JP3852226B2 - インクジェットヘッド装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタ等に用いられるインクジェットヘッド装置の製造方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェットプリンタに用いられるインクジェットヘッドは、複数の区画壁により区画されたインク圧力室を備えたセラミック製のキャビティプレートと、該キャビティプレートに接合した圧電素子とにより構成されており、該圧電素子によりインク圧力室内に圧力変動を生じさせ、インク圧力室内のインクをキャビティプレートに形成したノズルから吐出させている。
【0003】
圧電素子には様々な種類のものが用いられるが、一例として、積層型の圧電素子が挙げられる。この積層型の圧電素子は、シート状に形成した圧電部材上に、互いに所定の間隔を有して交互に配置される正負の電極パターンをスクリーン印刷し、更にこの電極上に圧電部材を重ね、以下同様にして圧電部材と電極とを積層した後、脱バインダ・焼成処理を施し、更にその後圧電素子の変形部をそれぞれ独立させるように複数の切欠凹部を設けるという工程を経て製造される。
【0004】
このような構成により、複数のインク圧力室のそれぞれに圧電素子の複数の変位部を対応させることができ、各インク圧力室毎に良好なインク吐出を行わせることができる。
【0005】
一方、キャビティプレートを製造するには様々な種類の方法が用いられるが、例えば、セラミックや樹脂の射出成形で圧力室やインク溜りを一体成形する方法、あるいは感光性ガラスにエッチング処理を施すことにより圧力室やインク溜りを成形する方法が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記圧電素子は焼成処理によって収縮し、その収縮率が一定ではなく圧電素子毎にばらつきを有している。一方、キャビティプレートはショットブラスト加工やエッチング加工を用いることにより、寸法精度の良いものを作ることができる。従って、寸法精度の揃えられたキャビティプレートと、前記圧電素子の接合を行うと、キャビティプレートのインク圧力室及び区画壁の位置と、圧電素子の電極の位置との間のずれ量が、圧電素子毎に異なってしまう。その結果、1つのインクジェットヘッドにおける各ノズル毎、あるいは各インクジェットヘッド毎にインクの吐出性能にばらつきを生じるという問題があった。
【0007】
従来は、この問題を解決するために、各インクジェットヘッド毎、あるいは各ノズル毎に圧電素子に印加する駆動信号の電圧や波形を調整したり、規定の寸法で出来上がった圧電素子のみを選択して使用していた。従って、制御が複雑化し、コストが増加するという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、複雑な制御を必要とせず、安価なコストで全てのインクジェットヘッドの印字品質を一定にすることのできるインクジェットヘッド装置の製造方法を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法は、前記課題を解決するために、キャビティプレートに所定間隔で設けられたインク圧力室にインクを貯留し、該インクに圧電素子により圧力変動を与えてノズルから当該インクを吐出させるインクジェットヘッド装置の製造方法であって、少なくとも焼成工程を経て圧電素子を製造する工程と、前記焼成工程における前記圧電素子の寸法のばらつきに対応させて、前記インク圧力室の間隔が異なり、前記ノズルの間隔が全て同一であり、前記インク圧力室と前記ノズルを連通せしめるインク流路を滑らかに屈曲させた複数種類の前記キャビティプレートを製造する工程と、前記複数種類のキャビティプレートの中から前記圧電素子の寸法に応じたキャビティプレートを選択する工程と、選択されたキャビティプレートと前記圧電素子を接合する工程とを有することを特徴とするインクジェットヘッド装置の製造方法。
【0010】
請求項1に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法によれば、焼成工程を経て圧電素子を製造するので、収縮率の誤差により圧電素子の電極の間隔にばらつきを生じるが、このばらつきに対応させてインク圧力室の間隔が異なる複数種類のキャビティプレートを予め製造しておき、複数種類のキャビティプレートの中から前記圧電素子のばらつきに応じたキャビティプレートを選択して、前記圧電素子を接合するので、キャビティプレートのインク圧力室及び区画壁と、圧電素子の電極との位置を適切に合わせることができ、一つのインクジェットヘッド装置内における各ノズルのインク吐出性能、及び各インクジェットヘッド装置におけインク吐出性能が均一なものとなる。
