JPH11314790A - 画像形成装置のシ―ト搬送用転動体 - Google Patents

画像形成装置のシ―ト搬送用転動体

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JPH11314790A
JPH11314790A JP4329999A JP4329999A JPH11314790A JP H11314790 A JPH11314790 A JP H11314790A JP 4329999 A JP4329999 A JP 4329999A JP 4329999 A JP4329999 A JP 4329999A JP H11314790 A JPH11314790 A JP H11314790A
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JP
Japan
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sheet
rolling element
image forming
forming apparatus
conveying
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JP4329999A
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English (en)
Inventor
Noboru Umemoto
昇 梅本
Naonari Tanigawa
直成 谷川
Tomomi Nakamichi
友美 中道
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像形成装置の処理速度の高速化や装置本体
のコンパクト化の要請に対応でき、耐熱性、難燃性、耐
摩耗性およびトナーの非付着性に優れた画像形成装置の
シート搬送用転動体とすることである。 【解決手段】 画像形成されたシートを搬送する画像形
成装置のシート搬送用転動体における転動体を、テトラ
フルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロ
エチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラ
フルオロエチレン−エチレン共重合体などのフルオロカ
ーボン系樹脂で形成する。または前記フルオロカーボン
系樹脂に繊維状補強材を添加した樹脂組成物でシート搬
送用転動体を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は複写機、ファクシ
ミリ、レーザービームプリンター等の画像形成装置内で
画像形成されたシートを搬送する画像形成装置のシート
搬送用転動体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真複写機やレーザプリンタ等の電
子写真プロセスを利用した画像形成装置は、電子写真プ
ロセスにより感光体上に形成した像を転写紙にトナー像
として転写し、この像を転写紙上に定着装置で定着した
後、機外に排出する。
【0003】前記定着装置は、ヒータを内蔵する定着ロ
ーラと、これに圧接する加圧ローラとからなり、そのニ
ップ部に定着トナー像を担持する転写紙を通紙し、加熱
と押圧によってトナーを転写紙に溶融し定着させ、その
後に転写紙を排紙コロおよび排紙ローラ等により機外に
排出する。
【0004】図1は、加熱ローラを有する定着装置の概
略構成例を示している。この定着装置Aは、ヒータ1を
内蔵する定着ローラ2に転写紙経路を挟んで従動回転す
る加圧ローラ3を設けたものであり、図外の転写部より
搬送ベルト4により搬送されてきた未定着トナー像を担
持する転写紙5は、定着入口ガイド6に案内されて定着
ローラ2と加圧ローラ3とのニップ部に挿入され、対の
ローラ2、3に挟圧された際、トナー像が定着されなが
ら送り出される。定着後、転写紙5の先端は、定着ロー
ラ2のニップ部の下側に接する分離爪7の爪先によって
定着ローラ2から剥離される。
【0005】定着ローラから剥離された用紙は、搬送経
路を通り、その際に回転駆動されている排紙ローラ9と
排紙ローラ9に圧接されて従動する排紙コロ8などの間
を通って機外に排出される。
【0006】また、図2に示すカラーレーザープリンタ
については、未定着トナー像を担持した転写紙がヒータ
内蔵の定着ローラ10と加圧ローラ11の対接部を通過
した後、分離爪12で定着ローラ10から引き剥がさ
れ、そのまま排紙コロ13と排紙ローラ14の対接部を
通って送り出され、さらに一対の中間ガイドコロ15の
間を通った後、回転駆動されている駆動ローラ16と蹴
り出し用コロ17の間を通って機外まで搬送される。
【0007】なお、図2中の符号30はレーザーユニッ
ト、31はトナー収納部、32は未定着トナー像を形成
するドラム、33は転写装置、34は紙(シート)収納
カセット、35は定着装置を示している。
【0008】上述したような画像形成装置における排紙
コロ、中間ガイドコロ、蹴り出し用コロなどのシート搬
送用転動体は、それぞれ図3〜5に示すような形状のも
のである。すなわち、図3に示すような排紙コロまたは
中間ガイドコロとして使用されるシート搬送用転動体
は、ローラ本体18の両端に回転軸となるボス部19を
有し、また同様の用途の図4に示すような転動体は、軸
穴20を有している。
【0009】また、図5に示すような蹴り出し用コロと
して用いられるシート搬送用転動体は、ローラ本体21
の両端に歯車付きのボス部22を有する。
【0010】このようなシート搬送用転動体には、排紙
ローラと同様に耐熱性や難燃性が求められ、さらに用紙
に対する従動性も必要なことから、これを成形する材料
として、クロロプレンゴム(CR)やポリアセタール
(POM)等の材料が広く用いられていた。
【0011】ところで、複写機、ファクシミリ(Fa
x)、レーザービームプリンター(LBP)等の画像形
成装置においては、処理時間短縮の要求が高まり、その
ために印刷機能を高速化し、定着温度を上昇(250℃
付近)させることが必要になった。例えば、このように
