JP3851970B2 - 誘導加熱を用いた定着装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば電子写真式の複写装置、プリンタおよびファクシミリなどに用いられる定着装置に関し、さらに詳しくは電磁誘導加熱を利用してトナー像を記録媒体に定着する定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真式の複写装置、プリンタおよびファクシミリなどでは記録媒体である記録紙ないし転写材などのシートに保持されたトナー像をシートに定着する定着装置が用いられている。
【0003】
この定着装置は、例えばシート上のトナーを熱融着させる定着ローラと当該定着ローラに圧接してシートを狭持する加圧ローラとを有している。定着ローラは中空円筒形状に形成され、円筒内部にこの定着ローラを加熱するための発熱体が設けられている。この発熱体により、定着ローラはトナーを熱溶着する。従来の発熱体としてはハロゲンランプなどを定着ローラの中心軸上に配置して、ハロゲンランプの輻射熱により定着ローラを加熱するものが主流であった。
【0004】
ところが、このハロゲンランプを用いた定着装置はコスト面では低価格であるものの輻射熱による加熱であるため熱効率が低く、エネルギーロスが大きく、加熱ローラの温度の立ち上がりが悪いという欠点があった。
【0005】
このようなハロゲンランプによる加熱方式の欠点を解決すべく誘導加熱方式の定着装置が提案されている。例えば特公平4−73155広報には、第1図に示すように導電性の1定着ローラの内部に、閉磁路を構成する2コア(鉄芯)を貫通させ、このコアに巻き線を螺旋状に巻回して形成した3加熱コイルを定着ローラ内部に同心状に配置した誘導加熱式定着装置が記載されている。この定着装置では、3加熱コイルに通電して2コア内に磁束を発生させ、この磁束によって1定着ローラに誘電電流を誘起させることにより、1定着ローラを加熱させている。また、特開平9−127813広報には、図2に示すように1定着ローラ内部に2コアに巻回された3加熱コイルを挿入した誘導加熱式定着装置が記載されている。このような誘導加熱を用いた定着装置は、1定着ローラなどの発熱体を直接発熱させる形態であるため、ハロゲンランプに比べて、熱効率が高く、定着ローラの表面を定着温度まで迅速に昇温させることが可能であり、定着装置が常時通電されていない小規模な事業所や家庭用などの複写機、プリンタやファクシミリなどに適している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公平4−73155の方法は1定着ローラ表面の円周状矢印α−1方向に高周波の誘導電流が流れるが、1定着ローラの内部に巻回された加熱コイルが均一に巻かれていると1定着ローラと3加熱コイルが発生する磁束の結合は定着ローラの中心部が一番強いので図1温度分布に示すように定着ローラの中心部の温度が一番高くなり、定着ローラの中心部と端部の温度差が著しく大きくなる。これを解決するため、例えば特開昭59−33788に示されるように加熱コイルの分布を粗密にすることにより定着ローラの温度分布を均一にする方法、又、特開2001−51528に示されるように外部に昇圧コイルを設けて加熱コイルの巻数を増やすなどすることにより定着ローラの軸方向全体に巻線を巻くことによって定着ローラの温度分布を均一にする方法が提案されている。
【0007】
特開昭59−33788の方法は、加熱コイルの巻き方を温度分布に合わせて粗密の程度を変える方法であり、巻線時に巻線の位置が変わりやすく、且つ、定着ローラと加熱コイルの空隙によって温度分布が変わるなど量産時のばらつきが大きく生産性が劣る。又、特開2001−51528の方法は巻数を増加することは出来るが、定着ローラの軸方向中心部の温度が外側部よりも高いことは変わらず、また、外部に昇圧コイルとこれを駆動する駆動回路を必要とするなどの欠点がある。
【0008】
