてはリン酸(H3PO4)が挙げられる。また、SO4を分子式中に含む酸の例としては硫酸(H2SO4)が挙げられる。
【0010】
また、本発明は、該化合物半導体の内部の層を露出させるために行なう湿式エッチングに用いられるエッチング剤用の第2の物質群として、PO4、PO3、PO2、P27、P26もしくはP413を分子式中に含む化合物の溶融塩を用いることを特徴とする。なかでもPO4またはPO3を分子式中に含む化合物の溶融塩が好ましい。
PO4、PO3、PO2、P27、P26もしくはP413を分子式中に含む化合物の例として、リン酸2水素アンモニウム(NH42PO4)、リン酸水素2アンモニウム(NH42HPO4)、リン酸アンモニウム3水和物((NH43PO4・3H2O)、メタリン酸((HPO3n)、亜リン酸(H3PO3)、次亜リン酸(H3PO2)、2リン酸(H427)、次リン酸(H426)、ポクリン酸(H6413)などを好ましく用いることができる。なかでもリン酸2水素アンモニウム(NH42PO4)、メタリン酸(HPO3nが好ましい。
【0011】
また、本発明は、該化合物半導体の内部の層を露出させるために行なう湿式エッチングに用いられるエッチング剤用の第3の物質群として、SO4、SO3、S24、S23、S27、S28もしくはSO8を分子式中に含む化合物の溶融塩を用いることを特徴とする。なかでもSO4、SO3を分子式中に含む化合物の溶融塩が好ましい。
SO4、SO3、S24、S23、S27、S28もしくはSO8を分子式中に含む化合物の例として、硫酸水素アンモニウム(NH4HSO4)、硫酸アンモニウム((NH42SO4)、亜硫酸アンモニウム((NH42SO3)、亜硫酸水素アンモニウム(NH4HSO3)、アミド硫酸アンモニウム((NH4SO3NH2)などを好ましく用いることができる。なかでも硫酸水素アンモニウム(NH4HSO4)、硫酸アンモニウム((NH42SO4)が好ましい。
【0012】
また、本発明は、該化合物半導体の内部の層を露出させるために行なう湿式エッチングに用いられるエッチング剤用の第4の物質群として、上記第2の物質群の中の少なくとも1つの化合物と上記第3の物質群の中の少なくとも1つの化合物との混合物の溶融塩を用いることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、該化合物半導体の内部の層を露出させるために行なう湿式エッチングに用いられるエッチング剤用の第5の物質群として溶融アルカリを用いることを特徴とする。溶融アルカリの例としては溶融水酸化カリウム(KOH)、溶融水酸化ナトリウム(NaOH)または両者の混合物があげられる。
【0014】
以上のエッチング剤を用いると、GaNだけでなくGaN以外の窒化物系3−5族化合物半導体の表面をエッチングすることができる。このエッチング剤の特徴は、窒化物系3−5族化合物半導体に特有の高密度の転位等の結晶欠陥を介してエッチングが進行してゆくことである。このためエッチングの初期にはエッチピットが形成され、これがエッチングの進行に伴い、横方向に拡大してゆく。拡大したエッチピット同士がつながり結晶表面がなくなると、実質的に表面全体を掘り下げエッチングしたのと同じ状態になる。
【0015】
エッチピット形状は結晶の対称性を反映したものになる。六方晶系の対称性を有する窒化物系3−5族化合物半導体は、通常、[0001]方向に成長するのでエッチピットは六角形の形状になる。また、エッチピットの立体形状は、六角錐型と六角柱型のものがある。エッチピットの立体形状は、エッチング剤の組成、エッチング条件、半導体結晶の導電性等により影響を受ける。どちらの形状のエッチピットも内部の層を露出させることができるので、3−5族化合物半導体素子の作製プロセスに用いることができる。
【0016】
