JP3852309B2 - 積層型圧電体素子及びその製造方法、並びに、圧電アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は積層型圧電体素子及びその製造方法にかかり、特には、独立駆動可能なアクチュエータユニットを有してなる圧電アクチュエータを作製するために用いられる積層型圧電体素子と、その製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、インクジェット方式のプリンタが備えているプリンタヘッドは、圧電アクチュエータを利用して駆動されるのが一般的となっている。そして、このような圧電アクチュエータの一例としては、特開平11−320881号公報で開示され、かつ、図12で外観形状を示すような構成とされた積層型圧電体素子31を用いて作製されるものがある。
【0003】
この積層型圧電体素子31は、第1及び第2の駆動用内部電極32,33それぞれが圧電体層を介して交互に積層された駆動部34と、接続用内部電極35の各々が圧電体層を介して積層された接続部36とを有してなる直方体形状のセラミック焼結体である圧電積層体37を具備している。なお、圧電積層体37の駆動部34の圧電体層は分極されており、交流電圧が印加されることによって積層方向X、いわゆるd33方向に沿って伸び縮み動作することになっている。
【0004】
そして、第1の駆動用内部電極32は、積層型圧電体素子31を一方側から見た状態を示す図12(a)のように、圧電積層体37の互いに対向しあう側面37a,37bのうちの一方、つまり、第1の側面37aからのみ端縁部が露出しており、その他方である第2の側面37bからは端縁部が露出しないものとなっている。また、第2の駆動用内部電極33は、積層型圧電体素子31を他方側から見た状態を示す図12(b)のように、圧電積層体37の第2の側面37bからは端縁部が露出しているものの、その第1の側面37aからは端縁部が露出していないものであり、接続用内部電極35は第1及び第2の側面37a,37bいずれからも端縁部が露出している。
【0005】
圧電積層体37の第1の側面37aには駆動用外部電極38及び接続用外部電極39のそれぞれが所定幅の空隙部分40を介したうえで並列して形成されており、これらの外部電極38,39それぞれに対しては、第1の駆動用内部電極32と接続用内部電極35とが各別に導通している。また、圧電積層体37の第2の側面37bには共通外部電極41がほぼ全面にわたって形成されており、この共通外部電極41には第2の駆動用内部電極33及び接続用内部電極35の双方ともが導通している。
【0006】
さらに、この際における共通外部電極41は第2の側面37bのほぼ全面にわたって形成されたものであるのに対し、駆動用外部電極38及び接続用外部電極39のそれぞれは、第1の側面37aの下端側に所定幅の空隙部分42を設けたうえ、つまり、圧電積層体37の下面から空隙部分42を介して離間する状態としたうえで形成されている。そこで、積層型圧電体素子31の駆動部34は、図13で示すような断面構造を有している。
【0007】
ところで、積層型圧電体素子31を用いることによっては、図14で外観形状を示すような構成とされた圧電アクチュエータ45が作製される。すなわち、積層型圧電体素子31は接着剤などを利用したうえで支持基板46上に固定されることになっており、支持基板46上に固定された積層型圧電体素子31が具備する圧電積層体37の駆動部34に対しては、その積層方向Xに沿う上面側から下面側へと向かう複数のスリット47が切り込み形成される。
【0008】
そして、圧電アクチュエータ45を一方側から見た状態を示す図14(a)のように、スリット47が第1及び第2の駆動用内部電極32,33を分断しており、かつ、駆動用外部電極38を分断している結果、圧電積層体37の駆動部34は複数に分割されており、この分割された駆動部34によっては、独立駆動可能な複数のアクチュエータユニット48が構成されている。
【0009】
また、この際においては、駆動用外部電極38が分断されたことによって複数のユニット外部電極49が構成されており、これらユニット外部電極49の各々はアクチュエータユニット48のそれぞれと対応している。なお、圧電アクチュエータ45が有する駆動部34と接続部36との間をスリット47で分割してもよく、図14(b)は圧電アクチュエータ45を他方側から見た状態を示している。
【0010】
さらに、アクチュエータユニット48が構成された圧電アクチュエータ45に対しては、図示省略しているが、外部に設置された駆動信号源から引き出されたフレキシブル配線基板が接続されることになる。そして、ユニット外部電極49のそれぞれと共通外部電極41、実際的には、接続用内部電極35を介して共通外部電極41と接続されている接続用外部電極39との間に異なった極性の電圧を印加すると、アクチュエータユニット48のそれぞれは互いに独立して駆動されることとなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、積層型圧電体素子31から圧電アクチュエータ45を作製するに際しては、圧電積層体37の積層方向Xに沿う上面側から下面側へと向かう複数のスリット47を駆動部34に対して切り込み形成することとし、これらのスリット47でもって第1及び第2の駆動用内部電極32,33を分断すると同時に、駆動用外部電極38を分断することが行われる。そして、この場合には、第1及び第2の駆動用内部電極32,33と駆動用外部電極38とを確実に分断する必要がある都合上、スリット47を圧電積層体37の下面近傍まで深く切り込み形成しておくのが一般的である。
