JP3852638B2 - 異形断面ポリウレタン弾性繊維及びそれを用いたストッキング - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な断面形状を有するポリウレタン弾性繊維及び、それを用いたパンティーストッキングに関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融紡糸可能なポリウレタン弾性繊維あるいは、乾式紡糸法で製造されるポリウレタンウレア弾性繊維の断面は通常円形か、もしくは楕円形や亜鈴形が従来公知である。異形断面を有する弾性繊維の例としては、糸の長さ方向の均一性向上を目的とした、複数本の単繊維を紡口より押し出し、押し出された各単繊維がその輪郭を保ったまま、繊維の長さ方向に融着もしくは粘着されて、異形断面のモノフィラメント状になったポリウレタン弾性繊維が、特開昭53−139847号公報に開示されている。又、チーズ最外周の滑落、及び解舒時の滑落防止を目的とした、多葉断面の熱可塑性弾性繊維が特開平4−354763号公報に、更には弾性回復性、カバリング性の向上を目的とした、3〜5個の突起部を有するポリエーテルエステル弾性繊維が、特開平5−86508号公報に開示されている。一方、特開平7−197318号公報には、経編生地の「笑い」を防止する目的で、3個以上の突起部を有する異形断面のポリウレタンウレア弾性繊維が開示されている。上記提案はいずれも、糸の均一性あるいは後加工操業性の向上を狙った提案あるいは、経編生地の品質向上を意図した提案であり、ポリウレタン弾性繊維に関しては上記以外の断面形状は知られていない。
【0003】
婦人用ストッキングは、ポリウレタン弾性繊維にナイロン繊維を巻き付けたカバリング糸と、交編糸を交互に編立てた交編サポートストッキングや、カバリング糸のみでレッグ部を編立てたゾッキサポートストッキングが一般的に知られている。特に、ゾッキサポートストッキングの場合、目面の美しさ、フィット性、耐久性の点から溶融紡糸されたポリウレタン弾性繊維を用いることが有利であることが、例えば「The Legwear 」1993年3月号に開示されている。従来、ゾッキサポートストッキングに用いられるポリウレタン弾性繊維の断面形状は円形であり、製品の風合いは主に巻糸である、非弾性繊維のデニールや、断面形状によって変化することはよく知られている。特に、ゾッキサポートストッキングの場合、製品のぬめり感が強く、夏場には敬遠される傾向がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、新規な断面形状を有するポリウレタン弾性繊維を提供し、新規な風合いのストッキングを得ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリウレタン弾性繊維の断面形状と、それらを用いたパンティーストッキングの風合いの関係について鋭意研究したところ、ポリウレタン弾性繊維の横断面において、単糸の外周部の突起の数を3つ以上持ち、断面の外接円半径(R)と内接円半径(r)の比R/rが4.0〜7.0のポリウレタン弾性繊維を用いることにより、従来にないドライ感に優れるパンティーストッキングを得ることが出来ることを発見し、本発明に至ったものである。更に、該突起部の形状がL字あるいはT字型の断面形状にすることで、さらにその効果が増すことも併せて見出した。尚、外接円半径Rは糸断面において、少なくとも3点以上の頂点に接する円とする。
【0006】
本発明のポリウレタン弾性繊維の単糸の外周部に、突起の数を3つ以上有するポリウレタン弾性繊維を得る方法としては、例えば異形紡糸口金を用いて溶融紡糸する方法を提示することができ、異形の例としてノズル中心に対して円周上に突起を有する形状を挙げることができる。更に、突起部の形状がT字形あるいは、L字形であるポリウレタン弾性繊維を得る方法としては、突起の形状がT字形あるいはL字形の紡糸口金を用いることで達成できる。ここで、製品の光沢などの外観品位と、表面特性から得られる触感の一つであるドライ感の関係から好ましい突起部の数は3〜8個で、更に好ましくは4から6個である。突起部の数が8個より大きいと、製品の光沢が著しく増すため好ましくない。一方、突起部の数が2個以下であるということは、先に述べた亜鈴型断面と実質同一であると同時に、パンティーストッキングに十分なドライ感を付与することが出来ないといった問題が生じる。又、突起部の形状をL字あるいはT字型にすることで、同じ突起部の数でもドライ感を更に付与することが可能となる。この際、断面の外接円半径(R)と内接円半径(r)の比R/rが2.0以上であることが肝要である。当該比が2.0未満であると、製品にドライ感を付与することが困難となる。好ましくは、当該比を3.0〜8.0、更には4.0〜7.0に設定することが好ましい。
【0007】
かかる異形断面ポリウレタン弾性繊維は、製品を製造するに際し、通常のカバリング方法及び、ストッキングの製造方法を採用することができる。更に、該異形断面ポリウレタン弾性繊維の突起部は、カバリング糸となった段階では、被覆糸の圧縮力によって旋回方向に歪んだ形状を呈するものの、厳密には、表面の一部が露出している。この露出した一部の表面が、製品にドライ感を付与するものと考えられる。
【0008】
