JP3079852U - 型枠締め付け用埋込み固定具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリ−ト構築物の打設時の型枠を支持す
る埋込み固定具が、シンプルな構成にして、有効かつ効
果的に漏水防止することが可能な型枠締め付け用埋込み
固定具を提供する。 【解決手段】 埋込み固定具１の主体となるジョイント
ナット２は、ネジ穴４の中央部に仕切壁３と、その外周
には、左右長短の区割りをする段部５それぞれを一体形
成したジョイントナット２とし、かつ前記ジョイントナ
ット２の長手方向には、段縁７付きモルタル筒体８を一
体に埋設形成し、さらに対向側短部には、水膨張性止水
環９を組み合わせて成る埋込み固定具１に、別体に形成
されるモルタル素材のキャップ１１を一組とする型枠締
め付け用の埋込み固定具。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、コンクリ−ト構築物の打設時に型枠を支持するのに用いる埋込み固 定具であり、シンプルな構成にして、有効かつ効果的に漏水を防止することが可 能な型枠締め付け用埋込み固定具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、コンクリ−トの打設時に用いられ型枠固定部材としては、セパレ− タ及びその端部に取り付けられる、略円錐状を成し中央にネジ穴を有する埋込み 固定具（コ−ンとも称す）、固定ボルト、締め付け具等をもって型枠が形成され た型枠にコンクリ−トが打設されるが、その際、硬化したンクリ−ト内にはセパ レ−タとともに埋込み固定具が残される。さらに型枠を取り外した後は、コンク リ−ト外面側に位置する前記埋込み固定具のボルト穴には、漏水防止や穴埋めの ために、専用のキャップもしくはモルタル等により塞いで仕上げる施工方法が一 般的である。

【０００３】 以上のようにしてコンクリ−ト構築物が施工されるが、しかしコンクリ−ト硬 化後であっても水分は残り、その水分はセパレ−タ端部に取り付けられた埋込み 固定具との連結ネジ穴部やコンクリ−トとの接合部より漏水する結果、その周囲 のコンクリ−トの劣化を早めたり、時にはセパレ−タや埋込み固定具の金属素材 によるサビ汚水の発生要因を招くことになるので、それらの漏水防止を目的とす る以下のような技術も公知公開されている。

【０００４】 公知される技術としては、特公昭５８−１４９０７号や特開昭６３−３５７８ ６号並びに実開昭５１−８２３１４号に見られる。さらに具体的に述べると、ま ず、特公昭５８−１４９０７号に示す技術は、型枠締付用埋込固定具Ａの内部に 位置させる部材は、中央に仕切壁３を有するＨ型鋼１を採用して、この部位から の漏水防止を行い、かつこの型枠締付用埋込固定具Ａの外周を合成樹脂層エマル ション混和物被覆層を施すことで、埋込固定具の外周からの漏水も防止すること ができる型枠締付用埋込固定具の技術である。

【０００５】 次に、特開昭６３特開昭６３−３５７８６号における技術は、コン本体１８の 中央に位置する雌ねじ筒１３の中央部に、銅やアルミ等の軟質金属による仕切壁 材を入れて後に、左右から一定の加圧を与えて仕切壁１７を形成することにより 、漏水防止効果を有するコン本体を形成する技術である。

【０００６】 さらに、実開昭５１−８２３１４号による技術は、間隔設定用ボルトの端部に 連結される、めねじ６の中ほどに水密的隔壁を設けることで、前記タイプと同様 に漏水防止ができる技術である。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

以上のような漏水防止を目的とする埋込み固定具やコン本体などの技術が提供 されているが、現場の見地からするといずれも満足するものではなかった。

【０００８】 まず、特公昭５８−１４９０７号による技術は、仕切壁付きジョイントナット を合成樹脂層に埋め込んで一体成形させるために、前記ジョイントナットの外周 部に凹部を形成し、かつその内側の螺子孔には、仕切壁を有するＨ型鋼を採用し 、加えて、埋込み固定具の外周全体に合成樹脂エマルション被覆層を施すことは 、前記ジョイントナットとの形状と合わせて、製造コストが高価になるなどの欠 点がある。

【０００９】 次に、特開昭６３−３５７８６号は、コン本体の中央に位置する雌ねじ筒の中 央部に、銅やアルミ等の軟質金属素材の仕切壁材を入れて後に、左右から加圧す して仕切壁を形成することで、漏水防止効果を期待する技術であるが、雌ねじ筒 の中ほどに位置させた銅やアルミ等の軟質金属を加圧して仕切壁をり形成するに は、圧力受けピンやブランジャなどの加工具を用いて、一々個々に加工する面倒 があり、また形成された仕切壁は、前記雌ねじ筒と異質の材料で後付けによる仕 切壁であるため、完全密着されない恐れもある仕切壁であり、漏水も確実に防げ る技術ではなかった。さらに、異質素材による仕切壁により強度が満足するもの でないため、型枠形成時に接続ボルトがねじ込み過ぎた場合などは、仕切壁の破 損を招く恐れもあり、実際面において強度の点でも使えない技術である。