高速化された機器の定着周囲部分の通常の使用雰囲気温
度は、25〜150℃であり、瞬間的には50〜250
℃に達する場合もある。
【0012】さらに画像形成装置本体のコンパクト化も
重要な技術的課題であるため、定着部とシート搬送用転
動体との距離は短くなる傾向がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
処理時間の短縮化の要求を満たすためには、排紙コロや
排紙用摺接ガイド等のシート搬送用転動体に、トナーに
よる汚れと熱による変形という従来の画像形成装置では
発生することがなかった新たな問題が生じた。
【0014】さらに、ボス部や軸穴を有して従動回転す
る転動体では、取付け部(シャフトや軸受)との摺動摩
擦によりボス部や軸穴が摩耗変形したり、ハウジングの
取付け部が摩耗するという問題が起こる。
【0015】特に、ボス部を有する転動体では、ローラ
本体に対接する他のローラやコロからの押圧力を受け、
さらに使用雰囲気の温度と摩擦熱でボス部が変形する場
合も考えられる。
【0016】そこで、この発明の課題は上記した問題点
を解決し、画像形成装置の処理速度の高速化や装置本体
のコンパクト化の要請に対応できるように、耐熱性、耐
摩耗性およびトナーの非付着性に優れた画像形成装置の
シート搬送用転動体とすることである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明では、画像形成されたシートを搬送する画
像形成装置のシート搬送用転動体において、この転動体
をフルオロカーボン系樹脂で形成したのである。
【0018】または、画像形成されたシートを搬送する
画像形成装置のシート搬送用転動体において、この転動
体をフルオロカーボン系樹脂に繊維状補強材を添加した
樹脂組成物で形成したのである。
【0019】画像形成装置のシート搬送用転動体をフル
オロカーボン系樹脂で形成すると、トナーが付着しない
鮮明な画像を得ることができる画像形成装置になり、そ
のシート搬送用転動体は耐熱性、難燃性をも兼ね備えて
いる。
【0020】また、フルオロカーボン系樹脂に繊維状補
強材を添加した樹脂組成物からなるシート搬送用転動体
は、耐摩耗性に優れ、熱変形も小さいので、処理速度が
より高速化された画像形成装置にも使用可能なシート搬
送用転動体になる。
【0021】
【発明の実施の形態】排紙コロ、中間ガイドコロ、蹴り
出し用コロなどのシート搬送用転動体を、以下のように
してフルオロカーボン系樹脂で形成した。フルオロカー
ボン系樹脂としては、成形性の点で溶融フルオロカーボ
ン系樹脂が好ましく、射出成形可能なフルオロカーボン
系樹脂がより好ましい。その中でもPFA、FEPおよ
びETFEが特に好ましい。
【0022】フルオロカーボン系樹脂の代表例として、
下記に列挙したような樹脂が挙げられる。なお、〔 〕
内には、熱変形温度(4.6kgf/cm2 の曲げ応
力下、JIS K 7207)、融点、熱分解温
度、溶融粘度、数平均分子量、硬度(ASTM
D2240、JIS K 7215)、限界酸素指数
(ASTM D2863)、燃焼性のUL94規格を
この順に示し、数値は全て代表値である。
【0023】(1)ポリテトラフルオロエチレン(PT
FE)、〔121℃、327℃、約508〜53
8℃、1011〜1012ポイズ〈340〜380℃〉、
約106 〜107 、D50〜D65、95容量%
以上、V−0相当〕 (2)テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体(PFA)、〔74℃、3
00〜310℃、464℃以上、104 〜105
イズ〈380℃〉、(2〜3)×105 、D60〜
D64、95容量%以上、V−0相当〕 (3)テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEP)、〔72℃、250〜28
2℃、419℃以上、4×104 〜105ポイズ
〈380℃〉、(3〜5)×105 、D60〜D6
5、95容量%以上、V−0相当〕 (4)テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(E
TFE)、〔89〜104℃、260〜270℃、
347℃以上、104 〜105 ポイズ〈300
℃〉、1×105 、D75、30容量%、V−
0相当〕 (5)ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTF
E)、〔126℃、210〜212℃、347〜
418℃、107 ポイズ〈230℃〉、(1〜5)
×105 、D90、95容量%以上、V−0相
当〕 (6)クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体
(ECTFE)、〔116℃、245℃、330
℃以上、2×103 〜105 ポイズ〈260〜315
℃〉、(1〜5)×105 、D55〜D75、6
0容量%、V−0相当〕 (7)ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、〔
149℃、156〜170℃、400〜475℃、
2×103 〜105 ポイズ〈210〜270℃〉、
(3〜8)×105 、D70〜D80、44容量
%、V−0相当〕 (8)ポリビニルフルオライド(PVF)、〔195
〜205℃、372〜480℃、(2〜5)×10
5 、23容量%、V−0相当〕 (9)テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
(EPE)〔440℃以上〕。
【0024】また、フルオロカーボン系樹脂は、単独重
合体ばかりでなく、上記したフルオロカーボン樹脂のモ
ノマーの例えば約1:10から10:1の重合量で2種
類以上の共重合体や、3元共重合体などのフッ素化ポリ
オレフィンなどであってもよく、これらはいずれも固体
潤滑剤としての特性を示す。このなかでもPTFEは、
耐熱性、耐薬品性、非粘着性、低摩擦係数などの諸特性
に優れており好ましいものである。
【0025】これらのフルオロカーボン系樹脂群は微分
熱分解開始温度が比較的高いので好ましい。例えば、P
TFE、PVDFの分解点は、それぞれ約490℃、約