【0012】
一方、圧電積層体37の積層方向Xに沿う上端部及び下端部、つまり、第1及び第2の駆動用内部電極32,33の上側及び下側それぞれに位置している上端部及び下端部は圧電的に不活性であるため、積層型圧電体素子31の小型化を促進するうえからは、これら上端部及び下端部の有する厚みができる限り薄いことが望ましい。従って、スリット47を深く切り込み形成した際には、圧電積層体37の第2の側面37bに形成された共通外部電極41における導通経路部分41a、つまり、スリット47の下端縁と圧電積層体37の下面とスリット47の下端縁とで挟まれた領域である導通経路部分41aが、例えば、0.1〜0.2mm程度と狭くなってしまう。
【0013】
そして、共通外部電極41の導通経路部分41aが狭い場合には、アクチュエータユニット48同士間の導通抵抗が増すこととなり、その結果として圧電アクチュエータ45全体における導通性の低下が避けられなくなる。また、共通外部電極41の導通経路部分41aが狭くなっていると、駆動信号源からの駆動電流が導通経路部分41aに集中して流れるため、これらの導通経路部分41aが断線してしまうというような不都合も生じる。
【0014】
本発明はこのような不都合に鑑みて創案されたものであり、共通外部電極の導通経路部分が狭くても導通抵抗の増大が発生せず、圧電アクチュエータにおける導通性の向上を実現することが可能な構成とされた積層型圧電体素子と、その製造方法との提供を目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1にかかる積層型圧電体素子は、第1及び第2の駆動用内部電極が交互に積層して形成された駆動部と、第1の接続用内部電極が積層して形成された接続部とを有し、対向しあう側面の一方には少なくとも前記第1の駆動用内部電極及び第1の接続用内部電極の各々と導通する駆動用外部電極及び接続用外部電極が並列して形成され、かつ、その側面の他方には少なくとも前記第2の駆動用内部電極及び第1の接続用内部電極の双方と導通する共通外部電極が形成された直方体形状の圧電積層体からなり、該圧電積層体の積層方向に沿う上面側から下面側へと向かって切り込み形成されるスリットで前記駆動用内部電極及び駆動用外部電極が分断されるのに伴って独立駆動可能な複数個のアクチュエータユニットが構成されるものとなっている。そして、この積層型圧電体素子は、前記スリットの下端縁よりも下側に位置する前記圧電積層体の下端部内には前記共通外部電極と導通する第2の接続用内部電極が形成されており、かつ、該第2の接続用内部電極は前記駆動用内部電極と離間したうえで平行に配置されていることを特徴とする。なお、第2の接続用内部電極は、少なくとも1層以上形成されていることが好ましい。
【0016】
この構成においては、圧電積層体の下端部内に共通外部電極と導通する第2の接続用内部電極を形成しているが、この第2の接続用内部電極がスリットでもって分断されることは起こらない。そこで、スリットの切り込み形成に伴って共通外部電極の導通経路部分が狭くなったとしても、アクチュエータユニット同士の導通は第2の接続用内部電極を介したうえで確保される。そのため、アクチュエータユニット同士間の導通抵抗が増大する結果として圧電アクチュエータ全体の導通性が低下することはなくなり、共通外部電極の導通経路部分が断線することも起こり得ない。
【0017】
本発明の請求項2にかかる積層型圧電体素子は請求項1に記載したものであって、第1及び第2の駆動用内部電極は同一の平面形状を有する印刷パターンから形成されたものであり、第2の接続用内部電極も前記駆動用内部電極と同一の平面形状を有する印刷パターンから形成されたものであることを特徴としている。そして、請求項3にかかる積層型圧電体素子は請求項1または請求項2に記載したものであり、第2の接続用内部電極は第2の駆動用内部電極とほぼ同一の平面形状を有していることを特徴とする。すなわち、このような構成であれば、第2の接続用内部電極が十分な断面積を有しているため、圧電アクチュエータにおける導通性を十分かつ確実に確保し得ることとなる。
【0018】
本発明の請求項4にかかる積層型圧電体素子は請求項1〜請求項3のいずれかに記載したものであり、駆動用外部電極及び接続用外部電極が形成される圧電積層体の側面には、該圧電積層体の下面からスリットの下端縁より上側にまで至りながらも第1及び第2の駆動用内部電極までは至らない深さとされ、その側面には第2の接続用内部電極の端縁部が露出する切り欠き部が前記駆動用内部電極及び第1の接続用内部電極と平行に形成されており、かつ、該切り欠き部の側面には前記第2の接続用内部電極と導通する導通用外部電極が形成されていることを特徴とする。
【0019】
この構成においては、駆動用外部電極及び接続用外部電極が形成される圧電積層体の側面における下端縁に沿って切り欠き部を形成するとともに、この切り欠き部の側面に対して第2の接続用内部電極と導通する導通用外部電極を形成している。そのため、スリットの切り込み形成に伴って構成されたアクチュエータユニット同士の導通は、第2の接続用内部電極のみならず、導通用外部電極をも介したうえで確保されることになる。
