JP3851829B2 - 皮膚表面散乱光増加を目的とした皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の植物および菌類の抽出物を有効成分とする皮膚表面の散乱光の増加効果の高い皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、肌を美しく見せることは自分をより魅力的に見せるための重要な手段であり、その願望を満足させるための研究がこれまでにも数多くなされている。例えば、老化にともない肌の赤みが失われ、黄みが増すことによりくすみを感じたり、角質層の保湿機能が低下することで肌表面が乾燥してみずみずしいつやが失われるが、これらが肌の美しさを損なう原因のひとつであるため、メラニンの産生を抑える美白剤や血流量を増加させる血行促進剤、あるいは、皮膚の水分量を保つための保湿剤を配合した化粧料で肌の美しさを改善することが行われている。最近では、皮膚の「透明感」を向上させるために、角質層の透明性を向上させることを目的とする技術などが知られている。しかしながら、これらの技術に関しては、皮膚に塗布したときの刺激性に問題があったり、製剤自体の安定性が良くなかったりするものが多かった。
【0003】
また,皮膚の状態変化を科学的に計測する手段の技術的な問題や,その状態に関与する因子の複雑さから,美容用語としてよく用いられている肌の「くすみ」や「透明感」についてはその本質が完全に解明されておらず,未だに明確な定義がなされていない。そこで,本発明者らは特に皮膚表面での光の反射特性を様々な肌状態のパネルで測定し,目視評価による「くすみ」や「透明感」のスコアと比較することで,どのような反射特性が見た目の肌の美しさに関与しているのかを鋭意研究を行った。その結果,従来の仮定とは全く異なる角質層の反射特性を見出すことが出来た。すなわち,これまで角質層の透明度の高い肌が透明感のある美しい肌とされてきたが,様々な状態を示す肌を測定した結果,目視での「透明感」スコアが高いほど肌表面での光の散乱が多いことが確認された。これらのことから,美しく見える肌は角質層の透明度が低く光の散乱度が高いという特徴があるということがわかった。
【0004】
その一方で、色調や表面反射特性を利用して皮膚を美しく見せるように整える化粧料としては、ファンデーションなどのメイクアップ化粧料があるが、当然のことであるが、これらの化粧料は皮膚を一時的に美しく見せる目的で使用されるものであり、本質的に皮膚表面の反射特性を改善する効果はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上の点を鑑み、本発明の課題は安全性が高く、本質的に皮膚表面の反射特性を改善する効果の高い皮膚外用剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するためこれまで種々の用途に応用され、古来より生薬として活用されている植物および菌類に関して長年の検討を行った結果、皮膚外用剤に特定の植物および菌類の抽出物を配合すると、皮膚表面での散乱光を増加させる効果が顕著に高まることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の皮膚外用剤が有効成分とする植物および菌類の抽出物は、キク科、セリ科、マメ科、シソ科、ミカン科、バラ科、クワ科、ヤドリギ科、アオイ科、トチノキ科、スイカズラ科、ネムノキ科、クロウメモドキ科、キンポウゲ科、ボタン科、ウマノスズクサ科、ゴマノハグサ科、クスノキ科、ショウガ科、オトギリソウ科、フトモモ科、マンサク科、ユリ科、シナノキ科、トクサ科、ユキノシタ科、フウロソウ科、リンドウ科、ナデシコ科、ウリ科、イネ科、アカネ科、サルノコシカケ科に属する植物および菌類の抽出物から選択される1種または2種以上から選ばれる。