【００１０】 さらに、実開昭５１−８２３１４号における技術は、間隔設定用ボルトの端部 に連結される、めねじの中ほどに水密的隔壁を設けたものであるが、前記タイプ と同様の欠点や不便をもつ技術である。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

この考案は、従来のこれらの技術が持つ欠点や不便を解消するために成される ものであり、その手段として、埋込み固定具の主体となるジョイントナットのネ ジ穴部位からの漏水防止と、さらに埋込み固定具本体を包むコンクリ−トとの密 接度を高める相乗効果により、埋込み固定具の内外いずれの接合部分においても 漏水防止が可能な技術を提供する。

【００１２】 以上のような埋込み固定具とするために、埋込み固定具を形成するジョイント ナットは、ネジ穴の中央部に仕切壁を有し、さらに外周左右を長短の区割りをす る段部を同質素材で一体形成したジョイントナットとし、かつ前記ジョイントナ ットの長手方向には、段縁付きモルタル筒体を一体に埋設形成し、さらに対向側 短部には、水と反応することにより膨張する水膨張性止水環を組み合わせて成る 埋込み固定具に、別体に形成されるモルタル素材のキャップを一組とする型枠締 め付け用の埋込み固定具を構成する。

【００１３】

【考案の実施の形態】

本考案における型枠締め付け用の埋込み固定具は１、主体となるジョイントナ ット２のネジ穴４中央部に仕切壁３を、さらに外周には段部５それぞれを一体成 形した特徴あるジョイントナット２であり、加えて、その段部５を境とする長手 方向には段縁７付きモルタル筒体８を、他方には水に反応して膨張特性を有する 水膨張性止水環９を一体形成して成る埋込み固定具１を構成している。

【００１４】 以上のような埋込み固定具１をもってコンクリ−ト構築物の施工する場合は、 図４〜図６の使用状態図に示す手順で行われる。まず、型枠Ａを形成する際は、 セパレ−タＢの端部に本埋込み固定具１を取り付けた後に、型枠Ａを介して固定 ボルトＣ、締付け具Ｄ等の関連部材をもって型枠Ａを形成してからコンクリ−ト Ｅの打設を行い、硬化後その型枠Ａを取り外した後は、キャップ１１に接着剤Ｆ を付けてから、コンクリ−トＥ内に位置する埋込み固定具１のネジ穴４に接着固 定して塞ぐが、この方法は従来と特に変わらない施工方法であるので、本考案の 型枠締め付け用埋込み固定具を採用しても、施工時において新たな施工技術は要 しないものである。

【００１５】 また、以上のようにして構築されたコンクリ−トＥ内に本考案の埋込み固定具 １は埋め込まれるが、まずセパレ−タＢ端部に位置するジョイントナット２のネ ジ穴４中央部には、一体形成された仕切壁３を有しているので、この部位からの 漏水要因は全く心配ない。加えて、ジョイントナット２の奥外周端部には、水と 反応すると膨張特性をもつ水膨張性止水環９が備えられているので、埋込み固定 具１とコンクリ−トＥとの接合部分の密接度を大幅に高め、合わせて前記仕切壁 ３との相乗効果を得ることにより、有効にして効果的に漏水防止作用を発揮する 埋込み固定具１を可能としている。さらに、図３に示す水膨張性止水環９ａは、 段部５まで延長して、金属素材のジョイントナット２の露出部分全体を覆うタイ プであるので、一層、有効な漏水防止効果を得る。

【００１６】 さらに、ジョイントナット２のネジ穴４に設ける仕切壁３は、同質素材により 一体形成されたものであるので、型枠Ａに取り付ける際に、セパレ−タＢや固定 ボルトＣによる一定以上の加圧があっても、容易に破損する心配も無い堅牢なジ ョイントナット２を採用した埋込み固定具１としている。

【００１７】

【実施例】 本考案の埋込み固定具の実施例を、図１に示す分解斜視図と図２に示す拡大断 面図及び、図３に示す他の埋込み固定具の拡大断面図を参照しながら説明する。

【００１８】 実施例における埋め込み固定具１は、まず主体なるジョイントナット２は鉄な どの金属素材で成り、その内側中央部には仕切壁３を有するネジ穴４と、かつ外 周には、前記仕切壁３部位より一方側寄りに、一定の高さと幅を有する段部５が 、それぞれ同質素材により一体形成して、前記段部５の左右に長さの異なる嵌合 筒体部分を設けたジョイントナット２を形成する。

【００１９】 次に、このジョイントナット２の外周に設けた段部５左右の長手方向には、前 記ジョイントナット２が収まる嵌合穴６と、外周の一方端部に段縁７を設けて成 るモルタル筒体８に、ジョイントナット２が一体に埋設形成され、さらに他方端 部には、水と反応して膨張特性を持つ、リング状の水膨張性止水環９を嵌め込ん で成る埋込み固定具１を形成し、該埋込み固定具１に、別体にモルタル素材で形 成される突部１０付きキャップ１１を組み合わせて、本考案における型枠締付け 用埋込み固定具を構成する。

