JP3852179B2 - 防食被覆コンクリート構造部材の目地部構造 - Google Patents

防食被覆コンクリート構造部材の目地部構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防食被覆コンクリート構造部材の目地部構造に関し、特に、表面に防食被覆を施したコンクリート構造部材を複数連設一体化する際に採用される目地部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば下水道などの腐食性の水に接するコンクリート構造物の防食方法としては、コンクリート表面に例えばエポキシ樹脂等の樹脂材料を塗布したり、コンクリート構造物を構成するセグメント等のプレキャスト構造部材の製造時に、コンクリートの表面部分の型枠に防食性の樹脂パネルや樹脂シートを取付けてコンクリートを打設し、あるいは打設したコンクリートの硬化後に樹脂材料を塗布したりすることによってコンクリート表面を防食被覆する方法が採用されている。
【0003】
また、現場打コンクリートによりコンクリート構造物を形成する場合においても、その表面に樹脂材料などにより防食被覆層を形成して防食する方法が採用されている。
【0004】
そして、シールドトンネルの覆工体などのコンクリート構造物は、コンクリートセグメント等のプレキャスト構造部材を複数連設一体化したり、現場打ちコンクリートを打ち継いで形成してゆくものであるため、隣接するこれらのコンクリート構造部材の接合部にもまた現場において防食被覆を施す必要が生じることになる。
【0005】
そしてかかる接合部の防食方法としては、従来より、セグメント等のコンクリート構造部材を形成した後、目地部に樹脂材料を充填する方法や、合成樹脂製の防食被覆材同士を溶接により一体化する方法などが採用されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の防食被覆コンクリート構造部材の接合部の防食方法によれば、樹脂材料を目地部に充填すなわちコーキングする方法では、コンクリート構造部材の接合部分の清掃や乾燥に相当の時間を必要とし、また、樹脂材料が硬化するまでに長期の養生期間を必要とするとともに、コーキング作業に多くの手間を必要とするという課題があった。
【0007】
また、防食被覆材同士を溶接する方法によれば、施工現場に地下水などの水分が存在すると溶接能率が低下するとともに、必要な電源の確保などその準備や施工に多くの手間を必要とすることになるという課題があった。
【0008】
そこで、この発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたもので、多くの時間や手間を必要とすることなく、防食被覆を施したコンクリート構造部材の接合部を容易に防食被覆することのできる、防食被覆コンクリート構造部材の目地部構造を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、かかる目的を達成するためになされたもので、その要旨は、表面に防食被覆層を施したコンクリート構造部材を複数連設一体化する際に、これの目地部に設けられる目地部構造であって、隣接するコンクリート構造部材の各防食被覆層の縁部に沿って設けられることにより対向配置される、各コンクリート構造部材の端面側に向かって開口する嵌合溝と、該対向配置された嵌合溝に挿入嵌合するための一対の嵌合部をその両側端部に備える帯状弾性防食接続部材とからなり、前記一対の嵌合部を前記嵌合溝に各々押し込むようにして、前記帯状弾性防食接続部材を前記目地部を覆って前記各防食被覆層の縁部の間に密着固定することを特徴とする防食被覆コンクリート構造部材の目地部構造にある。
【0010】
また、この発明の目地部構造は、前記帯状弾性防食接続部材の前記嵌合部の根元部分に、水膨潤性ゴムを取り付けることが好ましい。
【0011】
ここで、上記複数連設一体化されるコンクリート構造部材としては、例えばコンクリートセグメント等のプレキャスト製のコンクリートの他、現場打ちコンクリートにおいて区画分けされて各ロット毎に硬化するコンクリートをも含むものである。
【0012】
そして、この発明の防食被覆コンクリート構造部材の目地部構造によれば、目地部を挟んで対向配置された隣接するコンクリート構造部材の嵌合溝に対して、帯状弾性防食接続部材の両側端部の一対の嵌合部を帯状弾性防食接続部材の弾性によって変形しつつ各々押し込むようにしながら、当該帯状弾性防食接続部材を各防食被覆層の縁部の間に差し込むだけの作業により、目地部を覆って当該帯状弾性防食接続部材を容易に密着固定することができ、これによって水密性及び防食性に富んだ目地部構造を隣接するコンクリート構造部材の接合部に容易に形成することができる。
【0013】