350℃であり、これらの微分熱分解開始温度は、それ
ぞれ約555℃、約460℃をも示す。
【0026】また、フルオロカーボン系樹脂のなかでも
テトラフルオロエチレン系フルオロカーボン樹脂があ
り、これは上記のPTFE以外に以下のものが例示でき
る。 ・テトラフルオロエチレン−パーフルオロ〔アルキル
(メチル,エチル,プロピル,ブチル)〕ビニルエーテ
ル共重合体(PFA) ・テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
共重合体(FEP) ・テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
−パーフルオロ〔オレフィン(アルキル,プロピル)〕
ビニルエーテル三元共重合体(EPE) ・エチレン−テトラフルオロエチレン〔交互〕共重合体
(ETFE)(ETFEには、これに第3成分が含まれ
ているものでもよい。交互性は90〜100%のものが
安定した物性となって好ましい。)。
【0027】テトラフルオロエチレン系フルオロカーボ
ン樹脂は、骨格に(−CF2 −CF2 −)(テトラフル
オロカーボン)を分子構造中に有するため、C−F間の
強固な結合により、耐熱性、低摩擦係数に優れる。これ
らの中でも、PTFE、PFA、FEP等のパーフルオ
ロ系テトラフルオロカーボン樹脂は、骨格である炭素原
子の周囲を全てフッ素原子、または微量の酸素原子を介
して取り囲まれ、C−F間の強固な結合と、炭素骨格の
周囲がフッ素で守られるので、耐熱性、低摩擦係数、潤
滑性により優れており、また非粘着性、耐薬品性等の諸
特性にも優れるので、溶融したトナーやホコリ、チリ等
が排紙コロ表面に付着し難くなり、異物の付着による摺
動面の摩耗が少なくなることが期待でき、また耐熱性に
も優れた排紙コロなどのシート搬送用転動体となる。
【0028】また、耐熱性の評価基準として、例えば熱
変形温度(JIS K 7207)について説明する
と、熱変形温度(JIS K 7207、4.6kgf
/cm2 の曲げ応力)で50℃以上、好ましくは70〜
250℃のフルオロカーボン系樹脂組成物であれば、熱
による変形量が少ないので好ましい。なお、本願の発明
におけるシート搬送用転動体のような使用条件では負荷
が小さいので、4.6kgf/cm2 の曲げ応力条件で
判断することは適当である。
【0029】フルオロカーボン系樹脂は、耐熱性に優れ
ることからみてもこの発明に用いることは好ましく、そ
の結晶融点の上限値はフッ素と炭素との結合エネルギー
や、主鎖の炭素間同士の結合エネルギーの点からみて、
最も高いものでも400℃以下と考えられる。因みに、
結晶融点は250℃以上の熱特性を示す物性である。
【0030】また、フルオロカーボン系樹脂は、その熱
分解温度が300℃以上であるものが好ましく、より好
ましくは400〜550℃の熱分解温度のものである。
ここでいう熱分解温度は、重量分析等で測定できる温度
であり、詳しくは熱分析(DSC、示差走査熱量測定、
DTA、TDAなど)により、熱天秤法のような熱天秤
減量曲線(TG)と、示差熱分析曲線(DTA)で求め
ることができる。例えば15mgの試料片を昇温速度1
0℃/分で空気中または窒素ガス中で加熱し、試料片に
5%の重量減少が生じる温度、もしくは5mgの重量減
が生じた温度、または各温度別の重量減少%を調べ、こ
れから50重量%に対応する温度を求めて、これを熱分
解による50重量%減量温度として求めることができ、
また微分熱分解開始温度として評価される。
【0031】また、JIS K 7210の測定法によ
り、剪断速度が102 〜104 (sec-1)の時に溶融
粘度が103 〜105 ポイズとなるフルオロカーボン系
樹脂は、射出成形性に優れているので好ましい。このよ
うな射出成形性の点でより好ましいフルオロカーボン系
樹脂の溶融粘度は104 〜105 ポイズである。
【0032】因みに、PFA、FEPの溶融粘度は、3
80℃でそれぞれ104 〜105 ポイズ、4×104
105 ポイズであり、ETFEは300℃で104 〜1
5ポイズであり、またPTFEでは340〜380℃
で1011〜1012ポイズであり、このような高温下でも
103 〜1012ポイズ程度の粘度特性を有するフルオロ
カーボン系樹脂であるものは、高粘度特性を有するの
で、耐熱性が優れており好ましい。
【0033】しかし、280〜380℃での溶融粘度が
107 ポイズを越えると、後述の造粒時や射出成形時に
溶融成形機などのシリンダーにかかる負荷が大きく、安
定した造粒性と射出成形性および寸法精度が期待できな
くなり、また耐熱性、成形性および量産性を考慮する
と、フルオロカーボン系樹脂の280〜380℃での溶
融粘度は、103 〜106 ポイズであることが好まし
い。
【0034】前記したPFAは、パーフルオロアルコキ
シ側鎖を有する鎖状フッ素樹脂であって、単独重合体で
あるPTFEとパーフルオロアルコキシ基を含有する単
量体との変性物や、PTFEと上記側鎖を与えるコモノ
マーとを必須成分とする共重合体である。
【0035】このようなPFAやFEPの溶融粘度は、
ASTM D3307の評価方法により370〜380
℃であり、詳しくは372±1℃における比溶融粘度で
評価され、またETFEの場合は290〜300℃にお
ける比溶融粘度で評価され、これら射出成形可能なフル
オロカーボン樹脂の比溶融粘度は、1×103 〜1×1
6 ポイズである。また、これらのメルトフローインデ
ックス(メルトフローレート)は1〜36g/10分で
あるが、好ましくは1〜18g/10分であり、射出成
形性と耐熱性の両立性からみて3〜18g/10分(A
STM D3307)のものがより好ましい。
【0036】なお、PFA、FEPが有するアルキル基
の炭素数は、1〜10または1〜4程度であり、アルキ
ル基がメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等で
あってよい。樹脂を構成する一種類以上のアルキル基部
分の樹脂中の割合は、0.1〜10重量%、好ましくは
1〜8重量%、より好ましくは3〜6重量%の割合であ
る。FEPのヘキサフルオロプロピレン部分が8〜16