六角柱型のエッチピットでは、孔の径をエッチング条件によりある程度制御できる。孔の径は、0.01μm〜10μm程度の範囲で調整ができる。六角柱型のエッチピットは半導体薄膜内部で深さ方向のエッチング速度が小さくなり、主に横方向のエッチングによって拡大するために、半導体結晶を貫通しない場合が多い。このため基板表面に平行な底面ができる場合が多い。このため六角柱型のエッチピットを横方向に拡大させ互いにつながるようにすると実質的なエッチングが可能となり、広い面積にわたって内部の層が露出できる。一般に、六角柱型のエッチピットの深さは、エッチピットによってまちまちであるため、エッチピットのつながった部分に段差が生じ、エッチング面には凹凸が残った状態となる。しかし、このようにしてできた内部の層の露出部には、ドライエッチング等で生じるダメージがなく、通常の方法で良好な注入特性をもつ電極を形成することができる。したがって、エッチング面の凹凸は、素子作製上問題にはならない。六角柱型のエッチピットの側面は、成長表面に直角になる場合が多い。また六角形は、結晶の対称性を反映するため、エッチピットの側面は、60゜ずつ角度がずれた面からできている。従って、平行な二つの側面を、半導体レーザーの共振面として利用することも可能である。
【0017】
六角錐型のエッチピットは、傾斜面と成長表面との角度が約30〜80゜の範囲にある場合が多い。六角錐型のエッチピットが形成された場合には、エッチピットの傾斜面を内部の層の露出部として利用できる。六角錐型のエッチピットの大きさも、エッチング条件によりある程度制御できるが、径が大きくなりすぎると、エッチピットが半導体薄膜を貫通し、基板に達する場合がある。この場合でも内部の層の露出部に電極を形成して素子を作製することができる。
【0018】
エッチピットの立体形状は、エッチャント組成、窒化物系3−5族化合物半導体の結晶品質、伝導性等によって主に影響をうける。
【0019】
窒化物系3−5族化合物半導体結晶の伝導性に関しては、n型不純物またはp型不純物をドーピングして高い伝導性を有する結晶の方が、不純物ドーピングを行わず高抵抗の結晶よりも、六角柱型エッチピットができやすい傾向がある。
高抵抗の結晶では六角錐型のエッチピットができやすく、エッチピットの横方向の拡大速度も導電性の高い結晶に比べて遅いため、広い面積にわたって実質的なエッチングを行うことが難しい。
【0020】
通常、LEDや半導体レーザーなどの発光素子や受光素子は、電極からの電荷の注入をよくするため、また電流経路を発光面(受光面)に均一に広げるために、活性層や特殊な機能をもたせるために導入した一部の層を除けば、ほとんどの層は高い導電性を有する層で占められる。このため、本発明におけるウェットエッチング法は、実用的な発光素子や受光素子の構造に対して有効に作用し、六角柱型のエッチピットを形成してエッチングを行うことができる。
【0021】
六角柱型エッチピットは、第2の物質群を用いた場合に特にできやすい傾向がある。第1、第3、第5の物質群を用いた場合には六角錐型のエッチピットができやすい傾向がある。第2と第3の物質群の混合物の溶融塩(すなわち第4の物質群)では、その混合比に応じてエッチピットの形状が変化する。第3の物質群は、第2の物質群と混合して用いた場合エッチング速度を速める働きがあり、特に深さ方向のエッチング速度を速める働きがある。このため、窒化物系3−5族化合物半導体を完全に除去し、基板を露出させる目的に用いる場合には、第2の物質群と第3の物質群とを混合して用いることが好ましい。
【0022】
第4の物質群を用いた場合(すなわち、第2と第3の物質群の混合物)に、六角柱型のエッチピットを形成させるためには、リン(P)とイオウ(S)の合計モル数に対するリンのモル分率が大きいことが必要である。具体的には20%以上100%以下の範囲、さらに好ましくは50%以上100%以下の範囲で六角柱型のエッチピットが形成できる。リン(P)とイオウ(S)の合計モル数に対するリン(P)のモル分率が20%未満の場合には、六角錐型のエッチピットが形成されやすい。