特開平9−127813の方法は図2のβ−2方向に交番磁束が発生するため、定着ローラには図2のα−2に示すような誘導電流が流れる。この電流により定着ローラの表面温度分布は図2温度分布に示すように定着ローラの軸方向中心部と両端の温度が低く、大きな温度差を発生することになる。この温度差をなくすために特開平9−244441に開示されているように誘導加熱され加熱部材にアルミニウムなどの高熱伝導体を用いて温度分布を少なくする方法が試みられるが、それだけ熱容量が大きくなり、立ち上がり時間が長くなると共に消費電力が大きくなり実用的でない。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、定着ローラの一部に加熱コイルを交差して巻回する事により、定着ローラの軸方向表面から側面、裏面、及び、他の側面に周回する誘導電流が流れるように構成して定着ローラ軸方向の発熱を一定することにより均一な定着性能と生産性および組立時の信頼性が高い誘導加熱を用いた定着装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決する手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、導電体からなり誘導加熱される定着ローラまたは定着ベルト、定着ローラまたは定着ベルトに交差して磁束を発生する誘導加熱コイルを有し、前記定着ローラまたは定着ベルトの軸方向表面から側面、裏面、及び、他の側面に周回する誘導電流が流れるように構成することによって、定着ローラまたは定着ベルトの表面軸方向に同一の電流を流して定着ローラまたは定着ベルトの軸方向温度分布を均一化することによって均一な定着性能を得るとともに誘導加熱コイルを樹脂により成形され、周方向、定着ローラまたは定着ベルトの端部近傍でその一部を切断分割した切断分割部を有し、この切断分割部を誘導加熱コイルの巻線方向にスライドさせて定着ローラまたは定着ベルトの交換を可能とすることにより、誘導加熱コイルを変形することがないので定着ローラまたは定着ベルトとの空隙が変化することがなく安定した定着性能と高信頼性を得ることを目的とする。
【0011】
請求項2の発明は、誘導加熱コイルが樹脂でモールドされているで定着ローラまたは定着ベルトとの空隙が変化することが一層少なく一層安定した定着性能と高信頼性を得ることを目的とする。
【0012】
請求項3の発明は、定着ローラまたは定着ベルトは磁性体表面に非磁性導電体を設けたので定着ローラまたは定着ベルトの表面に一定の電流が流れやすく表面温度の均一化が図れることを目的とする。
【0013】
請求項4は、誘導加熱コイルの接合部に単方向性の導通特性を有する接合体を用いることにより確実に接合することによって組立の信頼性を高めること目的とする。
【0014】
【作用】
請求項1の場合は、定着ローラまたは定着ベルトの軸方向外表面、定着ローラの側表面、裏面および定着ローラの他の側面に至り同一の誘導電流が流れるので定着ベルトまたは定着ローラが軸方向に均一に加熱されるるとともに誘導加熱コイルを変形することがないので定着ローラまたは定着ベルトとの空隙が変化することがなく安定した定着性能と高信頼性を得るので定着品質の向上を図ることが出来る。
【0015】
請求項2の場合は、誘導加熱コイルが樹脂でモールドされているで定着ローラまたは定着ベルトとの空隙が変化することが一層少なく定着品質の一層の向上を図ることができる。
【0016】
請求項3の誘導加熱コイルは定着ローラまたは定着ベルトは磁性体表面に非磁性導電体を設けたので均一な電流が流れやすく表面温度の一層の均一化を図る事ができる。
【0017】
請求項4の誘導加熱コイルは、接合部に単方向に導通する接合体により接合されるので簡単に、かつ、誘導加熱コイルの素線を確実に接続することができ組立の信頼性を高めることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明実施の形態の誘導加熱を用いた定着装置を図3乃至図4に基づいて説明する。
【0019】
図3は本発明の側面図であり、図4は図3側面図のAAAAA点を通る断面図である。従来と同様の機能の部品については同一の番号を附す。4加圧ローラの上部に1定着ローラが設けられる。1定着ローラは6支持ローラAと7支持ローラBおよび4加圧ローラによって支えられ、支持ローラBがC方向に回転することによって、1定着ローラはD方向に回転する。1定着ローラは円筒状を成し、その一部に5加熱コイル組立が定着ローラに交差するように設けられる。即ち、加熱コイル組立は後述する撚り線を最適な巻数だけ巻いた3加熱コイルを樹脂によりモールド加工して一体成形した後、加熱コイルの周方向で8加熱コイル組立Aと9加熱コイル組立Bにフランジを有する接合部で加熱コイルが切断され切断面を有する。その切断面を研磨した後、図4に示すように加熱コイルに設けられたフランジ部を18ネジにより確実に固定され、切断された加熱コイルの巻線それぞれが導通するように接続される。さらに、3加熱コイルは図示しないが14支持板A、15支持板Bに固定されることによって、3加熱コイルと1定着ローラが所定の空隙で確実に配置される構造となっている。
