JP3853301B2 - 画像形成装置のシート搬送用摺接ガイド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンター等の画像形成装置内で画像形成され搬送されるシートを案内する画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機やレーザプリンタ等の電子写真プロセスを利用した画像形成装置は、電子写真プロセスにより感光体上に形成した像を転写紙にトナー像として転写し、この像を転写紙上に定着装置で定着した後、機外に排出する。
【0003】
前記定着装置は、ヒータを内蔵する定着ローラと、これに圧接する加圧ローラとからなり、そのニップ部に定着トナー像を担持する転写紙を通紙し、加熱と押圧によってトナーを転写紙に溶融し定着させ、その後に転写紙を排紙コロおよび排紙ローラ等により機外に排出する。
【0004】
図1は、加熱ローラを有する定着装置の概略構成例を示している。この定着装置Aは、ヒータ1を内蔵する定着ローラ2に転写紙経路を挟んで従動回転する加圧ローラ3を設けたものである。図外の転写部より搬送ベルト4により搬送されてきた未定着のトナー像14を担持する転写紙などのシート5は、定着入口ガイド6に案内されて定着ローラ2と加圧ローラ3とのニップ部に挿入され、対のローラ2、3に挟圧された際、トナー像が定着されて送り出される。定着後のシート5は、定着ローラ2のニップ部の下側に接する分離爪7の爪先によって定着ローラ2から剥離される。
【0005】
定着ローラから剥離された用紙は、排紙ガイド10、11に摺動案内されて搬送経路を通った後、回転駆動されている排紙ローラ9と従動回転する排紙コロ8の間を通り、さらに排紙ガイド12、13で案内されて機外に排出される。
【0006】
このようなシート搬送用摺接ガイドには、排紙ローラと同様に耐熱性や難燃性が求められ、さらにシートを円滑に通過させる摺動特性も必要であるから、ポリフェニレンスルフィド(PPS)やポリアセタール(POM)等の材料が用いられていた。
【0007】
ところで、複写機、ファクシミリ(Fax)、レーザービームプリンター(LBP)等の画像形成装置においては、処理時間短縮の要求が高まり、そのために印刷機能を高速化し、定着温度を上昇(250℃付近)させることが必要になった。例えば、このように高速化された機器の定着周囲部分の通常の使用雰囲気温度は、25〜150℃であり、瞬間的には50〜250℃に達する場合もある。
【0008】
さらに画像形成装置本体のコンパクト化も重要な技術的課題であるため、高温の定着部とシート搬送用摺接ガイドとの距離は短くなる傾向がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の処理時間の短縮化と装置の小型化の要求を満たすため、シート搬送用摺接ガイドに、トナーによる汚れ、熱による変形や安全性の確保、摺接面の摩耗という従来の画像形成装置では発生することがなかった新たな問題が生じた。
【0010】
前記トナーによる摺接ガイドの汚れは、画像の汚れや不鮮明といった画像状態の悪化に直接影響することが多い。
【0011】
そこで、この発明の課題は上記した問題点を解決し、画像形成装置の処理速度の高速化や装置本体の小型化といった技術的要求に対応できるように、耐熱性、難燃性、耐摩耗性およびトナーの非付着性に優れた画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明では、画像形成後に装置内で搬送されるシートに摺接し、このシートを案内する摺接ガイドにおいて、この摺接ガイドをフルオロカーボン系樹脂を主成分とする樹脂組成物で形成したのである。
【0013】
または、前記フルオロカーボン系樹脂を主成分とする樹脂組成物が、フルオロカーボン系樹脂を主成分とし繊維状補強材を添加した樹脂組成物である画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドとしたのである。
【0014】
または、画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドをフルオロカーボン系樹脂で射出成形により作製したのである。
【0015】
画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドをフルオロカーボン系樹脂で形成すると、トナーが付着しない鮮明な画像を得ることができる画像形成装置になり、そのシート搬送用摺接ガイドは耐熱性、難燃性をも兼ね備えている。
【0016】
また、フルオロカーボン系樹脂に繊維状補強材を添加した樹脂組成物からなるシート搬送用摺接ガイドは、耐摩耗性に優れ、熱変形も小さいので、処理速度がより高速化された画像形成装置にも使用可能なシート搬送用摺接ガイドになる。
【0017】
【発明の実施の形態】
シート搬送用摺接ガイドを、以下のようにしてフルオロカーボン系樹脂で形成した。
フルオロカーボン系樹脂としては、成形性の点で溶融フルオロカーボン系樹脂が好ましく、射出成形可能なフルオロカーボン系樹脂がより好ましい。その中でもPFA、FEPおよびETFEが特に好ましい。
【0018】
フルオロカーボン系樹脂の代表例として、下記に列挙したような樹脂が挙げられる。なお、〔 〕内には、▲1▼熱変形温度(4.6kgf/cm2 の曲げ応力下、JIS K 7207)、▲2▼融点、▲3▼熱分解温度、▲4▼溶融粘度、▲5▼数平均分子量、▲6▼硬度(ASTM D2240、JIS K 7215)、▲7▼限界酸素指数(ASTM D2863)、▲8▼燃焼性のUL94規格をこの順に示し、数値は全て代表値である。