【0020】
本発明の請求項5にかかる積層型圧電体素子の製造方法は請求項4に記載した積層型圧電体素子の製造方法であり、切り欠き部が形成済みの圧電積層体を蒸着源またはスパッタリング源に対する傾斜状態として支持したうえ、駆動用外部電極と接続用外部電極と導通用外部電極とのそれぞれを一括して形成する工程とを含んでいることを特徴とする。この方法であれば、圧電積層体に形成された切り欠き部の側面に対する導通用外部電極を極めて容易に形成し得ることとなり、この導通用外部電極を駆動用外部電極及び接続用外部電極と同時的に形成することが可能となるため、これら外部電極の形成時に要する手間が増えることがないという利点が確保される。
【0021】
本発明の請求項6にかかる圧電アクチュエータは、請求項1〜請求項4のいずれかに記載した積層型圧電体素子を用いて作製される圧電体アクチュエータであり、 圧電体素子の駆動部はその積層方向に沿う上面側から下面側へと向かって切り込み形成されたスリットで分割されており、該スリットで前記駆動部内に積層された第1及び第2の駆動用内部電極が分断されたのに伴って独立駆動可能な複数個のアクチュエータユニットが構成されていることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態にかかる積層型圧電体素子の外観形状を示す斜視図であり、図2はその駆動部の断面構造を示す横断面図である。また、図3は本実施形態にかかる積層型圧電体素子を用いて作製される圧電アクチュエータの外観形状を示す斜視図であり、これらの図中の符号1は積層型圧電体素子、2は圧電アクチュエータ、3は第2の接続用内部電極を示している。なお、本実施形態にかかる積層型圧電体素子の全体構造は、第2の接続用内部電極が形成されている点を除くと、従来形態のものと基本的に異ならないので、図1〜図3において、図12〜図14と同一もしくは相当する部品、部分には同一符号を付している。
【0024】
第1の実施形態にかかる積層型圧電体素子1は圧電アクチュエータ2を作製するためのものであり、図1で示すように、第1及び第2の駆動用内部電極32,33が圧電体層を介して交互に積層された駆動部34と、第1の接続用内部電極35が圧電体層を介して積層された接続部36とを有する直方体形状のセラミック焼結体である圧電積層体37を具備している。そして、この圧電積層体37が有する駆動部34内に積層された第1の駆動用内部電極32は、積層型圧電体素子1を一方側から見た状態を示す図1(a)のように、圧電積層体37の対向しあう側面37a,37bのうちの一方、つまり、第1の側面37aのみからは端縁部が露出しているものの、第2の側面37bからは端縁部が露出しないものとなっている。
【0025】
また、この際における第2の駆動用内部電極33は、積層型圧電体素子1を他方側から見た状態を示す図1(b)のように、圧電積層体37の第2の側面37bのみから端縁部が露出し、第1の側面37aからは端縁部が露出しないものとなっている。さらに、圧電積層体37が有する接続部36内に積層された第1の接続用内部電極35は、圧電積層体37における第1及び第2の側面37a,37bのいずれからも端縁部が露出するものとなっている。
【0026】
一方、圧電積層体37の駆動部34における積層方向Xに沿った下端部、つまり、第1及び第2の駆動用内部電極32,33よりも下側に位置する下端部内には、第2の接続用内部電極3が形成されている。すなわち、第2の接続用内部電極3は、圧電アクチュエータ2の作製時に切り込み形成されるスリット47の下端縁47aとなるべき位置よりも下側に位置する圧電積層体37の下端部内に形成されたものであり、第1及び第2の駆動用内部電極32,33とは互いに離間したうえで平行となるようにして配置されている。
【0027】
なお、この際における第2の接続用内部電極3は、第1及び第2の駆動用内部電極32,33と同様、数mm程度の幅寸法を有しているのが一般的となっている。また、図1〜図3では、第2の接続用内部電極3が1層だけ形成されているが、1層だけではなく、第2の接続用内部電極3を複数層にわたって形成しておいてもよく、少なくとも1層以上形成しておく方が好ましいことは勿論である。
【0028】
そして、この際における第2の接続用内部電極3は、第2の駆動用内部電極33とほぼ同一の平面形状を有しており、圧電積層体37の第2の側面37bからは端縁部が露出するものの、第1の側面37aからは端縁部が露出しないものとなっている。なお、図1(b)で示すように、第2の接続用内部電極3と同一の平面上に対し、第1の接続用内部電極35が並列して配置されていてもよい。
【0029】
また、圧電積層体37における第1の側面37aには駆動用外部電極38及び接続用外部電極39が所定幅の空隙部分40を介したうえで並列して形成されており、これらの外部電極38,39それぞれに対しては第1の駆動用内部電極32及び第1の接続用内部電極35が各別として電気的に導通している。さらに、この際における第2の側面37bには共通外部電極41がほぼ全面にわたって形成されており、この共通外部電極41に対しては、第2の駆動用内部電極33のみならず、第1及び第2の接続用内部電極35,3までもが共通して電気的に導通している。
【0030】