【0023】
エッチングの好ましい温度は、第1の物質群のものをエッチャントに用いた場合、180℃以上280℃以下であり、さらに好ましくは200℃以上260℃以下である。エッチング温度が180℃より低いと、ほとんどエッチピットが形成しないので本発明の効果が得られず好ましくない。またエッチング温度が280℃より高いとエッチングが進行しすぎてエピタキシャル結晶が消失する場合があるため好ましくない。
【0024】
第2、第3、第4の物質群のものをエッチャントに用いた場合の好ましい温度は、200℃以上400℃以下であり、さらに好ましくは230℃以上370℃以下である。エッチング温度が200℃より低いと、塩が溶融しない場合があるので実用的でなく、また溶融してもほとんどエッチピットが形成しないため好ましくない。また、エッチング温度が400℃より高いとエッチングが進行しすぎてエピタキシャル結晶が消失する場合があるため好ましくない。
【0025】
第5の物質群のものをエッチャントに用いた場合の好ましい温度は、250℃以上450℃以下であり、さらに好ましくは300℃以上400℃以下である。エッチング温度が250℃より低いと、ほとんどエッチピットが形成せず、またエッチング温度が400℃より高いとエッチングが進行しすぎてエピタキシャル結晶が消失する場合があるため好ましくない。
【0026】
3−5族化合物半導体素子を作製するためには、ウエーハーの必要な場所だけエッチングできるように、通常、マスクが必要となる。好ましいマスク材料としては、エッチング剤によって溶解されない金(Au)、白金(Pt)等の貴金属単体、またはこれらを主として含む金属積層膜または合金、あるいはSiO2、Si34などを好適に用いることができる。これらの中で、金(Au)、白金(Pt)等の貴金属を主として含む金属積層膜または合金は、窒化物系3−5族化合物半導体のp電極に利用できるものが含まれる。本発明では、窒化物系3−5族化合物半導体に形成されたp電極パターンをそのままエッチングの際のマスクとして利用することができる。p電極パターンをマスクとして利用することにより、発光素子や受光素子などの作製プロセスの一部を簡素化することができる。
マスクとして利用できるp電極材料の例としては、仕事関数が比較的大きな金属と貴金属との積層構造または合金が挙げられる。具体的にはNi、Co、Ge、Pdの少なくとも1つと、AuもしくはPtとの積層構造または合金が挙げられる。
また、別の例としてはGaN中でアクセプタとなる金属と貴金属との積層構造または合金が挙げられる。具体的にはMg、Ca、Zn、Cd、Beの少なくとも1つの金属と貴金属との積層構造または合金が挙げられる。
【0027】
同一のエピタキシャル基板に対して、異なるエッチャント、エッチング条件、マスクパターンを用いて複数回のエッチングを行い複雑なパターニングを行うことも可能である。例えば、1回目の湿式エッチングで碁盤目状に基板まで達する溝を掘って素子分離を行い、次に個々の分離した素子において、2回目のエッチングで内部の層を露出した面を形成した後、pおよびn電極を順次形成することにより、電気的に絶縁された3−5族化合物半導体素子を作製することができる。
あるいは、1回目のエッチングをドライエッチングで行い、この時発生するダメージ層を除去する目的で、2回目のエッチングを湿式エッチングで行ってもよい。
【0028】
以上述べた方法で窒化物系3−5族化合物半導体を湿式エッチングして、内部の層を露出させることができる。露出した層は、従来のドライエッチング法に比べてエッチングダメージがないため、ダメージ回復またはダメージ層の除去の工程を行なう必要がなく、ただちに電極を形成しても小さな接触抵抗を得ることができる。
【0029】
次に、本発明の方法で作製される発光素子の構造の一例を図1(断面図)、図2(平面図)を用いて説明する。