重量%、好ましくは8〜10重量%であればPFA、F
EPとも最適な溶融粘度となり、成形性に優れると共に
耐熱性に優れたシート搬送用転動体になる。耐熱性、非
粘着性、溶融粘度等の諸種の特性を総合的に勘案する
と、PFA、FEPが有するアルキル基の部分は、主に
プロピル基であるものが好ましい。
【0037】一方、ETFE、PCTFE、PVDFな
どの水素含有系フルオロカーボン樹脂は、PTFE、P
FA、FEPなどの比較的可撓性のある樹脂群と比較す
ると機械的強度が大きく耐摩耗性等に優れるので好まし
い。なかでもETFEは、ガラス転移点が約100℃以
上という耐熱性があると共に耐衝撃性が良好であり、例
えば室温でのノッチ付きアイゾット衝撃試験においても
破断しないため、成形体の不用意なクラック発生等が発
生しないと考えられる。このようなETFEの特性によ
り、熱変形温度、曲げ弾性率および耐摩耗性を向上させ
るために繊維状補強材を混入した樹脂成形体について、
このものの衝撃強度が低下するという繊維状補強材添加
による弊害を補うことができる。
【0038】ETFEにおけるテトラフルオロエチレン
部分とエチレン部分の組成比率は、70:30から3
0:70の範囲であればよく、好ましくは40:60か
ら60:40の範囲であればよい。ETFEの結晶融点
は、テトラフルオロエチレンの含有量が約50モル%付
近で極大になるので、前記比率が45:55から55:
45の範囲のものが耐熱性の点でより好ましいものと考
えられる。なお、このような重合体に対して少量の第3
成分が含有されているものであってもよい。
【0039】ところで、前述したPTFEを粉末状にし
てPTFE以外の例えばETFEのような水素含有のフ
ルオロカーボン系樹脂に添加する場合は、粒径が70μ
m以下のPTFE粉末やPFA粉末などのパーフルオロ
系でテトラフルオロカーボン系の樹脂粉末が組成の均一
化のために好ましく、より好ましい粒径は1〜50μm
である。シート搬送用転動体の機械的特性値を重視する
場合には、繊維状のPTFE粉末(バージン材のPTF
E粉末)を用いればよい。
【0040】この発明ではバージン材のPTFEに代え
て、再生PTFEを使用してより好ましい結果が得られ
る。再生PTFE粉末は、バージン材を一度焼成した
後、粉砕して得られる粉末であり、繊維状になり難い性
質を有し、バージン材のPTFE粉末を樹脂組成物に添
加した場合のように樹脂組成物の溶融粘度著しく上昇さ
せることがなく、射出成形性を阻害しないものである。
また、再生PTFE粉末は、一度焼成されているので、
これを混合した樹脂成形品の寸法変化、形状変化または
クラックの発生も起こさずに安定した成形品が得られる
添加剤である。
【0041】再生PTFE粉末の市販品としては、例え
ば喜多村社製:KT300M、KT300H、KT40
0M、KT400H、KTL610などがある。
【0042】主成分のフルオロカーボン系樹脂に対し
て、PTFE粉末、再生PTFE粉末、PFA粉末、F
EP粉末のようなパーフルオロ系テトラフルオロエチレ
ンを添加し、非粘着性を向上させ摺動相手材の損傷を回
避する場合の配合割合は、全組成物中のパーフルオロ系
テトラフルオロエチレンの割合が1〜25重量%であ
り、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは5〜1
5重量%である。このような所定範囲未満ではシート搬
送用転動体の摺動特性が改善されず、また所定範囲を越
えて配合すると、成形性が悪くなるという弊害が起こる
からである。
【0043】フルオロカーボン系樹脂の数平均分子量
(Mn)は、1×104 〜1×108が好ましい。なぜ
なら、数平均分子量が所定範囲より小さいものは、耐摩
耗性がなく、所定範囲を越えて大きいものは、射出成形
が困難になり効率良く成形し難くなるからである。この
ような傾向からより好ましい数平均分子量(Mn)は、
1×105 〜1×107 であり、射出成形性を重視する
と1×105 〜1×106 である。
【0044】また、シート搬送用転動体、射出成形金型
のシート搬送用転動体のキャビティ部またはシート搬送
用転動体の支持軸の少なくとも一方の表面部分で、例え
ば、シート搬送用転動体とシート部材、支持軸等の摩擦
するような回転摺動部分、具体的には支持軸外周面と互
いに回転摺動する排紙コロや中間ガイドコロの内周面、
および紙等のシート部材と互いに接触して摺動するシー
ト搬送用転動体のローラ本体の外周面や、また射出成形
金型からのシート搬送用転動体の離型性のために、ロー
ラ本体内・外周面の表面形状、表面粗さは小さいほうが
よい。
【0045】また、シート搬送用転動体またはそのキャ
ビティ部において、シート搬送用転動体が摩擦する摺動
部分は、シートを円滑に通過させるため、または射出成
形金型からのシート搬送用転動体の離型性を良くするた
めに、シートと接する面の表面形状や表面粗さは、小さ
い方がよい。
【0046】このような表面形状、粗さおよび形状粗さ
は例えば、Rmax(最大粗さ)、Ra(算術平均粗
さ)、Rz(十点平均粗さ)等のJISで定義された評
価法によって測定されるが、その値は例えば算術平均粗
さ(Ra)の評価法にて25μm以下であり、10μm
以下が好ましく、3.2μm以下がより好ましい。なぜ
なら表面粗さが前記値を越えると、摺動面に傷が多く付
くようになり、これは摩耗の原因となると考えられる。
また、射出成形金型からシート搬送用転動体の型離れ性
が劣ることにもなり、効率的でなく歩留りも低下する。
【0047】表面形状、粗さの下限値は、射出成形用金
型のキャビティ面や支持軸、また、シート搬送用転動体
の精密切削加工時等の効率性も考慮して、0.1μm以
上、または加工性を考慮すると1μm以上であればよ
い。なお、射出金型や支持軸表面の仕上げ加工などの工
程に長時間を要するので、効率的でないことや樹脂材の
転移膜の形成に影響される可能性もあるため、摩耗に影
響されないような仕様や条件であれば、前記各々の表面
形状・粗さは2〜8μm程度の範囲としても良いとも推
定される。
【0048】また、シート搬送用転動体の硬度は、たと
えばショア硬さ(ASTM D2240、〈JIS K
7215〉、デュロメータ硬度計)にてD40〜D9