好ましくは、キンセンカ属、フキタンポポ属、ウサギギク属、ヨモギ属、シカギク属、ノコギリソウ属、ヤグルマギク属、ベニバナ属(以上キク科)、オランダゼリ属、ニンジン属、リグスティカム属、ハマゼリ属、シシウド属、ウイキョウ属、オランダミツバ属、ヒメウイキョウ属(以上セリ科)、オノニス属、シナガワハギ属、クズ属(以上マメ科)、セイヨウヤマハッカ属、タツナミソウ属、アキギリ属、イブキジャコウソウ属、マンネンロウ属(以上シソ科)、キハダ属、ミカン属(以上ミカン科)、キジムシロ属、サクラ属(以上バラ科)、カラハナソウ属(クワ科)、ヤドリギ属(ヤドリギ科)、タチアオイ属、ゼニアオイ属(以上アオイ科)、トチノキ属(トチノキ科)、ニワトコ属(スイカズラ科)、ナツメ属(クロウメモドキ科)、オウレン属(キンポウゲ科)、ボタン属(ボタン科)、フタバアオイ属(ウマノスズクサ科)、アカシア属(ネムノキ科)、ジオウ属(ゴマノハグサ科)、クスノキ属(クスノキ科)、ウコン属、ショウガ属(以上ショウガ科)、オトギリソウ属(オトギリソウ科)、フトモモ属(フトモモ科)、マンサク属(マンサク科)、ユリ属、アロエ属(以上ユリ科)、シナノキ属(シナノキ科)、トクサ属(トクサ科)、ユキノシタ属(ユキノシタ科)、フウロソウ属(フウロソウ科)、センブリ属(リンドウ科)、サボンソウ属(ナデシコ科)、ヘチマ属、キュウリ属(ウリ科)、ジュズダマ属(イネ科)、カギカズラ属(アカネ科)、ポリア属、マンネンタケ属(サルノコシカケ科)等の属の植物および菌類およびこれらを加工したものを用いることができる。さらに、古来より生薬としての薬効が知られていて、原料入手が容易用意であるという点から、キク科キンセンカ属のトウキンセンカ(キンセンカ/マリーゴールド)(Calendula officinalis L.)、キク科フキタンポポ属のフキタンポポ(Tussilago farfara L.)、キク科ウサギギク科のアルニカ(Arnica montana L.)、キク科ヨモギ属のヨモギ(Artemisia princeps Pampanini)、キク科シカギク属のカミツレ(Matricaria chamomilla L.)、キク科ノコギリソウ属のセイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium L.)、キク科ヤグルマギク属のヤグルマギク(Cemtaurea cyanus L.)、キク科ベニバナ属のベニバナ(Carthamus tinctorius L.)、セリ科オランダゼリ属のパセリ(Petroselinum crispum L.)、セリ科ニンジン属のニンジン(Daucus carota L.)、セリ科リグスティカム属のセンキュウ(中国産)(Ligusticum chuanxiong Hort.)、セリ科ハマゼリ属のセンキュウ(日本産)(Cindium officinal Makino)、セリ科シシウド属のトウキ(Angelica acutiloba(Sieb.et Zucc.)Kitagawa)、セリ科ウイキョウ属のウイキョウ(Foeniculum vulgare Miller)、セリ科オランダミツバ属のセロリ(Apium graveolens L.)、セリ科ヒメウイキョウ属のクミン(Cuminum cyminum L.)、マメ科オノニス属のオノニス(Ononis spinosaL.)、マメ科シナガワハギ属のメリロート(Melilotus officinalis Pallas)、マメ科クズ属のクズ(Pueraria lobata Ohwi)、シソ科セイヨウヤマハッカ属のコウスイハッカ(レモンバーム/メリッサソウ)(Melissa officinalis L.)、シソ科アキギリ属のタンジン(Salvia miltiorrhiza Bunge)、シソ科アキギリ属のセージ(Salvia officinalis L.)、シソ科タツナミソウ属のコガネバナ(オウゴン)(Scutellaria baicalensis Geroge)、シソ科イブキジャコウソウ属のタチジャコウソウ(Thymus vulgaris L.)、シソ科マンネンロウ属のマンネンロウ(Rosmarinus officinalisL.)、ミカン科キハダ属のキハダ(Phellodendron amurense Ruprecht)、ミカン科ミカン属のユズ(Citrus junos Siebold)、ミカン科ミカン属のウンシュウミカン(Citrus unshiu Markovich)、バラ科キジムシロ属のトルメンチラ(Potentilla tormentilla Schrk)、バラ科サクラ属のアンズ(Prunus armeniaca L.)