【0019】
(1)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、〔▲1▼121℃、▲2▼327℃、▲3▼約508〜538℃、▲4▼1011〜1012ポイズ〈340〜380℃〉、▲5▼約106〜107、▲6▼D50〜D65、▲7▼95容量%以上、▲8▼V−0相当〕
(2)テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、〔▲1▼74℃、▲2▼300〜310℃、▲3▼464℃以上、▲4▼104〜105ポイズ〈380℃〉、▲5▼(2〜3)×105、▲6▼D60〜D64、▲7▼95容量%以上、▲8▼V−0相当〕
(3)テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、〔▲1▼72℃、▲2▼250〜282℃、▲3▼419℃以上、▲4▼4×104〜105ポイズ〈380℃〉、▲5▼(3〜5)×105、▲6▼D60〜D65、▲7▼95容量%以上、▲8▼V−0相当〕
(4)テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、〔▲1▼89〜104℃、▲2▼260〜270℃、▲3▼347℃以上、▲4▼104〜105 ポイズ〈300℃〉、▲5▼1×105 、▲6▼D75、▲7▼30容量%、▲8▼V−0相当〕
(5)ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、〔▲1▼126℃、▲2▼210〜212℃、▲3▼347〜418℃、▲4▼107ポイズ〈230℃〉、▲5▼(1〜5)×105、▲6▼D90、▲7▼95容量%以上、▲8▼V−0相当〕
(6)クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、〔▲1▼116℃、▲2▼245℃、▲3▼330℃以上、▲4▼2×103〜105ポイズ〈260〜315℃〉、▲5▼(1〜5)×105、▲6▼D55〜D75、▲7▼60容量%、▲8▼V−0相当〕
(7)ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、〔▲1▼149℃、▲2▼156〜170℃、▲3▼400〜475℃、▲4▼2×103〜105ポイズ〈210〜270℃〉、▲5▼(3〜8)×105、▲6▼D70〜D80、▲7▼44容量%、▲8▼V−0相当〕
(8)ポリビニルフルオライド(PVF)、〔▲2▼195〜205℃、▲3▼372〜480℃、▲5▼(2〜5)×105、▲7▼23容量%、▲8▼V−0相当〕
(9)テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE)〔▲3▼440℃以上〕。
【0020】
また、フルオロカーボン系樹脂は、単独重合体ばかりでなく、上記したフルオロカーボン樹脂のモノマーの例えば約1:10から10:1の重合量で2種類以上の共重合体や、3元共重合体などのフッ素化ポリオレフィンなどであってもよく、また二種類以上の混合物であってもよく、これらはいずれも固体潤滑剤としての特性を示すものである。これらのなかでもPTFEは、耐熱性、耐薬品性、非粘着性、低摩擦係数などの諸特性に優れており特に好ましいものである。
【0021】
これらのフルオロカーボン系樹脂群は微分熱分解開始温度が比較的高いので好ましい。例えば、PTFE、PVDFの分解点は、それぞれ約490℃、約350℃であり、これらの微分熱分解開始温度は、それぞれ約555℃、約460℃をも示す。
【0022】
また、フルオロカーボン系樹脂のなかでもテトラフルオロエチレン系フルオロカーボン樹脂があり、これは上記のPTFE以外に以下のものが例示できる。
【0023】
・テトラフルオロエチレン−パーフルオロ〔アルキル(メチル,エチル,プロピル,ブチル)〕ビニルエーテル共重合体(PFA)
・テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)
・テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロ〔オレフィン(アルキル,プロピル)〕ビニルエーテル三元共重合体(EPE)
・エチレン−テトラフルオロエチレン〔交互〕共重合体(ETFE)(ETFEには、これに第3成分が含まれているものでもよい。交互性は90〜100%のものが安定した物性となって好ましい。)
【0024】
テトラフルオロエチレン系フルオロカーボン樹脂は、骨格に(−CF2−CF2−)(テトラフルオロカーボン)を分子構造中に有するため、C−F間の強固な結合により、耐熱性、低摩擦係数に優れる。これらの中でも、PTFE、PFA、FEP等のパーフルオロ系テトラフルオロカーボン樹脂は、骨格である炭素原子の周囲を全てフッ素原子、または微量の酸素原子を介して取り囲まれ、C−F間の強固な結合と、炭素骨格の周囲がフッ素で守られるので、耐熱性、低摩擦係数、潤滑性により優れており、また非粘着性、耐薬品性等の諸特性にも優れるので、溶融したトナーやホコリ、チリ等が表面に付着し難くなり、異物の付着による摺動面の摩耗が少なくなることが期待でき、また耐熱性にも優れたシート搬送用摺接ガイドとなる。