また、帯状弾性防食接続部材の前記嵌合部の根元部分に、水膨潤性ゴムを取り付けておけば、かかる接合部ないしは目地部における水密性をより確実に確保することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。この実施形態の防食被覆コンクリート構造部材の目地部構造は、図1(a)及び(b)に示すようなシールドトンネル50の覆工体51を構成するコンクリート構造部材としてのコンクリートセグメント10の接合部12における目地部13に設けられるものである。
【0015】
また、この実施形態によれば、シールドトンネル50は下水道用のトンネルであって腐食性の水に接するものであるため、各セグメント10の内周面を、これの製造時に予め防食性の防食被覆層23によって覆うとともに(図2参照)、複数のセグメント10を連接一体化して覆工体51を形成する際に、隣接するセグメント10間の接合部12にも高い防食性、及び止水性を付与するために、この発明の防食被覆コンクリート構造部材の目地部構造を設けるものである。
【0016】
すなわち、この実施形態の目地部構造11は、図2に示すように、隣接するセグメント10間の接合部12の目地部13に設けられるものであって、隣接するセグメント10の各防食被覆層23の縁部21に沿って設けられることにより対向配置される、各セグメント10の端面側に向かって開口する嵌合溝14と、この対向配置された嵌合溝14に挿入するための一対の嵌合部17をその両側端部に備える帯状弾性防食接続部材20とからなり、一対の嵌合部17を各嵌合溝14に各々押し込むようにして、防食接続部材20を目地部13を覆って各防食被覆層23の縁部21の間に密着固定することによって構成されている。
【0017】
ここで、コンクリートセグメント10は、予め工場等において製作型枠内にコンクリートを打設硬化させて製作される矩形円弧状のプレキャストコンクリート製のもので、セグメント10の内周面側に配置される製作型枠の表面に例えば樹脂材料からなるシート部材22を敷設配置した後にコンクリートを打設することにより、各セグメント10の内周面に容易に防食被覆層23を貼着配置することが可能である。
【0018】
また、かかる防食被覆層23を構成するシート部材22は、防食性に富んだ、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂材料からなるもので、例えばこれの裏面に多数の突起を有し、これをアンカーとしてセグメント10の内周面のコンクリート中に埋設することにより、当該内周面に防食被覆層23が強固に密着固定されることになる。
【0019】
さらに、各セグメント10における防食被覆層23の縁部21は、図3に拡大して示すように、その厚さが大きく形成されていて、この縁部21に沿って、セグメント10の端面側に開口する嵌合溝14が設けられている。すなわち、この嵌合溝14は、深部が円形に拡幅する断面形状を備えていて、この嵌合溝14と同様の断面形状を有する防食接続部材20の嵌合部17を挿入嵌合した際に、この円形拡幅部15に嵌合部17の円形拡幅部18が係止されて、目地部13を覆う防食蓋部材20が、接合部12から抜け出すのを強固に防止するとともに、防食接続部材20の本体部16が、各防食被覆層23の縁部21の間に強固に密着固定されることになる。
【0020】
一方、この実施形態の目地部構造11を構成する防食接続部材20は、例えば高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂材料からなる、防食性に富むとともに弾性を備え、適度な硬さと復元力を有する帯状の部材であって、図3に拡大して示すように、中央部分に位置する断面矩形状の本体部16と、この本体部16の両側部分から突出する、一対の嵌合部17とからなり、この嵌合部17は、上述の嵌合溝14と合致する形状の、円形拡幅部18を有する断面形状を有している。
【0021】
なお、セグメント10の内周面に密着固定される防食被覆層23は、その端面がセグメント10本体の端面よりやや内側に位置するように設けられており、これによって、隣接するセグメント10の端面同士を当接させた場合に、防食被覆層23の縁部21の間には、防食接続部材20の本体部16が差し込まれる隙間が形成されるとともに、防食接続部材20の本体部16は、その幅が、縁部21の間に形成された隙間の幅と略合致するように予め形成されている。
【0022】
また、防食接続部材20の本体部16から突出する嵌合部17の根元部分には、水膨潤性ゴム19が取り付けられており、この水膨潤性ゴム19は、防食接続部材20が接合部12に取り付けられた際に、防食被覆層23の端面と、防食接続部材20の肩部との間に介装することになる。
【0023】
