JP3854501B2 - 磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録再生装置に関し、特に詳細には、磁気抵抗効果型ヘッドの磁区制御膜の構造、GMR膜の磁区制御技術、及び再生高感度の狭トラック幅を有する再生ヘッド構造並びにその再生ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の磁気記録装置の高密度化に伴い、再生用ヘッドとして磁気抵抗効果を有するスピンバルブ膜をセンサ膜に用い、永久磁石層隣接型(Abutted Junction)を磁区制御に用いたGMRヘッドが実用化されており、再生トラック幅の狭小化が進んでいる。
【0003】
図9に従来の永久磁石層隣接型の磁気ヘッドの構造を示す。この構造では、2つの磁気シールドS1とS2に挟まれてGMRセンサ膜1、永久磁石層2及び電極膜4が存在する。GMRセンサ膜1の端部に隣接して永久磁石層2が配置され、その直上に電極膜4が配置されている。電極膜4と永久磁石層2(永久磁石層は導電性をも有する)はGMR膜に電流を流すための電極の役割を果たしており、永久磁石層2は、GMR膜1を構成する自由層8に磁界を与え単磁区化する磁区制御の役割を果たす。
【0004】
永久磁石層2からの磁界強度は永久磁石層2に近い程大きいために(後述する図3に示された自由層のトラック幅方向各位置における磁界強度分布を参照)、GMR膜の永久磁石層近傍の微小領域は、永久磁石層に因る磁界によって自由層の磁化回転が抑制され(磁界強度が大であるため磁区の向きが強固に固定されて)、その結果センサ感度の低い領域が生じる(磁化された記録媒体からの磁界では磁区の向きが変化し難くなって磁気ヘッドの感度が低下する)。以下この領域のことを「低感度領域」と称する。
【0005】
図9の下段にセンサの感度分布を示すが、山形の感度分布の両脇の裾の領域が「低感度領域」6を表す。低感度領域は永久磁石層端部から0.05〜0.1μm程度存在する。再生トラック幅が、例えば1μm程度と大きい場合には、再生トラック幅に占める低感度領域の割合は2割程度であり、あまり問題とならないが、再生トラック幅が狭小化すると、低感度領域の再生トラックに占める割合が増大し再生出力が急激に低下する。
【0006】
図10にMR高さ(媒体からの奥行き寸法であり図9において矢印寸法で示す)が一定でセンス電流一定にした場合における、再生出力の再生トラック幅(寸法上の幾何学的なトラック幅)の依存性を示す。トラック幅が減少するにつれて再生出力は、図10の点線で示す比例関係よりも急激に減少しており、外挿すると実効トラック幅0.15μmで出力ゼロとなってしまう。
【0007】
記録密度70Gbit/in2以上では、再生トラック幅(磁気的なトラック幅)は0.2μm以下が必要であり、ハードディスクドライブを正常に駆動するためには再生出力として1mV程度必要とされるため、従来の永久磁石隣接型(Abutted Junction型)GMRヘッドでは再生出力が小さ過ぎるために記録媒体に書き込まれた情報を再生することができなくなってしまう。
【0008】
このような再生トラックの狭小化に伴う急激な再生出力低下を防ぐために、特開平11−53716号公報や日本応用磁気学会誌24、367〜370(2000)に示される様な電極オーバーラップ型GMRヘッドが提案されている。
【0009】
図11に電極オーバーラップ型GMRヘッドの構造を示す。所望の幅に形成されたGMRセンサ膜1の両脇に隣接して一対の永久磁石層2を有し、その永久磁石層2の上に一対の電極膜4を有し、この電極膜4は、GMR膜1にオーバーラップする構造をしており、一対の電極膜間4の間隔DLDは、一対の磁区制御膜である永久磁石層2の間隔DCDより小さくなっている。
【0010】
図11に示す構造では、GMR膜1で主に電流が流れるのは一対の電極に挟まれた図中のDLDの部分であることから、センサ膜の感度を有する領域は、図中のDLDの領域であり、永久磁石層は、この領域から十分にはなれて配置されているためにDLDの領域の感度低下を起こすことはないことが期待された。即ち、永久磁石層近傍の磁界強度大に因る低感度領域を外れた箇所に電極膜端部を配する構造となっているからである。
【0011】
ところが、センサの感度分布を詳細に調べると、図11に示す様にセンサ膜の有する感度分布はDLDで示される電極で挟まれる領域よりも広く分布しており、再生トラック幅は電極間隔DLDよりも大きくなることが分かった。したがって、所望の再生トラック幅を得るためには、電極膜間隔DLDを所望の幅より小さくすることが必要であることがわかった。
【0012】
再生トラック幅が、DLDよりも大きくなる理由は、電極直下の自由層8に入った媒体磁束が、DLDの領域の自由層にまで伝播してGMRセンサ膜の抵抗変化を引き起こしてしまうためである。換言すると、図11に示す電極膜4の内で自由層に乗り上げている部分の電極膜の真下に存する自由層に入ってきた媒体からの磁束が、センサ膜のDLD領域に影響を及ぼして、電極間のGMRセンサ膜の抵抗変化をもたらし、結局、電極間の電圧変化を引き起こすこととなるからである。
【0013】
上述した問題を回避する一つの方法としては、再生トラック幅が電極膜間隔DLDに比べて広くなることを予め見込んで、電極膜間隔DLDを狭くする方法である。しかしながら、この方法では、より一層狭い電極膜間隔DLDを作るフォトリソプロセス技術が必要となるために、作成プロセス上の困難を伴なう。
【0014】
一方、センサの感度を向上させる他の手段として、永久磁石層による磁区制御力を下げること、即ち、後述する図3に示すセンサ膜端部における磁界強度の強すぎる自由層での磁界強度を適宜に弱めることが挙げられる。しかしながら、センサ膜端部での電極や磁区制御膜の乗り上げ量のばらつきや角度のばらつきによって、磁区制御が不十分になってしまい(単磁区化の均一性が不十分)、波形変動の原因となってしまう。