、バラ科サクラ属のモモ(Prunus persica Batsch)、クワ科カラハナソウ属のホップ(Humulus lupulus L.)、ヤドリギ科ヤドリギ属のヤドリギ(Viscum album L. var. coloratum(Komar.)Ohwi)、アオイ科タチアオイ属のビロードアオイ(Althea officinalis L.)、アオイ科ゼニアオイ属のウスベニアオイ(Malva sylvestris L.)、トチノキ科トチノキ属のセイヨウトチノキ(別名:マロニエ)(Aesculus hippocastanum L.)、スイカズラ科ニワトコ属のセイヨウニワトコ(エルダー)(Sambucus nigra L.)、クロウメモドキ科ナツメ属のナツメ(Ziziphus jujuba Miller var.inermis Rehder)、キンポウゲ科オウレン属のオウレン(Coptis japonica(Thunb.)Makino)、ボタン科ボタン属のシャクヤク(Paeonia lactiflora Pall.)、ボタン科ボタン属のボタン(Paeonia suffruticosa Andrews.)、ウマノスズクサ科フタバアオイ属のウスバサイシン(Asiarum sieboldi(Miq.)F.Maekawa)、ネムノキ科アカシア属のアセンヤクノキ(Acacia catechu (L.f.)Wild.)、ゴマノハグサ科ジオウ属のジオウ(Rehmannia glutinosa(Gaertn.)Libosch.)、クスノキ科クスノキ属のケイ(Cinnamomum cassia Blume)、ショウガ科ウコン属のウコン(Curcuma longa Valet.)、ショウガ科ショウガ属のショウガ(Zingiber officinal)、オトギリソウ科オトギリソウ属のオトギリソウ(Hypericum perforatum L.)、フトモモ科フトモモ属のチョウジ(Syzgium aromaticum (L.)Merril et Perry)、マンサク科マンサク属のハマメリス(Hamamelis virginiana L.)、ユリ科ユリ属のユリ(Lilium candiumL.)、ユリ科アロエ属のアロエ(Aloe ferox Mill.)、ユリ科アロエ属のキダチアロエ(Aloe arborescens Mill.)、シナノキ科シナノキ属のシナノキ(Thilia cordata Mill.)、トクサ科トクサ属のスギナ(Equisetum arvense L.)、ユキノシタ科ユキノシタ属のユキノシタ(Saxifraga stolonifera Meerbur)、フウロソウ科フウロソウ属のゲンノショウコ(Geranium nepalense Sweet. var.thunbergii(Sieb et Zucc.)、リンドウ科センブリ属のセンブリ(Ophelia japonica Makino)、ナデシコ科サボンソウ属のサボンソウ(Saponaria officinalis L.)、ウリ科ヘチマ属のヘチマ(Luffa cylindrica Roem.)、ウリ科キュウリ属のキュウリ(Cucumis sativus L.)、イネ科ジュズダマ属のハトムギ(Coix lacryma−jobi L. var.ma−yuen Stapf.)、アカネ科カギカズラ属のガンビールノキ(Uncaria gambir(Hunt)Roxb.)、サルノコシカケ科ポリア属のマツホド(ブクリョウ)(Poria cocos (Fr.)Wolff)、サルノコシカケ科マンネンタケ属のマンネンタケ(Ganodermalucidum(Leyss.ex Fr.)Karst.)の1種または2種以上の植物および菌類これを加工した生薬類を用いることができるが、これらの植物および菌類に限定するものではない。
【0008】
本発明にかかる植物の抽出物は、花、実、種子、葉、茎、根、樹皮、幹、枝等の何れの部分を用いても良く、さらには全草を用いることができる場合は、その全草を用いても良い。また、菌類に関しては菌糸体、胞子などを用いることができるが、植物同様に使用部位に限定をするものではない。
【0009】