そして、この実施形態の目地部構造11は、隣接するセグメント10の各縁部に設けた嵌合溝14に防食蓋部材20の一対の突起17を各々押し込むようにして、目地部13を覆って防食接続部材20を防食被覆層23の縁部21の間に密着固定することによって構成される。
【0024】
すなわち、この実施形態によれば、各セグメント10の製作時にこれの端部内側の適宜箇所に設けたボルトボックスなどを介して、隣接するセグメント10を締結固定したら、これらの隣接するセグメント10の接合部12に表出する防食被覆層23の縁部21の間の隙間に沿わせるようにして防食接続部材20を配置するとともに、この防食接続部材20を弾性変形させつつ、これの両側端部の一対の嵌合部17を嵌合溝14に各々押し込むようにしながら、防食接続部材20の本体部16を各防食被覆層23の縁部21の間に差し込めば、防食接続部材20が目地部13を覆って当該縁部21の間の隙間に容易に密着固定し、これによって止水性、及び防食性に富んだ目地部構造11が隣接するセグメント10の接合部12に容易に形成されることになる。
【0025】
また、この実施形態によれば、防食接続部材20の嵌合部17の根元部分には、水膨潤性ゴム19が取り付けられいるので、この水膨潤性ゴム19が防食被覆層23の端面と防食接続部材20の肩部との間に介在し、水を吸収して膨潤することにより、さらに確実な水密性を得ることができる。
【0026】
なお、この発明は、上記実施形態の実施の態様に限定されるものではなく、各請求項に記載された構成の範囲内において種々に変更して採用することができる。例えば、水膨潤性ゴムは必ずしも設ける必要はなく、また、この発明の目地部構は、セグメントの接合部に限定されされることなく、その他のプレキァストコンクリート部材の接合部に採用することができる他、現場打ちコンクリートの打継目に対しても採用することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、この発明の防食被覆コンクリート構造部材の目地部構造によれば、隣接するコンクリート構造部材の各防食被覆層の縁部に沿って設けられることにより対向配置される、各コンクリート構造部材の端面側に向かって開口する嵌合溝と、該対向配置された嵌合溝に挿入するための一対の嵌合部をその両側端部に備える帯状弾性防食接続部材とからなるので、一対の嵌合部を嵌合溝に各々押し込むようにして帯状弾性防食接続部材を差し込むだけの作業によって、当該帯状弾性防食接続部材を目地部を覆って各防食被覆層の縁部の間に容易に密着固定することができ、これによって多くの時間や手間を必要とすることなく、防食被覆を施したコンクリート構造部材の接合部を容易に防食被覆することができる。
【0028】
また、帯状弾性防食接続部材の嵌合部の根元部分に水膨潤性ゴムが取り付けておけば、かかる接合部ないしは目地部における水密性をより確実に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、この発明の一実施形態に係る目地部構造を採用したシールドトンネルのセグメント覆工体を説明する、(a)は正面図、(b)は(a)をA−Aから見た内面図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る目地部構造を示す断面図である。
【図3】この発明の一実施形態に係る目地部構造を説明する拡大断面図である。
【符号の説明】
10 セグメント(コンクリート構造部材)
11 目地部構造
12 接合部
13 目地部
14 嵌合溝
16 本体部
17 嵌合部
19 水膨潤性ゴム
20 帯状弾性防食接続部材
21 縁部
23 防食被覆層
50 シールドトンネル
51 覆工体

Claims (2)

  1. 表面に防食被覆層を施したコンクリート構造部材を複数連設一体化する際に、これの目地部に設けられる目地部構造であって、隣接するコンクリート構造部材の各防食被覆層の縁部に沿って設けられることにより対向配置される、各コンクリート構造部材の端面側に向かって開口する嵌合溝と、該対向配置された嵌合溝に挿入するための一対の嵌合部をその両側端部に備える帯状弾性防食接続部材とからなり、前記一対の嵌合部を前記嵌合溝に各々押し込むようにして、前記帯状弾性防食接続部材を前記目地部を覆って前記各防食被覆層の縁部の間に密着固定することを特徴とする防食被覆コンクリート構造部材の目地部構造。
  2. 前記帯状弾性防食接続部材の前記嵌合部の根元部分には、水膨潤性ゴムが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の防食被覆コンクリート構造部材の目地部構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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