JP3853290B2 - 接合体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板として好適な接合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パワーモジュール等に利用される半導体装置においては、アルミナ、ベリリア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等のセラミックス基板の表裏面に、Cu、Al、それらの金属を成分とする合金等の回路と放熱板とがそれぞれ形成されてなる回路基板が開発され(特許文献1)、実用化されている。Al回路基板は、Cu回路基板よりも熱履歴に対する信頼性が高いので、自動車用途等の高信頼性基板として検討されているが、製造が複雑でコスト高となることが、広く普及しない原因となっている。
【0003】
セラミックス基板にAl回路を形成するには、溶融アルミニウムをセラミックス基板に接触・冷却して両者の接合体を製造した後、機械研磨してAl板の厚みを整え、その後エッチングする溶湯法(特許文献2)があるが、この方法ではCu回路を形成する場合に比較して2〜5倍程度のコストがかかる。
【0004】
一方、ろう付け法によるAl回路基板がCu回路基板よりもコスト高となる理由は、セラミックス基板とAl箔又はAl合金箔の積層体に一部始終圧力を加えながら接合しなければいけないからである。加圧方法としては、黒鉛製冶具に積層体を収納し、両端面からねじ込むなどの機械的手段によって行われているが(特許文献3)、このような方法では生産性が十分に高まらない。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第5,354,415号明細書
【特許文献2】
特開平2001−085808号公報
【特許文献3】
特開平11−60343号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記に鑑み、セラミックス基板と、金属箔、特にAl箔又はAl合金箔とからなる接合体を、生産性と信頼性を高めて製造する方法を提供することである。本発明の目的は、金属箔とロウ材合金箔とを有機系接着剤を用いて張り合わせ、そのロウ材合金箔面をセラミックス基板の片面又は両面に有機接着剤を用いて張り合わせられてなる積層体を、予加熱部、仮接合部及び拡散部を有し、加熱プログラムの設定された、酸素濃度50ppm以下の非酸化性雰囲気下のチャンバー内で熱処理を施すことにより達成することができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、金属箔とロウ材合金箔とを有機系接着剤を用いて張り合わせ、そのロウ材合金箔面をセラミックス基板の片面又は両面に有機接着剤を用いて張り合わせられてなる積層体を、酸素濃度50ppm以下の非酸化性雰囲気下で加圧加熱接合する工程を経由させることを特徴とする接合体の製造方法である。
【0008】
また、本発明は、予加熱部、仮接合部及び拡散部を有し、加熱プログラムの設定された、酸素濃度50ppm以下の非酸化性雰囲気下のチャンバー内で次の工程2〜4を連続して経由させることを特徴とする接合体の製造方法である。この場合において、チャンバー内における被熱処理物の可動速度が1〜5mm/secであり、予加熱部の雰囲気温度が350〜450℃、仮接合部の雰囲気温度が400〜500℃、拡散部の雰囲気温度が420〜550℃であり、加圧力が30〜100MPaであることが好ましい。
工程1:金属箔とロウ材合金箔とを有機系接着剤を用いて張り合わせ、そのロウ材合金箔面をセラミックス基板の片面又は両面に有機接着剤を用いて張り合わせて積層体を作製する工程。
工程2:この積層体を、ロウ材合金箔の融点以下の温度に保持された非酸化性雰囲気下の予加熱部で予加熱する工程。
工程3:上記予加熱された積層体を、ロウ材合金箔の融点以下で、しかも上記予加熱部温度よりも最大150℃の高温に保持された非酸化性雰囲気下の仮接合部で加圧加熱を行い、金属箔とセラミックス基板の仮接合体を作製する工程。