本発明において使用する上記植物および菌類の抽出物を調製する方法について以下に述べるが、これらの抽出溶媒および抽出方法に限定されるものではない。水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−オクチルアルコールなどのアルコール類、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等の多価アルコール又はその誘導体、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−プロピルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル類、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル等のエーテル類などの極性溶媒から選択される1種又は2種以上の混合溶媒が好適に使用でき、また、リン酸緩衝生理食塩水を用いることができる。或いは、石油エーテル、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−ブタン、n−オクタン、シクロヘキサン、スクワラン等の炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、ベンゼン、トルエンなどの低極性もしくは無極性溶媒から選択される1種又は2種以上の混合溶媒も好適に使用することもできる。さらには、水や二酸化炭素、エチレン、プロピレン、エタノール、メタノール、アンモニアなどの1種または2種以上の超臨界流体や亜臨界流体も用いることもできる。
【0010】
抽出方法としては、常圧、若しくは加圧,減圧下で、室温、冷却又は加熱した状態で含浸させて抽出する方法、水蒸気蒸留などの蒸留法を用いて抽出する方法、植物体もしくは菌体を圧搾して抽出物を得る圧搾法などが例示され、これらの方法を単独で、又は2種以上を組み合わせて抽出を行うこともできる。さらに、市販の植物および菌類のエキスを用いてもよい。
【0011】
このようにして得られた植物および菌類の抽出物は、抽出物をそのまま用いることもできるが、その効果を失わない範囲で、脱臭、脱色、濃縮などの精製操作を加えたり、さらにはカラムクロマトグラフィーなどを用いて分画物として用いてもよい。これらの抽出物や精製物、分画物は、これらから溶媒を除去することによって乾固物とすることもでき、さらに、アルコールなどの溶媒に可溶化した形態、或いは乳剤の形態で用いることができる。
【0012】
本発明における皮膚表面散乱光増加剤は、前述の植物および菌類の抽出物を有効成分とする。また、かかる皮膚表面散乱光増加剤の有効成分である植物および菌類の抽出物を皮膚外用剤に配合することにより、優れた皮膚の透明感の改善の効果を発揮することができる。
【0013】
本発明にかかる植物および菌類の抽出物の皮膚外用剤への配合量としては、乾燥物として一般的に0.0001重量%〜10.0重量%であり、好ましくは、0.001重量%〜5.0重量%、さらに好ましくは、0.001重量%〜1.0重量%である。
【0014】
本発明にかかる植物および菌類の抽出物を配合する皮膚外用剤の剤型としては、クリームや乳液などの乳化物や、化粧水やジェル状化粧料などの水性化粧料、石鹸や洗顔フォームなどの洗浄用化粧料、あるいはピールオフ型や洗い流し型のパック剤などがあげらる。
【0015】
このような皮膚外用剤中に組み合わせて使用できる原料としては、次にあげる(A)群に含まれる原料が挙げられ、これらを目的に応じて組合せて使用することができる。当然のことであるが、本発明は、組み合わせて使用できるものを(A)群に含まれる原料に限るものではない。また、本発明の皮膚外用剤には、発明の効果を損なわない範囲で併用することができる。(A)油分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、中和剤、防腐剤、粉体成分、色素、キレート剤、香料、紫外線吸収剤、抗酸化剤、薬効剤
【0016】
【実施例】
次に本発明の詳細について、実施例を用いて詳細に説明する。
[製法1]乾燥した植物もしくは菌類を粉砕し、10重量倍量の50%エタノールで1週間室温で浸漬する。これをろ過し、減圧下、濃縮および乾燥を行い抽出物を得る。
【0017】