そこで、共通外部電極41は、圧電積層体37の接続部36内に積層されている第1の接続用内部電極35を介したうえ、圧電積層体37における第1の側面37aに形成された接続用外部電極39と互いに接続されている。その結果、第1の実施形態にかかる積層型圧電体素子1の駆動部34は、図2で示すような断面構造を有することになる。なお、図2中の仮想線は、圧電アクチュエータ2の作製時に切り込み形成されるスリット47の下端縁47aとなるべき位置を示している。
【0031】
さらに、積層型圧電体素子1を用いては、従来形態と同様の手順に従うことにより、図3で外観形状を示すような圧電アクチュエータ2が作製される。すなわち、この圧電アクチュエータ2は、接着剤などを利用して支持基板46上に固定された積層型圧電体素子1の駆動部34がその積層方向Xに沿う上面側から下面側へと向かって切り込み形成されるスリット47で分断されたものである。そして、これらのスリット47でもって第1及び第2の駆動用内部電極32,33が分断されているため、圧電積層体37の駆動部34は独立駆動が可能な複数個のアクチュエータユニット48となっている。
【0032】
また、スリット47によっては、圧電アクチュエータ2をその一方側から見た状態を示す図3(a)のように、駆動用外部電極38も分断されており、駆動用外部電極38が分断されることに伴っては、個別化されたアクチュエータユニット48のそれぞれと対応する複数のユニット外部電極49が構成されている。なお、圧電アクチュエータ2が有する駆動部34及び接続部36間をスリット47でもって分割してもよいことは勿論であり、図3(b)はこのような構成とされた圧電アクチュエータ2をその他方側から見た状態を示している。
【0033】
さらにまた、アクチュエータユニット48を有する圧電アクチュエータ2に対しては、図示省略しているが、外部に設置された駆動信号源からのフレキシブル配線基板が接続される。そして、ユニット外部電極49の各々と共通外部電極41、実際的には、接続用内部電極35を介して共通外部電極41と接続された接続用外部電極39との間に対しては交流電圧が印加される。その結果、圧電アクチュエータ2を構成しているアクチュエータユニット48のそれぞれは、各別として駆動されることとなる。
【0034】
すなわち、積層型圧電体素子1からなる圧電アクチュエータ2では、圧電積層体37の下端部内に形成されて共通外部電極41と導通している第2の接続用内部電極3がスリット47でもって分断されてしまうことが起こらない。従って、スリット47の切り込み形成に伴って共通外部電極41の導通経路部分41aが狭くなったとしても、アクチュエータユニット48同士の導通は第2の接続用内部電極3によって確保される。その結果、アクチュエータユニット48同士間における導通抵抗が増大することは起こらず、圧電アクチュエータ2全体の導通性が低下することも起こり得ないこととなる。
【0035】
なお、本実施形態における説明では、第2の接続用内部電極3が第2の駆動用内部電極33とほぼ同一の平面形状を有するもの、つまり、数mm程度の幅寸法とされたものであるとしているが、このような構成に限定されることはなく、共通外部電極41と導通している限りは、第2の接続用内部電極3が第2の駆動用内部電極33よりも幅寸法の狭いものであってもよいことは勿論である。但し、ほぼ同一の幅寸法である場合には、第2の接続用内部電極3が十分な断面積を有することとなり、圧電アクチュエータ2の導通性を十分かつ確実に確保することが可能となる。
【0036】
つぎに、第1の実施形態にかかる積層型圧電体素子1の製造方法を、図4及び図5に基づいて説明する。なお、ここでの図4は積層型圧電体素子が具備している圧電積層体そのものの製造方法を示す分解斜視図であり、図5はその変形例を示す説明図である。
【0037】
積層型圧電体素子1の圧電積層体37を製造する際には、まず最初に、図4で示しているようなグリーンシート4〜7を用意する。つまり、第1の駆動用内部電極32となる導電パターン8及び第1の接続用内部電極35となる導電パターン9が並列して形成されたグリーンシート4と、第1の接続用内部電極35となる導電パターン9及び第2の駆動用内部電極33となる導電パターン10が並列して形成されたグリーンシート5と、第1の接続用内部電極35となる導電パターン9及び第2の接続用内部電極3となる導電パターン11が並列して形成されたグリーンシート6と、何らの導体パターンも形成されていない無地のグリーンシート7とを用意する。
【0038】
ところで、第2の接続用内部電極3が第1の駆動用内部電極32とほぼ同一の幅寸法とされた平面形状を有する場合には、導電パターン8と導電パターン11とが同一となり、グリーンシート4及びグリーンシート6も同一であることになる。また、このグリーンシート6においては、第1の接続用内部電極35となる導電パターン9及び第2の接続用内部電極3となる導電パターン11が各別に形成されているが、図5で示すように、第1の接続用内部電極35及び第2の接続用内部電極3となる導電パターン12が一体的に形成されていてもよい。
【0039】
すなわち、このような導電パターン12を形成しておいた場合には、第1の接続用内部電極35及び第2の接続用内部電極3が一体化されているため、これらの内部電極3,35同士を各別に形成しているよりも、導通抵抗が低くなるという利点が確保される。そして、ここでのグリーンシート4〜7は、PZTなどの圧電体原料からなる平面視矩形状として作製されたものである一方、導電パターン8〜11はAgなどを主成分とする導電性ペーストのスクリーン印刷でもって形成された印刷パターンとなっている。