工程4:上記仮接合体を、上記仮接合部温度よりも最大50℃の高温に保持された非酸化性雰囲気下の拡散部で加熱し、金属箔とセラミックス基板の接合体を作製する工程。
ここで、ロウ材合金箔の融点とは、示差走査熱量分析を用い、JIS K7121に準じて測定された転移温度であると定義される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、さらに詳しく本発明について説明する。
【0010】
本発明で用いられる金属箔の材質は、Cu箔、Cu合金箔、Al箔、Al合金箔等であるがAl箔又はAl合金箔が好適である。これには、1000系の純Alは勿論のこと、接合が容易な4000系のAl−Si系合金や、6000系のAl−Mg−Si系合金等が例示できる。中でも、圧延率10%以上の高純度Al箔(純度99.85%(質量%、以下同じ))が好ましく、これには1085、IN85材の市販品がある。また、99.9%(3N)品、99.99%(4N)品もそれほど高価ではないので使用可能である。金属箔は、単体でもよく、二種又は三種以上のクラッド等の積層体であってもよい。積層体の例示すれば、Al−Ni、Al−Ni−Cu、Al−Mo、Al−Mo、Al−W、Al−Cuなどである。
【0011】
金属箔の厚みは、0.1〜0.5mm、特に0.2〜0.6mmであることが好ましい。とくに、回路基板の熱応力による反りやうねりをなくし、半田クラック等による損傷、ボンディングワイヤやメッキの剥離防止を高度にするため、裏面金属箔(放熱板)に対する表面金属箔(回路)の体積比(回路体積/放熱板体積)を1に近づけることが望ましく、0.80〜1.2、特に0.85〜1.15、更には0.9〜1.1とすることが好ましい。なお、放熱板の厚みは、回路の厚みと同等以下とするのが好ましい。金属回路の体積は、回路面積と回路厚みを乗じることによって、また放熱板の体積は放熱板面積と加熱版厚みを乗じることによって算出することができる。金属箔の形状について限定はないが、セラミックス基板寸法よりも大きいもの、特に最大0.3mm大きいものが好ましい。
【0012】
本発明で用いられるロウ材合金箔の成分は、AlとCuを主成分とするものが好ましく、例示すればCu1〜6%、特に1.5〜5%のAl−Cu箔合金、4%Cuと0.5%Mgとを含む2018合金箔、0.5%のMnを含む2017合金箔、更にはJIS合金の2001、2003、2005、2007、2011、2014、2024、2025、2030、2034、2036、2048、2090、2117、2124、2218、2224、2324、7050等の合金箔である。Mg、Zn、In、Mn、Cr、Ti、Bi等の第三成分は合計で5%まで含ませることができる。
【0013】
Al−Cu合金箔又はこれに第三成分の付加された合金において、Cuが1%未満では、接合温度を高めなければならなくなるので量産化には不利となり、また6%超では、ロウ材の拡散した金属部が特に硬くなって回路の信頼性が低下する恐れがある。特に好ましいロウ材合金箔は、Al86%以上、Cu1〜6%、Mg3%以下(0%を含まず)、特に0.2〜2.0%である。
【0014】
ロウ材合金箔の厚みは、上記金属の厚みに対して1/10〜1/50の厚みであることが好ましい。1/50未満の厚みでは、十分な接合が難しくなり、また1/10超では回路が硬くなる。特に好ましくは、100マイクロメートル以下の厚みであって、しかも金属箔の厚みに対して1/12〜1/14の厚みである。これは、金属箔の厚みが0.4〜0.6mmである場合、10〜50マイクロメートル厚、特に15〜30マイクロメートル厚が好適となることを意味している。
【0015】
金属箔とロウ材合金箔との積層体とするのに用いる有機系接着剤としては、水溶系あるいは非水溶系有機溶剤のどちらでもよいが、好ましくはポリイソブチルメタクリレート、ポリビニルアルコール等を媒質とした粘度3.0〜0.1Pa・sec溶液である。特に好ましくは、ポリイソブチルメタクリレート20〜50質量%のトルエン溶液、ポリイソブチルメタクリレート10〜80質量%のテルピネオール溶液である。このような有機系接着剤を用いることによって、熱処理時に金属箔とロウ材合金箔のズレが生じず、また350℃以上では残留炭素が100〜1ppm、条件を選べば50〜1ppmとすることができるので、残留炭素に起因する接合不良を防止することができる。有機系接着剤は、金属箔、ロウ材合金箔、又はその両方の接合面の全面に塗布されていることが好ましい。