[製法2]乾燥した植物もしくは菌類を粉砕し、10重量倍量の50%エタノールで1週間室温で浸漬する。これを濾過し、目的の抽出物を得る。
【0018】
[製法3]乾燥した植物もしくは菌類を粉砕し、10重量倍量の50%1,3−ブチレングリコールにて、50℃で1日浸漬する。これをろ過し、目的の抽出物を得る。
【0019】
[製法4]乾燥した植物もしくは菌類を粉砕し、10重量倍量のn−ヘキサンにて、室温で2週間浸漬する。これをろ過後、n−ヘキサンを留去して減圧下乾燥させて目的の抽出物を得る。
【0020】
また、これらの方法以外に市販の抽出物を使用しても、何ら問題はない。
【0021】
[実施例1〜実施例62]皮膚外用剤
(1)製法1で得られた植物および菌類の抽出物 1.0重量%(2)白色ワセリン 99.0
製法:(1)を(2)に加え、均一に分散させる。
【0022】
[比較例1]
(1)濃グリセリン 1.0重量%(2)白色ワセリン 99.0
製法:(1)を(2)に加え、均一に分散させる。
【0023】
[皮膚表面散乱光の増加効果]
次に、本発明にかかる皮膚外用剤を使用した場合のヒト上腕内側部における皮膚表面散乱光の増加効果を示す。
【0024】
[使用試験1]
上記実施例1〜実施例62および比較例1の皮膚外用剤を用いて皮膚表面散乱光の増加効果を測定した。20〜40才の性別を問わないパネラー各10名を1群として、起床時および就寝直前の1日2回、合計30日間試料の適量を上腕内側部に塗布させて行った。なお、各パネラーには片腕3サンプル(3cm×3cmが3箇所)、両腕で6サンプル使用させ、試験開始前日と終了当日に、下記要領で皮膚表面の分光反射率の測定を行った。
【0025】
[表皮分光反射率の測定]
恒温恒湿の測定室で1時間待機後に、皮膚表面での400nm〜700nmの分光反射率を測定した。分光測色計(ミノルタ CM−2002)にて、正反射光を除く条件で測定し、10nm毎の31ポイントでの分光反射率の積分値を求めた。得られたパネラー10名の当該積分値の平均値を使用試験前後で、それぞれ求めた。その結果を表1および表2に示した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
表1および表2より明らかなように、濃グリセリンのような保湿剤とは異なり、本発明の皮膚外用剤が皮膚表面散乱光の増加に顕著な効果があることがわかった。
【0029】
[実施例63]化粧水
(1)エタノール 5.00(重量%)(2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)0.30(3)オウレン(根)抽出物(製法2) 5.00(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.02(5)濃グリセリン 3.00(6)1、3−ブチレングリコール 1.00(7)精製水 残部
製法:(1)に(2)、(3)、(4)を順次添加し、均一に溶解しアルコール相とした。これを、あらかじめ(7)に(5)及び(6)を添加して均一にした水相に撹拌しながら均一に混合して、化粧水を得た。また、(3)を精製水に代替したものを比較例2とした。
【0030】
[実施例64]クリーム
(1)スクワラン 10.00(重量%)(2)ステアリン酸 2.00(3)水素添加パーム核油 0.50(4)水素添加大豆リン脂質 0.10(5)セタノール 3.60(6)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.00(7)グリセリン 10.00(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.10(9)カル1重量%カルボキシビニルポリマー水溶液 15.00(10)精製水 残部(11)10%L−アルギニン 1.00(12)アセンヤクノキ(心材)抽出物(製法4) 0.2
製法:(1)〜(6)の油相成分を加熱溶解し、80℃とする。一方(7)〜(10)加熱溶解し、80℃とした。これを前記油相に攪拌しながら加えたあと、(11)を加え、ホモジナイザーにより均一に乳化した。これを30℃まで冷却した後、(12)を添加し混合、均一化し、クリームを得た。また(12)を精製水に置き換えたものを比較例3として調製した.