【００２０】 尚、本案の埋込み固定具１は以上のような構成であるが、その実施例における ジョイントナット２に組み合わされる水膨張性止水環９の形は、図示するように 断面が角型を成すリング状のものであるが、他の実施例として、図３に示すよう にジョイントナット２の段部５外周まで延長して、ジョイントナット２の露出部 分全体まで一体に覆う形の水膨張性止水環９ａを採用してもよいものである。

【００２１】 以上のような構成を成す型枠締め付け用の埋込み固定具１であるが、その実施 例において、ジョイントナット２の素材は鉄素材であるが、それ以外の金属素材 でもよいし、強度があれば合成樹脂素材を採用してもよい。またモルタル筒体８ やキャップ１１はモルタル素材が好ましいが、モルタル素材以外に合成樹脂素材 を採用してもよいものであり、いずれも特に限定しないものである。

【００２２】

【考案の効果】

本考案は、以上のような型枠締め付け用埋込み固定具を構成することにより、 従来技術に比べて次のような長所や効果を提供することができる。 まず、埋込み固定具の構成は、主体とするジョイントナットのネジ穴の中央部 には仕切壁を、かつ外周には段部をそれぞれ同質素材により一体形成した特徴あ るジョイントナットを採用し、さらにそのジョイントナットの長手方向には段縁 を有するモルタル筒体を一体に埋設形成し、また他方には、水と反応することで 膨張特性を有する、水膨張性止水環を嵌め込んで形成されたユニ−クな埋込み固 定具であるが、図４〜図６に示すように、施工方法においては従来となんら変わ らない施工方法が可能である。

【００２３】 加えて、コンクリ−ト内に埋め込まれた埋込み固定具は、前記するような特徴 を有するので、まずセパレ−タ端部に取り付けられたジョイントナットのネジ穴 中央部には、一体形成された仕切壁を有しているため、セパレ−タとの連結部か らの漏水を完全に防止することができるうえ、仕切壁りの強度も満たし、かつそ れぞれの構成部材もシンプルであるので、製造コストの点において安価に提供で きる。

【００２４】 加えて、その埋込み固定具の外周端部には、水に反応すると膨張特性ある水膨 張性止水環を備えているため、埋込み固定具の外周を包むコンクリ−トとの密接 度を大幅に高めることと、前記仕切壁との相乗効果と相まって、有効にして効果 的な漏水防止作用を得られる。さらに水膨張止水環が図３に示すようにジョイン トナットの段部全体まで覆うタイプは、その膨張止水効果を一層発揮することが できるものであり、埋込み固定具の内外いずれの接合部においても有効な漏水防 止作用を可能とする、従来には見られないシンプルにして効果的な型枠締め付け 用埋込み固定具を提供する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の埋込み固定具の実施例を示す分解斜視
図。

【図２】本考案の埋込み固定具を示す拡大断面図。

【図３】本考案における他の埋込み固定具を示す拡大断
面図。

【図４】本考案品を型枠に取り付ける使用状態を示す断
面図。

【図５】本考案の埋込み固定具にキャップの取り付け状
態を示す断面図。

【図６】本考案の埋込み固定具にキャップを接着固定し
た断面図。

【図７】従来品の使用状態例を示す断面図。

【図８】他の従来品の使用状態例を示す断面図。

【符号の説明】

１・・・埋込み固定具 ２・・・ジョイントナット ３・・・仕切壁 ４・・・ネジ穴 ５・・・段部 ６・・・嵌合穴 ７・・・段縁 ８・・・モルタル筒体 ９・・・水膨張性止水環 ９ａ・・水膨張性止水環 １０．．突部 １１・・キャップ Ａ・・・型枠 Ｂ・・・セパレ−タ Ｃ・・・固定ボルト Ｄ・・・締付け具 Ｅ・・・コンクリ−ト Ｆ・・・接着剤

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 埋込み固定具は、モルタル筒体に一体形
   成されるジョイントナットが、ネジ穴の中ほどに設ける
   仕切壁と、該外周の一部に設けた段部いずれも、同質素
   材により一体形成して成る構成を特徴とする型枠締め付
   け用埋め込み固定具。
2. 【請求項２】 埋込み固定具のネジ穴に、接着固定する
   モルタル成形されたキャップを組み合わせて成る請求項
   １に記載の型枠締め付け用埋め込み固定具。
3. 【請求項３】 モルタル筒体と一体形成したジョイント
   ナット端部に、水膨張止水環を取り付けた構成である、
   請求項１又は請求項２に記載する型枠締め付け用埋め込
   み固定具。
4. 【請求項４】 ジョイントナット端部に取り付ける水膨
   張止水環が、段部の全体まで覆う長さである請求項３に
   記載する型枠締め付け用埋め込み固定具。