【0016】
上記積層物は、次いで上記有機系接着剤と同種好ましくは同一の有機系接着剤を介在させ、ロウ合金箔面とセラミックス基板面とを一致させて配置して積層体とする。有機系接着剤は、セラミックス基板、ろう材合金箔、又はその両方の接合面の全面に塗布されていることが好ましい。
【0017】
本発明で使用されるセラミックス基板の材質は、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素であることが好ましい。炭化ケイ素、酸化ベリリウム等では、絶縁性と安全性の点で劣る。セラミックス基板の熱伝導率は、高信頼性が求められるパワーモジュールを考えれば、少なくとも70W/mK以上、特に130W/mK以上であることが好ましい。なかでも、表面のCu−Kα線によるエックス線回折ピーク強度比が、2≦Y23・Al23×100/AlN≦17、かつ2Y23・Al23×100/AlN≦2を有する窒化アルミニウム基板が好適である。
【0018】
このような窒化アルミニウム基板は、レーザー回折散乱法で測定された100マイクロメートル以上の粗大粒子1〜10%と、1マイクロメートル以下の微粒子10〜50%とを含んでいる窒化アルミニウム粉末原料を用い、窒化アルミニウム粉末原料中のAl23とY23分の組成比を適正化することによって製造できる。たとえば、2Y23・Al23が多い場合にはAl23分を増やせばよいので酸素量の多い窒化アルミニウム原料粉末を用いるか、又はAl23を添加してY23分を減らして焼成する。一方、Y23・Al23が多い場合には、Y23の添加量を減らすか、焼成温度を下げる。脱バインダーを空気中で行えばAl23分を増加させることができる。
【0019】
焼結助剤としてはイットリア、アルミナ、マグネシア、希土類酸化物等の粉末を窒化アルミニウム粉末原料に0.5〜10%内割配合される。成形は、ブチラールやメチスセルロース等の有機バインダーを用いて行われ、焼成は脱バインダー後、窒素、アルゴン等の非酸化性雰囲気中、焼成温度1700〜1900℃で1〜12時間保持して行われる。
【0020】
セラミックス基板の厚みは、通常0.635mmであるが、要求特性によって変えることができる。たとえば、高電圧での絶縁性があまり重要ではなく熱抵抗が重要である場合には、0.5〜0.3mmの薄い板を用いることができ、逆に高電圧での絶縁耐圧や部分放電特性が重要である場合には、1〜3mmの厚板が用いられる。広さは、縦20〜200mm、横20〜200mmが例示される。
【0021】
その後、積層体は熱処理されて接合体となる。熱処理条件は、窒素ガスやアルゴンガス等の非酸化性雰囲気下、雰囲気温度350〜550℃、0.5〜1時間保持することによって行うことができる。ここで、重要なことは、酸素濃度50ppm以下の非酸化性雰囲気下とし、ロウ材合金箔の融点を低下させて熱処理を行うことである。この工程が行われる雰囲気温度は420〜550℃であることが好ましい。特に好ましくは、積層体の加圧を行った後、加圧を解放し、加圧を行った雰囲気温度よりも最大50℃高められた、420〜550℃の範囲である。
【0022】
つぎに、一連の工程が連続された請求項2、3の発明について説明する。
【0023】
これらの発明においても上記した材料が用いられる。
【0024】
本発明で用いられる接合炉は、予加熱部と仮接合部と拡散部とが連続したチャンバーからなるものであり、所定温度で熱処理されるように加熱プログラムが設定され、しかも酸素濃度50ppm以下の非酸化性雰囲気に制御されているものである。仮接合部においては予加熱された積層体を加圧するための多段ロール、一軸加圧(プレス)装置等の加圧手段が設置されている。好適な加圧手段は多段ロールである。積層体はチャンバーに搬入され、ベルト・チェーン等の搬送媒体によってチャンバー内を移動する間に接合体となりチャンバーから搬入される。積層体等の被熱処理物のチャンバー内における移動速度は、1〜5mm/secであることが好ましい。1mm/secよりも遅いと、ロウ材合金箔の金属箔への拡散が進みすぎ、接合体の生産性と信頼性を損なう恐れがある。また、5mm/secよりも速いと接合反応が不十分となる。