【0011】
【0012】
また、請求項1に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法によれば、前記キャビティプレートを製造する際には、ノズル間隔を全てのキャビティプレートにおいて同一とするので、各インクジェットヘッド装置におけるインク吐出性能が均一なものとなる。また、ノズルプレートを複数種類用意する必要がなくなる。
【0013】
【0014】
更に、請求項1に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法によれば、前記キャビティプレートを製造する際には、前記インク圧力室と前記ノズルを連通せしめるインク流路を滑らかに屈曲させるので、インク圧力室の間隔を変える場合でも、良好なインク吐出性能を維持しつつ、ノズルピッチを全てのキャビティプレートで均一にすることができる。
【0015】
請求項2に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法は、前記課題を解決するために、請求項1に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法において、前記キャビティプレートを製造する工程は、前記インク圧力室と前記ノズルを連通せしめるインク流路の屈曲領域を前記圧電素子の変形領域に対応する領域外に設けたキャビティプレートを製造する工程であることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法によれば、前記キャビティプレートを製造する際には、前記インク圧力室と前記ノズルを連通せしめるインク流路の屈曲領域を前記圧電素子の変形領域に対応する領域外に設けたので、屈曲領域にて圧電素子の変形を阻害することがない。
【0017】
請求項3に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法は、前記課題を解決するために、請求項1又は請求項2に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法において、前記キャビティプレートを製造する工程は、複数の前記インク圧力室と複数の前記ノズルを連通せしめる複数のインク流路の各流路抵抗が全て等しいキャビティプレートを製造する工程であることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法によれば、前記キャビティプレートを製造する際には、複数の前記インク圧力室と複数の前記ノズルを連通せしめる複数のインク流路の各流路抵抗を、一つのキャビティプレート内または全てのキャビティプレート内において、全て等しくするので、各インクジェットヘッド装置におけインク吐出性能が均一なものとなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面の図1乃至図4に基づいて説明する。
【0020】
まず、本実施形態のインクジェットヘッド装置の概略について図2に基づいて説明する。
【0021】
図2はライン型インクジェットプリンタ用ヘッド1の概略構成を示すの要部を示す斜視図である。図2に示すように、本実施形態のライン型インクジェットプリンタ用ヘッド1は、複数の圧電式インクジェットヘッド2が第1インク流路プレート3の表面に並設されている。
【0022】
第1インク流路プレート3は、アルミニウムまたはマグネシウムで形成された板状部材であり、表面にはステンレス鋼のパターンをポリイミドフィルムに挟持したヒータ4が取り付けられ、裏面には図示しないインクタンクから供給されるインクの往路5が形成されている。また、第1インク流路プレート3には、表面から裏面までを貫き前記往路5と連通した貫通孔7が形成されており、前記往路5に供給されたインクは該貫通孔7により表面側に供給される。更に、第1インク流路プレート3は、第2インク流路プレート9と貼り合わされる。
【0023】
第2インク流路プレート9は、前記第1インク流路プレート3と同様にアルミニウムまたはマグネシウムで形成された板状部材であり、裏面には前記インクタンクに対してインクを排出する復路8が形成されている。