【0020】
接合部分は図4に示すように接合部を研磨した後、固定用18ネジを用いて確実に8加熱コイル組立Aと9加熱コイル組立Bを確実に固定する方法で良いが、一層の信頼性をもって接続するためには図5接合部図に示すように8加熱コイル組立A,9加熱コイル組立Bの接続面に単一方向にのみ導通特性を有する17接合子を用いて接続する方法がよい。
【0021】
図6はこの17接合子の構造を説明する接合子の一部を示した接合子斜視図である。20導電材は、直径が加熱コイルを構成する銅線の絶縁被覆の2倍以下(例えば50μm)の例えば銅線またはステンレス線などの導電体であり、この導電体をシリコンゴムなど19耐熱性弾性材でモールドして、それぞれが絶縁された状態となっている。この時、20導電体を先ず絶縁材により被覆した後、19耐熱性弾性材によってモールドする構造でも良い。この接合子の端面は図6斜視図に示すように20導電体が表面に現れている状態である。
【0022】
3加熱コイルを構成する銅線は、例えば0.3mmの銅線に35μmの被服を被せた単線を19本撚った撚り線(以下リッツ線)であり、17接合子を挟んで8加熱コイル組立Aと9加熱コイル組立Bを圧接する事によって、加熱コイルの銅線は17接合子の20導電体を介してリッツ線を構成する単線の銅線が互いに短絡することなく確実に接続される。
【0023】
図7は電圧共振形のインバータ回路ブロック図であり、図8はその動作説明図である。21交流電源の両端に22第1のコンデンサを接続すると共に23整流用ブリッジに接続される。整流用ブリッジの正電圧側出力端子には24チョークコイルを介して25第2のコンデンサに接続される。25第2のコンデンサには図示のように26共振コンデンサ及び3加熱コイルの並列回路が接続された後、32IGBTのコレクタに接続される。IGBTのゲート端子には制御回路が接続される。制御回路はIGBTを駆動する31ドライバ、このドライバにインバータ出力に見合った駆動信号を供給する30出力決定回路、出力決定回路に接続された29発振器と37出力設定回路が接続され、29発振器には発振器の同期を取るための28帰還回路が接続される。28帰還回路はIGBTと加熱コイル、共振コンデンサの接続点及びチョークコイルの入力側に接続され、後述するようにIGBTのコレクタ電圧の後端部においてパルスを発生するように帰還回路が構成される。また、28帰還回路の出力端子は33R/SフリップフロップのS端子に接続される。33R/SフリップフロップのR入力端子は34電流帰還回路に接続され、R/SフリップフロップのQ出力端子は30出力決定回路の出力設定回路からの入力部に図示方向の35ダイオードを介して接続される。この入出力端子の動作を図9R/Sフリップフロップ真理値表に示す。また、34電流帰還回路の入力端子は37出力設定回路とIGBTのエミッタに接続された36電流検出回路の出力端子に接続された構成と成っている。
【0024】
図8は、図7インバータ回路の動作説明図である。29発振器は無安定マルチ発振器であり、図示しないが発振回路中に有するコンデンサの充放電により発振動作を行う。その発振波形を第7図(a)の(α)に示す。37出力決定回路には発振器の出力信号(α)と出力設定回路からの信号(β)が供給される。出力設定回路の信号は所定値の電圧(V1)を有する信号であるが、後述するR/Sフリップフロップからの出力信号が35ダイオードを介して接続されているため、所定値の電圧(V1)は(γ)に示すようにR/Sフリップフロップの出力信号に従って所定値の電圧(V1)を有するパルス状の波形となる。
【0025】
電流帰還回路の動作がない場合には、発振器からの鋸波形状の波形(α)の電圧が所定値(β)よりも小さいとき、即ち、t2乃至t3’期間高電位となるが電流帰還回路の動作に従い、t3’以前のt3時間に電流帰還回路により強制的に低電位(以下Lと記す)とされる。そこで、出力決定回路の出力は図8(b)に示すようなパルス波形をT1期間発生する。
【0026】