【0025】
本発明の工程1は、積層体の作製工程であり、上記したように行われる。工程2は、積層体の予加熱工程であり、その雰囲気温度は、ロウ材合金箔の融点よりも低い温度、好ましくは100〜200℃低くしかも350〜450℃であることが好ましい。工程3は、予加熱された積層体を仮接合体とする工程であり、その雰囲気温度は、ロウ材合金箔の融点よりも低くしかも予加熱雰囲気温度よりも最大150℃高温である。特に好ましくは、予加熱雰囲気温度よりも最大150℃高温にして400〜500℃である。工程4は、仮接合体を接合体とする工程であり、その雰囲気温度は、ロウ材合金箔の融点よりも低くしかも仮接合雰囲気温度よりも最大50℃高温である。特に好ましくは、仮接合雰囲気温度よりも最大50℃高温、特に10〜30℃高温にして420〜550℃である。
【0026】
予加熱雰囲気温度が、350〜450℃において、金属箔とロウ材合金箔との間、ロウ材合金箔とセラミックス基板との間の接着に用いた有機接着剤の除去が容易となる。仮接合雰囲気温度が、400〜500℃において、ロウ材合金箔の液相生成により金属箔とセラミックス基板の強固な接合が可能となる。また、拡散雰囲気温度420〜550℃において、ロウ合金中の金属成分の一部を金属箔中に拡散させることができ、金属箔とセラミックスの間の接合が強固になる。
【0027】
仮接合部では、予加熱された積層体は加圧加熱されるが、拡散部ではその加圧が解放される。予加熱部での加圧は行っても行わなくてもよい。加圧力は、30〜100MPaであることが好ましく、30MPa未満であると、ロウ材合金箔とセラミックス基板の密着が確保できず、接合不良となる恐れがある。100Paをこえると、セラミックス基板が割れる恐れがある。ロールの材質は、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、サイアロン等であるが、熱変形のしにくい窒化ケイ素と窒化ホウ素との複合焼結体が特に好ましい。
【0028】
拡散部では、仮接合体の加圧が解放されて熱処理される。この工程を経ることによって、ロウ材の金属成分の一部を金属箔中に拡散させることができ、強固な接合強度が得られる。たとえば、金属箔がAlで、ロウ材合金箔成分がAl−Cu系である場合には、Al中にCuを拡散させることができる。拡散距離は50〜100マイクロメートルであることが好ましく、これは雰囲気温度と熱処理時間によって調整することができる。
【0029】
本発明において、重要なことは、チャンバー内雰囲気が、水素、窒素、アルゴン等の非酸化性であって、しかも酸素濃度が50ppm以下に保持されていることである。これによって、ロウ材合金箔の表面張力が小さくなるので、ロウ材合金箔の融点よりも低い温度でロウ材合金箔を溶融することができ、より低温で強固に金属箔とセラミックス基板の接合が可能となる。また、アルミニウムの溶融温度である660℃よりも100〜200℃低い温度で仮接合が可能となるので、仮接合工程で加圧加熱されても、Al箔の変形量は2〜0.5%と小さくなり、回路基板製造時のエッチングレジスト塗布作業において、接合体と位置決め用冶具とを整合させるのに悪影響を与えない。
【0030】
本発明によって製造された接合体から回路基板を製造するには、常法に従い、接合体の不要な金属箔と接合層をエッチングによって除去した後、必要に応じてメッキが施される。レジストインクとしては、UV硬化し、アルカリ剥離型が用いられ、不要な金属箔と接合層の除去には、過酸化水素水およびフッ素化合物の混合溶液が好適に用いられる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例、比較例をあげて更に具体的に本発明を説明する。
【0032】
参考例1