0、好ましくはD50〜D80の硬度であることが好ま
しい。硬度が低すぎると転動体が回転摺動して相手部材
と接触する部分や、またOHP用転写部材、転写紙等の
接触や摺動により、転写紙が接触する部分が摩耗する原
因にもなると考えられ、高すぎると転動体が回転摺動し
て相手部材と接触する部分や、またPPC用紙を始めO
HP用転写部材等への損傷性を抑え難くなると考えられ
る。このような硬度にするには、必要に応じて有機系充
填剤、無機系充填剤などの各種充填剤(りん片状、球状
などの粒状や、繊維状などの各種形状)を1〜50重量
%を混合すればよい。なお、ウィスカなどの各種繊維状
充填剤については後に詳述する。
【0049】画像形成装置のシート搬送用転動体を形成
する樹脂成形体の表面は、水滴の接触角を測定すること
により、表面の非粘着性を判断することができる。例え
ば水滴の接触角は、80°以上であれば、この発明にお
いて充分な非粘着性を有する樹脂成形体であるとみなさ
れ、より好ましい接触角は90°以上である。
【0050】因みに、接触角の測定方法は、例えばエル
マ光学社製のゴニオメータ式接触角試験機を用い、常
温、常圧で0.01〜0.1ミリリットルの液滴、好ま
しくは0.05ミリリットルの水滴を試験片の表面に滴
下し、滴下直後から1分間(30秒後および1分後)の
接触角を測定する方法が代表的であるが、このような測
定方法に限らず、他の測定方法であってもよいのは勿論
である。
【0051】この発明で使用される繊維状補強材は、繊
維径0.05〜8μm、繊維長1〜100μmのものが
好ましく、特に繊維径0.1〜3μm、繊維長1〜40
μmのものが好ましい。なぜなら、繊維径および繊維長
が前記所定範囲より小さければフルオロカーボン系樹脂
の耐摩耗性を改善することができず、補強効果がなく、
前記所定範囲を越えると、前記した表面粗さが所要範囲
を越えて大きくなり、角形の端部を精密に形成できなく
なるので好ましくない。
【0052】繊維状補強材の具体例としては、チタン酸
カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、ホウ
酸マグネシウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、酸化チタ
ンウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ、硫酸アルミニウ
ムウィスカ、硫酸カルシウムウィスカ、硫酸マグネシウ
ムウィスカ、ケイ酸カルシウムウィスカ、ウォラストナ
イトウィスカ、炭素繊維、ガラス繊維、グラファイト繊
維、酸化ケイ素を主成分とするウィスカ各種の鉱物ウィ
スカ、火成岩を溶融し加工精製した鉱物ウィスカ、窒化
ケイ素ウィスカ、炭化ケイ素ウィスカ、アルミナウィス
カなど各種のセラミックスウィスカが挙げられる。
【0053】チタン酸カリウムウィスカは、例えばK2
O・6TiO2 、K2 O・6TiO2 ・1/2H2
や、K2 Ti2 5 、K2 Ti4 9 、K2 Ti
6 13、K2Ti8 17などのように、一般式K2 O・
nTiO2 (nは1以上の整数または2以上の偶数)で
表わされるチタン酸カリウムウィスカが挙げられる。こ
れらは比重が3.2〜3.3、融点1300〜1400
℃であり、フラックス法やメルト法などによって製造さ
れる。
【0054】フラックス法は、1150℃で原料(Ti
2 とK2 CO3 )とフラックスの混合物を溶融し、そ
れを徐冷してK2 Ti4 9 ウィスカ(1次化合物)を
合成する。そして、このウィスカを希酸水溶液または沸
騰水で処理して層間のKの一部を抽出して組成変性し、
それを1000℃で熱処理してトンネル構造を有するK
2 Ti6 13ウィスカを2次化合物として合成する。ウ
ィスカサイズは、直径が0.1〜0.5μm、長さが1
〜50μm程度のものが多く、市販品としては大塚化学
社製ティスモN、ティスモL、テイスモD等が挙げられ
る。
【0055】メルト法は、原料をK2 Ti2 5 に相当
する化学量論組成比に混合し、1100℃で溶融し、そ
の融体を急冷固化して針状のK2 Ti2 5 を1次化合
物として合成する。次にこのウィスカをK2 Ti4 9
と同様に組成・構造変換プロセスで処理し、2次化合物
としてK2 Ti6 13ウィスカを合成する。ウィスカサ
イズは、フラックス法よりは太いのが特徴であり、直径
が10〜30μm、長さが80〜500μm程度のもの
が多く、市販品としてクボタ社製ティーザクスA等が挙
げられる。
【0056】ホウ酸アルミニウムウィスカについては、
これにS(イオウ)を添加して白色化したものであって
もよいが、化学式9Al2 3 ・2B2 3 または2A
23 ・B2 3 で表わされる白色針状結晶であり、
平均繊維径0.05〜5μm、平均繊維長1〜100μ
mのものである。
【0057】9Al2 3 ・2B2 3 で表わされるホ
ウ酸アルミニウムウィスカは、真比重2.93〜2.9
5、融点1400〜1500℃であり、アルミニウム水
酸化物およびアルミニウム無機塩の少なくとも一種と、
ホウ素の酸化物、酸素酸およびアルカリ金属塩の少なく
とも一種をアルカリ金属の硫酸塩、塩化物および炭酸塩
の少なくとも一種からなる溶融剤の存在下900〜12
00℃に加熱して、反応、育成させることによって製造
する。
【0058】一方、2Al2 3 ・B2 3 で表わされ
るホウ酸アルミニウムウィスカは、真比重2.92〜
2.94、融点1000〜1100℃で、9Al2 3
・B23 を製造するのと同じ成分、溶融剤を用いて6
00〜1000℃に加熱して反応、育成することによっ
て製造できる。
【0059】これらのホウ酸アルミニウムウィスカをは
じめ各種ウィスカの補強効果をさらに向上させるために
は、カップリング剤による表面処理をおこなってもよ
く、その場合のカップリング剤としては、シリコン系、
チタン系、アルミニウム系、ジルコニウム系、ジルコア
ルミニウム系、クロム系、ボロン系、リン系、アミノ酸
系などである。
【0060】好ましいホウ酸アルミニウムウィスカの市
販品としては、四国化成工業社製:アルボレックスY、
アルボレックスGなどがあり、その平均繊維径は、0.