【0024】
一方、圧電式インクジェットヘッド2は、ベースプレート10、キャビティプレート12、ノズルプレート16、及び圧電素子17から構成される。
【0025】
ベースプレート10は、アルミニウムまたはマグネシウムで形成された板状部材であり、該ベースプレート10には前記第1インク流路プレート3の貫通孔7と連通する貫通孔11が形成されている。該ベースプレート10は裏面が接着剤により第1インク流路プレート3に接着され、表面にはキャビティプレート12が同じく接着剤により接着される。
【0026】
キャビティプレート12は、セラミックの焼結体であり、上面が開放された複数個のインク圧力室13と、各インク圧力室13を区画する区画壁14と、各インク圧力室13と連通すると共に裏面では前記貫通孔11と連通するインク溜まり15が形成されている。
【0027】
ノズルプレート16は、ポリイミドで形成されたシート状部材であり、表面から裏面までを貫くノズル16aが複数個形成されている。前記インク圧力室13の前記インク溜まり15側とは反対の先端側は、徐々に幅が狭くなり、先端面には開口が形成されている。前記ノズルプレート16は、この先端面において、前記開口と前記ノズル16aの位置を一致させるように接着剤により接着されている。
【0028】
圧電素子17は、各インク圧力室13の上面(開放面)が閉塞するように取り付けられる積層型の圧電素子であり、圧電・電歪効果を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミック材料からなる複数の圧電セラミック層を積層すると共に、各圧電セラミック層間にはスクリーン印刷により銀パラジウム等の陽電極及び陰電極のパターン18が形成されている。
【0029】
前記電極パターン18は、図示しない電源供給端部と接続されており、該電源供給端部は、フレキシブルプリント基板20を介してドライブIC21と接続されている。更に、該ドライブIC21はフレキシブルプリント基板20を介して図示しないCPU等が備えられたメイン基板と接続されている。従って、メイン基板から出力される駆動信号に応じてドライブIC21が駆動され、更にドライブIC21から駆動電圧が電極パターン18に供給されることにより、前記圧電セラミック層が変位し、前記圧力室シート12とベースプレート10により形成されるキャビティプレートのインク圧力室13内の圧力を変動させ、ノズルプレート16に形成されたノズル16aからインクを吐出させる。
【0030】
このインク吐出動作は、それぞれの圧電式インクジェットヘッド2によって同時に行われ、かつ、以上のように構成されるライン型インクジェットプリンタ用ヘッドの全体は、図示しない揺動機構によって矢印A方向に揺動するので、記録紙P上にはライン単位で高速な印字が行われる。
【0031】
次に、前記圧電素子17の製造方法について詳しく説明する。まず、セラミック粉体に樹脂またはバインダを混合してシート状のセラミック層を形成し、このセラミック層の表面に、キャビティプレート12のインク圧力室13に一対一で対応するように複数に分割されたプラス電極と、キャビティプレート12の区画壁14に一対一に対応するように複数に分割されたマイナス電極とをスクリーン印刷によって形成する。また同様に、セラミック層の裏面に対しても、前記表面のプラス電極及びマイナス電極に対応する位置に、プラス電極とマイナス電極をスクリーン印刷によって形成する。そして、このようにセラミック層上に電極が形成されたシート体に対して脱バインダ及び焼成工程を施す。
【0032】
次に、前記シート体を130℃程度のシリコンオイル等の絶縁オイルが満たされた図示しないオイルバス中に浸し、分極用の電極により2.5kV/mm程度の電界を印加し、分極処理を施す。分極方向は、圧電素子17のキャビティプレート12との接合側の表面から裏面に向かう方向とする。以上の方法により圧電素子17が得られる。
【0033】
次に、本実施形態の圧電式インクジェットヘッド2の製造方法について詳しく説明する。
【0034】
本実施形態においては、まず、図1に示すようにインク圧力室13間のピッチが異なる複数種類のキャビティプレート12を製造しておく。なお、キャビティプレート12は、セラミックの粉体等の硬質微粒子を用いたショットブラスト加工により形成する。まず、セラミックシートの表面上に、区画壁14として残す部分に図示しないレジストマスクを形成する。その表面上に硬質微粒子を高速で投射することにより、インク室13及びインク溜まり15を形成する。