【0015】
また、上述したような狭トラック化にともなう再生感度低下の課題は、永久磁石膜を磁区制御膜に用いるために生じている。他の磁区制御方式として従来知られている公知例は特開平7−57223号公報であり、MR膜に隣接して軟磁性膜と反強磁性膜を積層した構成を配置するAbutted Junction型である。同様の構成は、特開平8−45032号公報、特開2000−215418号公報、特開2000−215419号公報、特開2000−331316号公報、特開2001−84521号公報にも開示されている。
【0016】
ところが、このような永久磁石膜の代わりに強磁性膜と反強磁性膜を積層した構成を隣接させる構成(以下このような構成をAbutted Junction Exchange bias 略してAJ−EXと称する。)を用いた場合、磁区制御層を構成する強磁性膜(MR膜の端部に隣接する膜)が記録媒体からの磁束を吸収し、侵入した磁束が強磁性膜を伝播してMRセンサ膜にまで侵入し出力を生じるという現象、即ち読みにじみ(滲み)が大きくなり隣接トラックの影響受け再生時にエラーを生じるという課題がある。
【0017】
さらに、このようなAJ−EX構造では、磁気抵抗効果膜に加わる磁界が極めて小さいために、自由強磁性層41を磁区制御する力が弱く、再生の際にバルクハウゼンノイズを生じやすく、これを抑制するのが難しいという課題がある。
【0018】
また、特開2001−84521号公報には、当該公報の図4及び図6並びにそれに関連する説明によると、機械的寸法の再生ヘッドトラック幅と磁気的再生ヘッドトラック幅とを略同一とすべく、GMR素子43の両端部と硬質磁性膜の縦バイアス層45の間に軟磁性中間層44を配置する構造が示されている。この構造によれば、バルクハウゼンノイズが抑制され、不安定領域がなく、オフトラック特性を向上させることができる旨が記載されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来技術の永久磁石層隣接(Abutted Junction)型では、再生トラック狭小化に伴なう出力の急激な低下をともなうという課題が発生するのである。
【0020】
更に、従来技術のAJ−EX構造の再生ヘッドでは、読みにじみとバルクハウゼンノイズの課題が残る。
【0021】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解決し、再生感度の大きく、波形変動の無い、読み滲みのない狭再生トラック幅を有する再生ヘッド並びにその製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
【0023】
基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に磁気抵抗効果膜を形成する工程と、
前記フォトレジストをマスクにして前記磁気抵抗効果膜の一部をイオンミリングによって除去する工程と、
前記磁気抵抗効果膜の一部を除去した後に、軟磁性膜を成膜する工程と、
前記軟磁性膜を成膜した後に、前記フォトレジスト側面に付着した前記軟磁性膜をマスクにして前記軟磁性膜の一部をイオンミリングによって除去する工程と、
前記軟磁性膜の一部を除去した後に永久磁石膜及び電極膜を付着する工程と、
前記永久磁石膜及び電極膜を付着した後に前記フォトレジストを除去する工程と、を有する磁性抵抗効果型ヘッドの製造方法。
【0024】
前記磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法において、前記磁気抵抗効果膜の一部をイオンミリングによって除去する工程で、前記第1の絶縁膜がイオンミリングに曝されないように、フォトレジスト直下以外の領域においても前記磁気抵抗効果膜を一部残留させ、
その後の前記軟磁性膜の一部をイオンミリングで除去する工程で、前記フォトレジスト直下以外に前記一部残留する磁気抵抗効果膜を除去する磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法。
【0025】
前記磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法において、前記軟磁性膜を成膜する工程で、軟磁性膜粒子が前記基板の法線方向から20度以上傾いた方向から入射する磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法。
【0026】
前記磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法において、前記軟磁性膜を成膜する工程でイオンビームスパッタ法を用いる磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法。
【0027】
前記磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法において、前記軟磁性膜の一部を除去する工程で、イオンビームの入射方向を前記基板の法線方向から5度以下にする磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法。
【0028】
前記磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法において、前記磁気抵抗効果膜に前記永久磁石膜との間に設けられた前記軟磁性膜は、前記永久磁石膜からの磁束を前記軟磁性膜で収束させることにより前記磁気抵抗効果膜の磁区制御を行うとともに、トラック幅方向の磁気シールドとして働く磁気抵抗型ヘッドの製造方法。