5〜1μm、平均繊維長は1〜30μmである。
【0061】また、上記以外のウィスカとしては、P
b、Cdなどの不純物を含んで黄色や灰色のテトラポッ
ト状、またはこれらが折れて円錐状、テーパ状になった
酸化亜鉛ウィスカ(ZnO)、ルチル型白色針状結晶体
のような一般式TiO2 で示される酸化チタンウィスカ
などもこの発明に使用できる。
【0062】因みに、一般的なウィスカ類の平均径は、
0.01〜10μmであり、この発明では前述のように
平均径0.05〜8μmのものが好ましい。さらに、一
般的なウィスカ類の平均長さは1μm以上であり、平均
的には1〜300μmであり、50〜60mmに達する
ものもある(アスペクト比は1〜200)。この発明で
は、前記した理由によって、繊維長1〜100μmのも
のが好ましい。
【0063】そして、上述したウィスカ類をこの発明の
繊維状補強材として採用すると、射出成形、および必要
に応じて切削成形を行なうことにより、寸法精度がよ
く、かつ補強され、しかもバリなどの少ないシート搬送
用転動体が得られる。
【0064】また、この発明に用いるウィスカ等の繊維
状補強材について、シート搬送用転動体が摺接する相手
部材への損傷を考慮すると、モース硬度で1〜10のも
のが好ましく、より好ましくは3〜9である。モース硬
度が低すぎると補強性を期待できず、高すぎると相手摺
動部材の損傷性を抑え難いと考えられる。
【0065】なお、モース硬度は、新モース硬度、旧モ
ース硬度のいずれの評価試験基準を採用してもよいが、
本願で説明するモース硬度については、旧モース硬度を
基準にして評価する。この場合、例えばモース硬度5を
1つの臨界点とし、モース硬度5未満のものを硬度の低
いものとし、モース硬度5以上のものを硬度の高いもの
として評価することもできる。
【0066】このような硬度を有するウィスカとして
は、チタン酸カリウムウィスカ、炭酸カルシウムウィス
カ、ウォラストナイトウィスカ、硫酸マグネシウムウィ
スカ、ホウ酸アルミニウムウィスカなどがあるが、繊維
形状や機械的強度の点でチタン酸カリウムウィスカやホ
ウ酸アルミニウムウィスカが特に好ましい。
【0067】なお、樹脂組成物中のチタン酸カリウムウ
ィスカやホウ酸アルミニウムウィスカ等のウィスカは、
ペレットの造粒時または成形時に折れて、その平均繊維
長さが10μm未満になり、種類によっては1〜5μm
になると考えられる。このような寸法のウィスカは、射
出成形時の流動性を阻害することなくシート搬送用転動
体の表面は非常に滑らかになり、非粘着性が向上し、シ
ート搬送用転動体の成形品の角部にバリが少なくなる。
【0068】以上述べたような繊維状補強材の樹脂組成
物中の配合割合は、フルオロカーボン系樹脂65〜10
0重量%、繊維状補強材0〜35重量%、好ましくは2
〜25重量%である。繊維状補強材が35重量%を越え
る多量では、フルオロカーボン系樹脂のトナー等に対す
る非粘着性が損なわれて好ましくないからである。
【0069】前述のフルオロカーボン系樹脂の物性値で
示した燃焼性についてのUL規格について、以下に説明
する。UL94に規定される燃焼性試験法は、水平燃焼
性試験94HBと、垂直燃焼性試験94Vの2つの試験
方法があり、一般に難燃性材料には94Vの評価方法が
適用され、UL94V−0(以下V−0と略記する。)
はこれより厳しい認定基準である。
【0070】ここで、難燃性に関する特性として、前述
のフルオロカーボン系樹脂の物性値で示した限界酸素指
数(ASTM D 2863、JIS K 7201)
について以下に説明する。例えば、PTFE、PFA、
FEP、PCTFEは、限界酸素指数が95容量%以上
であり、不燃性である。ETFEは、限界酸素指数が3
0容量%であり、PFAやFEP等より自消性に劣る
が、限界酸素指数が27容量%以上、100容量%以下
のものであれば自消性を有するので、燃焼性に関する仕
様や条件に応じて使用することもできる。しかし、燃焼
性に対する安全性を重視するならば、限界酸素指数は少
なくとも50容量%以上、好ましくは80〜100容量
%のものが好ましい。
【0071】画像形成装置のシート搬送用転動体の体積
は、30000mm3 以下のものが好ましい。所定体積
を越える成形体は、「ひけ」が大きくなり、寸法精度を
維持し難くなるからである。また、所定体積未満の小型
では成形し難いので、より好ましくは10〜10000
mm3 、さらに好ましくは50〜5000mm3 であ