【0025】
また、耐熱性の評価基準として、例えば熱変形温度(JIS K 7207)について説明すると、熱変形温度(JIS K 7207、4.6kgf/cm2の曲げ応力)で50℃以上、好ましくは70〜250℃のフルオロカーボン系樹脂組成物であれば、熱による変形量が少ないので好ましい。なお、本願の発明におけるシート搬送用摺接ガイドのような使用条件では負荷が小さいので、4.6kgf/cm2の曲げ応力条件で判断することは適当である。
【0026】
フルオロカーボン系樹脂は、耐熱性に優れることからみてもこの発明に用いることは好ましく、その結晶融点の上限値はフッ素と炭素との結合エネルギーや、主鎖の炭素間同士の結合エネルギーの点からみて、最も高いものでも400℃以下と考えられる。因みに、結晶融点は250℃以上の熱特性を示す物性である。
【0027】
また、フルオロカーボン系樹脂は、その熱分解温度が300℃以上であるものが好ましく、より好ましくは400〜550℃の熱分解温度のものである。ここでいう熱分解温度は、重量分析等で測定できる温度であり、詳しくは熱分析(DSC、示差走査熱量測定、DTA、TDAなど)により、熱天秤法のような熱天秤減量曲線(TG)と、示差熱分析曲線(DTA)で求めることができる。例えば15mgの試料片を昇温速度10℃/分で空気中または窒素ガス中で加熱し、試料片に5%の重量減少が生じる温度、もしくは5mgの重量減が生じた温度、または各温度別の重量減少%を調べ、これから50重量%に対応する温度を求めて、これを熱分解による50重量%減量温度として求めることができ、また微分熱分解開始温度として評価される。
【0028】
また、JIS K 7210の測定法により、剪断速度が102〜104(sec-1)の時に溶融粘度が103〜105ポイズとなるフルオロカーボン系樹脂は、射出成形性に優れているので好ましい。このような射出成形性の点でより好ましいフルオロカーボン系樹脂の溶融粘度は104〜105ポイズである。
【0029】
因みに、PFA、FEPの溶融粘度は、380℃でそれぞれ104〜105ポイズ、4×104〜105ポイズであり、ETFEは300℃で104〜105ポイズであり、またPTFEでは340〜380℃で1011〜1012ポイズであり、このような高温下でも103〜1012ポイズ程度の粘度特性を有するフルオロカーボン系樹脂であるものは、高粘度特性を有するので、耐熱性が優れており好ましい。
【0030】
しかし、280〜380℃での溶融粘度が107ポイズを越えると、後述の造粒時や射出成形時に溶融成形機などのシリンダーにかかる負荷が大きく、安定した造粒性と射出成形性および寸法精度が期待できなくなり、また耐熱性、成形性および量産性を考慮すると、フルオロカーボン系樹脂の280〜380℃での溶融粘度は、103〜106ポイズであることが好ましい。
【0031】
前記したPFAは、パーフルオロアルコキシ側鎖を有する鎖状フッ素樹脂であって、単独重合体であるPTFEとパーフルオロアルコキシ基を含有する単量体との変性物や、PTFEと上記側鎖を与えるコモノマーとを必須成分とする共重合体である。
【0032】
このようなPFA、FEP、ETFEの溶融粘度は、ASTM D3307の評価方法によりPFAやFEPの場合は370〜380℃であり、詳しくは372±1℃における比溶融粘度で評価され、またETFEの場合は290〜300℃における比溶融粘度で評価され、これら射出成形可能なフルオロカーボン樹脂の比溶融粘度は、1×103〜1×106ポイズである。また、これらのメルトフローインデックス(メルトフローレート)は1〜36g/10分であるが、好ましくは1〜18g/10分であり、射出成形性と耐熱性の両立性からみて3〜18g/10分(ASTM D3307)のものがより好ましい。
【0033】
なお、PFAが有するアルキル基の炭素数は、1〜10または1〜4程度であり、アルキル基はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等であってよい。樹脂を構成する一種類以上のアルキル基部分の樹脂中の割合は、0.1〜10重量%、好ましくは1〜8重量%、より好ましくは3〜6重量%の割合である。FEPのヘキサフルオロプロピレン部分が8〜16重量%、好ましくは8〜10重量%の割合である。このような割合であればPFA、FEPとも最適な溶融粘度となり、成形性に優れると共に耐熱性に優れたシート搬送用摺接ガイドになる。耐熱性、非粘着性、溶融粘度等の諸種の特性を総合的に勘案すると、PFAが有するアルキル基の部分は、主にプロピル基であるものが好ましい。
【0034】
一方、ETFE、PCTFE、PVDFなどの水素含有系フルオロカーボン樹脂は、PTFE、PFA、FEPなどの比較的可撓性のある樹脂群と比較すると機械的強度が大きく耐摩耗性等に優れるので好ましい。なかでもETFEは、ガラス転移点が約100℃以上という耐熱性があると共に耐衝撃性が良好であり、例えば室温でのノッチ付きアイゾット衝撃試験においても破断しないため、成形体の不用意なクラック発生等が発生しないと考えられる。このようなETFEの特性により、熱変形温度、曲げ弾性率および耐摩耗性を向上させるために繊維状補強材を混入した樹脂成形体について、このものの衝撃強度が低下するという繊維状補強材添加による弊害を補うことができる。
【0035】