【0029】
前記磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法において、前記軟磁性膜が、NiとFe合金、又はCoとFe合金、又はCoとNiとFe合金、又はこれらの合金にTi,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W,Cu,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt,Auのうちの少なくむとも1種を添加した合金、である磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)について、図面を用いて以下説明する。まず、MRヘッドに関する基本的な磁気ヘッド構成を説明する。図1は、書き込みヘッド部及びMR読み出しヘッドを有する典型的な磁気ヘッド構造を示す断面図である。磁気ヘッドはエアーベアリング表面(ABS)を形成するためにラップ仕上げされ、ABSは、エアベアリングにより磁性媒体の表面から間隔を維持する。読み取りヘッドは、第1ギャップ層G1と第2ギャップ層G2間に挟まれたMRセンサ1を有し、その第1ギャップ層G1と第2ギャップ層G2は第1シールド層S1と第2シールド層S2間に挟まれている。従来のディスクドライブでは、MRセンサ1はスピンバルブセンサである。
【0031】
書き込みヘッドは、コイル層Cと絶縁層I2を有し、それら絶縁層I1とI3間に挟まれ、またその絶縁層I1,I3も第一磁極片P1と第2磁極片P2に挟まれている。第3ギャップG3は、その第1磁極片P1と第2磁極片P2のABSに隣接した先端間に挟まれ、磁気ギャップを形成する。
【0032】
書き込みの際には、信号電流がコイル層Cを通して導かれ、かつ磁束がエアベアリング表面で漏洩する。この漏洩磁束は書き込み操作の間に磁性媒体上の周回トラックを磁化する。読み出しの際には、回転する磁性媒体の磁化された領域は読み出しヘッドのMRセンサ1に磁束を注入し、MRセンサ1内部で抵抗変化を起こす。この抵抗変化は、MRセンサ1を横切る電圧変化を検出することにより検出される。
【0033】
次に、本発明の第1の実施形態に係る磁気抵抗効果型ヘッドについて図2、図及び図4を用いて説明する。図2で、GMRセンサ膜1の両側に、GMRセンサ膜の磁区を制御する永久磁石層2と電極膜4を設けることに加えて、磁気的な分離機能を奏するスペーサー膜5、軟磁性膜3を設ける。即ち、GMRセンサ膜1の両側に、永久磁石層2、スペーサー膜5、軟磁性膜3、電極膜4の順からなる積層膜を設けることが本実施形態の特徴の1つである。GMRセンサ膜1は、第1の磁気シールドS1と第2の磁気シールドS2に挟まれた再生磁気ギャップ内に設けられ、GMRセンサ膜1の両脇に隣接して一対の永久磁石層(磁区制御膜2)が隣接している。非磁性分離層であるスペーサ膜5は、永久磁石層と軟磁性膜3とを磁気的に分離できる1nm以上が望ましい。
【0034】
第1の実施形態は、図2に示す永久磁石層2、非磁性分離膜5及び軟磁性膜3からなる積層体によって、GMRセンサ膜1の磁区を制御しようとするものである。
【0035】
図3に示す様に、永久磁石層と電極膜からなる従来構造では(図3の左上に図示)、端部の永久磁石層2の乗り上げの影響により、GMR膜の端部にはリップルのある磁界分布となり、磁気的に不安定な状態となる。即ち、図3の下段に示すトラック幅方向における磁界強度分布グラフにおいて、従来例のものはトラック幅方向に一様に減衰する曲線ではなくて、磁界強度分布に変動分(リップル)を示すこぶ形状特性を有する。このこぶ形状特性によって媒体からの磁界による磁区傾きに不安定性を生じ、磁気抵抗変化の不安定変動につながる。このこぶ形状特性の生じる原因は、永久磁石層のGMRセンサ膜への乗り上げ部から発する磁束が、GMRセンサ膜の自由層(図3で灰色階調を付けた部分)において自由層端部から入ってきた磁束に加算された結果であると考えられる。また、端部のみならずトラック中央部までも端部磁界の影響により、再生出力が変動することとなる。なお、図3において、Bsは自由層の磁束飽和密度を示している。
【0036】
ここで、GMRセンサ膜は、一般的な構成として、反強磁性体膜、強磁性体膜(交換結合磁界の生じる膜)、非磁性体膜(例としてCu)、自由層(永久磁石層によって磁区を制御され、且つ磁気記録媒体からの磁界で磁区の向きが傾くもの)及び保護膜から構成された積層体である。
【0037】
また、図4には、永久磁石層とGMRセンサ膜との結合関係を示しており、図4の(1)は永久磁石層の端縁がGMRセンサ膜と同一厚さで結合する構造を示し、図4の(2)は永久磁石層の端縁の一部がGMRセンサ膜端部の上平面に乗り上げた構造を示す。これらの結合構造は原理的な関係を模式的に図示したものであるが、実際のMRヘッド製造においては、公知のリフトオフ製造工程を利用して膜形成すると、厳密に(1)のようにはならずに、(2)のように多少の乗り上げ部を生じるものである。そして、永久磁石層の乗り上げ部の有る無しに関わらず、自由層端部から若干離れた箇所では、(1)と(2)に図示するように、永久磁石層からの異なった経路(図4の矢印で示す経路)からの磁束が集中するという現象が生じるのである。
【0038】
本発明の第1の実施形態は、図3の右上図に示すように、永久磁石層の端部における余分な磁束は軟磁性膜3の方に流れることにより(矢印で示す)、GMR膜1には影響を与えなくなる。即ち、図8の(1)に概略的に示すように、永久磁石層からの余分な磁束は自由層に入らずにスペーサ膜を介して軟磁性膜に流入して永久磁石層での磁束方向と反対方向に磁路を形成する。自由層には自由層と接する永久磁石層からの磁束のみが流入することによって、図3の下段に示すような、トラック幅の端部で強く、トラック幅の中心に向かって単調且つ急峻に減衰し、トラック幅の中央部で一様な磁界強度分布を得ることができる。