る。
【0072】なお、この発明における画像形成装置のシ
ート搬送用転動体は、外部から与えられた電気信号によ
って記録パターンを感光体等の媒体上に形成し、この媒
体上に形成された電気量のパターンを可視的なパターン
に変換する種々の方式を採用したプリンタにも適用でき
ることは勿論である。そのようなプリンタの方式として
は、電子写真方式、インクジェット方式、感熱方式、光
プリンタ方式、電子記録方式などが挙げられる。前記し
た電子写真方式の種類としては、カールソン法、光・電
荷注入法、光分極法、光起電力法、電荷移動法、電解電
子写真法、静電潜像写真法、光電気泳動法、サーモプラ
スチック法が挙げられる。また、光プリンタとしては、
レーザプリンタ、LED(発光ダイオード)プリンタ、
液晶シャッタプリンタ、CRTプリンタが挙げられる。
また、電子記録方式としては、静電記録方式、通電記録
方式、電解記録方式、放電記録方式が挙げられ、更に直
接法、間接法等がある。またこれら静電記録方法等で、
油等を塗布する湿式、これに対する乾式等の方式があ
る。
【0073】具体的には、トナー像転写式の湿式静電複
写機や乾式静電複写機(PPC)、レーザービームプリ
ンター(LBP)、液晶シャッタ(LCD)プリンタ
ー、ファクシミリ用プリンター等、発光ダイオード(L
ED)、銀塩写真方式によるプリンタ(CRT)等のプ
リンター等の印刷機などといった画像形成装置の全般を
指す概念である。
【0074】また、この発明でいう画像形成装置のシー
ト搬送用転動体は、感光部、現像部、定着部等の排紙部
など、その用途部位を特に限定されるものではない。前
記フルオロカーボン系樹脂の優れた耐熱性を適用すれ
ば、感光部、現像部よりも高温で使用される定着部や排
紙部の排紙コロまたは中間ガイドコロ、蹴り出し用コロ
など、主として定着装置から転写紙の搬送方向下流側に
用いられるシート搬送用転動体として好適である。
【0075】
【実施例】この発明の実施例および比較例に使用した原
材料を一括して以下に示した。なお、〔 〕内には、
熱変形温度(4.6kgf/cm2 の曲げ応力下、JI
SK 7207)、融点、熱分解温度、溶融粘
度、数平均分子量、硬度(ASTM D2240、
JIS K 7215)、限界酸素指数(ASTM
D2863)、難燃性のUL94規格をこの順に示
し、数値は全て代表値である。
【0076】(1)ポリテトラフルオロエチレン(PT
FE−1) デュポン社製:テフロン7J〔121℃、327
℃、約508〜538℃、1011〜1012ポイズ
〈340〜380℃〉、約106 〜107 、D50
〜D65、95容量%以上、V−0〕 (2)再生ポリテトラフルオロエチレン(PTFE−
2) 喜多村社製:KTL610 (3)テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体(PFA) 旭硝子社製:アフロンPFA P−63〔74℃、
300〜310℃、464℃以上、104 〜105
ポイズ〈380℃〉、(2〜3)×105、D60
〜D64、95容量%以上、V−0〕 (4)テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEP) 旭硝子社製:アフロンFEP H−330B〔72
℃、250〜282℃、419℃以上、4×10
4 〜105 ポイズ〈380℃〉、(3〜5)×1
5 、D60〜D65、95容量%以上、V−
0〕 (5)テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(E
TFE) 旭硝子社製:アフロンCOP C88A〔89〜10
4℃、260〜270℃、347℃以上、104
〜105 ポイズ〈300℃〉、1×105、D7
5、30容量%、V−0〕 (6)ホウ酸アルミニウムウィスカ(ウィスカ−1) 四国化成工業社製:アルボレックスY(繊維径0.5〜
1μm、繊維長10〜30μm、モース硬度7) (7)チタン酸カリウムウィスカ(ウィスカ−2) 大塚化学社製:ティスモN(繊維径0.1〜0.3μ
m、繊維長20〜30μm、モース硬度4) (8)クロロプレンゴム(CR) 電気化学工業社製:デンカ クロロプレン (9)ポリアセタール(POM) ポリプラスチック社製:ジュラコンAW−01。
【0077】〔実施例1〜8、比較例1および2〕実施
例1は、各原料を乾式混合したあと、圧縮成形し、得ら
れた成形体から外径φ9mm、内径φ7mm、幅13.