[実施例65]乳液
(1)スクワラン 10.00(重量%)(2)メチルフェニルポリシロキサン4.00(3)水素添加パーム核油 0.50(4)モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.30(5)モノステアリン酸ソルビタン 1.00(6)グリセリン 10.00(7)パラオキシ安息香酸メチル 0.10(8)1重量%カルボキシビニルポリマー水溶液 15.00(9)精製水 残部(10)10重量%L−アルギニン水溶液 1.00(11)ブクリョウ(菌核)抽出物(製法3) 5.00
製法:(1)〜(5)の油相成分を加熱溶解し、80℃とする。一方(6)〜(9)を加熱溶解し、80℃とした。これを前記油相に攪拌しながら加えた後、(10)を加え、ホモジナイザーにより均一に乳化した。乳化後、35℃まで冷却し、(11)を加えて均一にし、乳液を得た。また、(11)を精製水に置き換えたものを比較例4として調製した。
【0031】
[実施例66] ピールオフ型パック
(1)ポリビニルアルコール 10.00(重量%)(2)エタノール 2.00(3)精製水 50.00(4)ポリエチレングリコール1500 1.50(5)1,3−ブチレングリコール 5.00(6)パラオキシ安息香酸メチル0.10(7)タイソウ(果実)抽出物(製法4) 0.20(8)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.O.) 0.20(9)エタノール 8.00(10)精製水 残部
製法:(1)に(2)を加え湿らせておいたものに、常温の(3)を加え、ゆっくりと撹拌しながら80℃まで加熱した。(1)が均一に溶解したことを確認後、50℃まで冷却し、(4)、(5)を加え撹拌した。(4)の溶解を確認後、30℃まで冷却し、あらかじめ(9)に(6)〜(8)を溶解したアルコール層と(10)を順次添加して、均一に撹拌し、ピールオフ型のパックを得た。
【0032】
[実施例67]ゲル状化粧料
(1)ジプロピレングリコール 10.00(重量%)(2)カルボキシビニルポリマー 0.50(3)水酸化カリウム 0.10(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.10(5)トウキ(全草)抽出物(製法1) 0.05(6)精製水 残部
製法:(6)に(2)を均一に溶解した後、(1)に(4)、(5)を溶解して添加し、次いで(3)を加えて増粘させ、ゲル状化粧料を得た。
【0033】
[実施例68]洗顔料
(1)ミリスチン酸 24.00(重量%)(2)ステアリン酸 12.00(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 3.00(4)濃グリセリン 15.00(5)精製水 30.00(6)水酸化カリウム 7.80(7)センキュウ(根茎)抽出物(製法2) 3.00(8)精製水 残部
製法:(1)、(2)、(3)、(4)を順次量りこみ、80℃まで加熱する。これに、(6)を溶解させた(5)を80℃まで加熱したものをゆっくりと撹拌しながら加えた。均質になるまで撹拌後、45℃まで冷却し、(7)および(8)を加えて均質になるまで撹拌し、洗顔料を得た。
[使用試験]
使用試験は、上記実施例63〜実施例65対応する比較例2〜比較例4の皮膚外用剤を用いて、20〜40才の女性パネラー各20名を1群として、ブラインドにて、起床時の洗顔後および就寝直前の1日2回、合計30日間試料の適量を実施例と比較例をそれぞれ半顔に塗布させた。試験終了後、規定の洗顔料で洗顔、タオルドライを行った後、皮膚表面の散乱光を上記要領で測定し、実施例と比較例の値を比較した。また、パネラーに実施例と比較例のどちらが美しい肌に見えるかを選択させた。それぞれ、優れているほうに2点、劣っているほうに1点をつけ、実施例と比較例の評点の総計を計算し、クレーマーの検定法にて評価を行った。その結果を表3および表4に示した。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
表3および表4より明らかなように、使用試験の結果、実施例と比較例の散乱光増加作用には有意な差があることがわかり、同時に皮膚を美しく見せる効果も有意な差があることが明らかとなった。
【0037】
また、使用試験中に皮膚のトラブルを訴えたパネラーは現れず、さらに各種虐待試験を通じても製剤に変色、変臭などの安定性の問題点が生じることはなかった。したがって、本発明の皮膚外用剤は安全性および安定性にも問題がないことがわかった。
【0038】
【発明の効果】
以上に詳細に述べたように本発明により、皮膚に対する安全性が高く、製剤の安定性にも問題のない皮膚外用剤、さらには本質的に皮膚表面の反射特性を改善し、皮膚表面での散乱光を増加させる効果の高い皮膚外用剤を提供することができた。
Claims (1)
- オウレン(Coptis japonica(Thunb.)Makino)を有効成分として含有する皮膚表面散乱光増加用基礎化粧料。
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