【0039】
よって、GMRセンサ膜1の端部にはリップルがなくなり、磁気的に安定な状態となる。更に、トラック中央部での端部磁界の影響がなく、再生出力が低下したり変動してしまうことはない。図2の図中にGMRセンサ膜のトラック幅方向の感度分布をしめすが、永久磁石層間隔DCDで示す領域において矩形状の感度分布を示しており、その中に低感度領域を有しておらないため、感度の高い再生ヘッドが実現できる。
【0040】
また、GMRセンサ膜構成としては、具体的には、例えば、第1の磁気シールド膜側から
(1)下地層/100PtMn/12CoFe/8Ru/20CoFe/21Cu/10CoFe/20NiFe/10Cu/20Ta(数字は厚さを示すオングストローム)のボトム型スピンバルブや、
(2)下地層/20NiFe/10CoFe/21Cu/20CoFe/8Ru/12CoFe/100PtMn(オングストローム)のトップ型スピンバルブや、
(3)下地層/100PtMn/15CoFe/8Ru/20CoFe/21Cu/7CoFe/17NiFe/7CoFe/21Cu/20CoFe/8Ru/15CoFe/100PtMn/20Ta(オングストローム)のデュアル型スピンバルブ、等を用いることができる。
【0041】
永久磁石層としては、Cr下地膜上のCoCrPt合金膜やCoPt合金膜を用いることができる。非磁性分離膜としてはTa,Cr,Au等を用いることができる。
【0042】
軟磁性層としては、NiFe合金や、NiFeを主成分と合金で添加元素とし、Co,Ti,V,Cr,Zr,Nb,Mb,Hf,Ta,W,Cu,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt,Auの中から選ばれる少なくとも一種以上の元素を含む合金を用いることができる。ここで添加元素を加えるメリットは軟磁性層の磁気抵抗効果を低減するためである。電極材料としては、例えば、TaW下地上のTaやAu等を用いることができる。
【0043】
次に、本発明の第2の実施形態について図8の(2)を用いて説明する。前述した第1の実施形態では永久磁石層上に非磁性分離層を介して軟磁性膜を積層する構成であったが、第2の実施形態は非磁性分離層を介さずに永久磁石層上に直接に軟磁性膜を積層して、永久磁石層と非磁性分離層とでGMRセンサ膜の磁区制御をしようとする構成である。そして、自由層は、図8の(2)に図示するように、軟磁性膜の端縁に結合させる構造である。ここで、永久磁石層に直接積層する軟磁性膜で発生する磁束方向は、永久磁石層の磁束方向と同一方向に磁気誘導される。この誘導された軟磁性膜の磁束を自由層に導き入れるものである。この場合、永久磁石層端縁から自由層に直接に磁路を形成しないように自由層を構成配置する。
【0044】
次に、本発明の第3の実施形態について図5、図6及び図7を用いて説明する。図5で、GMRセンサ膜1は、第1の磁気シールドS1と第2の磁気シールドS2に挟まれた磁気ギャップの中に設けられている。GMRセンサ膜には、その両側に一対の軟磁性膜領域3が隣接して配置され、更に、軟磁性膜の両側に永久磁石層2が隣接して配置されており、更に、図示するように軟磁性膜3と永久磁石層2に電極層4が積層されている。
【0045】
図6の右上に図示する様に、永久磁石層2からの磁束は、軟磁性膜領域3で収束しGMRセンサ膜1に導びかれるため、有効に磁区制御を行える。よって、GMRセンサ膜1の端部は磁気的に安定な状態となる。更に、トラック中央部での端部磁界の影響がなく、再生出力が低下してしまうことはない。図5の図中にこのセンサのトラック幅方向の感度分布を示すが、軟磁性膜間隔DSDで示す領域において矩形状の感度分布を示しており、その中に低感度領域を有しておらないため、感度の高い再生ヘッドが実現できる。
【0046】
第3の実施形態の定性的な説明を図7の(2)に示し、従来技術の定性的な説明を図7の(1)に示す。図7の(1)によると、永久磁石層から自由層への磁路形成は主として自由層に直接接している永久磁石層端縁からの磁路であるが、この磁路以外にも矢印で示すように、永久磁石層端縁の各部から自由層中央部寄りの箇所に磁束が流入して、図6の磁界強度分布に示すこぶ形状特性のような磁区不安定特性を表すことになる。これに対して、第3の実施形態では図7の(2)に示すように、自由層と接する領域の軟磁性膜で磁束の集中が生じて、(1)のような自由層への複数磁路形成は生じないので、図6に示すような、トラック幅の端部で強く、トラック幅の中心に向かって単調且つ急峻に減衰し、トラック幅の中央部で一様な磁界強度分布を得ることができる。図8の(3)にも上述と同様に、本発明の第3の実施形態に関する定性的説明図を示す。
【0047】
GMRセンサ膜構成としては、例えば、本発明の第1の実施形態に示した上述の(1)〜(3)の構成を用いることができる。また、軟磁性膜、永久磁石層としては例えば、同様に第1の実施形態に示した構成を用いることができる。
【0048】
次に、前述した第3の実施形態の発展形態として(再生ヘッドの機能や属性の詳細な論理的展開、介在する軟磁性膜の形状寸法の特定)、本発明の第4の実施形態について、図12を参照しながら以下説明する。
【0049】
本実施形態では、第1の強磁性膜S1と第2の強磁性膜S2に挟まれて絶縁性のギャップ膜G1とG2が存在し、ギャップ膜G1とG2に挟まれて磁気抵抗効果膜40、電極膜44a,44bが存在する。磁気抵抗効果膜40の両脇に一対の軟磁性膜S3a及びS3bが配置され、その両脇に一対の永久磁石膜42a及び42bが配置される。永久磁石膜の下に(第1の強磁性膜側に)軟磁性膜が配置されると永久磁石膜の磁気特性を損なわれるため軟磁性膜と永久磁石膜は互いに隣接する関係に配置される。