【0040】
また、この際における導電パターン8,11の各々は、その一方側端縁部がグリーンシート4,6の一方側長辺にまで到達しているものの、その他方側端縁部が他方側長辺にまでは到達しない形状とされている。さらに、導電パターン9はその両方側端縁部がともにグリーンシート4〜6の両方側長辺にまで到達した形状を有しているものの、導電パターン10はその一方側端縁部がグリーンシート5の一方側長辺にまで到達せず、その他方側端縁部のみが他方側長辺にまで到達した形状とされている。
【0041】
なお、ここでの導電パターン8,10,11は、同一形状とされたパターンを微妙に位置ずれさせることによっても形成可能である。すなわち、本実施の形態にかかる積層型圧電体素子1では、第1及び第2の駆動用内部電極32,33が同一の平面形状を有する印刷パターンである導電パターン8,10から形成されたものであり、第2の接続用内部電極3も駆動用内部電極32,33と同一の平面形状を有する印刷パターンである導電パターン11から形成されたものであることになっている。
【0042】
引き続き、グリーンシート4〜7の所定枚数ずつを図4で示すような順序で交互に繰り返して積層し、かつ、積層されたグリーンシート4〜7を積層方向Xに沿って一括的に圧着すると、未焼成状態の積層体ブロック13が作製される。なお、この際、導電パターン9,11が形成されたグリーンシート6は、無地のグリーンシート7によって上下から挟まれたうえで積層方向Xに沿った下側の位置に配置されている。そこで、作製された積層体ブロック13の互いに対向しあう側面の一方からは導電パターン8,9,11の端縁部が露出しており、その側面の他方からは導電パターン9,10,11の端縁部が露出している。その後、積層体ブロック13を焼成処理すると、圧電積層体37が作製される。
【0043】
ところで、図4に基づいて説明した製造方法は圧電積層体37を単一個ずつ作製する際の手順であるが、実際の製造工程では、以下のような手順に従って多数個の圧電積層体37を同時的に作製することが行われる。すなわち、図6で示すように、まず、多数組の導体パターン8,9が並列して形成された大面積のグリーンシート14と、多数組の導体パターン9,10が並列して形成された大面積のグリーンシート15と、多数組の導体パターン9,11が並列して形成された大面積のグリーンシート16とをそれぞれ用意する。引き続き、グリーンシート14,15の所定枚数ずつを交互に積層し、かつ、グリーンシート16を積層したうえで積層方向に沿って圧着すると、多数個の積層体ブロック13が並列されたのと対応した大きさを有する未焼成状態の親基板ブロックが作製される。
【0044】
その後、図示省略しているが、作製された親基板ブロックを焼成処理すると、分割されるのに伴って個別化される圧電積層体37が並列に連続している親基板が作製される。引き続き、作製された親基板の上下面をラップ研磨や平面研削で平坦化し、個々の圧電積層体37と対応する領域ごとを区分けしている所定の分割線Y,Zに沿って親基板を分割すると、分割に伴って個別化された圧電積層体37が得られる。
【0045】
ところで、図6で示したようなグリーンシート14,15,16を積層し、焼成処理後に分割した場合には、図6中に付記するように、分割線Y,Zが目標から位置ずれしていることがあり、その結果として隣接した導体パターン8,10それぞれの切れ端部分8a,10a,11aからなる電極部分(図示省略)が圧電積層体37の内部に形成されてしまうことがある。しかしながら、このような電極部分が形成されても、実用上、何らの不都合も生じないことは勿論である。
【0046】
その後、直方体形状を有する積層体ブロック13を焼成処理し、圧電積層体37を作製することが行われる。そして、作製された圧電積層体37の第1の側面37aに駆動用外部電極38及び接続用外部電極39を、また、その第2の側面37bに共通外部電極41をそれぞれ形成した後、所要の分極処理を施すと、図1で示した積層型圧電体素子1が作製されたことになる。なお、これら外部電極38,39,41のそれぞれは、導電性ペーストをスクリーン印刷したうえでの焼き付け処理や薄膜形成処理、例えば、蒸着やスパッタリングによって形成されるのが一般的である。
【0047】
(第2の実施形態)
図7は第2の実施形態にかかる積層型圧電体素子の外観形状を示す斜視図、図8はその駆動部の断面構造を示す横断面図であり、図9は本実施形態にかかる積層型圧電体素子を用いて作製される圧電アクチュエータの外観形状を示す斜視図である。そして、図10は積層型圧電体素子における外部電極の形成方法の一例を示す説明図、図11はその他の例を示す説明図であり、図7〜図9における符号21は積層型圧電体素子、22は圧電アクチュエータ、23は切り欠き部、24は導通用外部電極を示している。
【0048】
なお、第2の実施形態にかかる積層型圧電体素子の全体構造は、切り欠き部及び導通用外部電極が形成されている点を除くと、第1の実施形態にかかる積層型圧電体素子と基本的に異ならない。従って、図7〜図11において、図1〜図5と互いに同一となり、または、相当することになる部品、部分については同一符号を付し、ここでの詳しい説明は省略する。
【0049】