ETFEにおけるテトラフルオロエチレン部分とエチレン部分の組成比率は、70:30から30:70の範囲であればよく、好ましくは40:60から60:40の範囲であればよい。ETFEの結晶融点は、テトラフルオロエチレンの含有量が約50モル%付近で極大になるので、前記比率が45:55から55:45の範囲のものが耐熱性の点でより好ましいものと考えられる。なお、このような重合体に対して少量の第3成分が含有されているものであってもよい。
【0036】
ところで、前述したPTFEを粉末状にしてPTFE以外の例えばETFEのような水素含有のフルオロカーボン系樹脂に添加する場合は、粒径が70μm以下のPTFE粉末やPFA粉末などのパーフルオロ系でテトラフルオロカーボン系の樹脂粉末が組成の均一化のために好ましく、好ましい粒径は1〜50μmより好ましくは3〜30μmである。シート搬送用摺接ガイドの機械的特性値を重視する場合には、繊維状のPTFE粉末(バージン材のPTFE粉末)を用いればよい。
【0037】
この発明ではバージン材のPTFEに代えて、再生PTFEを使用してより好ましい結果が得られる。再生PTFE粉末は、バージン材を一度焼成した後、粉砕して得られる粉末であり、繊維状になり難い性質を有し、バージン材のPTFE粉末を樹脂組成物に添加した場合のように樹脂組成物の溶融粘度を著しく上昇させることがなく、射出成形性を阻害しないものである。また、再生PTFE粉末は、一度焼成されているので、これを混合した樹脂成形品の寸法変化、形状変化またはクラックの発生も起こさずに安定した成形品が得られる添加剤である。再生PTFE粉末の市販品としては、例えば喜多村社製:KT300M、KT300H、KT400M、KT400H、KTL610などがある。
【0038】
また、再生PTFEに代えまたはこれと併用してPTFEにγ線照射処理をして低分子量化したPTFE粉末を用いることができる。γ線処理した市販の潤滑剤用PTFEとしては、喜多村社製のKTL610などを例示できる。
【0039】
主成分のフルオロカーボン系樹脂に対して、PTFE粉末、再生PTFE粉末、PFA粉末、FEP粉末のようなパーフルオロ系テトラフルオロエチレンを添加し、非粘着性を向上させ摺動相手材の損傷を回避する場合の配合割合は、全組成物中のパーフルオロ系テトラフルオロエチレンの割合が1〜25重量%であり、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。このような所定範囲未満ではシート搬送用摺接ガイドの摺動特性が改善されず、また所定範囲を越えて配合すると、成形性が悪くなるという弊害が起こるからである。
【0040】
フルオロカーボン系樹脂の数平均分子量(Mn)は、1×104〜1×108が好ましい。なぜなら、数平均分子量が所定範囲より小さいものは、耐摩耗性がなく、所定範囲を越えて大きいものは、射出成形が困難になり効率良く成形し難くなるからである。このような傾向からより好ましい数平均分子量(Mn)は、1×105〜1×107であり、射出成形性を重視すると1×105〜1×106である。
【0041】
また、シート搬送用摺接ガイドまたはその射出成形金型のシート搬送用摺接ガイドのキャビティ部において、シート搬送用摺接ガイドとシートが摩擦する摺動部分は、シートを円滑に接触通過させるため、または射出成形金型からのシート搬送用摺接ガイドの離型性を離型性を良くするために、表面形状や表面粗さは小さいほうがよい。
【0042】
このような表面形状、粗さおよび形状粗さは例えば、最大粗さ(Rmax)、算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)等のJISで定義された評価法にって測定されるが、その値は例えば算術平均粗さ(Ra)の評価法にて25μm以下であり、10μm以下が好ましく、3.2μm以下がより好ましい。なぜなら表面粗さが前記値を越えると、摺動面に傷が多く付くようになり、これは摩耗の原因となると考えられる。また、射出成形金型からシート搬送用摺接ガイドの型離れ性が劣ることにもなり、製造工程が非効率的で歩留りも低下する。
【0043】
表面形状、粗さの下限値は、射出成形用金型のキャビティ面や支持軸、また、シート搬送用摺接ガイドの精密切削加工時等の効率性も考慮して、0.1μm以上、または加工性を考慮すると1μm以上であればよい。なお、射出金型や支持軸表面の仕上げ加工などの工程に長時間を要するので、効率的でないことや樹脂材の転移膜の形成に影響される可能性もあるため、摩耗に影響されないような仕様や条件であれば、前記各々の表面形状・粗さは2〜8μm程度の範囲としても良いとも考えられる。表面粗さが小さいと水滴の接触角がより大きくなり、非粘着性を向上できると考えられる。
【0044】
また、シート搬送用摺接ガイドの硬度は、たとえばショア硬さ(ASTM D2240、〈JIS K 7215〉、デュロメータ硬度計)にてD40〜D90、好ましくはD50〜D80の硬度であることが好ましい。硬度が低すぎると摺接ガイドの相手部材と接触する部分や、またOHP用転写部材、転写紙等の接触や摺動により、転写紙が接触する部分の摩耗原因にもなると考えられ、高すぎると摺接ガイドの相手部材と接触する部分や、またPPC用紙を始めOHP用転写部材等への損傷性を抑え難くなると考えられる。
【0045】
このような硬度にするには、必要に応じて有機系充填剤、無機系充填剤などの各種充填剤(りん片状、球状などの粒状や、繊維状などの各種形状)を1〜50重量%を混合すればよい。なお、ウィスカなどの各種繊維状充填剤については後に詳述する。
【0046】