この発光素子の構造の例では、最表面の層6はp型、内部の層3はn型の例を示している。湿式エッチングによりエッチピット9を形成し、これによってできるn型の層の露出部10にn電極8を形成し、エッチピットを形成しなかった残りの部分にもう一方のp電極7を形成して作製する。この作製方法の特徴は、n電極8とn型の層3とのコンタクトに湿式エッチングにより形成されたエッチピット9でできたn型の層の露出部を用いることである。
【0030】
n電極8の下部には,約1μmの大きさの多数のエッチピットがあり、この部分でn型の層との接触をとっている。このためn型の層とn電極8との接触面積が、ドライエッチングでn型の層の露出部10とメサ部11を形成する従来の方法に比べて小さくなるが、エッチングダメージが小さいためn型層とn電極8の間で十分小さな固有接触抵抗が得られ接触面積の影響が現れない。このため本方法で発光素子を作製しても、従来方法による発光素子よりも駆動電圧が大きくなることがない。
【0031】
従来方法では、図3(断面図)、図4(平面図)に示すように、ドライエッチングによりn型層の露出部10とエッチングされなかった部分(メサ部)11を形成し、メサ部11にp電極7を形成していた。このため、p電極7の面積は、ドライエッチングパターンで決まるメサ部11の面積で制限され、大きくできなかった。
【0032】
窒化物系3−5族化合物半導体は、現状ではp電極とp型層との固有接触抵抗を十分小さくできていない。このためp電極7とp層との接触面積はできるだけ大きい方が発光素子の駆動電圧を小さくできるので望ましい。本発明の方法では、メサ部を形成しないため、p電極7の面積を制限するのはチップのサイズだけとなり、p電極7の面積を従来方法よりも大きくできる。
【0033】
本発明の発光素子構造の別の一例を断面構造を示す図5、平面構造を示す図6を用いて説明する。
この構造は、p電極7のパターンをそのままマスクに用いて湿式エッチングを行なうというプロセスで作製できる。エッチピットを形成する領域10がn電極部8だけでなく、p電極7の周囲全体に広がることが、図1の例と異なる。このプロセスでは、湿式エッチング用のパターン形成のフォトリソグラフィ工程が1回省略できるので工程が単純化でき、しかもエッチピットのない領域全面にp電極7が形成されることになるので、従来の素子構造(図3(断面図)、図4(平面図))に比べてp電極7の面積をやはり増大させることができる。
【0034】
本発明の発光素子構造の別の一例を断面構造を示す図7、平面構造を示す図6を用いて説明する。
この構造は、図5の場合と同じく、p電極7をマスクに用いて湿式エッチングを行なうというプロセスで作製できる。この例ではエッチング領域は多数のエッチピットがあるのではなく、エッチング条件を調整して、個々のエッチピットが横方向に拡大して互いにつながることによってp型層の表面がなくなり、実質的なエッチングが行われるようにしたものである。この構造ではn層露出部の面積が広がって、図1、図5の場合に残っているn電極とp層との接触部分がなくなるので、リーク電流がなくなるため発光素子の特性が向上する。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
サファイアC面基板上に、図8に示す層構造の窒化物系3−5族化合物半導体をMOCVD法により形成した。すなわち、サファイア基板1の上にバッファ層2を500Å、n型GaN層3を3μm、In0.3Ga0.7N発光層4を50Å、Al0.2Ga0.8N層5を300Å、p型GaN層6を1000Å順次積層した構造である。