本実施形態にかかる積層型圧電体素子21は圧電アクチュエータ22を作製する際に用いられるものであり、図7及び図8で示すように、第1及び第2の駆動用内部電極32,33と、第1及び第2の接続用内部電極35,3とがそれぞれ内部に積層されてなる直方体形状の圧電積層体37を具備している。そして、この圧電積層体37における第1の側面37aには、その長手方向の下端縁に沿って開口した切り欠き部23が形成されている。
【0050】
すなわち、この切り欠き部23は、圧電積層体37の下面から所定の深さD、つまり、圧電アクチュエータ22の作製時に切り込み形成されるスリット47の下端縁47aとなるべき位置より上側にまで至りつつも、第1及び第2の駆動用内部電極32,33までは至らない高さ方向の深さDを有し、かつ、所定の幅Wを有する矩形断面形状とされたものであり、圧電積層体37の内部に積層された第1及び第2の駆動用内部電極32,33と第1の接続用内部電極35とに対して平行となるようにして形成されている。
【0051】
また、この際における第1の駆動用内部電極32は、積層型圧電体素子21を一方側から見た状態を示す図7(a)のように、圧電積層体37の第1の側面37aのみから端縁部が露出し、第2の側面37bからは端縁部が露出しないものとなっている。さらに、第2の駆動用内部電極33は、積層型圧電体素子21を他方側から見た状態を示す図7(b)のように、第2の側面37bのみから端縁部が露出しているものの、第1の側面37aからは端縁部が露出しないものとされており、第1の接続用内部電極35は、第1及び第2の側面37a,37bのいずれにも端縁部が露出している。
【0052】
さらにまた、第2の接続用内部電極3の端縁部それぞれは、圧電積層体37の第2の側面37bと、第1の側面37aに形成された切り欠き部23の側面とに露出している。そして、第2の接続用内部電極3の端縁部が露出した切り欠き部23の側面には、この第2の接続用内部電極3が導通することになる導通用外部電極24が形成されている。
【0053】
一方、圧電積層体37における第1の側面37aの切り欠き部23を除く領域には、駆動用外部電極38及び接続用外部電極39が空隙部分40を介したうえで並列に形成されているとともに、その第2の側面37bには共通外部電極41がほぼ全面にわたって形成されている。そこで、駆動用外部電極38及び接続用外部電極39のそれぞれには、第1の駆動用内部電極32と第1の接続用内部電極35とが各別に導通しており、共通外部電極41に対しては、第2の駆動用内部電極33と第2の接続用内部電極3とが各別に導通している。
【0054】
従って、この際における第2の接続用内部電極3は、共通外部電極41及び導通用外部電極24の双方と導通していることになる。その結果、第2の実施形態にかかる積層型圧電体素子21の駆動部34は、図8で示すような断面構造を有していることになる。なお、図8中の仮想線は、圧電アクチュエータ22の作製時に切り込み形成されるスリット47の下端縁47aとなるべき位置を示している。ところで、図7〜図9では、第2の接続用内部電極3が1層だけ形成されることになっているが、第2の接続用内部電極3は少なくとも1層以上形成されていることが好ましい。
【0055】
さらに、積層型圧電体素子21を用いては、図9で外観形状を示すような圧電アクチュエータ22が作製されることになり、この圧電アクチュエータ22は、支持基板46上に固定された積層型圧電体素子21の駆動部34をその積層方向Xに沿う上面側から下面側へと向かって切り込み形成されるスリット47で分断することによって複数のアクチュエータユニット48が構成されたものである。そして、一方側から見た状態を示す図9(a)のように、スリット47で分断された駆動用外部電極38はアクチュエータユニット48の各々と対応する複数のユニット外部電極49となっている。なお、圧電アクチュエータ22が有する駆動部34及び接続部36間をスリット47で分割してもよいことは勿論であり、図9(b)はこのような構成とされた圧電アクチュエータ22をその他方側から見た状態を示している。
【0056】
すなわち、積層型圧電体素子21においては、駆動用外部電極38及び接続用外部電極39が形成される圧電積層体37の第1の側面37aの下端縁に沿って切り欠き部23を形成しており、かつ、この切り欠き部23の側面に第2の接続用内部電極3と導通する導通用外部電極24を形成している。そして、積層型圧電体素子21を用いて作製される圧電アクチュエータ22では、第1の実施形態と同様、圧電積層体37の下端部内に形成されて共通外部電極41と導通している第2の接続用内部電極3がスリット47で分断されることが起こらない。
【0057】
従って、スリット47の切り込み形成に伴って共通外部電極41の導通経路部分41aが狭くなることがあったとしても、アクチュエータユニット48同士の導通は、共通外部電極41及び導通用外部電極24の双方に対して導通している第2の接続用内部電極3によって確保されることとなる。その結果、アクチュエータユニット48同士間における導通抵抗が増大することは抑制されることになり、圧電アクチュエータ22全体の導通性が低下してしまうことが回避される。
【0058】
つぎに、第2の実施形態にかかる積層型圧電体素子21の製造方法を、導通用外部電極の形成方法を示す説明図である図10及び図11に基づいて説明する。なお、この積層型圧電体素子21が具備している圧電積層体37そのものの作製方法は、図4に基づいて説明した第1の実施形態と基本的に異ならないので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0059】