【0050】
磁気抵抗効果膜40と永久磁石膜42a,42bの間に軟磁性膜S3a及びS3bを設けることによる機能乃至効果は、結論的に云えば、(1)磁区制御力を調整する役割、(2)永久磁石形状のばらつきに起因する再生特性のばらつきを緩和する役割、(3)トラック幅方向の磁気シールドとしての働きを有し隣接トラックの読みにじみを防ぐ役割である。
【0051】
このような機能乃至効果について詳しく説明すると、まず、永久磁石膜と磁気抵抗効果膜の間に導電性の軟磁性膜を介在させる第一の理由は、一つに磁気抵抗効果膜に直接永久磁石膜を隣接させると、磁気抵抗効果膜の自由強磁性膜に強力な磁界がかかるのを防ぎ、必要な磁界のみを自由強磁性膜に与えるためである。導電性の軟磁性膜は、永久磁石膜から自由強磁性膜に加わる磁界の緩衝機能(永久磁石膜から強い磁場の影響を受ける領域が軟磁性膜になるようにして、MR膜には強い磁場が持ち込まれないようにする機能)を有する。また、非磁性材料を用いなかった理由は、非磁性材料の場合わずかの量でも急激に自由強磁性膜に加わる磁区制御磁界が低下し、量に対する磁区制御力の変化が大きすぎて制御性が悪いためである。
【0052】
そして、永久磁石膜と磁気抵抗効果膜の間に導電性の軟磁性膜を介在させる第二の理由は、製造する再生ヘッドの再生特性のばらつきを小さくできるからである。この理由は、介在した軟磁性膜が永久磁石から生じる磁束を自由強磁性膜へ誘導する働きがあるためである。個々の再生ヘッドで永久磁石膜の形状が異なることにより磁極の分布形状が異なっても、軟磁性膜は分布した磁極から磁束を収集して、自由強磁性膜には一定の磁界が与えられるために、個々のヘッド間で特性の差異が小さい。
【0053】
更に、永久磁石膜と磁気抵抗効果膜の間に導電性の軟磁性膜を介在させる第三の理由は、トラック幅方向の磁気シールドとしての役割を持たせるためである。即ち、軟磁性膜によって、媒体の目標トラックの脇に位置する磁極から磁気抵抗効果膜に侵入しようとする磁束を軟磁性膜が吸収し、その侵入を防ぎ、トラック幅方向のセンサの分解能を向上する働きを有する。即ち、隣接トラックからの読み滲みを防止する機能を奏する。
【0054】
付け加えると、介在する軟磁性膜が導電性である理由は電極から磁気抵抗効果膜へ電流を通じるための電流経路を確保するためである。
【0055】
また、実験の結果、介在させる軟磁性膜の量は自由強磁性層401の端部と永久磁石の端部を結ぶ距離が100nm(ナノメートル)以下にするのが望ましい。100nm以上にすると磁気抵抗効果膜の自由強磁性膜に対する磁区制御性が劣化し、再生時にバルクハウゼンノイズ等の再生波形の不安定性を生じるからである。これは図9に示す低感度領域6(50〜100nm)の寸法に対応するものである。また、図12において、MR膜40における矢印はMR高さHを示している。そして、軟磁性膜S3a,S3bのMR高さH方向の寸法は、MR高さ又はその高さH以上である。
【0056】
上記のような構造にすることによって、高感度で読みにじみのない再生ヘッドを実現することができる。図12にこのMRセンサのトラック幅方向の感度分布を示すが、隣接トラックの読みにじみが小さく、矩形状のトラック幅方向の感度分布を与えることによって高感度の再生ヘッドが実現できる。
【0057】
また、軟磁性膜は、永久磁石の下に(第1の強磁性膜側に)配置されると永久磁石の特性を著しく劣化させるので、永久磁石の下にならないよう配置する必要がある。なお、これらの要求を満足するための製造方法のプロセス技術については、後述する実施形態の製造方法において述べる。また、磁気抵抗効果膜と永久磁石膜の間に介在させる軟磁性膜としては、Ni,Fe,Coの少なくとも1種を含む金属材料を用いることができる。
【0058】
磁気抵抗効果膜構成としては、例えば、第1の磁気シールド膜(図12のS1)側から、
(1)下地層/100 PtMn/12 CoFe/8 Ru/20 CoFe/21 Cu/10 CoFe/30 NiFe/10 Cu/20Ta (数値の単位は(Å))のボトム型スピンバルブ、
(2)下地層/30 NiFe/10 CoFe/21 Cu/20 CoFe/8 Ru/12 CoFe/100 PtMn/20Ta(数値の単位は(Å))のトップ型スピンバルブ、
(3)下地層/100 PtMn/15 CoFe/8 Ru/20 CoFe/21 Cu/7 CoFe/17 NiFe/7 CoFe/21 Cu/20 CoFe/8Ru/15 CoFe/100 PtMn/20 Ta(数値の単位は(Å))のデュアル型スピンバルブ、等ここには代表的な構成を示している。
【0059】
これに限らず、膜厚や構成の異なる他のスピンバルブ膜全般に関しても本実施形態として採用することができる。下地層としてはTa、Ta/NiFe、NiFeCr、Ta/NiFeCr、Ta/NiFe/NiFeCrなどを用いることができる。
【0060】
そして、軟磁性膜S3aとS3bとしては、NiFe合金やNiFeCo合金を用いることができる。また、これらの合金に添加元素として、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Cu、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Bの中から選ばれる少なくとも一種以上の元素を加えた合金を用いることもできる。また、Coを主成分とする非晶質合金を用いることもできる。永久磁石膜としては、CoPt合金、CoCrPt合金や、これら合金膜の下地膜としてCrを用いたものを用いることができる。電極材料としては、例えば、TaW下地上のTa膜、Ta/Au/Ta積層膜等を用いることができる。