画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドを形成する樹脂成形体の表面は、付着する水滴の接触角を測定することにより、表面の非粘着性を判断することができる。例えば水滴の接触角は、80°以上であれば、この発明において充分な非粘着性を有する樹脂成形体であるとみなされ、より好ましい接触角は90°以上である。
【0047】
因みに、接触角の測定方法は、例えばエルマ光学社製のゴニオメータ式接触角試験機を用い、常温、常圧で0.01〜0.1ミリリットルの液滴、好ましくは0.05ミリリットルの水滴を試験片の表面に滴下し、滴下直後から1分間(30秒後および1分後)の接触角を測定する方法が代表的であるが、このような測定方法に限らず、他の測定方法であってもよいのは勿論である。
【0048】
この発明で使用される繊維状補強材は、繊維径0.05〜8μm、繊維長1〜100μmのものが好ましく、特に繊維径0.1〜3μm、繊維長1〜40μmのものが好ましい。なぜなら、繊維径および繊維長が前記所定範囲より小さければフルオロカーボン系樹脂の耐摩耗性を改善することができず、補強効果がなく、前記所定範囲を越えると、前記した表面粗さが所要範囲を越えて大きくなり、角形の端部を精密に形成できなくなるからである。
【0049】
繊維状補強材具体例としては、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、ホウ酸マグネシウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、酸化チタンウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ、硫酸アルミニウムウィスカ、硫酸カルシウムウィスカ、硫酸マグネシウムウィスカ、ケイ酸カルシウムウィスカ、ウォラストナイトウィスカ、窒化ケイ素ウィスカ、炭化ケイ素ウィスカ、アルミナウィスカなど各種のセラミックスウィスカ、酸化ケイ素を主成分とするウィスカ各種の鉱物ウィスカ、火成岩を溶融し加工精製した鉱物ウィスカ、炭素繊維、ガラス繊維、グラファイト繊維が挙げられる。
【0050】
チタン酸カリウムウィスカは、例えばK2 O・6TiO2、K2O・6TiO2・1/2H2Oや、K2Ti2O5、K2Ti4O9、K2Ti6O13、K2Ti8O17などのように、一般式K2O・nTiO2(nは1以上の整数または2以上の偶数)で表わされるチタン酸カリウムウィスカが挙げられる。これらは真比重が3.0〜3.6であり、種類によっては3.2〜3.3であり、融点1300〜1400℃であり、フラックス法やメルト法などによって製造される。
【0051】
フラックス法は、1150℃で原料(TiO2 とK2 CO3 )とフラックスの混合物を溶融し、それを徐冷してK2 Ti4 O9 ウィスカ(1次化合物)を合成する。そして、このウィスカを希酸水溶液または沸騰水で処理して層間のKの一部を抽出して組成変性し、それを1000℃で熱処理してトンネル構造を有するK2 Ti6 O13ウィスカを2次化合物として合成する。ウィスカサイズは、直径が0.1〜0.5μm、長さが1〜50μm程度のものが多く、市販品としては大塚化学社製ティスモN、ティスモL、テイスモD等が挙げられる。
【0052】
メルト法は、原料をK2Ti2O5に相当化学量論組成比に混合し、1100℃で溶融し、その融体を急冷固化して針状のK2Ti2O5を1次化合物として合成する。次にこのウィスカをK2Ti4O9と同様に組成・構造変換プロセスで処理し、2次化合物としてK2Ti6O13ウィスカを合成する。ウィスカサイズは、フラックス法よりは太いのが特徴であり、直径が10〜30μm、長さが80〜500μm程度のもの、または直径が0.5〜2.0μm、長さが10〜50μm程度のものが多く、市販品としてクボタ社製ティーザクスA、ティーザクスB等が挙げられる。
【0053】
ホウ酸アルミニウムウィスカについては、これにS(イオウ)を添加して白色化したものであってもよいが、化学式9Al2O3・2B2O3または2Al2O3・B2O3で表わされる白色針状結晶であり、平均繊維径0.05〜5μm、平均繊維長1〜100μmのものである。
【0054】
9Al2O3・2B2O3で表わされるホウ酸アルミニウムウィスカは、真比重2.93〜2.95、融点1400〜1500℃であり、アルミニウム水酸化物およびアルミニウム無機塩の少なくとも一種と、ホウ素の酸化物、酸素酸およびアルカリ金属塩の少なくとも一種をアルカリ金属の硫酸塩、塩化物および炭酸塩の少なくとも一種からなる溶融剤の存在下900〜1200℃に加熱して、反応、育成させることによって製造する。
【0055】
一方、2Al2O3・B2O3で表わされるホウ酸アルミニウムウィスカは、真比重2.92〜2.94、融点1000〜1100℃で、9Al2O3・B2O3を製造するのと同じ成分、溶融剤を用いて600〜1000℃に加熱して反応、育成することによって製造できる。
【0056】
これらのホウ酸アルミニウムウィスカをはじめ各種ウィスカの補強効果をさらに向上させるためには、カップリング剤による表面処理をおこなってもよく、その場合のカップリング剤としては、シラン系、シリコン系、チタン系、アルミニウム系、ジルコニウム系、ジルコアルミニウム系、クロム系、ボロン系、リン系、エポキシ系、アミノ酸系、変性シリコーンオイル系などである。
【0057】