すなわち、第1の実施形態と同様、積層型圧電体素子21が具備する圧電積層体37を作製するに際しても、導電パターン8〜11が各別に形成されたグリーンシート4〜7を用意しておき、これらのグリーンシート4〜7を積層したうえで一括的に圧着することが行われる。すると、未焼成状態の積層体ブロック13が作製されたことになり、この積層体ブロック13を焼成処理することによって圧電積層体37が作製される。
【0060】
ところで、実際の製造工程では、図示省略しているが、導電パターン8〜11のそれぞれが縦横に並列して形成された大面積のグリーンシート同士を積層して圧着することにより、多数個の積層体ブロック13と対応する大きさを有する親基板ブロックを作製し、かつ、この親基板ブロックを焼成処理して中間品である親基板を作製した後、この親基板を所定の分割線に沿って分割することに伴って個々の圧電積層体37を作製するのが一般的である。従って、この親基板の分割に先立つ時点において、圧電積層体37となるべき領域ごとに対して切り欠き部3となる切り込み溝を予めダイシングなどで形成するようにすれば、圧電積層体37の各々には切り欠き部3が形成されていることになる。
【0061】
その後、図10で示すように、個別化された圧電積層体37を所定の角度だけ傾斜させて支持したうえ、外部電極となるのに適した金属材料を圧電積層体37の第1の側面37aに対する蒸着処理によって付着させると、駆動用外部電極38及び接続用外部電極39と導通用外部電極24とが形成される。つまり、これらの外部電極38,39,24を形成する際における圧電積層体37は、切り欠き部3が蒸着源25から遠ざかるようにし、かつ、第1の側面37aが蒸着源25を向くように支持されている。
【0062】
そして、このような傾斜姿勢として支持された場合には、切り欠き部3の側面も蒸着源25と対面しているため、この側面上にも蒸着処理による導通用外部電極24が形成される。なお、ここでは蒸着源25が点状とされているが、点状に限定されず、平面状であってもよいことは勿論である。
【0063】
引き続き、駆動用外部電極38及び接続用外部電極39と、導通用外部電極24とが形成された第1の側面37aとは対向しあっている第2の側面37bに共通外部電極41を形成した後、駆動用外部電極38と接続用外部電極39との間に電圧を印加して駆動部34を分極すると、本実施形態にかかる積層型圧電体素子21が完成したことになる。なお、これらの外部電極24,38,39,41のそれぞれを蒸着処理によって形成する必然性があるわけではなく、スパッタリング処理によって形成してもよいことは勿論である。
【0064】
さらにまた、上記した切り欠き部23の形成方法では、親基板の圧電積層体37となるべき領域ごとに切り込み溝を形成しているが、このような方法に限定されず、以下のような方法によって切り欠き部23を形成することも可能である。すなわち、親基板を分割することによって圧電積層体37を得た後、これらの個別化された圧電積層体37を各々の積層方向に沿って重ね合わせたうえ、重ね合わされた圧電積層体37の各々に対して切り欠き部23となる切り込み溝を形成する方法である。なお、ここでの切り込み溝も、ダイシングなどによって形成される。
【0065】
そして、図11で示すように、重ね合わされたままの圧電積層体37を所定の角度だけ傾斜させて支持したうえ、外部電極となるのに適した金属材料を圧電積層体37の第1の側面37aに対する蒸着処理によって付着させると、上記した方法の場合と同じく、駆動用外部電極38及び接続用外部電極39と導通用外部電極24とが形成される。その後、引き続き、これらの外部電極38,39,24が第1の側面37aに形成されている圧電積層体37の第2の側面37bに対して共通外部電極41を形成し、駆動用外部電極38及び接続用外部電極39間に電圧を印加して駆動部34を分極すると、第2の実施形態にかかる積層型圧電体素子21が完成する。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる積層型圧電体素子においては、スリットの下端縁よりも下側に位置する圧電積層体の下端部内に共通外部電極と導通する第2の接続用内部電極が新たに形成されている。従って、この第2の接続用内部電極がスリットで分断されることには起こらず、スリットの切り込み形成に伴って共通外部電極の導通経路部分が狭くなったとしても、アクチュエータユニット同士の導通は第2の接続用内部電極を介したうえで確保される。そのため、アクチュエータユニット同士間の導通抵抗が増大する結果として圧電アクチュエータ全体の導通性が低下することはなくなり、共通外部電極の導通経路部分が断線することも起こり得ないという効果が得られる。
【0067】
また、本発明にかかる積層型圧電体素子では、圧電積層体の側面に切り欠き部を形成しており、この切り欠き部の側面に第2の接続用内部電極と導通する導通用外部電極を形成することが行われている。従って、圧電アクチュエータの作製時におけるスリットの切り込み形成に伴って構成されたアクチュエータユニット同士の導通は、第2の接続用内部電極のみならず、これが導通している導通用外部電極をも介したうえで確保されることになる。そのため、より一層優れた圧電アクチュエータの導通性が得られることになる。
【0068】