【0035】
キャビティプレート12は、図1(A)に示すように規定の寸法通りに製造された圧電素子17に対応したもの、(B)に示すように、圧電素子17の収縮率が+0.2%で、規定の寸法よりも各電極間ピッチが狭くなる方向に収縮した場合に対応したもの、(C)に示すように圧電素子17の収縮率が−0.2%で、規定の寸法よりも各電極間ピッチが広がった場合に対応したもののそれぞれ3種類を用意する。
【0036】
但し、何れのキャビティプレート12においても、ノズルピッチは一定に保たれおり、そのためインク圧力室間のピッチが規定値と異なる図1(B),(C)に示すキャビティプレート12においては、ノズルプレート16と接合される先端部側に、各インク圧力室13及び区画壁14が屈曲した屈曲領域Y1が設けられている。
【0037】
この屈曲領域Y1は、図1(B)に示す丸印Bの拡大図である図3に示すように、内側の屈曲開始位置P1と外側の屈曲開始位置P2との間、並びに内側の屈曲終了位置P3と外側の屈曲終了位置P4との間に所定間隔w1が設けられている。このように構成することにより、図3に矢印Cで示すインクの移動方向に対して垂直なインク流路の幅w2は、屈曲領域Y1とそれ以外の領域とに拘わらず常に一定に保たれる。つまり、インク流路の断面積はインク流路の全ての領域で一定であり、インク流路の流路抵抗は一定に揃えられている。従って、図1に示すようにインク圧力室間ピッチの異なる複数種類のキャビティプレート12を用意する場合でも、何れのキャビティプレート12においてもインク吐出性能は均一に保たれている。
【0038】
また、キャビティプレート12の短手方向における前記屈曲領域Y1の間隔は、当該短手方向におけるインク流路の間隔Y3に対して十分に大きくなるように設定されている。従って、前記屈曲領域Y1におけるインク流路の屈曲角度は小さくなり、直進領域のインク流路と滑らかに連続している。従って、前記屈曲領域Y1を設けた場合でも、流路抵抗を増大させることがなく、図1(A)に示す屈曲領域の形成されていないキャビティプレート12と、図1(B),(C)に示す屈曲領域Y1が形成されたキャビティプレート12との間でインク吐出性能に差を生じさせることがない。
【0039】
更に、図2に示すように、圧電素子17においてプラス電極とマイナス電極が交互に配列される変形領域Y2は、図1に示すように、屈曲領域Y1と重ならない位置に設けられている。従って、前記屈曲領域Y1によって、圧電素子17の変形を妨げることがなく、図1(A)に示す屈曲領域の形成されていないキャビティプレート12と、図1(B),(C)に示す屈曲領域Y1が形成されたキャビティプレート12との双方で良好なインク吐出性能を発揮させることができる。
【0040】
本実施形態では、以上のように構成された複数種類のキャビティプレート12を用意して、焼成工程による圧電素子17の収縮の程度に合わせて、何れかのキャビティプレート2を選択し、両者を接合させる。圧電素子17の収縮の程度は、例えば顕微鏡により、圧電素子17の電極間ピッチを計測することにより行われる。
【0041】
圧電素子17は、焼成工程を経ることによって、±0.2%程度の収縮による寸法誤差が生ずる。そこで、前記計測により、圧電素子17の電極間ピッチがほぼ規定値通りに製造された場合には、図1(A)に示す屈曲領域Y1が設けられていないキャビティプレート12を選択する。また、圧電素子17の電極間ピッチが規定値よりも+0.2%程度収縮していた場合には、図1(B)に示す屈曲領域Y1が設けられ、インク圧力室13のピッチが規定値よりも短いキャビティプレート12を選択する。また、圧電素子17の電極間ピッチが規定値よりも+0.2%程度広がっている場合には、図1(C)に示す屈曲領域Y1が設けられ、インク圧力室13のピッチが規定値よりも長いキャビティプレート12を選択する。そして、選択したキャビティプレート12と圧電素子17とを接着剤により接着し、更に接着剤によりノズルプレート16をキャビティプレート12と圧電素子17に接着し、キャビティプレート12とベースプレート10とを接着剤で接着することにより、圧電式インクジェットヘッド2が完成することになる。
【0042】