好ましいホウ酸アルミニウムウィスカの市販品としては、四国化成工業社製:アルボレックスY、アルボレックスGなどがあり、その平均繊維径は、0.5〜1μm、平均繊維長は1〜30μmである。
【0058】
また、上記以外のウィスカとしては、Pb、Cdなどの不純物を含んで黄色や灰色のテトラポット状、またはこれらが折れて円錐状、テーパ状になった酸化亜鉛ウィスカ(ZnO)、ルチル型白色針状結晶体のような一般式TiO2で示される酸化チタンウィスカなどもこの発明に使用できる。
【0059】
因みに、一般的なウィスカ類の平均径は、0.01〜10μmであり、この発明では前述のように平均径0.05〜8μmのものが好ましい。さらに、一般的なウィスカ類の平均長さは1μm以上であり、平均的には1〜300μmであり、50〜60mmに達するものもある(アスペクト比は1〜200)。この発明では、前記した理由によって、繊維長1〜100μmのものが好ましい。
【0060】
そして、上述したウィスカ類をこの発明の繊維状補強材として採用すると、射出成形、および必要に応じて切削成形を行なうことにより、寸法精度がよく、かつ補強され、しかもバリなどの少ないシート搬送用摺接ガイドが得られる。
【0061】
また、この発明に用いるウィスカ等の繊維状補強材について、シート搬送用摺接ガイドが摺接する相手部材への損傷を考慮すると、モース硬度で1〜10のものが好ましく、より好ましくは3〜9である。モース硬度が低すぎると補強性を期待できず、高すぎると相手摺動部材の損傷性を抑え難いと考えられる。
【0062】
なお、モース硬度は、新モース硬度、旧モース硬度のいずれの評価試験基準を採用してもよいが、本願で説明するモース硬度については、旧モース硬度を基準にして評価する。この場合、例えばモース硬度5を1つの臨界点とし、モース硬度5未満のものを硬度の低いものとし、モース硬度5以上のものを硬度の高いものとして評価することもできる。
【0063】
このような硬度を有するウィスカとしては、チタン酸カリウムウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ、ウォラストナイトウィスカ、硫酸マグネシウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカなどがあるが、繊維形状や機械的強度の点でチタン酸カリウムウィスカやホウ酸アルミニウムウィスカが特に好ましい。
【0064】
なお、樹脂組成物中のチタン酸カリウムウィスカやホウ酸アルミニウムウィスカ等のウィスカは、ペレットの造粒時または成形時に折れて、その平均繊維長さが10μm未満になり、種類によっては1〜5μmになると考えられる。このような寸法のウィスカは、射出成形時の流動性を阻害することなくシート搬送用摺接ガイドの表面は非常に滑らかになり、非粘着性が向上し、シート搬送用摺接ガイドの成形品の角部にバリが少なくなる。
【0065】
以上述べたような繊維状補強材の樹脂組成物中の配合割合は、フルオロカーボン系樹脂65〜100重量%、繊維状補強材0〜35重量%、好ましくは2〜25重量%である。繊維状補強材が35重量%を越える多量では、フルオロカーボン系樹脂のトナー等に対する非粘着性が損なわれて好ましくないからである。
【0066】
前述のフルオロカーボン系樹脂の物性値で示した燃焼性についてのUL規格について、以下に説明する。
UL94に規定される燃焼性試験法は、水平燃焼性試験94HBと、垂直燃焼性試験94Vの2つの試験方法があり、一般に難燃性材料には94Vの評価方法が適用され、UL94V−0(以下V−0と略記する。)は最も厳しい認定規格である。
【0067】
ここで、難燃性に関する特性として、前述のフルオロカーボン系樹脂の物性値で示した限界酸素指数(ASTM D 2863、JIS K 7201)について以下に説明する。
例えば、PTFE、PFA、FEP、PCTFEは、限界酸素指数が95容量%以上であり、不燃性である。ETFEは、限界酸素指数が30容量%であり、PFAやFEP等より自消性に劣るが、限界酸素指数が27容量%以上、100容量%以下のものであれば自消性を有するので、燃焼性に関する仕様や条件に応じて使用することもできる。しかし、燃焼性に対する安全性を重視するならば、限界酸素指数は少なくとも50容量%以上、好ましくは80〜100容量%のものが好ましい。
【0068】
画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドの形状は、図2に示すように、円弧状の縁を有する長方形板の他、球、楕円球、円柱、円板、楕円板などシートの平面を案内するために円曲面を有するか、またはシートの縁を案内するために段または溝が形成されているものなどであってもよい。
【0069】
また、図2示した摺接ガイドは、シートとの摺接面(円弧面)の表層のみをフルオロカーボン樹脂を主要成分とする樹脂組成物で形成し、他の部分を他の樹脂や金属などで複合成形したものを示した。しかしながら、摺接ガイドは、シートとの摺接面を含めてフルオロカーボン樹脂を主要成分とする樹脂組成物で一体に成形してもよいのは勿論であり、複数個を並べたような形状に一体成形したものであってもよい。なお、図2中の番号15は、画像形成装置への取付け穴であり、これにより必要に応じて揺動自在に取付けたり、または揺動しないように固定して取付けてもよい。
【0070】
このような摺接ガイドの体積は、30000mm3 以下のものが好ましい。所定体積を越える成形体は、「ひけ」が大きくなり、寸法精度を維持し難くなるからである。また、所定体積未満の小型では成形し難いので、より好ましくは10〜10000mm3、さらに好ましくは50〜5000mm3である。