この出力決定回路の出力信号は31ドライバに供給されIGBTが導通する。IGBTの電流は電流検出回路により検出されるが、その波形を図8(c)に示す。IGBTが導通した当初IGBTに流れる電流は鋸状の波形を示して上昇するが、図8(g)の第2の25コンデンサの端子電圧に示すように第2のコンデンサの電荷が減少してくると24チョークコイルから供給される電流よりもIGBTにより加熱コイルに流される電流の方が大きくなり十分な電流を第2の25コンデンサは供給することが出来ず、図8(c)のt4時間をピークに電流が減少し始める。IGBT32のエミッタには36電流検出回路としてカーレントトランスが設けられており、このカーレントトランスはIGBTに流れる電流に見合った電圧を発生する。34電流帰還回路は36電流検出回路の出力電圧と出力設定回路の値(V2)を比較しており、36電流検出回路の出力電圧が出力設定回路の値より小さくなるとその出力信号として図8(d)に示すようにLレベルのパルス信号を出力する。通常R/Sフリップフロップの入力端子はともにHレベルに保持されており、図9からその出力は変化しないで前の状態を保っている。これに対して、S入力端子に接続された34電流帰還回路からS入力端子にLレベルのパルスが入力されるので図9に示すようにR/SフリップフロップがLレベルの出力を発生する。この出力は35ダイオードを介して出力決定回路に接続されており、出力設定回路からの電圧V1をLレベル出力とするので図8(γ)t3タイミングに示すように出力決定回路にLレベル出力を入力する事となる。出力決定回路37は29発振回路の出力波形とこの(γ)波形を比較して(γ)波形が発振器出力波形(α)よりも低いとき図8(b)に示すように出力決定回路の出力図8(b)の出力をLレベル出力とするのでIGBTのゲートにLレベル出力を供給することになりIGBTは遮断動作を開始する。
【0027】
IGBTが遮断状態になると加熱コイルと共振コンデンサにより共振電圧が発生する。この共振電圧波形(δ)とチョークコイル入力側電圧が基準電圧(V3)として帰還回路に供給され、共振電圧波形の後端、図8(d)に示すようにt1タイミングで(δ)が(V3)以下に成ったとき図8(f)に示すパルスを発生する。帰還回路から発生されたこのパルスにより発振器の出力はt1タイミングで反転して図8(a)発振器出力波形(α)は実線に示すように動作を行う。同時にこのLレベルのパルスはR/SフリップフロップS端子に供給されており図9に示す真理値表のようにその出力QにはHレベルの出力を発生することになる。そこでR/Sフリップフロップの出力に接続されたダイオードにより強制的にLレベルとされていた出力設定回路からの電圧V1は解放され出力決定回路にV1レベルの電圧をt1タイミングで供給することになる。発振器の出力電圧(α)は下降を初めt2でV1より低くなるので出力決定回路の出力は図8(b)に示すようにt2でHレベルとなる。
【0028】
このようにインバータはIGBTに流れる電流及び共振電圧を検出して確実なスイッチング動作を行うことが出来るので、電源電圧に従いT1期間が変更され安定なインバータ動作を行うことが出来る。尚、出力設定回路の所定値(V1)、(V2)及び帰還回路の所定値はチョークコイルの入力側端子からの入力に従い適切な電圧を発生するように構成されていると共に図示しないが定着ローラの温度を検出するために設けられた温度検出素子を含む38温度検出回路の出力信号によりインバータの出力電力を最適な状態に制御する。さらに、説明には記さなかったが従来と同様入力電流を設定した所定値に保つため交流入力電流を検出して、この電流が設定値に成るように制御することは周知の技術である。
【0029】
以上の構成により誘導加熱される定着ローラに流れる誘導電流について説明する。図10は3加熱コイルによる磁束の流れと1定着ローラに流れる電流を説明する説明図である。3加熱コイルに流れる電流は図4、図10に示すような方向の磁束β−3を発生する。この磁束により1定着ローラには、この磁束β−3をうち消す方向の電流α−3が定着ローラ表面から裏面にかけて周回する電流が流れる。この電流により1定着ローラは加熱されるが、定着ローラの軸δ同一の電流が流れるため軸方向には発熱の温度分布が全くなくなる。
【0030】
さらに、3加熱コイルが発生する磁束β−3は1定着ローラを構成する2コアを流れる構造とし、このコアとは別にコア表面に設けた16導電層に電流が流れる構成としたが、1定着ローラを例えば透磁率が比較的大きい磁性ステンレスなどを用いることによって16導電層を別に設けることなく1定着ローラの構成を簡略化出来る。
【0031】
さらに、1定着ローラを非磁性金属のみを用いて構成しても十分に機能をする。この場合、3加熱コイルと1定着ローラとの空隙が不均一になると磁束の分布に大きな部分的なばらつきが生じやすい。そこで、軸方向に関する磁束のばらつきを小さくするために3加熱コイルと1定着ローラの空隙の均一化を図ることが重要となる。そのため、本願に示すように3加熱コイルを樹脂によってモールドすると固定が確実となり、加熱コイルと定着ローラの空隙を一定に保つことが可能となる。このように加熱コイルと定着ローラの空隙を均一化することにより非磁性金属を定着ローラの発熱体として用いることが可能となる。