以上のように本実施形態によれば、圧電素子17の焼成による収縮率の誤差に関係無く、全てのノズル及びインクジェットヘッド間の吐出性能を均一にすることができる。また、一つのキャビティプレート12内における各インク流路の流路抵抗は均一に保たれているため、全てのノズルの吐出性能を均一にすることができる。更に、屈曲領域Y1を設けて、何れのキャビティプレート12についても、ノズルピッチが等しくなるように構成したので、ノズルプレート16を、圧電素子17の焼成による収縮率の誤差に基づいて複数種類用意する必要がない。
【0043】
これに対し、従来のインクジェットヘッドにおいては、図4(A)に示すように、圧電素子17の電極間ピッチが規定値通りであった場合には問題は生じないが、圧電素子17が規定値よりも収縮した場合には、図4(B)にDで示す領域のように、プラス電極18aとマイナス電極18bがインク圧力室13と区画壁14の境界位置に来てしまい、所定のインク吐出性能を発揮することができない。
【0044】
また、圧電素子17の電極間ピッチが規定値よりも広がってしまう場合にも、図4(C)にEで示す領域のようにプラス電極18aとマイナス電極18bがインク圧力室13と区画壁14の境界位置に来てしまい、所定のインク吐出性能を発揮することができない。このように、従来においては、一つのインクジェットヘッド内において、ノズル間でのインク吐出性能のばらつきを生じていたため、各ノズル毎に圧電素子の複雑な駆動制御を行う必要があった。また、従来は、規定値の寸法で製造した圧電素子のみを用いていたので、無駄が生じ、コストが増大するという問題があった。
【0045】
しかしながら、本実施形態によれば、複数種類のキャビティプレートの中から適切なキャビティプレートを選択して接合するという簡単な手法により、圧電素子の焼成による収縮率の誤差に関係無く、インク吐出性能を均一化することができるので、従来のような複雑な制御は不要である。また、圧電素子を無駄にすることがないので、コストを増大させることがない。
【0046】
また、本実施形態によれば、インクジェットヘッド間におけるインク吐出性能のばらつきも無いため、特に図2に示すように複数のインクジェットヘッドを用いて印字を行う場合には、複雑な制御を行うことなく極めて高品質の印字を行うことが可能である。
【0047】
なお、本実施形態では、3種類のキャビティプレートを用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、より多くの種類のキャビティプレートを用意するようにしても良い。例えば、ノズルの数が多くなり、インク圧力室の数が多くなる程、前記焼成による収縮率の誤差の影響が大きくなるので、当該収縮率に応じて細かく分類した多くの種類のキャビティプレートを用意するようにすれば良い。
【0048】
また、本実施形態では、キャビティプレートにセラミック焼成体を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばガラスやシリコン等を用いてキャビティプレートを形成しても良い。また、本発明では、インク圧力室、インク溜まりを形成するのにショットブラスト加工を用いているが、エッチング加工や高精度のセラミック射出成形でも良く、また、インク圧力室、インク溜まりを精度良く形成できる加工方法であれば、他の加工方法でも良い。
【0049】
更に、本実施形態では、単層の圧電素子を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、積層型の圧電素子を用いた場合にも適用可能である。
【0050】
【発明の効果】
請求項1に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法によれば、焼成工程における圧電素子の寸法のばらつきに対応させて、インク圧力室の間隔が異なる複数種類のキャビティプレートを製造し、前記複数種類のキャビティプレートの中から圧電素子の寸法のばらつきに応じたキャビティプレートを選択し、選択されたキャビティプレートと前記圧電素子を接合するので、キャビティプレートのインク圧力室及び区画壁と、圧電素子の電極との位置を適切に合わせることができ、一つのインクジェットヘッド装置内における各ノズルのインク吐出性能、及び各インクジェットヘッド装置におけインク吐出性能を均一にすることができる。また、圧電素子が規定値外の寸法を有していても、無駄にすることがないので、コストの低減を図ることができる。
【0051】