【0071】
なお、この発明における画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドは、外部から与えられた電気信号によって記録パターンを感光体等の媒体上に形成し、この媒体上に形成された電気量のパターンを可視的なパターンに変換する種々の方式を採用したプリンタにも適用できることは勿論である。そのようなプリンタの方式としては、電子写真方式、インクジェット方式、感熱方式、光プリンタ方式、電子記録方式などが挙げられる。前記した電子写真方式の種類としては、カールソン法、光・電荷注入法、光分極法、光起電力法、電荷移動法、電解電子写真法、静電潜像写真法、光電気泳動法、サーモプラスチック法が挙げられる。また、光プリンタとしては、レーザプリンタ、LED(発光ダイオード)プリンタ、液晶シャッタプリンタ、CRTプリンタが挙げられる。また、電子記録方式としては、静電記録方式、通電記録方式、電解記録方式、放電記録方式が挙げられ、更に直接法、間接法等がある。またこれら静電記録方法等で、油等を塗布する湿式、これに対する乾式等の方式がある。
【0072】
具体的には、トナー像転写式の湿式静電複写機や乾式静電複写機(PPC)、レーザービームプリンター(LBP)、液晶シャッタ(LCD)プリンター、ファクシミリ用プリンター等、発光ダイオード(LED)、銀塩写真方式によるプリンタ(CRT)等のプリンター等の印刷機などといった画像形成装置の全般を指す概念である。
【0073】
また、この発明でいう画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドは、感光部、現像部、定着部等の排紙部など、画像形成装置内での配置部位を特に限定されるものではない。前記フルオロカーボン系樹脂の優れた耐熱性を適用すれば、感光部、現像部よりも高温で使用される定着部や、主として定着装置から転写紙の搬送方向下流側に用いられるシート搬送用摺接ガイドとして好適である。
【0074】
【実施例】
この発明の実施例および比較例に使用した原材料を一括して以下に示した。なお、〔 〕内には、▲1▼熱変形温度(4.6kgf/cm2の曲げ応力下、JISK 7207)、▲2▼融点、▲3▼熱分解温度、▲4▼溶融粘度、▲5▼数平均分子量、▲6▼硬度(ASTM D2240、JIS K 7215)、▲7▼限界酸素指数(ASTM D2863)、▲8▼難燃性のUL94規格をこの順に示し、数値は全て代表値である。
【0075】
(1)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE−1)
デュポン社製:テフロン7J〔▲1▼121℃、▲2▼327℃、▲3▼約508〜538℃、▲4▼1011〜1012ポイズ〈340〜380℃〉、▲5▼約106〜107、▲6▼D50〜D65、▲7▼95容量%以上、▲8▼V−0〕
(2)再生ポリテトラフルオロエチレン(PTFE−2)
喜多村社製:KTL610(平均粒径10〜20μm)
(3)テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)
旭硝子社製:アフロンPFA P−63〔▲1▼74℃、▲2▼300〜310℃、▲3▼464℃以上、▲4▼104〜105ポイズ〈380℃〉、▲5▼(2〜3)×105、▲6▼D60〜D64、▲7▼95容量%以上、▲8▼V−0〕
(4)テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)
旭硝子社製:アフロンFEP H−330B〔▲1▼72℃、▲2▼250〜282℃、▲3▼419℃以上、▲4▼4×104〜105ポイズ〈380℃〉、▲5▼(3〜5)×105 、▲6▼D60〜D65、▲7▼95容量%以上、▲8▼V−0〕
(5)テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)
旭硝子社製:アフロンCOP C88A〔▲1▼89〜104℃、▲2▼260〜270℃、▲3▼347℃以上、▲4▼104〜105ポイズ〈300℃〉、▲5▼1×105、▲6▼D75、▲7▼30容量%、▲8▼V−0〕
(6)ホウ酸アルミニウムウィスカ(ウィスカ−1)
四国化成工業社製:アルボレックスY(繊維径0.5〜1μm、繊維長10〜30μm、モース硬度7)
(7)チタン酸カリウムウィスカ(ウィスカ−2)
大塚化学社製:ティスモN(繊維径0.1〜0.3μm、繊維長20〜30μm、モース硬度4)
(8)ポリフェニレンスルフィド(PPS)
東ソーサスティール社製:GS40
(9)ポリアセタール(POM)
ポリプラスチック社製:ジュラコンAW−01
【0076】
〔実施例1〜8、比較例1および2〕
実施例1は、各原料を乾式混合したあと、圧縮成形により予備成形体を形成し、これを金型から外して焼成し、得られた成形体から図2に示す形状に切削加工等の機械加工により搬送用摺接ガイドを作成した。
【0077】
また実施例2〜8および比較例1〜2は表1に示す配合割合で原材料を溶融混合し、造粒してできたペレットを射出成形機にて各々の樹脂に適した条件で射出成形し、図2に示す形状の搬送用摺接ガイドを作製した。
【0078】
これらの摺接ガイドの物性は、下記に示す試験方法で評価し、それらの結果をまとめて表1に示した。
【0079】