【0032】
また、2コアを整磁鋼など温度変化によって透磁率が変化する磁性体を使用することによって3加熱コイルと26共振コンデンサの共振周波数が変化する。この変化を捕らえて定着ローラまたは定着ベルトの温度変化を検出して入力を制御することによってさらに精度の高い温度制御が可能となる。温度上昇と共に入力電力を抑えることによって更に精度の良い温度制御が可能となる。この方法は、単に2コアに整磁鋼用いる方法に限らず、サーミスタ等温度検出装置を用いて制御することも可能であることは周知である。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の誘導加熱を用いた定着装置は以下の効果を奏する。請求項1の誘導加熱を用いた定着装置は、定着ローラの表面から裏面に周回する電流により加熱されるので、定着ローラの表面の温度分布が均一となり優れた定着性能を得ることが出来る。さらに、定着ローラのみを誘導加熱する構造であるから温度の立ち上がり速度が速く、使用しない状態では断電しておくことが可能となり省エネルギーとなり、低ランニングコストで応答性が高く、かつ、修理時においても誘導加熱コイルが変形することもなく何時までも定着品質が高い誘導加熱を用いた定着装置を提供することができる。
【0034】
請求項2の誘導加熱を用いた定着装置は、誘導加熱コイルが樹脂でモールドされているで定着ローラまたは定着ベルトの交換時においても空隙が変化することがなく安定した定着性能と高信頼性を得ることが可能となり一層の定着性能向上が高い誘導加熱を用いた定着装置を提供することができる。
【0035】
請求項3の誘導加熱を用いた定着装置は、定着ローラまたは定着ベルトは磁性体表面に非磁性導電体を設けたので定着ローラまたは定着ベルトの表面に一定の電流が流れやすく表面温度の均一化が図れことが可能であり、信頼性が高い誘導加熱を用いた定着装置を提供することができる。
【0036】
請求項4の誘導加熱を用いた定着装置は、誘導加熱コイルの接合部に単方向性の導通特性を有する接合体を用いることにより確実に接合することによって信頼性が高い誘導加熱を用いた定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の誘導加熱を用いた定着装置
【図2】他の従来の誘導加熱を用いた定着装置
【図3】本発明一実施例の側面図
【図4】図3側面図のAAAAA点を通る断面図図
【図5】接合部図
【図6】接合子斜視図
【図7】インバータ回路ブロック図
【図8】インバータ回路動作説明図
【図9】RSフリップフロップ真理値表
【図10】定着ローラに流れる電流を説明する説明図
【符号の説明】
1・・・定着ローラ
2・・・コア
3・・・加熱コイル
4・・・加圧ローラ
5・・・加熱コイル組立
8・・・加熱コイル組立B
9・・・加熱コイル組立A
16・・・導電層
17・・・接合子
19・・・耐熱性弾性材
20・・・導電材
Claims (4)
- 導電体からなり誘導加熱される定着ローラまたは定着ベルトと、定着ローラまたは定着ベルトに交差して磁束を発生する誘導加熱コイルを有し、前記誘導加熱コイルは、前記定着ローラまたは定着ベルトの軸方向表面から側面、裏面、及び、他の側面に周回する誘導電流が流れるように構成されるとともに、前記誘導加熱コイルは樹脂により成形され、かつ、前記誘導加熱コイルの一部を切断分割及び接合が可能な切断分割部を有し、前記切断分割部を、誘導加熱コイルの巻線方向にスライドさせることによって、切断分割前に接続されていた誘導加熱コイルと同一の導線が電気的に導通する状態に接合可能としたことを特徴とする誘導加熱を用いた定着装置。
- 誘導加熱コイルは樹脂によりモールドされたことを特徴とする請求項1の誘導加熱を用いた定着装置。
- 定着ローラまたは定着ベルトは磁性体表面に非磁性導電体を設けたことを特徴とする請求項1の誘導加熱を用いた定着装置。
- 誘導加熱コイルの切断分割部との接合部に単方向にのみ導通特性を有する接合体を用いたことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3の誘導加熱を用いた定着装置。
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