5mmにて加工して排紙コロを作成した。
【0078】また実施例2〜4、5〜8および比較例2
は表1に示す配合で原材料を溶融混合し、造粒してでき
たペレットを射出成形機にて、各々の樹脂に適した条件
で射出成形し、φ9mm×φ7mm×13.5mm(体
積約340mm3 )の排紙コロを成形した。また、比較
例1はクロロプレンゴムの丸棒から上記形状に削り出し
た排紙コロである。成形品である排紙コロの物性は、下
記に示す試験方法で評価し、それらの結果をまとめて表
1に示した。
【0079】(1)実機試験 乾式静電複写機の定着装置に試験用の図3に示すボス付
きの排紙コロを装着し、A4判の複写機用紙5万枚を連
続通紙し、5万回の複写を繰り返したあと、排紙コロを
取り出してその表面を観察した。
【0080】(a)トナーの付着性 排紙コロにトナーの付着が全く認められなかったものを
○印、トナーの付着が認められたものを×印として2段
階に評価した。 (b)耐熱性 排紙コロに変形が認められなかったものを○印、変形が
認められたものを×として2段階に評価した。 (c)耐摩耗性 排紙コロのボス部に摩耗が認められなかったものを○
印、摩耗が認められたものを×印として2段階に評価し
た。 (2)物性試験 (d)非粘着性 エルマ光学社製ゴニオメーター式接触角測定機を用い
て、水による接触角を求めた。接触角が90°以上を○
印、接触角が90°未満を×印とする評価を行なった。 (e)成形性 量産に適しているか否かについて、射出成形が可能であ
るものを○印、射出成形はできないが後加工を必要とし
ないものを△印、射出成形ができずに後加工を必要とす
るものを×で評価した。 (f)難燃性 UL規格、UL94に基づいて評価した。 (g)耐摩耗性 スラスト式摩耗試験機を用い、内径φ17×外径φ21
×長さ10mmの円筒試験片で150℃、荷重0.5k
gf、回転数200rpm、相手材ステンレスSUS3
04、無潤滑の条件で試験を行ない摩耗量(mg)を調
べた。
【0081】
【表1】
【0082】表1の結果からも明らかにように、実施例
2〜8は、射出成形が可能で成形性に問題がなく、耐熱
性、難燃性および耐摩耗性に優れていることに加え、優
れた非粘着性によってトナーの付着がなく、鮮明な画像
を得る排紙コロであることが判った。また、実施例1は
成形性以外には問題がなく、シート搬送用転動体として
使用に耐えるものであった。
【0083】また、PFA、FEP、ETFEからなる
実施例2、3および4は、射出成形法によって製造でき
るので、低コストで製造できる排紙コロであり、複雑な
形状にも成形できるので生産性効率に優れていた。
【0084】これに対して、比較例1および2は、トナ
ーの付着が認められ、耐熱性、非粘着性(トナーの非付
着性)に劣っていた。
【0085】
【発明の効果】この発明に係る画像形成装置のシート搬
送用転動体は、画像形成装置の処理速度の高速化や装置
本体のコンパクト化の要請に対応でき、耐熱性、難燃
性、耐摩耗性およびトナーの非付着性に優れた画像形成
装置のシート搬送用転動体であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着装置の概略構成を示す断面図
【図2】カラーレーザープリンタの定着装置の概略構成
を示す断面図
【図3】ボス付きコロの斜視図
【図4】軸穴付きコロの斜視図
【図5】蹴り出し用コロの斜視図
【符号の説明】
1 ヒータ 2、10 定着ローラ 3、11 加圧ローラ 4 搬送ベルト 5 転写紙 6 入口ガイド 7、12 分離爪 8、13 排紙コロ 9、14 排紙ローラ 15 中間ガイドコロ 16 駆動ローラ 17 蹴り出しコロ 18、21 ローラ本体 19、22 ボス部 20 軸穴 30 レーザーユニット 31 トナー収納部 32 ドラム 33 転写装置 34 紙収納カセット 35 定着装置

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像形成されたシートを搬送する画像形
    成装置のシート搬送用転動体において、この転動体をフ
    ルオロカーボン系樹脂で形成したことを特徴とする画像
    形成装置のシート搬送用転動体。
  2. 【請求項2】 画像形成されたシートを搬送する画像形
    成装置のシート搬送用転動体において、この転動体をフ
    ルオロカーボン系樹脂に繊維状補強材を添加した樹脂組
    成物で形成したことを特徴とする画像形成装置のシート
    搬送用転動体。
  3. 【請求項3】 繊維状補強材が、繊維径0.05〜8μ
    m、繊維長1〜100μmの繊維状補強材である請求項
    2に記載の画像形成装置のシート搬送用転動体。
  4. 【請求項4】 フルオロカーボン系樹脂が、テトラフル
    オロエチレン系樹脂である請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の画像形成装置のシート搬送用転動体。
  5. 【請求項5】 テトラフルオロエチレン系樹脂が、パー
    フルオロ系テトラフルオロエチレンである請求項4に記
    載の画像形成装置のシート搬送用転動体。
  6. 【請求項6】 フルオロカーボン系樹脂が、結晶融点2
    50℃以上、280〜380℃における融点粘度が1×
    103 〜1×106 ポイズの範囲の溶融タイプのフルオ
    ロカーボン系樹脂であることを特徴とする特許請求の範
    囲第1〜3項のいずれか1項に記載の画像形成装置のシ
    ート搬送用転動体。
  7. 【請求項7】 フルオロカーボン系樹脂が、テトラフル
    オロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共
    重合体であることを特徴とする特許請求の範囲第1〜3
    項のいずれか1項に記載の画像形成装置のシート搬送用
    転動体。
  8. 【請求項8】 フルオロカーボン系樹脂が、テトラフル
    オロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体であ
    る特許請求の範囲第1〜3項のいずれか1項に記載の画
    像形成装置のシート搬送用転動体。
  9. 【請求項9】 フルオロカーボン系樹脂が、テトラフル
    オロエチレン−エチレン共重合体であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1〜3項のいずれか1項に記載の画
    像形成装置のシート搬送用転動体。
  10. 【請求項10】 画像形成装置のシート搬送用転動体を
    フルオロカーボン系樹脂で射出成形により作成すること
    からなる画像形成装置のシート搬送用転動体の製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004269635A (ja) * 2003-03-07 2004-09-30 Kanbo Pras Corp 難燃性フィルム、不燃性積層体、および不燃性積層体構造体
JP2007030997A (ja) * 2005-07-22 2007-02-08 Seiko Epson Corp 従動ローラ、記録装置、成形金型用コアピン

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