【0061】
次に、本発明の第5の実施形態に係る、磁気抵抗効果膜と永久磁石膜との間に介在する軟磁性膜を備えた磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法について、図13を参照しながら以下説明する。
【0062】
図12に示す強磁性膜S1上にギャップ膜(電気的絶縁性膜)G1を形成する。ギャップ膜G1上に磁気抵抗効果膜40を形成し、その上にフォトレジスト50を形成する(図13(a))。フォトレジストには、最終工程でのフォトレジスト除去を容易にするために、ステンシル形状のフォトレジストを用いることも可能である。次に、前記フォトレジスト50をマスクにしてイオンミリング54によってフォトレジスト直下以外の部分の磁気抵抗効果膜40を除去する(図13(b))。
【0063】
次に、図13(c)のように、斜め方向から軟磁性粒子520が入射しレジストの側壁にも付着するように軟磁性膜52を成膜する。具体的には、例えば、イオンビームスパッタを用い、入射粒子の方向を基板の法線方向から傾斜させ、かつ基板を自転させながら軟磁性膜52を成膜する。この際ポイントになるのは、軟磁性膜成膜後フォトレジストの側壁にも軟磁性膜が付着しており、次のプロセスでは、マスクの幅が図13(b)に比べて増大していることである。フォトレジストの側壁に効果的に軟磁性膜を付着するには、軟磁性膜粒子の入射方向と基板の法線のなす角度を20度以上にするのが効果的である。ここで、イオンビームスパッタ方式をもちいるのは、他の方法(スパッタ法など)に比べて基板面内で軟磁性膜粒子の入射方向の変動を小さく制御できるからである。
【0064】
次に、この幅の増大したマスクを用いて基板(ウエハ)の法線方向にできるだけ近い方向からイオンビームを入射してイオンミリング56を行い、該マスク直下以外の部分の軟磁性膜を除去する。除去後の状態を図13(d)に示すが、側壁に付着した軟磁性膜がマスク材として機能するために、磁気抵抗効果膜40の両脇に隣接して、軟磁性膜52が、フォトレジストに付着した軟磁性膜の厚さとほぼ同量だけ残存する。
【0065】
効果的に軟磁性膜を磁気抵抗効果膜の両脇に残すためには、イオンビームの方向は基板法線方向が最も望ましいが、現実にはビームの分散があるために基板面内のすべての位置で法線方向にするのは難しい。望ましくは、基板前面でイオンビームの方向を基板法線方向から5度以内にするのがよい。また、軟磁性膜の分量を調整するには、図13(c)の工程でフォトレジスト側壁に付着する磁性膜の厚さを、入射角度と成膜時間によって調整してやればよい。
【0066】
次に、図13(e)に示すように、永久磁石膜60と電極膜62を成膜し、引き続き、フォトレジストをリフトオフ70により除去する。このときの構造を図13(f)に示す。この後上部ギャップG2を形成し、さらに、上部磁気シールドS2を形成し、図12に示す構成が出来上がる。
【0067】
次に、本発明の第6の実施形態に係る、磁気抵抗効果膜と永久磁石膜との間に介在する軟磁性膜を備えた他の磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法について、図14を参照しながら以下説明する。上述した図13に示す第5の実施形態では図13の(b)及び(d)のプロセスで、ギャップ膜G1が2回のイオンミリングに曝される。ギャップ膜は非常に薄く形成されているために、2度のイオンにさらされると損傷が大きく、シールド(図12のS1)と磁気抵抗効果膜との絶縁を保てなくなる可能性が高く(図13の(b)(d)に示すようにG1が除去される)、再生ヘッドの製造歩留りを低下させることにつながる。
【0068】
そこで、第6の実施形態では、最初に磁気抵抗効果膜を除去する工程(図14(b))で、フォトレジスト50直下以外の部分の磁気抵抗効果膜を一部残す(図14(b)中の405で示す領域)。これによりこの工程でギャップ膜G1がイオンに曝されるのを回避する。ここで残ったフォトレジスト50直下以外の磁気抵抗効果膜405は、後の軟磁性膜を除去する工程(図14(d))において除去する。その他のプロセスについては、第5の実施形態と同様である。第6の実施形態のプロセスを採用することにより、ギャップ膜がイオンミリングに曝されるのは1回だけとなり、第5の実施形態の製造工程(プロセス)に比べて、ギャップG1の損傷を小さくすることができる。
【0069】
以上のような磁気抵抗効果型ヘッドは、外部磁界を検出するために広く適用できるものであるが、情報記録及び取り出しシステムのための読み出しヘッドとして特に有用なものであり、そこでは、情報は磁性媒体上の磁区の配列として記録されることとなっている。磁性媒体としては、どの様な種類のものでもよく、例えば、磁気テープ、一つ又は複数のハードディスク、あるいは一つ又は複数のフロッピー(登録商標)ディスク等がある。磁区は、通常、トラックに添って配置され、トラックの構成としては、円環状、渦巻き状、らせん状、又は不定長のものがある。
【0070】
代表的な情報記録及び取り出し装置の一例を図15に示す。電子計算機81は、ネットワーク、キーボード、スキャナー、又はこれら相当のものとの間に1つ又は複数のインターフェースをもつ入力装置82を介して、入力情報を受け取る。計算機は、一つ又は複数の入力装置への接続に加え、一つ又は複数の出力装置83に出力することが可能である。この出力装置としては、計算機とインターフェースを介して接続する、ネットワーク、プリンタ、表示装置、あるいはモデム等が考えられる。
【0071】