有機系接着剤(ポリイソブチルメタクリル酸30%のトルエン溶液)をAl箔(48.0×50.0×0.40mm厚)とロウ材箔(Al−2017材、48.0×50.0×0.02mm厚、融点550℃)の接触面に塗布し、両箔を接着した。これのロウ材箔面に上記と同じ有機系接着剤を塗布し、上記有機系接着剤の塗布された窒化アルミニウム基板(48.0×50.0×0.635mm厚、熱伝導率170W/mK、曲げ強さ400MPa)の表裏両面に重ねた後、上下面より1MPaの応力を付与して積層体とした(工程1)。
【0033】
つぎに、これをC−Cコンポジット板に挟み、酸素濃度30ppm、温度620℃の窒素雰囲気中、上下方向から5MPaで加圧するホットプレスを2.5時間行い、接合体を製造した。
【0034】
比較例1
加圧時の加熱接合の雰囲気を、酸素濃度1%、温度470℃の窒素雰囲気としたこと以外は、実施例1と同様にして接合体を製造した。
【0035】
比較例2
有機系接着剤(ポリイソブチルメタクリル酸30%のトルエン溶液)を使用しないで積層体を作製したこと以外は、実施例1と同様にして接合体を製造した。
【0036】
実施例2
工程1で得られた積層体を、0.3mm厚のステンレス製ベルトにのせ、酸素濃度30ppmの窒素雰囲気で、予加熱部の平均温度400℃、仮接合部の平均温度460℃、拡散部の平均温度470℃の加熱プログラムが設定され、しかも仮接合部にその平均温度に保たれたロール荷重30MPaのツインロールが配置されたチャンバー内へ搬入し、連続的に一連の工程を終えさせてから搬出し、接合体を製造した(工程2〜4)。なお、チャンバー内における被熱処理物の移動速度は3mm/sec、各部の滞留時間は、予加熱部が10分、仮接合部が15分、拡散部が35分(合計60分)である。
【0037】
実施例3
窒化アルミニウム基板の代わりに窒化ケイ素基板(48.0×50.0×0.635mm厚、熱伝導率70W/mK、曲げ強さ800MPa)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして接合体を製造した。
【0038】
実施例4
チャンバー内の雰囲気酸素濃度を10ppmにしたこと以外は、実施例2と同様にして接合体を製造した。
【0039】
実施例5
チャンバー内の予加熱部の平均温度を430℃にしたこと以外は、実施例2と同様にして接合体を製造した。
【0040】
実施例6、参考例
チャンバー内の仮接合部の平均温度を450℃(実施例6)又は530℃(参考例7)にしたこと以外は、実施例2と同様にして接合体を製造した。
【0041】
実施例8、参考例
チャンバー内の拡散部の平均温度を470℃(実施例8)又は600℃(参考例9)にしたこと以外は、実施例2と同様にして接合体を製造した。
【0042】
実施例10
チャンバー内の予加熱部の平均温度を430℃、仮接合部の平均温度を450℃、拡散部の平均温度を480℃とし、仮接合部の加圧力を60MPaとしたこと以外は、実施例4と同様にして接合体を製造した。
【0043】
得られた各接合体のアルミニウム回路形成面(表側)には所定形状の回路パターンを、放熱アルミニウム板形成面(裏側)に放熱板パターンを形成させるように、UV硬化型レジストインク(互応化学社製商品名「PLAS FINE」)をスクリーン印刷で塗布後、UVランプを照射させてレジスト膜を硬化させ、Al板と接合層を塩化第2鉄溶液でエッチング処理を行い、Al箔の不要部分を溶解解除した後、レジスト膜を5%苛性ソーダ溶液で剥離して無電解Ni−Pメッキ(3マイクロメートル厚)を施し、回路基板を作製した。
【0044】
その後、−80℃、5分→室温、5分→350℃、5分→室温、5分を1サイクルとして30サイクルの熱履歴試験を実施し、(1)膨れ・剥がれ等の外観、(2)断面観察による半田クラックの発生状態、(3)回路基板の回路部分を溶解し、インクテストによるセラミックス基板へのクラック発生状態、(4)回路基板の回路部分を溶解し、ロウ材合金滲み出し状態、(5)マイクロメーターによるAl変形量を測定した。また、(6)接合体の生産性を評価した。それらの結果を、以下の3段階評価を行い、表1に示した。
【0045】
(1)膨れ・剥がれ等の外観
「1」:膨れ・剥がれによる外観不良率が1%以上
「2」:膨れ・剥がれによる外観不良率が0.01〜1%未満