さらに、本発明にかかる積層型圧電体素子の製造方法を採用すれば、導通用外部電極を圧電積層体の切り欠き部に対して極めて容易に形成することが可能になる。そして、この製造方法であれば、駆動用外部電極と接続用外部電極と導通用外部電極とを複数の圧電積層体に対して同時的に形成し得るため、生産性の向上を図ることができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態にかかる積層型圧電体素子の外観形状を示す斜視図である。
【図2】その駆動部の断面構造を示す横断面図である。
【図3】積層型圧電体素子を用いて作製される圧電アクチュエータの外観形状を示す斜視図である。
【図4】積層型圧電体素子が具備している圧電積層体そのものの製造方法を示す分解斜視図である。
【図5】その変形例を示す説明図である。
【図6】多数個の圧電積層体を同時的に製造する方法を示す分解斜視図である。
【図7】第2の実施形態にかかる積層型圧電体素子の外観形状を示す斜視図である。
【図8】その駆動部の断面構造を示す横断面図である。
【図9】積層型圧電体素子を用いて作製される圧電アクチュエータの外観形状を示す斜視図である。
【図10】積層型圧電体素子における外部電極の形成方法の一例を示す説明図である。
【図11】外部電極の形成方法の他の例を示す説明図である。
【図12】従来形態にかかる積層型圧電体素子の外観形状を示す斜視図である。
【図13】その駆動部の断面構造を示す横断面図である。
【図14】積層型圧電体素子を用いて作製される圧電アクチュエータの外観形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 積層型圧電体素子
2 圧電アクチュエータ
3 第2の接続用内部電極
21 積層型圧電体素子
22 圧電アクチュエータ
23 切り欠き部
24 導通用外部電極
32 第1の駆動用内部電極
33 第2の駆動用内部電極
35 第1の接続用内部電極
37 圧電積層体
37a 第1の側面(側面の一方)
37b 第2の側面(側面の他方)
38 駆動用外部電極
39 接続用外部電極
41 共通外部電極
47 スリット
Claims (6)
- 第1及び第2の駆動用内部電極が交互に積層して形成された駆動部と、第1の接続用内部電極が積層して形成された接続部とを有し、対向しあう側面の一方には少なくとも前記第1の駆動用内部電極及び第1の接続用内部電極の各々と導通する駆動用外部電極及び接続用外部電極が並列して形成され、かつ、その側面の他方には少なくとも前記第2の駆動用内部電極及び第1の接続用内部電極の双方と導通する共通外部電極が形成された直方体形状の圧電積層体からなり、該圧電積層体の積層方向に沿う上面側から下面側へと向かって切り込み形成されるスリットで前記駆動用内部電極及び駆動用外部電極が分断されるのに伴って独立駆動可能な複数個のアクチュエータユニットが構成される積層型圧電体素子であって、
前記スリットの下端縁よりも下側に位置する前記圧電積層体の下端部内には前記共通外部電極と導通する第2の接続用内部電極が形成されており、かつ、該第2の接続用内部電極は前記駆動用内部電極と離間したうえで平行に配置されていることを特徴とする積層型圧電体素子。 - 請求項1に記載した積層型圧電体素子であり、
第1及び第2の駆動用内部電極は同一の平面形状を有する印刷パターンから形成されたものであり、第2の接続用内部電極も前記駆動用内部電極と同一の平面形状を有する印刷パターンから形成されたものであることを特徴とする積層型圧電体素子。 - 請求項1または請求項2に記載した積層型圧電体素子であり、第2の接続用内部電極は第2の駆動用内部電極とほぼ同一の平面形状を有していることを特徴とする積層型圧電体素子。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載した積層型圧電体素子であり、
駆動用外部電極及び接続用外部電極が形成される圧電積層体の側面には、該圧電積層体の下面からスリットの下端縁より上側にまで至りながらも第1及び第2の駆動用内部電極までは至らない深さとされ、その側面には第2の接続用内部電極の端縁部が露出する切り欠き部が前記駆動用内部電極及び第1の接続用内部電極と平行に形成されており、かつ、該切り欠き部の側面には前記第2の接続用内部電極と導通する導通用外部電極が形成されていることを特徴とする積層型圧電体素子。 - 請求項4に記載した積層型圧電体素子の製造方法であり、
切り欠き部が形成済みの圧電積層体を蒸着源またはスパッタリング源に対する傾斜状態として支持したうえ、駆動用外部電極と接続用外部電極と導通用外部電極とのそれぞれを一括して形成する工程とを含んでいることを特徴とする積層型圧電体素子の製造方法。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載した積層型圧電体素子を用いて作製される圧電アクチュエータであり、
圧電体素子の駆動部はその積層方向に沿う上面側から下面側へと向かって切り込み形成されたスリットで分割されており、該スリットで前記駆動部内に積層された第1及び第2の駆動用内部電極が分断されたのに伴って独立駆動可能な複数個のアクチュエータユニットが構成されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
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