計算機81に関連する他の記録装置に加え、計算機は周辺機器である磁気記録再生装置84へ情報を書き込んだり、磁気記録再生装置84から情報を読み込んだりする。磁気記録再生装置は、制御装置85、ヘッド位置制御部89、モータ制御部90をその内部に含んでいる。制御装置85は情報信号を書き込みヘッド87に出力し、読み出しヘッド88から情報を入力し、更に、ヘッドからのフィードバック信号を受け取るためのデータの入出力部86を含む。
【0072】
また、ヘッド位置制御部89はヘッド位置制御信号を出力し、また、ヘッド位置検出信号を入力する。また、モーター制御部90は磁性媒体のヘッドに対する相対的な運動に関する、速度、停止、開始等の操作を制御し、本実施形態の場合、一つ又は複数のディスク型の磁性媒体83をシャフト82によって回転させるモータ91に、回転制御信号を出力する。各々独立した書き込みヘッド78と読み出しヘッド88とを有するトランスデューサーは、ディスク93とかすかに接触するか、僅かの間隙を保ってその上を浮上する様に、連結アーム94とボイスコイルモータ(VCM)95を用いて、通常、ディスクの半径方向に動く。本発明の実施形態は、図15の読み出しヘッド88の構造に関するものである。
【0073】
以上説明したように、本発明の特徴は、次のような構成、機能乃至作用を奏するものである。即ち、従来技術の永久磁石層隣接型で狭トラック化によって再生感度が著しく低下するのは、永久磁石層近傍の低感度領域の再生トラック幅に占める割合が顕著に増大するためである。このため、この低感度領域の割合を低減することが求められる。低感度領域の再生トラック幅に占める割合を低減するために、本発明では、永久磁石層で形成される磁区制御膜から印加される磁束量を適正化する構成を採用する。
【0074】
その第1の実施形態が、永久磁石層から出るGMRセンサ膜の磁区制御に有効でない余分な磁束を制御することである。永久磁石層から出た磁束は、GMRセンサ膜の磁区制御を行なうが、磁束の一部はシールドに行くものもある。ここで重要なことは、永久磁石の自由層への乗り上げ形状によって、自由層端部の磁区制御力を弱め、自由層端部から自由層中央部寄りの部分で磁区制御(永久磁石による磁界強度)を強めてしまうという現象をが生じることである(図3に示す磁界強度分布におけるこぶの部分)。つまり、乗り上げ量が多い場合は、分流された磁束分が磁区制御を強くし、それに伴いGMRセンサ膜の感度が低下することになる。また、この影響はトラック幅が狭い程顕著となる。そこで、上記分流された磁束分がGMRセンサ膜に影響を与えないように、余分な磁区制御磁束の帰還磁気回路を形成することである。
【0075】
更に、第2の実施形態として、永久磁石層上に直接積層された軟磁性膜に、永久磁石層から分流した磁束分を形成させ、この軟磁性膜に自由層を結合させて自由層の磁区制御を行うような磁気回路を形成する構成においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
また、第3の実施形態が、永久磁石層から出た磁束を有効にセンサ端部に導くための、軟磁性材料からなる磁束ガイド部をMRセンサ膜端部に隣接して設けることであり、この磁束ガイド部が永久磁石層からの磁束を集束させるレンズの役割を果たして、自由層におけるトラック幅方向の磁界強度分布が変動分の無い良好な特性を示すこととなる。
【0077】
また、第4の実施形態は、磁気抵抗効果膜の両側に導電性軟磁性膜を配置し、導線性軟磁性膜の磁気抵抗効果膜と反対側に永久磁石膜を隣接して配置し、磁気抵抗効果膜と永久磁石膜との距離が100nm以下の有限値となるように導電性軟磁性膜を形成するものである。
【0078】
また、第5と第6の実施形態は、第4の実施形態が奏する機能乃至特性を満たすような再生ヘッド構造の製造方法を示すものである。
【0079】
【発明の効果】
トラック端部の磁区制御に寄与しない不要な磁束を制御することによって、トラック端部での磁区制御性を向上させ、再生トラック領域の低感度領域を小さくし、再生感度の高いGMRヘッドを得ることができる。
【0080】
また、磁気抵抗効果膜と永久磁石膜の間に軟磁性膜を設けることにより、隣接トラックからの読みにじみを防ぎ、再生トラック領域における高い再生感度を有し、特性ばらつきの少ない再生ヘッドを得ることができる。また、開示するプロセスによって該再生ヘッドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】書き込みヘッド部及びMR読み出しヘッドを有する典型的な磁気ヘッド構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る磁気抵抗効果型ヘッドの浮上面から見た斜視図と感度分布を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る磁気抵抗効果型ヘッドの断面形状とトラック幅方向の磁界強度分布を示す図である。
【図4】磁区制御膜(例.永久磁石層)とGMRセンサ膜との結合関係を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る磁気抵抗効果型ヘッドの浮上面から見た斜視図と感度分布を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る磁気抵抗効果型ヘッドの断面形状とトラック幅方向の磁界強度分布を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る磁気抵抗効果型ヘッドに関する機能乃至作用を説明する図である。
【図8】本発明の第1、第2及び第3の実施形態に係る磁気抵抗効果型ヘッドについての定性的な概略構成を示す図である。
【図9】従来技術に係る永久磁石層隣接型再生ヘッドの浮上面から見た斜視図と感度分布を示す図である。