また、請求項1に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法によれば、前記キャビティプレートを製造する際には、ノズル間隔が全て同一なキャビティプレートを製造するので、各インクジェットヘッド装置におけインク吐出性能を均一にすることができる。
【0052】
更に、請求項1に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法によれば、前記キャビティプレートを製造する際には、前記インク圧力室と前記ノズルを連通せしめるインク流路を滑らかに屈曲させたキャビティプレートを製造するので、インク圧力室の間隔を変える場合でも、良好なインク吐出性能を維持しつつ、ノズルピッチを全てのキャビティプレートで均一にすることができる。
【0053】
請求項2に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法によれば、前記キャビティプレートを製造する際には、前記インク圧力室と前記ノズルを連通せしめるインク流路の屈曲領域を前記圧電素子の変形領域に対応する領域外に設けたので、屈曲領域にて圧電素子の変形を阻害することがない。
【0054】
請求項3に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法によれば、前記キャビティプレートを製造する際には、複数の前記インク圧力室と複数の前記ノズルを連通せしめる複数のインク流路の各流路抵抗が全て等しいキャビティプレートを製造するので、各インクジェットヘッド装置におけインク吐出性能を均一にすることができる。また、ノズルプレートを複数種類用意する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態におけるキャビティプレートの構成を示す図であり、(A)は規定値通りに製造された圧電素子に用いるキャビティプレート、(B)は規定値よりも収縮した圧電素子に対して用いるキャビティプレート、(C)は規定値よりも収縮の程度が少ない圧電素子に用いるキャビティプレートをそれぞれ示す平面図である。
【図2】 本発明の一実施形態におけるライン型インクジェットプリンター用ヘッドの構成を示す斜視図である。
【図3】 図1のキャビティプレートにおける屈曲領域を示す拡大図である。
【図4】 従来のインクジェットヘッド装置を示す断面図であり、(A)は規定値通りに製造された圧電素子を用いたもの、(B)は規定値よりも収縮した圧電素子を用いたもの、(C)は規定値よりも収縮の程度が少ない圧電素子を用いたものをそれぞれ示す断面図である。
【符号の説明】
2…圧電式インクジェットヘッド
10…ベースプレート
12…キャビティプレート
13…インク圧力室
14…区画壁
15…インク溜まり
16…ノズルプレート
16a…ノズル
Y1…屈曲領域
Claims (3)
- キャビティプレートに所定間隔で設けられたインク圧力室にインクを貯留し、該インクに圧電素子により圧力変動を与えてノズルから当該インクを吐出させるインクジェットヘッド装置の製造方法であって、
少なくとも焼成工程を経て圧電素子を製造する工程と、
前記焼成工程における前記圧電素子の寸法のばらつきに対応させて、前記インク圧力室の間隔が異なり、前記ノズルの間隔が全て同一であり、前記インク圧力室と前記ノズルを連通せしめるインク流路を滑らかに屈曲させた複数種類の前記キャビティプレートを製造する工程と、
前記複数種類のキャビティプレートの中から前記圧電素子の寸法に応じたキャビティプレートを選択する工程と、
選択されたキャビティプレートと前記圧電素子を接合する工程と、
を有することを特徴とするインクジェットヘッド装置の製造方法。 - 前記キャビティプレートを製造する工程は、前記インク圧力室と前記ノズルを連通せしめるインク流路の屈曲領域を前記圧電素子の変形領域に対応する領域外に設けたキャビティプレートを製造する工程であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法。
- 前記キャビティプレートを製造する工程は、複数の前記インク圧力室と複数の前記ノズルを連通せしめる複数のインク流路の各流路抵抗が全て等しいキャビティプレートを製造する工程であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェットヘッド装置の製造方法。
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