このエピタキシャル基板を窒素中で800℃20分間の熱処理を行ない、p型層を低抵抗化したのち図1(断面図)および図2(平面図)に示す構造の発光素子を作製した。まず通常のフォトリソグラフィと真空蒸着、リフトオフによりAuのマスクを形成した後、湿式エッチングを行った。エッチング剤は、リン酸2水素アンモニウムと硫酸水素アンモニウムを重量比9:1で混合したものを用いた。このエッチング剤20gを白金るつぼに入れ、300℃に加熱した電気炉中で溶融させた後、この中にAuマスクを形成した試料を浸して5分間湿式エッチングを行なった。エッチング終了後、試料を水洗してエッチング剤を除去し、王水でAuマスクを除去した。湿式エッチング後の試料のn層露出部10を光学顕微鏡で観察したところ、六角柱型のエッチピットが形成されていた。常法に従い、p電極7であるNi1%組成のNiAu合金を成長表面に1500Å形成し、n電極8であるAlを湿式エッチングで形成したn層露出部10に1000Å形成した。こうして作製した発光素子に、20mAの順方向電流を流したところ明瞭な青色発光を示した。
【0036】
実施例2
サファイアC面基板上に、図8に示す層構造の窒化物系3−5族化合物半導体をMOCVD法により形成した。これを窒素中で800℃20分間の熱処理を行いp型層を低抵抗化した後、図5(断面図)および図6(平面図)に示す構造の発光素子を作製した。まず通常のフォトリソグラフィと真空蒸着、リフトオフによりp電極7であるNiAuを1500Å形成した。次にこのp電極7をマスクとして、湿式エッチングを実施例1と同じ条件で行った。湿式エッチング後の試料のn層露出部10を光学顕微鏡で観察したところ、六角柱型のエッチピットが形成されていた。次に常法に従い、n電極8であるAlを湿式エッチングで形成したn層露出部に1000Å形成した。こうして作製した発光素子に、20mA電流を流したところ明瞭な青色発光を示した。
【0037】
実施例3
溶融KOHを用いて湿式エッチングを行ったことを除いては、実施例2と同様にして発光素子を作製した。
KOHを20g白金るつぼに入れ、360℃に加熱した電気炉中で溶融させた後、この中にNiAuマスクを形成した試料を浸して10分間湿式エッチングを行なった。湿式エッチング後の試料のn層露出部10を光学顕微鏡で観察したところ、六角錐型のエッチピットが形成されていた。次に常法に従い、n電極8であるAlを湿式エッチングで形成したn層露出部に1000Å形成した。こうして作製した発光素子に、20mAの順方向電流を流したところ明瞭な青色発光を示した。
【0038】
実施例4
リン酸2水素アンモニウム((NH4)H2PO4)を用いて、280℃15分間の湿式エッチングを行なったことを除いては実施例2と同様にして発光素子を作製した。
まず、通常のフォトリソグラフィと真空蒸着、リフトオフによりp電極7であるNiAuを1500Å形成した。次にこのp電極7をマスクとして、湿式エッチングを上記の条件で行った。湿式エッチング後の試料のn層露出部10を光学顕微鏡で観察したところ、横方向に広がった六角柱型のエッチピットがつながりp層表面がなくなっており、実質的なエッチングができ、広い面積のn層露出部が形成されていた。次に常法に従い、n電極8であるAlを湿式エッチングで形成したn層露出部に1000Å形成した。こうして作製した発光素子に、20mAの順方向電流を流したところ明瞭な青色発光を示した。
【0039】
実施例5
サファイアC面基板上に、図9に示す受光素子用の層構造の窒化物系3−5族化合物半導体をMOCVD法により形成した。すなわち、サファイア基板1の上にバッファ層2を500Å、ドナー濃度5×1018cm-3のSiドープn型GaN層3を3μm、ドナー濃度1×1017cm-3のSiドープn-型GaN層12を2500Å、アクセプタ濃度1×1019cm-3のMgドープp型GaN層5を600Å順次積層した構造である。
【0040】