【図10】従来技術における再生出力のトラック幅依存性を示すグラフである。
【図11】従来技術に係る磁気抵抗効果型ヘッドの浮上面から見た斜視図と感度分布を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る磁気抵抗効果型ヘッドの浮上面から見た斜視図と感度分布を示す図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る磁気抵抗効果型ヘッドに関する製造工程を示す図である。
【図14】本発明の第6の実施形態に係る磁気抵抗効果型ヘッドに関する製造工程を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果型ヘッドを使用した磁気記録装置を示す図である。
【符号の説明】
S1 第1の磁気シールド(強磁性膜)
S2 第2の磁気シールド(強磁性膜)
S3 第3の磁気シールド
G1 第1のギャップ層(絶縁膜)
G2 第2のギャップ層(絶縁膜)
1 GMRセンサ膜
2 永久磁石層
3 軟磁性膜
4 電極膜
5 スペーサ膜
6 低感度領域
7 永久磁石によって自由層磁化回転が抑圧された領域
8 自由層
9 スライダ
40 磁気抵抗効果膜
401 自由強磁性膜
405 一部残存した磁気抵抗効果膜
42a,42b 永久磁石層
44a,44b 電極膜
S3a,S3b 軟磁性膜
50 フォトレジスト
52 軟磁性膜
520 軟磁性膜粒子
54,56 イオンミリング
60 永久磁石膜
61 永久磁石膜粒子
62 電極膜
63 電極膜粒子
70 レジストリフトオフ
81 電子計算機
82 入力装置
83 出力装置
84 磁気記録再生装置
85 制御装置
86 データ入出力部
87 書き込みヘッド
88 読み出しヘッド
89 位置制御部
90 モータ制御部
93 磁性媒体
95 VCM

Claims (8)

  1. 基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
    前記第1の絶縁膜上に磁気抵抗効果膜を形成する工程と、
    前記フォトレジストをマスクにして前記磁気抵抗効果膜の一部をイオンミリングによって除去する工程と、
    前記磁気抵抗効果膜の一部を除去した後に、軟磁性膜を成膜する工程と、
    前記軟磁性膜を成膜した後に、前記フォトレジスト側面に付着した前記軟磁性膜をマスクにして前記軟磁性膜の一部をイオンミリングによって除去する工程と、
    前記軟磁性膜の一部を除去した後に永久磁石膜及び電極膜を付着する工程と、
    前記永久磁石膜及び電極膜を付着した後に前記フォトレジストを除去する工程と、を有する
    ことを特徴とする磁性抵抗効果型ヘッドの製造方法。
  2. 請求項1に記載の磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法において、
    前記磁気抵抗効果膜の一部をイオンミリングによって除去する工程で、前記第1の絶縁膜がイオンミリングに曝されないように、フォトレジスト直下以外の領域においても前記磁気抵抗効果膜を一部残留させ、
    その後の前記軟磁性膜の一部をイオンミリングで除去する工程で、前記フォトレジスト直下以外に前記一部残留する磁気抵抗効果膜を除去する
    ことを特徴とする磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法において、
    前記軟磁性膜を成膜する工程で、軟磁性膜粒子が前記基板の法線方向から20度以上傾いた方向から入射することを特徴とする磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法において、
    前記軟磁性膜を成膜する工程でイオンビームスパッタ法を用いることを特徴とする磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法において、
    前記軟磁性膜の一部を除去する工程で、イオンビームの入射方向を前記基板の法線方向から5度以下にすることを特徴とする磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれからに記載の磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法において、
    前記磁気抵抗効果膜と前記永久磁石膜との間に設けられた前記軟磁性膜は、前記永久磁石膜からの磁束を前記軟磁性膜で収束させることにより前記磁気抵抗効果膜の磁区制御を行うとともに、トラック幅方向の磁気シールドとして働くことを特徴とする磁気抵抗型ヘッドの製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法において、
    前記軟磁性膜は、導電性の材料で形成されることを特徴とする磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法において、
    前記軟磁性膜が、NiとFe合金、又はCoとFe合金、又はCoとNiとFe合金、又はこれらの合金にTi,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W,Cu,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt,Auのうちの少なくむとも1種を添加した合金、であることを特徴とする磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法。
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