また、ストッキングを製造するに際し、該ポリウレタン弾性繊維は、モノフィラメントであることが、製品の耐久性、コース斑などの外観品位の観点から望ましい。更に、着用しやすいストッキングを得るためには、熱セット率が40%以上、さらに好ましくは45〜85%、更に好ましくは55〜80%であることが望ましく、溶融紡糸により得られたポリウレタン弾性繊維であることが望ましい。ここでいう、熱セット率とはポリウレタン弾性繊維のデニール当たり1mgの荷重を掛け長さk0 を初期長とする。次いで、試料を2倍に伸張し、伸張した状態で乾熱140℃で1分間処理する。次いで、試料を弛緩し10分間静置したあと、1mg/dの荷重下で長さk1 を測定する。上記測定により、熱セット率を下式で定義する。
熱セット率(%)=(k1 −k0 )/k0 ×100
【0009】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これにより本願発明が何ら限定されるものではない。尚、本発明における外接円半径(R)と内接円半径(r)の比R/rは以下の方法によって求めた。
(半径比率)外接円半径(R)と内接円半径(r)との比率R/rは、異形断面糸の長さ方向に対し垂直に切断し、その断面の拡大写真を撮影し、作図によって外接円半径(R)と内接円半径(r)を定め、その比率から求める。尚、外接円半径Rは、糸断面における少なくとも3点以上の頂点に接する円とする。
【0010】
【実施例】
(実施例1)
ポリブチレンアジペートと4,4’ジフェニルメタンジイソシアネ ート(MDI)と、1,4ブタンジオール(BD)からなる、ショアA硬度83の熱可塑性ポリウレタン樹脂を220℃で溶融し、表1(イ)に示す断面形状を有する紡糸口金を用い、700m/分で20デニールの異形断面ポリウレタン弾性繊維を巻き取った。得られた糸の断面写真を図1に示す。該ポリレタン弾性繊維の強度は1.3g/d、伸度は480%、熱セット率は60%であった。
【0011】
次いで、カキノキ製KE−3シングルカバリングマシンを用い、ドラフト率3.2、撚数1800T/m、スピンドル回転数25000rpmで、10d/7fのナイロンフィラメントをカバリングしたシングルカバードヤーンを得た。
【0012】
次いで、永田精機製4口編機スーパー4−IIを用い、前記シングルカバードヤーンのS撚糸とZ撚糸を交互に配して編立てた。編立てた生機を、ASHIDA製スチーマで、105℃の収縮熱処理を施した。次いで、ツマ先部を縫製し、2本の編地のウェルト部を縫製してパンティー部に仕上げた後、酸性染色を施した。
脱水後、生地を足型にセットし、120℃で湿熱セットを施しストッキングを得た。
【0013】
【表1】
【0014】
(実施例2)
実施例1記載と同一原料を用い、表1(ロ)記載の断面形状を有する紡糸口金で溶融紡糸し、20dモノフィラメントの異形断面ポリウレタン弾性繊維を得た。該ポリレタン弾性繊維の強度は1.1g/d、伸度は450%、熱セット率は55%であった。次いで、実施例1記載と同様の方法でストッキングを作成した。
【0015】
(実施例3)
実施例1記載と同一原料を用い、表1(ハ)記載の断面形状を有する紡糸口金で溶融紡糸し、20dモノフィラメントの異形断面ポリウレタン弾性繊維を得た。該ポリレタン弾性繊維の強度は1.5g/d、伸度は420%、熱セット率は65%であった。次いで、実施例1記載と同様の方法でストッキングを作成した。
【0016】
(実施例4)
実施例1記載同一原料を用い、表1(ニ)記載の断面形状を有する紡糸口金で溶融紡糸し、20dモノフィラメントの異形断面ポリウレタン弾性繊維を得た。該ポリレタン弾性繊維の強度は1.5g/d、伸度は420%、熱セット率は69%であった。次いで、実施例1記載と同様の方法でストッキングを作成した。
【0017】
(比較例1)
実施例1記載と同一原料を用い、0.3mmΦの紡糸口金で溶融紡糸し、20dモノフィラメントの丸断面ポリウレタン弾性繊維を得た。該ポリレタン弾性繊維の強度は1.5g/d、伸度は520%、熱セット率は55%であった。次いで、実施例1記載と同様の方法でストッキングを作成した。
【0018】
得られたストッキングの製品の評価を、20名のモニターの着用評価で実施した。結果は、表1に示すとおりである。
即ち、本発明にかかるポリレタン弾性繊維を用いたストッキングはドライ感及び光沢に優れ、耐久性にも富む新規な風合いのストッキングであった。
【0019】
【発明の効果】
本発明によると、ドライ感及び光沢に優れ、耐久性にも富む新規な風合いのストッキングを提供することを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリレタン弾性繊維の横断面形状の一態様。
Claims (5)
- 繊維の横断面において、単糸の外周部の突起数が3以上あり、且つ断面の外接円半径(R)と内接円半径(r)の比R/rが4.0〜7.0であることを特徴とする異形断面ポリウレタン弾性繊維。
- 突起部の形状が、I字型、T字型、L字型のいずれか1種もしくは2種以上であることを特徴とする請求項1記載の異形断面ポリウレタン弾性繊維。
- 熱セット率が40%以上であることを特徴とする請求項1記載の異形断面ポリウレタン弾性繊維。
- モノフィラメントであることを特徴とする請求項1記載の異形断面ポリウレタン弾性繊維。
- 請求項1記載のポリウレタン弾性繊維を芯糸とし、これに非弾性繊維を巻付けたカバリング糸を少なくともレッグ部に用いてなることを特徴とするストッキング。
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