このエピタキシャル基板を窒素中で800℃20分間の熱処理を行ない、p型層を低抵抗化したのち図10(断面図)に示す構造の受光素子を作製した。まず通常のフォトリソグラフィと真空蒸着、リフトオフによりMg100Å、Au500Åの積層膜のマスクを形成した後、リン酸2水素アンモニウムを用いた湿式エッチングを行った。このエッチング剤20gを白金るつぼに入れ、280℃に加熱した電気炉中で溶融させた後、この中にMgAuマスクを形成した試料を浸して15分間湿式エッチングを行なった。エッチング終了後、試料を水洗してエッチング剤を除去した。湿式エッチング後の試料の内部の層の露出部10を光学顕微鏡とSEMで観察したところ、n型GaN層まで達する深さの六角柱型のエッチピットがつながりn型GaN層が広い面積にわたって露出していた。次に常法に従い、n電極8であるAlを湿式エッチングで形成したn層露出部10に1000Å形成した。こうして作製した受光素子に逆方向バイアスをかけ、p層側からキセノンランプの白色光を分光して照射して、受光素子の相対感度を測定したところ370nm以下の紫外線領域で強い感度を示した。
【0041】
【発明の効果】
本発明の3−5族化合物半導体素子の製造方法によれば、短時間で後処理工程の不要な表面ダメージのない窒化物系3−5族化合物半導体の内部の層を露出させることができる。しかも繰り返し安定性に優れているため、発光素子および受光素子の製造などにきわめて有用であり工業的価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られる素子構造の一例の断面図
【図2】本発明により得られる素子構造の一例の平面図
【図3】従来の素子構造の断面図
【図4】従来の素子構造の平面図
【図5】本発明により得られる素子構造の一例の断面図
【図6】本発明により得られる素子構造の一例の平面図
【図7】本発明により得られる素子構造の一例の断面図
【図8】実施例1で得られた層構造を示す断面図
【図9】実施例5で得られた層構造を示す断面図
【図10】実施例5で得られた受光素子の断面図
【符号の説明】
1...基板
2...バッファ層
3...n層(n型GaN層)
4...InGaN発光層
5...AlGaN保護層
6...p層(p型GaN層)
7...p電極
8...n電極
9...エッチピット
10...n層露出部(エッチピット形成部)
11...メサ部
12...n-型GaN層

Claims (4)

  1. 一般式InxGayAlzN(式中、x+y+z=1,0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1)で表される3−5族化合物半導体薄膜の積層構造を有し、かつ該積層構造の内部の層の露出部分において少なくとも1つの電極との接触をとる構造を有する3−5族化合物半導体素子の製造方法において、該露出部分を湿式エッチング法で形成する工程を有し、かつ該湿式エッチングに用いる湿式エッチング剤として、(1)PO4、PO3、PO2、P27、P26もしくはP413を分子式中に含む化合物の溶融塩、または()SO4、SO3、S24、S23、S27、S28もしくはSO8を分子式中に含む化合物の溶融塩、または()前記()の中の少なくとも1つの化合物と()の中の少なくとも1つの化合物との混合物の溶融塩、または()溶融水酸化カリウム、溶融水酸化ナトリウムもしくは両者の混合溶融アルカリを用いることを特徴とする3−5族化合物半導体素子の製造方法。
  2. 内部の層の露出部分が湿式エッチングによって形成されるエッチピット、または該エッチピットが面内方向に拡大して連続的につながった領域であることを特徴とする請求項1記載の3−5族化合物半導体素子の製造方法。
  3. ウェットエッチングに用いるマスク材料が、(1)Ni、Co、Ge、Pdの少なくとも1つと、AuもしくはPtとの積層構造または合金、または(2)Mg、Ca、Zn、Cd、Beの少なくとも1つの金属とAuもしくはPtとの積層構造または合金であることを特徴とする請求項1または2記載の3−5族化合物半導体素子の製造方法。
  4. ウェットエッチングに用いるマスクとして、p電極を用いることを特徴とする請求項3記載の3−5族化合物半導体素子の製造方法。
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