(1)実機試験
摺接ガイドを、乾式静電複写機の定着装置における最も使用条件が過酷である(高温であり、トナーに対して非粘着性が最も要求される図1中の番号10)位置に等間隔で8個を並列状に装着し、A4判の複写機用紙3万枚を連続通紙し、3万回の複写を繰り返し、1万枚ごとにシートて画像状態を観察した。
(a)トナーの付着性
摺接ガイドにトナーの付着が全く認められなかったものを○印、トナーの付着が認められたものを×印として2段階に評価した。
(b)耐熱性
摺接ガイドに変形が認められなかったものを○印、変形が認められたものを×として2段階に評価した。
(c)耐摩耗性
摺接ガイドのシート(複写紙)との摺接面に摩耗が認められなかったものを○印、摩耗が認められたものを×印として2段階に評価した。
(d)画像状態
複写を3万回繰り返した際に、1万枚ごとにシート(複写紙)の画像状態を観察し、画像が鮮明であるものを○印、不鮮明であるものを×印として2段階に評価した。
【0080】
(2)物性試験
(e)非粘着性
エルマ光学社製ゴニオメーター式接触角測定機を用いて水滴の接触角を求め、接触角が90°以上を○印、接触角が90°未満を×印とする評価を行なった。
(f)成形性
量産に適しているか否かについて、射出成形が可能であるものを○印、射出成形が不可能であるが圧縮成形は可能であり後加工を必要としないものを△印、射出成形が不可能であり圧縮成形では後加工を必要するものを×印で評価した。
(g)難燃性
UL規格、UL94に基づいて評価した。
(h)耐摩耗性
スラスト式摩耗試験機を用い、内径φ17×外径φ21×長さ10mmの円筒試験片で150℃、荷重0.5kgf、回転数200rpm、相手材ステンレスSUS304、無潤滑の条件で試験を行ない摩耗量(mg)を調べた。
【0081】
【表1】
【0082】
表1の結果からも明らかにように、実施例2〜8は、射出成形が可能で成形性が良好であり、耐熱性、難燃性および摺動面の耐摩耗性にも優れていることに加え、非粘着性に優れていてトナーの付着がなく、鮮明な画像が得られる摺接ガイドであることが判った。また、実施例1は成形性以外の物性や実機性能は優れていた。
【0083】
また、PFA、FEP、ETFEからなる実施例2、3および4は、射出成形法によって製造できるので、低コストで製造できる摺接ガイドであり、複雑な形状にも成形できるので生産性効率に優れていた。
【0084】
これに対して、比較例1および2は、トナーの付着が認められ、耐熱性、非粘着性(トナーの非付着性)にも劣っていた。
【0085】
【発明の効果】
この発明に係る画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドは、画像形成装置の処理速度の高速化や装置本体のコンパクト化の要請に対応でき、耐熱性、難燃性、耐摩耗性およびトナーの非付着性に優れた画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドであるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着装置の概略構成を示す断面図
【図2】(a)シート搬送用摺接ガイドの正面図
(b)シート搬送用摺接ガイドの側面図
【符号の説明】
1 ヒータ
2 定着ローラ
3 加圧ローラ
4 搬送ベルト
5 シート
6 入口ガイド
7 分離爪
8 排紙コロ
9 排紙ローラ
10、11、12、13 シート搬送用摺接ガイド
14 トナー像
15 取付け穴
A 定着装置
Claims (6)
- 画像形成後に装置内で定着ローラから剥離されて搬送されるシートに摺接し、このシートの平面を案内する円曲面を有すると共に画像形成装置への取り付け穴を有する摺接ガイドを、シートとの摺接面を含めて数平均分子量(Mn)1×104〜1×108、結晶融点250℃以上、280〜380℃における融点粘度が1×103〜1×106 ポイズの範囲の溶融タイプのフルオロカーボン系樹脂を65〜100重量%配合した樹脂組成物を溶融混合し、造粒してできたペレットを射出成形機にて射出成形して作製することからなる画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドの製造方法。
- フルオロカーボン系樹脂を主成分とする樹脂組成物が、フルオロカーボン系樹脂を主成分とし繊維状補強材を添加した樹脂組成物である請求項1記載の画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドの製造方法。
- 前記繊維状補強材が、繊維径0.05〜8μm、繊維長1〜100μmの繊維状補強材である請求項2に記載の画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドの製造方法。
- フルオロカーボン系樹脂が、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドの製造方法。
- フルオロカーボン系樹脂が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドの製造方法。
- フルオロカーボン系樹脂が、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置のシート搬送用摺接ガイドの製造方法。
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