「3」:膨れ・剥がれによる外観不良率が0.01%未満
(2)半田クラックの発生状態
「1」:Al箔とAlN基板の間の半田部での接合不良率が5%以上
「2」:Al箔とAlN基板の間の半田部での接合不良率が0.01〜5%未満
「3」:Al箔とAlN基板の間の半田部での接合不良率が0.01%未満
(3)セラミック基板へのクラック発生状態
「1」:セラミック基板の抗折強度低下が10%以上
「2」:セラミック基板の抗折強度低下が1〜10%未満
「3」:セラミック基板の抗折強度低下が1%未満
(4)ロウ合金箔の滲み出し状態
「1」:ロウ合金箔の滲み出しが原因で発生した部分放電の発生確率が1%以上
「2」:ロウ合金箔の滲み出しが原因で発生した部分放電の発生確率が0.01〜1%未満
「3」:ロウ合金箔の滲み出しが原因で発生した部分放電の発生確率が0.01%未満
(5)Al変形量
「1」:2%以上
「2」:0.5〜2%未満
「3」:0.5%未満
(6)生産性
「1」:接合体の製造量が50個/h未満
「2」:接合体の製造量が50〜100個/h未満
「3」:接合体の製造量が100個/h以上
【0046】
【表1】
Figure 0003853290
【0047】
表1から、次のことが分かる。酸素濃度50ppm以下の非酸化性雰囲気下で加圧加熱接合をすることによって、外観、半田クラックの発生、セラミックス基板のクラック発生、ロウ材合金の滲み出し、Al変形量の全ての特性において全く問題のない接合体と回路基板を製造することができた(実施例1)。また、ロール方式を採用することによって、上記特性に問題のない接合体を生産性良く製造することができ(実施例2〜9)、とくに接合条件を選択することによって、上記特性に全く問題のない接合体を生産性良く製造することができた(実施例10)。これに対し、酸素濃度50ppm以下の非酸化性雰囲気下で積層体を加圧加熱すると、セラミックス基板に大きなクラックが発生し(比較例1)、また酸素濃度50ppm以下の非酸化性雰囲気下の加圧加熱であっても、積層体が有機接着剤を用いないで作製されていると、膨れ・剥がれ等の外観が悪化した(比較例2)。
【0048】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、セラミックス基板と金属箔、特に窒化アルミニウム基板又は窒化珪素基板とAl箔とAl合金箔からなる接合体を、生産性と信頼性を極めて高めて製造することができる。

Claims (2)

  1. 予加熱部、仮接合部及び拡散部を有し、加熱プログラムの設定された、酸素濃度50ppm以下の非酸化性雰囲気下のチャンバー内で次の工程2〜4を連続して経由させることを特徴とする接合体の製造方法。
    工程1:金属箔とロウ材合金箔とを有機系接着剤を用いて張り合わせ、そのロウ材合金箔面をセラミックス基板の片面又は両面に有機接着剤を用いて張り合わせて積層体を作製する工程。
    工程2:この積層体を、ロウ材合金箔の融点以下の温度に保持された非酸化性雰囲気下の予加熱部で予加熱する工程。
    工程3:上記予加熱された積層体を、ロウ材合金箔の融点以下で、しかも上記予加熱部温度よりも高温に保持された非酸化性雰囲気下の仮接合部で加圧加熱を行い、金属箔とセラミックス基板の仮接合体を作製する工程(仮接合部と予加熱部の温度差は最大で150℃である)
    工程4:上記仮接合体を、上記仮接合部温度よりも高温に保持された非酸化性雰囲気下の拡散部で加熱し、金属箔とセラミックス基板の接合体を作製する工程(拡散部と仮接合部の温度差は最大で50℃である)
    ここで、ロウ材合金箔の融点とは、示差走査熱量分析を用い、JIS K7121に準じて測定された転移温度であると定義される。
  2. チャンバー内における被熱処理物の可動速度が1〜5mm/secであり、予加熱部の雰囲気温度が350〜450℃、仮接合部の雰囲気温度が400〜500℃、拡散部の雰囲気温度が420〜550℃であり、加圧力が30〜100MPaであることを特徴とする請求項1記載の接合体の製造方法。
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